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第5章 公共交通を取り巻く社会的背景
第5章 現状を踏まえた改善の方向性
5-1 公共交通を取り巻く社会的背景
○計画を作成するにあたり、公共交通を取り巻く社会的背景や住民等への各種アンケート調査
結果を以下のとおり記載する。
表 13
公共交通を取り巻く社会的背景・鳥取県西部地域内の公共交通利用の動向
公共交通を取り巻く社会的背景
○鳥取県西部地域内における少子化・人口減少に伴う公共交通利用者数の減少
○米子市への医療機関、大型商業施設、高等学校等の機能集中による市町村間移動需要の増大
○観光施策に伴う鳥取県西部地域内への外国人観光客の増加
○地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正によるまちづくりと公共交通の関係強化
○公共交通におけるタクシーの役割の拡大
○高齢運転手の事故抑制のための免許返納・公共交通利用の推進
各種アンケート調査結果による鳥取県西部地域内の公共交通利用の動向
【住民アンケート】
○免許非保有者が「バスを利用して行きたい医療機関」として米子市内の大規模総合病院、
「バスを利用して
行きたい商業施設」として日吉津村や米子市内の大型商業施設を挙げる割合が高い
○バスの利用目的としては「通院」
「買物」が多い
○路線バスの満足度が低い項目は「運行本数」
「運行時間帯(ダイヤ)
」
「最終便の時間」である
○「バスを利用してもよいと思うバス停までの距離」は「200m 以内」との回答割合が半数近くあって最も
高く、
「400m 以内」がそれに次いで高いが、山間部では「自宅まで送迎」を挙げる割合も高い
○「希望するバスの運行頻度」としては、都市部ほど「30 分に 1 本以内」を挙げる割合が高く、山間地ほ
ど低くなっている
○タクシーの 1 ヵ月の利用頻度は「1 回未満」が 6 割程度を占め、タクシー助成が充実している日野町・江
府町で利用する割合が高くなっているほか、利用目的としては買物より通院時の利用割合が高い
○今後の交通政策については、全体的に「現状並みの負担で現状程度のサービスを維持」とする割合が高い
【高校生アンケート】
○通学時の利用交通手段としては、
「自家用車送迎」が「自転車」に次いで 2 番目に高い割合で挙げられてお
り、保護者による送迎が日常的に行われている
○通学時に車で送迎することがあると回答した保護者は7割に達し、そのうち4割以上が日常的に送迎して
いるが、送迎を負担に思っている保護者も4割以上ある
○「自家用車送迎」を行っている保護者は定期券を購入する意向が低いが、
「片道定期を下校時に利用したい」
とする割合は高く、登校時は自家用車で送り、下校は公共交通で帰宅と考えている保護者が多い
○公共交通についてはバスよりも JR の利用者が多く、バスについては「運行本数を増やす」
「料金を安くす
る」ことを望んでいる
【民生委員アンケート】
○高齢者の日常生活における移動の問題点として、「バスの本数が少なく移動が困難」「バス停まで距離があ
り利用しにくい」
「タクシー利用は経済的に負担が大きい」
「家族・近所の人の車への同乗は気を遣う」
「JR
駅の階段を上るのが大変」等が挙げられている
○意見・要望としては「バスの便を増やして欲しい」「ドア・トゥ・ドアの運行を望む」「待合環境を整備し
て欲しい」等の意見が寄せられている
ヒアリング調査による通院・買物の動向等
【医療機関】
○全体的に 65 歳以上の高齢者の来院が多く、最多来院時間は 8:30~10:30 の時間帯となっている
○外来が多いのは、連休明けや月・金曜日
○平均滞在時間は 1 時間程度である
○自家用車や自家用車送迎が主流で、バス・タクシーの利用等もある
○待合室への時刻表の掲示や待合用のイス・ベンチの提供、JR・バス時刻を考慮した診察時間の設定等の対
応をしている病院が多い
【商業施設】
○最多来店時間は 10:00~11:00 と夕方に分かれる傾向にあり、高齢者の来店は午前中が中心である
○平均滞在時間としては、スーパーマーケットでは 10 分~30 分、大型店では 40 分~90 分程度となっている
○来店手段としては自家用車が主流で、バス利用は高齢者が主である
○時刻表の掲示や待合スペースの提供、公共交通利用者に対し買物したものを宅配するサービス等が行われている
○買い上げ金額の 1 割相当のタクシーチケットを配布する取り組みをしているスーパーマーケットがある
39
第5章 公共交通を取り巻く社会的背景
5-2 現状・問題点・取組方向
○アンケート調査や、ヒアリング調査結果を基に、市町村間移動の問題、市町村内移動の問題、
利用環境促進の問題、将来的な維持・存続の問題をとりまとめ、各問題点に対する取組方向
について記載する。
表 14
鳥取県西部地域における公共交通の現状・問題点と取組方向
現状・問題点
[市町村間移動の問題]
○ほとんどの路線が米子駅起点であり、
米子市以外から大型商業施設や総合病
院へ行くには必ず乗り換えが発生する
○JR・市町村間バス路線と市町村内バス
路線の接続が不備なため、移動の利便
性が低い
○市町村間路線の中に利用の少ない便や
区間がある
○JR とバスのダイヤが重複する非効率
な運行がみられる
[市町村内移動の問題]
○路線・ダイヤが過密なため、米子駅周
辺で慢性的な渋滞が発生している
○大学病院からの帰宅便の利便性が低い
○利用が少ない路線・便・区間があり、
非効率な運行がみられる
○市町村内路線は通学優先ダイヤのた
め、高齢者等の通院・買物利便性が低
い
○バス停や駅から距離があり、バスを利
用しにくい交通空白地域がある
○土日祝日は便数が減少し、利便性が低
下する
取組方向
【方向1】
市町村間
移動の
利便性向上
【方向2】
市町村内
移動の
利便性向上
○米子市へのアクセス利便性を高める市町村間
路線と市町村内路線の接続の改善
○市町村間路線のルート・ダイヤの充実
○JR とバス路線のダイヤの重複回避
○米子駅~公会堂前の区間の路線重複、過密ダイ
ヤの緩和
○利用の少ない路線、ダイヤ、区間の見直しによ
る効率化
○バス利用者の行動傾向に適応したダイヤ設定
○バスを利用しにくい「交通空白地域」の改善
【方向3】
○交通結節点やバス停の待合環境整備
○バス車両や交通結節点におけるバリアフリー
公共交通の
化
利用環境整備 ○乗り継ぎ利便性の向上
[利用環境・利用促進の問題]
○待合環境についての住民の評価が低い
○バス運行に関する情報が不足している
○観光客や外国人への案内表示が十分で
はない
○自家用車送迎の増加により登下校時に
高校周辺で渋滞が発生する
[将来的な維持・存続の問題]
○利用が少ない路線・便・区間があり、
非効率な運行がみられる
○バス・タクシーの乗務員の高齢化や後
継者不足が発生している
【方向4】
公共交通の
利用促進
○全体的な移動利便性の向上
○観光客や普段バスを使わない人にもわか
りやすい情報の提供
○乗って守る意識の醸成
【方向5】
公共交通の
維持・存続
40
○持続可能な運行のあり方の検討
○路線の見直しを図るためのルールづくり
第5章 公共交通を取り巻く社会的背景
図 37
鳥取県西部地域の公共交通の現状
41
第6章 基本的な方針・目標と数値指標
第6章 基本的な方針・目標と数値指標
6-1 将来像と基本方針
(1)本計画が目指す将来像
○鳥取県西部地域の中心都市である米子市の医療機関・商業施設・高校等の目的地への移動利
便性を高めるとともに、各市町村内の日常生活拠点へのアクセス利便性を向上させることに
より、鳥取県西部地域の持続可能で調和のとれた移動環境を整備し、いつまでも住み続けら
れる地域をめざす。
将来像
移動利便性の高い、調和のとれた公共交通環境の形成により、
いつまでも安心して住み続けられる鳥取県西部地域
(2)基本方針
○移動利便性の高い、調和の取れた公共交通環境を形成し、いつまでも安心して住み続けられ
る鳥取県西部地域を実現するために、以下の基本な方針を掲げる。
○事業の実施にあたっては、各自治体で策定した人口ビジョン・総合戦略、その他の上位計画
との整合性を図ることとする。
◆基本方針1:鳥取県西部地域内移動を快適にする公共交通
鳥取県西部地域内市町村から西部地域の中心都市である米子市への移動及
び、市町村内の集落から、生活機能が集積する市町村中心部への移動につい
て、適正な輸送力を確保しながら利便性を高めることにより、各市町村の定
住環境確保に資する公共交通網を構築する。
◆基本方針2:多様な施策と連動した利用促進
北東アジアからの外国人観光客受け入れに積極的に取り組んでいる鳥取県
西部地域において、路線バスによる観光移動を促進する。また、福祉施策等
との連携やまちづくり計画と連動した公共交通網を形成するとともに、公共
交通に係る情報の積極的な発信により住民への意識啓発を図る。
◆基本方針3:鳥取県西部地域内の連携・住民との協働で支える公共交通
市町村間移動の検討や情報交換等により鳥取県西部地域内の連携を深める
とともに、人口減少や過疎化が進む西部地域内において、引き続き希望する
場所で住み続けることができるよう地域住民が主体となった運行形態の検討
や路線見直しのルールづくりにより、住民との協働で支え合う公共交通の構
築をめざす。
42
第6章 基本的な方針・目標と数値指標
6-2 施策の体系
○3つの基本方針のもと、本計画の目標、数値指標、事業内容等を以下のように設定する。
表 15
施策の体系
方向5
方向4
数値指標
方向3
事業内容
方向2
目標
方向1
事業と取組方向の関係
◆基本方針1:鳥取県西部地域内の移動を快適にする公共交通
1 路線の効率化と拠点間ルート・ダイヤの充実
市町村間幹線と市町村内路線のダイヤ接続
の充実
【目標1】
2
市町村間
移動の
充実と効率化
3 利用者の需要を考慮したダイヤ設定
4 タクシー等の活用による交通空白地域への対応
バス利用者数の総
人口対比率
市町村内公共交通
と市町村間路線と
の平均接続時間
●
●
●
●
バス停半径 400m
圏域内人口
●
●
●
●
5 各拠点の待合環境の整備・充実
【目標2】
6 車両・施設等のバリアフリー化推進
使いやすい
公共交通環境
の整備
7
乗継割引、鳥取県西部地域内共通定期券・回
数券の導入
●
●
●
●
バス利用者数の総 ●
人口対比率(再掲)
●
●
●
●
●
環境整備を
行った拠点数
8 IC カード導入の研究
◆基本方針2:多様な施策と連動した利用促進
【目標3】
9 総合時刻表等の作成
わかりやすい
情報提供による
10 路線バスの観光利用促進
利用促進
●
主要観光地への
アクセス率
●
【目標4】
11 公共交通以外の施策との連携
公共交通利用
の動機づけ
12 公共交通に関する情報公開・イベントの開催
●
各市町村の広報紙
への公共交通に関
する情報掲載回数
●
◆基本方針3:鳥取県西部地域内の連携・住民との協働で支える公共交通
【目標5】
持続可能な
仕組みによる
公共交通の
維持・存続
13
鳥取県西部地域内市町村の一体的な協
議の場づくり
14 住民主体による運行形態の検討・実施
15 路線見直しの仕組みづくり
43
鳥取県西部地域内
の協議の回数
住民参加による公
共交通関連学習会
の開催件数
●
●
●
●
●
●
第7章 目標達成のために実施する事業
第7章 目標達成のために実施する事業
7-1 具体的な事業の概要
本計画の目標のもと事業内容等を以下のように設定する。
路線の効率化と拠点間ルート・ダイヤの充実
1
施策の概要
期待される効果
事業主体
一般乗合バス路線の重複や利用の少ない区間の効率化、目的地への運行ルート等の設定
一般乗合バス路線の効率化や乗車時間の短縮、運賃の低減化等の利便性向上が期待できる
県、市町村、バス事業者
市町村間幹線と市町村内支線のダイヤ接続の充実
2
施策の概要
期待される効果
事業主体
JR・市町村間バス路線と市町村内バス路線の接続を意識したダイヤ設定
待合時間の短縮により市町村間移動が円滑となり、利用者の移動利便性の向上が期待できる
県、市町村、バス事業者
利用者の需要を考慮したダイヤ設定
3
施策の概要
期待される効果
事業主体
高校生、高齢者、観光客等、利用者の需要を踏まえたダイヤ設定
需要にあったダイヤ設定により、利用者の移動利便性を高めることができる
県、市町村、バス事業者
タクシー等の活用による交通空白地域への対応
4
施策の概要
期待される効果
事業主体
交通空白地域解消のため、予約型乗合タクシー導入・タクシー補助の充実等を検討
バスを利用しにくい環境にある住民の、移動利便性を高めることができる
県、市町村、タクシー事業者
各拠点の待合環境の整備・充実
5
施策の概要
期待される効果
事業主体
既存拠点及び新設の拠点の上屋、ベンチ、駐輪場、サイン表示等の待合環境の整備
待合環境の向上により乗り換え抵抗が軽減され、利用者の利便性が高まる
県、市町村、バス事業者
車両・施設等のバリアフリー化推進
6
施策の概要
期待される効果
事業主体
低床バス車両の充実、移動手段間の接続改善、運賃割引制度の導入検討
高齢者や障がい者、妊婦、高校生等の移動利便性向上に資すると同時に、利用促進につながる
県、市町村、バス事業者、鉄道事業者
乗継割引、鳥取県西部地域内共通定期券・回数券の導入
7
施策の概要
乗り継ぎが発生しても従来の料金負担で済むような割引制度の導入を検討
一般乗合バス路線、自家用有償運送の定期券・回数券について、実現可能なものから共通化
期待される効果
乗り継ぎによる不利益を是正することにより、利用者の利便性を確保することができる
事業主体
県、市町村、バス事業者、タクシー事業者
ICカード導入の研究
8
施策の概要
期待される効果
事業主体
官民連携による、広範囲に利用できる IC カード導入の検討
利用者の利便性を高めるとともに、バスの利用データ収集により運行改善等の検討が容易になる
県、市町村、バス事業者、鉄道事業者
44
第7章 目標達成のために実施する事業
総合時刻表の作成
施策の概要
9
期待される効果
事業主体
鳥取県西部地域の公共交通情報を網羅した総合時刻表等の作成
鳥取県西部地域内の路線状況や時刻が一元的に把握できることにより、市町村間移動が
しやすくなる
県、市町村、バス事業者
路線バスの観光利用促進
10
施策の概要
期待される効果
事業主体
観光移動や地域外からの訪問者にとってわかりやすい案内表示板や時刻表の整備
観光案内表示・時刻表の多言語化
観光目的地への円滑な移動が実現できる
県、市町村、バス事業者
公共交通以外の施策との連携
施策の概要
健康・福祉施策としてのタクシー助成や料金割引制度等の移動支援策の拡充
住民・他部局と連携した公共交通の協議と各種計画での公共交通の位置づけの明確化
期待される効果
移動サービスを健康・福祉の面から支援することで、公共交通の利用を促進することができる
まちづくり施策と整合性が図れ、より戦略的、効果的な運行が実現できる
11
事業主体
県、市町村
公共交通に関する情報公開・イベントの開催
12
施策の概要
期待される効果
事業主体
公共交通の利用状況、自治体負担の現状を広報紙等を活用して積極的に発信
鳥取県西部地域の住民の公共交通に関する意識啓発効果がある
県、市町村、警察
鳥取県西部地域内市町村の一体的な協議の場づくり
施策の概要
13
期待される効果
事業主体
市町村担当者を中心とした鳥取県西部地域での検討の場づくりの検討
他市町村の状況把握、市町村間幹線の調整、交通事業者の情報収集・協議が図りやすく
なる。
県、市町村、バス事業者、タクシー事業者、鉄道事業者、住民
住民主体による運行形態の研究
14
施策の概要
期待される効果
事業主体
運行範囲や人口の小さい地域について住民が主体となった運行形態を研究する
地域の実情に即した運行が可能となり、住民自身による利用促進効果も期待できる
県、住民、市町村、バス事業者、タクシー事業者
路線維持・改善の仕組みづくり
施策の概要
15
期待される効果
事業主体
見直しを検討する際の基準として評価の手順の作成
住民の危機意識の喚起、地域への利用促進や住民の需要に合った運行の改善が図りやす
くなる
県、市町村、バス事業者、住民
45
第7章 目標達成のために実施する事業
7-2 市町村間幹線、市町村内支線の明確化と拠点の設定
○鳥取県西部地域の公共交通・拠点を、果たすべき役割や利用実態等を踏まえて次のように整
理する。
表 16
市町村間幹線と市町村内支線、拠点の設定
機能
対象路線
市町村間幹線
○JR 山陰本線(米子駅~中山口駅)
(米子駅~松江駅)
○JR 伯備線(米子駅~生山駅)
○主に通学を中心とする市町村間
○JR 境線(米子駅~境港駅)
移動路線(JR 山陰本線、伯備線、
○境線(米子駅~境港駅)
境線)
○上長田・大木屋線及び東長田線(米子駅~法勝寺)
○主に買物や通院目的の高齢者を
○溝口線及び日野本線(米子駅~岸本駅・溝口駅・根雨駅)
中心とする市 町村間移 動路 線
○下市線(米子駅~下市入口)
(一般乗合バス)
○皆生線(米子駅~イオンモール日吉津)
○松江線(米子駅~松江駅)
市町村内支線
○路線バス空白地域の移動路線
(だんだんバス:米子市)
○米子市内東部(旧淀江町)内の
移動路線(どんぐりコロコロバ
ス:米子市)
○スクール利用を中心とする地域
内中心部への移動路線(各市町
村内のバス)
○高齢者を中心とする近距離移動
(市町村によってはタクシー補
助が充実しており、長距離移動に
も利用されている)及び予約型バ
スの運行主体(タクシー)
拠点
(移動需要の高い目的地や
重要な結節点)
米子市
内浜線、米子高専線、米子高校・永江団地線、榎原・米子
高校線、大学病院線、三柳・富益線、水浜線、福万線、淀
江線、岩屋谷線、だんだんバス、どんぐりコロコロバス
境港市
はまるーぷバス(生活コース・メインコース)
大山町
佐摩線、本宮・大山線
南部町
御内谷線、ふれあいバス(奥絹屋・与一谷線、循環線、と
っとり花回廊線、伐株線)
伯耆町
循環線、二部線、日光線
日南町
山上線、巡回バス、石見線、多里線、大宮線、福栄線
日野町
奥渡線、根雨宿・病院線、菅福線、板井原・真住線
江府町
下安井線、下蚊屋線、柿原線、御机線、大河原線、俣野線
米子市
JR 米子駅、JR 伯耆大山駅、JR 河崎口駅
境港市
JR 境港駅
日吉津村
イオンモール日吉津
大山町
JR 大山口駅
南部町
法勝寺
伯耆町
JR 岸本駅、JR 伯耆溝口駅
日南町
JR 生山駅、
(道の駅日野川)
日野町
JR 根雨駅
江府町
JR 江尾駅
表 17
広域路線
鳥取県
西部地域
路線及び拠点の定義
鳥取県西部地域と他の地域を結ぶ航空機、船舶、JR、高速バス、路線バス
市町村間幹線
米子市と各市町村間を結ぶ JR 及び一般乗合バス路線
市町村内支線
主に各市町村内を運行する一般乗合バス及び自家用有償運送路線、タクシー
拠
点
移動需要の高い目的地や重要な結節点
46
第7章 目標達成のために実施する事業
~鳥取県西部地域の一体的な移動環境の整備~
図 38
鳥取県西部地域の公共交通の将来像
47
第7章 目標達成のために実施する事業
境港市
日吉津村
大山町
米子市
伯耆町
江府町
南部町
日野町
日南町
図 39
市町村間幹線・市町村内支線・米子市街地路線・拠点の考え方
48
第7章 目標達成のために実施する事業
7-3 基本方針1:鳥取県西部地域内移動を快適にする公共交通
《目標1》 市町村間移動の充実と効率化
事業1:路線の統合と拠点間ルート・ダイヤの充実 【地域公共交通再編事業】
①上長田・大木屋線、東長田線の統合・短縮
○「上長田・大木屋線」と「東長田線」を統合して「南部線(仮称)
」とし、市町村幹線と位
置付け、米子駅~法勝寺間とその周辺に短縮する。
○米子駅~法勝寺間について、現在上り下り各 21 便あるダイヤを適正に配置する。
○短縮により廃止された区間については、ふれあいバス等での対応を検討する。
○これにより、利用の少ない区間の効率化が可能となる一方で、幹線部分の便数の充実が期
待でき、利便性向上につながる。
米子駅
米子駅
御内谷線
御内谷線
南部線(仮称)
御内谷
御内谷
南部町
ふれあいバス
法勝寺
上長田・大木屋線
法勝寺
南部町
ふれあいバス
東長田線
大木屋
金山
図 40
上長田・大木屋線と東長田線の統合・短縮イメージ
②市町村間循環線の設定
○皆生線を基本に米子駅~イオンモール日吉津~JR 伯耆大山駅~米子駅間を循環する幹線
(右回り・左回り)を設定する。
○この路線は米子市と日吉津村間を運行するが、沿線に西部地域全体の生活圏としての目的
地が数多くあることから、
「市町村間移動のための循環線」という意味合いで市町村間幹線
に位置付ける。
○これにより、イオンモール等の目的地に米子駅を経由することなく行くことができ、乗車
時間の短縮や運賃の低減化を図ることができる。
49
第7章 目標達成のために実施する事業
西部
消防署
前
西部
消防署
前
産業
体育館
産業
体育館
皆生線
温泉
センター
米子駅
米子駅
温泉
センター
皆生線
労災
病院
労災
病院
皆生線
東部線(仮称)
医療
センター
イオン
イオン
JR伯耆大山駅まで
皆生線の一部を延伸
図 41
市町村間循環線イメージ
伯耆
大山駅
③米子東部の各路線の統合
○米子駅~日野橋東詰間を運行する「下市線」
、「淀江線」
、
「本宮・大山線」
、
「福万線」を統
合し、米子駅~伯耆大山駅間を「東部線(仮称)
」とし、幹線と位置付ける。
○伯耆大山駅またはイオンモール日吉津を結節点として、
「遠藤行き」
「日下行き」
「下市行き」
「大山寺行き(尾高経由・大山口駅経由)
」に乗り換えることとする。
○これにより、米子駅~日野橋東詰間のダイヤの適正化が図れ、米子駅周辺の過密ダイヤの
緩和につながるとともに、米子駅を経由せず日吉津方面に行くことができ、乗車時間の短
縮や運賃の低減化等、利便性の向上が期待できる。
医療
下市線
センター
米子駅
下市
入口
大山
口駅
日野橋
東詰
本宮・大山線
水浜線
淀江・佐摩線
福万線
遠藤
日下
大山寺
イオン
皆生線
皆生線
米子駅
医療
センター
伯耆
大山駅
東部線(下市行き)
大山
口駅
下市
入口
東部線(仮称)
東部線
(尾高経由
大山寺行き)
東部線
(大山口駅経由大山寺行き)
東部線
(水浜行き)
東部線
(福万行き)
図 42
米子東部路線の統合イメージ
50
遠藤
日下
大山
寺
第7章 目標達成のために実施する事業
④日野本線の伯耆大山経由便の新設
○日野本線に伯耆大山経由米子駅行きの系統を追加する。岸本駅~伯耆大山駅間が福万線と
重複する場合は、福万線のダイヤを減便する。
(2社間での調整)
○永江団地の利用が多い溝口線は従来どおりの運行とする。
○これにより、日野郡方面から米子駅を経由せずに日吉津方面に行くことができ、乗車時間
の短縮や運賃の低減化等、利便性の向上が期待できる。
イオン
広域循環線
伯耆
大山駅
米子駅
永江団地●
伯耆
大山駅
米子駅
永江団地●
岸本駅
イオン
溝口線
岸本駅
溝口線
伯耆
溝口駅
伯耆
溝口駅
日野本線
日野本線
江尾駅
江尾駅
根雨駅
根雨駅
図 43
日野本線の伯耆大山経由のイメージ
⑤境線の日吉津経由便の新設
○境線を市町村間幹線と位置付ける。
○境線の一部の便について、国道 431 号経由日吉津方面行きの便の設定や「PLANT-5」
経由にすることについて検討する。
○これにより、住民の需要の高い商業施設での買物が容易となり、買物利便性の向上が期待
できる。
境港駅
境港駅
境線
PLANT
5
境線
イオン
イオン
皆生線
米子駅
伯耆
大山駅
米子駅
広域循環線
図 44
境線の日吉津経由便のイメージ
51
第7章 目標達成のために実施する事業
⑥JR境線と境線、内浜線、三柳・富益線との接続強化
○JR 境線の駅に結節点を設け、既存路線バス(内浜線、三柳線、富益線)との相互接続を
図る。
○これにより、東西間の移動が不便な弓浜地域において、移動利便性の向上が期待できる。
境港駅
境港駅
JR 境線
JR 境線
境線
境線
結節点
内浜線
内浜線
三柳線
富益線
三柳線
富益線
米子駅
図 45
既存路線(内浜線、三
柳線、富益線)の河崎
口駅への立ち寄りによ
り、東西方向の移動を
可能にする。
米子駅
JR境線と境線、内浜線、三柳・富益線との接続強化イメージ
⑦移動手段間のダイヤ重複の回避
○「JR 境線」と路線バス「境線」
、「JR 山陰本線」と路線バス「下市線」、
「JR 伯備線」と
路線バス「溝口線」
「日野本線」とのダイヤ重複を避ける。
○これにより、JR と路線バスのダイヤ配置が効率化され、移動手段の選択肢拡大の効果が
期待できる。
事業内容
事業主体
①上長田・大木屋線、東長田線の統合・短縮
県・市町村・バス事業者
H28 年度検討・H29 年度実施
①鳥取県西部地域循環線の設定
県・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
①米子東部の各路線の統合
県・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
①日野本線の伯耆大山経由便の新設
県・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
①境線の日吉津経由便の新設
県・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
①移動手段間のダイヤ・ルート重複の回避
県・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
数値指標
実施時期
バス利用者数の総人口対比率
算出方法
現状値
目標値(H32 年度)
6.2
6.2
人口に対するバス利用者数の比率の低下を防ぐ(利用割合)
※計算式:バス利用者数(一般乗合バス路線)÷鳥取県西部地域総人口
※バス利用者数は一般乗合バス路線のみ
52
第7章 目標達成のために実施する事業
事業2:市町村間幹線と市町村内支線のダイヤ接続の充実 【地域公共交通再編事業】
○高校生の長距離通学手段はバスよりも JR が中心であることから、朝夕の通学時間帯につい
ては市町村内支線と JR との接続を意識したダイヤ設定に努める。
○高齢者の市町村間移動はどちらかといえばバス利用が中心になることから、市町村間バス路
線との接続を意識したダイヤ設定に努めることが重要となるが、特に通院・買物を済ませて
各市町村に帰ってきた際、拠点から自宅までのバス路線の接続に配慮する。
○これにより待合時間が短縮され、市町村間移動が円滑となって利便性の向上が期待できる。
○市町村内支線のサービス水準(運行頻度・運賃等)については、基本的に現行の水準を維持
していくこととする。
事業3:利用者の需要を考慮したダイヤ設定 【地域公共交通再編事業】
○高校生、高齢者共に、朝の移動時間帯は重複することが多い。帰宅時間については高校生の
場合は幅があるが、高齢者はその行動傾向から昼過ぎの帰宅便を確保が必要となる。
○観光利用を想定した場合についても、行動傾向を踏まえたダイヤ設定が求められることから、
市町村内路線も含めてこれらの利用者需要を踏まえたダイヤ設定に努める。
○これにより、通学・通院・買物及び観光移動の利便性向上が期待できる。
この時間帯の帰宅便の確保が必要
受
付
診
察
8:00
9:00
10:00
図 46
11:00
移
動
)
)
移
動
帰
宅
移
動
・
買
物
(
(
通
院
12:00
13:00
14:00
高齢者の通院・買物パターン
事業内容
事業主体
実施時期
②市町村幹線と市町村内支線のダイヤ接続の充実
県・市町村・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
③利用者の需要を考慮したダイヤ設定
県・市町村・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
数値指標
市町村間幹線と市町村内支線との平均接続時間
算出方法
現状値
目標値(H32 年度)
市町村内支線(予約型を除く)が各市町村の拠点(※)に
到着した時、直近で接続している市町村間幹線(米子駅ま
で行く JR・市町村間バス路線)との平均接続時間(※但し、
米子市、日吉津村、大山町を除く)
40 分
30 分
53
第7章 目標達成のために実施する事業
事業4:タクシー等の活用による交通空白地域への対応
○集落が点在する中山間地域をはじめ、独自のバス路線を持たない日吉津村や米子市内にあっ
てもバス停から距離のある交通空白地域が見られ、これらの解消が求められている。
○交通空白地域を解消するために、地域の実情に合わせて予約型乗合タクシーの導入やタクシ
ー補助の充実等を検討する。
○これにより、バスを利用しにくい環境にある住民の移動利便性を高めることができる。
事業内容
④タクシー等の活用による交通空白地域への対応
数値指標
事業主体
実施時期
県・市町村・タクシー事業者
H28 年度より検討・随時実施
鳥取県西部地域の総人口に占めるバス停半径 400m圏域内人口
算出方法
バス停等半径 400m圏域内総人口÷鳥取県西部地域の総人口
現状値
目標値(H32 年度)
91.1%
95.0%
《目標2》 使いやすい公共交通環境の整備
本計画で示すように、市町村間幹線と市町村内支線との役割を明確にし、市町村間移動の自由
度の向上と運行の効率化を図る場合には乗り換えが発生するが、特に高齢者・障がい者等におい
ては乗り換えに対する抵抗が大きい。
乗り換えが発生することによって懸念されることとして、
「乗降が面倒」
「待ち時間が発生する」
「環境によっては待ち時間を快適に過ごせない」
「料金が割高になる」
「どう乗り継ぐかわからな
い」等が想定される。
これらの乗り換え抵抗を軽減するため、以下のような施策を検討する。
事業5:各拠点の待合環境の整備・充実 【地域公共交通再編事業】
○拠点として位置付けられる JR 駅について、ベンチや駐輪場、パーク&ライドを想定した駐
車場、電動車いす等の駐車スペース、乗降場所の案内表示、時刻表や路線図等の情報提供の
状況をチェックし、不備・不足があれば順次整備を行う。
○新たに設ける拠点については、上屋やベンチ、トイレ等の整備のほか、パーク&ライドを想
定した駐車場や駐輪場、電動車いすの駐車スペースの確保、乗車場所としてのわかりやすい
案内表示、路線図や時刻表等の情報提供を行う。
○「バスネット」
「バスロケーションシステム」による公共交通情報提供の充実に努め、その活
用による乗り継ぎ利便性向上を図る。
○このような待合環境の向上により乗り換え抵抗が低減され、利用者の利便性が高まることが
期待される。
54
第7章 目標達成のために実施する事業
西倉吉
図 47
乗り継ぎが円滑にいくバス停例
事業6:車両・施設等のバリアフリー化推進
○高齢者や障がい者、妊婦等、誰もが使いやすく、乗りたくなるよう、低床バス車両の充実、
移動手段間の接続改善、運賃割引制度の導入等を検討する。
○これにより移動利便性向上が期待できると同時に、バスの利用促進につながる。
事業7:乗継割引、鳥取県西部地域共通定期券・回数券の導入
○今まで目的地まで直通で運行されていた路線が拠点までに短縮され、そこで乗り換えが発生
すると料金が割高になる場合がある。このような状況を緩和するため、従来の料金負担で済
むような乗り継ぎ割引制度を設ける。
○市町村間移動を円滑に行うためには、ある程度共通して利用できる定期券や回数券が必要で
あり、事務の分担や費用負担等を勘案して実現可能なものから共通化が図れるよう検討する。
○このような施策で乗り継ぎによる不利益を是正し、
利用者の利便性を確保することができる。
○併せて、商業施設等との連携による、割引クーポンの導入等についても検討していく。
事業8:ICカード導入の研究
○前述のような乗り継ぎ割引への対応に IC カードは有効であるほか、料金支払い時の時間短縮
や乗降データ収集等の利点がある。
○IC カード導入に際しては、交通系での利用のみに留めるか、買物等にも使える多機能型にす
るのか、またどのような方式を採用するのかといった選択の問題、初期投資、維持管理費を
どのように負担するのかといった経費負担の問題が発生するが、官民が連携して導入に向け
た検討を行う。
事業内容
事業主体
実施時期
県・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
⑥車両・施設等のバリアフリー化推進
県・市町村・バス事業者・鉄道事業者
H28 年度より検討・随時実施
⑦乗継割引、鳥取県西部地域内共通定期券・
回数券の導入
県・市町村・バス事業者・タクシー事業者
H28 年度より検討・随時実施
⑧ICカード導入の研究
県・市町村・バス事業者・鉄道事業者
H28 年度より検討・随時実施
⑤各拠点の待合環境の整備・充実
数値指標
環境整備を行った拠点数
算出方法
現状値
目標値(H32 年度)
拠点の環境整備状況を各市町村が把握(乗継案内表示含む)
0
11 か所
55
第7章 目標達成のために実施する事業
数値指標
バス利用者数の総人口対比率(再掲)
算出方法
現状値
目標値(H32 年度)
6.2
6.2
人口に対するバス利用者数の比率の低下を防ぐ(利用割合)
※計算式:バス利用者数(一般乗合バス路線)÷鳥取県西部地域総人口
※バス利用者数は一般乗合バス路線のみ
7-4 基本方針2:多様な施策と連動した利用促進
《目標3》わかりやすい情報提供による利用促進
事業9:総合時刻表等の作成
○定期券、回数券同様、鳥取県西部地域ではそれぞれ単独の時刻表を作成しており、地域全体
を網羅した時刻表はない。市町村間移動利便性を高めるためには、地域全体の交通体系の理
解と乗り継ぎが可能かどうかの情報提供が不可欠であり、鳥取県西部地域の公共交通情報を
網羅した総合時刻表の作成及び集客施設等での配布を行う。
○「バスネット」
「バスロケーションシステム」の充実等により、わかりやすい情報提供に努め
る。
○これらにより鳥取県西部地域内の路線状況や時刻が一元的に把握でき、市町村間移動が容易
となる。
事業10:路線バスの観光利用促進
○鳥取県では国内観光客だけでなく外国人観光客の誘致にも力を入れており、積極的な施策の
展開によりアジアからの観光客が近年伸びている。このような外国人観光客に対応し、バス
乗り場や乗り換え案内表示等の充実及び多言語化を図ることにより、路線バスやタクシーの
観光利用を推進していく。
○入込客数の多い主要観光地への移動に、本宮・大山線や皆生線等の既存バス路線がより活用
できるよう、積極的な PR や季節的な増便等を検討し、利用促進を図る。
○観光路線やバス停について、観光をアピールする名称への変更を促進する。
○これにより、観光目的地への円滑な移動が実現するとともに、公共交通利用者の増加が期待
される。
事業内容
事業主体
実施時期
⑨総合時刻表等の作成
県・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
⑩路線バスの観光利用促進
県・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
数値指標
主要観光地へのアクセス率
算出方法
現状値
目標値(H32 年度)
入込数が 10,000 人/年以上の主要観光地(施設)において、
バスによる往復可能な観光地(施設)の割合
80%
100%
56
第7章 目標達成のために実施する事業
《目標4》 公共交通利用の動機づけ
事業11:公共交通以外の施策との連携
○近年、バス利用の核となる層が高齢化していることから、公共交通をどうするかという問題
は健康・福祉施策と重なる部分があり、それらの施策で高齢者・障がい者を対象としたタク
シー助成や料金割引制度等の移動支援策が設けられている。これらの移動支援策の拡充に加
えて、その周知徹底を図り、公共交通の利用を増やしていく。
○各自治体の都市計画、土地利用計画、中心市街地活性化計画等のまちづくりや健康・福祉施
策との整合性を図るため、各自治体において他部局と連携した公共交通の協議の場を設け、
各計画での公共交通の在り方を明確にする。
○これにより、
公共交通の利用促進を図るとともに、
まちづくり施策との整合性を図ることで、
より戦略的、効果的な運行の実現が期待できる。
事業12:公共交通に関する情報公開・イベントの開催
○鳥取県西部地域内でバスの利用状況や自治体の経費負担の現状等の住民周知を積極的に行っ
ている事例は少なく、自家用車利用が中心である多数の住民は、公共交通への関心が低いの
が現状である。公共交通のあり方を地域住民も一緒に考え、乗って守るという意識を醸成す
るために、公共交通の利用状況や自治体負担の現状を、各市町村の広報紙等を活用して積極
的に発信する。
○バスの乗り方教室等、公共交通に対する住民意識を高めるためのイベントを開催する。
○事故防止の観点から、高齢者の免許返納及び公共交通利用への移行を、警察機関等との連携
で推進していく。
事業内容
事業主体
⑪公共交通以外の施策との連携
県・市町村
H28 年度より検討・随時実施
県・市町村、警察
バス事業者・住民
⑫公共交通に関する情報公開・イベントの開催
数値指標
実施時期
H28 年度より実施
各市町村の公共交通に関する広報紙の発行回数
算出方法
各市町村の広報紙への公共交通に関する情報掲載回数
57
現状値
目標値(H32 年度)
0
各市町村
年2回以上
第7章 目標達成のために実施する事業
7-5 基本方針3:鳥取県西部地域内の連携・住民との協働で支える公共交通
《目標5》 持続可能な仕組みによる公共交通の維持・存続
事業13:鳥取県西部地域内市町村の一体的な協議の場づくり
○各市町村には地域公共交通協議会や地域公共交通会議が設置され、市町村内の公共交通につ
いて検討・承認する場として機能している。さらに、本年度には鳥取県西部地域内の検討の
場として、
「鳥取県西部地域公共交通活性化協議会」が立ち上げられた。
○鳥取県西部地域の一体的な公共交通網を検討する際には、単独自治体だけでなく隣接する市
町村や、
西部地域全体としての目的地を有する市町村と連携した協議が必要となることから、
自治体担当者を中心とした鳥取県西部地域内市町村の一体的な検討の場を設定する。
○必要に応じて、
経済団体をはじめとする多様な団体等との意見交換の場についても検討する。
○これにより、他市町村の状況の把握、市町村間幹線の調整、交通事業者の情報収集・協議が
図りやすくなる。
事業14:住民主体による運行形態の研究
○地域の実情にあったきめ細かな公共交通の実現には、市町村だけの取り組みでは限界がある。
特に需要の少ない地区にあっては、経費負担や他地区との公平性等の観点から困難が伴うこ
とから、タクシー等の交通資源の活用や既存公共交通との競合に配慮した、住民主体による
運行形態を検討する必要がある。そのための、住民を対象とした共助交通等の勉強会を各市
町村で開催していく。
○運行の導入を検討する地域住民は、上記の勉強会への参加や視察等を通して運行の仕組みを
構築することとし、市町村はその取り組みに対して支援を行う。
○これにより、地域の実情に即した交通手段の運行が可能となり、住民自身による利用促進効
果も期待できる。
事業15:路線維持・改善の仕組みづくり
○バス路線を見直す際、各市町村で独自の見直し基準を設けているところもあるが、市町村間
幹線においては見直しの検討がしづらい状況もみられるため、サービス水準見直しの基準と
なる運行の評価手順を作成する。
○これにより、住民の危機意識の喚起、地域への利用促進の働きかけや住民の需要に合った運
行の改善が図りやすくなる。
○バスやタクシー乗務員の高齢化、
後継者不足に対応するため、
乗務員の育成支援を検討する。
58
第7章 目標達成のために実施する事業
事業内容
事業主体
⑬鳥取県西部地域内市町村の一体的な協
議の場づくり
県、市町村、バス事業者・タク
シー事業者・鉄道事業者・住民
⑭住民主体による運行形態の研究
住民・県・市町村・バス事業者・
H28 年度より検討・随時実施
タクシー事業者
⑮路線維持・改善の仕組みづくり
県・市町村・バス事業者・住民
H28 年度より検討・随時実施
県・市町村・バス事業者
H28 年度より検討・随時実施
⑮バス・タクシー乗務員の育成支援
数値指標
H28 年度より継続実施
鳥取県西部地域内市町村の一体的な協議の回数
算出方法
鳥取県西部地域内市町村の一体的な協議回数
数値指標
実施時期
現状値
目標値(H32 年度)
0
鳥取県西部地域全体年2回以上
住民参加による公共交通関連学習会の開催件数
算出方法
現状値
目標値(H32 年度)
住民参加による公共交通についての勉強会等の開催回数
0
各市町村年1回以上
59
第8章 実施スケジュール
第8章 実施スケジュール
8-1 事業実施スケジュール
○本計画の事業実施スケジュールを以下のように設定する。
表 18
実施スケジュール
事業主体
【目標5】
持続可能な
仕組みによる
公共交通の
維持・存続
民
【目標4】
公共交通利用
の動機づけ
住
【目標3】
わかりやすい
情報提供によ
る利用促進
交通
事業者
【目標2】
使いやすい
公共交通環境
の整備
市町村
【目標1】
鳥取県西部地
域内移動の
充実と効率化
事業内容
県
目標
実施スケジュール
H
28
H
29
H
30
H
31
H
32
①路線の効率化と拠点間ルート・ダ
イヤの充実
●
●
●
検討
随時実施
②市町村間幹線と市町村内支線の
ダイヤ接続の充実
●
●
●
検討
随時実施
③利用者の需要を考慮したダイヤ
設定
●
●
●
検討
随時実施
④タクシー等の活用による交通空
白地域への対応
●
●
●
検討
随時実施
⑤各拠点の待合環境の整備・充実
●
●
●
検討
随時実施
⑥車両・施設等のバリアフリー化推
進
●
●
●
検討
随時実施
⑦乗継割引、鳥取県西部地域内共通
定期券・回数券の導入
●
●
●
検討
随時実施
⑧IC カード導入の研究
●
●
●
検討
随時実施
⑨総合時刻表等の作成
●
●
●
検討
随時実施
⑩路線バスの観光利用促進
●
●
●
検討
随時実施
⑪公共交通以外の施策との連携
●
●
⑫公共交通に関する情報公開・イベ
ントの開催
●
●
●
●
⑬鳥取県西部地域ない市町村の一
体的な協議の場づくり
●
●
●
●
⑭住民主体による運行形態の研究
●
●
●
●
⑮路線維持・確保の仕組みづくり
●
●
●
●
実施
継続
実施
継続
継続
検討
検討
随時実施
実施
※交通事業者には「バス事業者」
「タクシー事業者」
「鉄道事業者」が含まれ、事業内容に応じて事業主体となる。
60
第9章 計画の達成状況の評価
第9章 計画の達成状況の評価
9-1 計画の推進体制
○本計画の推進及び進捗状況の管理は、鳥取県西部地域公共交通活性化協議会が行うこととす
る。PDCA サイクルに基づき、鳥取県西部地域公共交通活性化協議会では年度ごとに進捗状
況を把握し、計画が適正に行われるように関係機関との調整を行う。
9-2 評価・検証
○事業実施にあたり、一般乗合バス路線の再編や新たな公共交通の導入等については事業実施
の 2 年後に鳥取県西部地域公共交通活性化協議会で評価を行い、見直しの必要があれば改善
計画を立案し、随時改善を行っていく。
【対象事業:①~⑩】※成果目標の評価・検証
○平成 28 年度から毎年度継続・実施する事業については、鳥取県西部地域公共交通活性化協
議会において前年度の進捗確認と評価を行い、適宜改善しながら継続していく。
【対象事業:
⑪~⑮】※プロセス目標の評価・検証
鳥取県西部地域公共交通網形成計画
初年度
2年目
詳細計画
3年目
DO
(再編実施計画)
4年目
5 年目
事業実施
PLAN
地域公共交通活性化協議会
CHECK
ACT
図 48
鳥取県西部地域公共交通網形成計画
初年度
事業実施
評価
(数値指標等)
改善計画
事業継続
路線再編・新たな公共交通の導入等の事業の評価・改善
2年目
3年目
4 年目
5 年目
進捗確認・評価
(数値指標等)
改善
事業継続
進捗確認・評価
(数値指標等)
改善
事業継続
進捗確認・評価
(数値指標等)
改善
事業継続
進捗確認・評価
(数値指標等)
改善
図 49
毎年度継続・実施する事業の評価・改善
※成果目標は、事業展開を行った結果得られる効果に対する目標。
※プロセス目標は、事業の進捗状況そのものに対する目標。
61
事業継続
第9章 計画の達成状況の評価
表 19
月
議会
事業評価・改善計画の年間スケジュール
生活交通確保に係る
地域協議会(県)
鳥取県西部地域公共交通
活性化協議会
4月
6月補正
予算
○前年度事業進捗状況の確認・評価
○路線、ダイヤの変更確認
○国庫補助要件と実績の照合
5月
6月議会
6月
○次年度補助路線等の協議
7月
⑪月補正
予算
10 月
○10 月ダイヤ改正等の協議
9月議会
9月
9月補正
予算
8月
11 月
2月議会
2月
6月補正
予算
1月
⑪月議会
12 月
○事業実施結果を踏まえた改善計画
の検討
○事業評価等の協議
○4 月ダイヤ改正等の協議
3月
※数値指標の評価時には、国庫補助路線が補助要件を満たしているかどうかについても併せて確認する。
62
第9章 計画の達成状況の評価
表 20
種別
目標
事業
内容
1
成果目標
1
2
3
4
数値指標とモニタリング方法
数値指標
モニタリング方法
評価主体
バス利用者数の総人口
対比率
平成 31 年度に、鳥取県西部地域内の一般乗合バス
路線年間利用者数及び西部地域内各市町村の住民基
本台帳人口を把握し、「バス利用者数÷西部地域人
口」の計算式でバス利用者の総人口対比率を算出し
て、目標値と対比し評価する。
協議会
市町村内公共交通と市
町村間幹線との平均接
続時間
平成 27 年度に作成した市町村間バス路線・JR のダ
イヤと市町村内バス路線との接続時間調査データを
基に、平成 31 年度時点で再度平均接続時間を算出
し、その結果を目標値と対比して評価する。
協議会
バス停半径 400m 圏域
内人口
平成 27 年度に作成したバス停半径 400m 圏域内人
口のデータを基に、平成 31 年度の状況を把握し、
目標値と対比し評価する。
協議会
プロセス目標・成果目標
5
6
環境整備を行った拠点
数
平成 27 年度をゼロとして、平成 28 年度以降、バ
ス停等の待合環境を整備した箇所を累計し、平成 31
年度の時点で目標値と対比して評価する。
2
協議会
7
バス利用者数の総人口
対比率(再掲)
①と同様
8
成果目標
9
3
主要観光地へのアクセ
ス率
鳥取県観光戦略課のデータを基に、平成 31 年度時
点で入込数が 10,000 人/年以上の主要観光地(施
設)をピックアップし、バスによる往復が可能な観
光地の割合を算出して、目標値と対比し評価する。
協議会
各市町村の広報紙への
公共交通に関する情報
掲載回数
平成 28 年度以降、各市町村において公共交通に関
する情報を掲載した回数を毎年把握し、目標値と対
比して評価する。
協議会
鳥取県西部地域内市町
村の一体的な協議の回
数
平成 28 年度以降、鳥取県西部地域全体で行った協
議の回数を毎年把握し、目標値と対比して評価する。
協議会
住民参加による公共交
通関連学習会の開催件
数
平成 28 年度以降、各市町村において開催された公
共交通に関する勉強会等の開催回数を市町村ごとに
毎年把握し、目標値と対しして評価する。
協議会
10
11
4
プロセス目標
12
13
5
14
15
63