オペアンプを使った回路

オペアンプを使った回路
オペアンプを使うことで、様々な動作
をする回路を容易に構築することが
できる。 ここではその例をいくつか示す。
計装アンプ(計測アンプ)
Instrumenta5on Amplifierの訳。 精密計測器(Instrument)に用
いる、高精度の作動増幅アン
プ。 正・負の2入力の差を増幅する
ことで、信号ラインに乗りやす
い同相ノイズを除去する。広範
囲で高い線形性の増幅が可能。
その他、高入力インピーダンス、
低入力オフセット、などの特性
があり、微少信号を正確に測
定するために利用される。
R2
VIN−
VIN+
R1
R1
VOUT
ー
+
R2
R1,R2は精密に一致させる必要がある。 金属皮膜の精密抵抗から、さらに比率
の一致するペアを探して用いる。 入力端子側は、物理的に周りをグラウン
ド電極で囲み、できるだけ配線を短くす
ることで、ノイズの混入を防ぐ。
加減算回路
計装アンプは、電圧を電流に
変換してフィードバック抵抗に
流し、電圧として増幅する。
増幅率を1に設定し、入力を
複数設置すると、各入力から
の電流の和が出力電圧を与
える。この性質を利用すると、
電圧の可算・減算回路が作
れる。 入力VIN+1,2,3・・・が可算され、
入力VIN−a,b,c・・・が減算され
た電圧がVOUTに出力される。
・ ・ ・
VIN−c
1kΩ
VIN−b
VIN−a
1kΩ
1kΩ
ー
VIN+1
1kΩ
+
VIN+2
1kΩ
VIN+3
1kΩ
1kΩ
VOUT
1kΩ
・ ・ ・
入力抵抗を1/Nにすると入力電圧をN倍
して加算することができる。
電流測定器
R2
i
VIN
ー
VOUT
+
微少な電流を測定する場合、リーク電流
が誤差を生むため、入力インピーダンス
の大きなFET入力オペアンプを用いる。入
力電流オフセットが、測定電流の精度以
下の品種を用いる。入力端子周りは高絶
縁性素材で構成し、ガードアースで囲む。
入力電流iがR2に流れるとき
の電圧を出力する。R2が入
力インピーダンスとなるため、
理想的な電流計としてはR2
が小さい方が望ましい。 しかし、出力電圧はi・R2なの
で小さすぎると出力電圧が
小さくなってしまう。電流を電
圧に変換した後、電圧を増
幅して感度を高める。 ヴォルテージ・フォロワ
VIN
ー
VOUT
+
ヴォルテージ・フォロワは、測定に
より電圧を変化させること無く、電
圧を伝える、一種のバッファの役
割を果たす。 出力電流が足りない場合にも利
用される。
ヴォルテージ・フォロワは入力
電圧をそのまま出力する回路。
それだけなら、ただ入力から出
力に電線をつなげばいいじゃな
いか?いや、実際の測定では、
入力に流れ込む電流によって
電圧が落ちてしまう。 しかし、ヴォルテージフォロワを
使えば、VINの入力インピーダン
スは非常に大きく(数10MΩ)、
電圧を変化させること無く、出力
に伝えることができる。 積分回路 反転増幅回路のフィー
ドバック抵抗R2をコンデ
ンサC2に置き換えると、
コンデンサに蓄えられた
電荷に比例した電圧が
出力されるため、入力電
圧の積分回路になる。
C2
VIN
R1
ー
+
角周波数ωの正弦波に対する増幅率Aは-­‐Z2/
Z1= -­‐(1/jωC)/R=j/ωCRである。ω0=1/CR とす
ると、VOUT=j(ω0/ω)VIN=j(ω0/ω)V0exp(jωt)で
ある。一方、正弦波ψ=exp(jωt)に対して積分
演算∫をかけると、∫ψ=(1/jω)exp(jωt)=-­‐j(1/ω)
ψとなる。すなわち、VOUT=-­‐ω0∫VINと表される。 VOUT
微分回路
R2
VIN
C1
ー
+
VOUT
一方、左は積分回路の反
対で、C1にかかる電圧の
変化分だけがコンデンサ
C1を通り入力されるため、
微分回路になる。 微分回路では、角周波数ωの正弦波に対する
増幅率Aは-­‐Z2/Z1=-­‐R/(1/jωC)=-­‐jωCRである。
ω0=1/CR とすると、VOUT=j(ω/ω0)VIN=j(ω/ω0)
V0exp(jωt)である。一方、正弦波ψ=exp(jωt)
に対して微分演算Dをかけると、Dψ=jω exp(jω
t)=jωψとなる。すなわち、VOUT=-­‐(1/ω0)DVINと表
される。 理想ダイオード回路
ー
VIN
+
ー
VIN
+
ダイオードは完全な整流素
子ではない。順方向0.6Vま
1−100k では電流が流れない。出
力電流は指数関数的に増
加する。 オペアンプを利用すると、
VOUT これらの特性を理想化する
ことができる。 VOUT
1−100k