菅秀太郎先生研修感想文

My dog year in Kyushu University Hospital
菅 秀太郎
1年間という短い期間でしたが九州大学病院 NICU で研修させて頂き、高田
先生・落合先生・山村先生をはじめ諸先生方には大変お世話になりました。犬
の成長は人間の7倍速とのことで、まさに九州大学病院での充実の1年間は私
にとっての dog year でした。
福岡都市圏新生児医療の中心を担う九州大学病院 NICU では同医療圏のみな
らず近隣医療圏からも循環器疾患・外科疾患・血液・代謝疾患などの患者搬送
を受け入れる守備範囲の広い施設です。これまで私自身は搬送する側の施設に
勤務していたので、受け入れる側の施設で働かせて頂いたことは大きな経験に
なりました。他施設との相違で言えば、循環器疾患の患者さんでも新生児循環
器の先生方と一緒に診療し、学ぶことのできる数少ない施設だと思います。ま
た血液・内分泌・神経・腎臓疾患などの各エキスパートの先生方にも気軽に相
談できる環境が整っており、ストレスなく診療に集中できました。
受動的に何かを与えられ教わるというよりは、最善の方法を皆で考える場と
時間を与えて頂けたことは、これまでの受け身の指導では得ることができなか
った経験でした。医療は不確定性、個別性の多い分野で、自動車工場のような
精度管理は不可能であるからこそ、変化に耐えうる九州大学のような施設や医
療者が求められていくのだと思います。
NICU は管理責任者の裁量が大いに反映される職場だと思います。ともすれ
ば独善的になり、自分を見失い、ガラパゴス化すると言っても過言ではありま
せん。九州大学病院 NICU には良い意味で、「独特さ」「クセ」がなく、それは
常に良いものを取り入れて Update しようとするスタッフの先生方の気概と、
変化に対応出来る施設だからこそ常にトップレベルでの医療を提供できるのだ
と思います。同時に、NICU の現場を支えるのは看護師さんです。医師が 24 時
間張り付いて診ることは現実的に不可能です。この1年間、NICU 看護師さん
の気付きで助かったことも多く、丁寧かつ愛情深い看護には感謝の念に堪えま
せん。 この1年間でお世話になったことの恩返しは、同じ新生児医療・小児科医療
で引き続き頑張っていくことだと思っています。この1年間本当にありがとう
ございました。