海外安全対策情報(平成28年1月~3月) 1 社会・治安情勢 (1)30キロ超のインド大麻の押収 1月4日,内務省は,ハトロン州ファルホール行政郡住民の逮捕と30キロ 超えのインド大麻の押収を発表した。 (2)元タジク野戦司令官のISIL参加及び死亡 1月18日,タジク治安当局筋は,ダヴラト・チョロフ元人民戦線野戦司令 官(45歳)がISILに参加し,シリアで死亡した旨発言した。 (3)宗教及び過激派政党・運動関与で271名のソグド州住民を捜査 1月29日,内務省ソグド州支部は,271名の住民を宗教及び過激派政 党・運動に関与した疑いで捜査している旨発表。192名に対して,ISIL 参加容疑で立件し,134人への捜査が開始された。ソグド州からは,285 名(内,妻24名,息子16名,娘27名を含む)がISILに参加し,内3 6名が死亡した。 (4)タジク検事総局のISIL参加者の帰還者数発表 2月8日,タジク検事総局は,2015年におけるシリア及びイラクのIS IL戦闘参加者のタジキスタンへの帰還者数を120名と発表した。 (5)在タジクEU代表部前におけるタジク反体制派への抗議集会の実施 2月17日,在タジクEU代表部前にてタジク若者グループによるタジク反 体制派への抗議集会が行われた。同月20日にも,タジク人青年グループ約7 0名がドゥシャンベ市にあるEU代表部前に集まり,カビーリー・イスラム復 興党党首等のタジキスタンへの引き渡しを要求する抗議集会が行われた。 (6)在タジク・トルコ大使館前でのタジク反体制派に対する抗議集会 2月22日,約60名のタジク人学生グループが在タジク・トルコ大使館前 に集まり,タジク反体制派に対する抗議集会を行った。 (7)ISIL関与の罪によるタジク人女性に対する有罪判決 2月24日,イスマイリ・ソモニ地区裁判所は,ISILへの勧誘及びシリ アでの「ジハード」参加を促した罪により,タジク人女性(34)に対し懲役 13年の有罪判決を下した。同罪によるタジク人女性への有罪判決は初となる。 (8)在ホジャンド市OSCE事務所前でのタジク体制派による抗議集会の実施 2月25日,在ホジャンド市(タジキスタン北西部ソグド州都)OSCE事 務所前にて,タジク反体制派に抗議する集会が実施された。 (9)アフガン武装グループによる越境未遂事件 3月5日,ピャンジ行政郡のタジク・アフガン国境付近において,アフガン 武装グループが違法越境を試み,タジク国境警備隊員1名及び武装グループメ ンバー1名が死亡した。 (10)2016年1・2月の犯罪件数 3月18日,タジク統計局の発表によると,2016年1・2月に報告され ている犯罪は4600件で,昨対比3.6%増加した。 (11)タジク・アフガン国境における襲撃・誘拐事件の発生 3月25日,ダルヴォーズ行政郡内で,アフガン武装集団による襲撃事件が 発生し,タジク人労働者2名が誘拐された。同2名は28日,解放された。 2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向 (1) 内務省発表の2015年(1月~12月)犯罪認知件数の対前年比は以下 のとおり。 (出典「国家統計局発行タジキスタン社会経済情勢2015年1月~12月」) 2014年 2015年 増減比(%) 犯罪認知件数 19,352 21,585 111.5 重犯罪 4,465 5,331 119.4 殺人 107 121 113.1 傷害 124 110 88.7 強姦及び同未遂 58 41 70.7 窃盗 3,630 4,747 130.8 うち侵入盗 516 702 136.0 ひったくり 154 152 98.7 強盗 45 51 113.3 詐欺 2,854 3,511 123.0 乱闘 1,317 1,241 94.2 銃器及び弾薬の横流し - 9 - 薬物事犯 962 928 96.5 汚職 161 172 106.8 誘拐 8 14 175.0 人身売買 25 14 56.0 テロ 12 9 75.0 道路交通安全法違反 1,096 1,115 101.7 上記違反による死傷者数 576 582 101.0 脱税 8 5 62.5 (2) 昨今,ロシア経済の低迷,労働移民による送金額の減少,現地通貨の対米 ドル価格下落等の影響を受けてタジク国内経済は低迷しており,国内の各種 一般犯罪が増加傾向にある。また,当地では急速なインフレが進んでおり, 農産品以外の生活需要品を他国からの輸入に頼る当地国民の経済生活に多 大な影響を与えている。このような中で,タジク政府は雇用創出等の対策に 乗り出しているが,帰国者のための十分な雇用を確保するには至っておらず, 生活苦を背景にした一般犯罪等の増加による治安悪化が懸念されている。 3 テロ・爆弾事件発生状況 特段の事案の発生はなし。 4 誘拐・脅迫事件発生状況 3月25日,タジク・アフガン国境付近において,武装したアフガン密輸グル ープによるタジク人道路建設労働者襲撃事件が発生し,タジク人2名が誘拐され た。同月28日,タジク・アフガンの関係当局と密輸グループとの間で実施され た交渉の後,誘拐されたタジク人2名は密輸グループから解放された。 5 日本企業の安全に関する諸問題 関連情報なし。
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