attraente 「ものづくり」 から 「もの創り」へ attraente ~人を惹きつける製品を開発するには~ 顧客ニーズが多様化し、様々な商品やサービスが溢れる今、ものづくりの 現場では、魅力的な製品を継続して提案していくことが求められています。 人を惹きつける製品を開発するために、開発のプロセスにおいて、 どのような アプローチが必要なのか。本書では、その手法の一つとなる 「デザインマネジ メント」 についてご紹介します。 高い技術から生まれる 「ものづくり」から、開発プロセスに変革をもたらし、 更なる高付加価値化・ブランド化につながる 「もの創り」へ。 新たな可能性に挑戦するための、一助となりましたら幸いです。 経済産業省北海道経済産業局 ※attraente (伊) :魅力的な、人を惹きつける 魅力ある製品開発は難しい 開発プロセスにアプローチして、 魅力ある製品を生み出す手法 デ ザ イ ン マネ ジ メ ン ト とは attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 1 3 この つのSTEPが デザインマネジメントです プロダクト デザイン 製品のつくり込み デザイン コンセプトづくり 開発計画の策定 TE S n g i s attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ P 1 2 e D d an r G P TE S 2 グランド コミュニケーション デザイン コンセプトに基づく 販売戦略 S n g i s P TE e D n 3 o ti a c i n u m m o C n g i s e D t c u d ro P プロデューサーの仕事を知りたい方は ▶ 次ページまたは16ページへ 実践している企業の事例が知りたい方は ▶ 6ページへ 先にデザインマネジメントを学びたい方は ▶ 18ページヘ attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 3 INTERVIEW プロデューサーインタビュー コンセプトの共有から始める ブランディングとものづくり 出すのであればチラシや POP も必要 になります」というように、販売戦略 に関することも、最初にお話して進め ていきました。 ―― ブランディングで大切な「コン セプト」と「ネーミング」 新製品の開発にあたり、 「新しい分 野に挑戦したい」という希望に沿って、 まずは鋳物の可能性について議論をし ました。鋳物の持つ機能性から一旦離 れ、木や革など他の素材にはない質感、 鋳肌の表情や重量感を生かして、どの マーケットを狙うのか話し合いました。 また、同社では「趣味性の高いもの」 を作りたいという思いがありました。 これまでに製品化した鍋を始めとする 調理器具は実用的で女性向けが多い分 野です。一方、鋳物は男性的なイメージ 下川 一哉 のある素材ですので、むしろ男性向け の「趣味性の高い製品」を開発する方 が良いのではないかという話になりま Kazuya Shimokawa した。そこで、 「大人の男が使う本物の 1963 年、 佐 賀 県 生 ま れ。1988 年、 早 稲 田 大 “ 鋳物 ” の道具」 をテーマとし、その特長 学政治経済学部経済学科卒業。同年、日経マグ ロウヒル株式会社(現・株式会社日経 BP 社)入 社。日経イベント編集、日経ストアデザイン編 集などを経て、1994 年に日経デザイン編集に配 属。1999 年より副編集長。2008 年より編集長。 2014 年 3 月 31 日に株式会社日経 BP 社を退社、 4 月に株式会社意と匠研究所を設立。 を明確にするため、次のような製品特 性を持たせることを目指しました。 ①十分な機能性を備え、使い手が長く 付き合える道具 ②シンプルで手触りが良く、高級感の ある道具 4 ③木製品・革製品・陶磁器などにはな ―― 鋳物企業の新製品開発の取組 るため、三重県の補助事業を活用した い、鋳物本来の良さを十分に発揮し デザインプロデューサーという立場 ことが、同社との出会いとなりました。 ている道具 で製品開発に関わった、桑原鋳工(株) 事業を始める際、最初に社長から「新 の「IMOJI(鋳物師 / いもじ)」の事例を しいことに挑戦することが 2 代目の使 ④製品の色は、鋳肌の黒と、磨きで出 てくる鉄の地色のみ ⑤発展形として、鋳物と木材の鋳込み ご紹介します。 命。自分の代に新しい事業の柱を作る」 三重県桑名市にある同社は、元々は、 というお話があり、メンバー全員で「新 鋳鉄製マンホールのふたなどの鋳造・ しい事業の柱となる製品を開発する」 と 加工を行っている会社です。これまで、 いう目的を共有してスタートしました。 プロジェクトを進めるときは、この 一般消費者向けの調理器具を製品化し 更に、「ブランドを作りたい」という ように始めにコンセプトを明確化し、 ており、デザイン性のある鋳物製品に 希望をお持ちでしたので、 「ブランディ チームで共有することで、その後の作 必要となる技術をお持ちでした。その ングには、製品、製品名、ロゴマーク、 業においてもぶれがなくなります。 技術力を活かし、新たな製品を開発す パッケージが必要で、さらに展示会に 議論の過程で、ものづくりの現場と attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ による組み合わせも検討する 桑原鋳工株式会社 三重県桑名市にある昭和 34 年創業の鋳物会社で、主に上下水道用鋳鉄製マンホールふた等を製造。 「IMOJI」は「大人の男が使う本物の “ 鋳物 ” の道具」をコンセプトにした、鋳物の重厚感と鋳肌の美しさ を生かした大人のステーショナリー。名刺入れとトレイ(大小 2 サイズ)の2アイテムを製作。鋳物師 (い もじ)とは鋳造を行う職人の呼び名で、その歴史と造り手の思いを込めて、「IMOJI」と命名。 なる工場も見学させてもらいました。 のデザインを考えてくれました。 にはスピードを重視することが多く、 現場を見て、話を聞くことで、新しい 次は試作です。試作とは、完成形を それには3Dプリンターが力を発揮しま 発想が生まれます。このとき出てきた 目に見える形にすることです。それに す。製品開発では、早い段階、例えばア “ 鋳物師(いもじ)” という言葉も「これ より、次にすべきことが明らかになり イディア段階からラフなものでいいの はいいね」ということになり、ネーミ ます。 で「見える化」し、メンバーで共有した ングを決めるきっかけになりました。 実際に作ってみなければわからない り、開発の方向性を確認することが大 早 速、J-PlatPat( 特 許 情 報 プ ラ ッ ことが結構あるものです。例えば、今 切になります。そういう使い方であれ トフォーム)のデータベースを使っ 回のケースでは、トレイを重ね合わせ ば、廉価版でも充分に対応が可能です。 て 商 標 登 録 を チ ェ ッ ク し た と こ ろ、 ることができるように設計したはず 最終的に「IMOJI」は、鋳物であって 「IMOJI」は誰も登録していないことが が、うまくいかず、設計を変更しまし も佇まいの清らかさを追求し、構造を わかりました。商標は難しいと思いが た。本物の「男の道具」と言っているの シンプルにしました。一方で、線が細 ちですが、今はインターネットで検索 に、立派な万年筆を入れてみると重ね いことから、製造には高い技術力を要 ができ、リスクを排除して進めていく ることができない。本当は最初に気づ 求される形になりました。ただ私は、 ことができます。 いていなければならないのですが、試 桑原鋳工の職人と工場設備であればで 私がプロデュースするプロジェクト 作して実際に触れて試してみて分かる きると確信していました。 では、ブランディング、ネーミング、商 ことも多いのです。 標登録のチェックは一体だと考えてい もう一つ大切なこととして、現場で ―― デザインプロデューサーの役割 ます。 は開発する製品を自分たちの技術力で デザインプロデューサーの役割は、 ―― 早い段階で完成形を「見える化」 作れるかどうかを早く知りたいと思っ 製品としてまとめていくプロセスを ていました。 「今まではこんなに薄く、 遂行することだと思います。限られた ここから、いよいよ作るものを具体 細く作ったことはないけれども、それが 時間と予算の中で製品開発からブラン 化していきます。 できるのか。 」 という不安がありました。 ディングまで到達させるためには、支 製品については、男性が自分のデス そのため、今回は、砂型鋳造法を使い、 援機関や専門性の高いデザイナーが適 クトップにものを収納する際、最低限 実際の製造工程で試作を行いました。 切な役割分担で進められるよう、優先 必要となるものは名刺入れとトレイで 試作する場合、デザインを確認する 順位を明らかにしていくことが重要に はないかと考え、この 2 アイテムに絞り だけではなく、本当にできるのかを確 なります。また、開発に関わったメン ました。トレイはデザイナーがモジュー 認するのであれば、今回のようにリア バーを育てていくことも大切な役割だ ル化の考え方を持ち込んで、大、小二つ ルなやり方がいいと思いますが、実際 と感じています。 ▲「IMOJI(鋳物師)」 のロゴマーク ▲ 組み合わせて配置したイメージ ▲ 完成した「IMOJI」 の名刺入れとトレー attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 5 デザインマネジメントで、 企業イメージを再確認 CASE 事例紹介 01 インライン ベーラ (牧草梱包機) 01 牧草や稲ワラを収穫する「ベーラ」を、海外向け に開発。機械化が進んでいない国や小規模農家 に適応できるよう、ベール(四角い牧草のブロッ ク)が人の手で運べるサイズになっています。農 作業の効率だけでなく、デザイン面も重視した 製品です。 02 デ ザインマネジメントに取り組み 始めたきっかけ 03 チーム内での意識共有 今 回 の 開 発 は「 S p i r i t 」 「Speed」 当社は、トラクタ用の農業機械を開 「Simple」をキーワードに、従来であれ 発・製造・販売しているメーカです。 ば2年程度かかっている開発期間を8ヶ 牧草収穫用の農業機械、特にその中で 月で完成させることを目標にスタート もベーラ(牧草梱包機)が主力商品で、 しました。デザインについては、従来 近年海外への販路拡大を図っています。 の「本体の設計が出来上がってから、 「インラインベーラ」 という製品は、ト その外側にカバーを付けて体裁を整え ラクタの真後ろ(インライン)で牧草を る」という流れではなく、初期段階か 拾い上げて排出する構造のベーラです。 ら「機能とデザインが両立した設計」 一般的にはトラクタの右横で牧草を拾 を検討できるよう、チーム内での意識 い上げる構造のベーラが多いのですが、 共有に時間をかけました。デザイナー インラインの方が作業効率が良いた には全てのプロジェクト会議に出てい め、海外市場向け製品として力を入れ ただいて製造工程を理解いただく一方 たいと考えていました。そこに外観やデ で、こちらもメンテナンスのしやすい ザインという付加価値を付けて、海外 内部構造について情報を提供する等、 の富裕層のお客様が「購入したい」とい デザインを丸投げすることなく、意見 う気持ちになる製品を目指しました。 を出し合いながら進めました。 従来の製品は、農業機械の重要な機 また、海外子会社である上海スター 能である性能・耐久性ありきで、コスト と共同開発することも今回のテーマで を抑えたものだったため、デザインを重 した。上海スターは当社の子会社です 視して設計する機会がなかなかありま が、製品開発のノウハウがなかったの せんでした。そこで(地独)北海道立総 で、仕事の進め方をすりあわせるとこ 合研究機構 工業試験場に相談し、 (株) ろから始まりました。ホワイトボード ファシオネの登 豊茂男氏をご紹介いた に表を作って項目毎に、時にイメージ だきました。 画も書きながら、「いつまでに」 「誰が やる」という細かいところまで共有し、 「IHI スターの会議はこう進める」とい 6 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ Company Profile 株式会社IHIスター 所在地:千歳市上長都 1061-2 TEL:0123-26-1123(本社) 代表者:代表取締役社長 青 稔 資本金:5 億円 設立:大正 13 年(1924 年) 主要事業:牧草収穫機・畑作用作業機等の 農業機械の開発・製造・販売。 URL:http://www.ihi-star.com/ 04 05 う会議の進行を実践しました。市場調 ベーラのカタログではシルバーを取 査や、試作部品の確認も一緒に行うな り入れ、製品イメージと統一したもの かで、上海スター側も試作機を作る楽 に仕上げました。海外に 100 部単位で しさを理解して、積極的に参画するよ 持っていくことも考慮して、コンパク うになりました。 トでメンテナンスし易く作っています。 デザインと製造工程のすりあわせ 企業イメージが反映された製品 初の段階から外形デザインを検討いた を取り入れることによって、何度も当 だきました。というのも、単に「カッコ 社のイメージについて議論を重ねるこ 良いデザイン画」が出てきても、実際 ととなりました。その結果、インライ に製造できなければメーカとしては採 ンベーラは開発者の想いとともに、企 用できません。段ボールやベニヤ板を 業イメージを反映した製品になりまし 使用したモックアップ(模型)でのイ た。アクセントとなったシルバーは、 メージ作りや、加工工程の確認もして 後発の製品にも展開されています。 いただいたおかげで、採用したデザイ 当初の計画通り、8 ヶ月で製品が完 ン画とほぼ近いイメージの製品を完成 成したことと、社外の組織と共同で仕 させることができました。デザイナー 事を進められたことは、開発担当者の が開発に加わったことで、いい意味で 自信につながっていると思います。今 「農業機械らしくない」製品に仕上がっ 回の開発で得られた成果が、次につな (株)ファシオネには製品設計の最 ています。特に、外形上のアクセント 今回の開発では、デザインの考え方 がる事を期待しています。 として製品にシルバーのラインを取り 代表取締役社長 青 稔 氏 Designer Profile 登 豊茂男 Tomoo Nobori 株式会社ファシオネ 代表取締役 1966 年生まれ。フジテック株式会社にて、 国内外のエレベータープロジェクトに 20 年 間携わり、2003 年、札幌駅南口開発プロ ジェクト(現 : ステラプレイス、JR 日航ホテ ル)を最後に引退、独立。1 年の個人事業主 期 間 を 経 て、2005 年 に「 有 限 会 社 TOMO NOBORI DESIGN」を 設 立。2006 年、 イ タリアカーデザイン事務所に 1 年間師事、 2009 年に「株式会社ファシオネ」に改称。 2011 年にレーシングチームのカーデザイン を担当。単に製品の色、カタチを整えるだ けではなく内部の技術設計も並行しておこ なうデザインエンジニアリングの手法でモ ビリティーや、家電、LED 照明などの工業 製品、医療器具、布団、家具、その他、手 がけた製品は幅広い。多方面で活躍する人 材をパートナーとして登用し、多様な情報 を集積しながら、「もの」を通して様々な社 会問題に向きあう「ソーシャルものづくり」 を得意とする。 入れた部分は、当社だけでは発想でき ませんでした。 企業イメージを意識したカタログづくり 製品を売る上では、ポスターやカ タログも大事な要素です。インライン 01 02 03 04 05 実際の農作業での使用の様子 プロジェクト会議の様子 メンテナンスし易い構造を意識して開発 キックオフ会議での集合写真 ほぼデザイン画の通りに製品が完成した attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 7 デザインマネジメントで、 ビジネスモデルを転換 CASE 事例紹介 02 ディンプル シェード (業務用内装材) 「ディンプルシェード」は、セラミック系人造木 材板(不燃材料)に特注の NC ルータで彫刻を施 した内装用のデザインパネルです。商業施設な どの内装を「希望の表現」で形作ることができ、 価値ある空間装飾の実現が可能です。 01 デ ザインマネジメントに取り組み の開発をスタートさせました。 当社は元々、自社でデザイン・設計・ 自社の強みを活かせる戦略づくり 始めたきっかけ 制作・納品を手掛ける看板業者でした が、時代の変遷の中で、商圏から遠い釧 てきたデザイン性を活かし、他社と差 路という立地でもビジネスが成り立つ 別化できる「パターンオーダー」と、経 「付加価値の高い製品」や「オンリー 験の浅い営業マンでも販売可能な「カ ワンでできること」を模索し、業務用内 タログ販売」を目指しました。 装材「ディンプルシェード」を開発しま 最初に検討したのは、顧客となる建 した。 築士やデザイナーに、「使ってみたい」 当初、業務用内装材は、NC 加工技術 と思ってもらうためにどうするかとい を習得した社員が珪酸カルシウム板を うことでした。業務用内装材はデザイ 一つ一つ手作業で浮き彫り加工をして ン性が高く、見た目が大切な製品です。 いました。優れたデザイン性から製品 そのため、形状や寸法・材質といった に対する評価が高まる一方で、受注の 「製品仕様(スペック)」ではなく、自然 度にデータを受け取り、試作をしてか をモチーフにした「イメージ」を重視 ら製造に入るため、完成までに時間を して製品の魅力を訴求する方向性が早 要することと、作り置きできないこと い段階で決まりました。 で高コストとなり、さらに競合他社が この考え方が、製品デザインやプロ 出現するといった課題も出てきました。 モーションの基本戦略になりました。 (地独)北海道立総合研究機構 工業試 験場(以下、道工試)に、「より広い市場 から受注を取れる製品を開発したい」と、 8 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 開発にあたっては、これまで蓄積し 技術の肝の発見 パターンオーダーに対応する製品を 具体的な相談をしたのは 2009 年の春。道 開発する上で課題となるのは、様々な 工試の日高 青志氏と、デザイナーの佐々 パターンを効率良く生産する方法で 木 賢氏を交えたデザインチームを組織 す。加工時間はコストですので、いか し、業務用内装材「ディンプルシェード」 に機械の動きを最小限にして、意図し Company Profile 日の出工芸株式会社 所在地:釧路市鳥取南 8 丁目 14-8 TEL:0154-51-1616 代表者:代表取締役 三輪 昌博 02 資本金:2,000 万円 設立:昭和 47 年(1972 年) 主要事業:不燃の内装用装飾材製造、薄型 LED サイン製造、サインデザイン、屋内・ 屋外広告物、施工、OEM 製造 URL:http://www.hinode-gr.jp/ 03 04 たデザインに仕上げることができるか の重要なポイントでした。看板業が主 がポイントとなります。 力だった頃は、取り付け作業は自社で 開発当初は効率的な生産方法を探す 対応していましたが、メーカーとして のに苦慮しましたが、試行錯誤の末、 製品を納める側になると、取り付け作 「刃物の形状 × パス(刃物の軌跡)」が 業は製品を購入した業者が行うことに 技術の肝であることにたどり着きまし なります。業者が確実に取り付けられ た。この「刃物の形状」と「軌跡」の組 るようマニュアルにも様々な工夫をし み合わせを工夫することで様々なデザ ています。 インを短時間で加工できるようにな り、パターンオーダー化に向けた技術 ベースが完成しました。 販売戦略の工夫とその効果 受注生産から提案型ものづくりメー カーへ 以上のような取り組みを通じて当社 は、ビジネスモデルの転換に成功しま 販売開始にあたっては、カタログ制 した。顧客の予算に応じて、従来から 作に時間と手間をかけました。売り の強みを活かした受注生産と、パター 込みの際、営業マンが顧客と円滑なコ ンオーダーを使い分けられることが他 ミュニケーションを図れるよう、製品 社との差別化につながりました。2 年 の写真を接写で撮影して掲載するな 前には自社デザイナーも採用し、“ 提 ど、誰が見てもイメージしやすい質の 案型ものづくりメーカー ” として次々 高いカタログに仕上げています。 と新製品を生み出しています。今後も これによって入社 1 ~ 2 年目の社員 看板業ではできない製品に挑戦してい でも営業が可能となり、受注先の拡大 きます。 代表取締役 三輪 昌博 氏 Supporting Organization 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 工業試験場 所在地:札幌市北区北 19 条西 11 丁目 TEL:011-747-2377(デザイン・人間情報グループ) 道内企業のための産業支援機関として、技 術開発、商品開発をサポートするために、 技術相談や技術指導といったサービスの提 供や、試験研究を行っています。 「製品技術部」 新製品開発のためのデザインや設計・評価 技術および高品質・低コスト化のための加工 技術や生産技術について、技術支援を行い、 快適で安全な生活環境の実現に向け、健康福 祉機器開発などの支援を行っています。 またデザイン・人間情報グループでは主 に、工業製品に関わるデザイン開発、人間 情報応用に関る支援を行っています。 につながりました。最近では提案段階 から 3D データで完成イメージを出せ るようになり、カタログ販売と受注生 産の割合が半々程度になっています。 またマニュアル化も、販売戦略上で 01 02 03 04 内装用デザインパネル ディンプルシェード 特殊塗装の様子 自然をモチーフにしたイメージでカタログを作成 LED サイン G-Style attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 9 デザインマネジメントで、 新たな雇用を創出 CASE 事例紹介 03 02 abonet(保護帽) アボネットは頭部保護帽の機能性とファッショ ン性を兼ね揃えたオシャレで頼もしい帽子。病 気や発作で転びやすく頭を守る必要の有る方、 遊び盛りのお子様やお年寄りの方、また頭をぶ つけやすい工場にお勤めの方々に広く愛用され ています。高い機能性と品質を評価され、グッ 01 トデザイン賞を二度受賞しました。 デ ザインマネジメントに取り組み 社内デザイナーがいるからできること ンツールにも力を入れています。製品の 森室長の入社によって最初に変わっ 価値を伝えるためには、伝達手段にも配 「アボネット」は元々、障がい者の頭 たのは、当社の縫製部門のスタッフと、 慮する必要があるとの思いからです。 部保護など福祉向けに開発した保護帽 産学官プロジェクトで協力いただいて で、現在は冬道転倒時の頭部保護など いる外部デザイナーとのコミュニケー 一般向けにも販路を広げています。開 ションでした。デザインができあがって 発のきっかけは、従来から当社で製造 も、 「デザイン画通りの縫製が可能か? 「アボネット」は、シリーズで年間 1 していた保護帽のデザイン性を高める できなければどこを修正するのか?」と 万個を販売するまでになりました。開 ための産学官プロジェクトに取り組ん いうすりあわせが必要になります。森室 発当初は 2~3 名だった縫製部門も、現 だことでした。 長が双方の事情を理解し、プロデュー 在は 12 名体制に増強しています。営業 機能重視の帽子とはいえ、「おしゃ サー的役割を担ってくれたことで、製品 部門にもデザインを学んでいた人材 れではないために、街中で被れない」 化までが格段にスムーズになりました。 を採用するなど、アボネットの開発が という課題に突き当たり、「服飾デザ また、森室長は、お客様からの相談が きっかけで、仕事の進め方が変わり、 イナーの力を借りよう」ということで あれば、営業担当と一緒に全国どこで 必要となる人材が変わりました。森室 紹介されたのが森 久見子氏(現・商品 もヒアリングに出かけ、製品デザインに 長を補佐するために、新たな服飾デザ 企画室長)でした。製品デザインが洗 反映します。当初は病院の介護スタッフ イナーを採用する予定にもなっていま 練されたものに変わっていくのを目の からの要望が中心でしたが、最近はドク す。今後もこの流れで製品開発を続け 当たりにして、「我が社にはデザイン ターからの相談も増え、これまで考えて ていきたいと考えています。 を専門に担当するスタッフが必要」と もみなかった要望を受けるようになっ いうことを強く実感し、森氏を当社に てきました。 迎えることにしました。 さらに、近年はカタログやチラシ、 始めたきっかけ パッケージといったコミュニケーショ デザインマネジメントから生まれた 新たな雇用 01 abonet GUARD は前頭部の保護を重視しています 02 製品開発の打ち合せの様子 03 代表取締役社長 池田 啓子 氏 Company Profile In House Designer 株式会社特殊衣料 森 久見子 Kumiko Mori 所在地:札幌市西区発寒 14 条 14 丁目 2-40 TEL:011-663-0761 代表者:代表取締役社長 池田 啓子 資本金:4,000 万円 札幌のアパレルメーカーで約 20 年婦人服の企画・デザイン・パターン・ 生産管理等の商品作りに携わる。ファッションデザイン専門学校でアパレ ルデザインの講師勤務を経て、平成 16 年特殊衣料に入社。 設立:昭和 56 年(1981 年) 主要事業:リネンサプライ(病院、施設)、清掃(病院、 施設) 、福祉用具( (1)オリジナル商品の開発、(2)福 祉用具の製造(自社商品と OEM 商品) 、 (3)福祉用具 のレンタル・住宅改修、(4)福祉用具の販売) URL:http://www.tomoni.co.jp/ 10 03 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 株式会社特殊衣料 商品企画室長 【受賞歴】 ・さっぽろモードコンペティション北海道知事賞 受賞 ・さっぽろモード大賞 受賞 ・日本ファッション新人クリエイター特別賞 受賞 ・第 2 回ものづくりスペシャリスト ものづくり新技術・技能部門最優秀賞 受賞 デザインマネジメントで、 技術力が向上 CASE 事例紹介 04 02 新型カーポート 従来、鉄製のカーポートは強度は高いものの、 アルミ製に比べると武骨で、デザイン性に劣る 面がありましたが、当社が開発した新型カーポー トは、 「鉄」の特徴である強度を最大限に活かし ながらも、アルミ製に劣らないデザイン性を実 現し、昨今のシンプルモダンな住宅デザインと 03 01 も調和が図れる製品に仕上がっています。 デ ザインマネジメントに取り組み もここまでできる」ということを示す は販売に向けて、「カーポートライフ」 フラグシップモデルを目指しました。 という切り口をユーザーに理解しても 当社はカーポート等の住宅資材を製 まずは、カーポート付きの住宅を見 らえるような商品名やパンフレットを 造・販売しています。自分たちの技術 て回りながら、自社製品の優位性を知 検討する予定です。 への自信はありますが、製品のデザイ るためのポジショニングマップを作 ン性については長年の課題でした。外 り、ターゲットとする顧客や価格帯に 注しようと考えたこともありました ついてイメージを固めて、カーポート が、「絵を描くだけで終わり」のデザイ によって豊かな暮らしを実現するとい 課題にぶつかっても妥協せずに、社員 ナーには違和感があり、本格的には取 う思いを込めた「カーポートライフ」 全員が納得し、自信を持って販売でき り組めずにいました。そんな状況を(一 を開発コンセプトとしました。 る製品が開発できました。特に、メン 社)北海道機械工業会に相談し、派遣 製品デザインで特にこだわったの バーで議論した事がパイプの新しい工 された技術アドバイザーの高橋尚基氏 は、徹底的にボルトを無くすことです。 法の開発等、技術力向上につながった の考え方や専門性が求めていたものと 柱部分のパイプ形状に行き詰まったこ ことは想定以上の効果でした。 合致したため、新型カーポートの開発 ともありましたが、試作と議論を繰り また、「アイディアの抽出手法」を学 にご協力いただくことにしました。 返し、新しい工法を開発することで実 ぶことができ、社内で議論することが 現できました。また屋根に使用する透 普通となりました。今後も議論を通じ 始めたきっかけ コンセプトにもとづいた製品開発 社内の議論がきっかけで技術力が向上 高橋氏が入り込んでくれたことで、 明のポリカーボネートも、曲げ技術に て目標を共有し、 課題解決を諦めない 開発にあたって全員が共有した思い よって、より薄い部材に強度を持たせ 姿勢で、ものづくりに取り組みたいと は、「鉄製カーポートのイメージを変 ることに成功しました。 思います。 えたい」ということでした。スタイリッ 開発がある程度進んだ段階で内覧 シュなカーポートはアルミ製が主流で 会を開催したところ、販売店やハウス すが、鉄が持つ強度を活かして「鉄で メーカー等の反応は良好でした。今後 01 開発した新型カーポート 02 製品開発の打ち合わせの様子 03 代表取締役 山崎 三朗 氏 Company Profile Supporting Organization 株式会社ショーワ 一般社団法人北海道機械工業会 所在地:石狩市新港東 2 丁目 4 番地 8 TEL:0133-62-5611 代表者:代表取締役 山崎 三朗 資本金:2,400 万円 設立:昭和 63 年(1988 年) 主要事業:カーポート、雪止柵、融雪機の製造・販売 URL:http://www.showa33.com/ 所在地:札幌市中央区北 1 条西 7 丁目 3-2 北一条大和田ビル4階 TEL:011-221-3375(代) 北海道の産業経済発展の一翼を担う業界団体として、道内機械工業とその 関連産業の発展を図るための事業を展開しています。 「技術力の向上対策事業」 会員企業の技術力を高め、 新製品の開発や新分野への進出を支援するため、 専門家による指導チームを編成して希望企業に派遣し、現場における機械設 備や生産管理、作業状況等についての具体的な技術指導を行っています。 ※本事例のアドバイザー派遣は、厚生労働省緊急雇用創出推進事業「地域人づくり事業」によ り、北海道が(一社)北海道機械工業会へ委託して実施したものです。 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 11 デザインマネジメントで、 社員のモチベーションが向上 CASE 事例紹介 05 02 icoro (自然対流式アルミ パネルヒーター) icoro はトイレや窓下に設置することにより、ヒート ショックや結露抑制を図ることができる補助暖房器 具です。低電力、安全、持ち運び簡単な上、冷気を 01 押し上げて対流させ、室内温度の均一化を図れます。 03 デ ザインマネジメントに取り組み 内だけではどうしても開発者側の発想 試作がある程度進んだ段階で、近隣 になってしまい、自己満足に陥ってい の約20名の方に協力していただきユー 当社では「マルチヒーター」という た面がありました。 ザーテストを実施しました。シンプル 窓の結露を防止するヒーターを製造・ まず、高橋氏の勧めで、東京で行われ なデザインや、わかり易い操作が好評 販売しています。 た家電の展示会を見学し、世の中で受 だった反面、持ち手が欲しい、スイッ 冬になると急激な温度差が原因で け入れられているデザイン性の高い製 チは2つあった方がいい、といった改 身体に大きな負担がかかる「ヒート 品を勉強しました。そのうえで、自分た 良点も見つかりました。 ショック」と呼ばれる現象が起こりま ちが開発したい製品について議論し、高 す。主に高齢者が、トイレやお風呂で 齢者がトイレで使用することを想定し 始めたきっかけ 社 員のモチベーションが向上 転倒により負傷したり、場合によって て、「低電力で、安全安心に長く使って は亡くなることもあります。これを予 もらう」ことをコンセプトとしました。 れることもあったので、社内の空気に 防するためにマルチヒーターの技術を 開発は、早い段階から試作を繰り返 活気が出てきました。タジン鍋型デザ 活かしたトイレ用ヒーターを開発した し、改良点を確認しながら進めていき インは、社員の意見が元になっていま いと考えたのがきっかけでした。 ました。高橋氏が設計面で難しい要求 す。また、製品に合う部品を探すため、 製品化するにあたってデザイン性が を出してくれたことで、妥協すること 何件もの問屋に問い合わせたこともあ 不足していると感じ、デザイナーの高 なく良い製品を生み出すことができた りました。自分達で考えながら、一つ 橋尚基氏の力を借りることにしました。 と思います。例えば、空気の対流を促 の目標に向かって真剣に進む経験がで すタジン鍋のような形状ですが、同じ きたことは、次の機会にも必ず役立つ 形の部品を6個組み合わせることで作 と考えています。 使 用者の立場にたった製品開発 高橋氏に開発の場に入ってもらって り出すことができます。見た目も優れ 最初に気付いたのは自分たちに「お客 ていますが、量産化や生産コストにも 様視点」が欠如していたことです。社 考慮したデザインです。 今回の開発では社員の意見が採用さ 01 パネルヒーター「icoro」 02 商品コンセプト出しの様子 03 代表取締役 中川 富雄 氏 Company Profile Designer Profile 株式会社ナカガワ工業 高橋 尚基 Naoki Takahashi 所在地:恵庭市大町 2 丁目 4 番 1 号 TEL:0123-32-6111 代表者:代表取締役 中川 富雄 資本金:1,000 万円 設立:平成 3 年(1991 年) 主要事業:小型家電製品・省電型補助ヒーター(窓面・ 足元の補助暖房)及びオルゴール・万華鏡製品の製造 及び販売 URL:http://nakagawakougyou.net/ 高橋尚基デザイン事務所 代表/工業デザイナー/商品開発コンサルタント 1973 年北海道滝川市出身。 大学卒業後、日本鉄塔工業株式会社入社(東京都)。 営業部門にて製品企画・デザイン開発・提案型営業 企画に従事。2001 年道内企業のデザイン開発を志 し、U ターン。高橋尚基デザイン事務所設立。以来、 ものづくり企業を中心に企画、コンセプト、製品デ ザイン開発から企業 CI 媒体開発、地域特産物にお けるデザインディレクション等幅広い分野で道内中小企業をサポートする。 ※本事例のアドバイザー派遣は、厚生労働省緊急雇用創出推進事業「地域人づくり事業」 により、 北海道が(一社)北海道機械工業会へ委託して実施したものです。 12 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ デザインマネジメントで、 製品開発プロセスを転換 CASE 事例紹介 06 02 Advance Pro (食品卸向け パッケージシステム) 食品卸売業向けの品質管理保持期限の管理機能 を有し、顧客からの問い合わせへの対応や事務 作業の効率化・物流コストの削減等を可能にし 03 01 たパッケージシステムです。 デ ザインマネジメントに取り組み るために、デザイナーに協力いただく 術的な面から、その機能が付加できる ことにしました。新しい製品開発のコ か判断できます。意見を出し合いなが 当社は食品卸向け物流システムが主 ンセプトは「人に優しく心地よさを生 ら決めていく中で、新しいものをつく 力製品です。製品としてはすでに完成 む UI と機能を充実させて、顧客満足度 る議論の楽しさも感じられました。 しており、機能等の見直しは不要と考 を高めることにより、笑顔あふれるオ えていました。「パンフレットなどの フィス環境を創造する」としました。 “ 見た目 ” のところで支援してもらえ 追加機能を検討する際には、コンセ たら」という思いで、(一財)さっぽろ プトを念頭におきつつ、「こういうも ことで、議論の回数が増えました。「誰 産業振興財団(以下、さっぽろ財団)の のが欲しかった」という使用者の “ ウォ かが代表で考えて指示して進める」とい 事業に応募したのがきっかけです。 ンツ ” を捉えることが重要でした。 う従来のやり方から、「全員の合意を得 使用者が正常に色を識別できる人だ た段階で次に進む」というやり方に変 けとは限らない、ということを開発時 わっています。対立した意見が出た場 デザイナーと話すうちに、製品を開 点で想定できれば、画面表示で選ぶ色 合も排除せず、オプション設定やカス 発する際の考え方やコンセプトを追求 彩が変わります。開発者本位で考える タマイズで対応するようにしました。 しなければ、“ 見た目 ” も十分に検討 と、製品の機能は他社とあまり変わら 現在もシステムの開発は続いており、 できないことに気づきました。 ないものになりますが、「お客様視点」 その内容については、社内で情報共有 実は、対象のシステムはリリースか を取り入れることで、今までになかっ しています。担当ではなかった人にも ら 10 年経過していたため、ユーザーイ た発想が出てくるようになりました。 考え方を理解してもらい、今後の開発 ンターフェース(UI)や開発環境を また、開発のメンバーには、営業と 案件にも役立てたいと思っています。 今の実情に合わせる必要がありまし システムエンジニア(SE)双方に入っ た。そこで、製品のコンセプトを再確 てもらいました。営業はお客様から直 認し、機能面のリニューアルを検討す 接ニーズを聞いていますし、SEは技 始めたきっかけ 「人 に優しい」製品開発 開 発プロセスに現れた変化 さっぽろ財団の支援事業を経験した 01 販売管理システム「Advance Pro」の操作画面 02 製品開発過程の様子 03 代表取締役社長 髙澤 幹雄 氏 Company Profile Supporting Organization 株式会社アイパス 一般財団法人さっぽろ産業振興財団 所在地:札幌市中央区南 1 条東 3 丁目 10 番 13 号(本社) 東京都中央区湊 3 丁目 5 番 10 号 セントラル新富町ビル 5F (東京オフィス) TEL:011-241-8601(本社) 代表者:代表取締役社長 髙澤 幹雄 資本金:3,000 万円 設立:平成 9 年(1997 年) 主要事業:■コンサルティングサービス/システム導入時の調査・分析、コン サルティング、システム提案 ■システム構築サービス/設計、スケジュール管理、 導入計画、オペレーション始動、運用管理 ■システムソリューションサービス/ インターネット、グループウェア、ナレッジサーバ、データウェアハウス■シス テムサポートサービス/ヘルプデスク、リモートメンテナンス、緊急時対応 URL:http://www.ipas.co.jp/ 所在地:札幌市白石区東札幌5条1丁目 1-1 TEL:011-820-2062 したい を支える相談場所。 ビジネスに関するさまざまな「したい」を「できる」に近 づけるため、あらゆる方法でお手伝いします。 「デザイン活用型製品開発支援事業」 札幌市内の中小企業のブランド力を高めて、価格競争 に陥らない売れる製品開発を支援するため、マーケティ ングやブランディングなどの専門家を派遣する他、ワー クショップ等を開催します。 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 13 Column 01 北海道発 EV の 開発 01 北海道発 EV は、(独)中小企業基盤整備機構 北海 道本部の統括管理のもと、道内の中小企業 8 社が 連携して開発を進めてきた寒冷地仕様の電気自動 02 車です。 「北海道発 EV」は、北海道の中小企 発足しました。 ネージャーとして工程管理を担ったこ 業 8 社が、北海道ならではのものづく 研究会では日本国内で寒冷地仕様 とも、開発が上手くいった要因でした。 りを目指して試作した寒冷地仕様の電 EV の開発実績がないことと、北海道 今回の実績は、今後遠隔地の企業間 気 自 動 車(EV)で す。2016 年 1 月「 札 の特に過疎地域や離島において、ガソ で連携する際の先行事例として他業種 幌モーターショー 2016」でお披露目さ リンスタンド数が減り、ガソリン価格 でも応用できると期待されています。 れ、翌日の新聞紙面を沸かせました。 も高いという現状を踏まえ、「積雪寒 モーターショーでの展示後に実施 雪道での安定走行を実現するために 冷地で通年利用できる EV」を開発コ した雪道走行試験では、前輪内部モー 前輪の内部にも駆動モーターを内蔵し ンセプトにして、2014 年から開発を ターの回転力不足などの課題が明らか ているほか、北方住宅向け断熱材や、 スタートしました。 になりました。新たな道内企業の参画 次世代ヒートポンプシステム等、寒冷 今回の開発に参画した企業 8 社は、 も進めながら、実用化に向けた改良を 地ならではの技術的な工夫が詰め込ま 札幌市・北見市・室蘭市・北斗市と全 進めていきます。 れています。 道に分散しており、地理的課題があっ 2013 年春、(独)中小企業基盤整備 たものの、各社が役割分担の上、主体 機構 高田 坦史理事長が来道した際 性を持って意欲的に進めた結果、約 2 に集まった企業が、 「北海道らしい “ も 年で試作品完成に漕ぎ着けました。 のづくり ” を目指そう」との考えで一 車体デザインを担当した(株)ファシ 致したのがきっかけとなり、研究会が オネ 登 豊茂男氏が、プロジェクトマ 01 北海道発 EV は札幌モーターショーでお披 露目となった 02 開発メンバーの集合写真 デザインマネジメントを活用した道外の事例 東京ビジネスデザインアワード受賞者から事例をご紹介します。 太洋塗料株式会社「マスキングカラー/ Masking 14 新たなターゲットを設定して 新市場開拓に成功 ザーの創造性を活かせる、塗って " はが 太洋塗料(株)は、建築・工業・路面 せる " 塗料」という提案をもとに研究開発 標示分野における特殊塗料を製造・販 を共に進めることで、塗料の概念を逆転 デザイナー小関隆一氏による「ユー 売する業務用塗料メーカーです。「マス させた新感覚の製品として話題を呼びま キングカラー」は、電化製品を出荷する した。製品のヒットで企業の知名度が上 際等に使用される剥離可能な水性塗料 がったことで業務用塗料の問い合わせが を元にした、初めての一般消費者向け 増加し、既存製品の売上が向上するとい 製品です。 うブーメラン効果も生まれています。 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ Color 」 Column 02 デザイン性の高い 仕事を受注できる 理由 01 鋼板の加工販売業として創業。発寒と石狩に工 場を持ち、鋼材の切断・曲げ・プレス・溶接な どの加工を施し、製品として送り出しています。 当社のものづくりの特徴は、 「切断」 02 を目的として、全社員が週 1 時間の 5S 議論を尽くして効率的に課題を解 「曲げ」 「溶接」 「組立」を一貫生産ライ 活動に取り組んでいます。グループ単 決していく手法は、デザインマネジメ ンで行い、設計図を忠実に具現化する 位で改善提案の検討や報告会を実施 ントの考え方にも通じます。 技術力です。この技術力を評価いただ していく中で、安全で快適な職場環境 き、高級家具メーカーの旗艦店に施工 が実現したばかりでなく、活動以外の された複雑な曲線デザインの螺旋階 部分でも意見交換が活発に行われる 段や、仕上げの美しさを求められる公 ようになりました。 共・民間構造物といった、デザイン性 例えば、先述の螺旋階段のように複 が高く、技術的な難易度が高い仕事も 雑な形状の製品を作る場合には、実物 受注しています。作業状況の確認のた 大のモックアップ(模型)を作り、実 Company Profile めに来社したデザイナーから「僕が 際に製造する上での課題を洗い出す イメージした形が正確に再現できて 工程があります。5S 活動により社員 阿部鋼材株式会社 いる」との言葉をいただいたこともあ 同士のコミュニケーションが活発に りました。 なったことで、積極的に知恵を出し この技術力の根底には、2008 年か 合って課題解決方法を検討するよう ら 8 年間続けている ”5S 活動 ” があり になり、他社にはできないものづくり ます。当社では、人材育成と社内強化 につながっています。 01 鋼板を加工している様子 02 5S 活動の様子 所在地:札幌市西区発寒 10 条 11 丁目 2 番 14 号 TEL:011-662-1891 代表者:代表取締役社長 阿部 大祐 資本金:4,500 万円 設立:昭和 26 年(1951 年) 主要事業:鋼材の切断及び加工販売 URL:http://www.abekouzai.jp/ 東京ビジネスデザインアワード Web サイトには、他の受賞事例も掲載されています。 https://www.tokyo-design.ne.jp/award.html 株式会社ラ・ルース「ひきよせ」 「コトを売る」発想で付加価値が向上 材料とするリ・ブランディング計画を提 (株)ラ・ルースは、間伐材を寄木にし 案しました。立ち上げた新ブランド「ひ て組み合わせ、そこから切り出すことで、 きよせ」は、無駄の出ない製法と寄木の 通常の1/3の材料から製品を作り出す 木目の美しさに注目が集まり、海外高級 「木地挽き(きじひき)」という伝承技法に ブランド店でも取り扱われるようになり より、木製のテーブルウェアを製造・販 ました。社内でのデザイン意識も向上し、 売しています。 現在では「ひきよせ」だけでなくラ・ルー デザイナーの山田佳一朗氏は、門外不 ス自体のブランドについても山田氏に 出の技術だった「木地挽き」をあえて宣伝 ディレクションを依頼しています。 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 15 INTERVIEW プロデューサーインタビュー 販売戦略を重視した ものづくり 異なってきます。長期熟成が必要なも のもあれば、1 週間程度で出ていくも のもあります。それをいかに最適化し、 バランス良く回転させていくか。例え ば、早く生産できる商品を「売れ筋」に して収益を確保しつつ、時間のかかる 高品質の長期熟成品を「看板商品」と し、 じっくりと評判を高めていくといっ た戦略を一緒に考えていきました。 ―― 商品のポジショニングとネーミ ングの重要性 次は、商品のポジショニングです。 ポジショニングとは、今の商品ライン ナップの中で「重複」や「不足」のある 部分を把握し、投入すべき商品の狙い どころを決めていく作業です。 更にそれらに見合ったネーミングも 前田 弘志 Hiroshi Maeda 1964 年札幌生まれ。1990 年にバナナムーン・ ステュディオを開設。 国内企業の商品・サービ スの開発協力やブランディング、プロモーショ ン業務を中心に、海外企業の日本市場対応にお けるローカライズ業務も手がける。これまで国 内・海外にてニューヨーク ADC メリットアワー ド等デザイン賞を多数受賞し、フランス国立パ ブリシティ・ミュージアムなどに作品が収蔵さ れている。 大切です。つまり「喜んでもらえるで あろうお客様」に「その商品が何であ るかをわかるようにする」ということ です。その基本を押さえておけば、プ ロモーションで必ず売れます。 売れない理由として、 「その商品が何 なのかわからない」という場合がとても 多いのです。新しい商品に凝ったネー ミングをして失敗する例がそうです。 タカラさんでは、商品名は覚えやす い3文字を基本とし、商品の特長を一 言で表す「タグライン」をそえる工夫 ――「チーズ工房タカラ」と仕事を始 めたきっかけ 16 をしました。例えば「ラクレット」とい とでした。ディスカッションを重ね、 う商品名を「トケル」に変え、 「とろけ 「マーケティングの基本に忠実にやっ るチーズ」というタグラインを付けて、 「チーズ工房タカラ」は欧州で修業を ていく」という方針のもと、商品企画 デザインもリニューアルしました。お 積んだ職人さんが喜茂別町の小さな牧 の再構築を進めていくことにしまし 客様の反応が、それまでの「これ何で 場に開設した工房です。私が関わるこ た。ターゲットの設定、つまり「誰に喜 すか?」から「これください!」に変化 とになったのは、工房を始めて 1 ~ 2 んでもらうのか」から始めて、その市 し、そのまま購入に直結するようにな 年の頃、チーズの品質はとても良いの 場特性を想定しながら数値目標として りました。 に売上が伸びず、工場の稼働が 30% 程 販売・生産計画を練り直すという作業 度という中で、相談を受けたのがきっ を 2 ~ 3 ヶ月かけて行いました。 かけでした。 実は、チーズは不動産業のようなも 販売 そこでまず初めにしたことは、考え のです。熟成庫の容積が決まっていて、 販売計画では、ターゲットを「喜茂 方や課題を共有し、意思統一を図るこ チーズの種類によってその占有期間が 別まで足を運んでいただけるお客様」、 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ ―― ファン重視のプロモーションと チーズ工房タカラ スイス・クラドルフにてユートステファン氏に師事した斎藤愛三氏が、喜茂別町にある実家の「牧場タ カラ」に併設開業した工房。「牛の自然食」と「放牧」にこだわった生乳を原料に、定番商品・季節限定品 あわせ約 15 品目の乳製品を生産・販売。国際コンクール受賞や国際線航空機の機内食採用など評価も 高い。現在、敷地内に熟成庫の増床と雪冷房の活用をはかった新工房の建設計画が進行中。 「通信販売で購入していただけるお客 ペースでお客様の数が増え続けていく でも、コミュニケーション表現でも徹 様」、「レストランや航空会社など法人 と、キャパシティを超えて、「行列」や 底的に生かすようにしました。「だい のお客様」とはっきりさせて、そのバ 「売り切れ」につながる可能性が出てき たい季刊タカラ」という小冊子をもう ランスを3分の1ずつにしたいと考え ます。 13 号も発刊していますが、これは中長 ました。いずれかのターゲットが不調 それでは、せっかくのお客様が離れ 期的なブランディングのための冊子 の時でも事業が続けられる作戦です。 ていってしまうことにもなります。タ で、ブランドロイヤルティ(ブランド そうした前提で、対象や目的を絞っ カラファンを第一に考え、あえて「売 への愛着心)を高めるためのものです。 たプロモーション(販促や宣伝)を計 れすぎない目標」を作り、コミュニケー 小さな牧場・チーズ工房の小さいなら 画し、当初は「新規のお客様」を増やす ションの質や量、メディアの選択を行 ではの魅力、手作りの魅力、自然の良 取組に力を入れ、その後は一度でも「足 いながら「売れ方」をコントロールし さを「見える化」していく。こういう「タ を運んでいただいたお客様」や「通信 ていく。現在、自社発のインターネッ カラらしさ」を伝えていくことがブラ 販売で購入していただいたお客様」に、 トでの情報発信を控えているのも、そ ンディングにつながっていくのです。 タカラのファンとしてリピートしても のためです。 もう一つ大切なことは「品質」です。 らうための取組に重点を移しました。 タカラさんの最大の強みは、実は品質 プロモーションのポイントは、販売 ――「らしさ」を伝えるのがブランディング 量を増やすのではなく、「売れ方」をい ファンとの強い関係性を築き、それ のコンテストで最高賞を受賞し、更に かにコントロールするかということで を維持していくためには、ブランディ デザイン賞も受賞しています。 した。大抵の企業は、売れるのであれ ングを意識した展開が不可欠です。特 ブランドを形成するうえで両輪とな ば、売れるだけ売った方が良いと考え に「その企業らしさが見えるか」が重 る「製品(チーズ)自体の品質」と「独 ると思います。しかし、“ 一見さん ” を 要になります。小さな企業には、大企 自の存在感(デザインの独創性やタカ 増やすよりもファンになっていただい 業には絶対に真似できない強みがあり ラらしさ)」の両方が世界の目で認めら たお客様に確実に商品が届くようにし ます。大企業は小さくなれないし、 「少 れ、欧州のメディアで取り上げられて たい。ゆっくりと成長していきたいと 量」も「手作り」も苦手です。タカラさ いることは、小さな企業にとって、大 いうタカラさんにとって、想定以上の んのケースでは、その強みを商品作り きな自信へとつながっています。 にあります。チーズは全国・国際規模 ▲ リニューアル第 1 号商品、白いチーズ「レタラ」。 包装コストは下がり、売上は倍増した。 ▲ 長期熟成の看板商品、かたいチーズ「タカラ」。「All Japan Natural Cheese Contest 2013」グランプリ受賞。 ▲ タカラのブランド価値を伝え、 「ファン」 とのより密接な関係を築くための冊子「だいたい季刊タカラ」 。 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 17 人を惹きつける製品を生み出す デザインマネジメント こ れからの製品開発に求められること を明確にイメージし、そのイメージを 昨今、機能や品質による製品の差別 品をつくり込む方向性が明確になり、 経済産業省においても、製品の審美 化は難しくなっています。また、様々 効率的な製品設計や的確な販売戦略策 性、ユーザーが求める価値、使用によっ な商品やサービスが溢れる中で、自社 定が可能となるばかりでなく、自社の て得られる新たな経験の実現、経験の 製品を選択してもらうためには「製品 技術力を最大限活かしつつ、ユーザー 質的な向上等を追求することにより、 の審美性」や「使用によって得られる のニーズも反映させた「人を惹きつけ 製品自体の優位性に加え、製品と人、 経験価値」など必要な機能や品質を追 る製品」につながっていきます。 製品と社会との相互作用的な関わりも 当事者間で共有することによって、製 経 済産業省の取組 求したうえで、新しい価値を提案する 以上のような、コンセプトを設計や ものであることが求められます。優れ 販売戦略にも反映し、一貫性を持たせ 技術を「デザイン開発技術」と定義し、 た魅力ある製品は、自社の市場競争力 て製品開発を行う考え方を、デザイン 推進しています。また、中小ものづく を高めるだけではなく、それまでのラ マネジメントと言います。 り高度化法に基づき「特定ものづくり イフスタイルを変えるなど大きな波及 デザインマネジメントは、 基盤技術(P.22 参照)」に指定し、マー 効果を持っています。 ● STEP 1:グランドデザイン ケットインの発想に基づく製品開発を デ ザインマネジメントとは 魅力ある製品を開発するためには、 実質的な製品設計に入る前に、自社製 品・技術の強みや目指すべき市場、ユー ザーに提供したい価値等を分析・検討 し、製品のコンセプトを固めることが (製品のコンセプトづくり・開発計 画の策定) ● STEP 2:プロダクトデザイン (製品のつくり込み) ● STEP 3:コミュニケーションデ ザイン (コンセプトに基づく販売戦略) の3段階で構成されます。 含めた価値創造に繋がる総合的な設計 支援しています。 いずれも、技術を重視した「ものづ くり」から、使用者の立場に立った「も の創り」に視点を変える製品開発手法 であり、導入することによって、製品 の高付加価値化が図られるばかりでな く、自社の持つ強みを活かした企画力・ 提案力の向上が期待されます。 最も重要です。開発しようとする製品 デザインマネジメント 1 グランドデザイン STEP コンセプトづくり・開発計画の策定 18 ● 開発のきっかけ・目標 ● 製品コンセプト、価値、市場 ● クリアすべき水準・評価方法 ● 開発体制・スケジュール attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 2 プロダ STEP 製品のつくり込み (PDCAを回す) 4 使用による評価 デ ザイナーを味方にしよう デザインマネジメントを取り入れる にあたり、デザイナーの発想力は強い 製品開発時に 社内でこんな発言が 出ていたら、要注意 !! 味方となります。製品の特性や顧客に 提供したい価値等について認識を統一 するためにも、グランドデザインの段 階からデザイナーに参加してもらいま しょう。最終的に自社の強みを活かし た色や形が実現できる可能性が高まり ます。 れば、売れるはず」「デザイナーに任 せれば、売れるデザインを出してくれ これを使った新商品を開発 したい ➡技術ありきで、ユーザーの 視点を欠いたものづくり ウチの○○をリニューアル 開発陣がやれることをやり 好良くデザインして欲しい トに出したい したいので、取りあえず格 切ってから、ユーザーテス ➡見た目を良くすれば売れ ➡過度な作り込みは、コス 最近、××が流行っている 時間が無いから、議論はこれ 組みたいと思っている ➡グランドデザインが中途 るという勘違い から、ウチの会社でも取り 「格好よくデザインされた商品を作 こんな特許を取ったので、 ➡流行りものに乗れば売れ るという勘違い トロスを生む可能性 くらいで良いのではないか 半端だと、途中で空中分 解する恐れ る」というのは、大きな勘違いです。 3 コミュニケーションデザイン STEP コンセプトに基づく販売戦略 クトデザイン 1 利用状況の想定 2 3 要求事項の洗い出し ● キャッチコピー ● 商品マーク、ロゴマーク ● 商品カタログ ● 販売Webサイト ● パッケージ など プロトタイプの開発 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 19 「ものづくり」から「もの創り」へ 新たな開発を始めるために 効 率的なグランドデザインを行うために デザインマネジメントにおいて最も デザインブリーフ書式は、「モノのデ ザ イ ン を 成 功 に 導 く ガ イ ド(http:// hrodesign.net/index.html )」か ら ダウンロードすることができます。 ①クリアすべき評価・㻌 テスト㻌 ②求められる成果物㻌 1-③㻌 2-④㻌 設計レベル:㻌 □㻌 製品の基本アイデアに明らかに○○な部分がない㻌 プロジェクトマネジャー㻌 当社○○部○○課長㻌 ○○○○㻌 㻌 㻌 □㻌 危険㻌 㻌 㻌 □㻌 使用者の負担が大きい㻌 当社○○部○○㻌 ○○○○㻌 リサーチ責任者㻌 㻌 㻌 □㻌 もろい㻌 㻌 㻌 □㻌 宣言通りに機能していない㻌 㻌 㻌 □㻌 性能が出せていない㻌 デザイン責任者㻌 ○○デザイン事務所㻌 代表㻌 ○○○○㻌 㻌 㻌 □㻌 大げさ㻌 㻌 㻌 □㻌 使用手順上面倒くさい部分㻌 エンジニアリング㻌 当社○○部○○㻌 ○○○○㻌 責任者㻌 □㻌 法規や他者の知財に抵触しない㻌 1-④㻌 2-④㻌 ○㻌 ・流通面で協力を依頼する予定の○○社による評価試験を行い、 □㻌 商品の“親”になる覚悟を持った人が開発プロジェク㻌 商品化に向けた最終的な問題点を確認する。㻌 㻌 㻌 ト全体のリーダー役を担っている㻌 1.動機・目標・中核的アイデア㻌 【記入例】㻌 ○㻌 ◎㻌 㻌 ◎㻌 B 社 4-①㻌 ・販売、プロモーション方法の検討㻌 ○㻌 ◎㻌 ○㻌 ・展示会などデビュー方法の検討㻌 ○㻌 ◎㻌 ・意匠権出願㻌 ◎㻌 ○㻌 そ の 他 㻌 ・その他参考となる事例の調査㻌 A 社 㻌 ・競合品調査㻌 そ の 他 㻌 デザイン案作成㻌 㻌 㻌 プレゼンテーション㻌 ○㻌 ◎㻌 ・○○在住、○歳、性別は○、家族構成 は○○○○㻌 ・○○○○なライフスタイル㻌 ・要所での試作を用いたユーザーテスト㻌 ・○○する際に○○○という不満を感じて ・事業化に向けたデザイン要素の整理・検討㻌 いる。㻌 デザイン案評価㻌 ○㻌 ◎㻌 㻌 ◎㻌 ○㻌 㻌 㻌 ・観察調査㻌 B 社 㻌 ターゲット顧客㻌 コンセプト整理㻌 㻌 㻌 ・インタビュー調査㻌 4-①㻌 デザインブリーフ書式㻌 モノのデザイン編㻌 㻞㻜㻝㻠㻜㻟㻜㻟版㻌 北海道立総合研究機構㻌 工業試験場㻌 A 社 㻌 ・○○において○○をする中で、○○を感 じている○○ユーザ。㻌 㻌 ○○ワークショップ○○そ B A 試験㻌 の 社 社 他 㻌 【フェーズ2】㻌 ・ユーザーである○○、○○を対象とした㻌 ③-1㻌 マーケティング㻌 3-①、②㻌 る。㻌 作成場所:㻌 ○○分析㻌 㻌 タイム㻌 㻌 ライン㻌 㻌 ・○○向け○○装置市場㻌 ・ターゲット顧客である○○、○○による官能評価試験を行い、「購入し たい」の割合が○割を越えることを確認する。㻌 㻌 ②対象とする市場㻌 3㻌 3㻌 3-③㻌 㻌 㻌 品を商品化するんだという覚悟がある㻌 ・デカール等グラフィックの反映㻌 㻌 ①商品のタイトル㻌 1-③㻌 2-③㻌 ・実際のユーザーである○○、○○による試用試験を行い、第二段 □㻌 商品化に向けてどのようなテストが必要か、そのた㻌 販売責任者㻌 当社○○部○○㻌 ○○○○㻌 階の○○試験で指摘された問題点が解消されていることを確認す 㻌 㻌 めにどのような試作が必要かが整理できている。㻌 ・実際のユーザーである○○、○○による試用試験を行い、○○作業 テストレベル㻌 における○○効率が現行機種より○割改善されることを確認する。㻌 ○○リサーチ㻌 A社:㻔株㻕○○(依頼企業)㻌 B社:××デザイン(デザイン業)㻌 ②開発㻌 その他:外注先企業など㻌 デザインなど、具体的な事業化に向け 設計責任者㻌 当社○○部○○㻌 ○○○○㻌 □㻌 今回の開発メンバーで製造でき、品質を保てる㻌 開発コア㻌 試作責任者㻌 当社○○部○○㻌 ○○○○㻌 メンバー㻌 作成年月日:㻌 □㻌 開発するモノのデザインに必要な予算を見込んで㻌 㻌 㻌 いる㻌 当社○○部○○㻌 ○○○○㻌 試験責任者㻌 □㻌 パッケージデザインやコミュニケーションデザ㻌 㻌 㻌 インなど、モノのデザイン以外のデザイン予算㻌 㻌 㻌 を見込んでいる㻌 製造責任者㻌 当社○○部○○㻌 ○○○○㻌 □㻌 商品開発やデザイン活用の経験があるメンバーの㻌 第三段階㻌 期間レベル:㻌 㻌 㻌 参画のもとで、商品開発全体や個々の業務に必要な㻌 プロモーション㻌 当社○○部○○㻌 ○○○○㻌 㻌 㻌 期間を見積もっている㻌 責任者㻌 どんな体制で 体制レベル:㻌 □㻌 モノのデザインだけでなく設計、試作、製造、㻌 ○年㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 ○年㻌 開発を進める 㻌 㻌 プロモーション・販売・メンテ・サービス等の㻌 ○月㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 ○月㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 ○月㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 ○月㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 ○月㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 ○月㻌 㻌 㻌 㻌 ○月㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 ○月㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 ○月㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 ○月㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 成果3:商品試作㻌 成果1:ユーザーによる評価試験のためのコンセプトボード及びラフモ 㻌 㻌㻌 㻌責任者を割り当てている㻌 のか㻌 成果2:ユーザーによる評価試験のための機能試作㻌 作成年月日:㻌 デル㻌 ・光造形システムによる外装パーツ製作㻌 【フェーズ1】㻌 【チーム】㻌 ・3Dプリンタによる外装パーツ製作㻌 ・発泡材等によるラフ外観モデル㻌 ・最終版基板・機構の実装㻌 □㻌 開発リーダー(及び経営者)に、何としても開発㻌 ○○調査㻌 【チーム】㻌 作成者:㻌 意気込みレベル:㻌 ・動作確認用基板・機構の実装㻌 ・コンセプト説明用ボード㻌 ○○○○システム「○○○○○○」㻌 第二段階㻌 【行程】㻌 ・実際のユーザーである○○、○○に、製品コンセプトと基本デザイン 案を見てもらい、「欲しい」という回答が○割を越えることを確認する。㻌 2.商品のイメージ㻌 【記入例】㻌 ダクトデザインやコミュニケーション 現状での㻌 【フェーズ3】㻌 ◎㻌 ○㻌 顧客の不本意㻌 3㻰㻯㻭㻰モデリング㻌 ・もっと○○○に○○○○できないかと感 じている。㻌 原寸モデル制作㻌 ・○○○○という不経済な状態にある㻌 製品構成:㻌 商品構成㻌 要素㻌 ・機能部品:○○○、○○○○、○○○㻌 ・カバー部材:○○○㻌 商品ネーミング:未検討㻌 ③-2㻌 デザイン㻌 商品ロゴ・マーク:未検討㻌 ①開発プロジェクト㻌 㻌 のタイトル㻌 ○○○の商品開発㻌 ②開発のきっかけ・㻌 㻌 動機㻌 ◎㻌 㻌 (以下別業務として)㻌 ◎㻌 㻌 ・製品ネーミング・マークのデザイン㻌 ○㻌 ◎㻌 ○㻌 ◎㻌 ・カタログのデザイン㻌 ○㻌 㻌 ◎㻌 ◎㻌 㻌 ・パンフレットのデザイン㻌 ○㻌 ○㻌 㻌 ◎㻌 具体的にどのようなモノか、絵や写真も使って説明してください㻌 ・外装パーツ作成(3Dプリンタ)㻌 ・今よりも○○に○○できる喜び。㻌 ・製品設計フォロー㻌 ・展示会のデザイン㻌 ・製品の核となる□□技術の煮詰め㻌 ・経営者である自分自身が○○○に没頭している。㻌 ・製品製造に必要となる△△技術調査㻌 エンジニアリング㻌 ④商品の㻌 㻌 提供価値㻌 開発品に㻌 求められる機能㻌 ◎㻌 ◎㻌 ・○○○を現状より○○に○○できる○○機 能㻌 ・○○機構及び基板設計、試作、テスト㻌 ◎㻌 ・もっと快適に○○できる○○機能㻌 㻌 ・外装パーツの設計㻌 ○㻌 ◎㻌 ・製造㻌 ◎㻌 ・品質管理㻌 ◎㻌 上記の機能を実現するための㻌 機能試作機の写真㻌 機能実現㻌 アイデア㻌 ・○○○部に独自開発した○○メカニズ ムを採用㻌 ・製品ライフサイクルの○○のプロセスに ○○を導入㻌 ら脱却する㻌 ・新商品開発のプロセスを社内に導入する㻌 販売価格㻌 定価㻌 ○○○○○○円㻌 デザインブリーフ書式㻌 モノのデザイン編㻌 㻞㻜㻝㻠㻜㻟㻜㻟版㻌 北海道立総合研究機構㻌 工業試験場㻌 ○○な状況において、ユーザは㻌 使用方法㻌 まず○○し、次に○○、○○、○○、㻌 ○○、○○の手順で使用する。㻌 ④現時点の㻌 㻌 商品㻌 㻌 アイデア㻌 商品ブランド 目指す商品ブランド・企業:○○○○㻌 のイメージ㻌 ・現状では○○○などの不満を抱えているユーザに対して○○ 顧客の当社に対するイメージ:○○○○と言え という価値を提供する㻌 ば○○㻌 競合品㻌 競合品・㻌 競合優位性㻌 ・○○なユーザに対して、○○という新しい世界観を提供する㻌 ・○○ユーザの○○作業における○○効率を○%向上させる㻌 使い方などのポンチ絵㻌 ○社㻌 ○○○○㻌 ○○、○○、○○と言った点で、ターゲット 競合優位性㻌 顧客には開発品の方がより強く訴求でき る㻌 機構部分などのポンチ絵㻌 デザインブリーフ書式㻌 モノのデザイン編㻌 㻞㻜㻝㻠㻜㻟㻜㻟版㻌 北海道立総合研究機構㻌 工業試験場㻌 㻌 ユ ー ザ ・ 顧 客 の た め ○㻌 ・○○○を○○できる○○機能㻌 ・○○と呼ばれる企業になる㻌 対象とする顧客・市場:○○○○㻌 ③開発の目標㻌 デザインブリーフ書式㻌㻌モノのデザイン編㻌 㻞㻜㻝㻠㻜㻟㻜㻟版㻌 北海道立総合研究機構㻌 工業試験場㻌 上記の「顧客の喜び」を実現するための㻌 付属品:○○○、○○○、○○○㻌 商品の㻌 ・長引く景気低迷により、現状の下請業務だけでは今後ジリ貧であり、 印刷物:取扱説明書、○○ガイド㻌 付属物㻌 新たなビジネスのネタが必要であると考えた。㻌 ○○:○○○㻌 ・○○の集まりの中で○○の話題になり、○○○を求める消費者の 潜在ニーズが今後顕在化すると予測された。㻌 ③-3㻌 㻌 と、下図の5工程を網羅した形で、効率 ◎㻌 ・○○の際に感じている○○という不満を ・製品デザインの精緻化㻌 開発品が顧客に㻌 完全に解消できる喜び。㻌 ◎㻌 提供する喜び㻌 ・製品グラフィックの検討㻌 ・○○な○○を所有する喜び。㻌 㻌 ・ラフ外観モデルの作成㻌 ・製品の基本デザイン案の創出㻌 ③商品㻌 自 社 の た め ・製造フォロー㻌 ・コンセプト説明用ボードの作成㻌 ・製品コンセプトの創出㻌 カラー:○○○㻌 商品㻌 㻌 イメージ㻌 バリエーショ ・年間○○○円の利益を継続的に生む主力商品に育てる㻌 サイズ:○○○㻌 ン㻌 ・初のオリジナル商品を開発することで、下請業務㻝㻜㻜%の経営か 対象ユーザ:○○向け、○○向け㻌 書式~モノのデザイン編~」を活用する 的に検討を進めることができます。 開発をどう進 めていくのか㻌 当社○○部○○課長㻌 ○○○○㻌 プロダクト㻌 マネジャー㻌 略も含めて検討することにより、プロ 試験場が開発した「デザインブリーフ コンセプトレベル:㻌 作成者:㻌 予算レベル:㻌 作成場所:㻌 第一段階㻌 企業ブランディングのあり方や販売戦 (地独)北海道立総合研究機構 工業 1-③㻌 製造レベル:㻌 ①商品開発㻌 㻌 体制㻌 3.デザインチャレンジ㻌 【記入例】㻌 対応シート㻌 ユーザの視点で見て㻌 㻌 㻌 □㻌 「そう、これが欲しかった!」と感じられる㻌 㻌 㻌 □㻌 実際に使って満足できる㻌 㻌 㻌 □㻌 ほぼ直感的に使える㻌 □㻌 既にあるモノをちょっと良くしたモノではなく、㻌 㻌 㻌 全く新しい価値を顧客に提供するモノである㻌 □㻌 顧客に同様の価値を提供する手段として、これ以上㻌 㻌 㻌 のモノはないという自信がある㻌 □㻌 我が社が手がけるに相応しいモノである㻌 □㻌 自分が客だったら買いたいと思えるモノである㻌 【行程】㻌 を行うのが理想的です。製品を通じた 作成場所:㻌 ビジネスレベル:㻌 当社○○部長㻌 ○○○○㻌 開発総責任者㻌 等、製品開発の当事者全員により検討 作成者:㻌 □㻌 ユーザに選ばれ、購入してもらえる自信がある㻌 □㻌 継続的に製造・販売し、利益が出せる勝算がある㻌 □㻌 これ以上のモノはない、というところまで煮詰めて㻌 㻌 㻌 から知財化した、あるいはする計画がある。㻌 どんなモノを開 発するのか㻌 【目標】㻌 経営者、開発担当、営業担当、デザイナー 作成年月日:㻌 チェック結果への対応方法など・メモ㻌 【目標】㻌 4.体制とタイムライン㻌 【記入例】㻌 重要な「グランドデザイン」については、 た投資を網羅的に行えます。 5.登山口でのチェックリスト㻌 コアアイデア(製品アイデアのうち、最も“売り”になる大事な部分)㻌 ・地域の㻭社、㻮社、㻯社とともに取り組むことで、各社の企業 ブランド力強化および増収につなげる㻌 ・地域産業界の手本となる㻌 ・地域の若者の雇用創出につなげる㻌 ・地場の素材である○○の消費拡大につなげる㻌 㻌 社 会 ・ 地 域 の た め ・独自に開発した○○機構により、 従来不可能であった○○を可能とし たこと。㻌 ・独自に開発した○○により、従来 製品にない○○をユーザに提供で きること。㻌 デザインブリーフ書式㻌 モノのデザイン編㻌 㻞㻜㻝㻠㻜㻟㻜㻟版㻌 北海道立総合研究機構㻌 工業試験場㻌 グランドデザインに必要な5工程 1 開発のきっかけや 目標を明らかにします ●開発のきっかけ・動機 (なぜ製品開発が必要なのか?) ●開発の目標 (誰に、何を提供するのか?) ●現時点のアイディア (外形イメージは?新製品の魅力とは?) 20 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 2 製品コンセプト、価値、 市場を明らかにします 3 ク リ 評価 ●製品のタイトル・コンセプト・プロジェクト名 ●技術面でクリア ●販売戦略 (誰に、何を、いくらで、 どのくらい売るのか?) ●設計面でクリア ●製品の提供価値 (誰の、どんな問題を、どのように解決するのか?) ●販売面でクリア デ ザインマネジメントを定着させるために ∼社内プロデューサーを育成し、 開発のプロセス精度を高める∼ 経営者による継続的な啓発 デザインマネジメントの手法を社内 デザイン 開発による 成功体験 で定着させるためには、トップがデザ インマネジメントの重要性を理解し、 継続的に取り組むしかありません。デ 社内同調者 の増加 ザインマネジメントのプロセス精度が 高まれば、成功事例も増え、結果的に 社内での定着が進みます。ここで重要 経営者 社内プロデューサー デザイン マネジメントの定着 なのは、「社内プロデューサー」の存在 です。デザインマネジメントに習熟し た人材を意識的に社内で育成すること で、その人材が社内での伝道師役とな 競争力ある製品の 継続的な開発 り、デザイン開発の手法を社内で定着 させることにつながります。 アすべき水準・ 方法を明らかにします すべき水準・評価方法 すべき水準・評価方法 すべき水準・評価方法 業績の向上 P.18 ∼ 21 については、「小樽商科大学 平沢尚毅 氏」 「札幌市立大学 酒井正幸 氏」 「(地独)北海道立総合研究機構 工業試験場 日高青志 氏」 「(株)ファシオネ 登豊茂男 氏」 「高橋尚基デザイン事務所 高橋尚基 氏」から取材した内容を基にまとめました。 4 開発体制やスケジュールを 明らかにします 5 プロジェクト全体の 整合性をチェックします ●開発体制の決定 (リーダー、責任者、 コアメンバー) ●コンセプトレベル (設定したコンセプトからずれていないか?) ●スケジュールの決定 (完成から逆算して、いつまでに、 何をやるのか?) ●プロダクトレベル (ターゲットとする市場ニーズを踏まえた 設計になっているか?) ●セールスレベル (売上目標は開発費に見合っているか?) attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 21 中小ものづくり高度化法 「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律(通称 : 中小ものづくり高度化法) 」 は、基盤技術を有する中小 企業の研究開発及びその成果の利用に対し支援を行い、その高度化を図ることで、自動車、家電等をはじめとする 我が国製造業の国際競争力強化や新事業創出を図ることを目的に、平成 18 年度に制定されました。この法律に基づ き、国が指定した特定ものづくり基盤技術(12 技術)における「特定ものづくり基盤技術高度化指針」に沿って、中小 企業が作成した特定研究開発等計画を経済産業大臣が認定し、認定を受けた計画は、研究開発支援(通称 : サポイ ン事業)や政府系金融機関の低利融資等の支援を受けることができます。 特定ものづくり基盤技術(12 技術) 以下の 12 技術を「特定ものづくり基盤技術」 として指定しています。 1 デザイン開発 製品の審美性、ユーザーが求める 価値、使用によって得られる新たな 経験の実現・経験の質的な向上等 を追求することにより、製品自体の 優位性のみならず、製品と人、製 品と社会との相互作用的な関わり も含めた価値創造に繋がる総合的 な設計技術。 7 8 表面処理 バルク(単独組織の部素材)では 持ち得ない機能性を基材に付加す るための機能性界面・被覆膜形成 技術。 機械制御 力学的な動きを司る機構により動 的特性を制御する動的機構技術。 動 力 利 用 の 効 率 化や位 置 決め精 度・速度の向上、振動・騒音の抑 制等を達成するために利用される。 IT(Information Technolory) (情 2 3 4 5 6 22 情報処理 精密加工 報技術)を活用することで製品や 製造プロセスの機能や制御を実現 する情報処理技術。製造プロセス における生産性、品質やコスト等 の競争力向上にも資する。 金属等の材料に対して機械加工・ 塑性加工等を施すことで精密な形 状を生成する精密加工技術。製品 や製品を構成する部品を直接加工 するほか、部品を所定の形状に加 工するための精密な工具や金型を 製造する際にも利用される。 製造環境 製造・流通等の現場の環境(温度、 湿度、圧力、清浄度等)を制御・ 調整するものづくり環境調整技術。 接合・実装 相変化、化学変化、塑性・弾性変 形等により多様な素材・部品を接 合・実 装 することで、 力 学 特 性、 電気特性、光学特性、熱伝達特性、 耐環境特性等の機能を顕現する接 合・実装技術。 立体造形 自由度が高い任意の立体形状を造 形する立体造形技術。(ただし、 「精 密加工」に含まれるものを除く。) attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 9 10 11 12 複合・新機能 材料 材料製造 プロセス 部素材の生成等に際し、新たな原 材料の開発、特性の異なる複数の 原材料の組合せ等により、強度、 剛性、耐摩擦性、耐食性、軽量等 の物理特性や耐熱性、電気特性、 化学特性等の特性を向上する又は 従来にない新しい機能を顕現する 複合・新機能素材技術。 目 的 物 で あ る 化 学 素 材、 金 属・ セ ラ ミックス 素 材、 繊 維 素 材 及 び そ れら の 複 合 素 材 の 収 量 効 率 化 や 品 質 劣 化 回 避によ る 素 材 の 品 質 向 上、 環 境 負 荷・ エネルギー消費の低減等のために、 反応条件の制御、不要物の分解・ 除去、断熱等による熱効率の向上 等を達成する材料製造プロセス技 術。 バイオ 微生物を含む多様な生物の持つ機 能を解明・高度化することにより、 医薬品、エネルギー、食品、化学 品等の製造、それらの評価・解析 等の効率化及び高性能化を実現す るバイオ技術。 測定計測 適切な測定計測や信頼性の高い検 査・評価等を実現するため、 ニーズに応じたデータを取得する 測定計測技術。 認定の流れ 特定基盤技術の指定・技術高度化指針の策定(国) ……………………………………………………………………………………………………………………………… 経済産業大臣が「特定ものづくり基盤技術」 を指定し、 中小企業が目指すべき技術開発の方向性をとりまとめた「特定ものづくり基盤技術高度化指針」 を策定。 特定研究開発等計画の作成・申請(中小企業者) ……………………………………………………………………………………………………………………………… 指針に基づいて中小企業が研究開発等計画を作成し、 研究開発を行う拠点となる施設の所在を管轄する各経済産業局に申請。 特定研究開発等計画の認定(国) ……………………………………………………………………………………………………………………………… 経済産業局において 指針に示された高度化の方向性と合致しているか等を審査し、認定。 研究開発支援(通称 : サポイン事業) 平成 28 年度予算 戦略的基盤技術高度化・連携支援事業 中小企業・小規模事業者が大学、公設試等の研究機関等と連携して行う、 製品化につながる可能性の高い研究・開発及び販路開拓への取組を一貫して支援します。 補助上限額 初年度 4,500 万円 (2 年目は初年度の 2/3、3 年目は 1/2 を上限として補助) 1 大学、公設試等による設備投資及び研究・開発等に要する 2 中小企業・小規模事業者が行う研究・開発や 補助率 問い合わせ先 経費を支援(うち、1,500 万円上限 補助率 : 定額) 販路開拓を支援(補助率 :2/3) 経済産業省 北海道経済産業局 地域経済部 産業技術課 電話 011-709-2311 内線 2587 attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ 23 デザインマネジメントに関わる相談窓口 ●本書に支援事例が掲載されている機関 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 工業試験場 窓口・連絡先 URL 製品技術部 デザイン・人間情報グループ 【電話】011-747-2377 http://www.hro.or.jp/iri.html 一般社団法人 北海道機械工業会 窓口・連絡先 URL 【電話】011-221-3375(代) http://www.h-kogyokai.com/topmenu.html 札幌市 ・ 一般財団法人 さっぽろ産業振興財団 窓口・連絡先 URL 札幌市 経済局 産業振興部 ものづくり産業課 【電話】011-211-2362 (一財)さっぽろ産業振興財団 産業企画推進部 【電話】011-820-2062 札幌市 https://www.city.sapporo.jp/ (一財)さっぽろ産業振興財団 http://www.sec.or.jp/ ●デザインマネジメントに関する相談を受け付けている自治体 経済産業省では、産業競争力の 1 つとして日本のデザイン力を持続的に向上させるため、「デザイン・人 間生活システム政策」を展開しています。その取組の一環として、日本各地で実施しているデザインに関する 施策を「デザイン政策ハンドブック」にまとめています。ここに紹介した自治体は、同ハンドブックの「各都 道府県等におけるデザイン振興施策」担当部署として掲載されているものです。 経済産業省「デザイン政策」web サイト:http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/human-design/ 函館市 窓口・連絡先 URL 経済部 工業振興課 【電話】0138-21-3314 http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/ 旭川市 窓口・連絡先 URL 経済観光部 産業振興課 【電話】0166-65-7047 http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/ 帯広市 窓口・連絡先 URL 24 商工観光部 工業労政課 【電話】0155-65-4167 http://www.city.obihiro.hokkaido.jp/ attraente ∼「ものづくり」から「もの創り」へ∼ attraente 「ものづくり」から「もの創り」へ 発行 / 経済産業省 北海道経済産業局 地域経済部 製造産業課 札幌市北区北 8 条西 2 丁目 札幌第 1 合同庁舎 電話:011-709-2311(内線 2570) http://www.hkd.meti.go.jp/ 制作 / 株式会社道銀地域総合研究所 索引 プロデューサーインタビュー コンセプトの共有から始めるブランディングとものづくり 下川一哉氏 4 事例紹介 6 01 インラインベーラ(牧草梱包機) 02 ディンプルシェード(業務用内装材) 03 abonet(保護帽) (株)特殊衣料 04 新型カーポート (株)ショーワ 05 icoro(自然対流式アルミパネルヒーター) (株)ナカガワ工業 06 Advance Pro(食品卸向けパッケージシステム) (株)アイパス コラム 北海道発 EV の開発 (独)中小企業基盤整備機構 コラム デザイン性の高い仕事を受注できる理由 道外の 事例 デザインマネジメントを活用した道外の事例 01 02 企業イメージを再確認 ビジネスモデルを転換 新たな雇用を創出 技術力が向上 社員のモチベーションが向上 製品開発プロセスを転換 (株)IHIスター 日の出工芸(株) 阿部鋼材(株) プロデューサーインタビュー 販売戦略を重視したものづくり 前田弘志氏 16 人を惹きつける製品を生み出すデザインマネジメント 18 中小ものづくり高度化法 22 デザインマネジメントに関わる相談窓口 24
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