【整理番号43】 事後評価書(完了後の評価) 都道府県名 事業名 福井県 関係市町村 海岸環境整備事業 漁港海岸名 (地区名) 福井市 ( グミザキ 茱崎漁港海岸 ) 事業主体 福井県 Ⅰ 基本事項 1.地区概要 名称 防護人口 地区の特徴 茱崎漁港海岸 2.2ha 186人 防護面積 当海岸は、福井県加越沿岸(越前海岸)の中央部に位置した海岸である。背 後は、崖が迫る山がちの地形であり、平坦地が少ない狭隘・高密度な集落を 形成し、主要なアクセス道である国道305号が海岸線沿いに位置している。ま た、海水浴場としても賑わい、多数の利用者が訪れている。 2.事業概要 事業目的 工種 当海岸は、越前加賀海岸国定公園内にあり、海水浴場として利用されてい るが、海浜の一部に護岸施設がなく、冬期波浪による浸水被害が発生してい た。このため、当事業により離岸堤や駐車場等を整備し、海浜レクリエー ション機能を確保するとともに、背後集落や国道等の財産を防護する。 離岸堤L=100m、突堤L=65m、護岸L=412.4m、駐車場A=5,134㎡、 緑地A=5,266㎡ 事業費 1,884百万円 事業期間 平成12年度~平成21年度 Ⅱ 点検項目 1.費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化 本事業では、平成11年度に事前評価を実施し、経済効果の妥当性について評価を行った。 その際の分析の算定基礎となった家屋被害額は増加しており、費用便益比率も平成12年の 4.52から平成27年の4.85に微増している。 2.事業効果の発現状況 事業実施以前は、背後集落への浸水の被害があったが、本事業による離岸堤や護岸等の整 備により、浸水被害が改善されているとともに、海水浴客が毎年多数訪れている。また、現 時点での費用対効果分析の結果は、4.85と1.0を上回っており、一定の効果発現が見られる。 3.事業により整備された施設の管理状況 海岸管理者である福井県により、施設の変状について定期的に点検を実施している。 4.事業実施による環境の変化 緩傾斜護岸等の整備により、海岸線には砂浜が形成されており、背後集落や国道等への浸 水被害が改善されている。また、海水浴などの海岸利用による地域の活性化が図られてい る。 5.社会経済情勢の変化 北側隣接地の公有地埋立て等による影響で背後集落における家屋数は増大している。ま た、海水浴場の入込客数は年間約2万人程度で安定して推移している。 6.今後の課題 当海岸は冬期波浪の影響を受けやすいことから、施設の維持管理を日常的に行うととも に、砂浜の状況について継続的にモニタリングを実施する必要がある。 【整理番号43】 7.事業の投資効果が十分見込まれたか 平成11年評価時の 費用便益比B/C 4.52 現時点の B/C 4.85 ※別紙「費用対効果分析 集計表」のとおり Ⅲ 総合評価 本事業は、台風時や冬期波浪による背後地の安全性の低下を解消するため、離岸堤、護岸等を 整備することにより、高波による越波を防止し、地域住民の生命・財産への被害防止を図ること を目的としたものである。貨幣化が可能な効果について、費用対効果分析を行ったところ、1.0 を超えており、経済効果についても確認されている。さらに、事業効果のうち貨幣化が困難な効 果についても、家屋等の浸水が防護されることによる住民の精神的苦痛や不安感が緩和されるよ うな効果が認められる。 このように、本事業により、当初想定していた地域住民の生命・財産への被害防止が図られて いることから、事業の一定効果の発現が認められた。 【整理番号43】 費用対効果分析集計表 1 基本情報 都道府県名 事業名 漁港海岸名 (地区名) 福井県 海岸環境整備事業 茱崎漁港海岸 施設の耐用年数 50年 2 評価項目 評価項目 浸水防護便益 便益の評価項 目及び便益額 便益額(現在価値化) 10,415,198 侵食防止便益 海岸環境保全便益・海岸利用便益 千円 千円 2,669,608 その他( ) 千円 千円 計(総便益額) B 13,084,806 千円 総費用額(現在価値化) C 2,696,011 千円 費用便益比 B/C 4.85 3 事業効果のうち貨幣化が困難な効果 ・家屋等への浸水が防護されることによる住民の精神的苦痛や不安感が緩和される効果。 【整理番号43】 海岸環境整備事業 茱崎漁港海岸 凡例 離岸堤、突堤 護岸 駐車場、緑地 事業概要図 事業主体 : 福井県 主要工事計画 : 離岸堤 100m 突堤 65m 護岸 412.4m 駐車場 5,134㎡ 緑地 5,266㎡ 事業費 : 1,884百万円 事業期間 : 平成12年度~平成21年度 【整理番号 43】 茱崎漁港海岸の事業の効用に関する説明資料 1.茱崎漁港海岸の概要 (1)地 域 (2)受 益 面 積 がもうちょう :福井県福井市蒲生町 :2.2ha (3)事 業 目 的 :当海岸は、越前加賀海岸国定公園内にあり、海水浴場として利用され ているが、海浜の一部に護岸施設がなく、冬期波浪による浸水被害が 発生していた。このため、当事業により離岸堤や駐車場等を整備し、 海浜レクリエーション機能を確保するとともに、背後集落や国道等の 財産を防護する。 (4)主要工事計画 :離岸堤 L=100m 突堤 L=65m 護岸 L=412.4m 駐車場 A=5,134 ㎡ 緑地 A=5,266 ㎡ (5)事 業 (6)工 費 :1,884 百万円 期 :平成 12 年度~平成 21 年度 2.総費用総便益比の算定 (単位:千円) (1)総費用総便益比の総括 区分 算定式 総費用(現在価値化) 数値 2,696,011 ① (2)総費用の総括 総便益額(現在価値化) 13,084,806 ② (3)総便益額の総括 離岸堤、突堤、護岸 駐車場、緑地 参照 4.85 ③=②÷① (2)総費用の総括 施設名 参照 60 年 評価(事業期間+50 年) 総費用総便益比 備考 (単位:千円) 当該事業費 維持管理費 ① ② 2,452,779 総費用 ③=①+② 243,232 2,696,011 【整理番号 43】 (3)総便益額の総括 区分 (単位:千円) 年総効果額 効果の要因 効果項目 浸水防護便益 10,415,198 高潮、波浪、津波等による浸水から背後地 の資産等を守ることによる便益。 侵食防止便益 0 海岸侵食による土地消失や資産被害が防 止・軽減されることによる便益 海岸利用便益 2,669,608 海水浴やレクレーションなどの海岸利用 が促進されることによる便益 計 13,084,806 【整理番号 43】 (4)総便益額算出表 評 浸水防護便益 価 期 海岸利用便益 割引後効果 経 年度 間 過 額 割引率 年効果額 年 同左 年効果額 割引後 (千円) 合 合計 割引後 (千円) 19,158,393 10,415,198 計 同左 (千円) (千円) (千円) 4,910,650 2,669,608 13,084,806 1 H12 1 1.801 0 0 0 2 H13 2 1.732 0 0 0 3 H14 3 1.665 0 0 0 4 H15 4 1.601 0 0 0 5 H16 5 1.539 0 0 0 6 H17 6 1.480 0 0 0 7 H18 7 1.423 0 0 0 8 H19 8 1.369 0 0 0 9 H20 9 1.316 0 0 0 10 H21 10 1.265 0 0 0 11 H22 11 1.217 383,168 466,182 98,213 119,491 585,673 12 H23 12 1.170 383,168 448,252 98,213 114,895 563,148 13 H24 13 1.125 383,168 431,012 98,213 110,476 541,488 14 H25 14 1.082 383,168 414,434 98,213 106,227 520,662 15 H26 15 1.040 383,168 398,495 98,213 102,142 500,636 16 H27 16 1 383,168 383,168 98,213 98,213 481,381 17 H28 17 0.962 383,168 368,431 98,213 94,436 462,866 18 H29 18 0.925 383,168 354,260 98,213 90,803 445,064 19 H30 19 0.889 383,168 340,635 98,213 87,311 427,946 20 H31 20 0.855 383,168 327,533 98,213 83,953 411,486 21 H32 21 0.822 383,168 314,936 98,213 80,724 395,660 22 H33 22 0.790 383,168 302,823 98,213 77,619 380,442 23 H34 23 0.760 383,168 291,176 98,213 74,634 365,810 24 H35 24 0.731 383,168 279,977 98,213 71,763 351,740 25 H36 25 0.703 383,168 269,209 98,213 69,003 338,212 26 H37 26 0.676 383,168 258,854 98,213 66,349 325,204 【整理番号 43】 27 H38 27 0.650 383,168 248,899 98,213 63,797 312,696 28 H39 28 0.625 383,168 239,326 98,213 61,344 300,669 29 H40 29 0.601 383,168 230,121 98,213 58,984 289,105 30 H41 30 0.577 383,168 221,270 98,213 56,716 277,985 31 H42 31 0.555 383,168 212,760 98,213 54,534 267,294 32 H43 32 0.534 383,168 204,576 98,213 52,437 257,013 33 H44 33 0.513 383,168 196,708 98,213 50,420 247,128 34 H45 34 0.494 383,168 189,142 98,213 48,481 237,623 35 H46 35 0.475 383,168 181,868 98,213 46,616 228,484 36 H47 36 0.456 383,168 174,873 98,213 44,823 219,696 37 H48 37 0.439 383,168 168,147 98,213 43,099 211,246 38 H49 38 0.422 383,168 161,680 98,213 41,442 203,121 39 H50 39 0.406 383,168 155,461 98,213 39,848 195,309 40 H51 40 0.390 383,168 149,482 98,213 38,315 187,797 41 H52 41 0.375 383,168 143,733 98,213 36,841 180,574 42 H53 42 0.361 383,168 138,205 98,213 35,424 173,629 43 H54 43 0.347 383,168 132,889 98,213 34,062 166,951 44 H55 44 0.333 383,168 127,778 98,213 32,752 160,530 45 H56 45 0.321 383,168 122,863 98,213 31,492 154,355 46 H57 46 0.308 383,168 118,138 98,213 30,281 148,419 47 H58 47 0.296 383,168 113,594 98,213 29,116 142,710 48 H59 48 0.285 383,168 109,225 98,213 27,996 137,221 49 H60 49 0.274 383,168 105,024 98,213 26,920 131,944 50 H61 50 0.264 383,168 100,985 98,213 25,884 126,869 51 H62 51 0.253 383,168 97,101 98,213 24,889 121,989 52 H63 52 0.244 383,168 93,366 98,213 23,931 117,297 53 H64 53 0.234 383,168 89,775 98,213 23,011 112,786 54 H65 54 0.225 383,168 86,322 98,213 22,126 108,448 55 H66 55 0.217 383,168 83,002 98,213 21,275 104,277 56 H67 56 0.208 383,168 79,810 98,213 20,457 100,266 57 H68 57 0.200 383,168 76,740 98,213 19,670 96,410 58 H69 58 0.193 383,168 73,789 98,213 18,913 92,702 59 H70 59 0.185 383,168 70,951 98,213 18,186 89,136 60 H71 60 0.178 383,168 68,222 98,213 17,486 85,708 【整理番号 43】 3.効果額の算定方法 (1)浸水防護便益 ○効果の考え方 浸水被害が予想される地域内の恒久的な施設である家屋、公共土木施設及び公益事業等の 償却資産を評価し、浸水高ごとに被害額を勘案して被害軽減額を代替法で浸水被害防護便益 を算定する。 ○福井市の資産数量(H26 年福井市統計書(市情報課ホームページ)から、H26 年 1 月時点) ・家屋棟数 152,076 棟 ・世帯数 101,415 世帯 22,151,959 ㎡ ・床面積 ・家屋 1 棟当たりの床面積 145.7 ㎡/棟 ○一般資産の資産評価額(H27.2 治水経済調査マニュアル(案)) 175.5 千円/㎡ ・家屋資産額 14,007 千円/世帯 ・家庭用品評価額 ○被害施設数の算出 高潮による一般資産被害率(表-1)を考慮し、浸水高別に一般資産(家屋、家 庭用品(世帯数))の被害施設数(表-2)を算出。 表-1 高潮による一般資産被害率一覧表 床上浸水 浸水深等の規模 床下浸水 資産種類等 50cm 未 50~ 100~ 200~ 300cm 以 満 99cm 199cm 299cm 上 家屋 0.045 0.151 0.229 0.480 1.000 1.000 家庭用品 0.021 0.189 0.489 0.889 1.000 1.000 償却資産 0.101 0.278 0.589 1.000 1.000 1.000 在庫資産 0.056 0.166 0.401 1.000 1.000 1.000 償却資産 0.000 0.187 0.308 0.416 1.000 1.000 在庫資産 0.000 0.259 0.555 0.859 1.000 1.000 事業所 農漁家 「H16 海岸事業の費用便益分析指針(改訂版)(H16.6)」 【整理番号 43】 表-2 被害施設数 確率年 資産項目 10 年 20 年 30 年 家屋数(棟) 17 17 20 家庭用品(世帯) 11 11 13 ○年間標準便益額の算定 表-3 一般資産の確率外力ごとの被害額 (単位:千円) 資産項目 確率年 10 年 20 年 30 年 家屋 154,528 154,528 252,331 家庭用品 105,314 105,314 144,713 計 259,842 259,842 397,044 表-4 一般資産の年平均被害軽減額 (単位:千円) QI~QI+1 確率年 の 年平均確率 1 想定被害額 (千円) QI~QI+1 QI~QI+1 対象流量まで の平均想定 の年平均被 の年平均被害 被害額 害額 軽減額 0 1/10 0.90000 259,842 129,921 116,929 116,929 1/20 0.05000 259,842 259,842 12,992 129,921 1/30 0.01667 397,044 328,443 5,474 135,395 表-5 年間標準便益額 (単位:千円) 一般資産被害額 135,395 公共土木被害額(一般資産被害額×1.8) 243,711 公益事業等被害額(一般資産被害額×0.03) 年平均便益 (千円) 4,062 383,168 【整理番号 43】 (2)海岸利用便益 〇効果の考え方 環境保全便益における環境(自然景観の保全、生物育成の場の保全)及び利用(アメニティ 向上、存続)についての便益を CVM を用いて算出する。 〇年効果額算定式 「茱崎漁港海岸への1世帯あたり支払い意志額」×GDP デフレーター×世帯数 ×延長按分率 〇年効果額の算定 表 2-1 茱崎漁港海岸環境保全・利用便益算定結果 4市1町 支払い意志 世帯数 年平均便益 (円/世帯) (世帯) (千円) 1,829 148,847 114,069 なお CVM の範囲は、福井市の他に福井市にアクセスしやすい海のない隣接市町(鯖江 市、永平寺町、勝山市、大野市)を対象として選定している。 支払意志額は、下表のとおり平成 11 年度 県単漁港海岸維持補修事業その1 報告書の 結果を引用している。また世帯数は、福井県政策統計・情報課が平成 27 年 10 月に県ホ ームページで公表された平成 27 年 9 月時の数値を引用している。 表 2-2 支 払 意 志 額 [単位:円/世帯・年間] 支 払 方 法 支払カード式 二 項 選 択 式 支 払 意 志 額 1,829 円 2,872 円 備 考 ※1 支払カード式:有効回答 498 サンプルの単純平均値。 二 項 選 択 式:提示金額に対するYES/NO回答を基に、モデル式を 推定。有効回答(全ての項目に回答した完全回答)450 サンプルを対象。 支払意志額は、便益額を過大に取らないように額の低い 1,829 円の方を採用した。 支払意志額 1,829 円は、平成 27 年度を基準とするため、事後評価時(平成 27 年度)と 事前評価時(平成 11 年度)の国内総生産(GDP)デフレーター比率 93.3/108.4=0.861 を乗 じる。 茱崎漁港海岸は、南側に一体的に整備が進められてきた農地海岸区間があるので、事 業費を延長按分して当海岸区間のみの便益額を求める。 【整理番号 43】 按 分 率:41.9% ← =353.4m/(490m+353.4m) 耕地側海岸線延長 490m 漁港側海岸線延長 353.4m(台帳からの実測に基づく) ■年間便益額: (1,829 円/世帯×0.861×148,847 世帯)×[按分率 41.9%]=98,213 千円 ※単位未満の数値を端数処理しているため、各項目の合計値等が一致しない場合がある。
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