2016年4月7日号 1/3 債券投資の基本 ~イールドカーブと投資手法について~ ■ イールドカーブとは イールドカーブ(利回り曲線)とは、債券の残存期間と利回りの関係をグラフ化した曲線のことです。 通常、残存期間が長い債券の利回りのほうが、信用リスクや金利リスクが高くなることなどから、残存期 間が短い債券の利回りよりも高くなり、イールドカーブの形状は右上がりの曲線(順イールド)になりま す。 ただし、イールドカーブの形状は景気動向や金融政策に基づく需給要因などによっても変化し、過度な 金融不安や政策の急激な変化などに伴ない、短期金利が急上昇または長期金利が大きく低下すると、 長期金利が短期金利を下回り、イールドカーブの形状が右下がり(逆イールド)になることがあります。 また、景気が転換点を迎え、金利水準の動向が不透明な場合は長期金利と短期金利の金利差が小さ くなり、イールドカーブの傾きが緩やかになることもあります(イールドカーブのフラット化)。 さらに、将来の景気回復やインフレ率が高まる期待などを織り込んで長期金利が上昇し、短期金利との 差が拡大することでイールドカーブの傾きが急になることがあります(イールドカーブのスティープ化)。 ■ 残存期間の配分に重点を置いた投資手法 債券投資を行なうにあたっては、将来のイールドカーブの傾きを予測し、それに応じた投資手法を 用いることで、収益の獲得をめざすことができます。 ここでは、残存期間の配分に重点を置いた3つの代表的な投資手法をご紹介します。 ① ラダー型 ラダー型は、残存期間が短期から長期までの異なる債券に等金額で投資する運用手法のことです。 「ラダー」とはハシゴの意味で、残存期間とそれぞれにおける投資額をグラフにしたときに、ハシゴを横 にした形に似ていることから、ラダー型ポートフォリオと呼ばれています。ラダー型は満期償還金をその 時点の長期債に再投資すればよいため、金利変動に対するリスク分散効果や、イールドカーブの形状 変化に対してインカム収入の安定化が期待できるメリットがあるとされています。 一方、運用上に制約があるため、イールドカーブの形状が大きく変化する局面においては、積極的に 収益を狙えなくなるデメリットがあるとされています。 ラダー型ポートフォリオ 100 90 80 70 (投 60 資 50 額 40 ) 30 20 10 0 ※左図はイメージです。 1年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 (残存期間) ■当資料は、日興アセットマネジメントが債券投資におけるイールドカーブと投資手法についてお伝えすることなどを目的として作成した資料 であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありま せん。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。 したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信 託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 2/3 ② バーベル型 バーベル型は、残存期間が短期のものと長期のものといったように、年限が離れた債券に集中して投 資する運用手法のことです。 バーベル型は長短両極端の債券に投資するため、短期債のもつ流動性と長期債のもつ相対的に高い 収益性を併せて追求することができます。 一方、ポートフォリオの満期構成を維持するために定期的にリバランスを行なう必要があり、取引コスト がかさみがちな点がデメリットとされています。 バーベル型ポートフォリオ 100 90 80 70 60 (投 50 資 40 額 30 )20 10 0 ※左図はイメージです。 1年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 (残存期間) ③ ブレット型 ブレット型は、債券の残存期間を一定の年限に集中して投資する運用手法のことです。 イールドカーブが「順イールド」の場合、ブレット型の利回りは、デュレーション*や他の条件が同じラ ダー型やバーベル型と比べて高くなる傾向があります。また、基本的に「バイアンドホールド」であるた め、取引コストが低い点がメリットとして挙げられます。 一方、債券の残存期間を一定の年限に集中して投資することから、金利変動リスクが分散されないと いったデメリットがあります。 ブレット型ポートフォリオ *デュレーションとは 100 90 80 70 (投 60 資 50 額 40 )30 20 10 0 ①債券に投資された資金の平均回収期間 ②金利がある一定の割合で変動した場合、債券 価格がどの程度変化するかを示す感応度のこ とをいいます。 ※ブレット(bullet)とは 弾丸を意味します。 ※左図はイメージです。 1年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 (残存期間) 一般的に、イールドカーブの傾きが緩やかになる場合(イールドカーブのフラット化)にはバーベル型 がブレット型をアウトパフォームし、イールドカーブの傾きが急になる場合(イールドカーブのスティー プ化)にはブレット型がバーベル型をアウトパフォームする傾向があるとされています。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが債券投資におけるイールドカーブと投資手法についてお伝えすることなどを目的として作成した資料 であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありま せん。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。 したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信 託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 3/3 ■(ご参考)主要国のイールドカーブ 主要国のイールドカーブを見ると、それぞれ国によって異なる形状をしていることがわかります(下図)。 例えば、景気回復を背景に、2015年12月に9年半ぶりの利上げを実施した米国では、イールドカーブの 形状は右上がりの「順イールド」となっています。 一方、大規模な金融緩和の継続やマイナス金利政策を導入している欧州や日本では、ドイツ国債で残 存期間が7年まで、日本国債では残存期間が10年まで、イールドカーブがマイナス圏まで押し下げられ ています。 このように、各国の景気動向や金融政策などの違いによって、イールドの形状がやや異なるため、債 券投資を行なうにあたっては、各国の状況に応じた手法を用いることが有効と考えられます。 米国国債のイールドカーブ (2016年3月末) (%) 3.0 米国 2.5 2.0 ( 利 回 り ) 1.5 1.0 0.5 0.0 6ヵ月 1年 2年 3年 5年 7年 10年 15年 20年 30年 (残存期間) 日本・ドイツ国債のイールドカーブ (%) 1.0 (2016年3月末) ドイツ 0.8 0.6 日本 0.4 ( 利 回 り ) 0.2 0.0 -0.2 -0.4 -0.6 6ヵ月 1年 2年 3年 5年 7年 10年 15年 20年 30年 (残存期間) 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成 ※上記は過去のものであり将来の運用成果を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが債券投資におけるイールドカーブと投資手法についてお伝えすることなどを目的として作成した資料 であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありま せん。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。 したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信 託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
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