1章 札幌版次世代住宅基準の解説

1章
1.1
札幌版次世代住宅基準の解説
札幌版次世代住宅基準の概要
1.1.1
基準策定の背景
札幌市は積雪寒冷地であることから、全国と比べて家庭部門から出るCO2の割合
が高く、市内全体の約4割を占め、そのうち暖房が占めるエネルギー消費量は6~7
割といわれており、CO2の排出を抑制するには住宅を高断熱化・高気密化し、住宅
そのものの省エネルギー化を図ることが重要である。
平成 23 年 3 月に策定した「札幌市温暖化対策推進ビジョン」では、目標達成のため
の施策のひとつに「北国基準の省エネルギー住宅の普及」を掲げ、平成 32 年に新築さ
れる戸建て住宅の 100%が札幌版次世代住宅基準ベーシックレベル以上を達成するこ
とにより、約 29 万トンのCO2の削減を目指すこととした。
このような地域特性に応じた温暖化対策を推進するため、国の基準を 上回る札幌市
独自の省エネルギー基準として、「札幌版次世代住宅基準」を策定し、平成 24 年度よ
り運用を開始した。
その後、
「札幌市温暖化対策推進ビジョン」は、東日本大震災に伴う福島第一原子力
発電所の事故等により、エネルギー問題や地球温暖化対策を取り巻く状況が大きく変
化したことをうけ、持続可能な低炭素社会の実現に向けた温暖化対策を推進するため、
平成 27 年に「札幌市温暖化対策推進計画」へ移行した 。本計画においても「高断熱・
高気密住宅の普及」を施策のひとつとして掲げ、家庭部門における札幌型スマートラ
イフスタイルが定着している社会の実現に向けた取 組として「札幌版次世代住宅基準」
は引き続き、リーディングプロジェクトのひとつとなっている。
また国は、平成 32 年までに新築住宅・建築物の省エネルギー基準への適合を段階的
に義務化することを目標に省エネルギー法の改正等を進めており、平成 25 年には、国
の省エネルギー基準が改正され、断熱性能に関する指標等が変更された。
札幌版次世代住宅基準は国の省エネルギー基準を基に構築していることから、有識
者からなる技術検討会議を開催し、基準の変更案等について検討を行い、平成 28 年度
より改正基準の運用を開始した。
1.1.2
基準の目的
本基準を制定した目的は、札幌市の温暖化対策を推進するためには冬季の暖房エネ
ルギー使用量の削減を図ることが必要不可欠であることから、国の基準を上回る札幌
市独自の高断熱・高気密住宅の基準を設定し、高断熱・高気密住宅の普及を進めるこ
とにある。
札幌版次世代住宅基準は、国の省エネルギー基準相当のミニマムレベルから無暖房
住宅に近いトップランナーまで5段階の等級を定めている。 基準策定時より、ベーシ
ックレベル以上の住宅の普及を進めてきたが、ベーシックレベルの普及が順調に進ん
でいることから、今後は札幌市の標準性能と位置づけるスタンダードレベル以上の普
- 1 -
及を推進する。将来的にはさらに上のレベルであるハイレベルやトップランナーの住
宅をより一層普及させることを目指し、良質な住宅のストックを確保するとともに、
「札幌市温暖化対策推進計画」の削減目標の達成をより確実にしていきたい。
- 2 -
1.2
札幌版次世代住宅基準の解説
1.2.1
第1
趣旨
趣旨
この基準は、札幌版次世代住宅の性能の評価及び表示に関する要綱(以下「要
綱」という。)第3条及び第10条の規定に基づき、札幌版次世代住宅の性能に関し
表示すべき事項及びその表示方法並びに評価の方法について定めるものとする。
【解説】
本基準では、札幌版次世代住宅基準における住宅の外皮性能・一次エネルギー消費
量・気密性能の評価基準を示すとともに、本基準で示す 評価基準を満たした住宅に付
与する性能表示ラベル等について規定するものである。
1.2.2
第2
適用範囲
適用範囲
この基準は、新築住宅及び改修住宅について適用する。
【適用範囲】
本基準は、新築及び改修一戸建て住宅並びに新築及び改修共同住宅等(共同住宅、
長屋、その他の一戸建て住宅以外の住宅)に適用する。住宅の構造は、木造、鉄骨造、
RC造、組積造を問わない。
1.2.3
第3
用語の定義
用語の定義
この基準の用語の意義は、要綱の定めのあるもののほか、次の各号に定めるとこ
ろによる。
1
この基準において「評価対象住戸」とは、札幌版次世代住宅性能評価の対象と
なる一戸建て住宅又は共同住宅等のうち札幌版次世代住宅性能評価の対象とな
る1の住戸をいう。
2
この基準において「評価事項」とは、札幌版次世代住宅において評価されるべ
き住宅の性能その他の事項及びその水準をいう。
3
この基準において「札幌版次世代住宅評価基準(新築住宅)」とは、新築住宅
について、評価事項を満たすか否かの判断を行うための基準をいう。
4
この基準において「札幌版次世代住宅評価基準(改修住宅)」とは、改修住宅
について、評価事項を満たすか否かの判断を行うための基準をいう。
5
この基準において「WEB プログラム」とは、国立研究開発法人建築研究所ホー
ムページに公開されている「住宅・住戸の省 エネルギー性能の判定プログラム」
をいう。
6
この基準において「外皮平均熱貫流率」とは、「エネルギーの使用の合理化に
関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」(平成 25 年経済産業省・
- 3 -
国土交通省告示第 10 号、以下「平成 25 年基準」という)における「外皮平均熱
貫流率」をいう。
7
この基準において「一次エネルギー消費量」とは、「平成 25 年基準」における
「一次エネルギー消費量」をいい、「一次エネルギー消費量(全体)」とは、全て
の設備の一次エネルギー消費量を合計したもの、「一次エネルギー消費量(暖房 +
換気)」とは、WEB プログラムで算出される暖房設備一次エネルギー消費量及び換
気設備一次エネルギー消費量の基準一次エネルギー消費量に対する設計一次エ
ネルギー消費量の比率をいう。
【解説】
札幌版次世代住宅
用語の定義は、前記のほか「札幌版次世代住宅の性能の評価及び表示に関する要綱」
第2条による。
1.2.4
第4
1
札幌版次世代住宅の性能表示の方法
札幌版次世代住宅の性能表示の方法
札幌版次世代住宅の性能表示は、第5で定める住宅の性能を評価する方法で
得られる評価に基づき、別表に掲げる表示方法とする。
2
要綱第11条の別に定める方法は、別記表示仕様の性能表示ラベルの住宅本
体への貼付又は広告、パンフレットその他の住宅と性能表示ラベルとの対応が
明らかな印刷物への印刷及びインターネット等の電磁的方法(以下「広告等」
という。)により行うものとする。
3
複数の住宅を同一の広告等に掲載する場合は、札幌版次世代住宅 認定証の交
付を受けた住宅ごとに表示し、住宅と表示との対応関係が分るようにすること。
ただし、同一評価の住宅が複数ある場合は、同一評価の住宅について一つの表
示によることができる。
【解説】
札幌版次世代住宅認定証の交付を受けた住宅は、札幌市が交付する性能表示ラベル
を当該住宅に貼付することができる。また、分譲住宅等にあってはチラシやインター
ネット等の広告に性能表示ラベルのデザインを利用することができる。
1.2.5
第5
札幌版次世代住宅性能評価
札幌版次世代住宅性能評価
札幌版次世代住宅性能評価は、その対象となる住宅の札幌版次世代住 宅性能
評価申請書及び申請書添付書類等を、新築住宅にあっては第6- 2に規定する
札幌版次世代住宅評価基準(新築住宅)と、改修住宅にあっては第6- 3に規
定する札幌版次世代住宅評価基準(改修住宅)と照合することにより行う。
- 4 -
1.2.6
第6
1
評価の方法の基準
評価の方法の基準
評価事項
(1) 評価すべき事項は、評価対象住戸における暖房及び換気に使用するエネルギー
の削減のための断熱化および省エネルギー設備導入等による対策の程度とする。
なお、各指標は算出された数値によって評価する。
(2) 各等級に要求される水準は、別表の(ニ)項に掲げる等級に応じ、(ホ)項に
掲げる措置が講じられていること。
【解説】
札幌版次世代住宅基準の等級と講じられている措置(別表)は次に示すとおり。等
級は、断熱性能(外皮平均熱貫流率)、一次エネルギー消費量(全体)、一次エネルギ
ー消費量(暖房+換気)、気密性能(相当隙間面積)により評価する。
基準別表(抜粋)
等級(ニ)
講じられている措置(ホ)
無暖房住宅に近いレベル(年間暖房エネルギー消費量
15kWh/㎡以下)の断熱化等に係る措置
暖房 エネ ルギ ー消 費量 をミニ マム レベ ルよ り も6割
程低減するレベルの断熱化等に係る措置
暖房 エネ ルギ ー消 費量 をミニ マム レベ ルよ り も4割
程低減するレベルの断熱化等に係る措置
暖房 エネ ルギ ー消 費量 をミニ マム レベ ルよ り も2割
程低減するレベルの断熱化等に係る措置
平成 25 年省エネルギー基準相当(一般の新築住宅レ
ベル)の断熱化等に係る措置
トップランナー
ハイレベル
スタンダードレベル
ベーシックレベル
ミニマムレベル
図1.2.1 札幌版次世代住宅の年間暖房エネルギー消費量
(ミニマムレベルを100とした場合)
トップランナー
ハイレベル
スタンダードレベル
ベーシックレベル
ミニマムレベル
0
2
20
40
60
80
100
札幌版次世代住宅評価基準(新築住宅)
(1) 等級は、次に掲げる断熱性能(外皮平均熱貫流率)、一次エネルギー消費量(全
- 5 -
体、暖房+換気)、気密性能(相当隙間面積)の基準の水準を満たすものとする。
断熱性能(外皮平均熱貫流率)、一次エネルギー消費量(全体)、一次エネルギー消
費量(暖房+換気)、気密性能(相当隙間面積)に関する基準
一次エネルギー消費量 ※ 2
トップランナー
外皮平均
熱貫流率 ※ 1
[W/(m 2 ・K)]
0.18以下
ハイレベル
0.22以下
45%以下
スタンダードレベル
0.28以下
べ-シックレベル
0.36以下
ミニマムレベル
0.46以下
等級
ア
全体
暖房+換気
35%以下
等級5
0.5以下
60%以下
75%以下
等級4 ※ 3
相当隙間面積
[cm 2 /m 2 ]
1.0以下
90%以下
パッシブ換気採用時取り扱いについて
パッシブ換気を採用した場合は、WEB プログラムで換気設備の方式を「ダク
ト式第三種換気設備」とし、比消費電力を0.1とする。
ただし、上記の算出方法は、札幌版次世代住宅基準 でパッシブ換気を評価
するために設定したものであり、国の評価方法ではパッシブ換気は評価対象
となっていない。
イ
コージェネレーション設備採用時の取り扱いについて
コージェネレーション設備を採用した場合は、WEB プログラムでコージェネ
レーション設備を採用した場合の給湯設備の設計一次エネルギー消費量を暖
房設備と給湯設備の設計一次エネルギー消費量に案分し、案分によって求め
られた暖房設備の設計一次エネルギー消費量により本基準の判定を行うこと
とする。その計算方法は、札幌版次世代住宅基準技術解説書による。
【解説】
1
基準値設定の考え方
札幌版次世代住宅基準は、平成 25 年基準をベースに設定しており、ミニマムレベ
ルは平成 25 年基準以上の基準としている。新築住宅ではミニマムレベルからトップ
ランナーまで5段階の等級を設定した。ミニマムレベルは、外皮平均熱貫流率を平
成 25 年基準と同じ 0.46W/(m 2 ・K)とした。また、気密性能は、旧基準では平成 11 年
基準と同じ 2.0 cm 2 /m 2 以下としたが、近年は施工技術の向上により気密性能が高く
なっていることから 1.0 cm 2 /m 2 とした。
ベーシックレベルは、ミニマムレベルよりも暖房エネルギー消費量を2割程度低
減する断熱性・気密性を有する住宅で、北海道の「北方型住宅 ECO」と同等水準で
ある。ベーシックレベルの外皮平均熱貫流率は 0.36 W/(m 2 ・K)以下とし、相当隙間
面積は 1.0 cm 2 /m 2 以下とした。
スタンダードレベルは、札幌版次世代住宅基準の標準と位置付け、ベーシックレ
ベルより断熱性能を2割程度向上させたもので、外皮平均熱貫流率を 0.28 W/(m 2 ・K)
- 6 -
以下とした。また、相当隙間面積は、ベーシックレベルと同じ 1.0 cm 2 /m 2 以下とし
た。
ハイレベルは、スタンダードレベルより断熱性能を2~3割向上させたもので、
外皮平均熱貫流率を 0.22 W/(m 2 ・K)以下とした。また、相当隙間面積は、旧基準で
は 0.7 cm 2 /m 2 以下としていたが、近年、施工技術が向上していることからさらに高
い水準を目指すこととし、0.5 cm 2 /m 2 以下とした。ハイレベルは、札幌版次世代住
宅基準の最高水準である、ドイツの高性能住宅であるパッシブハウスを想定したト
ップランナーを目指す上での一つのステップとなる水準という位置付けである。ま
た、太陽光発電を導入し、今後開発が期待される高効率家電製品やヒートポンプを
用いることによって、太陽光発電の発電電力で住宅内の全てのエネルギーを賄うこ
とのできる住宅性能とする。
トップランナーは、本基準における最高水準のレベルで、ドイツのパッシブハウ
スを想定したもので、無暖房住宅に近いレベル( 年間暖房エネルギー使用量 15 kWh
/㎡以下)の断熱性能を有するものである。トップランナーの外皮平均熱貫流率は、
高い断熱性をもつ必要があることから、0.18 W/(m 2 ・K)以下とした。また、相当隙間
面積は 0.5 cm 2 /m 2 以下とした。
全体の一次エネルギー消費量の基準については、ミニマムレベルは平成 25 年基準
相当の等級4とし、ベーシックレベル以上は低炭素建築物認定基準相当の等級5と
した。
暖房と換気の設計一次エネルギー消費量の基準値に対する比率の設定は、まず、
設定した各等級の外皮平均熱貫流率をクリアする平成 25 年基準標準モデルプラン
の住宅で、採用数が最も多いと思われる石油従来型熱源機を熱源とするパネル暖房
を行い、ミニマムレベル、ベーシックレベル、スタンダードレベルの3つのレベル
は第三種換気、ハイレベル、トップランナーは熱交換換気を採用して、 策定時の札
幌版次世代 住宅基準 の 目安の年間 暖房 エネ ル ギー消費量 である 、 ト ップランナー
15kWh/(m 2 ・年)以下、ハイレベル 30kWh/(m 2 ・年)以下といった 15kWh/(m 2 ・年)刻みの値
をクリアするかを検討した。
スタンダードレベルは、外皮平均熱貫流率が 0.28 W/(m 2 ・K)で年間暖房エネルギ
ー消費量を 45kWh/(m 2 ・年)以下にするためには熱交換換気を採用する必要があ るが、
外 皮 平 均 熱 貫 流 率 が 0.28 W/(m 2 ・ K) よ り 小 さ な 値 に な る と 第 三 種 換 気 で も
45kWh/(m 2 ・年)を下回ることが可能である。また、ハイレベルでは温度交換効率 75%
以上、トップランナーでは 85%以上の熱交換換気を採用することによって年間暖房
エネルギー消費量の参考値をクリアした。
上記の条件で一次エネルギー消費量を計算した結果、暖房+換気の設計一次エネ
ルギー消費量の基準値に対する比率は、ミニマムレベルで 90%以下、ベーシックレ
ベルで 75%以下、スタンダードレベルで 60%以下、ハイレベルで 45%以下となっ
た。トップランナーについては、石油従来型と熱交換の組合せで比率が 40%となっ
たが、エネルギー消費量を厳しくするという観点から、石油従来型熱源機より効率
- 7 -
の高い熱源機を使用する、あるいは、より効率の高い熱交換換気を採用するなどの
工夫を加えることとし、比率を 35%以下とした。
2
パッシブ換気の設定と換気動力について
旧札幌版次世代住宅基準において、
「 自然の換気動力を主導力とした計画的な換気
システムであるパッシブ換気を採用する場合の熱損失係数算出に用いる換気回数は、
換気動力の削減を加味し、0.4 回/h としてよい」となっているが、これはパッシブ
換気を用いることで冬期の換気動力を半減できるものと考えられるためである。
見直し後の基準においては、パッシブ換気を採用した場合、第三種換気の比消費
電力を 0.1W/(m 3 /h)を入力することで、換気動力の削減分を評価するものとする。
ただし、上記の算出方法は、札幌版次世代住宅基準でパッシブ換気を評価するた
めに設定したものであり、国の評価方法ではパッシブ換気は評価対象となっていな
い。
3
コージェネレーション設備採用時の暖房設備の設計一次エネルギー消費量の算出
コージェネレーション設備を採用した場合、WEB プログラムでは、暖房、給湯、
発電に要した設計一次エネルギー消費量は、一括して給湯設備の設計一次エネルギ
ーとして表される。札幌版次世代住宅基準は、暖房設備と換気設備の一次エネルギ
ー消費量を用いた指標で評価するため、暖房設備の設計一次エネルギー消費量を算
出する必要がある。
そこで、コージェネレーション設備を採用した場合は、WEB プログラムでコージ
ェネレーションを採用せず、当該コージェネレーション設備の補助熱源を用いて算
出した暖房設備及び給湯設備の設計一次エネルギー消費量を用いて、コージェネレ
ーション設備を採用した場合の給湯設備の設計一次エネルギー消費量から太陽光発
電等による発電量の評価量を差し引いた値を暖房設備と給湯設備の設計一次エネル
ギー消費量に案分し、案分によって求められた暖房設備の設計一次エネルギー消費
量及び給湯設備の設計一次エネルギー消費量 を用いて評価することとした。
コージェネレーション設備採用時の暖房設備の設計一次エネルギー消費量 の算出
方法は、以下に示すとおりである。
𝑄𝐶𝐺𝑆−暖房 = (𝑄𝐶𝐺𝑆−給湯 − 𝑄𝐶𝐺𝑆−発 電 ) × 𝑄
𝑄𝐶𝐺𝑆補 助 熱 源 −暖 房
𝑄
𝐶𝐺𝑆補 助 熱 源 −暖 房 + 𝐶𝐺𝑆補 助 熱 源 −給 湯
ここで、
𝑄𝐶𝐺𝑆−暖房 :コージェネレーション設備採用時の暖房設備の設計一次エネルギー
消費量
[MJ/(戸∙年)]
𝑄𝐶𝐺𝑆−給 湯 :コージェネレーション設備採用時の給湯設備の設計一次エネルギー
消費量
[MJ/(戸∙年)]
𝑄𝐶𝐺𝑆−発 電 :コージェネレーション設備採用時の太陽光発電等 による発電量
価量
[MJ/(戸∙年)]
- 8 -
評
𝑄𝐶𝐺𝑆補助 熱源 −暖 房 :コージェネレーション設備の補助熱源採用時の暖房設備の設
計一次エネルギー消費量
[MJ/(戸∙年)]
𝑄𝐶𝐺𝑆補助 熱源 −給 湯 :コージェネレーション設備の補助熱源採用時の給湯設備の設
計一次エネルギー消費量
[MJ/(戸∙年)]
ただし、コージェネレーション設備と太陽光発電設備を同時に採用する場合は、
「太陽光発電等による発電量
評価量」に太陽光発電の評価量が加味されコージェ
ネレーション設備のみによる発電量が適切に評価されないため、太陽光発電設備を
採用せずコージェネレーション設備のみを採用した条件で上記の計算を行うことと
する。
○等級と断熱仕様等の参考例
基準見直し時に設定した、等級別の部位断熱仕様を参考に下表に示す。
表 1.2.1
札幌版次世代住宅基準(新築住宅)基準見直し時に設定した断熱等仕様と厚さ [mm]
等
部
位
外
壁
軸
間
外
壁
付
加
断
熱
級
ミニマム
ベーシック
スタンダード
ハイレベル
トップランナー
高性能グラスウール 16k(0.038W/(m・K)) ※ 1
100
100
100
100
100
押 出法 ポリスチレンフォーム 3 種 (0.028W/(m・
K)) ※ 1
-
30
100
-
-
フェノールフォーム(0.022W/(m・K)) ※ 1
-
-
-
160
160
300
300
300
500
-
-
-
-
-
700
-
-
-
-
-
20
50
150
150
150
○
-
○
-
○
-
○
-
-
○
○
○
○
-
-
-
-
-
○
-
-
-
-
-
○
断熱仕様
天
井
吹込グラスウール 18k(0.052W/(m・K)) ※ 1
床
全て基礎断熱
吹込グラスウール 30k(0.04W/(m・K))
基
礎
※1
押出法ポリスチレンフォーム 3 種
(0.028W/(m・K)) ※ 1
ペアガラス (1.40W/(m 2 ・K)) ※ 2
窓
トリプルガラス(0.91W/(m 2 ・K)) ※ 2
枠 :木 製、 戸: 断熱積 層構造 金属 製 高
断熱構造、三層ガラス (2.33W/(m 2 ・K)) ※ 2
玄
関
海外製高性能木製断熱ドア
ド
(1.50W/(m 2 ・K)) ※ 2
ア
海外製高性能木製断熱ドア
(0.94W/(m 2 ・K)) ※ 2
※1:熱伝導率
※2:熱貫流率
(2) 相当隙間面積
- 9 -
相当隙間面積は、気密工事完了後に一般財団法人建築環境・省エネルギー機
構 が 認 定 し た 気 密 測 定 技 能 者 が 試 験 を 実 施 す る こ と と し 、 試 験 方 法 は 「 JIS
A2201:2003 送風機による住宅等の気密性能試験法」又は同財団の定める住宅の
気密性能試験方法によるものとする。
【解説】
気密工事完了後に相当隙間面積を測定し、札幌市に報告することとする。この時に、
気密試験結果報告書に測定を実施した気密測定技能者の登録カード の写しを添付する
こと。
なお、測定した相当隙間面積が、申請時の等級の基準を満足しない場合は、測定値
に相当する等級を適用する。
相当隙間面積の測定は、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構が認定した気密
測定技能者が試験を実施することとし、試験方法は「JIS A2201:2003 送風機による住
宅等の気密性能試験法」又は同財団の定める住宅の気密性能試験方法によ るものとす
る。
試験方法は、本技術解説書4章を参照。
(3) 夏季の防暑計画
日射等による夏季の過度な室内温度の上昇を防ぐため、有効な日射遮蔽対策
と通風の確保を行うものとする。ただし、日射遮蔽対策は、冬季の日射取得を
妨げないように配慮すること。
【解説】
高断熱・高気密住宅においては、夏季において日射等により過度な室内温度の上昇
が生じる。これを防ぐために、窓からの日射侵入の防止と通風の確保 に配慮すること。
防暑計画については本技術解説書6章を参照。
1
日射遮蔽対策
庇などの固定式の日射遮蔽装置は、冬季の暖房に役立つ日射を遮る場合があり、
夏季の日射遮蔽と同時に、冬季の日射取得を妨げない工夫が必要である。
日射遮蔽の代表的なものとしてカーテンや室内側ブラインドが挙げられるが、こ
れらは室内側での日射遮蔽となり、結果的に大部分の日射熱を室内に取り込むこと
になり、大きな遮蔽効果は期待できない。これに対して、庇や外部ルーバーは、夏
と冬を考慮して適切に設置することにより、夏の日射を遮り、冬の日射を取り入れ
ることができる。
また、窓の外部に取り付ける簾やオーニングは、夏の日射を有効に遮り、冬の日
射を邪魔しないので、高断熱・高気密住宅に適した日射遮蔽装置と なる。
2
通風の確保
夏季の快適な室内環境を得るためには、日射熱や生活による発生熱で暖められた
空気を出来るだけ拡散させないですみやかに排出することが求められる。熱気は、
二階や天井付近に溜まり、不快な暑さを生み出す要因となる。温度差や外部風を利
- 10 -
用して夏季の通風を確保することが重要である。
(4) 防露性能の確保
住宅の断熱性能及び耐久性を損なうおそれのある結露の発生を防止 するため
の措置を講じること。
【解説】
断熱性能が高い住宅では、室内外の温度差が大きくなることから、結露防止に留意
する必要がある。結露には、外壁等の室内表面に発生する表面結露と壁体内に発生す
る内部結露がある。表面結露は室内の湿度低下及びカビの発生の原因となり、また、
壁体内結露は断熱材の性能低下及び躯体の劣化による重大な損害を引き起こす原因に
なる。防露性能の確保については、本技術解説書5章を参照。
3
札幌版次世代住宅評価基準(改修住宅)
(1) 等級は、次に掲げる断熱性能 (外皮平均熱貫流率)、一次エネルギー消費量(全
体)、一次エネルギー消費量(暖房+換気)、気密性能(相当隙間面積)の基準の
水準を満たすものとする。
断熱性能(外皮平均熱貫流率)、一次エネルギー消費量(全体)、一次エネルギー消
費量(暖房+換気)、気密性能(相当隙間面積)に関する基準
ハイレベル
外皮平均
熱貫流率 ※ 1
[W/(m 2 ・K)]
0.22以下
スタンダードレベル
0.28以下
べ-シックレベル
0.36以下
等級
一次エネルギー消費量 ※ 2
全体
暖房+換気
45%以下
等級5
60%以下
75%以下
ア
パッシブ換気採用時取り扱いについて
イ
第6-2(1)アの規定による。
コージェネレーション設備採用時の取り扱いについて
第6-2(1)イの規定による。
相当隙間面積
[cm 2 /m 2 ]
2.0以下
5.0以下
【解説】
改修住宅は、ベーシックレベルからハイレベルまで3段階の等級を設定した。
改修住宅の場合は、気密性を確保するのが難しいため、新築住宅に比べ 相当隙間面
積の基準を緩和したが、様々な工夫により、新築住宅の基準に近づけることが望ま し
い。
(2) 相当隙間面積
第6-2(2)の規定による。
(3) 夏季の防暑計画
第6-2(3)の規定による。
(4) 防露性能の確保
- 11 -
第6-2(4)の規定による。
【解説】
※
札幌版次世代住宅評価基準(新築住宅)に同じ。
- 12 -