ブラジルレポート2016年4月号 - 日本フィナンシャルセキュリティーズ

ブラジル金融市場レポート
2016 年 4 月 1 日作成
政権交代の期待でセンチメント好転
SANNS2600010
ブラジル金融市場では、ルーラ元大統領に汚職疑惑の捜査の手が及んだことをきっかけに、大規模な反政府デモを呼び、更に連立与党の崩壊か
ら政権交代への期待感が強まり、ブラジル金融市場はトリプル高の様相を強めています。市場でのセンチメントは好転し、海外投資家の資金も
流入し始めて、為替、金利、株式市場は既に昨年 9 月の S&P 社による格下げ前の水準まで回復してきました。
中央銀行は現行スタンスを維持ながらインフレ収束は予想以上と言及 夏場に利下げか
ブラジル中央銀行の政策委員会は第一四半期の物価見通し報告書(インフレ・レポート)を発表しました。同レポートで「現況はインフレリ
スクのバランスを取り巻く環境は不透明であり柔軟な金融政策(緩和を示唆)への可能性を許容するものではない」と前回と同様の内容を繰
り返しました。しかし一方で、委員会は需給ギャップに言及、「当初の予想以上にディスインフレになっている」としてインフレの収束が進
んでいると示唆、同レポートでの 2016 年及び 2017 年の物価上昇率は前回よりやや引上げられたものの、委員会メンバーのシナリオでは
2018 年半ばに政策目標である 4.5%に到達すると見込んでいます。市場では利下げに消極的との見方もありますが、レポートの内容は当社の
シナリオにほぼ近く、政策金利は 6 月から 8 月にかけて 1 回引下げられ、その後通貨が安定推移するようなら物価の穏やかな低下とともに引
下げサイクル ( 緩和基調 ) へ移行してゆくと予想されます。
財政収支は大幅悪化 2 月の中央政府の財政基礎収支は税収の落ち込みと失業手当などの社会保障費の増加や昨年末からずれこんだ公務員ボーナス支給による歳出
増によって 250 億 7,000 万レアルの赤字を計上、1997 年以降では最大の赤字額となりました。年初からの中央政府の歳入は前年同期比で
13%減少、歳出は 5.7%の増加、また歳出増で目立った失業手当と公務員への支給に関して政府は歳入の 39.2%を充てると発表しました。98
万人の公務員年金、恩給手当 929 億レアルに対して 3,270 万人の民間企業の年金、恩給手当は 903 億レアルと、一人当たりでは公務員は民間
の 3.7 倍との現状は国民の反感を買っており、政権交代後ではこうした部門での削減が重要課題となって行くでしょう。
高まる政権交代への期待
3 月 13 日の大規模デモを発端に盛り上がりを見せている大統領罷免の流れは、連立与党第一党である民主運動党 PMDB が連立を解消したこと
で最高潮となっています。ジルマ・ルセフ大統領率いる労働党 PT は罷免否決の票数 ( 下院で 172 票、上院で 42 票)を集めるために躍起になっ
ている模様で、民主社会党 PSD や共和党 PR、進歩党 PP などに罷免否決へ働きかけている様子だが、世論に後押しされた議員の多くは大統領
から距離を置くことを決めています。今後のスケジュールを下記にまとめてみましたが、最大の焦点は 4 月 16 日に予定されている下院本会議
での評決、2/3 の票によって大統領罷免となれば、大統領の資格は凍結されます。今回連立政権から離脱した PMDB と PSD、PR と PP の下院議
員票を合わせると約 220 票程度、それに野党の票を加えると大統領罷免への票は 370 に達する見込みです。恐らく下院で罷免が決議されると
大統領は辞任すると予想され、早期での政権交代が現実のものとなります。新たな政権による経済の舵取り(財政再建と構造改革などへの取り
組み)が示されるようなら金融市場は一層ポジティブな反応を見せるのではと期待されます。
4月4日
4 月 16 日
ジルマ大統領反論終了
下院本会議で評決へ 2/3 で罷免
罷免委員会が審議を開始 (5 日程度)
5日
11 日
罷免となれば大統領資格を 180 日間凍結
委員会の評決
13 日
上院にて手続き開始の承認
5 月中旬~
6 月初旬
正式の可決、48 時間内に下院本会議へ
上院にて罷免の評決
金融市場の動向
政権交代の期待が高まる中で金融市場には投資家からの資金が流入しており、株高、債券高、レアル高のトリプル高の様相となっています。
通貨市場では対ドルでやや円高が進みましたが、レアルが対米ドルで昨年の S&P 社の格下げ以前の水準まで回復したことでレアル・円のク
ロス・レートは年初から円安・レアル高となっています。カントリーリスクを示す CDS でも 500bps 台から 300b 半ばへと急速に低下してお
り、割安感のあった債券だけでなく株式市
場もボベスパ指数が年初から約 19%程度の
上昇となっています。これまでの見通し通
りに 3 月になって為替は勢いよく反転上昇
し始めており、対ドルで 3.2、対円で 35 円
弱程度へ接近する場面も期待出来そうで
す。
レアル・円
43
ドル・レアル
2.5
41
2.7
39
2.9
37
3.1
35
12
%
ボペスパ
12.5
55000
53000
13
51000
13.5
49000
14
47000
3.3
14.5
45000
33
3.5
15
43000
31
3.7
15.5
41000
29
3.9
16
39000
27
4.1
16.5
25
4.3
17
6月
7月
8月
データ元:QUICK 社
9月
10月
レアル・円
加入協会:一般社団法人第二種金融商品取引業協会
11月
12月
1月
ドル・レアル
2月
3月
37000
データ元:QUICK 社
6月
7月
8月
9月
35000
10月
11月
12月
5年物国債利回り
金融商品仲介業者 関東財務局長 ( 金仲 ) 第 565 号
所属する金融商品取引業者 名称:三京証券株式会社 関東財務局長 ( 金商 ) 第 2444 号 加入協会:日本証券業協会
1月
ボべスパ指数
2月
3月
1. 外貨建て債券取引にかかるリスク
重要な注意事項
外貨建て債券取得時よりも外貨の円に対する為替水準が低くなった場合(円高時)には債券を円換算した
価値は下落し、反対に外貨の円に対する為替水準が高くなった場合(円安時)には債券を円換算した価値
為 替 変 動 リスク
は上昇します。したがって利金・償還金もしくは債券売却代金として支払われる外貨の円に対する為替水
準によって上下し、これにより投資元本を割込む恐れがあります。
金融商品市場における相場その他の指標にかかる変動などにより、損失が生じる恐れがあります。市場価
価 格 変 動 リ ス ク 格は基本的に市場の金利水準の変化に対応して変動します。金利が上昇する過程では債券価格は下落し、
逆に金利が低下する過程では債券価格は上昇することになります。したがって、償還日よりも前に換金す
る場合には市場に応じた価格での売却となりますので、投資元本を割込む恐れがあります。
信
用 リ ス ク
発行体の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本割れや支払いが
遅延または不払いとなる恐れがあります。
カ ントリ ー リ ス ク 利金・償還金もしくは売却代金として支払われる外貨発行国の国情の変化により、投資元本割れや途中売
却ができなくなる恐れがあります。
流 動 性 リ ス ク 市場環境の変化により流動性(換金性)が著しく低くなった場合、途中売却ができなくなる恐れがありま
す。
2. 外貨建て債券取引にかかる手数料等諸費用について
■ 外貨建て債券を三京証券と相対で取引 ( 店頭取引)する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
■ また外貨建て債券の取引に際して円貨から外貨へ、もしくは外貨から円貨へ交換する際には外国為替市場の動向をふまえ
て三京証券が決定する為替スプレッドを加味した為替レートを適用するものとします。当該スプレッドについてのご質問
は担当者もしくは最寄りの店頭にお尋ねください。
■ 外貨建て債券のお取引に際しては「外国証券取引口座設定申込書」を取り交わす必要がございます。三京証券約款集の
「外国証券口座約款」をご一読ください。
3. 外貨建て債券取引にあたっての留意点について
● お申込みの際は、必ず『外貨建て債券の契約締結前交付書面』をお読み頂き、説明を受けご理解して頂いたうえで、お客
様ご自身の判断によりお申込みください。なお、不明な点があれば担当者にお問い合せください。
● 利金・償還金ともに外貨建てですが、三京証券ではこれを原則円貨に交換して、お客様の口座に入金いたします。
● 国内受渡は通常、約定日から起算して4営業日目 ( 約定日を含む)となります。
● 国内での利金・償還金のお支払いは各利払日、償還日の翌営業日以降となります。
● 既発債(既に発行され流通市場で取引されている債券)につきまして、販売価格、買取価格は随時変動いたします。
● お客様が三京証券にてご購入された債券は「外国証券口座約款」に基づき証券指定の海外保管機関において保管されます。
● 無登録格付け会社によって付与された信用格付けに関しては、「無登録格付に関する説明書」をご確認下さい。
● 外貨建て債券のお取引は、クーリング・オフの対象にはなりません。
● 利金、償還損益及び譲渡損益は 20.315%(国税 15.315%、地方税 5%)の申告分離課税の対象となります。
「みなし外国税額控除」の適用については、確定申告を行うことにより、「みなし外国税額」に相当する金額を上限として
源泉徴収された所得税(復興特別所得税含む)及び個人住民税について還付請求を行うことができます。
※課税に関する記述においては、今後税制が改正される場合があります。詳しくは税理士などの専門家にご相談ください。
金融商品取引契約をされる場合、当該金融商品の「契約締結前交付書面」
(もしくは目論見書及びその補完書面)
または「上場有
価証券等書面」の内容を十分にお読みいただき、
ご理解いただいたうえでご契約ください。
この資料は個々の投資家の特定の投資目的、投資金融商品または要望を考慮したものではありません。
ここに掲載した過去の実績や数値は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終的な決定は投資家ご
自身の判断と責任でなされるようお願いいたします。
この資料は日本フィナンシャルセキュリティーズが信頼できると判断した情報等に基づいて作成されたものですが、その情報の正
確性を保証するものではありません。
また、
この資料に 記された意見や予測等は資料作成時点での日本フィナンシャルセキュリテ
ィーズの判断であり今後予告なしに変更されることもあります。本資料に記された記載の図や表はイメージであり正確性・完全性
について当社が責任を負うものではありません。
この資料は、作成時の法令等・諸規則をもとに、一般的な説明を目的として作成
されたものです。各種税制は今後も変更される場合がありますのでご注意ください。具体的な税法上の質問や対策などは税理士
等の専門家にご相談ください。
有価証券は預金や保険契約とは異なり、預金保険・保険契約保護機構の保護対象ではありません。
日本フィナンシャルセキュリティーズ及びその関係会社・役職員が、
この資料に記載されている証券もしくは金融商品について、
自
己売買または委託売買取引を行う場合があります。
金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第565号 加入協会:一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
当社は、金融商品仲介業者として岡藤グループの三京証券株式会社で取り扱っている外国債券をご紹介しています。
所属する金融商品取引業者 名称:三京証券株式会社 関東財務局長(金商)2444号 加入協会:日本証券業協会