2016.04.05『基礎の化学』

章末問題解答 第4章
章末問題の解答
第4章
1)
a)
ア) H
Cl
イ) Br
Br
ウ) H
O+
H
H
F
エ) F
B
-
F
F
オ) H
C
カ) O
N
O
キ) O
N
O
ク) O
C
O
+
N
-
-
O b)
ウ) 三角錐形
エ) 四面体形
オ) 直線形
カ) 直線形
キ) 折れ線形
ク) 平面三角形
1
2)‌
a)
Li2 σ*2s
2s
2s
σ2s
σ*1s
1s
1s
σ1s
Liの原子軌道
Li2 の分子軌道
Liの原子軌道
結合次数 1
二原子分子を生成する
Be2 σ*2s
2s
2s
σ2s
σ*1s
1s
1s
σ1s
B eの原子軌道
B e 2 の分子軌道
B eの原子軌道
結合次数 0
二原子分子を生成しない
b)
B2 σ*2p
π*2p
2p
2p
σ2p
π2p
σ*2s
2s
σ2s
2s
σ*1s
1s
1s
σ1s
B の原子軌道
B 2 の分子軌道
結合次数 1
2
B の原子軌道
章末問題解答 第4章
C2 σ*2p
π*2p
2p
2p
σ2p
π2p
σ*2s
2s
2s
σ2s
σ*1s
1s
1s
σ1s
C の原子軌道
C 2の分子軌道
C の原子軌道
結合次数 2
c)
F2 の電子配置は図 4-23(a)に示すようになり,結合次数は 1 である。
これに対し F2− では,反結合性の σ2p* に電子が 1 個加わるため,結合
次数が 0.5 になる。一方 F2+ では,F2 の電子配置から π2p* の電子が 1 個
取り除かれるために,結合次数は 1.5 となる。以上より,結合次数は,
F2−,F2,F2 + の順に高くなり,それに対応して結合解離エネルギーも大
きくなる。
3)
a)
A 非結合性
B 結合性
C 反結合性
b)
C
2s
1s
B
A
1s
Liの原子軌道
LiHの分子軌道
Hの原子軌道
結合次数 1
3
c)
–30
5.88 ×(3.336 × 10
–9
0.160 × 10
)
= 1.23 × 10–19 C
Li 原子 1.23 × 10–19 C
H 原子 – 1.23 × 10–19 C
4)
a)
シアン酸
H
O
C
N
C
O
イソシアン酸
H
N
b)
シアン酸
∠ HOC 109.4°
∠ OCN 180°
イソシアン酸
∠ HNC 120°
∠ NCO 180°
c)
シアン酸
酸素原子 sp3 混成軌道
炭素原子 sp 混成軌道
イソシアン酸
窒素原子 sp2 混成軌道
炭素原子 sp 混成軌道
5)
a)
ア) F
O
F
イ) F
Kr
F
F
ウ) F
4
Cl
F
章末問題解答 第4章
エ) N
F
F
F
オ) S
F
F
カ) F
F
F
F
Xe
F
F
F
キ) C
F
F
F
ク) F
F
Br
F
F
F
ケ) As
F
F
コ) F
F
F
F
F
F
Se
F
F
F
5
b)
イ),ウ),オ),カ),ク),ケ),コ)
c)
ア)折れ線形
イ)直線形
ウ)T 字形
エ)三方錐形
オ)シーソー形
カ)平面四角形
キ)四面体形
ク)四方錐形
ケ)三方両錐形
コ)八面体形
d)
ア),ウ),エ),オ),ク)
6)
a)
不対電子
第 3 章で学んだように,原子軌道には電子が 2 個まで入る。原子
軌道に電子が 2 個入るとき,これが電子対をなす。原子軌道に 1 個
しか電子が入っていない場合,この電子は対をつくらない。これを不
対電子という。分子軌道の場合も同様に,軌道に 1 個しか電子が入っ
ていない場合,これを不対電子という。
b)
非共有電子対
共有結合は,2 個の原子が不対電子を出し合って,電子対(結合電
子対)を形成することでつくられる。共有結合で結びつけられている
原子は,共有結合に関わらない電子対をもともと持っている場合があ
る。このような電子対を非共有電子対という。
c)
結合性分子軌道,反結合性分子軌道
分子軌道法では,一般的に,分子を構成する原子の原子軌道をもと
にして分子軌道を構築する。元の原子軌道に比べエネルギーの低く
なった分子軌道を結合性分子軌道,高くなった分子軌道を反結合性分
子軌道という。
d)
永久双極子モーメント
分子を構成している原子の電気陰性度に差がある場合,分子内の電
荷分布に偏りが生じる。その結果,分子に双極子モーメントが生じる
場合がある。この双極子モーメントは,分子の立体構造や電荷の偏り
方に依存した,その分子固有の量であり,永久双極子モーメントとい
う。
6
章末問題解答 第4章
e)
σ結合,π結合
原子価結合法では,不対電子の入った 2 つの原子軌道の重なりに
よって共有結合が形成されると考える。軌道の重なりが結合軸上にあ
り,結合軸に対して対称的となっている結合をσ結合という。一方,
結合軸と垂直方向を向いた p 軌道同士の重なりのように,軌道の重
なりが結合軸に対して対称的でないような結合をπ結合という。
f)
昇 位
ベリリウム,ホウ素,炭素原子の原子価はそれぞれ 2,3,4 であ
るのに対し,これらの原子は基底状態でそれぞれ 0 個,1 個,2 個の
不対電子しか持たない。この違いを解消するために,これらの原子で
は,分子をつくるときに,基底状態とは別の原子価状態に移っている
と考える。この原子価状態は,基底状態で電子対をつくっている電子
の 1 個が,よりエネルギーの高い軌道に移ることで,基底状態に比
べ 2 個多い不対電子をもつ。このように原子が基底状態から原子価
状態に移ることを昇位という。
g)
共 鳴
分子軌道法によれば,多原子分子の結合に関わる電子は分子を構成
する 3 個以上の原子にわたって非局在化する。しかし原子価論やそ
れに立脚した原子価結合法では,2 個の原子間で共有結合が形成する,
という前提をおいているために,実際の結合を正しく表現できない場
合がある。このような場合,原子価に基づいて描いた複数の構造式(極
限構造式)を用いて表現する。これを共鳴という。実際の構造は,こ
れら極限構造式を平均したものであると考えられる。
h)
分散力
無極性分子は永久双極子モーメントを持たないが,原子核と電子の
位置の違いに起因して一時的な双極子が生じている。この一時的な双
極子によって隣接する無極性分子に双極子が誘起される。その結果,
無極性分子の間にも,一時的な双極子とそれにより誘起される双極子
の間で弱いながら引力がはたらく。この引力を分散力という。
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