診察室からナースが消えた? -看護師のいない外来診察室 クラークの役割

診察室からナースが消えた? -看護師のいない外来診察室 クラークの役割
医療法人財団中山会 八王子消化器病院 クラーク課
手塚 由実子
村上 麻里
木場田 博代
【目的】
近年、全国的に医師・看護師不足が深刻化し、社会問題となっている一方、インフォーム
ド・コンセントやセカンド・オピニオン等の患者の権利意識の高まりに伴い説明書・承諾
書の作成や署名手続き等の医師の事務作業が急増している。また、国による在宅医療・介
護政策が推進される中、外来部門の看護師には、短い時間の中で患者に対する様々な対応
が求められている。このような状況下において、事務職員の積極的な活用により医師およ
び看護師が本来業務に専念できる環境を整備すべく、当院では平成 14 年にクラーク課の業
務拡大を図り、診療・看護周辺業務の整備・代行を始めた。今回は、その業務の中で最も
成果の大きかった診察介助業務を中心に報告する。
【方法】
診察室に従来の看護師に代えて専任のクラークを配置したうえで、診察室におけるクラー
クの業務として電子カルテの入力支援、予約外検査時における関係部署との連絡調整、検
査・処置等に関わる承諾書の準備等の事務作業補助に着手した。その後、診察・検査予約
の変更手続き、医師の指示の下でのオーダー代行(検査および入院に伴う点滴・食事等)
まで拡充した。なお、平成 19 年に厚生労働省の「医師及び医療関係職と事務職員等との間
等での役割分担の推進について」の通知を受け、現在ではクラーク全員(11 名)が医師事
務作業補助者の認定を受けるに至っている。
【結果】
クラークによる事務作業補助、オーダー代行、各部署との連絡調整等により、医師および
看護師がその本来業務に専念できる環境を整備し、負担軽減に繋げることができた。また、
医師、看護師、クラークが適切に役割分担し、連携を密にすることで診察等の待ち時間解
消に資するとともに患者の病状に応じた緊急時の対応等も診察室に看護師がいなくても円
滑に行うことができるようになった。
【結語】
現在、クラーク課による診察介助は院内で定着し、医師を初めとする他部署職員からも信
頼を得られるようになった。また、看護師ではなく事務職員が診察に同席することで、患
者側の視点に立ったサービス提供ができていると考えている。今後も更なる医療サービス
の質向上を図るためには、より専門性の高い知識と経験が求められることから、院内の医
師および医療専門職者に講師を依頼して疾病および検査・薬剤等に関する課内勉強会を開
催したり、患者サービスのオピニオン・リーダーたるべく接遇・マナー研修にも積極的に
取り組んでいる。