ITを活用した金融の高度化の推進に向けたワークショップ 第3回「商流

2016 年 4 月 8 日
日
本
銀
行
金 融 機 構 局
金融高度化センター
ITを活用した金融の高度化の推進に向けたワークショップ
第3回「商流情報を活用した金融の高度化①」における
プレゼンテーション要旨
Ⅰ.はじめに
日本銀行では、IT を活用した金融の高度化の推進に向けたワークショップ1を
随時実施している。2016 年 3 月 11 日に、その第 3 回となる「商流情報を活用し
た金融の高度化①」を、以下のプログラムで開催した。
<プログラム>
▼ 開会挨拶 岩下 直行(日本銀行 金融機構局 金融高度化センター長)
▼ 論点整理
山口 省藏(日本銀行 金融機構局 金融高度化センター
副センター長)
▼ プレゼンテーション
「企業ビッグデータを活用した商流分析」
北村
慎也
氏(株式会社帝国データバンク 顧客サービス統括部
先端データ分析サービス課 課長)
後藤
隼人
氏(株式会社帝国データバンク 顧客サービス統括部
先端データ分析サービス課 主任)
「受注情報を利用した信用リスク評価とその活用について
~IT の進展による金融の高度化の視点から~」
山中
卓(日本銀行 金融機構局 金融高度化センター)
▼ 自由討議
―
参加者については別添を参照。
―
ワークショップにおけるプレゼンテーション要旨等は、以下のとおり。な
お、自由討議の模様については、次回ワークショップ「商流情報を活用した
金融の高度化②」における議論の内容と合わせて取りまとめることとする。
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日本銀行では、2014 年 10 月から 2015 年 7 月にかけて「IT を活用した金融の高度化に関
するワークショップ」
(第 1 期)を開催した。その後、IT を活用した金融の変革の可能性を
広く紹介するとともに、IT を活用した高度化を進めるうえでの課題への検討を深める目的
で、第 2 期として標記ワークショップを開催している。
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Ⅱ.開会挨拶(日本銀行 岩下 直行)
本日のワークショップ第 3 回と、来月開催予定の第 4 回では、連続して「商
流情報を活用した金融の高度化」をテーマに取り上げる。このテーマは、本
ワークショップの第 1 期においても重要なテーマであったが、実は 2013 年に
当センターが開催した「商流ファイナンスに関するワークショップ」の内容
とも連続している。
今回および次回は、商流情報の活用に関係する方々にも、新たにラウンド
テーブルに参加していただいている。是非、活発な意見交換が行われること
を期待している。
Ⅲ.論点整理(日本銀行 山口 省藏)
本日は、
「金融界において商流情報をどう活用するか」を取り上げるが、その
前提として、これまでのワークショップを通じて認識した商流情報活用の現状
について、簡単に説明したい。
(1)商流とは
「商流」の意味するところについては、①仕入をして、出荷をして、代金の
決済をして、また仕入れる、といった、「循環する事業の流れ」を指す場合と、
②「企業間の取引のネットワーク」を指す場合がある。本日のワークショップ
でも、この二つの意味で商流を捉えている。
(2)従来の企業評価手法の課題
金融機関において、これまでの企業の評価は、財務の実績を重視したもので
あった。その上で、与信を行うかどうかは、不動産を中心とした担保の有無を
含めて評価し、決定していた。これ自体は、優れた手法であるが、課題もある。
まず、①財務の実績を表す B/S、P/L が、特に中小企業においては、実態と乖
離していることがある。また、②B/S、P/L がある特定の一時期を示す指標でし
かないことから、その後大きな変化があったとしても、その認識に遅れが生じ
てしまう。
もう一つは、金融界の殆どがこの評価手法で企業を評価していることに伴い、
こうした手法で評価できる企業に対しては、金融機関の貸出が殺到し、その結
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果、競争が激化し、利鞘の圧縮に見舞われている。一方で、こうした従来手法
で評価しにくい企業、例えば、創業間もない企業などにおいては、資金調達が
しにくいままとなりがちである。
従来の手法の課題が明確になり、新たな企業評価手法を探る必要がある中、
その一つとして「商流情報の活用」が考えられる。
(3)商流情報を活用した信用評価
B to C のマーケットでは、インターネット販売を行う企業に対し、商流情報
を活用した与信ビジネスが、金融機関以外の主体によって展開されるように
なった。この点に関しては、インターネット販売を行うショップとクレジット
カード会社の間の決済サービスを担う GMO が、第 1 期の IT ワークショップの
第 3 回において発表した。GMO では、
「ショップで扱う商品がインターネット
で売れた」という情報を得られるので、その情報を基にクレジットカード会社
からの決済が行われるまでの運転資金を融資するといったビジネスを展開して
いる。
そうした融資によって、2%~12%の金利が取れるようである。こうした商流
情報を握っているのは GMO のほか、Amazon や楽天であり、
「インターネット
販売の小売りに占めるウェイト」の拡大に伴い、こうした EC2決済の仲介業者
による与信業務のプレゼンスも拡大していくものと予想される。
一方、B to B のマーケットでは、状況が異なる。企業間の EDI3を資金決済と
結び付け、金融 EDI とする構想があるが、今後、金融界を中心に実現に向けて
努力していく、といった段階にある。遅れている段階にあるがゆえに、金融機
関がこれを活用していく可能性も十分に残されている。
(4)信用評価以外への商流情報の活用
商流情報の活用は、与信判断に限られるものではない。以前、商流ファイナ
ンスに関するワークショップで、鹿児島銀行は、取引先企業の企業間ネットワー
クを可視化するシステムの説明をした。そこでは、
「直接の取引先だけではなく、
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Electronic Commerce. インターネットやコンピューターなど電子的な手段を介して行う商
取引の総称。狭義には、Web サイトなどを通じて企業が消費者に商品を販売するオンライ
ンショップのことを EC と呼ぶこともある。
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EDI(Electronic Data Interchange)とは、取引データを電子的に交換する仕組み。EDI にお
ける受発注等の商取引データに加えて、支払指図等の資金決済データも併せて交換する仕
組みを「金融 EDI」と呼んでいる。
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その販売先も含めて支援する」といったように、企業間のネットワークを把握
した上での、企業支援や営業の重要性が示された。
また、横浜銀行からは、口座の入出金情報といった一種の商流情報を活用し
たマーケティングとその他のビッグデータとの連携について、第 1 期の IT ワー
クショップの第 4 回において説明をしてもらった。
今回と次回では、企業間のネットワークに関する情報や EDI 情報の与信業務
への活用、口座情報からの企業間ネットワークの把握、さらにその他のデータ
との連携について取り上げていきたい。
Ⅳ.プレゼンテーション要旨
1.「企業ビッグデータを活用した商流分析」(帝国データバンク
北村 慎也 氏、後藤 隼人 氏)
(1)地方創生と主要取引先データの位置付け
帝国データバンクは、信用調査に基づく信用情報を取り扱う会社である。当
社には、膨大なデータが集積されており、以前から、当該データを活用した様々
な分析や研究を内部で進めてきている。本日は、その中から、主要取引先およ
びシェアのデータを使用して、日本の企業や産業の構造が把握できないか、と
いう問題意識でアプローチした研究成果の一部を紹介する。
地方創生に向けた地方自治体の取組みを、データ面から支援するために整備
された「地域経済分析システム」
(RESAS4)において、当社が所有する商流(企
業間取引)データが使用されている。当社のデータが RESAS に採用されたの
には、2013 年放映の NHK スペシャル「震災ビッグデータⅡ」において、当社
のデータを使用した分析により、復興の中心的な担い手になり得る、地域の商
流の中核企業を発見できたことがきっかけとなった。また、当社のデータが現
地現認に基づく信頼性の高いものであるとともに、当社がデータの分析・研究
作業を単独で行うのではなく、大学との共同研究を通じて幅広い知見を取り入
れていることも評価されたようである。
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Regional Economy and Society Analyzing System. 各地域の産業、人口、観光等のデータを格
納したデータベースであり、地方自治体が地方版総合戦略を作成する際に、可視化した形
で情報を提供している。
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現在、共同研究を進めているのは、東京工業大学、東京大学、筑波大学、首
都大学東京である。このうち、東京工業大学の高安美佐子先生の研究室では、
当社のデータと、それ以外の様々なデータ(交通量、POS5データ等)を組み合
わせることにより、経済状況を的確に把握できる新しい尺度を見出すための研
究を続けている。また、一定のシナリオのもとで、将来の企業や産業のつなが
りを予測し、合併や倒産を予測するモデルを作る研究も進めている。さらに、
同大学の出口弘先生の研究室では、
「モデルを通じて社会を科学する」を合言葉
に、産業連関表を企業単位で作る研究を行っている。従来の産業連関表は、都
道府県単位で数年ごとに改定されるが、企業の商流情報を活用して毎年更新す
ることができないか、研究・検証を続けている。
RESAS で利用が可能な分析メニュー(マップ)のうち、地域の産業が域外か
らお金を稼ぐ力や、付加価値・雇用を生み出す大きさを示す「産業マップ」に、
当社のデータが使用されている。企業の主要取引先データを積み上げることに
より、主要産業の全体像(マクロ)および個々の企業へのお金の流れ(ミクロ)
が把握できるほか、取引のつながりが地図上に表示できるため、目に見えるか
たちで理解することができる。また、当社が所有する長期時系列データのうち、
直近 6 年分のデータを当該システムに格納しているため、データのトレンドが
把握できる。こうした分析を通じ、地域経済を支える「地域中核企業」の業績
の変動が、地域内にどのように伝わっていくか把握でき、優先的に支援するべ
き企業や産業を導き出せる。なお、「地域中核企業」は「コネクターハブ企業」
とも呼ばれており、域外の企業とのつながり(コネクト)の強さと、地域内の
企業との取引(ハブ機能)の大きさを基に評価している。
(2)主要取引先データの活用例
当社が作成している信用調査報告書の対象企業数は約 140 万社に上る。1 社
あたり 30~40 ページの報告書を作成しており、財務データのほか、主要取引先
のデータが記されている。当社が蓄積している主要取引先のデータベースは、
これをつなぎ合わせたものである。140 万社のうち、主要取引先データをつな
げられたのは 75 万社となっている。データをつなげられなかった企業には、個
人取引が主体の企業などが多く含まれていると考えられる。
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Point Of Sales system. 店舗で商品を販売するごとにその情報を記録し、集計結果を在庫管
理やマーケティング情報として用いるシステム。
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こうした主要取引先に関する情報には、売り手・買い手企業の双方の認識に
相違があるという特徴がある。例えば、大手自動車メーカーB 社と、そこに部
品を納入している A 社の主要取引先データを比較すると、A 社の販売先リスト
には B 社が記載されている一方、B 社の仕入先リストには A 社が記載されない
ケースが少なくない。これは、中堅・中小企業などの売り手企業では、販売先
リストにおいて大企業が上位を占めるが、大企業などの買い手企業では、仕入
先が多数に上る中、取引順位が上位の先しか調査報告書に記載されないためで
ある。このような売り手・買い手企業双方の認識の相違が、主要取引先データ
を用いた地域産業の分析に、どのような影響を及ぼしているかについては、現
在も研究を進めている。
企業間でつないだ主要取引先データを使用して、個別企業の事業を分析・評
価できるだけでなく、産業や地域などの集計単位に変換し、その中で企業同士
がどのように影響を及ぼし合っているのかをみることができる。また、バリュー
チェーン・サプライチェーンといった商流に、資本関係情報を組み合わせた分
析も可能である。
個別企業の事業を評価する場合は、まずその業界全体の構造を把握する必要
がある。例えば、かばん屋の事業を評価する場合、最初にかばん業界全体の主
要取引先データ等を把握したうえで、同じ業界の大手企業の主要取引先データ
等と比較して、評価対象企業のビジネスモデルの特徴などを分析している。
資本関係情報を組み合わせたバリューチェーン分析の具体例として、日本
KFC ホールディングス(ケンタッキー・フライド・チキン)の分析結果を紹介
したい。同社の分析結果において特徴的だったのは、バリューチェーンの重要
な部分(企業)の殆どは、三菱商事の出資企業だったことである。原材料(鶏
肉)、包装用紙、飲料に止まらず、不動産取引の関連企業にも三菱商事の出資が
入っており、ガバナンスが効いた体制であるとの評価が可能であった。
(3)商流情報を用いた企業間のリスク伝搬分析
当社では、調査対象企業ごとに経営の健全性や支払能力を評価したうえで評
点を付与しているが、影響力がある企業の評点の変動と、その取引先企業の評
点の変動率に相関があることが確認できている。また、企業の販売・調達のネッ
トワークの構造が把握できれば、仮にそのうちの 1 企業に何らかのショックが
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発生した場合に、どのようなかたちで影響が伝搬していくのか分析することが
可能となる。
具体的な事例として、シャープとその取引先企業の分析結果を紹介する。
シャープの経営悪化が新聞報道に取り上げられた 2012 年 6 月を境に、シャープ
本体の評点は下がり始め、別途算出している倒産予測値(上昇するほど倒産確
率が高まる)が上昇している。また、シャープの一次取引先企業の評点の動き
をみると、シャープの評点の低下に遅れることなく、2012 年 6 月を境に評点が
悪化した企業の割合が増えていたことが確認できている。こうした取引先間の
評点の相関に着目して、ある会社の業績変動や倒産予測値の上昇が生じた際に、
企業間ネットワークにどのように波及するかを予測するモデルを作成している。
これを基に、ストレステストを実施すれば、経済全体としてのショックの大き
さも予測できる。
2.「受注情報を利用した信用リスク評価とその活用について ~IT の進展による金融の
高度化の視点から~」 (日本銀行 山中 卓)
(1)はじめに
本プレゼンテーションでは、金融機関の与信関連業務における受注情報・
金融 EDI の活用可能性を検討する。具体的な話題として、①PO
(Purchase Order)
ファイナンスの実行における金融 EDI の活用可能性、および、②融資先の信
用リスク評価・モニタリングにおける金融 EDI の活用可能性、を取り上げる。
これらの話題の対象となる企業は主に受注生産を行っている企業であり、そ
の中でも特に中小・零細の企業にとって受注情報を活用するメリットが大き
いと考えられる。
(2)PO ファイナンスにおける金融 EDI の活用可能性
PO ファイナンスは、企業が受注を受けた段階で銀行から借り入れを行い、
その返済に発注元から回収した売上金をあてるといった融資手法である。PO
ファイナンスは、受注から売上金回収までのサイトが長い場合の運転資金の
調達手段として有用と考えられ、これまで建設業などへの融資で活用されて
きた。発注元への納品の確実性が高ければ、融資する側の金融機関のリスク
は、発注元の売上金支払いの確実性、すなわち、発注元の信用リスクに概ね
依存していると言える。同様に、手形割引や売掛金のファクタリングも発注
元の信用力に依拠した資金調達の例と言える。このような発注元の信用力に
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依拠したファイナンスは中小・零細企業の資金調達で有用と考えられる。な
ぜなら、零細企業や業歴の短い企業であっても優良な企業を発注元として
もっていれば、その信用力を裏付にして資金を調達可能であり、さらに、よ
り低い金利で資金調達できる可能性も生まれるからである。
金融機関は PO ファイナンスの実行において、受注情報と発注元の信用力情
報を確認する必要がある。それらの情報は、EDI や金融 EDI を利用すること
で迅速に取得することができる。さらに、金融 EDI から取得される決済情報
は受注が架空受注ではないことを示すものであるため、金融 EDI の履歴の蓄
積により、情報の信頼性も高めていける。
以上のように、PO ファイナンスによって新たな資金調達・融資の可能性が
生まれ、金融 EDI の活用によってそれが円滑に実行できるようになると考え
られる。
(3)信用リスク評価・モニタリングにおける受注情報の活用可能性
次に、融資先の信用リスク評価における受注情報の活用を検討したい。融
資先が、優良な企業を発注元としてもち、かつその受注額が安定しているか
伸びているのであれば、その融資先には確かなキャッシュ・フローがあると
みなせるので、その信用力は高いと考えられる。そのような融資先の受注状
況の把握は、従来から融資担当者による企業へのヒアリング等を通して行わ
れてきた。ここでは、EDI や金融 EDI によって取得した受注情報を定量的信
用リスク評価モデルと組み合わせることで、これまで人手をかけて行ってい
た企業のモニタリングをシステマティックに行うことを考える。
まず、受注情報をインプットとする信用リスク評価モデルを構築し、実証
分析を通して受注情報の有用性を確認する。今回構築した信用リスク評価モ
デルは、受注額の変動を出発点として、利益の変動、さらに企業資産価値の
変動を表現し、企業資産価値と負債額の比較によって債務超過に陥る確率を
デフォルト確率とみなして算出するモデルである6。実証分析に用いたデータ
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ここで構築したモデルは、いわゆる構造型モデルの範疇に入る。受注額から企業資産価値
に至るまでのモデル内の処理の流れは次のとおり:まず、受注額の変動リスクを受注額前
年同期比の時系列モデルと取引先デフォルト発生モデルで表現する。そこでは、取引先間
の受注額の連動性とデフォルト発生の連関性をとらえることができるモデルを採用する。
次に、受注に見合う売上高と損益分岐点分析を利用して算出したコストを合わせて、損益
を算出する。そして、得られた損益を内部留保として資産価値に加算することで資産価値
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は、愛知県の自動車部品メーカーである小島プレス工業の受注データである。
分析の結果、モデルから試算されたデフォルト確率の水準は財務情報に基づ
いて試算されるデフォルト確率よりも低いことが確認された。これは、小島
プレス工業への発注元の多くが信用力の高い企業であることや、受注額の時
系列変動が比較的安定していることに起因する。また、分析結果からは受注
額の減少に伴ってデフォルト確率試算値が高まることが確認された。さらに、
発注元の信用力が悪化するという仮想シナリオの下で、小島プレス工業のデ
フォルト確率試算値が高まる様子が確認された。
以上の結果は、受注情報をインプットとする信用リスク評価モデルを組み
合わせたモニタリングシステムを構築することで、融資先の受注状況の変化、
すなわち、発注元の信用力変化と受注額の変化が、融資先の信用力に自動的
かつ遅れなしに反映できることを示している。したがって、EDI や金融 EDI
の活用が予兆管理の高度化や融資先モニタリングコストの軽減につながると
考えられる。
(4)まとめ
以上のように、与信業務において受注情報を活用すれば、リアルタイムの
融資先モニタリング・予兆管理ができること、そしてモニタリングコストの
削減につながることが示唆される。特に、受注情報の活用によってこれまで
融資できなかった先に融資できる可能性が出てくる。これは企業側のメリッ
トでもある。すなわち、発注元の信用見合いで資金調達ができる、あるいは、
よりよい金利・条件で資金調達できる可能性が出てくる。このような観点か
ら、受注情報の活用は優良な取引先をもつ中小零細や業歴の短い企業にとっ
て特に有益であると考えられる。これらのメリットを享受するためには、金
融 EDI のような仕組みがインフラとして必要になる。金融 EDI の実現へ向け
て各所で議論が進んでいるが、それが実現すればこれまでみたような与信業
務における業務高度化だけでなく、様々な金融業務の場面で受注情報が活用
できると考えられる。
以
上
を更新するとともに、利益の減少が見込まれる場合には資産価値に対して減損反映を行う。
最終的に得られた資産価値が負債額を下回るとデフォルトが発生するとみなしている。
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(別 添)
ワークショップ参加者(敬称略)
(プレゼンテーター)
北村 慎也
後藤 隼人
山中 卓
株式会社 帝国データバンク 顧客サービス統括部 先端データ分析サー
ビス課 課長
株式会社 帝国データバンク 顧客サービス統括部 先端データ分析サー
ビス課 主任
日本銀行 金融機構局 金融高度化センター
(招待参加者)
石黒 和彦
株式会社 三井住友フィナンシャルグループ IT イノベーション推進部
副部長
株式会社 セブン銀行 取締役 常務執行役員
稲葉 大明
日本リスク・データ・バンク株式会社 取締役 専務執行役員
上原 高志
翁 百合
株式会社 三菱東京 UFJ フィナンシャル・グループ イノベーション・ラ
ボ 所長
株式会社 日本総合研究所 副理事長
梶浦 敏範
株式会社 日立製作所 上席研究員
加藤 毅
株式会社 横浜銀行 営業企画部 マーケティンググループ グループ長
兼子 邦彦
小島プレス工業株式会社 総務統括部 参事
近藤 英朗
株式会社 みずほ銀行 e-ビジネス営業部 次長
斉藤 孝平
株式会社 NTT データ 第二金融事業本部 e-ビジネス企画室 課長
島田 直貴
株式会社 金融ビジネスアンドテクノロジー 代表
杉本 好正
中川 秀敏
NS フィナンシャルマネジメントコンサルティング株式会社 代表取締役
社長
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 准教授
中島
株式会社 インフォマート 取締役 経営企画本部長
井口 功一
健
吉田 知生
株式会社 NTT データ経営研究所 パートナー 情報戦略コンサルティン
グユニット長
公益財団法人 金融情報システムセンター 常務理事
吉本 憲文
住信 SBI ネット銀行株式会社 FinTech 事業企画部長
三谷 慶一郎
(日本銀行)
小早川 周司
決済機構局 参事役
別所 昌樹
金融研究所 制度基盤研究課長
田口 哲也
金融機構局 金融データ課長
岩下 直行
金融機構局 金融高度化センター長
山口 省藏
金融機構局 金融高度化センター 副センター長
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