主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人阿部正一の上告趣意のうち

 主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人阿部正一の上告趣意のうち、憲法三八条三項違反をいう点は、原判決が是
認した第一審判決は、判示第二及び第三の一ないし四の各事実の証拠として、被告
人の自白のほか供与の申込みを受けた者の証言、受供与者の検察官に対する各供述
調書等をも挙示しており、右証拠は、被告人が各実行行為の全部を自ら行つた本件
においては、補強証拠として十分なものと認められるから、所論は前提を欠き、判
例違反をいう点(「昭和二九年(あ)第一〇六五号同三二年五月二八日最高裁大法
廷判決」とあるのは「昭和二九年(あ)第一〇五六号同三三年五月二八日最高裁大
法廷判決」の誤記と認める。)は、所論引用の判例は、本件と事案を異にし適切で
ないから、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり決定する。
昭和五五年九月一〇日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 木 下 忠 良
裁判官 栗 本 一 夫
裁判官 塚 本 重 頼
裁判官 鹽 野 宜 慶
裁判官 宮 崎 梧 一
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