ステラショット/オートガイド機能の操作方法 準備 オートガイダーと赤道儀、およびオートガイダーとPCとを、それぞれ専用のケーブルで接続します。赤道 儀やカメラは、通常の撮影の場合と同様にPCに接続しておきます。 機材の接続ができたら、画面右の「サイドバー」で「設定」パネルを開き、「オートガイド」の設定からオ ートガイダーのメーカー名を選択します。また、すぐ下にある「焦点距離」の欄に、オートガイダー用ガイ ド鏡の焦点距離を入力します。ここで「オートガイド」の[接続]ボタンをクリックすると、ステラショットが オートガイダーに接続し、ボタン上のマークが点灯してボタンの表示が「接続中」に変わります。 続いて、通常の撮影の場合と同様に、「設定」パネルから望遠鏡やカメラを接続し、以下の設定やキャリ ブレーションを行ってください。 オートガイドの設定 画面右の「サイドバー」の下部にある「表示切替」で、[オートガイダー]を選択し、オートガイドビューに 切り替えます。この画面では、オートガイドに関する様々な設定や調整、ガイド状況のモニタなどを行い ます。 オートガイドビューの左側にある「フォーカス画像」には、現在オートガイダーで撮影している画像がリア ルタイムで表示されます。ここで「ゲイン」スライダーを最大にし、「露出」スライダーを0.5秒に設定して、 画面を見ながらオートガイダー用ガイド鏡のピントを合わせてください(オートガイダーの機種によって は「ゲイン」が変更できないものもあります)。 ガイド鏡にキャップをした状態で[ダーク取得]ボタンをクリックしてダーク画像を撮影すれ ば、ダーク補正を行うこともできます。なお、QHYCCDのカメラであればノイズは少ないた め、通常ダーク補正は必要ありません。 ピントが調整できたら、[モニタ開始]ボタンをクリックします。モニタが始まると、ずれを検出するための 基準となるレファレンス画像が作成されます。作成されたレファレンス画像からは、ずれを検出するため の基準となる星が最大10個まで検出され、画面上では赤い丸で表示されます。 レファレンス画像の作成時に、ダーク画像が設定されていない場合、自動的にホットピクセ ルやクールピクセルが除去されます。さらに、複数枚の画像を撮影してスタックを行います。 除去されるホットピクセルのしきい値や、スタックされる画像の枚数は、「設定」ダイアログで 設定できます。 generated by haroopad レファレンス画像が作成されると、連続的に撮影を行いながら、撮影した画像とレファレンス画像とのず れを測定します。撮影のインターバル(間隔)は、「インターバル」スライダーで変更できます。通常、撮影 インターバルは1秒、露出時間は0.5秒を目安にしてください。ただし、恒星が少ないときは、撮影インタ ーバルを1.5秒、露出時間を1秒にします。 画面には、赤経・赤緯方向のずれの量がそれぞれ赤色・緑色のグラフとして表示されます。ここで、赤 経・赤緯方向とともに、ずれの移動平均をとったグラフが少し暗めの赤色・緑色で描画されます。グラフ の縦軸は、ずれのピクセル数です。グラフの右にある[縦スケール]ボタンをクリックすると、グラフの縦 のスケールを拡大・縮小したり、自動でスケールを決める設定にすることもできます。 「フォーカス画像」に表示される画像で、ずれを確認することもできます。このとき、後に述べる方法で画 像を拡大し、適当な基準星を中心に表示しておくと、ずれの状態を監視しやすくなります。 モニタを開始したら、実際にガイドを始める前にずれの状態を見て確認しておきます。風が強い場合や、 ガイド鏡や赤道儀のセットアップが悪い場合には大きくずれます。そのような時には、機材の設置状態を チェックしなおすか、場合によってはガイドを諦めるなどの判断も必要です。 画面左の「フォーカス画像」は、マウスでドラッグして表示位置を変更したり、マウスホイールで拡大・縮 小することができるほか、画面上のボタンで次のような操作が可能です。 [拡大][縮小] 画像を拡大または縮小します。 [ピクセル等倍] 撮影した画像の1ピクセルが、PC画面の1ピクセルに対応するように拡大率を調整します。フォー カス画像の右下に表示されている「倍率」は、ピクセル等倍の時に1.0となる数字で表示されま す。 [画像全体を表示] 撮影した画像が画面内におさまるように拡大率を調整します。 [画像中央] 拡大率に関わらず、画像の中央が表示されるように表示位置を調整します。 [<][>] 基準星として選択された恒星を順番に画面中央に表示します。 「フォーカス画像」の右にある「スタック画像」は、ガイド用に撮影した画像を次々にスタックしたもので、 実際に長時間撮影した場合の星像の様子を確認できます。「フォーカス画像」の下にある[リセット]ボ タンをクリックすると、スタック画像を一旦クリアし、あらためてスタックを開始します。 キャリブレーション オートガイドでは、ガイドパルスと呼ばれる信号を送ることで赤道儀を制御しながら星を追尾します。ス テラショットが、補正のためにガイドパルスを発生させた場合、画面上のグラフには、発生したパルスの 方向に従って棒グラフが表示されます。オートガイド機能のキャリブレーションでは、ガイドパルスをさま ざまに発生させながら、望遠鏡が動く方向を確認したり、補正に必要なガイドパルスの長さを測定する など、機材の状態を自動的に検出します。 キャリブレーションを行う際には、オートガイダーのガイド鏡を天の赤道に近い方向に向けます。次に、で きるだけガイド鏡の視野を赤経・赤緯に沿った方向になるようオートガイダーを回転します。 [キャリブレーション]ボタンをクリックするとキャリブレーションが始まり、ボタンが「キャリブレーション 中」の表示に変わります。しばらくしてキャリブレーションが終了すると、ボタンの表示が元の「キャリブレ ーション」に戻ります。 キャリブレーションでは、次のような動作が順次実行されます。 まず、東西南北それぞれの方向にパルスを出して視野の動きを計測し、画像上の1ピクセ ル分を移動するのに必要なパルスの長さや、どのパルスでどちらの方向に動くかを検出し ます。ここで、赤経方向の変化量は、同じパルス長でもその赤緯によって変わるため、計算 によって補正しています。しかし、正確な値を得るためには、できるだけ天の北極や南極か ら離れた場所でキャリブレーションを行ってください。 キャリブレーション中にグラフに表示されるガイドパルス(棒グラフ)によって、移動を試行し ている様子がわかります。このパルスによる試行は、数回程度で赤経・赤緯や方向が切り 替わるのが理想です。グラフに表示されるパルスがあまり多いようであれば、「設定」ダイア ログでキャリブレーションの東西または南北のパルスの時間を長くしてください。 次に、撮影した画像と恒星カタログとのマッチングを行い、画像の北の方向を決定して、フォ ーカス画像上に方位を示す矢印を表示します。オートガイダーのカメラは東西および南北 の方向に沿っていたほうが補正方向を決定しやすいため、回転が大きくずれている場合は カメラの取り付けを調整したほうがガイドが良好になります。 一度キャリブレーションを実行すれば、システムが変わらない限りキャリブレーションを再実行する必要 はありません。逆に、機材の変更やケーブルの交換など、何らかの変更があった場合には、再度キャリブ レーションを実行してください。 キャリブレーションが終わったら、ガイドパルスを発生させるガイド鏡のずれのしきい値(ピクセル数)を 設定します。「設定」ダイアログを開いて「計算」ボタンを押し、メインカメラ上でのずれの許容範囲を「撮 影用カメラの画像上」の欄に入力します。この値が小さすぎると、シンチレーションのような微小なぶれ によってもガイドパルスが発生してしまうのでご注意ください。「撮影用カメラの画像上」の欄に値を入 力すると、「オートガイド用カメラの画像上」の欄に、オートガイダー上のピクセル数が表示されます。そ のまま「OK」ボタンを押すと「設定」ダイアログの「パルス発生しきい値」の赤経と赤緯の欄に「オートガ イド用カメラの画像上」の値が反映されます。 ガイド ここまでの準備ができたら、いよいよガイドを始めます。まず、赤経・赤緯の「アグレッシブ」を、スライダー を使って70%程度にしてください。 アグレッシブとは、ずれの量に対してどれだけのガイドパルスを発生するかを表す数値で す。ずれには、シンチレーションのような機械的ではない誤差が含まれるため、ずれを100% 補正するとオーバーシュートする(補正が効きすぎる)ことがあり、アグレッシブを下げること でこれを防ぐことができます。また、アグレッシブを下げることで、ずれの移動平均値を使う ため、突発的なずれはエラーとして無視されるようになります。 [ガイド開始]ボタンをクリックするとガイドが始まります。 ステラショットは、ここで再び画像を複数枚撮影してスタックし、この画像から恒星を検出して星表との マッチングを行います。 ガイドのずれが大きい場合は、次の点を確認してください。 特定の方向にずれていく場合 極軸が合っていません。極軸を調整してください。 突発的に視野が移動する場合 取り付けにゆるみがあります。クランプなどを確認してください。 不規則な方向にぶれる場合 風がある、地面がゆれるなどの不安定要因があります。 ガイドが安定したら、撮影を開始してください。 なお、ガイド中に「導入」や「導入補正」を実行すると、ガイドは中断され、「導入」や「導入補正」が終了 するとガイドが再開されます。 スケジュール撮影でオートガイド機能を使うには、「自動」パネルの右上にある「オートガイド」ボタンを ONにしてからスケジュールの実行を開始してください。これにより、スケジュールに応じてオートガイド の開始や中断、レファレンスの再作成などを自動的に行います。なお、「自動」パネルの「オートガイド」 ボタンをOFFにした状態であっても、「ガイド開始」ボタンを使ってオートガイドを実行している状態でス ケジュール実行を開始した場合も、スケジュール実行中にオートガイド制御が行われます。 設定ダイアログ オートガイドビューの[設定]ボタンをクリックすると、「オートガイド設定」ダイアログが表示されます。こ の画面では、オートガイダーの制御や撮影に関するさまざまなパラメータを調整できます。 なお、「◆」マークのある設定は、キャリブレーションやマッチングによって自動的に設定が変更されま す。 パルス発生しきい値 赤経 赤緯 オートガイダーのカメラで撮影される基準星の星像が、何ピクセルずれたらガイドパルス を発生させるかのしきい値を設定します。[計算]ボタンをクリックすると、オートガイダーの カメラと撮影用のカメラとのピクセル数の対応を計算するダイアログが開きます。この[計 算]ダイアログで撮影用カメラのピクセル数を入力すると、オートガイダーのカメラでのピ クセル数が計算され、OKボタンを押すと、しきい値の「赤経」「赤緯」の両方に値がセット されます。 ガイドパルス 東西方向(◆) 東西方向のずれを補正するパルスの時間の長さを指定します。「+」、「-」には、それぞれ のパルスを出す信号線を指定します。 東西遅延 東西方向のずれを補正するガイドパルスを発生させたとき、これによる変化がオートガイ ダーによって撮影されて画像として確認されるまでの時間を指定します。この値は、ガイド パルスを発生させた後に赤道儀が動き出すまでのタイムラグがあることによってさらにパ ルスを出してしまい、オーバーシュートするのを防ぐために使用します。 東西上限 東西方向のずれを補正するガイドパルスの長さの上限を指定します。鏡筒に触れたなど の原因で突発的に大きなずれが生じた場合、それに応じた大きなガイドパルスを発生さ せると、これを元に戻す補正に時間がかかってしまいます。ガイドパルスの長さに上限を設 けることで、このような問題を防ぎます。 南北方向(◆) 南北方向のずれを補正するパルスの時間の長さを指定します。「+」、「-」には、それぞれ のパルスを出す信号線を指定します。 南北遅延 南北方向のずれを補正するガイドパルスを発生させたとき、これによる変化がオートガイ ダーによって撮影されて画像として確認されるまでの時間を指定します。この値は、ガイド パルスを発生させた後に赤道儀が動き出すまでのタイムラグがあることによってさらにパ ルスを出してしまい、オーバーシュートするのを防ぐために使用します。 南北上限 南北方向のずれを補正するガイドパルスの長さの上限を指定します。鏡筒に触れたなど の原因で突発的に大きなずれが生じた場合、それに応じた大きなガイドパルスを発生さ せると、これを元に戻す補正に時間がかかってしまいます。ガイドパルスの長さに上限を設 けることで、このような問題を防ぎます。 南北レジスト回数 東西の動きは、ギアが常にかみ合っているためにバックラッシュはほとんどありませんが、 赤緯には通常大きなバックラッシュが発生します。そのため、赤緯方向に頻繁にプラス/ マイナスのパルスを出しても、ギアが浮いた状態になります。また、赤経方向はピリオディッ クモーションによって進み遅れが発生するのに対し、赤緯方向は極軸がずれているなどの 影響で、通常は一方向にずれていきます。このことから、赤緯方向については反対側のパ ルスを抑制したほうが良い場合が多く、この「南北レジスト回数」は、反対方向にパルスを 出す場合に何回以上連続的にずれた場合にパルスを出すかの設定です。 キャリブレーション 東西パルス 南北パルス キャリブレーション実行時に、東西、または南北方向のパルスを発生させる長さを指定しま す。あまり小さな値にすると動きが微小であるため、数値が不正確になります。 パルス発生間隔 キャリブレーション実行時に、パルス動作を確認するためのパルス発生間隔を指定しま す。間隔が短すぎると、前回のパルスで動いている途中で次のパルスが発生してしまいま す。 最大回数 パルスによる動作確認の最大回数を指定します。 最大移動ピクセル キャリブレーションのパルス発生中に、画像がどれだけのピクセル数動いたら、その方向 のパルス試行を終了するかを指定します。このピクセル数分だけ画像が動いた時点で、次 の方向のパルス試行に移ります。 パルス出力 ガイド端子/望遠鏡の微動 ガイドの補正を、オートガイダーのガイド端子へのパルスで行うか、望遠鏡の微動を直接 駆動するかから選択します。通常は、ガイド端子を使ってください。なお、「望遠鏡の微動」 によるガイド補正は、すべての望遠鏡で動作するわけではありません。 手動微動時のパルス 東西方向 南北方向 オートガイドビューの「手動微動」ボタンで発生させるパルスの長さを指定します。 画像関係 画像の回転(◆) オートガイダーで撮影した画像の回転角を指定します。真上が北であれば0度、ここから 時計回り360度まで、または反時計まわりをマイナスの角度で指定します。 レファレンスのスタック枚数 レファレンス画像を作成する際に、何枚の画像をスタックするかを指定します。 平均回数 アグレッシブの設定で補正を抑制する場合、移動平均を使用します。この移動平均のサン プル数を指定します。 ホットピクセル除去のしきい値 レファレンス画像の作成時に自動的に除去されるホットピクセルのしきい値を設定します。 レファレンス作成時のマッチング レファレンス画像を作成する際に、マッチングにより画像回転角を取得するかどうかを指定 します。 撮影用望遠鏡との位置差 位置角(◆) 角距離(◆) 撮影用望遠鏡で撮影した画像の中心と、オートガイダーで撮影した画像との関係を、位置 角・角距離で指定します。 マッチング時の範囲 マッチングによりオートガイダーの視野を恒星カタログとを照合する際に、撮影用望遠鏡 が向いている方向から半径何度の範囲を検索するかを指定します。 設定管理 リスト 登録されている設定の一覧が表示されます。特定の設定を呼び出したり削除するには、こ のリストで目的の設定を選択し、以下のボタンをクリックしてください。 [呼び出し] 「リスト」で選択されている設定を呼び出します。 [登録] ダイアログの設定内容を、名前を付けて「リスト」に登録します。 [削除] 「リスト」で選択されている設定を削除します。 [↑][↓] 「リスト」で選択されている設定を、上または下に移動します。 [現在の設定に戻す] ダイアログ上で修正された、または呼び出された設定を破棄し、設定ダイアログを開いた 直後の設定に戻します。 以上
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