2016 年 4 月 8 日 経済レポート けいざい早わかり(2016 年度第 1 号) 訪日外国人の増加と今後の課題 調査部 研究員 藤田 隼平 【目次】 Q1.訪日外国人が増えているそうですね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.1 Q2.なぜ増加したのですか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.2 Q3.どのくらい景気を押し上げる効果があるのですか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.3 Q4.海外景気の減速や円高の影響はありませんか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.4 Q5.さらに増やしていくために必要なことは何ですか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.5 ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。 (お問い合わせ)調査部 TEL:03-6733-1070 E-mail:[email protected] 1/8 Q1.訪日外国人が増えているそうですね 近 年 、 日 本 を 訪 れ る 外 国 人 の 数 が 増 え て い ま す 。 日 本 政 府 観 光 局 ( JNTO) に よ る と 、 2 0 1 5 年 の 訪 日 外 国 人 は 1 9 7 4 万 人 と 前 年 か ら 4 7 . 1 % 増 加 し 、過 去 最 高 を 更 新 し ま し た ( 図 表 1 左 上 )。 そ の う ち 最 も 多 か っ た の は ア ジ ア か ら の 旅 行 客 で 全 体 の 約 8 割 を 占 め ま し た 。な か で も 中 国 ( 4 9 9 万 人 )、 韓 国 ( 4 0 0 万 人 )、 台 湾 ( 3 6 8 万 人 ) の 上 位 3 カ 国 の シ ェ ア は 約 6 割 に も 上 り ま し た 。 北 米 ( 131 万 人 ) や 欧 州 ( 124 万 人 ) か ら の 訪 日 客 も 増 加 し て い ますが、それぞれのシェアは 1 割程度とあまり大きくありません。 訪 日 外 国 人 の 多 く は 観 光 目 的 で す が ( 図 表 1 右 上 )、 欧 米 な ど シ ェ ア が 小 さ い 地 域 か らの旅行者はビジネス目的の割合が比較的多くなっています。 ま た 、 訪 日 外 国 人 の 約 6 割 は リ ピ ー タ ー 客 で ( 図 表 1 左 下 )、 訪 日 シ ェ ア の 大 き い 国 ほ ど そ の 傾 向 が 強 く な っ て い ま す 。た だ し 、中 国 は 例 外 的 で 、初 回 の 割 合 の 方 が 高 く な っ て い ま す 。こ れ は 中 国 が 海 外 旅 行 の 裾 野 が 広 が る 黎 明 期 に あ る こ と や 、ビ ザ の 取 得が義務付けられていることで訪日の敷居がまだ比較的高いことなどが影響してい ると考えられます。 加えて、訪日外国人の多くは短期の滞在者です。1 週間未満の滞在が約 6 割、1 週間 以 上 2 週 間 未 満 が 約 3 割 、 2 週 間 以 上 が 約 1 割 と な っ て い ま す ( 図 表 1 右 下 )。 ま た 、 ア ジ ア か ら の 旅 行 客 は 短 期 滞 在 が 多 い の に 対 し 、欧 米 か ら は 長 期 滞 在 が 多 い の も 特 徴 で す 。こ れ は 地 理 的 な ア ク セ ス の よ さ や 、雇 用 慣 行 の 違 い に よ る 長 期 休 暇 の 取 り や す さの違いなどが影響しているとみられます。 図 表 1.訪 日 外 国 人 の 基 本 情 報 訪日外国人の推移 (万人) 2000 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 中国 台湾 その他 訪日目的(2015年) 韓国 その他アジア その他. 9.2% ビジネス. 20.1% 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年、暦年) (出所)日本政府観光局(JNTO) 観光・レ ジャー. 70.7% (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」 訪日回数(2015年) 滞在日数(2015年) 14日間以上. 12.1% 1回目. 41.3% 3回以上. 41.8% 7∼13日間. 26.5% 6日間以内. 61.4% 2回目. 17.0% (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」 (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」 ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。 (お問い合わせ)調査部 TEL:03-6733-1070 E-mail:[email protected] 2/8 Q2.なぜ増加したのですか? 海外旅行(アウトバウンド)市場の拡大は世界の経済成長と密接に関係しています。 経 済 成 長 に よ り 所 得 水 準 が 向 上 す れ ば 、そ れ に つ れ て 海 外 旅 行 へ 繰 り 出 す 人 々 の 裾 野 も 広 が る か ら で す 。日 本 の 場 合 も 、ボ リ ュ ー ム 層 で あ る ア ジ ア 地 域 で 高 い 経 済 成 長 が 続いていることが、訪日外国人の増加につながっています。 加 え て 、こ こ 数 年 は 訪 日 旅 行 に 割 安 感 が 出 て き た こ と も 、訪 日 外 国 人 の 増 加 テ ン ポ を 押 し 上 げ る 要 因 と な っ て い ま す 。 2012 年 末 以 降 、 そ れ ま で の 1 ド ル = 80 円 か ら 1 ド ル = 110∼ 120 円 ま で 円 安 が 進 み 、 外 国 人 の 購 買 力 は 約 1.5 倍 に 高 ま り ま し た 。 さ ら に 、 格 安 航 空 会 社 ( LCC) の 普 及 や 原 油 安 に よ る 燃 油 サ ー チ ャ ー ジ の 低 下 も 割 安 感 の 演出に寄与しました。 ま た 、ビ ザ 緩 和 と い っ た 制 度 面 の 変 化 も プ ラ ス に 働 い て い ま す 。ビ ザ に は 様 々 な 種 類 が あ り 、 そ れ ぞ れ 取 得 に 必 要 な 要 件 が 細 か く 定 め ら れ て い ま す 。 2014 年 に は 中 国 で 数 次 ビ ザ が 取 得 し や す く な る な ど 、ア ジ ア 諸 国 を 中 心 に 取 得 要 件 の 緩 和 が 進 め ら れ て おり、年々、日本を訪れるためのハードルは下がっています。 そ し て 、そ も そ も 海 外 に お い て 日 本 へ の 興 味・関 心 が 高 ま っ て き た こ と も 大 き な 要 因 と し て 挙 げ ら れ ま す 。2 0 0 3 年 以 降 、政 府 は 観 光 立 国 の 実 現 を 目 標 に 掲 げ 、ビ ジ ッ ト ・ ジ ャ パ ン・キ ャ ン ペ ー ン と 呼 ば れ る 訪 日 プ ロ モ ー シ ョ ン 活 動 を 進 め て き ま し た 。ま た 、 イ ン タ ー ネ ッ ト が 普 及 し た こ と で 、日 本 の 伝 統 文 化 や 漫 画・ア ニ メ な ど の ポ ッ プ カ ル チャーに対して、海外からも簡単にアクセスができるようになりました。その結果、 日本に対する理解が進み、潜在的な訪日需要が高まってきたと言えます。 Q3.どのくらい景気を押し上げる効果があるのですか? 訪 日 外 国 人 の 増 加 に と も な っ て 、日 本 で の 消 費 額 も 急 増 し て お り 、爆 買 い と 呼 ば れ る こ と も あ り ま す 。2015 年 の イ ン バ ウ ン ド 消 費 額( 訪 日 外 国 人 消 費 ) は 3 兆 4771 億 円 と 前 年 比 + 7 1 . 5 % の 増 加 と な り ま し た ( 図 表 2 )。 な か で も 中 国 が 1 兆 4 1 7 4 億 円 と 最 も 多 く 、2 位 の 台 湾( 5 2 0 7 億 円 )、3 位 の 韓 国( 3 0 0 8 億 円 ) に 大 き な 差 を つ け て い ま す 。 中 国 人 に よ る 消 費 額 は 前 年 比 + 153.9% の 増 加 と な り 、 イ ン バ ウ ン ド 消 費 全 体 に 占 め る 割 合 も 40.8% と 前 年 か ら 10% ポ イ ン ト 以 上 も 上昇しました。 中 国 人 の 消 費 額 の 内 訳 を 見 る と 、 買 い 物 代 が 8088 億 円 ( 構 成 比 57.1% ) と 全 体 の 6 割 弱 を 占 め 、 次 い で 、 宿 泊 費 2 5 0 3 億 円 ( 同 1 7 . 7 % )、 飲 食 費 2 1 1 3 億 円 ( 同 1 4 . 9 % )、 交 通 費 1094 億 円 ( 同 7.7% ) な ど と な っ て い ま す 。 ま た 、 買 い 物 に つ い て 品 目 ご と の 購 入 率 を 見 る と 、化 粧 品 ・ 香 水 、医 薬 品 ・ 健 康 グ ッ ズ ・ ト イ レ タ リ ー 、服 ・ か ば ん ・ 靴 、電 気 製 品 な ど 様 々 な 品 目 で 平 均 を 上 回 っ て お り 、1 人 あ た り の 購 入 額( 購 入 単 価 ) も 高 く な っ て い ま す ( 図 表 3 )。 イ ン バ ウ ン ド 消 費 の 規 模 は 名 目 G D P の 0.6∼ 0.7% 程 度 と ま だ 小 さ い で す が 、 過 去 1 0 年 で そ の 規 模 は 3 倍 程 度 に ま で 拡 大 し て い ま す 。特 に 2 0 1 5 年 は 訪 日 外 国 人 が 急 増 し た 結 果 、名 目 G D P 成 長 率 2 . 5 % の う ち イ ン バ ウ ン ド 消 費 の 寄 与 度 は 0 . 2 ∼ 0 . 3 % ポ イントと約 1 割にも上りました。 ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。 (お問い合わせ)調査部 TEL:03-6733-1070 E-mail:[email protected] 3/8 図 表 2. イ ン バ ウ ン ド 消 費 額 の 推 移 (億円) 45000 インバウンド消費額 (%) 45 中国比率(右目盛) 40000 40 35000 35 30000 30 25000 25 20000 20 15000 15 10000 10 5000 5 0 0 11 2010 12 13 14 15 (年、暦年) (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」 図 表 3. 中 国 人 の 爆 買 い ( 2015 年 : 品 目 ご と の 購 入 率 ) 0 10 20 30 40 50 60 (購入率、%) 70 80 菓子類 その他食料品・飲料・酒・たばこ カメラ・ビデオカメラ・時計 電気製品 化粧品・香水 医薬品・健康グッズ・トイレタリー 和服(着物)・民芸品 服(和服以外)・かばん・靴 マンガ・アニメ・キャラクター関連商品 書籍・絵葉書・CD・DVD 全体 中国 その他買物代 (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」 Q4.海外景気の減速や円高の影響はありませんか? 足 元 で は 中 国 な ど ア ジ ア 地 域 を 中 心 に 景 気 の 減 速 が 鮮 明 に な っ て い ま す 。訪 日 外 国 人 の 増 加 は ア ジ ア 地 域 の 高 い 経 済 成 長 に 支 え ら れ て い る 面 が あ り ま す 。こ の た め 、海 外 景 気 の 減 速 が 続 く 中 で 、 2016 年 は 訪 日 外 国 人 の 増 加 テ ン ポ が 鈍 化 す る 可 能 性 が 高 い と言えます。 ま た 、 年 初 来 進 ん で い る 円 高 も 懸 念 材 料 で す 。足 元 で は 1 ド ル = 1 1 0 円 程 度 ま で 円 高 が 進 ん で い ま す が 、訪 日 外 国 人 は 1 月 以 降 も 増 加 が 続 い て お り 、今 の と こ ろ 目 立 っ た 悪 影 響 は 確 認 で き ま せ ん 。し か し 、訪 日 外 国 人 1 人 あ た り の 消 費 額( 消 費 単 価 )に つ いてはマイナスの影響が出ている可能性があります。 ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。 (お問い合わせ)調査部 TEL:03-6733-1070 E-mail:[email protected] 4/8 2010 年 以 降 の 消 費 単 価 と ド ル 円 相 場 の 動 き を 見 る と 、 両 者 の 動 き は 概 ね 一 致 し て い ま す ( 図 表 4 )。 1 ド ル = 8 0 円 時 点 の 消 費 単 価 が 約 1 1 万 円 、 1 ド ル = 1 2 0 円 時 点 の 消 費 単 価 が 約 15 万 円 で あ る こ と を 踏 ま え る と 、 仮 に 1 円 の 円 高 が 進 め ば 消 費 単 価 は 1000 円 程 度 押 し 下 げ ら れ る こ と に な り ま す 。 少 額 に 思 わ れ る か も し れ ま せ ん が 、 訪 日 外 国 人 2 0 0 0 万 人 が 同 時 に 1 0 0 0 円 の 消 費 を 減 ら せ ば 、全 体 で は 2 0 0 億 円 の 減 少 と 決 して無視できない規模になります。 2016 年 は 海 外 景 気 の 減 速 や 円 高 と い っ た マ イ ナ ス 要 因 が 重 な り 、 イ ン バ ウ ン ド 消 費 は伸び悩むことになりそうです。 図 表 4. 消 費 単 価 と 為 替 相 場 (万円) (円) 16 130 消費単価 ドル・円(右目盛) 15 120 14 110 13 100 12 90 11 80 10 70 2010 11 12 13 14 15 (年、四半期) (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」、日本銀行 Q5.さらに増やしていくために必要なことは何ですか? 世 界 の 外 国 人 訪 問 者 数 ラ ン キ ン グ を 見 る と 、2 0 1 4 年 時 点 で 日 本 は 世 界 で 上 か ら 2 2 番 目 で し た 。 2015 年 に は も う 少 し 順 位 を 上 げ た と 予 想 さ れ ま す が 、 そ れ で も 上 位 と の 差 は ま だ 大 き い と 言 わ ざ る を え ま せ ん ( 図 表 5 )。 政 府 は 2016 年 3 月 末 に 開 催 し た 「 明 日 の 日 本 を 支 え る 観 光 ビ ジ ョ ン 構 想 会 議 」 に お い て 、東 京 オ リ ン ピ ッ ク が 開 催 さ れ る 2 0 2 0 年 に 訪 日 外 国 人 を 4 0 0 0 万 人 、イ ン バ ウ ン ド 消 費 額 を 8 兆 円 ま で 増 や す こ と を 新 た な 目 標 に 掲 げ ま し た 。今 後 も 、ア ジ ア 地 域 を 中 心 に 高 い 経 済 成 長 が 続 く 中 で 訪 日 外 国 人 の 増 加 は 続 く と み ら れ ま す が 、目 標 達 成 に 向けては課題もあります。 1 つ は 空 港 の 受 け 入 れ 体 制 の 強 化 で す 。訪 日 外 国 人 が 増 え る に つ れ て 、入 国 審 査 の 長 時 間 化 が 問 題 視 さ れ て い ま す 。こ う し た 状 況 を 受 け て 、最 近 で は 、成 田 国 際 空 港 と 関 西 国 際 空 港 に お い て 、入 国 手 続 き が 迅 速 に 行 え る よ う 、国 際 会 議 の 参 加 者 や 重 要 ビ ジ ネ ス 旅 客 向 け に 、専 用 の 入 国 審 査 レ ー ン( フ ァ ー ス ト レ ー ン )が 設 置 さ れ ま し た 。今 後も入国時の混雑緩和に向け、様々な対応が求められます。 さ ら に 、 空 港 の 発 着 枠 拡 大 も 急 務 で す 。2 0 2 0 年 に 政 府 目 標 で あ る 4 0 0 0 万 人 の 外 国 人 ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。 (お問い合わせ)調査部 TEL:03-6733-1070 E-mail:[email protected] 5/8 が 日 本 を 訪 れ た 場 合 、空 港 の 降 客 数 は 、海 外 旅 行 か ら 帰 国 す る 日 本 人 を 含 め る と 、2 0 1 4 年 の 3 0 0 0 万 人 規 模 か ら 倍 増 し て 、お よ そ 6 0 0 0 万 人 規 模 に ま で 膨 れ 上 が る こ と に な り ま す 。 こ れ は 国 際 線 1 便 あ た り の 搭 乗 率 を 高 め た と し て も 、 2014 年 対 比 で 1.5 倍 程 度の発着枠の増加が必要となる計算です。 ま た 、訪 日 後 の 受 け 皿 の 拡 大 も 課 題 で す 。東 京 や 大 阪 な ど 訪 日 外 国 人 に 人 気 の 大 都 市 圏 で は 、宿 泊 施 設 や レ ジ ャ ー 施 設 の 収 容 能 力( キ ャ パ シ テ ィ )が 限 界 に 近 付 い て い ま す。ホテルの稼働率は 8 割∼9 割まで上昇し、宿泊料も値上がりしています。 こ う し た 状 況 も あ っ て 、政 府 は 訪 日 外 国 人 の 地 方 誘 致 に 力 を 入 れ 始 め て い ま す 。実 際 、 2 0 1 6 年 度 の 観 光 庁 予 算 で は 、「 地 方 創 生 の た め の 観 光 地 域 づ く り 」 と し て 前 年 の 約 3 倍 に あ た る 63.7 億 円 が 計 上 さ れ ま し た 。 今 の と こ ろ 、 訪 日 外 国 人 の 訪 問 先 は 関 東 や 関 西 な ど 一 部 の 大 都 市 圏 に 集 中 し て お り 、東 北 や 四 国 な ど 地 方 に は ほ と ん ど 足 を 運 ん で い ま せ ん ( 図 表 6 )。 訪 問 率 は 低 く て も 訪 日 外 国 人 そ の も の が 増 え て い る た め 、 地 方を訪れる外国人の数も伸びてはいますが、まだまだ小規模です。 政府や地方自治体は地方へ外国人旅行者を誘致するための戦略として様々なプロモ ー シ ョ ン 活 動 の ほ か 、テ ー マ 性 の あ る 観 光 ル ー ト の 創 設 を 進 め て い ま す 。こ れ は 空 港 か ら 入 国 し た 外 国 人 を 地 方 へ と 誘 導 す る た め の ア イ デ ア で 、例 え ば 中 部 地 域 の「 昇 龍 道」や関西の「美の伝説」などが正式に国に認定されています。 地 方 へ の 誘 致 を 進 め る 上 で は イ ン フ ラ 面 の 整 備 も 欠 か せ ま せ ん 。大 都 市 圏 だ け で は な く 、地 方 に も 魅 力 的 な 観 光 資 源 は 数 多 く あ り ま す が 、外 国 人 に と っ て 不 満 な 点 が 多 い の も 事 実 で す 。観 光 庁 が 行 っ た ア ン ケ ー ト 調 査 に よ る と 、ク レ ジ ッ ト カ ー ド が 使 え る お 店 や 外 貨 の 両 替 所 、無 料 W i - F i ス ポ ッ ト が 不 足 し て い た り 、英 語 な ど 外 国 語 へ の 対 応 が 不 十 分 だ っ た り と 、イ ン フ ラ 環 境 の 不 十 分 さ を 指 摘 す る 声 が 多 く 聞 か れ ま す( 図 表 7 )。 今 後 、 地 方 で は 、 諸 外 国 や 国 内 先 進 地 域 の 事 例 を 参 考 に し つ つ 、 官 民 が 一 体 となって外国人の受け入れ環境の整備を進めていくことが期待されます。 図 表 5. 世 界 の 外 国 人 訪 問 者 数 ラ ン キ ン グ ( 2014 年 ) 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 (万人) 9000 1位 フランス 2位 米国 3位 スペイン 4位 中国 5位 イタリア 22位 日本 (出所)日本政府観光局(JNTO)、世界観光機関(UNWTO) ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。 (お問い合わせ)調査部 TEL:03-6733-1070 E-mail:[email protected] 6/8 図 表 6. 訪 日 外 国 人 の 訪 問 率 ( 2015 年 : 観 光 ・ レ ジ ャ ー 目 的 ) (%) 60 50 40 30 20 10 沖縄 九州 四国 中国 近畿 中部 北陸信越 関東 東北 北海道 0 (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」 図 表 7. 訪 日 外 国 人 が 不 満 に 思 う こ と 0% 10% 20% 30% 40% 50% 都市部 地方部 60% 目的地までの公共交通の経路情報の入手 公共交通の利用方法(乗り方)、利用料金 公共交通の乗り場情報の入手 公共交通の乗車券手配 観光情報(見所、文化体験等)の入手 観光チケット(入場券等)の入手 飲食店情報の入手 飲食店の予約 宿泊施設情報の入手 宿泊施設の予約 ツアー・旅行商品情報の入手 ツアー・旅行商品の予約 割引チケット・フリー切符の情報の入手 割引チケット・フリー切符の入手 無料公衆無線LAN 環境 両替・クレジットカード利用 外国語の通じる病院情報の入手 地図、パンフレット(多言語)が少ない 地図、パンフレットが分かりにくい 観光案内所の数が少ない 観光案内所の場所が分かりにくい ピクトグラム・サインが少ない ピクトグラム・サインが分かりにくい コミュニケーション その他 (注)アンケートの回答場所は、都市部では東京観光情報センター(都庁)、京都駅総合観光案内所、福岡市観光案内 所、旅館澤の屋。地方部では石川県金沢観光情報センター、飛騨高山観光案内所。都市部では回答数=278、地方部 では回答数=111。複数回答可。 (出所)観光庁「外国人旅行者に対するアンケート調査結果」(2011年) ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。 (お問い合わせ)調査部 TEL:03-6733-1070 E-mail:[email protected] 7/8 − ご利 用 に際 して − 本 資 料 は、信 頼 できると思 われる各 種 データに基 づいて作 成 されていますが、当 社 はその正 確 性 、完 全 性 を保 証 するものではありません。 また、本 資 料 は、執 筆 者 の見 解 に基 づき作 成 されたものであり、当 社 の統 一 的 な見 解 を示 すものではありま せん。 本 資 料 に基 づくお客 様 の決 定 、行 為 、及 びその結 果 について、当 社 は一 切 の責 任 を負 いません。ご利 用 に あたっては、お客 様 ご自 身 でご判 断 くださいますようお願 い申 し上 げます。 本 資 料 は、著 作 物 であり、著 作 権 法 に基 づき保 護 されています。著 作 権 法 の定 めに従 い、引 用 する際 は、 必 ず出 所 :三 菱 UFJリサーチ&コンサルティングと明 記 してください。 本 資 料 の全 文 または一 部 を転 載 ・複 製 する際 は著 作 権 者 の許 諾 が必 要 ですので、当 社 までご連 絡 くださ い。 ご利用に際してのご留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。 (お問い合わせ)調査部 TEL:03-6733-1070 E-mail:[email protected] 8/8
© Copyright 2024 ExpyDoc