北海道大学 サステイナブルキャンパス・エネルギー構想調査

平成26年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金 構想普及支援事業(Ⅰ事業化可能性調査)
成果報告書要約版
北海道大学 サステイナブルキャンパス・エネルギー構想調査
事業者名:国立大学法人北海道大学、◎北海道瓦斯株式会社、
〇日本環境技研株式会社
対象地域:北海道札幌市
実施期間:平成27年9月~平成28年2月
3.調査の結果
事業化の可否の結論:方向性を構想として提示、大学として推進する
事業化予定時期:短・中・長期にフェイズを分けて導入を進める
検討項目
1.事業の背景・目的
北海道大学は、地域レベルにわたる環境を守り、持続可能な社会の構築に努めるこ
とを環境方針として掲げており、「サステイナブルキャンパス」の実現を目指した取り組
みを推進している。
現在、大学の一次エネルギー消費量(173万GJ/年)の1/4を暖房エネルギーが占め、
その削減が急務となっている。今後、キャンパス内の施設建て替え、設備更新が進め
らる中、これまでの蒸気暖房システムと、導入が進む個別空調システムを最適化し、需
要ニーズとエネルギー消費抑制・エネルギーの有効利用を推進できる将来のキャンパ
ス内エネルギー利用の在り方・方針を定めていくことが必要である。
本調査においては、現状のキャンパス内のエネルギー利用状況を踏まえながら、中
長期の将来に向けて、「サステイナブルキャンパス」構築に貢献するエネルギーシステ
ムの方針・方向性を検討し、今後のキャンパスにおける施設整備・更新時の指針を検
討することを目的として実施した。
2.補助事業の概要
北海道大学の現状の課題を踏まえ、既存設備の熱導管、共同溝、熱源プラントを活
かし、蒸気熱導管方式を継続するエリアと、個別空調方式を選択するエリアの選定・見
直しを行い、キャンパス全体のエネルギー利用の最適化について検討を行った。
また、再生可能エネルギー利用やコージェネ導入、冷温水利用方式の導入など新た
な面的エネルギー利用について検討し、更なる省エネルギー・環境保全と防災対応な
らびに経済性について検討した。
また、キャンパス内におけるエネルギーマネジメントの導入について計画し、省エネ
ルギーやコスト削減に関する検討や、キャンパス全体のエネルギーの見える化・情報
発信について検討を行った。
<検討項目>
(1)エネルギー利用状況の調査
(2)コンセプト・考え方の整理
(3)エネルギーシステムの計画
(4)省エネルギー・環境保全性の評価
(5)経済性の評価
(6)エネルギーマネジメントの検討
(7)「サステイナブルキャンパス」に向けて(総合評価)
実施方法
検討結果
エネルギー利用状況ならびに 現状の対象熱需要量は約496,000GJ/年。
現在のエネルギーシステム状 想定したシステム(シナリオ)は次のとおり。
・現状
・個別空調重視
況を調査し、現状のエネル
・集中・個別選定(バランス型)
①EMSの構成 ギー需要、効率を把握。
その結果に基づき、導入シナリ ・上記+建物省エネ・配管断熱・EMS導入
オに合わせたエネルギーシス ・上記+次世代エネルギー(CGS、木質バイオマス、
太陽熱利用、井水利用)導入
テムを設定し検証した。
各シナリオ毎にエネルギー消
費量算定計算・エネルギーシ
ミュレーションを行い、省エネ・
②EMSの効果
環境性を算定・評価
③再生可能エネ
ルギーに関する
調査(任意)
④事業実施体
制・事業スキー
ム・スケジュー
ル
⑤事業採算性
評価
⑥他地域への
展開
【対象なし】
【対象なし】
キャンパスのエネルギー利用 サステイナブルキャンパス実現に向けて、北海道
の現状や、省エネ・環境性の評大学の総長直轄「サステイナブルキャンパス推進
価ならびに経済性評価に基づ 本部」と「施設部」が連携して推進。
き、導入方針・方向性を検討 施設の改修に合わせて、短期~中・長期に分け継
続して取り組んでいく
各シナリオあるいはシステム毎 最終目標としているシナリオでは、現状年間経費
に建設費・年間運転費を算定 (2,125百万円)の約9%(189百万円)の削減が可能
し、年間経費および熱原価によ各システム毎の経済性評価は、コージェネ◎、木質
バイオマス◎、太陽熱・井水△、CEMS〇、建物・配
り採算性を評価
管高断熱化〇(◎:10年以内に資金回収、〇:耐用
年数で資金回収、△:コストダウン等必要)
省エネ・環境性ならびに経済性 CEMS、コージェネ等は展開可能性が高く、木質バ
の算定結果に基づき、他の大 イオマスはチップの安定供給が前提。その他技術
は地域特性・条件で展開。
学への展開可能性を評価
調査結果を踏まえ、実現に向
けた手順、技術的・制度的、あ
るいは経済的課題を検討し、
⑦今後の展望・ 対応方針を検討
課題・対策
最終目標としているシナリオで、以下の効果。
・省エネ量183,000GJ/年、36.4%削減効果
・CO2削減14,600t/年、44.9%削減効果
CO2削減の内訳は、コージェネ17.8%、木質バイオ
マス2.5%、配管断熱1.9%、建物省エネ(CEMS/高
断熱化)で23.9%
集中・個別方式⇒エリアによって集中(パワーセン
ター)を継続、個別へ切替・転換
ネットワーク配管⇒継続エリアでは高断熱化
建物高断熱化/CEMSの導入⇒ルール・体制を
決め、建物改修に合わせて推進
コージェネ⇒補助活用を見据えて導入検討
木質バイオマス⇒チップ安定供給を検討
太陽熱/井水利用⇒コストダウン・実証として導入
4.地産地消型エネルギーシステムの概要
北海道大学 サステイナブルキャンパスに向けたエネルギーシステムの方向性
①集中・個別熱源の最適化とエネルギー有効利⽤の推進
⇒病院・⼯学部・農理エリアは集中(PC)⽅式を継続しつつ、他のエリア
は個別空調で最適化を、建物・設備の更新に合わせ⻑期的に推進
⇒個別空調は、GHP・EHPの特性に合わせて導⼊を推進(短期〜
⻑期)
⇒建物の⾼断熱化・配管の⾼断熱化は、費⽤対効果は⼤きくないが、キャ
ンパス全体の省エネルギーには⼤きく貢献する。施設の更新や建替え時
期に合わせながら⻑期的に取り組んでいく
②環境負荷低減に向けた地産地消・⾯的エネルギーの適切
な導⼊
⇒コージェネは補助制度活⽤を⾒据え、エネルギーサービス事業も視野に⼊
れて推進を図る(短期)
⇒⽊質バイオマスはチップの安定供給確保を前提に、補助制度を利⽤しな
がら中期的⽬標として導⼊していく(中期)
⇒太陽熱・井⽔利⽤はコストダウンや技術実証を踏まえ検討(⻑期)
③キャンパスのエネルギーマネジメントと⾒える化
⇒キャンパス全体のエネルギー最適化にCEMSは重要
⇒短期的には、CEMSの役割と⽬標を明確化し、キャンパス内の各建物
と情報共有を進めながら、エネルギーの⾒える化(中期)、更には最適
制御(⻑期)と進めていく
【エネルギーマネジメントシステムの構成】
アイテム
対象需要
EMSシステム
電源・
熱源
キャンパス内の熱需要量:496,545GJ/年(現状)
キャンパス内の集中供給暖房(パワーセンター)・個別空調の制御とエネルギー集計・利用情報の提供・見える化、その他付加価値
短期~長期(3期区分)
なし
-
風 力
なし
-
水 力
コジェネ等
その他
導入予定時期
(既設or新設)
太陽光
バイオマス
蓄電池
設備概要(出力、容量、用途、台数等)
木質チップボイラ 容量 480kW パワーセンター(病院エリア)へ熱供給
なし
常用コージェネ ガスエンジン発電機
中期
-
出力 4,200kW(2,100kW×2基) パワーセンター(病院エリア)へ熱供給
なし
建物の冷暖房について集中方式(PC)と個別方式をエリア区分し最適化を推進
建物の高断熱・省エネ化、配管の高断熱化を推進
短期
-
短期~長期(建物改修に合わ
せて)