オシロスコープの取扱い

オシロスコープの取扱い
以下に,実験で使用するオシロスコープ(KENWOOD
CS-4025, TRIO
CS-1566D)の前面パ
ネル図(図1,図2)と,そのつまみの簡単な説明,および初期設定位置を示す。
初期設定位置は,CH1, CH2 の入力信号を同時に観測し(2現象動作),CH1 の信号で同期を
かけ,信号の変化分を観測する場合の設定である。他の観測の場合は実験指導者の指示に従う
こと。
なお,機種によって,若干操作の異なる部分があるので,注意書き(*印)を参照のこと。
また,オシロスコープは他のグループと共用しており,初期設定が変わっている可能性がある。
実験を始める前には必ず設定を確認すること。
書式
番号 つまみ <初期設定位置>
説明
輝線関連
水平軸関連
①
⑨
②
③
④
POWER <使用時にON>
電源スイッチ
TRACE <適宜調整>
ROTATION
水平輝線の傾きを調整
INTENSITY <ほぼ中央>
輝線の輝度を調整
FOCUS <ほぼ中央>
輝線の焦点を調整
⑩
垂直軸関連
⑪
トリガ関連
⑤* (KENWOOD)
TRIGGER
LEVEL <ほぼ中央>
MODE <AUTO>
(TRIO)
TRIGGERLING <PULL, ほぼ中央>
LEVEL
トリガレベルを調整
⑥* (KENWOOD)
COUPLING <AC>
(TRIO)
SYNC <NORM+>
トリガ信号の結合方式を選択
⑦* (KENWOOD)
SOURCE <VERET>
(TRIO)
SOURCE <INT>
トリガ信号源を選択
⑧* MODE <ALTまたはCHOP>
垂直軸の動作モードを選択
単現象動作時
[CH1],[CH2]:CH1またはCH2の信号
のみ表示
2現象動作時
[ALT]
:CH1とCH2の入力信号を1掃
引ごと表示
[CHOP] :CH1とCH2の入力信号を1掃
引中に細分化(約200~250
KHzの繰り返し率)し表示
*SWEEP TIME/DIV が 0.5ms/div~0.5μ
s/div の高周波信号の時は[ALT]にし、
0.5s/div~1ms/div の低周波信号の時は
[CHOP]にする。
トリガとは「引き金」を意味し、ブラウン
管面の左端から波形を描き始める(掃引)
タイミングのことである。繰り返し同じ位
置に波形描くことで静止した波形が映し出
される。このことを「同期をかける」など
という。
POSITION <ほぼ中央>
波形の水平位置を調整
SWEEP TIME/DIV <入力周波数により調整>
VARIABLE <CAL(右いっぱい回す)>
水平掃引時間を調整
VARIABLEで微調整, CALの位置で校正
⑫
⑬
⑭
⑮
~
⑱
INPUT
CH1の垂直軸入力端子
BNC端子の一方は、アース(グランドGND)
端子であるから、回路上のGND側に接続し
なければならない。
POSITION <ほぼ中央>
CH1の波形の垂直位置を調整
VOLTS/DIV <CH1電圧値により調整>
VARIABLE <CAL(右いっぱい回す)>
CH1の垂直軸減衰器
VARIABLEで微調整、CALの位置で校正
AC-GND-DC <AC>
CH1の結合方法の選択
AC:入力信号の直流成分は除去され信号の
変化分のみ表示
GND:0Vの垂直位置の調整時に使用
DC:直流成分をも含めて表示
※入力信号の変化分のみ観測すれば良い場
合は[AC]にし、0Vからの電圧波形・値が
必要な場合は[DC]にする。
CH2に関するスイッチで、その働きはそれ
ぞれ⑪~⑭と同じ
2点間の電圧測定
CH1⑪に加えた信号の2点 A−B 間の電圧を測定する場合,
以下の手順で行う。
1.⑧を CH1 とし,⑩ ,⑬を調整して,
図3のように信号が
有 効 管 面 内 に 静 止 す る よ う に す る # 。このと き,⑬の
VARIABLE は,CAL の位置にしなければならない。
2.⑫を調整して,A 点を水平目盛線の一つに一致させる。
3.⑨で B 点が管面中央の垂直目盛線上に来るように調整
する。
4.A−B 間の垂直距離を測定する。
2点間の電圧 = 垂直距離[div] × ⑬の VOLTS/DIV の指標値
(例)図3において,⑬が 0.2[V/div]の場合
2点間の電圧 = 5.6[div] × 0.2[V/div] = 1.12[V]
位相の測定
基準信号⑪からの比較信号⑮の位相を測定する場合,以下の手順で行う。
1.2現象動作(⑧を ALT あるいは CHOP)とし,⑩, ⑬, ⑰を調整して,図4のように2つの信号
が有効管面内に静止するようにする#。
2.⑩の VARIABLE を調整して,波形の1周期(A−B 間)が 8 div になるようにする。このとき,1
div あたり 45 deg の位相になる。
3.⑫, ⑯で両波形を管面の中央に移動する。
4.基準信号の基準点 C から,左方にある比較信号の対応
点 D までの水平距離を測定する。
位相[deg] = 水平距離[div] × 45[deg/div]
(例)図4の場合
位相[deg] = 1.8[div] × 45[deg/div] = 81[deg]
※ここでの位相は,単なる位相差ではなく,基準信号から比
較信号がどれだけ進んでいるかという進み位相のことであ
り,正の値である。なお,比較信号の対応点が C 点より右
方にある場合,それは遅れ位相であり,負の値となる。
#波形が静止せず左右に流れる場合は,⑤を調整して同期をとる。
参考文献
KENWOOD
CS-4025,
TRIO
CS-1556D 取扱い説明書