現状と課題 ○ 各駅周辺で駐車場の整備が進んだことにより、区全体では一定の収容 台数が確保され、放置自転車台数も過去 10 年間で 70%以上減少して います。 ○ 一方、今後も自転車利用者は増加する見込みであり、駐車場所の確保 と放置自転車対策の継続的な取り組みが必要です。 ○ 駅毎にみると以下のように様々な問題が顕在化しています。 一部の駅では、駐車需要を十分に満たせていない状況にあります。 一定の収容台数が確保されているにも関わらず、周辺に放置自転車 がみられます。 自転車駐車場が未整備の臨海部の駅周辺では、駐車需要の増大が見 込まれます。 ○ 買い物を中心とする私事利用が増えていますが、自転車駐車場附置義 務の対象区域は、商業地域と近隣商業地域の 2 つのみで、これらの地 域は区の市街地面積のわずか 10%となっています。 - 53 - 基本方針 1 自転車駐車場の整備等 ○ 公共交通結節点である鉄軌道駅へのアクセスを目的とする駐車需要 に対しては、今後も区が自転車駐車場の整備や収容台数の向上を推 進します。なお、推進にあたっては民間活力も積極的に導入します。 ○ 商業・業務施設等、特定施設の利用を目的とする駐車需要について は、附置義務制度の見直しにより、施設側で環境整備を行うよう誘 導します。 2 放置自転車対策の一層の推進 ○ 定期・一時利用の配分調整や、弾力的な料金設定等により、放置自 転車を自転車駐車場へ誘導します。 ○ 自転車放置禁止区域を実情に合せて随時見直しを行うほか、自転車 駐車場誘導サインや、視認性の高い放置防止啓発横断幕を設置する など、様々な放置防止策を検討・実施します。 - 54 - 取組方針 1 自転車駐車場の整備等 本区内では、昭和 60 年 10 月に「江東区自転車の放置防止及び自転車駐車場の整備 に関する条例」を制定し、区内の各駅周辺に自転車駐車場の整備を進めてきました。 平成 28 年 1 月現在、52 か所、約 2.2 万台の収容能力があり、区全体では一定の駐 車需要を満たしています。 しかし、駐車需要の増加が見込まれる駅周辺や、収容台数が不足している駅周辺で は、今後も自転車駐車場を整備する必要があります。 公共交通結節点である鉄軌道駅へのアクセスを目的とする駐車需要に対しては、今 後も区が自転車駐車場の整備や収容台数の向上を推進します。一方、商業・業務施設 等、特定施設の利用を目的とする駐車需要については、施設側で環境整備を行うよう 誘導します。 (1) 駅アクセスを目的とした駐車需要への対応【拡充】 ① 江東区長期計画に基づいた自転車駐車場の整備 · 大規模開発に伴い、駐車需要の増加が見込まれる臨海部において、江東区長期 計画に基づいた自転車駐車場の整備を進めます。 対象駅 有明・国際展示場駅、新豊洲駅、市場前駅 (平成 29 年度開設予定) 周辺の大規模開発に伴う、駐車需要の増 大に対応するため、平成 27 年 4 月に 2,000 台の収容能力を持つ、豊洲駅地下 自転車駐車場を開設しました。 今後も臨海副都心では大規模開発の進 展が見込まれます。自転車駐車場未整 備駅では、駐車需要に応じた駐車場を 整備します。(写真は新豊洲駅) - 55 - ② 民間活用による自転車駐車場の整備 · 区が道路敷等に必要となる整備用地を確保し、民間事業者が施設整備と運営を 行う「民設民営自転車駐車場」の導入を進めます。 · この手法は、区の負担が少なく、効率的かつスピーディに自転車駐車場の整備 が行えるメリットがあります。 亀戸水神駅自転車駐車場 導入実績 南砂二丁目自転車駐車場 有明テニスの森駅自転車駐車場 整備予定の駅 新木場駅 (平成 29 年度開設予定) 江東区 民間事業者 場所の提供 設計、整備 管理運営 (道路占用手続等) 利用料金 利用者 図 図 民設民営自転車駐車場の事業スキーム 南砂二丁目における民設民営駐車場の整備事例 - 56 - ③ 既設自転車駐車場の収容台数の向上 · 収容台数の増加が必要であっても、既成市街地では用地の確保が難しいのが現 状です。これまでも機器の改修や入れ替えにより収容台数を増加してきました が、引き続き既設自転車駐車場の高度利用を推進します。 実績 大島駅自転車駐車場、住吉駅地下自転車駐車場など 実施内容 固定ラックからスライド式ラックに変更 変更前 変更後 増加数 620 台 977 台 +357 台 収容台数 図表 実施内容 住吉駅地下自転車駐車場における収容台数増加事例 コインポストを電磁ロック式ラックに変更 変更前 変更後 増加数 65 台 84 台 +19 台 収容台数 図表 大島駅自転車駐車場における収容台数増加事例 - 57 - (2) 私事利用等を目的とした駐車需要への対応【改善】 ○ 自転車駐車場附置義務の見直し · 附置義務対象区域外で進展する大規模開発や、対象外施設周辺で見られる著し い放置状況などを考慮し、附置義務制度の見直しを検討します。 · 区の市街化区域の約 96%で、自転車利用の多い「店舗等」や「事務所等」の建 設が可能となっていることなどを踏まえ、附置義務対象区域の見直しを最も優 先して検討すべき事項とします。 · 施設の用途や施設規模については、統計調査から得られた目的施設別発生集中 量などのデータや、他自治体の例を参考に、区の実態を把握しながら検討を進 めます。 優先検討事項 ・対象区域の見直し ・施設の用途、施設規模の見直し 検討事項 ・施設用途変更の場合の申請義務化 ・既存不適格施設への努力義務化 条例で定める附置義務の対象となっていない区域や施設の周辺で は、恒常的に放置自転車が見られるケースがあります。 (3) 自転車駐車場へのコミュニティサイクルポートの設置検討【新規】 · コミュニティサイクルは、公共交通機関の補完及び利用促進、自動車利用の抑制 のほか、放置自転車の削減効果なども期待されています。 · しかし、既成市街地ではサイクルポートのための新たな用地確保が難しく、公有 地等の活用が不可欠となっています。 · コミュニティサイクルの全区展開の検討と連動し、自転車駐車場内へのコミュニ ティサイクルポートの設置について検討を深めます。 - 58 - 2 放置自転車対策の一層の推進 本区ではこれまで、放置自転車の発生を抑制し、快適で安全な環境を実現するため、 放置自転車の撤去を中心に、様々な対策を講じてきました。 しかし、自転車駐車場の整備が進んでいる駅周辺においても、未だ自転車が放置さ れてしまう現状にあることから、今後も状況に応じ、柔軟な放置自転車対策を推進し ます。 (1) 自転車の放置防止および自転車駐車場への誘導【改善】 · 駅までの距離が遠い駐車場や、立体駐車場の上層階などでは、利便性の低さから、 利用がされにくく、駅周辺に放置されてしまうことがあります。 · 自転車の放置を抑止するため、自転車利用者への放置防止啓発、自転車駐車場情 報の広報等を推進します。 · また、私事利用の増加など、自転車利用の変化に併せて、定期・一時利用枠の見 直しなどを行います。 自転車の放置防止、および自転車駐車場への誘導策 ・定期・一時利用枠の見直し ・弾力的な利用料金の設定 ・自転車駐車場と自転車放置禁止区域を示したマップの配布 ・視認性の高い啓発横断幕の導入 ・駐車場内施設の利便性向上(例:交通系電子マネー対応、オートスロープの設置など) ・自転車駐車場への誘導サインの設置 歩道に並行に設置されていると、自転車運転 者の視界に入りにくくなります。 平成 26 年度より、視認性の高い啓発横 断幕を順次導入しています。平成 28 年 1 月現在、区内 6 駅に導入しています。 - 59 - 不特定多数の方が自 転車駐車場を利用す ることを踏まえ、自 転車利用者の目線に 立った誘導サインを 検討します。 (2) 自転車放置禁止区域の指定・見直し【改善】 · 放置禁止区域外への放置自転車の拡散や、放置禁止区域が未指定の駅周辺で、放 置自転車が増加するなどの問題が生じています。 · 放置自転車の発生状況や環境変化を注視し、放置禁止区域の指定・見直しを行い ます。 事例 東陽町駅周辺における放置禁止区域の見直し(平成 27 年 11 月) (3) 放置自転車の撤去【改善】 · 平成 18 年度に土・日曜日の撤去作業を、平成 22 年度には夜間の撤去作業を始め ると共に、放置禁止区域外の放置自転車に対する警告期間を 7 日から 3 日に変更 するなど、放置の状況に合わせ、より効率的、効果的な方法を導入してきました。 · 今後も、各地域の放置状況に応じて、撤去エリアや時間帯、撤去回数等を随時見 直します。 夕方から夜間帯において放置自転車が増える傾向にある駅周辺において、夜間撤去を 実施しています。平成 26 年度は亀戸駅、門前仲町駅、豊洲駅周辺で実施しました。 - 60 - 1 児童絵画を用いた放置防止路面シートの設置 · 区内で特に放置自転車の集中していた亀戸駅周辺で、小学校の児童が作成した放置 禁止を啓発する絵画を路面シートにし、平成 25 年 9 月から設置しています。 · 自転車利用者の心情に訴えかける手法が奏功し、一定の効果を上げています。 図 2 亀戸緑道公園内の放置防止路面シート設置前(左)と設置後(右)の様子 駅前放置自転車クリーンキャンペーン · 毎年 10 月に、江東区内の駅周辺で区・警察・鉄道会社、自転車駐車場管理運営事業 者が参加し、放置自転車の防止・啓発を目的とした「駅前放置自転車クリーンキャ ンペーン」開催しています。 · キャンペーンでは広報車による啓発放送を行うほか、自転車放置防止グッズを配布 するなど、広く自転車の放置禁止を呼び掛けています。 図 駅前放置自転車クリーンキャンペーンの様子(平成 27 年度) - 61 - - 62 - 5. 1 江東区交通安全計画への展開 5. 2 推進体制の確立 5. 3 法令等の動向に合せた方針の見直し - 63 - 1 江東区交通安全計画とは ○ 交通安全対策の総合的な推進を図るため、交通安全対策基本法に基づ き、昭和 46 年以降、5 年毎に定めている計画です。 ○ なお、江東区交通安全計画の各年度の目標・課題などを具体化するた め、年度毎に「交通安全実施計画」を定めています。 2 展開の考え方 ○ 本推進方針に基づき、実施すべき事業について整理し、第 10 次交通 安全計画(計画期間:平成 28 年度~平成 32 年度)に盛り込みます。 - 64 - ○ 「まもる」 「はしる」 「とめる」いずれの環境も、区のみで実現するこ とは難しく、区内各警察署、その他関係機関の理解と協力を得ながら、 連携して取り組む必要があります。 ○ 第 10 次交通安全計画、交通安全実施計画に位置付ける施策の実施に あたり、関係者間で必要な連絡調整を行うため、江東区、区内各警察 署等で構成される「江東区自転車利用環境整備連絡会」を設置します。 ○ 計画立案、施策の実施、効果検証、事業改善を PDCA サイクルとして 繰り返し実施し、効果的・効率的に環境整備を進めます。 ・Check を踏まえた推進内容の改善 ・次期江東区交通安全実施計画へ反映 ・第 10 次江東区交通安全計画 ・江東区交通安全実施計画 ・江東区自転車利用環境整備連絡会 ・江東区交通安全協議会 ・各事業主体による取り組み ・相互連携(江東区自転車利用環境整備連絡会) - 65 - ○ 今後も社会情勢・ニーズに合せ、自転車に関する法令改正や、ガイド ラインの見直しが生じる可能性があります。これらの検討動向を注視 し、必要に応じて本方針内容を見直します。 ○ また、方針の改訂については、おおむね 5 年後の自転車利用環境を踏 まえて、江東区自転車利用環境整備連絡会において検討します。 今後改訂等が見込まれる国や東京都の計画等 ・ 安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン (国土交通省、警察庁) ・ 東京都自転車安全利用推進計画 (東京都) - 66 - - 68 - 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会 · 秩序ある安全で快適な自転車利用環境を構築し、もって自転車の関与する交通事故 の低減を図るため、関係者が一体となって取り組む方針について検討することを目 的に、平成 27 年 7 月に設置しました。 (敬称略・順不同) 委員長 江東区 大井 哲爾 副区長 江東区 押田 文子 政策経営部長 〃 武田 正孝 政策経営部 企画課長 〃 武越 信昭 政策経営部 財政課長 〃 吉川 甲次 都市整備部長 〃 高垣 克好 都市整備部 都市計画課長 〃 天野 清和 都市整備部 まちづくり推進課長 〃 並木 雅登 土木部長 〃 杉田 幸子 土木部 管理課長 〃 中尾 英樹 土木部 道路課長 〃 大谷 友彦 土木部 河川公園課長 〃 山田 英典 土木部 施設保全課長 〃 炭谷 元章 土木部 交通対策課長 警視庁 岡野 利昭 深川警察署 交通課長 〃 髙田 祐一 (前任:永井 城東警察署 交通課長 〃 櫛田 東京湾岸警察署 交通課長 委員 敏夫) 典史 事務局 江東区 土木部交通対策課 - 68 - 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会 調査部会 · 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会の検討事項について調査研究を行うた め、委員会のもとに調査部会を設置しました。 (敬称略・順不同) 部会長 江東区 炭谷 元章 土木部交通対策課長 ( 総 括 ) 江東区 田中 勝朗◆ 土木部交通対策課交通係長 ( 管 理 ) 〃 石川 慈秀 土木部交通対策課自転車対策係長 ( 〃 ) 〃 村松 大※ 土木部交通対策課交通係 ( 〃 ) 〃 野村 明弘◆ 土木部交通対策課交通係 (通行環境) 〃 川野 英明※ 土木部道路課計画担当 ( 〃 ) 〃 堀内 輝人 土木部河川公園課計画調整担当 ( 〃 ) 〃 皆藤 悠太 土木部施設保全課道路保全係 ( 〃 ) 〃 浅見 卓磨◆ 土木部交通対策課自転車対策係 (駐車環境) 〃 桃井 敏明 土木部交通対策課自転車対策係 ( 〃 ) 〃 菅野 史之※ 土木部交通対策課自転車対策係 ( 〃 ) 〃 長井 裕也 土木部交通対策課自転車対策係 ( 〃 ) 〃 早邊 千寿子◆ 土木部交通対策課交通係 (安全利用啓発) 〃 大石 愛 土木部交通対策課交通係 ( 部会員 注1. ( )は調査部会内の調査検討チーム名称である。 注2. ◆はチームリーダーを示す。 注3. ※は「現況分析チーム」を兼ねる。 - 69 - 〃 ) 平成 26 年 10 月、江東区土木部内にプロジェクトチーム(以下、PT と言う)を設置 し、自転車利用環境に関する調査研究と取り組みの方向性について検討を行ってきま した。 平成 27 年 6 月には、PT の検討結果を基に、より多角的な議論を行うため、「江東 区自転車利用環境推進方針検討委員会」を設置し、本方針の策定に向けて検討を重ね てきました。 表 10 月 平 成 26 年 度 11 月 ● 自転車利用環境に関する調査研究等を目的とした PT を設置 ● 第1回 PT ● 第2回 PT ● 自転車利用に関する区政モニターアンケート調査の実施 12 月 ● 第3回 PT 12 月 ● 第4回 PT 13 月 ● 第5回 PT 15 月 16 月 本方針の策定に係る検討経過 ● 江東区自転車利用環境推進計画(方針)策定 PT 調査結果のとりまとめ (江東区自転車利用環境向上に関する検討報告書) ● 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会の設置 ● 第 1 回 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会 17 月 18 月 平 成 27 年 度 · 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会の設置について · 各機関における自転車利用に関する取り組みの現状について · 取り組み方針の視点と方向性について ● 第 1 回 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会調査部会 ● 第 2 回 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会 19 月 10 月 · 第 1 回委員会におけるご意見と対応について · 国のガイドラインの改善に向けた検討状況について · 江東区自転車利用環境推進方針(骨子案)について · 早期に実施すべき事業について ● 第 2 回 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会調査部会 ● 第 3 回 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会 12 月 · 第 2 回委員会におけるご意見と対応について · 江東区自転車利用環境推進方針(素案)について ● 第 4 回 江東区自転車利用環境推進方針検討委員会 1月 · 自転車利用環境向上に向けた国、東京都の主な動きについて · 江東区自転車利用環境推進方針(最終案)について · 方針に基づく平成 28 年度の主な新規取り組みについて - 70 - - 71 - 平成 28 年 3 月 印刷物登録番号 (27)113 号 編集発行 江東区土木部交通対策課 江東区東陽 4-11-28 印刷所 株式会社 電話 03(3647)9111(大代表) 藤昭印刷興業 - 72 -
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