3 手立ての具体の例(詳細は「研究報告書」参照) (1) 平成 27 年度 岩手県立総合教育センター 中学校(1年生)での実践 : Program 8 Origami (Sunshine English Course 1) 単元名 単元の目標 : インタビューを通して分かったことを,相手に伝えることができる。 研究主題 中・高等学校英語科における「話す力」を 本時の目標 : インタビュワー,有名人になりきって,インタビューすることができる。 高めるための指導の在り方に関する研究 研究に関わる本時の手立て(3/7時間目) 〇導入 ・生徒と教師によるデモンストレーションを示し,ゴール像を可視化する。 手立て1 【研究担当者】 ・本時のゴールとなる話題について,Teacher Talk を行う。 手立て3 【この研究に対する問い合わせ先】 ・バックワード・デザインをもとに,アウトプットまでに必要な活動をスモールステップで 髙橋成周 電話 0198-27-2735 設定し,黒板に示し可視化,共有する。 手立て1 E-mail 松本 諭 FAX 0198-27-3562 [email protected] 〇展開 ・インタビュー場面の話題を,生徒の興味や実態に合わせて設定する。 手立て2 ・ペア活動において,生徒同士によるロールモデルを提示させ,学習意欲を喚起し,ゴール に向けた活動の質の向上を図る。 手立て1 ・練習の成果を生徒全員に発表させる。 手立て1 〇終末 ・それぞれが到達目標どのくらい近づいたか,自己評価させる。 手立て1 ※全体に関わって ・生徒が英語で話させる時間を多く確保するため,活動の説明は日本語で短く行う。 手立て3 Ⅰ はじめに 文部科学省が公表した「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」 によると,中学校におい ては「英語で授業を行うことを基本とし,内容に踏み込んだ言語活動」を行うこと,高等学校におい ては「英語で授業を行うとともに,発表,討論,交渉など高度化した言語活動」を重視した授業への 改善が求められており,中でも,自分の気持ちや考えを伝える「話す力」の育成がより一層望まれてい ます。 しかし,全国的に「話す力」を高めるための生徒の実態に応じた授業改善が,十分行われていない 現状があります。県内の中・高等学校の授業を参観すると,生徒に身に付けさせるべき「話す力」の 明確な目標がないままに授業が行われていたり,目標を生徒と共有しないままに授業が進められてい たりすることもあります。また,生徒同士が英語を用いて伝え合う言語活動が,授業の中で設定され (2) 高等学校(1年生)での実践 単元名 ない場合も見受けられます。 このような状況を改善するためには,中・高等学校において,「話す力」における系統的な学習到 : Lesson 7 Flying Wheelchairs(COMET English CommunicationⅠ) 単元の目標 : 車いすを直す高校生になりきって,インタビューでやりとりをすることができる。 達目標をもとに授業を組み立て,授業を英語で行うことで英語の発話量を増やし,自然かつ十分なコ 本時の目標 : ペアで,登場人物になりきってインタビューができる。 ミュニケーション活動を行うことができる言語使用場面の設定をすることが必要であると考えます。 そこで,この研究では中・高等学校英語科において,考えや気持ちを伝えあうなどのやりとりする 研究に関わる本時の手立て(3/7時間目) ○導入 ・生徒と教師によるデモンストレーションを示し,ゴール像を可視化する。 手立て1 「話す力」を育成するために,授業実践を通して「話す力」を高める授業づくりの理論を明らかにし, 授業理論や授業のモデルプランをまとめ,中・高等学校英語科の授業改善を進めようとするものです。 ・バックワード・デザインをもとに,アウトプットまでに必要な活動をスモールステップで 設定し,黒板に示し可視化,共有する。 手立て1 Ⅱ ○展開 ・「話す力」を高めるために,インタビューとそれに対するコメントという具体的な言語活 本研究では今後育成すべき考えや気持ちを伝えあうなどのやりとりする「話す力」を, 「聞いたり読 んだりしたことについて,問答しあったり,意見を述べたりする力」と捉えました。 動を設定する。インタビューの内容は,教科書本文に出てくる高校生を踏まえたものとす るため,教科書本文の理解が前提となる。 手立て2 ・教科書の内容説明や活動の指示ではなるべく英語を使い,生徒とやりとりしながら進め る。 手立て3 本研究における「話す力」とは 生徒が問答したり,お互いの意見や考えを述べ合ったりする言語活動を通して, 「話す こと」に対し て抱く抵抗感を少なくし,生徒同士で英語を用いて自分の考えや思いを伝え合うことができるように なるとともに,話す方法のバリエーションが増え,話す内容の質が高まることをねらいとし,研究を 進めました。 ○終末 ・練習の成果をペアで,リハーサルと本番の2回発表させ,到達目標に向けてそれぞれどの 程度できているかを自己評価する機会を設定する。 手立て1 ※全体に関わって ・極力英語を用いて指示等を行うが,英語で話させる場面を多く確保するため,指示を生徒 の理解度に応じて,日本語を使う場面もある。 手立て3 研究の具体については, 当 センターの Web からダウンロードできます。(http://www1.iwate-ed.jp/) Ⅲ 研究の方法 1 先行研究者の文献等からの理論構築 2 理論に基づいた授業実践と検証 3 研究協力校の先生方や提案授業研究会参加者の意識調査による検証 Ⅳ 1 2 研究の内容 「話す力」を高める3つの手立て(詳細は「研究報告書」参照) 研究構想図 「自分の考えや気持ち」を,言語の使用場面や目的を意識して伝える力を身に付けた生徒 手 立 て1 1 ■期待する教師の授業改善の姿 ■期待する生徒の変容の姿 ○中・高等学校を通じ て,学習到達目標を設定し, ○見通しをもちながら学習 に取り組み,自分の成 生徒と共有しながら授業を 行うことができる。 ○生徒が自分のことについて,伝える力の育成を 目指した授業を実践できる 。 ○生徒が英語に多く触れられるように,学習環境 を整えた授業を実践できる 。 長を実感できる。 ○場面や目的を意識して,相手とやりとりするこ とができる。 ○思考力・判断力・表現力 が向上する ○人とコミュニケーションをとることの楽しさ を理解できる。 手立て:自分の気持ちや考えを伝える場面を位置づけた授業づくり (1) 中・高を通じた学習目標を意識した授業デザイン 〇CAN-DO リストを活用し, 各単元の目標及び,評価 規準を設定する 〇単元を通して最終的に身に 付けさせたい姿(ゴール像) から授業を構想する 【バックワード・デザイン】 〇目標の達成状況を把握する ために具体的な評価を計画 し,単元計画に位置付ける 生徒が何ができるようにな ったか, そのためにどんな指導をし たか, 中・ 高を通 じて学 習到 達目 標を意 識した 授業 デザ イン 日頃から見直すことが大切 です。 〇 CAN-DO リ ス ト を活 用 し ,各学 校 で 実 際 に行 わ れ る学 習 活動 を 基 に 各 単元 の 目 標及 び 評価 規 準 を 設 定し ,これ ら を 意 識 し て授 業 を 実施 す る。 〇 単 元 を通 し て 最終 的 に身 に 付 け さ せた い 姿 (ゴ ー ル像 ) か ら 授 業を 構 想 する 。( バッ ク ワ ー ド ・デ ザ イ ン) 〇 目 標 の 達 成状 況 を 把握 す るた め の 具 体 的な 評 価 を計 画 し, 単 元 計 画 に位 置 付 ける 。 (2) 手立て2 コミュニケーション活動 言語 使用場 面の設 定に よる ,自然 かつ十 分な コミ ュニ ケ-シ ョン活 動 〇 発達 段 階 や校 種 に 応じた 問 題 解 決 型の タ ス ク活 動 を行 う 。 ○発達段階や校種に応じた問題解決型のタスク活動を行わせる (例) 中 学 校:授業で学習した文法知識を,実際に運用する能力 の育成を目指すことを中心にした活動 高等学校:メッセージの意味や,内容を伝えることができる 能力の育成を目指すことを中心にした活動 ○インタビュー活動などの問答を行うなど,英語で考えや気持ちを 伝え合うような,実際の場面に近づけた言語活動を設定する ( 場 面 設 定 の工 夫 , 語彙 ・ 文法 の 使 用 の バラ ン ス ) 〇 イ ン タビ ュ ー など の 問答 を 行 う よ うな 場 面 を設 定 し, 英 語 で 考 えや 気 持 ちを 伝 え合 う 言 語 活 動を 設 定 する 。 (3) 言語使用場面の設定による,自然かつ十分な イン プット ・アウ トプ ット 量を増 やす, 英語 で行 う授 業 〇教室内を実際の英語のコミュニケーション場面 にするために,教師は生徒の理解に応じた英語を用いて授業 を進める。 〇 英 語 使 用 場面 の 具 体化 ( 導入 に お け る ゴー ル 像 の提 示 , Teacher Talk, 英 語 によ る 指 示の 工 夫 な ど ) 授業を通してどんな「話す力」が身に付くのか ,明確な目標に向けて,授業 を進めること が必要 の か, 明確な 目標に 向け て, 授業 を進め ること が必 要 ■教師の指導実態 ■生徒の実態 ・ 「話す力」の明確な目標が ないままに授業が行わ ・ 自 分 に と っ て , ど の よ うな 力 が 身 に 付 い た か , れて いた り, 目標 を生 徒 と 共有 しな いま まに授 明 確 な ゴ ー ル が 見 え な い まま 授 業 に 臨 み , 自 分 業が進められたりしている ことが多い。 の成長を実感できない場合 がある。 ・中 学校 では ,ド リル 活動 は行 わせ てい るが ,既 ・ 場 面 や 目 的 に 応 じ て , 既習 事 項 を 基 に 自 分 の 考 習事 項を 基に 生徒 同士 が 考 えや 意見 をや りとり え や 気 持 ち を 英 語 で 対 話 する 力 に 課 題 が 見 ら れ する指導は少ない。 る。 ・高 等学 校で は, 文法 指導 や訳 読指 導に 偏り ,英 ・ 自 分 の 考 え や 気 持 ち を やり と り す る 機 会 が 少 な 語を 用い て意 見を やり と り する 授業 がな されて く , 人 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン を と る こ と の 楽 し いないことが多い。 さを感じられない。 手立て3 インプット・アウトプット量を増やす,英語で行う授業 〇教室をコミュニケーションの場にするために,生徒の理解に応じて 英語を用いる ・生徒の興味や関心のある話題を取り入れた,英語でやりとりする 場面を増やす ・活動の指示や説明は短く行う 〇英語使用場面を具体化し,授業に位置づける ・ゴールとなる英語使用場面を具体的に提示する ・既習事項を用いた Teacher Talk を行う(Q&A を多く取り入れる)
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