塾員山脈

塾員山脈
バレーボール選手 サントリーサンバーズ所属
スポーツ+学問の志を持って義塾へ
︱︱ バ レ ー ボ ー ル V・ プ レ ミ ア リ ー グ
の一
サントリーサンバーズの選手として、ま
た全日本男子チーム NEXT4
人としても注目されている柳田将洋さん。
昨年義塾を卒業したばかりですが、在学
中は体育会バレーボール部の主将も務め、
大いに活躍しました。柳田さんは、高校
時代から注目される逸材でした。多くの
誘いがあったと思いますが、義塾に進学
した理由を聞かせてください。
柳田
バレーボール中心の生活をしてい
た自分にとって、義塾は受験レベルの高
い大学でした。しかし、難関ゆえに合格
を 目 指 し て 挑 戦 し た い と 思 っ た の で す。
また、大学ではバレーボールの他に、学
問にもしっかりと取り組んでみたいとい
う志も持っていました。そんななか、バ
レーボール部の方から声をかけてもらい、
練習を見学させていただく機会がありま
した。そして、学生が主体になって、自
分たちで考え、意見を交わしながら練習
しているところに魅力を感じました。
︱︱環境情報学部の受験はAO入試でし
たが、どのような準備をしましたか?
柳田
プレゼンテーションでは、高校時
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君
柳田将洋
【やなぎだ まさひろ】
1992 年東京生まれ。2015 年環境情報学部卒業。
小学生の頃、地域のクラブチームでバレーボール
を始め、全日本小学生大会で優勝、東洋高等学校
を第 41 回全国高等学校選抜優勝大会(春の高校
バレー)優勝に導く。義塾では、体育会バレーボ
在学中にバレーボール全日本男子チーム(龍神
ール部で活躍し、2012 年全日本インカレ準優勝。
NIPPON)に選抜される。2015 年 4 月、サントリ
ーホールディングス入社。ウイングスパイカーと
して活躍中。
バレーボールV・プレミアリーグで活躍中。
全日本チームにも選抜され、目前に迫った
オリンピック最終予選の勝利を目指す
こと、挑戦したいことをきちんと伝えら
組みとともに、これから大学で学びたい
など、これまでのバレーボールへの取り
で世界のさまざまな国で試合をした経験
代の部活でのチャレンジや、ユース大会
し た。4 年 間 の 部 活 動 は 充 実 し て い て、
ル部は学生が主体の、風通しの良い部で
柳田
入学前に感じた通りにバレーボー
について話してください。
れました。義塾でのバレーボールライフ
の時に全日本インカレの準優勝に貢献さ
像 以 上 に 難 し い 分 野 で、 残 念 で す が 3 、
その関係の授業も取ってみましたが、想
の 頃 か ら 建 築 に 興 味 が あ り ま し た か ら、
いろな授業をのぞいてみました。子ども
ル部の先輩から情報を仕入れては、いろ
を学べるのかを知りたくて、バレーボー
柳田
SFCの授業は多彩。どんなこと
︱︱入学後、SFCで学んだことは?
また新しい発見もありました。研究会で
で検証したことで再確認したこともあり、
練習で体が覚え込んでいることを、数値
文にまとめたのですが、バレーボールの
フォームを追求しました。最後は卒業論
合わせて比較検討し、ベストのアタック
角度など、多彩なデータを取って、重ね
し方、アタックに跳ぶまでの準備動作の
解析することです。背骨の動きや肩の回
︱︱柳田さんは、アタックのフォームが
囲の人をどう生かして戦うかを、常に考
は、自分がよければいいのではなく、周
考えになりがちでした。しかしその先輩
すが、高校まではどうしても自分中心の
ました。バレーボールはチームプレーで
先輩に出会えたことで大きな影響を受け
くさんあります。特に、2学年上のある
ここで学んだこと、得たものは本当にた
れるように、準備をして臨みました。バ
レーボールへの理解を深めていただくた
めに、紙芝居のようなものも作りました。
でも本番の日は、けっこう緊張していた
のでしょうね。受験票を忘れて、自宅に
4回ぐらい出席したところで断念。でも、
取り組んだことは、これからの自分のバ
取りに戻ったりもしました。
環境情報学部にはスポーツ工学など、ス
レーボールにも、必ず役に立つと思います。
スポーツ力学の研究をしました。研究テ
美しいことで定評がありますね。ところ
思い出は早慶戦の勝利
ポーツに関連している授業もあり、さま
ざまな角度でスポーツにアプローチでき
ます。
ーマは、バレーボールのアタックフォー
で、体育会バレーボール部では、2年生
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研 究 会 は 加 藤 貴 昭 研 究 室 に 所 属 し て、
ムの力の伝わり方をいろいろな角度から
体育会バレーボール部主将として活躍した柳田君
2015 年 3 月 卒業式にて
も、周りの選手たちが十分に力を発揮す
くなったり、きつくなったりするとして
場を超えて教え合うことが重要で、主将
囲気があります。運動部でも、学年や立
も気軽に、必要なことを教えるという雰
研究会などでは、知識のある人が誰にで
るにはどうすればいいのかを模索し続け
だった時に1年生の意見に﹁そうか、な
ームスポーツのいちばん大切なことです。
ていくことこそ、バレーボールに限らずチ
自分も主張し、チーム全体で目標に向かっ
した。他の人の意見を尊重するとともに
積極的に自分から話をするようになりま
い と、 目 の 前 の 目 標 は 達 成
と先を見て目標設定をしな
勝が目標では何かが足りなかった、もっ
られませんでした。そして、インカレ優
けてしまい、﹁なぜだ?﹂と考えずにはい
のに、最後の最後に力を出し切れずに負
て戦ってきて、決勝まで積み上げてきた
年の締めくくり。インカレ優勝を目指し
はまた別の特別な雰囲気です。やはり早
が集まって応援してくれて、リーグ戦と
戦での勝利です。日吉記念館に大勢の人
柳田
2014年6月、主将の時の早慶
︱︱勝ってうれしかった試合は?
合ですが、いちばん印象に残っています。
す。インカレ決勝は、負けてしまった試
では、何かが足りなかったのだと思いま
年より弱くなってしまった
出は何ですか?
︱︱バレーボール以外で楽しかった思い
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えていました。たとえ自分の負担が大き
ていて、その考え方も実際の行動も尊敬
このような自由な雰囲気が、義塾のいい
るほど﹂と気づかされたこともあります。
て、この先輩からは実に多くのことを学
ところですね。
できるものでした。チームプレーについ
ばせてもらいました。
試合はありますか?
︱︱大学時代に、特に印象に残っている
を通じて、人と向き合うことができるよ
柳田
2年の時の筑波大学との全日本イ
このような人との出会いや主将の経験
うになったと思います。他の人が何を考
ンカレ決勝戦です。
月のインカレは一
え、 ど う 感 じ て い る の か を 知 る た め に 、
義塾には半学半教という言葉があって、
できないのではないかと感
かった前年のチームを目指
してチーム作りをしました
のです。これも同じで、去
柳田
授業で面白かったのは環境情報学
が、結果が出なかった。前
年と同じようにという目標
オリンピック最終予選へ向けて
慶戦の思い出は特別ですね。
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じました。その翌年は、強
サントリーサンバーズ Web サイトより
をしたり、しゃべったり、一緒に遊んだ
同期、後輩の誰かの部屋に集まって食事
S F C の 授 業 に 通 っ て い ま し た。 先 輩、
日吉に部屋を借りていて、私も日吉から
吉記念館なので、自宅でない人の多くは、
を借りている人もいます。練習場所は日
せん。自宅通学の人もいるし、アパート
バレーボール部員は寮生活ではありま
グラムを完成させました。
最後には、柳田オリジナルのゲームプロ
くなり、いろいろやってみたくなります。
ましたが、だんだんわかってくると楽し
部必修のプログラミング。最初は苦労し
多々残りましたが、間違いなく貴重な経
チ ー ム と し て も、 個 人 と し て も 課 題 は
5 年 の ワ ー ル ド カ ッ プ の 結 果 は6 位 で、
て自分を生かす工夫をしました。201
れてしまうので、いろいろと戦術を考え
むやみにアタックを打ってもブロックさ
ほうです。大男が多い海外チーム相手に
㎝ ですが、海外チームと戦うには小柄な
くさん参加しました。私の身長は186
ラン、ポーランドなど、海外遠征にもた
チェコ、ブラジル、韓国、イタリア、イ
外 国 チ ー ム と の 対 戦 経 験 を 積 む た め に、
催なので、その準備として、できるだけ
話を聞いて、どんどん吸収する充実した
の 厚 さ が す ご い 先 輩 た ち の 動 き を 見 て、
いとスタメンを外されます。ただ経験値
結果が厳しく求められます。結果が出な
柳田
当然のことですが、学生の頃より
大学時代と変わった点は?
︱︱ サ ン ト リ ー サ ン バ ー ズ に 入 団 し て、
どれだけ発揮できるかだと考えています。
け れ ば な り ま せ ん。 毎 日 の 積 み 重 ね を、
れるオリンピック最終予選を勝ち抜かな
と思いますが、まずは5月∼6月に開か
ロオリンピックがあり、もちろん出たい
験になりました。今年はリオデジャネイ
お互いの試合や練習のことなど、いろい
を 見 る の も 好 き な の で、 仲 良 く な っ て、
館で練習をし、私自身バスケットの試合
特にバスケットボール部は同じ日吉記念
他 の 運 動 部 の 人 と の 交 流 も あ り ま し た。
ま た バ レ ー ボ ー ル 部 の 仲 間 だ け で な く、
り、学生らしい伸び伸びした生活でした。
します。
︱︱最後に塾生へのメッセージをお願い
いて話題になることもあります。
すよ﹂とか、バレーボール部の動向につ
ーズにいるので、﹁今日、勝ったらしいで
部の先輩である星谷健太朗さんもサンバ
毎日です。ちなみに義塾のバレーボール
りがとうございました。
︱︱今後のご活躍を期待しています。あ
スポーツに、充実させてほしいと思います。
出が残るはず。限りある時間を、勉学に
卒業の時に﹁濃い4年だった﹂といい思い
何をつかむか、真剣に考えて取り組むと、
いう間でした。その学生生活で何をして、
柳田
卒業してみると、4年間はあっと
すれば強くなれるか、効果的な練習がで
きるかなど、熱中して話し合ったのも楽
しい思い出です。
︱︱在学中に全日本チームに招集されて
いますね。
柳田
はい。部活動とはまた違う、貴重
な経験でした。ワールドカップは日本開
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ろ話をしました。競技は違っても、どう
サントリーサンバーズ Web サイトより