平成27年度「藤沢市まちづくりパートナーシップ事業提案制度」 採択テーマ:高校生のシチズンシップ教育の普及事業 高校生の社会参加支援事業 被災地でつながろう 考えよう サマープログラム2015 活動報告書 2016年3月 藤沢市・認定NPO法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 主催者ご挨拶 主催者ご挨拶 今回の「被災地でつながろう 考えよう サマープログラム2015」は、若者 の社会参加への意識が低下し、市の施策や事業における若者の参加等が減少 している昨今、「社会と若者と未来をつなぐ」をコンセプトに、若者の地域 に根差した社会参画を推進するため、「高校生のシチズンシップ教育の普及 事業」というテーマで市と⺠間団体との協働事業を募集し、採択されたもの です。 本事業に参加した高校生には、3ヶ月に渡る研修を通じて、視野の広がり や社会参加の意識の向上等さまざまな変化が見られました。 市といたしましても、このような事業を通して若者たちと将来の社会に取 り巻く様々な問題を考え、話し合う中で、「若者が活躍するまち」の実現に 向けた施策を展開していかれればと考えております。 最後に、高校生の皆様には、本プログラムを契機に、社会で起こっている 藤沢市 ⼦ども⻘少年部 部⻑ ことを自分ごととして考えていただき、今後社会に積極的にかかわる大⼈に 平岩多恵⼦ 願いするとともに、今後とも本市の⻘少年の健全育成にご理解、ご協力をい なっていただきたいと思います。また、大⼈の皆様には若者たちがよき大⼈、 よき市⺠として自⽴していけるよう引き続きご支援していただけますようお ただきますようお願い申し上げます。 若者が自分自身のことに加え、生きていく環境に興味を持ち、生き抜くチ カラを身につけることは大切なことです。 藤沢市が提案した「高校生のシチズンシップ教育の普及事業」に企画提案 した私どもの組織は、まちづくりの団体で、市⺠が自発的に始めた社会の課 題解決に向けた活動を応援する活動を主に行っています。2011年に発生した 東日本大震災の復興に向けても、発災当初より幾度となく現地に入り、地元 の高校生をはじめとした若者達が復興に向けた様々な取り組みを自発的に 行っている姿を目にしました。震災から5年が経とうとしている現在も、意 欲的に活動していることも知っています。 被災地での課題は、「地域にあった元々の課題が震災を機に表出した」と もいわれています。現在の被災地での取り組みは、藤沢市の少しだけ先の課 題に対し、学ぶべきところが多くあります。誰よりも先に動き出した被災地 の若者に逢い、彼らの思いを体感することで、藤沢の高校生の生き抜くチカ ラが触発されるのではないか。また、近未来の課題に気づき、動き始めるの ではないか。そのような思いから、本プログラムを作成しました。 本年度、参加した高校生と支えてくださった関係者の皆様とともに第一歩 を踏み出すことができました。そして2016年度もチャレンジします。更なる ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。 1 認定NPO法⼈ 藤沢市市⺠活動推進連絡会 理事・事務局⻑ 手塚明美 目次 事業概要 ・・・・・・・・・・・・・・ p.3 事前研修 ・・・・・・・・・・・・・・ p.5 被災地研修 ・・・・・・・・・・・・・ p.7 事後研修 ・・・・・・・・・・・・・・ p.11 活動報告会・・・・・・・・・・・・・・ p.12 参加した高校生の感想 ・・・・・・・・ p.13 アンケート結果 ・・・・・・・・・・・ p.19 研修終了後の自主的な活動 ・・・・・・ p.21 大学生サポーターからのメッセージ ・・ p.24 本事業を振り返って ・・・・・・・・・ p.25 巻末資料 ・・・・・・・・・・・・・・ p.27 2 事業概要 「藤沢市まちづくりパートナーシップ事業提案制度」とは 藤沢市では、市⺠活動団体と市の協働の取り組みとして、平成18年度から相互提案型協働モデル事業、市⺠活 動団体提案協働事業を進めてきました。これまでの実績と課題を踏まえ、平成26年度より新たな協働事業提案制 度として、「まちづくりパートナーシップ事業提案制度」がはじまりました。 「被災地でつながろう 被災地でつながろう 考えよう サマープログラム」とは 本プログラムは、平成27年度・平成28年度藤沢市まちづくりパートナーシップ事業「高校生のシチズンシップ 教育の普及事業」として採択されたものです。認定NPO法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会と、藤沢市の協働事業と して実施しています。 高校生が社会の一員として自⽴し、権利と義務の行使により、社会に積極的に関わろうとする態度などを身に つけるため、社会形成・社会参加に関するシチズンシップ教育を推進するためのアイデアとして事業提案されま した。 ※シチズンシップ教育とは、自身を取り巻く社会に関⼼を持ち、社会に参画していく「市⺠」を育てる教育です。 本プログラムの目的 本プログラムの目的 藤沢における次世代の若者を育成することと、被災地と藤沢の高校生同士の交流を通して、様々な課題に⽴ち 向かう被災地の若者と藤沢の若者を結ぶことを目的としています。それにより、藤沢の高校生たちが地域や社会 の課題に目を向け、高校生自身が解決に向けた取り組みを行う機会をつくります。 実施概要 対 象:藤沢市在住・在学・在勤の高校生 ⼈ 数:20名 学 年:1年生5名、2年生11名、3年生4名 期 間:2015年7月11日〜9月27日 性 別:男⼦7名、女⼦13名 事前研修 募 7月11日(土)・7月22日(水) 学 校:神奈川県⽴七里ガ浜高等学校 8月1日(土)・8月12日(水) 神奈川県⽴湘南高等学校定時制 8月17日(月)夜出発〜8月19日(水)夜帰着 神奈川県⽴湘南台高等学校 ※2泊3日(うち車中1泊) 私⽴慶應義塾湘南藤沢高等部 事後研修 8月22日(土)・8月26日(水) 私⽴湘南工科大学附属高等学校 報告会 9月27日(日) 私⽴藤嶺学園藤沢高等学校 5月17日(日) 藤沢⻘少年会館 私⽴平塚学園高等学校 5月19日(火) 湘南台公⺠館 横浜市⽴戸塚高等学校 エントリー 5月31日(日) 締切 (50音順) 申し込み 6月5日(金) 締切 被災地研修 集:説明会 参加費:11,000円 3 <参加生徒の内訳> 実施体制 事業責任者 認定NPO法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 理事・事務局⻑ 手塚明美 事業メインコーディネーター 認定NPO法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 ボランティアコーディネーター兼震災復興事業コーディネーター 協働企画者 藤沢市 プログラム全体へのアドバイザー 湘南まちいくプロジェクト 代表 古田雄一 協力 公益財団法⼈藤沢市みらい創造財団 被災地域におけるコーディネート NPO法⼈底上げ・NPO法⼈石巻復興支援ネットワーク 宮本裕⼦ ほか、震災復興支援活動を行う市⺠活動団体 実施サポート 認定NPO法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 スタッフ 大学生サポーター 山本和志・中野桃菜・阿部愛里 事業の流れ 4月 広報活動 説明会 5月 5/17(日) 藤沢⻘少年会館 5/19(火) 湘南台公⺠館 高校生エントリー締切 5月31日 31日 6月 7月 / 本申込締切 6月5日 保護者説明会 事前研修 第1回:7/11(土) チームをつくろう 第2回:7/22(水) 被災地の現状を知ろう 第3回:8/ 1(土) プログラムの内容を考えよう 第4回:8/12(水) 出発準備を万端にしよう 8月 被災地研修 8/17(月 8/17(月)夜 〜 8/19(水 8/19(水) 事後研修 事後研修 第1回:8/22(土) 被災地での体験を振り返る 9月 10月以降 10月以降 第2回:8/26(水) 報告会へ向けて 報告会準備 活動報告会 9/27(日 9/27(日) 参加高校生による研修終了後の自主的な活動 参加高校生による研修終了後の自主的な活動 報告書作成・次年度プログラム策定・・・等 4 事前研修 第1回 チームを チームをつくろう 7/11(土)14時〜16時 湘南台公⺠館 8つの高校から集まった20名の高校生が、初めて顔合わせを した第1回は、「参加者同士が仲良くなること」を目的に研 修を行いました。まずはゲームを交えた自己紹介や、参加動 機・興味関⼼を共有するワークを実施。次に被災地のことを 知るために、ワークで出た興味関⼼を元に4つのテーマに別 れ、次回までに調べてくる内容や分担を話し合いました。 参加者同士で自分の気持ちを話す時間が多く、すでにアット ホームな雰囲気が生まれていました。 アイスブレイク「じゃんけん列車」の様⼦ <参加者感想> ・他校の⼈と同じ目的に向けて話し合ったり、考えたりする 経験が今までなかったので、とても新鮮です。 ・関⼼事がみんなそれぞれ違うことが知れて面白かったです。 ・被災地研修は、今後の事前研修で、自分たちでやりたい事 を決めていく時間・スケジュールが多いことを知りました。 第2回 被災地の現状を知ろう 被災地の現状を知ろう 初めての集合写真 7/22(水)14時〜16時 藤沢市市⺠活動推進センター 第2回は、「被災地の現状を知ること」「被災地研修の内容 についてアイディアを考えること」を目的に開催しました。 前半は、各班で調べてきたことを発表し、被災地のことを参 加者同士で学ぶ機会となりました。後半は、被災地でのプロ グラムや、研修後にどんなことをしたいかを考えて共有する ワークを実施。「現地の高校生と交流する」「ビデオ・写真 で記録に残す」など、限られた時間の中で、多くのアイディ 東北や神奈川の復興支援活動について調べた班 アが出ました。 <参加者感想> ・他の班の発表を聞くことで、より、東北について、震災に ついて知ることができた。 ・研修についてアイディアを出したりと、研修の度に東北へ 訪ねるのが楽しみになっています。 ・私には思いつかなかいアイディアがたくさんあり、とても 面白かったです。 ・「行っただけ」では終わらせない。自分達の活動をプラス に、前向きに周りに伝えてゆきたい。 5 やりたいことのアイディアを模造紙にまとめました 第3回 プログラムの内容を プログラムの内容を考えよう の内容を考えよう 8/1(土)14時〜16時 藤沢市市⺠活動推進センター 訪問先や出会う方々について事務局から紹介をしました。そ の後、第2回で出た「被災地でやりたいことのアイディア」 をもとに、①記録・伝えるチーム、②さんさん商店街・ポー タルセンターチーム、③南三陸町交流チーム、④石巻街歩き チームの4つの班に分かれました。各チームで訪問する場所 について調べたり、当日の時間の使い方などを考え、全体に 向けて発表しました。どのチームも真剣に考えている姿が印 象的でした。 チームごとに話し合いをしました <参加者感想> ・具体的に行く場所の名前が出てきたので、もっと調べたく なった。 ・現地の高校生の活動を知って、本気で様々な事に取り組ん でいるということが分かった。 ・事務局の⼈が考えたプログラムに沿って被災地に行くので はなく、自分たちで考えて行動することに意味があるんだ なと思いました。 第4回 出発準備を万端に 出発準備を万端にしよう 準備を万端にしよう さんさん商店街・ポータルセンターチーム 8/12(水)14時〜16時 藤沢市市⺠活動推進センター 被災地研修中に行動をともにする「基本班」を決めた後、プ ログラムの行程や訪問先、持ち物について事務局から案内を しました。その後、高校生たち自身でプログラムの内容につ いての最終的な話し合いを行い、決まったことを全体に向け て発表。最後の事前研修ということもあり、楽しいだけでは なく、引き締まった雰囲気が感じられました。 高校生が中⼼になって話し合いを進めました <参加者感想> ・今まで話し合ってきた活動内容を実際に行うことができる と思うとワクワクします。 ・第1回の事前研修よりとても具体的になって、みんなで作 り出してきたことに改めてハッとさせられる。 ・下調べはしっかりしたので、今度は実際に行って、見たり して知りたいです。 チームごとの発表の様⼦ 直前研修 8/17(月)20時半〜22時 藤沢市市⺠活動推進センター 行程や持ち物を確認した後、チームごとに被災地研修のプログラムについて最終確認し、全体へアナウンスしま した。その後、被災地へ行くにあたり「どのような姿勢で臨むべきか」 や「ふさわしい言動」について意見を出 し合いました。 6 被災地研修 日程 時間 内容 場所 1日目 8/17(月) 20時半 直前研修 藤沢市市⺠活動推進センター 22時 藤沢を出発 7時半 1.漁業支援ボランティア 石巻市雄勝町 10時半 2.被災地視察 本吉郡南三陸町志津川 11時半 3.復興商店街等見学・昼食 本吉郡南三陸町「さんさん商店街」 13時半 4.語り部プログラム 本吉郡南三陸町「ポータルセンター」 15時 5.「編んだもんだら」取り組み見学 本吉郡南三陸町志津川 中瀬町仮設住宅 17時 6.高校生との交流プログラム 南三陸まなびの里「いりやど」 18時 夕食・振り返り 南三陸まなびの里「いりやど」泊 8時 7.石巻海さくら 石巻市⻑浜海水浴場 9時半 8.被災地視察 石巻市門脇・南浜地区 11時 9.高校生とのまちあるきプログラム 石巻市街 12時20分 10.高校生との交流プログラム Coworking!@Ishinomaki 14時 石巻を出発 22時 藤沢到着 2日目 8/18(火) 3日目 8/19(水) 1.漁業支援ボランティア 石巻市雄勝町 被災後に漁師となった阿部優一郎さんから震災当時のお話を 伺った後、 ①養殖ホタテ収穫後の網からピンを外す作業、 ②浮き球についたムール貝や付着物を取り除く作業、③漁師 小屋の清掃の3つの作業を手伝いました。班ごとに協力して 行いました。 <感想> 阿部さんからお話を聞きました ・私たちがやったのは少しだけで本当に短い時間だったけど、 少しでも役に⽴てたと思うと嬉しいです。 ・周りに他の建物がほとんどなく閑散としていましたが、 震災前は50軒ほどの住宅地があったと聞き、以前は近所 の方と楽しく作業をしていたのだと思いました。 7 養殖ホタテ収穫後の網からピンを外す作業 2.被災地視察 2.被災地視察 本吉郡南三陸町 本吉郡南三陸町志津川 南三陸町志津川 南三陸町に移動し、津波で甚大な被害を受けた地区をバスで 巡りました。南三陸町防災対策庁舎や戸倉中学校などを見学 しながら、南三陸町観光協会の方から、震災当時のことや町 の現状について説明を受けました。 <参加者感想> ・復興が進んでいるように見えて進んでいない、進められな 南三陸町防災対策庁舎 い事を知った。写真などではなく自分の目で距離などを見 て、津波の強さを感じた。 ・全てが想像以上の事ばかり。本当に起きた事とは思えなく て、でも本当にあった事で、自分が今その津波に飲み込ま れた場所に⽴っていて。ただただ、言葉にならなかった。 3.復興 3.復興商店街等見学・ 復興商店街等見学・昼食 商店街等見学・昼食 戸倉中学校の見学 本吉郡南三陸町「さんさん 本吉郡南三陸町「さんさん商店街・ポータルセンター」 南三陸町「さんさん商店街・ポータルセンター」 32店が軒を連ねる仮設商店街である「南三陸さんさん商店 街」で昼食をとりました。その後、商店街で買い物を楽しん だり、震災に関する展示がされている「ポータルセンター」 を見学しました。 南三陸さんさん商店街の入口 <参加者感想> ・食事処があれば土産屋があり、スイーツ屋、花屋、整骨院、 美容院等々、何でもそろった商店街だった。着実に歩みを 進めていることが分かった。 ・ポータルセンターの津波が町を襲っている写真が⼼に残っ ている。南海トラフ地震が起きたら藤沢もこのようになっ てしまうのだろうかと思ったが、想像ができなかった。 4.語り部プログラム 4.語り部プログラム 商店街でお買い物をしました 本吉郡南三陸町 本吉郡南三陸町「ポータルセンター 南三陸町「ポータルセンター」 「ポータルセンター」 高校生が町の未来や自身のことについて考え、やりたいこと を実現する団体「COM」のメンバーである2名の高校生。 被災後に海産物の通信販売「たみこの海パック」を始めた阿 部⺠⼦さん。それぞれから、震災当時とその後の活動や事業 について、話を伺いました。 「COM」のメンバーのお話 <参加者感想> ・自分が考えていたよりも前向きに生きていた。 ・「ピンチのときこそチャンスだと思う」という言葉が⼼に 残った。震災で失うものはあったけど、震災があったから こそできているというポジティブな考え方は、震災に関係 なく生きていくうえでも大事だと思った。 阿部さんのお話 8 被災地研修 5.「 5.「編んだもんだら」取り組み 編んだもんだら」取り組み見学 」取り組み見学 本吉郡南三陸町志津川 本吉郡南三陸町志津川 中瀬町仮設住宅 中瀬町仮設住宅 手編みのエコたわし「編んだもんだら」は生活再建のツール として企画されました。発案者である足⽴千佳⼦さんと、そ れを作る中瀬町仮設住宅のお⺟さんたちから話を聞きました。 制作している様⼦も見せて頂きました。また地区⻑さんから も町の復興に関して話を伺いました。 お⺟さんたちとのおしゃべり <参加者感想> ・活躍できる場所があるのは良いことだと思った。 ・お⺟さん達と足⽴さんの仲の良さが伝わってきました! ・地区⻑さんのお話では地元の声が聞けた。一方で政府もそ れなりの考えを持って動いていると思うので、現地との意 識の差をうまく埋める対策が必要なのかなと思った。 編んだもんだらを前に笑顔の参加者 6.高校生 6.高校生との交流プログラム 高校生との交流プログラム 南三陸まなびの里「いりやど」 南三陸まなびの里「いりやど」 午後に話を聞いた「COM」の2⼈と交流ワークを行いました。 これらは、事前研修で「南三陸町交流チーム」が考えた内容 です。「高校生クイズ」「ジェスチャーゲーム」「なんでも バスケット」、どれもとても盛り上がりました。 <参加者感想> 「なんでもバスケット」で打ち解けました ・2⼈ともフレンドリーで、短い時間だったけど多く話せた。 2⼈は⼼に芯をしっかり持っていて、強くて、行動力が あって素敵な⼈だった。同学年とは思えない力があった。 ・今回この交流の企画をして、いざ本番みんなが笑顔で楽し そうに参加している所をみたら、とても嬉しかったし、も のすごくやりがい、達成感を感じました。 7.石巻 7.石巻海 石巻海さくら 夕食後、南三陸の高校生とおしゃべり 石巻市⻑浜 石巻市⻑浜海水浴場 市⻑浜海水浴場 予定していた海岸清掃ボランティアが、工事で急遽中止とな りました。代わりに、水中や海岸の清掃活動をしている「石 巻海さくら」の高橋 正祥さんと飯田紗世さんから、震災当 時のお話や海さくらの活動について話を伺いました。 <参加者感想> ・被災直後に食べ物を探した話を聞き、私が考えもしなかっ 飯田さんからお話を聞いている様⼦ た現実の一面を知れた。 ・「マイクロプラスティック」という問題は初めて知り、 3.11と関係なく、色々な⼈に伝えていかなければならない と思った。海岸清掃ができなかったので、江ノ島の海さく らでやってみようと想う。 防波堤から海を眺めました 9 8.被災地視察 8.被災地視察 石巻市門脇・南浜 石巻市門脇・南浜地区 ・南浜地区 石巻復興支援ネットワークの渡部慶太さんの案内で、看板 「がんばろう!石巻」と被災した「門脇小学校」を歩いて巡 りました。震災当日、多くの方が登った「日和山」への避難 経路を登る体験もしました。日和山からは津波で流されてし まった町が見えました。 <参加者感想> ・お年寄りの⼈や⼦ども連れのお⺟さんがあの階段を登るこ とを考えたら、ものすごくきついだろうなと思いました。 ・高校生でこんなに疲れるのだから、お年寄りが登れるはず ない。 日和山への避難路を登る体験 ・津波6mの実際の高さを見て、言葉が出なくなりました。 9.高校生 9.高校生とのまちあるき 高校生とのまちあるきプログラム とのまちあるきプログラム 石巻市街 石巻で様々な活動を行う高校生と一緒に、「つなぐ館」「石 巻ニューゼ」「復興まちづくり情報交流館」などの、震災や 今後の石巻についての情報を展示している施設を訪れました。 また、自由に町を歩きながら、市街地の震災の跡を見ました。 <参加者感想> 復興まちづくり情報交流館 ・石巻市⼦どもセンター「らいつ」は「高校生だけで運営し てるんだよ」とその場で言われてものすごく驚いた。 ・町並みがどこか藤沢に似ているように感じました。 ・今まで見て来た地域より市街地ということでしたが、町の ところどころに“津波襲来の地”と書いてある石があって、 ここまで来たのか・・・と驚きました。 10.高校生 10.高校生との交流 高校生との交流プログラム との交流プログラム 石巻⽴町復興ふれあい商店街 Coworking!@ Coworking !@I !@Ishinomaki 「石巻日日こども新聞」「石巻市⼦どもまちづくりクラブ」 「高校生がつくる いしのまきカフェ「」(かぎかっこ)」等の、 高校生が関わる活動の話を伺いました。普段どんな活動をし ているのか、始めたきっかけは何か、藤沢の高校生へのメッ セージなどを話してもらいました。 石巻の高校生と一緒にお昼ご飯 <参加者感想> ・きっかけはささいなことから始まっていることを聞いて、 私もこれから何かやれるのではないかと自信になった。 ・復興に関係しているのが大⼈だけではない事が新しかった。 ・みんなパワーがあった。でも、私達と変わらない高校生な 面もいっぱいあって、自分と彼女達で何が違うんだろうっ て、勇気をもらった。 石巻の高校生から活動の話を聞きました 10 事後研修 第1回 被災地での体験を 被災地での体験を振り返る での体験を振り返る 8/22(土)13時〜17時 藤沢市市⺠活動推進センター 被災地研修から神奈川に戻った3日後、事後研修を行いまし た。被災地研修で行ったプログラムを振り返り、地元に帰っ てきた今、どんなことをしたいか、どんなことができるかに ついて、一⼈一⼈考え、発表しました。また、報告会の内容 や時間配分について、高校生たち自身で話し合いを行いまし た。⻑丁場にもかかわらず、考えたことをしっかりと「自分 自身の言葉」で話す高校生たちの姿が印象的でした。 被災地研修で感じたことを共有しました <今後やりたい事> ・皆でリベンジでビーチクリーンをしたい ・家族や友達と、自分の地元でもし災害が起きたらどうする か考えたい ・小学生など小さい⼦どもにもわかりやすいようなハザード マップを作りたい ・将来学校の先生になったときに、震災後に生まれた⼦ども に、自分の思いや体験を伝えられるようになりたい ・国や行政の⼈と直接話がしたい 第2回 報告会へ向けて 今後やりたいことを、各自で考えている様⼦ 8/26 (水)13時〜17時 藤沢市市⺠活動推進センター 高校生自身で報告会を運営するにあたり、報告会の目的や、 内容・時間配分・発表形態などの概要、当日の役割などを考 えました。その後、役割ごと、発表内容ごとに、報告会まで の準備について話し合いを行いました。高校生が話し合いを 主導し、みんなで意見を出し合いながら進めている姿に、良 い報告会を作り上げたいという思いを感じました。 報告会に向けて、メンバー全体での話し合い <参加者感想> ・内容をつめる中で、改めて自分たちが伝えたい思いや気持 ちを再確認できた。 ・皆真剣だった。これから発表に向けて頑張っていきたい。 ・報告会の具体的な流れが決まってよかったです。 ・司会をやって上手くできなかったけど良い経験になったか と思う。 ・改めて企画することの難しさを感じました。何もかも自分 たちで考え、話し合い、決めるということはみんなの協力 がカギになってくるなぁととても思い知らされました。 11 報告会に向けたグループことの話し合い 活動報告会 活動報告会 被災地を訪れ、藤沢に帰ってきた後、「見聞きしたこと」「感じたこと」「今後やりたいこと」を 多くの⼈に伝えるため、報告会を開催しました。 実施概要 日 時:2015年9月27日(日) 14時20分〜17時 場 所:新堀ライブ館2F ミュージアムⅡ 参加費:無料 参加者:36名(一般来場者、学校関係者、保護者等) 内容 <第一部> ・開会の挨拶(藤沢市 ⼦ども⻘少年部 部⻑ 平岩多恵⼦) ・事業の説明(認定NPO法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 宮本裕⼦) ・研修内容報告(参加高校生一同) 高校生自身が作成した資料を元に、 「被災地視察の内容」「地元の方々との交流」「地元の高校生との交流」 の3つのパートで報告を行いました。 ・参加した高校生の感想(藤嶺学園藤沢高等学校 大野発) 参加者を代表して感想が述べられました。 ・今後に向けて(参加高校生一同) 被災地での経験を今後どう活かしていくか、以下のテーマでそれぞれ発表を行いました。 「周りの⼈へ伝える」「ボランティア活動をする」「高校生団体をつくり防災について考える」 「将来の夢につなげる」「行政に政策提言をする」 ・閉会の挨拶(認定NPO法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 事務局次⻑ 細矢岳彦) <第二部> ・交流会 ※自由参加 参加高校生と来場者が小グループに分かれ、ざっくばらんに質問や意見交換が行われました。 報告会来場者の声 ・1⼈1⼈とてもよく、見て体験したんだなあと思い ・実際に現地に行って、自分の目で見て、耳で聞いて ました。とくに被災地で感じたことの気持ちが伝 きた方たちの話は、⼼に響きました。様々な高校か わってきました。 ら来た生徒さんたちがこうやって一緒に活動してい ・このプログラムが確実に次のステップにつながって くこと自体にとても意義があると思いました。 いると感じた。 12 参加した高校生の感想 参加者を代表して 私⽴藤嶺学園藤沢高等学校2年 大野 発 このプログラムに参加した高校生20名を代表して、 感想を述べさせていただきます。 このプログラムの大きな目的は、震災やその後の復 興について、高校生なりに考えることにあると思います。 しかし、それだけでなく、僕たちは現地で生活する方々 や同世代の高校生たちとも交流する機会を得ることがで きました。このことは、僕たち、少なくとも僕にとって は、とても意義のあることでした。 このプログラムに参加するまで、僕はとても小さな世界で生きていたと思います。毎日家と学校を往復し、出かけたと しても東京に行くくらい。中学・高校と変わらない仲間とともに、毎日をとても受動的に過ごしていました。しかしこの 夏東北を訪ね、現地の高校生と交流することで、そんな毎日が全く違う景色で見えるようになりました。 東北の高校生たちは、驚くほど積極的に、そして明るく生きていました。4年前の3月11日に僕たちが想像もできないよ うな辛く苦しい経験をしたにもかかわらず、彼らは悲しむ様⼦をあまり見せないのです。それどころか大⼈たちに代わり 自分たちが未来を切り開いていこうと、さまざまなアクションを起こしていました。現状に満足し、毎日を受け流して生 活していた僕にとって、彼らの行動力と今を疑う力は凄まじい衝撃となり、僕も行動を起こして社会を改善したい!とい う気持ちにさせてくれました。 何か社会を改善しようと思うと、毎日の生活のなかにも世の中の欠点が多く見えてくるようになりました。例えば防災 に関して言えば、電車に乗っている時でも、今ここで災害が起きたとしたら乗客を安全に避難させる方法はしっかりと整 備されているのだろうか、電車から安全に避難する手段をはたしてどれだけの乗客が認識しているのだろうか、などなど さまざまな問題点が目につきます。さらに自分でも驚いたことに、自分の考えた案をなにかしらの形で発信したいという 気持ちにさえなりました。こんなことはプログラムに参加するまで絶対にありえなかったことです。もしこのプログラム に参加せずに3年生を迎え、そのまま大学に進学していたら、確実になにも生み出さない大学生活を送っていたでしょう。 たとえ何か思うことがあったとしてもなにも行動しないつまらない⼈間になっていたかもしれません。 就職難が叫ばれていますが、私は本当に社会に求められているのは、独自の意見を持ち、そして自ら創造することがで きる⼈間だと思います。この点に気づけただけでも、僕にとっては有意義な研修だったと思います。 最後に、多くの点で成⻑を感じることのできた研修でしたが、特にこの20名の仲間と知り合えたことは確実に⼈生の財 産となると感じています。これからの⼈生でも、自分の狭い視野にとどまることなく、広く世界に目を向けられる⼈間に なりたいと思っています。 13 ⻘⽊ 達彦 五十嵐 星南 私⽴藤嶺学園藤沢高等学校 神奈川県⽴ 2年 湘南台高等学校3年 夏のサマープログラムは、念入りに準備したこともあって、とても収 私はサマープログラムに参加して多くのことを知りました。その中で 穫のある3日間でした。報告会の準備などでも同じ様な事をテーマにし 最も周りの⼈に伝えたいことは「復興はまだ終わっていない」というこ たので聞き飽きたかもしれませんが、実際に自分の目で”2時46分”の時 とです。震災からもうすぐ5年が経ちメディアなどで取り上げられるこ 計を見ること、自分の中での認識と、現実との差を体感すること、今ま とはほとんどなくなりましたが、町には土地を高くするための土が盛ら での己がいかに無知であったかを感じた上で初めて⼈に言えるのだと思 れていたり、被害に遭った校舎が残されていたり、まだ仮設住宅で暮ら います。 す⼈が多くいるのが現状です。そして政府と住⺠の意見の食い違いによ そうした経験の上で、推進センターに置いてあるパンフレットの影響 もあり、ボランティアに目覚めました。ここは福島や仙台ではありませ んが、市⺠の⼈々との触れ合いで元気、勇気を共有し合う、これはとて も素晴らしいことだと思います。 り政府が高過ぎる防潮堤の建設をしたことで海が見えなくなってしまっ たのは悲しいことだと思いました。 この研修を通して、直接自分の目で確かめ情報を得ることは何よりも 大切だと思いました。今後も現地での活動があれば積極的に参加し、復 被災地研修の全体を言葉で表現するのは難しいですが、これだけは言 興状況を見ていきたいと思います。 い切れます。まずは行ってみてください。メディアの力は恐ろしいです から。 M.I 犬塚 詩織 神奈川県⽴ 高校1年 湘南高等学校定時制1年 研修で私が一番印象に残っていることは、被災地の高校生です。同じ 自分の目で被災地を見て、現地の生の声を聞き、改めて東日本大震災 高校生とは思えないほどたくましくて、沢山の活動を自らが⽴ち上げ復 を知り、考えることが出来た。震災から5年の月日が過ぎようとしてい 興へ向けて前進していました。例えば、⼦供達が遊べたり、料理ができ る今、私の生活に支障はなくメディアでの取り上げも減少しているが、 たりする施設や、カフェなど高校生が⽴ち上げたと思えないほど⽴派な 今もなお復興への取り組みは続いているということを忘れてはいけない 施設で見学に行った際、その施設のすばらしさに圧倒されました。また、 と思った。城壁のような防潮堤の建設や土砂を積み上げられた平地等多 お話を聞かせてもらった際には、前向きな言葉を沢山いただきました。 くの土⽊工事を国が進めている現状と、住⺠の望む復興のカタチに違い そして研修後、私にも何かできることがないかと考える機会が増え、勇 があるということを現地に行くまで私は知らなかった。メディアでの報 気や前向きな気持ちを持てるようになりました。今後は、近所の海であ 道の多くは、政府が被災地復興へ向けどんな動きを示したか、という内 る「海さくら」のビーチクリーン活動に積極的に参加したり、近所のお 容ばかりで、その土地で生活を送る住⺠の意見にスポットを当てること じいさんが毎朝川沿いでごみ拾いをしているので、そのお手伝いをでき が少ないのだと感じた。直接、自分自身の足で東北に行き神奈川で過ご たら良いなあと思っています。 していては気づかない様なことを沢山学べて良かった。 14 参加した高校生の感想 植竹 梨帆 梅澤 泰介 私⽴慶應義塾湘南藤沢高等部 私⽴藤嶺学園藤沢高等学校 2年 2年 この研修での私の初期の目的は、東北の今を知り、前進や復興の後押 今回僕がこの研修になぜ参加したいと思ったかというと、高校生とい しをすることでした。けれど実際に東北へ行き、東北の⼈々と関わる事 う⽴場で行けることは非常に良い経験だと思ったからだ。藤沢市が我々 で、私が本当にすべき事に気付くことが出来ました。今の生活に不満が 高校生にこういった非常に良い機会を与えてくれることは本当にありが 無いという訳ではないにしろ、東北の⼈々は私達が思うよりずっと強く、 たいことだと思った。このプロジェクトを通して、何か自分が変わるこ 「一緒に頑張りましょう」なんて言葉はまるでお門違いのように、とっ とが可能なチャンスだと思い参加することに決めた。 くに自分たちの足で前に進み始めていたのです。震災を「1つの経験」 実際に現地を見て回って、衝撃、そして報道とはあまりにも違った行 として捉えているようにさえ見えました。そして特に、私と同じ年の高 政の政策。それらが「悪循環」して復興を遅らせているという現実。百 校生が自分達で団体を⽴ち上げ、能動的に地元へ働きかけている姿は、 聞は一見にしかずとはよく言ったもので、これからの世代がこれらの状 私の中の地元との関わり方の認識に大きな影響を与えました。 況の中で生きていくのは辛いだろうと思った。これらの状況を少しでも、 東北から戻った後、出来る限り多くの地域イベントやボランティアに 例え小さな力でも変えていけたらなと思い神奈川に帰ってからはボラン 参加し、自分なりの地域への貢献を考えてみた結果、町の防災意識向上 ティアを中⼼に活動していきたい。今後は、そういったボランティアを に辿り着きました。東北の⼈々の「経験」を離れた土地でも活かせるよ して少しでも地域に貢献したい。 う、積極的に動いていきたいと思っています。 菅原 つばさ 田尻 彩音 神奈川県⽴ 横浜市⽴ 七里ガ浜高等学校1年 戸塚高等学校2年 私は今回、このサマープログラムに参加して大きく成⻑できました。 今回のプロジェクトに参加して学んだ事は山ほどあります。まずこう ボランティアなどをしたことのなかった私にとって、この活動に参加す いったプロジェクトに参加することの大切さを学びました。誰かが伝え るということ、活動を通して新しくたくさんの方と知り合えたことが大 るのではなく、自分が伝えることによって普段学ぶことのできない物事 きかったです。 や知識が身に付いたような気がします。研修後は様々な地域のボラン 実際に現地では復興している所もあれば、そう見えてまだまだ復興し ティア活動に以前よりも積極的に参加するようになりました。自分が行 ていない所もあったり、当時の状況を思わされる場所があって、テレビ 動することによって地域に貢献できるんだ、という達成感を感じました。 で見ているよりも生で見る方がいろんな感情が込み上げてきました。そ 私はまだ具体的な将来像がないので「⻘年海外協力隊」などの活動や、 れは驚きや恐怖などさまざまでした。何よりも現地の方々の声が一番⼼ ダイバーの資格を取って、海の中のゴミを撤去する活動に参加したいな に残りました。震災当時の状況や避難所の生活など、それまで私が聞い と思いました。もし来年もこのプロジェクトを行うようであれば、是非 たことのなかった話の方が多く、驚きの連続でした。その言葉の中で、 参加したいです! みなさんが口をそろえて言っていた「ピンチの時こそチャンスだと思っ て前向きに取り組む」という言葉には本当に感動して、私も見習ってい きたい、そう思いました。 15 堀水 真世 神奈川県⽴ A.O 湘南台高等学校3年 高校2年 私は現在の被災地の状況を自分の目で確認し、他者に伝えられるよう になりたいと考え、今回のプログラムに参加しました。 印象に残っているのは南三陸町の様⼦です。被災地を訪れる前に このプログラムで非常に多くのことを学ばさせていただきましたが、 何よりも実物に触れること(この場合は現地へ行く事)の重要性を痛感し ました。現地で直に見た物や直に聴いたものは、新聞やテレビなどで見 ニュースや新聞などで見ていた住宅の基礎が残ったイメージとは異なり、 たものとは大きく重みが違い、自分が今までどれだけ震災のことを知ら 基礎も撤去され盛り土が至る所にありました。私はその盛り土を見て なかったのかを思い知らされました。 「復興が進んでいるのだな」と思いましたが、語り部さんのお話では復 また、研修後さらに調べを進めていく中で、研修時だけでは見ること 興が進んでいない象徴とのことでした。語り部さんのお話や神奈川に ができなかった今に残る震災の問題に難しさを知り、より深く震災のこ 戻ってから今後の復興予定を調べたりして、震災前の町並み・生活に戻 とについて考えることになりました。まだ若く知識も経験もありません るまでに時間がかかることがよくわかりました。 が、自分なりに考えまた友⼈達と話し会った結果、少しではありますが 震災から5年経過が近づいてきています。震災関連の報道も減ってき 見えてきたこともあり、世の中のために役⽴つものが提供できるのでは ているなかでも私たちは震災と向き合っていかなければいけません。自 ないかと思います。今後さらに行政提言班で話し合いを進めていき、ま 分の目で見たもの、⼈を挟まず直接聞いたことを大切にし、将来震災を た大学に入ってからとなりますが、ボランティアなどの活動に積極的に 知らない世代にきちんと震災を伝えられる大⼈になりたいです。 参加したいと考えています。ありがとうございました。 佐久間 沙紀 平田 紗貴 神奈川県⽴ 高校2年 湘南高等学校定時制2年 私が今回、研修に行ってよかったと思うことは、震災や被災地への考 私はサマープログラム東北ボランティアで、沢山の経験・体験をしま えが大きく変わったことです。実際に現地に行ってわかることがたくさ した。私が見て聞いた、東日本大震災の実害と今もなお傷を抱えて生き んありました。テレビだけでしかみていなかったところは全く雰囲気も ている現状、震災が連れ去った取り返しのつかない命と思いは、私のよ 違っていました。テレビで見るより地元の気持ちが集まっていると感じ うな小さな存在や何かしたいと思っているだけの⼈にはどうする事も出 ました。また、街を見るとほとんどが更地で、本当にここに家があった 来ない、大きなものだと思います。ただ被災者の方々にはそれに負けな のかもわからないくらいでした。家やマンションがこれほどまでに被害 いくらいの活気や楽しむ気持ちや前向きな姿勢がありました。元気をあ を受けるとは思っていなかったので、家に帰ったらすでに、食料や水な げるはずが、なぜか私の方が元気と笑顔までももらえるくらい、目にす どの点検も行ったりしています。今まではすべてが遠い所の話だ、⼈事 るもの全ては幸せでは無いけれど、震災を忘れるのでは無く、受け止め、 だと思っていたのですが、学校が海に近いこともありとても身近に感じ それを糧に幸せを掴む姿を多く目にし、確実に前に進んでいってるのだ られるようになりました。前もって準備をしていなければ、いざという と思いました。私は、ほんの少しの⼈の優しさや笑顔で、⼈は幸せに近 時に何もできないんだとしみじみ感じました。いい経験になりました。 づけるのだと学びました。震災に限らず、もっと力強く困っている⼈々 の微かな力になれればと強く思えるようになりました。 16 参加した高校生の感想 大野 発 土屋 夏海 私⽴藤嶺学園藤沢高等学校 高校1年 2年 私は東北に実際に行き、ボランティアや被災した方々のお話を聞いた このプログラムに参加することは、僕にとって大きな転換点となりま りしてとても成⻑することができました。1番成⻑したことは、物事の した。世の中の様々な問題に向かう態度や考え方が180度変わり、そし 考え方が広がったことです。 て何より自分の生き方について真剣に考えるようになったと感じていま 自分自身、より成⻑するために、昨年東北に行ったことを第一歩とし す。被災地を訪ね、そこに生きる⼈々の生きざまに触れたことや、プロ て、これからもボランティアや自分の夢に向けて取り組んでいきたいと グラムを通じて出会った多くの仲間は、僕にとってかけがえの無い宝物 思います。本当に参加できてよかったです。 です。 プログラム終了後は、研修で持った問題意識をもとにより発展した内 容の活動を行っていますが、この活動は高校在学中に終了してしまう予 定です。大学進学後には、躊躇いなく自分の興味を持った範囲を突き詰 めていきたいです。 大越 航 H.S 私⽴藤嶺学園藤沢高等学校 神奈川県⽴ 2年 湘南高等学校定時制3年 一番印象に残っているのは、震災の、特に津波の被害が大きかった現 私がサマプロに参加した理由は、現代を生きる日本⼈として東日本大 場を見たことです。私が住んでいる地域も海が近くにあり、防波堤や漁 震災のことを何も知らないのはダメだと思ったからです。また、ボラン 場など似たようなものが身近にある環境に住んでいます。だからそれが ティアの経験を自分の⼈生の彩りにしたいという気持ちもありました。 壊れて原形をとどめていなかったり、そういうものを飲み込んでやって 被災地で実際に見たものや聞いたものは、私の⼈生観に衝撃を与えまし きた津波の後を見ると、自分のところで同じことがもし起こったらと考 た。特に、高校生が運営する施設や「海さくら」という藤沢と石巻を繋 えてしまい、他⼈事とは思えずにショックを受けていました。 ぐ活動にはとてもワクワクして、私もやってみたい!という気持ちにな それとほぼ同じく印象に残っているのは、そこで実際にその震災を経 験した⼈たちです。想像もしたくないような震災が起こったにもかかわ りました。 しかし、私の周りにはそういった活動に関⼼のある⼈はいなくて、被 らず、出会った⼈みんなが明るくハツラツとしていました。震災から4 災地研修から帰ってきた私は、自分が変なのかと不思議で複雑な気持ち 年経っていたとして、私にはあの⼈達と同じように笑うことができるの になりました。そして、何も動き出さないまま半年経った今、「鉄は熱 か、と凄くショックを受けていました。このことがあってから、私は少 いうちに打て」と言っていた宮本さん達の言葉は本当だったなと思いま し楽観的に物事を考えることを知りました。もちろんその⼈達が楽観視 す。 していたから笑っていたと言いたいわけではなく、これからのことを深 それでも、私がサマプロの研修を通して見たもの、聞いたもの、感じ く考え過ぎないことも重要なんじゃないかと私自身がそう思ったからで たことは私の中から消えることはありません。20⼈の高校生でやり遂げ す。起こってからものを考えるのは遅いですが、起こってもないのに勝 るということはとても大きなことで、こうした活動が続いていくことや、 手に考えすぎて落ち込むのもいけないと考えられるようになりました。 小さなことでも活動を続けるということは大切だと思います。 行ったから気づけたこととしてとても感謝しています。 17 定時制高校に通っているということで、すでに成⼈している年齢の私 が“高校生”として参加できたことも、とても貴重な経験でした。 大湯 美香 緑川 航平 神奈川県⽴ 私⽴藤嶺学園藤沢高等学校 湘南高等学校定時制2年 2年 私は最初、ただの好奇⼼とか本当に軽い気持ちで参加しました。でも 私が実際に東北を訪れて、まず感じたのは「復興はまだまだ終わって 事前の研修で「被災地の方々のために何をしたいか」をみんなで考える ない」ことである。震災から四年という月日を経て、メディアを通して 度にその気持ちは好奇⼼から「何か私にできることはないか」と私の中 見た東北は復興に向けて着実に歩みを進めているように思えた。しかし、 でもすでに変化していました。 実際に震災の被害を受けた地域を訪れ、その考えは大きく変わった。津 そして当日、みんなで被災地へ行きました。行ってわかったことは 波による被害が大きかった南三陸では、建物を⽴てる予定はあるものの、 こっちで見る、「外で遊ぶ⼦供達」「外を歩く親⼦」がいないというこ ほとんど工事が進んでいない場所があちらこちらに見られ、復興が思う と。バス移動から見たそこは私には胸の痛くなるような光景でしかあり ように進んでいない現実が見受けられた。 ませんでした。そしてあらゆる方々の話を聞き、私達と同世代の方々の ただ、震災がもたらしたのは必ずしも負の遺産だけではない。二日間 話を聞き、「同じ⼈間で、同じ⼈生を同じように楽しく過ごしたかった という短い時間ではあったが、地元をより良くしようと活動している高 はずなのに」家族や友達、大切な⼈を失いそこから⽴ち上がった被災地 校生たち、震災をきっかけに養殖業を始めた漁師さんなど多くの方から の⼈々は本当に強いんだなあと思いました。トラウマになってしまうは お話を伺うことができた。 ずなのに、私達に丁寧に全てを話してくれて。どうして私は今までテレ そんな中で、皆さんが口をそろえて言っていた言葉がある。それは ビやネットで見た情報しか自身の頭に入れず「どうせもうみんな元気な 「震災のおかげで、震災があったから」である。石巻で出会ったある高 んでしょ」などと勝手な解釈をしていたのでしょうか。どうして「私に 校生は「この震災を通して、私は自分の町が好きになったし、たくさん 何か、小さいことでもできることはないか」とは考えられなかったので の⼈と出会うことができた。だから、震災が起こったことは悲しいけど、 しょうか。小さな地震が起こるだけで被災地の方々は怯えるはずなのに、 感謝している」と話していた。震災は多くの⼈々にとって変わる「きっ それが普通なのにどうして私達は小さな地震が起きても「あっ地震だ」 かけ」となったのである。 程度にしか思えなくなってしまったのか。私の中で「考え直さなくては 私はこの研修を通して、「行動すること」の重要性を学んだ。今まで いけない」部分を発見することができました。今も解決はしてません。 は、たかが高校生が何かやっても社会を変えることはできないと思って いつか、何かの形で答えを見つけることができたら、と考えています。 いた。しかし、東北で頑張っている同世代の高校生たちの姿を見て、自 分からアクションを起こすことで、少しずつでも社会を変えていけるこ とが分かった。私もこの「サマープログラム」を「きっかけ」にして、 今後、自分が社会に対して何ができるか、何をしていくべきなのかを考 え、実際に行動を起こしていきたいと思った。 18 アンケート結果 事前・事後アンケート結果 ― 参加者の意識変容 プログラムを参加したことによる高校生の変化を量的に測るため、下記の各項目について、事前・事後アン ケートを行いました。事前アンケートは第一回事前研修終了後、事後アンケートは報告会終了後にそれぞれ同一 項目で行い、変化を見ました。 「東日本大震災の被災地や、被災地で起きていることに関⼼がある」「自分達も被災地の復興のために役に⽴ つことができる」といった、震災復興支援関連の項目や、「身の回りや社会で起きている問題に、関⼼がある」 「困っている⼈のために、自分にも何かできることがある」などの社会参加意識などで、上昇が見られました。 事後アンケート結果 ― プログラムに参加することで得たもの・身についたこと プログラム終了後に行ったアンケートでは、参加者が本プログラムへの参加を通して得たものごとや、身につ いた力などを測りました。 高かったのは「新しい考え方に触れた」「視野が広がった」でした。また、それに続いて「自分の住む地域で 起きている問題やボランティア活動などに目が向いた」「自分の住む地域の防災について考えた」といった項目 も高く、本プログラムをきっかけに、参加者が被災地のみならず普段それぞれが暮らす地域にも目を向けること につながった点を示唆しています。 19 漁業支援ボランティアにて さんさん商店街で南三陸町の 高校生とおしゃべり 南三陸町の高校生との交流 石巻から藤沢へ帰るバスが出 発する時、石巻の高校生が お見送りをしてくれました 石巻の高校生との交流プログラム後に集合写真を撮りました 報告会で研修内容について発表する様⼦ 報告会では「今後やりたいこと」も発表しました 20 研修終了後の自主的な活動 本プログラムは「藤沢の高校生たちが地域や社会の課題に目を向け、高校生自身が解決に向けた取り組みを行う」ことを ねらいとしていました。プログラム終了後、参加した高校生たちの中から「自分たちも被災地や地元のために何かした い」という声が上がり、以下のような取り組みが始まりました。事務局は参加者に寄り添いながら、自主的な活動を今現 在もサポートしています。 自主的な活動の例 1.被災地の様⼦を新聞にまとめる 2.校内新聞部による新聞作り(私⽴藤嶺学園藤沢高等学校) 3.文化祭での「東北物産市」開催(神奈川県⽴湘南台高等学校) 4.高校生が防災について考える団体の設⽴ 5.高校生目線で、復興まちづくりについて研究し、行政に提案する 6.藤沢地域でのボランティア活動への参加 1.被災地の様⼦を新聞にまとめる 1.被災地の様⼦を新聞にまとめる 事前研修の話し合いから生まれた「記録・伝える班」のメンバーが、研修で見た被災地の様⼦をまとめた新聞 を制作しました。訪れた場所や聞いた話について、高校生目線でわかりやすく書かれています。記事の執筆は もちろん、レイアウトやデザインも全てメンバーで行いました。完成した報告書は、参加メンバーや活動報告 会の来場者に配布しました。 21 2.校内新聞部による新聞作り(私⽴藤 2.校内新聞部による新聞作り(私⽴藤嶺学園藤沢高等学校 (私⽴藤嶺学園藤沢高等学校) 嶺学園藤沢高等学校) 私⽴藤嶺学園藤沢高等学校で、新聞部に所属し 活動する参加者が、被災地研修の様⼦を校内新 聞の記事にまとめました。 被災地でみた光景や感じたことが書かれており、 全校生徒や教職員にも配布をしました。本プロ グラムに参加した同校生徒6名のコメントも掲 載されています。 3.文化祭での「東北物産市」開催(神奈川県⽴湘南台高等学校) 3.文化祭での「東北物産市」開催(神奈川県⽴湘南台高等学校) 県⽴湘南台高等学校で生徒会に所属する参加者 が、2015年9月5日(土)・6日(日)に行われ た文化祭にて、東北物産市を開催しました。 彼女は、過去に東北物産市のボランティアを経 験。その後、本プログラムを通して「自分が見 た被災地の現状を伝えたい」との想いから、校 内での企画実施に至りました。当日はたくさん の来場者や教職員が商品を購入してくれました。 また、売上の一部は被災地研修で出会ったNPO 法⼈石巻復興支援ネットワークへ寄付しました。 4.高校生が防災について考える団体の設⽴ 被災地の教訓に学びながら、藤沢の防災意識を 高めていくため、2名の参加者が中⼼となり、 高校生の団体を⽴ち上げることになりました。 コンセプトは、「高校生の活躍する街、藤沢 に!」。現在は、地域の防災の現状について調 べながら、どのような活動を行うか企画を練っ ています。主には、小学生向けのハザードマッ プ作りなど、小さい⼦どもが防災の意識を高め られるような取り組みを計画しています。 22 研修終了後の自主的な活動 5.高校生目線で、復興まちづくりについて研究し、行政に提案する 「復興」をめぐる様々な思いが交差する中で、 どうすれば住⺠と行政が理解を深めながらとも に復興を進められるのか。そんな思いから、こ れまでの復興まちづくりの課題を研究し、行政 に提言を行う活動が⽴ち上がりました。 メンバーは、藤嶺学園藤沢高等学校の2年生4名。 話し合いや調査を丁寧に重ねたのち、まずは同 世代の高校生が行政に関⼼を持てるような機会 を作るべく動き出しています。 6.藤沢地域でのボランティア活動への参加 被災地研修終了後に「地域のボランティア活動 に参加したい」という意見が多くの参加者から 聞かれ、実際に活動へつながっています。 江ノ島でごみ拾いを行う「海さくら」の活動参 加や、藤沢の地産地消グルメ「藤沢炒麺」を販 売するお手伝い、また本プログラムのサポー ターが主催した地域イベントのお手伝いなど、 様々な活動に結びついています。 23 大学生サポーターからのメッセージ 7月から9月までの活動期間、サマープログラムに参加したおかげでとても充実した期間となり ました。社会の中で働いているNPOの方々との関わり、市役所で働いている方々との関わり、 そして高校生との関わり、どれも新鮮でとても実りの多い活動になりました。高校生の援助とい うことで、良い雰囲気を作りながら、高校生を引っ張るでもなく後ろからそっと見守り支えると いう経験は、来年度から保育士になる私にとって、良い経験ができたと思っています。 活動を通して日を増すごとに高校生が成⻑していく姿は、活動をやっている意味を強く実感で きました。⼈前で話すこと、みんなで話し合う事、知らない⼈とコミュニケーションをとること など、短い期間の中で多くの経験を高校生の彼らはできたのではないかと思います。そして実際 に被災地に行った経験は、彼らに強い影響を与えたと私は思います。今を生きることが当たり前 のようで実は当たり前ではないことや、自分のこれからの⼈生に対する気づきなど、生きる上で 大切なことを彼らは学ぶことができたと私は思います。 関東学院大学⼈間環境学部4年 山本和志 高校生のエネルギーあふれる姿から、私もたくさんの勇気をもらいました。サマープログラム を経て成⻑した彼らのこれからの歩みがとても楽しみです。 今回はとても貴重な経験の場を設けてくださり、ありがとうございました。高校生たちの元気 や柔らかい考え方はすごく私自身にとって良い影響になりました。また、一つのプログラムに関 わり、やり通すことがこんなにも面白く、やりがいのあるものというのを改めて知ることができ ました。 今回の経験から、「まずは受け入れる」ことの重要さを学びました。約20⼈の高校生、学校は もちろんのこと、バックグラウンドや生活や考え方、価値観は違う。皆一緒なんてありえなくて、 色々な⼈がいるから面白い。その⼈ことを受け入れることで、初めて多様性を受け入れることが できると思いました。夏休みのサマープログラムという短い期間での出会いでしたが、皆に出会 えて本当に良かったと思います。私もそうですが、これからまだまだ⻑い道のりです。これから もっと勉強してたくさんの⼈とたくさんの考え方に出会うと思います。ぜひ、まずは受け入れて、 文教大学国際学部2年 出会いを楽しんでほしいと思います。これからも皆で切磋琢磨高め合っていきましょう!!最高 中野桃菜 な仲間に出会えて幸せです!ありがとう。 数ヶ月間、どの ように自分たちの旅をアレンジしていくのか、何を見て、何を得たいのか、全 くイメージのな いところから高校生と一緒にスタートしました。自分自身まだまだ至らない点が 多く、実はいつもドキドキしながら皆との時間を過ごしていました。雰囲気はどうか、皆は言い たいことを話せているのか、もっと良い時間にするためには、と考えてはいても体現することは 難しいのです。 私にとっての地元がみんなにとってどんな場所に見えているのだろうか。常に私を鼓舞させた のはみんなの真剣な目でした。知らない場所に足を踏み入れる際には誰でも緊張と楽しみを抱え ながら踏み出します。このサマプロで、本当に高校生らしい元気なみんなと楽しく過ごせたこと を嬉しく思っています。さらに、高校生のみんなには震災を乗り越え、これからに向かって前進 慶應義塾大学総合政策学部1年 阿部愛里 して行っている素敵な⼈達とも出会えたことを忘れないでください。その出会いがみんなの成⻑ に繋がっていくことを期待しています! 24 本事業を振り返って 震災から5年が経つ被災地と、藤沢の関わり 2016年3月で、東日本大震災から5年が経過しました。5年という月日の中で、被災地から何百 キロも離れた藤沢の⼈々の脳裏からは、あの日の出来事や、今なお復興に向け歩みを続ける被災 地の姿は消え去りつつあるのかもしれません。 私たちが訪れた南三陸町を見渡してみると、土砂がうず高く積まれ、工事車両が行き交ってい ます。かさ上げをし、町の土台を”作り直している”状況です。同じく私たちが訪れた石巻市の中 ⼼部を歩けば、新たに建てられた震災メモリアル施設や、津波を耐えた建物に津波の高さを示す しるしが残されていたりと、日常の中にあの日の記憶を垣間見れます。 認定NPO法⼈ 藤沢市が面する相模湾は、関東大震災で大きな津波が観測されたという記録が残されています。 藤沢市市⺠活動推進連絡会 遠く離れた「被災地」が、実は藤沢で暮らす高校生達の生活と地続きであることをあらためて認 宮本裕⼦ 識し、他⼈事ではなく自分事としてとらえ、藤沢から「できること」を探す。本プログラムはそ んなきっかけになったのではないかと思います。 被災地で見た高校生の横顔 東日本大震災から4年半が経過した被災地を訪れ、高校生が目にしたものは、課題が山積して いる現状を前に、復興に向けて奔走する⼈々の姿でした。 2日間に詰め込んだ多くのプログラムを通じて、自分の身の回りの生活との乖離にショックを 受けながらも「自分たちにも何かできることがあるのではないか」「大きなことはできなくとも まずは自分の身の回りから生活を見直そう」など、高校生の⼼に小さな灯りがともる瞬間を見る ことができました。そして、目を背けたくなるような現実を前にしても、ひたむきに前に進んで いこうと活動する現地の高校生の姿は、何よりの起爆剤になったのではないでしょうか。 藤沢市⼦ども⻘少年部 ⻘少年課 遠藤みづき 被災地研修の間プログラムごとに残されたなぐり書きの振り返りシートからは、それぞれが短 い研修のなかで少しでも多くのことを見聞きし、感じ取ろうという思いが垣間見えました。 本プログラムを経て大きく成⻑した彼らの思いが、今後さらに波及していくことを期待してい ます。 大学生サポーターの重要性 学生サポーターがプログラムに関わることの意義はとても大きいものでした。1番の大きな意義 として、高校生の変化や行動に影響を与えてくれたことです。高校生の少し上のお兄さんお姉さ んとして、積極性や意見を引き出す等の役割を期待していましたが、関わってくれたサポーター には想定以上のことをしていただきました。プログラム中、自分の意見を話したり、全体で発表 する機会が多くありましたが、意見を安⼼して言うことのできる場ができたからこそ、事後研 修・報告会と、各自が現地で学んだことや感じたことをそれぞれの言葉で表現できていたと感じ ています。 認定NPO法⼈ 25 2番目に、プログラムを事務局とともにより良いものにしてくれたことです。高校生と1番近く 藤沢市市⺠活動推進連絡会 で接し、気づいたことを事務局に伝えてくれたり、打ち合わせではたくさんの意見を出してくれ 中村麻梨奈 ました。サポーターを含めみんなで考え抜いてプログラムを作っていくことができました。 シチズンシップ教育という観点でみた、本プログラムの価値 シチズンシップ教育とは、自身を取り巻く社会に関⼼を持ち、社会に参画していく「市⺠」を 育てる教育です。参加した高校生一⼈ひとりの変化は、自身の声と参加を通じて社会を動かして いくという、一⼈の市⺠としての成⻑そのものでもありました。 被災地で震災当時の経験を聴き、今なお残る復興への課題を知った参加者には、「何かしなけ れば」という強い思いが芽生えていました。また被災地の経験を合わせ鏡として、自らの住む地 域への問題意識を持つ参加者もいました。 ただ、こうした思いが芽生えても、被災地の圧倒的な現実や、社会の分厚い壁は、ときに無力 湘南まちいくプロジェクト 感を与えかねません。けれども、困難な中でも⽴ち上がり、復興に向けて動く現地の大⼈や同世 代表 代の高校生の姿が、「自分たちにも何かできるかもしれない」と彼らを後押ししていました。実 古田雄一 際に、様々な形で一歩を踏み出し、活動を始めている高校生もいます。 こうした自信を育んだのは、被災地での経験だけではありません。事前・事後研修で自らの思 いや意見を発し、仲間やサポーター、スタッフが受け止めてくれる経験も、後押しとなっていま した。今多くの高校生が社会に無力感を抱く中、本プログラムには大きな意義があるのではない でしょうか。 藤沢市が「高校生のシチズンシップ教育の普及」に取り組む意味 日本の学校教育では、選挙制度や⺠主主義の仕組みを、授業の中で教えてくれるものの、地域 の課題を高校生自らが調べたり、高校生同士で議論を交わし、課題解決に向けたアクションをす る機会があまりありませんでした。その結果、高校生たちは自分たちの日常生活が、居住地の行 政機関が行っている様々な活動と密接に結びついているという意識を持つことが難しい状況にあ ります。わが国は、世界に例のない少⼦高齢化社会を迎え、若者世代の負担は確実に増していき ます。次世代を担う若年層には、社会の一員として力を発揮してもらうことが不可欠となります。 社会のことをきちんと考えられる⼈を育てていくために、この事業をそのきっかけとしたいと考 藤沢市⼦ども⻘少年部 えています。 ⻘少年課 横田淳一 26 巻末資料 プログラム参加者募集チラシ 募集要項 27 エントリーシート 参加費減免申請用紙 報告会チラシ 28 巻末資料 メディア掲載 タウンニュース 藤沢版 2015年10月2日号 http://www.townnews.c o.jp/0601/2015/10/02/30 2261.html (最終アクセス日: 2016年2月24日) 東京新聞 2015年10月6日号 地域の情報「横浜」22面 http://www.tokyonp.co.jp/article/kanagawa/list/20 1510/CK2015100602000162.html (最終アクセス日: 2016年2月24日) 29 被災地でつながろう 考えよう サマープログラム2015 サマープログラム2015 活動報告書 活動報告書 発 行:2016 行:2016年 2016年 3月 印 刷:株式 刷:株式会社 株式会社 プリントパック 編集責任:認定NPO 編集責任:認定NPO法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 NPO 法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 理事・事務局⻑ 編 手塚明美 集:認定NPO 集:認定NPO法⼈ NPO 法⼈藤沢市市⺠活動推進 法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 藤沢市市⺠活動推進 連絡会 宮本裕⼦・中村麻梨奈 発行責任:藤沢市 認定NPO 認定NPO法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 NPO 法⼈藤沢市市⺠活動推進連絡会 本書の一部あるいは全部について、無断で転載・複製することを禁じます。 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