企業の景況感悪化を示唆した日銀短観

情報提供⽤資料
経 済 環 境 レ ポ - ト
企業の景況感悪化を⽰唆した⽇銀短観
-海外経済の減速や円⾼が下押し要因-
2016年4⽉1⽇
⽇本銀⾏は、4⽉1⽇に全国企業短期経済観測調査(3⽉)を発表しました。市場の注⽬度の⾼い⼤
企業製造業の業況判断は、2期ぶりに悪化しました。⼀⽅、⼤企業⾮製造業の業況判断も低下しまし
た。先⾏き⾒通しについては、共に悪化が続く⾒通しです(図表1)。
また、注⽬された2016年度の⼤企業の設備投資、収益計画は、内外景気の先⾏き不透明感が強い
なか、慎重な期初⾒通しとなりました。設備投資の回復の遅れが懸念されることに加え、企業業績の
改善を起点とした経済の好循環による景気回復が損なわれる可能性があります。
今回の⽇銀短観のポイントや今後の⾦融政策の⾏⽅について、弊社は以下のように考えています。
(図表1)⼤企業の業況判断の推移
ポイント① -海外経済の減速や円⾼、
消費の低迷が下押し要因-
⼤企業製造業の業況判断は、+6と事前予想(ブ
ルームバーグ調査:+8)を下回りました(図表
2)。中国をはじめとする海外経済の減速や年初か
(%ポイント)
40
20
10
0
通じて輸出関連業種を中⼼に景況を下押ししたため
▲ 10
と⾒られます。
▲ 20
います。中国の輸出攻勢による鉄鋼市況の軟化が、
景況感の悪化に拍⾞をかけたことが窺われます。ま
た、電気機械や⽣産⽤機械なども低調な動きに留
まっています。企業収益の悪化懸念に加え、世界的
な投資抑制が響いているためと考えられます。
⼀⽅、⼤企業⾮製造業の業況判断は、+22と事
前予想(ブルームバーグ調査:+24)を下回り、6
期ぶりに悪化となりました。実質所得の伸び悩みや
家計の節約志向による消費の低迷が要因と⾒られま
す。ただ⽔準は⾼く、全体としては底堅さを維持し
ていると⾔えます。
主要業種で⾒ると、建設や不動産の堅調が⽬を引
きます。2020年の東京五輪を睨んだ建設投資の増
加や、不動産需要の回復が背景にあると⾒られます。
また、⽇本銀⾏のマイナス⾦利の導⼊も、景況改善
を後押ししていると考えられます。⼀⽅、⼩売や通
信などが悪化しました。前者は、株安の進⾏、後者
は通信料の引き下げが景況感に影を落としたためと
考えられます。
(出所)⽇銀短観(2016年3⽉)より岡三アセットマネジメント作成
予測
30
らの急激な円⾼の進⾏などが企業業績の悪化懸念を
主要業種で⾒ると、鉄鋼の⼤幅な低下が⽬⽴って
(期間:2000年第1四半期〜2016年第2四半期)
▲ 30
製造業
▲ 40
⾮製造業
▲ 50
▲ 60
▲ 70
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16(年)
(注)2016年第2四半期は予測
(出所)⽇銀短観(2016年3⽉)より岡三アセットマネジメント作成
(図表2)主要業種の業況判断の推移
前回調査
2015年12⽉
最近
製 造 業
12
化学
20
⽯油・⽯炭製品
-11
鉄鋼
0
⾷料品
17
はん⽤機械
16
⽣産⽤機械
22
電気機械
3
⾃動⾞
11
⾮ 製 造 業
25
建設
41
不動産
35
卸売
8
⼩売
22
通信
44
情報サービス
30
対個⼈サービス
32
宿泊・飲⾷サービス
32
全産業
18
今 回 調 査
2016年3⽉
最近
先⾏き
6
3
10
4
-16
5
-22
-21
20
16
11
15
12
4
-7
-1
5
-1
22
17
45
32
37
26
2
4
18
13
33
11
31
24
16
27
22
19
13
11
<本資料に関してご留意いただきたい事項>
■本資料は、投資環境に関する情報提供を⽬的として岡三アセットマネジメント株式会社が作成したものであり、特定のファンドの投資勧誘を⽬的として作成し
たものではありません。■本資料に掲載されている市況⾒通し等は、本資料作成時点での当社の⾒解であり、将来予告なしに変更される場合があります。また、
将来の運⽤成果を保証するものでもありません。■本資料は、当社が信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するもの
ではありません。■投資信託の取得の申込みに当たっては、投資信託説明書(交付⽬論⾒書)をお渡ししますので必ず内容をご確認のうえ、投資判断はお客
様ご⾃⾝で⾏っていただきますようお願いします。
1
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先⾏き⾒通しについては、製造業、⾮製造業とも悪化が続く予想です。景況悪化業種が増加する⾒
通しで、慎重な企業マインドが産業界全般に広がっていることが窺われます。内外景気の先⾏き不透
明感の⾼まりや、⾦融市場の不安定な動きなどが背景にあると考えられます。世界経済の下振れ懸念
が強いだけに、企業の景況感の回復は遅れることが予想されます。
ポイント② -設備投資、収益計画は慎重な⾒通し-
(図表3)⼤企業の設備投資計画の推移
⼤ 企 業 の 2016 年 度の 設 備 投 資 計 画 は 、 前 年 度 ⽐
0.9%減と2年連続でマイナス予想のスタートとなりま
(期間:2012年度〜2015年度)
(前年度⽐、%)
した。国内景気の先⾏き不透明感の強まりが背景にあ
12
ると⾒られます。⾮製造業が減少に転じる⼀⽅、製造
10
9.3
8
7.4
業は⼩幅ながらも増加が続く予想です。ただ、製造業
は、在庫調整の遅れから⽣産の本格回復が遅れると⾒
10.9
9.8
8.9
8.6
6
ます(図表3に2015年度までの推移を掲載)。
4
また、⼤企業の2016年度の収益計画(経常利益ベー
8.2
6.8
6.4
られ、先⾏き下⽅修正される可能性があると考えられ
5.9
5.2
6.2
5.5
5.1
4.6
3.9
2.5
2
ス)は、2年ぶりに減益予想のスタートとなりました。
2.2
0.1
0
前年度⽐2.0%減は、アベノミクスが始まった2012年
度以降では、消費税率の引き上げの反動減が強く警戒
▲2
された2014年度の同2.3%減にほぼ並ぶ減少率となっ
▲4
0.0
▲ 1.2
▲ 2.0
ています(図表4に2015年度までの推移を掲載)。加えて、
3⽉調査
2016年度の⼤企業の円相場の想定レートは、1ドル=
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
6⽉調査
9⽉調査
12⽉調査
実績⾒込み
実績
(出所)⽇銀短観より岡三アセットマネジメント作成
117.46円と⾜元の実勢レートより円安となっており、
先⾏き下⽅修正される懸念があります。
(図表4)⼤企業の収益計画の推移
ポイント③ -追加⾦融緩和の誘因に-
(期間:2012年度〜2015年度)
(前年度⽐)
今回の⽇銀短観は、景況感の悪化をはじめとして、
40
全般的に弱い内容と⾔えます。特に、企業業績の下振
35
れ懸念の強まりは、企業業績の改善を起点とした経済
30
の好循環による景気回復という⽇本銀⾏のシナリオに
25
⻩信号が点灯し始めたと⾒られ、追加⾦融緩和を促す
20
誘因になると考えられます。
35.0
2012年度
10
下回った模様です。政府は、2016年度予算の公共事業
5
の前倒し執⾏に加え、2016年度補正予算の編成による
0
総合経済対策の検討に着⼿するなど、財政⾯からの景
▲5
気対策を打ち出す動きを⾒せています。
2014年度
ポートの景気・物価⾒通しを下⽅修正すると共に、追
加の⾦融緩和に踏み切る可能性が⾼いと考えられます。
23.4
2015年度
13.9
6.4
0.6
▲ 1.1
8.4
4.3
3.1
1.1
▲ 4.6
3⽉調査
6.5
4.7
▲ 2.3
▲ 10
融政策の基本⽅針を決める際の前提条件となる展望レ
27.9
2013年度
15
また、注⽬された春闘の賃上げ率は、前年の伸びを
⽇本銀⾏は4⽉27⽇〜28⽇の決定会合において、⾦
10.8
6⽉調査
1.6
0.0
▲ 3.0
9⽉調査
▲ 2.2
3.9
7.6
6.4
▲ 0.6
12⽉調査 実績⾒込み
実績
(注)⼤企業の経常利益の前年度⽐増減率
(出所)⽇銀短観より岡三アセットマネジメント作成
以上 (作成:投資情報部)
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