別添 調査の概要 1 調査地点 調査方法A 調査方法B 2 調査期間 平成 26 年 4 月~平成 27 年 5 月 3 調査方法 (1) 調査方法 A 次の期間において、1 日毎のサンプルを採取し、PM2.5 の成分を分析した。 なお、サンプル採取は、アメリカ環境保護庁連邦標準法 (FRM)に準じて行った。 ①平成 26 年 4 月 9 日~4 月 23 日 ②平成 26 年 5 月 8 日~5 月 22 日 ③平成 27 年 1 月 21 日~2 月 4 日 ④平成 27 年 4 月 17 日~5 月 1 日 (2) 調査方法 B 自動測定機を用いて、PM2.5 濃度等の 1 時間値を調査した。 4 結果 (1) PM2.5 濃度は、日本側は全調査地点で 5 月に、大韓民国側は 1~3 月または 5 月に 高くなり、両国とも冬~春期にかけて高濃度化する季節的な傾向がみられた。 (2) PM2.5 濃度が環境基準値を超過した日数は、両国とも都市部で多かった。 また、離島地域(長崎県五島市、済州特別自治道)が、全調査地点のなかでPM2.5 濃度(日平均値)が最も高くなる事例があった。離島地域は地域内の発生源が少ない ことから、PM2.5 濃度は、外部からの流入経路に大きく影響を受けると考えられた。 (3) PM2.5 濃度が高濃度化する時間帯は両国で異なっており、日本側では福岡県太宰 府市以西で 18 時頃に、福岡県太宰府市以東で 12 時頃にPM2.5 濃度が上昇した。 一方、大韓民国側では、全羅南道を除く地点で 9 時頃と 24 時頃に濃度上昇する傾向 がみられた。 (裏面に続きます。) (4) PM2.5 高濃度日について統計的に発生源解析を行った。この結果、日本側では総 じて硫酸系二次生成粒子※1が主な発生源であると推測された。 一方、大韓民国側ではバイオマス※2燃焼と硫酸系二次生成粒子が発生源である事例 が多かった。 (5) 平成 26 年 5 月 12~13 日には、地域内の発生源が少ない離島地域 (長崎県対馬市、 済州特別自治道)で、硫酸系二次生成粒子によると推定される高濃度の事例があった。 硫酸系二次生成粒子は、外部から流入した汚染の主な成分と考えられた。 5 今後の課題・対策 (1) 環境省や国立環境研究所へ報告書を提供し、今後の微小粒子状物質(PM2.5)の課題 解決に寄与する。 (2) 平成 28 年度(2016 年度)から、微小粒子状物質(PM2.5)を生成する要因の一つで あり、低濃度であっても長期的な曝露により健康影響が生じるおそれのある、ベンゼ ンなどの揮発性有機化合物(VOC)の調査を両国で行うことにより、PM2.5 の未知成分 についての知見の集積を図るとともに、有害大気汚染物質対策の更なる推進を図る。 6 調査機関 山口県環境保健センター、福岡県保健環境研究所、佐賀県環境センター、 長崎県環境保健研究センター、釜山広域市保健環境研究院、全羅南道保健環境研究院、 慶尚南道保健環境研究院、済州特別自治道保健環境研究院 《参考》 ※1 この調査は、平成 24 年度から平成 25 年度にかけて共同で実施した「微小粒子状物質( PM2.5)に関する広域分布特性調査」の結果を踏まえ、PM2.5 が高濃度となる時期を選定 し、環境実態に関する調査を実施したものです。 ※2 PM2.5 の発生要因については、発生源から直接排出される一次粒子と、ガス状で発生さ れたものが大気中での化学変化によって粒子となる二次粒子があります。 二次粒子を生成するガス状物質のひとつに二酸化硫黄(SO2)があります。これは重油や 石炭など硫黄を含む燃料を燃焼させると生じ、大気中で化学変化し、さらにアンモニア(NH3) と結びついて硫酸アンモニウム[(NH4)2SO4]の粒子を形成します。これを、硫酸系二次生成粒 子といい、粒子径も小さく、降雨などの除去作用がないと長く滞留し、長距離輸送されるこ とも多いとされています。 ※3 ※4 紙や木材、木炭、食品や農畜産廃棄物など、動植物に由来するもの全般を指します。 長崎県対馬市及び五島市のPM2.5 成分データは、環境省が実施した調査結果を引用して います。
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