PDFダウンロード - デジタルパンフレット|電気事業連合会

使用済燃料貯蔵対策
の取り組み
発電所の内外を問わず中間貯蔵 施設や乾式 貯蔵 施設などの
建設・活用を推進し貯蔵能力の拡大を図ります
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〒100-8118 東京都千代田区大手町 1-3-2 経団連会館
http://www.fepc.or.jp/
原子燃料サイクルと使用済燃料
原子燃料サイクル推進のため、使用済燃料の貯蔵対策に取り組んでいます。
日本原燃提供
使用済燃料貯蔵対策の取り組み
原子燃料サイクルのメリット
原子力発電にともなって発生する使用済燃料は再処理工
乾式貯蔵施設などの建設・活用を進めることで、使用済燃
原子力発電所で使われたウラン燃料には、核分裂せず
また、
日本は、
ウランや化石燃料の多くを輸入しています。
場で再処理され、燃料としてリサイクルする計画です。
料の貯蔵能力の拡大を図ります。
に残ったウランや発電に伴って新たに生成されたプルトニ
しかし、原子力発電にともなって発生する使用済燃料を再
ウムが合わせて 95∼97%も含まれています。このウラン
処理することにより、回収されるウランやプルトニウムは
使用済燃料は再処理に搬出されるまでの間、各原子力発
電所で安全を確保しながら計画的に貯蔵対策を進めていま
す。引き続き、発電所の敷地内外を問わず、中間貯蔵施設や
※原子力発電の燃料は、原料であるウラン鉱石を加工して焼き固めた
ペレットと呼ばれるものの集合体です。この燃料集合体を原子炉内
で4∼5年間使った後に取り出したものが使用済燃料です。
料として利用することができます。
発電によるウラン燃料の変化
核分裂生成物など
(核分裂によりできた物質)
原子燃料サイクルの必要性
済燃料を再処理し、回収されるプルトニウムなどを有効利
射性廃棄物の減容化・有害度の低減」などの観点から、使用
用する原子燃料サイクルの推進を基本的方針としています。
【原子燃料サイクルの概念】
95∼97%
ウラン濃縮工場
ウラン鉱山
再転換工場
六フッ化
ウラン
ウラン
鉱石
製錬工場
六フッ化
ウラン
イエロー
ケーキ
再処理工場
二酸化
ウラン
二酸化
ウラン
転換工場
回収
ウラン
成型加工工場
MOX加工工場
MOX燃料
集合体
回収ウラン・
プルトニウム
使用済
燃料
中間貯蔵施設
使用済
燃料
ウラン燃料
集合体
原子力発電所
放射性廃棄物
(低レベル)
1%
1%
高レベル放射性廃棄物
プルトニウム
93∼95%
プルトニウム
再処理・加工
核分裂
しにくい
ウランなど
95
97
91∼96%
モックス
《発電後》
《発電前》
4∼9%
MOX 燃料
使用済燃料を再処理することで、資源として再利用でき
ことができます。また、ガラス固化体からはウランやプル
ない核分裂生成物のみを取り出し、ガラス固化体にするた
トニウムが除かれるため、天然ウラン並の有害度になるま
め、体積が約 4 分の1になります。これにより直接処分に
での期間が約12 分の1に低減されます。
比べ、処分施設の面積を約 2 分の1∼3 分の1に縮小する
再処理することで、ウラン・プルトニウムを
資源として再利用できる。
直接処分に比べ処分施設の面積が約1/2∼1/3になる。
直接処分に比べ高レベル放射性
廃棄物の体積が約4分の1になる。
1.032m
キャニスターに入った
使用済燃料:3.98m3
オーバーパックに入った
ガラス固化体:0.91m3
4.76m
0.82m
使用済燃料
メリット 3
低レベル放射性
廃棄物埋設施設
放射性廃棄物
核分裂
しにくい
ウラン238
3∼5%
メリット 1
ウラン・プルトニウムの流れ
使用済燃料の流れ
核分裂
しやすい
ウラン235
メリット 2
放射性廃棄物
(高レベル)
高レベル放射性
廃棄物貯蔵管理施設
3∼5%
再利用可能︵ ∼ %︶
エネルギー基本計画では「資源の有効利用」
「高レベル放
「準国産エネルギー資源」となりえます。
やプルトニウムを再処理して取り出すことにより、再び燃
天然ウラン並の有害度※になるまでの期間が
約12 分の1に低減する。
【直 接 処 分】約10 万年 【再 処 理】約8千年
※人が体内に放射性物質を直接取り込んだと仮定した潜在的な有害度
参照元:放射性廃棄物小委員会(平成 25 年度第 1回)参考資料
1.73m
再処理した場合
直接処分した場合
参照元:放射性廃棄物小委員会(平成 25 年度第 1回)参考資料
高レベル放射性
廃棄物処分施設
2
3
貯蔵方式と貯蔵能力の拡大方策
使用済燃料プールの貯蔵能力拡大や乾式貯蔵施設の
設置などの対策を図っています。
使用済燃料対策の強化
使用済燃料対策に関するアクションプラン(骨子)
1.使用済燃料対策に関する基本的考え方
2015 年10月、国のアクションプラン(右記)において、
2.使用済燃料対策の強化へ向けた具体的な取組
原子力発電所の敷地内外を問わず新たな地点の可能性の
(1)政府と事業者による協議会の設置
幅広い検討を開始し、中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設など
(2)事業者に対する「使用済燃料対策推進計画」の策定の要請
み、事業者間の共同・連携による事業推進の検討の必要性
が示されました。
これを受けて、電力9社と日本原子力発電で構成する
「使用済燃料対策推進連絡協議会」を電気事業連合会に
設置し、使用済燃料貯蔵能力拡大に向けて、事業者全体で
〈共同での研究開発〉
〈理解活動の強化〉
〈中間貯蔵施設な
使用済燃料プール
(ブロック)
リラッキングとは使用済燃
必要です。
の建設・活用の促進に向け、電気事業者の積極的な取り組
【リラッキング(使用済燃料プールの貯蔵能力の拡大)】
(3)地域における使用済燃料対策の強化(交付金制度の見直し)
(4)使用済燃料対策に係る理解の増進
使用済燃料プール(ブロック)
料を収納するラック(収納棚)
をステンレス鋼製から中性子
吸収材であるホウ素を添加し
たステンレス鋼製に変更し、使
写真提供:関西電力株式会社
用済燃料プールの大きさを変
えることなく、ラックの間隔を狭めることで、使用済燃料の
①使用済燃料対策に係る理解活動の強化
365mm
貯蔵能力を増やすことです。
②事業者による理解活動の強化
③核燃料サイクル施策や最終処分施策の理解活動との連携
また、除熱や放射線の遮へいは、プールの水で変わりな
(5)六ヶ所再処理工場やむつ中間貯蔵施設など
核燃料サイクルに係る取組
く行えることを確認しています。なお、福島第一原子力発
3.今後の取組(本プランのフォローアップ)
用済燃料プールへの代替注水設備を追加するなど、安全
どの建設・活用の促進〉に向けた検討を実施しています。
電所の事故を踏まえた安全性向上対策の一環として、使
性の向上を図っています。
使用済燃料の貯蔵方法
282mm
282mm
ることから、使用済燃料貯蔵能力の拡大、選択肢の拡充が
365mm
使用済燃料は、再処理までは安全に貯蔵する必要があ
貯蔵能力拡大の具体例
変更前
使用済燃料ラック
(ホウ素添加
ステンレス鋼製)
使用済燃料ラック
(ステンレス鋼製)
変更後
リラッキングの例
【乾式貯蔵施設の設置】
原子力発電所の敷地内外に、使用済燃料を収納する
キャスクは放射性物質の閉じ込め、放射線の遮へい、臨
使用済燃料の主な貯蔵方法としては、湿式貯蔵と乾式
乾式貯蔵は十分に使用済燃料プールで冷却された使用
キャスクを保管するための建屋を設置することで、使用済
界防止、除熱の機能を備えており、乾式貯蔵施設で安全に
貯蔵の 2 種類があります。
済燃料を、キャスクという容器を使って貯蔵する方法です。
燃料の貯蔵能力の拡大を図ります。
貯蔵、管理します。
湿式貯蔵は使用済燃料プールを使って貯蔵する方法で
キャスクは冷却に水や電気を使わず、空気の自然対流(換
す。原子炉から取り出された使用済燃料は発熱量と放射
気)で冷却することができます。特にキャスクは維持管理
線量が高いため、再処理工場に搬出されるまで、使用済燃
の容易さ、施設設置場所の柔軟性、輸送の利便性などにす
料プールで水を使って冷却します。そして、
水やコンクリー
ぐれています。
日本原子力発電 東海第二発電所の例
リサイクル燃料備蓄センター(中間貯蔵施設※)の例
トによって放射線を遮へいし、安全に貯蔵管理されます。
約28m
湿式貯蔵(使用済燃料プール)
乾式貯蔵
(キャスク)
建屋
封じ込め
建屋
空気
遮へい
空気
約131m
約62m
提供:リサイクル燃料貯蔵株式会社
使用済燃料
封じ込め
プール水
燃料貯蔵ラック
空気
空気
除熱
所 在 地:茨城県那珂郡東海村
運用開始:2001年
貯蔵方式:乾式貯蔵方式
建屋規模:54m 26m (高さ)21m
貯蔵容量:約 250tU
所 在 地:青森県むつ市
貯蔵期間:施設毎に 50 年間
貯蔵方式:乾式貯蔵方式
建屋規模:約131m 約 62m
貯蔵容量:最終貯蔵量 5,000tU
(高さ)約 28m
(1棟目3,000tU)
遮へい
浄化
バスケット
使用済燃料
除熱
二次ぶた
一次ぶた
※中間貯蔵施設とは、発電所敷地外に設置する乾式貯蔵施設のこと
プール冷却浄化系
4
5
乾式貯蔵容器(キャスク)の安全性
使用済燃料を安全貯蔵するために、4つの安全機能を備えています。
キャスクの安全性
実績と研究開発
海外で実績のある乾式貯蔵について日本でも研究開発を行っています。
使用済燃料乾式貯蔵の海外実績
【キャスクの構造】
アメリカ、スイス、ベルギーなどでも、使用済燃料の乾式貯蔵が行われています。
二次ぶた
一次ぶた
写真提供:トランスニュークリア株式会社
キャスクは使用済燃料を安全に貯蔵するため、4つの安
全機能
(閉じ込め、
遮へい、
臨界防止、
除熱)
を備えています。
また、海外でも数多くの採用実績があります。
《閉じ込め機能》
使用済燃料
バスケット
ガンマ線遮へい層
中性子線遮へい層
伝熱フィン
全長
約5.5m
◎二重のふたに、金属製のパッキン(ガスケット)を挟んで、
密封性を保持
《遮へい機能》
◎キャスク胴体は、ガンマ線遮へい層と、中性子線遮へい
層を備え、放射線をキャスク内の100万分の1まで減衰
▲プレーリー・アイランド原子力発電所
(アメリカ)
▲ツビラグ中間貯蔵施設
(スイス)
《臨界防止機能》
胴部
◎バスケットと呼ばれる仕切り板で、
使用済燃料の臨界(核
分裂の連鎖反応)を防止
支持構造物
キャスク仕様
(例)
外径 約2.5m
《除熱機能》
◎使用済燃料から発生する熱を伝熱フィンなどを通じて表
面に伝え、外気で冷却
▲ピーチ・ボトム原子力発電所
(アメリカ)
【特別な条件下での安全性】
輸送にも使用されるキャスクは IAEA の輸送規則や国
ブルに対しても安全機能が損なわれることがないことを
内の法令に基づいて、輸送中に想定されるさまざまなトラ
確認しています。
特別の試験条件
落下試験
1
9mの高さから落下
落下試験
2
1mの高さから
丸棒上に落下
耐火試験
800℃で30分
使用済燃料乾式貯蔵の研究開発
「コンクリートキャスクの実用化」や
「高燃焼度燃料の貯蔵」の研究
浸漬試験
15mの水中に8時間
200mの水中に1時間
▲ドエル発電所
(ベルギー)
コンクリートキャスク
国内では金属キャスクが実用化されていますが、ア
メリカでは金属キャスクだけでなくコンクリートキャ
スクを使用した貯蔵施設の実績も多くあります。使用
済燃料貯蔵対策の選択肢を広げるうえでもコンク
使用済燃料
冷却空気出口
バスケット
コンクリート
キャニスタ
リートキャスクの実用化は有効な手段です。このため、
現在、
電力中央研究所などで研究開発を進めています。
また、従来よりも高燃焼度の使用済燃料についても、
将来の貯蔵に向けた検討が必要になってきます。この
ため、貯蔵における健全性評価の手法検討など、技術
冷却空気入口
的課題の解決に向けて取り組んでいます。
注)
東海第二発電所の乾式キャスクは貯蔵専用です。
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