次世代エネルギー技術実証事業成果報告 (補正予算に係るもの) 【平成26年度報告】 事業者名 :株式会社エナリス 補助事業の名称 :C-1.ネガワット取引に係るエネルギーマネジメント システム構築と実証(インセンティブ型 DR) ピーク時供給、予備力調達に関するネガワット取引の 有効性実証(関東・関西) (交付決定番号:6S11C18) 全体の事業期間 :平成27年4月~平成28年3月 実証事業の目的・目標 A) 平成 25 年度次世代エネルギー・社会システム実証事業にて構築した DR システム を改修し、複数の電気事業者より OpenADR を用いて DR 発動予告を受けることが でき、電気事業者より受けた DR 発動予告に応じて適切に DR 発動を需要家に振分 けることで DR 実績の確度を高めるシステムを構築すること。 B) 実験を実施するために東京電力管内、関西電力管内合計で高圧小口需要家を中心に 3,000kW~5,000kW の DR 容量を獲得し、それらの需要家に関して DR 実施のノ ウハウを蓄積すること。 C) 2015 年 8 月~2015 年 1 月にかけて各エリアの需要家に対して全 20 回の DR 発動 (アグリゲーターとしては全 40 回の DR 発動)を行い、1 時間前予告 DR に関す る実績データを収集すること。また、収集したデータを一般電気事業者と共有し、 ネガワット取引のピーク時供給力、運転予備力としての有効性を評価すること。 D) 公募要領に規定された DR メニュー、および資源エネルギー庁より案が提出されて いるネガワット取引に関するガイドラインに定められたベースラインを用いて DR を実施した場合の報酬を試算するとともに、実証を通じて発生したコストを元にア グリゲーターとしての想定収支を算出し、商用化に向けて克服すべき課題の抽出を 行うこと。 実証事業の概要 A. 東京電力株式会社、関西電力株式会社と OpenADR を用いて DR 発動予告を受け 渡しする DR システムを構築した上で、エネルギーマネジメントシステム機器を 介して需要家に対し既定の回数の DR 発動を行い需要抑制結果に関するデータ を収集する。DR システムに関しては平成 25 年度次世代エネルギー・社会シス テム実証事業において補助を受けて構築したシステムを改修して使用する。 B. 実験に参加する需要家に関しては、エネルギーマネジメントシステム機器が既に 設置されていることを条件に東京電力株式会社、関西電力株式会社のそれぞれの 管内にて、高圧小口の需要家を中心に募集活動を行う。一般電気事業者と契約す る DR 容量に対して需要家と契約する DR 容量が約 2 倍となるように需要家を募 集し、需要家への DR 発動を適切に振分けることで需要削減量獲得の確実性を高 める。 C. DR のメニューに関しては、公募要領にて規定された「1 時間前予告 DR」を選択 し DR を実施する。アグリゲーターから需要家に対しての DR 発動予告は発動時 間の 30 分前とする。 D. 収集したデータを元に需要抑制成功率の向上方法およびアグリゲーターとして 継続的にビジネスを実施するために必要な要件を検討する。 実証事業のスケジュール 項目 DRシステムの改修 需要家の募集 実験の実施 データ検証 平成27年度 平成 26 年度(補正予算に係るもの)の成果 ※当社は過年度に事業を実施していないため、H26 年度の成果が事業全体の成果となります。 A. 平成 25 年度の次世代エネルギー社会・システム実証で実証された DR 技術を用い て、電力システム改革の進捗に合わせて適切な時期に速やかにネガワット取引の定 着を図るべく、下記条件で OpenADR の改修を行い、目標を達成した。 • 東京電力・関西電力双方からの DR 要請をそれぞれ受領可能とする。 • 節電手法等の条件により、需要家毎に DR 要請の振分けを可能とする。 • 需要家側計測器及び、インターフェイスはエナリスが提供するエネルギ ーマネジメントシステム「FALCON システム」を利用する。 • DR 信号は早稲田大学 DRAS が策定したプロトコルで授受を行う。 • OpenADR2.0b の認証を取得する。 B. 需要家の募集に関しては、高圧小口の需要家を中心に東京電力管内、関西電力管内 の合計で 20 法人 358 需要家、3,986kW の DR 容量を獲得し、目標を達成した。 それそれのエリアでの獲得数の詳細や需要家の業態は下表に示す通りとなった。 C. 東京電力株式会社、関西電力株式会社からの要請に従い、2015 年 8 月~2016 年 1 月にかけて需要家に対して各エリアで全 20 回(アグリゲーターとしての総計 は 40 回)の DR 発動を行い、1 時間前予告 DR に関する実績データを収集した。 需要抑制に関する延べデータ件数は 4,147 件となった。また、それらのデータ を元に、節電手法、業態、契約電力の大きさ、延べ床面積の大きさ毎に需要家 を区分し、需要抑制達成率の関係性を調査した他、気温、需要抑制時間帯、需 要抑制曜日と需要抑制達成率に与える影響を確認した。また、それらの結果よ り需要抑制の成功率を高めるための方法を考察した。 D. 実証事業を実施するために発生した経費(固定費、変動費)と要項に定められ た DR 報酬を元に仮定した需要抑制報酬の水準を元に、アグリゲーターとしてビ ジネスを継続的に実施するために必要となる要件、克服する必要がある課題に 関して考察した。
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