第二回 『行動パターンを変える』

新座すずのきクリニック
ストレスって何だ?
メンタルヘルス連続講座 全3回
∼ストレスに負けない工夫∼
どんなとき、ストレスを感じるのか?
↓それは・・・
第二回 『行動パターンを変える』
無理をしたとき
じゃあ、
↓でも夢をかなえるためには・・・
早稲田大学人間科学学術院
そう、頑張らないといけない
熊野 宏昭
↓そうすれば・・・
どうすれば
いいの?
当然ストレスはたまる!
ストレスはたまるもの
ストレスとは
体質
心
状況要因
たまりすぎると、破裂して病気になってしまう
体質の改善 ⇒リラクセーション





緊張を緩める(力まず)
日頃からリラックスした状態を維持できるようにする
習慣の改善 ⇒認知・行動療法

苦手場面を避けない(避けず)
直面する苦痛を乗り越え、日頃の気がかりを減らす

目の前の現実に「等身大の気づき」を向ける(妄想せず)
妄想(思考・感情・イメージ)によって勝手に「現実」や「自分」
をでっち上げることによる苦しみを減らす
2つのABC分析
• ストレス反応の強さは、ストレッサー(状況要因)以外
にも、個人のストレッサーに対する抵抗力によっても
影響を受ける。

症状や問題行動を改善し、セルフケアを促進
するために、非適応的な行動パターン、思考
パターンを系統的に変容していく行動科学的
治療法を認知・行動療法(cognitive and
behavioral therapies : CBT)と言う。
論に基づく認知療法のそれぞれに由来する
体系を含んでいる。
認知療法では
認知療法のABC分析
情報処理
Activating event
Belief
情報処理
Consequence
Activating event
Belief
Consequence
きっかけ
認 知
結 果
認知の歪み=情報処理の問題が最重要
随伴性
行動療法のABC分析
Antecedent
ストレス反応
 学習理論に基づく行動療法と、情報処理理
心の使い方の改善 ⇒マインドフルネス

個人要因
認知・行動療法とは
3つのキーワード

習慣
Behavior
行動の多さ=環境との相互作用が最重要
Consequence
知人とすれちがったが、
こちらを見なかった。
私には価値がないんだ。
だから見向きもしなかっ
たんだ。
知人とすれちがったが、
こちらを見なかった。
多分単に気づかなかっ
たんだろう。それだけの
ことだ。
認知再構成
落ち込む。
気分が和らぐ。
行動とは(食行動を例に)
行動療法では
Antecedent
Behavior
きっかけ
行 動
いい天気の日。
家にいる。
行動とは習慣的行動(行動パターン)のことであり、連鎖で考える。

随伴性
A
Consequence
C
B
D
結 果
知人から無視されることで傷
つくのを避けることができる。
→もっと一人ぼっちになる。
いい天気の日。
外に出かける。
代替行動強化
散歩や知人との会話を楽し
むことができる。
←皆と仲良くしていきたい。
機能分析

随伴性
E
→確立操作の対象にもなる
(足達淑子,2007)
機能的分析に基づく改善のポイント
問題行動(ターゲット行動)の維持要因を、行動の連鎖に
そって明確化するのが機能分析(ABC分析)



どんな状況で起こるのか(Antecedent:弁別刺激、
Establishing operation:確立操作)
E
A
B
C
確立操作
D
どんな行動か(Behavior:ターゲット行動)
直後(60秒以内)にどのような結果が起こっているか
(Consequence:結果)、長期的結果(Delayed outcome)は?
長期的結果
(鈴木・神村, 2005を元に作成)
腹痛と通勤電車に乗る不安が主訴のAさん





Aさんの機能分析
26歳、女性、臨床検査技師。

腹痛、下痢、朝の通勤電車に乗る不安感を主訴に心療
内科クリニックに初診。

大学卒業後B病院に勤務し、25歳時に新人を指導する
立場になってから症状が出現し、ほぼ毎朝、腹痛と下
痢がある。最初はたまに起こる程度だったが、通勤途
中で腹痛のため電車を降りたことをきっかけに、同じよ
うになるのを怖れ、通勤途中で度々降りるようになる。

消化器内科では特に大きな異常なく、自ら受診。

心療内科医が、腹痛などと関係した電車に乗る不安に
心理的介入が有効と考え、心理士に面接を依頼した。
Aさんへの介入

状況:寝不足などで身体の緊張があると起きやすい(確立
操作)。朝の満員の通勤電車の中でお腹の感覚に注意が
向く(条件刺激・弁別刺激)。


行動:不安な気持ちとともにお腹がゆるくなる感じが出現
し(条件反応)、次の駅であわてて降りる(ターゲット行動)。


ほぐすために、リラクセーション法を毎日練習する(→第一回)。
電車の中で足裏の感覚に注意を向ける練習をする(→第三回)。
電車に乗りながら、自覚的な不安の得点を3分おきに記録する。
結果:不安感とともにお腹のゆるい感じがおさまり(悪いこ
と↓ )、大変な状況を回避できたと思い(悪いこと↓ )、ホッ
とする(良いこと↑)。

電車に続けて乗れた時に何が起こるかをよく観察し、自覚する。
長期的な問題:腹痛・下痢に起因する乗り物恐怖
状況:寝不足などで身体の緊張があると起きやすい(確立
操作)。朝の満員の通勤電車の中でお腹の感覚に注意が
向く(条件刺激・弁別刺激)。帰りの電車は平気。
行動:不安な気持ちとともにお腹がゆるくなる感じが出現
し(条件反応)、次の駅であわてて降りる(ターゲット行動)。
結果:不安感とともにお腹のゆるい感じがおさまり(悪いこ
と↓)、大変な状況を回避できたと思い(悪いこと↓)、ホッ
とする(良いこと↑)。
まとめ

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
認知・行動療法とは、練習を繰り返すことで思考パ
ターン、行動パターンを変えていくセルフケアの方法。
行動とは、日常生活の習慣(=癖)として繰り返され
るもので、知らない内に身についてしまい、意識しな
ければ変わらないものが多い。
回避的な行動パターンは、中でも大きな問題を引き
起こすことが多く、避けている限り問題は解決しない。
そこで、思い切って行動してみて結果を見ることが、
日頃のストレスを大きく減らしてくれることが多い。