し尿処理施設更新事業中間報告

し尿処理施設更新事業中間報告
( 概 要 )
環境部クリーン推進課
平成 27 年 3 月
目
次
第1章
市原市臨海衛生工場の現況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
第2章
し尿処理施設更新事業の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・
2
1.し尿処理施設更新事業取組方針(H23)・・・・・・・・・・・・・・
2
2.し尿処理施設整備基本計画策定業務委託(H24-H25)・・・・・・
2
(1)設計諸元の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
(2)し尿等の処理方式の抽出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
(3)各処理方式の比較検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
3.関係部局・関係機関協議 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
(1)関係法令の整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
(2)市原市汚水処理整備構想との整合 ・・・・・・・・・・・・・・・
11
(3)下水道計画との整合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
12
(4)し尿等投入施設の建設地 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
第3章
し尿処理施設更新事業の今後の取り組み ・・・・・・・・・・・・
17
第1章
市原市臨海衛生工場の現況
〇施設概要・老朽化状況
市内の各家庭から発生する汲み取りし尿・浄化槽汚泥については、し尿処理施設
である市原市臨海衛生工場で安定処理に努めてきた。臨海衛生工場の現況及び施設
の老朽化状況は以下のとおりである。
表1.臨海衛生工場の現況について
【法的位置付】廃棄物処理法第8条
一般廃棄物処理施設(し尿処理施設)
【稼動年度】昭和 41 年度
【処理方式】し
尿
系:標準脱窒素処理方式+凝集沈殿分離方式
浄化槽汚泥系:前曝気+固液分離方式
脱 水 汚 泥 :外部委託処理(再資源化)
【放流先】
し
尿
系:養老川
浄化槽汚泥系:脱離液は松ヶ島終末処理場へ圧送し処理
【処理能力】し
尿:65kl/日
【H25 実績】し尿:31kl/日
浄化槽汚泥
:230kl/日
浄化槽汚泥:161kl/日
【整備履歴】昭和 41 年
稼動
処理能力:し尿 90kl/日
昭和 46 年
増設
処理能力:し尿 180kl/日
昭和 51 年
増設
処理能力:し尿 180kl/日
浄化槽汚泥 45kl/日
平成元 年
改修
処理能力:し尿 130kl/日
浄化槽汚泥 155kl/日
平成 15 年
改修
処理能力:し尿 65kl/日
浄化槽汚泥 230kl/日
【H24 精密機能検査結果】
・全国の更新実績・関係法令による指標等から、臨海衛生工場は既に耐用年
数を超過しているといえる。
・受入・貯留槽等の硫化水素による腐食の影響(水槽内防食塗装の部分剥離、
足掛け金物の腐食等)が著しい。
図1.し尿処理施設廃止時の供用年数(全国実績) ※調査年度は H23
20
臨海衛生工場の供用年数
15
(H26 現在)
施
設 10
数
5
0
10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50
廃止時の供用年数
1
第2章
し尿処理施設更新事業の進捗状況
1.し尿処理施設更新事業取組方針(H23 環境部長決裁(関係各部合議))
臨海衛生工場は、昭和 41 年の当初建設から、約 46 年経過しており、全国のし
尿処理施設の更新実績からみても、一般的な更新時期を既に超過している状況で
ある。このため施設の更新が急務であると判断し、平成 23 年度に臨海衛生工場更
新に向けた取組方針を策定した。
本取組方針では、整備内容の検討期間及び設計・施設整備に要する期間等を考
慮した上で、平成 32 年度の新施設供用開始を目標とした。
また、整備内容の検討にあたっては、し尿等を単独で処理する方式と併せて、
下水処理施設で共同的に処理する方式についても検討していくこととした。
図2.施設更新までの事業計画
【H23】
取組方針
整備
方針
検討
設計
業務
【H32】
施設
整備
新施設
供用開始
2.し尿処理施設整備基本計画策定業務委託(H24-H25)
し尿処理施設更新事業の整備方針検討にあたる業務として、し尿処理施設整備
基本計画策定業務を実施した。策定した基本計画の内容は以下のとおり。
(1)設計諸元の設定
①各種汚水処理人口及び処理量の将来予測
各種汚水処理人口・処理量について、市原市汚水処理整備構想(H22)等の
関連計画との整合を図り、平成 50 年まで予測した。
図3.各種汚水処理人口の将来予測
処理形態別人口(人)
300,000
(現状)
(将来予測)
公共下水道
合併処理浄化槽
汲み取り便槽
農業集落排水施設
単独処理浄化槽
200,000
100,000
0
H20 H22 H24 H26 H28 H30 H32 H34 H36 H38 H40 H42 H44 H46 H48 H50
図4.し尿・浄化槽汚泥収集量の将来予測
2
②し尿等の性状及び処理能力の設定
各種汚水処理人口・処理量の将来予測、水質分析結果等により、投入する
し尿等の性状及び新施設の処理能力を設定した。
表2
項目
(単位)
平均収集量 (kL/日)
(kL/日)
施設規模
BOD
(mg/L)
COD
(mg/L)
SS
(mg/L)
T-N
(mg/L)
T-P
(mg/L)
N-Hex
(mg/L)
※施設規模=収集量×
新施設稼動時(H32)の施設規模
し尿・浄化槽汚泥(収集汚泥)
脱水後処理水
し尿
浄化槽汚泥
混合汚泥
18.2
122.1
140.3
20.4
136.8
157.2
8,100
4,300
4,800
1,100
3,300
3,300
3,300
630
6,600
8,800
8,500
850
2,000
700
900
430
300
200
200
20
800
800
800
10
1.12(実績変動率)
※施設規模は、「汚泥再生処理センター等施設整備の計画・設計要領( 2006 改定
版)」に基き、し尿等の収集量に、以下の変動係数を乗じ設定 した。
・施設規模=収集量×1.12(実績変動率)
(2)し尿等の処理方式の抽出
①実現性の高い5案の処理方式の抽出
市原市の汚水処理の実情・経年変化等を踏まえた5案の処理方式(単独処
理方式1案、共同処理方式4案)を抽出した。
3
図5
抽出した5案の処理方式
処理方式
処理フロー
〇し尿等の単独処理
単
独
処
理
方
・し尿等を単独で処理し、公共用水
域へ放流する方式
[水処理]
・浄化槽対応型膜分離高負荷脱窒
素処理方式
[汚泥処理方式]
・助燃剤化
し尿処理施設
し尿
車両搬入
スクリーン
脱水
し 渣
脱水汚泥
水処理
浄化槽汚泥
式
高度処理
公共用水域
放流
焼却処理
処理方式
処理フロー
①し尿等の脱水後ろ液投入
・し尿等の夾雑物を除去後、脱水し、
脱水後の脱離液を希釈し、 下水処理
施設水処理系へ投入する方式
[汚泥処理方式]
・助燃剤化
し尿等投入施設
し尿
車両搬入
スクリーン
脱水
し 渣
脱水汚泥
希釈
松ヶ島終末処理場
(水処理系)
浄化槽汚泥
焼却処理
②し尿等の希釈投入
・し尿等の夾雑物を除去後、希釈し、
下水処理施設水処理系へ投 入する方
式
し尿等投入施設
し尿
スクリーン
車両搬入
希釈
松ヶ島終末処理場
(水処理系)
浄化槽汚泥
共
し 渣
同
焼却処理
処
③し尿等の無希釈投入
理
・し尿等の夾雑物を除去後、無希釈で,
下水処理施設汚泥処理系へ 投入する
方式
方
し尿等投入施設
し尿
スクリーン
車両搬入
浄化槽汚泥
式
松ヶ島終末処理場
(汚泥処理系)
し 渣
焼却処理
④し尿等の分離投入
【し尿】
・夾雑物を除去後、希釈し、下水処理
施設水処理系へ投入する方式
【浄化槽汚泥】
・浄化槽汚泥の夾雑物を除去後、無希
釈で下水処理施設汚泥処理 系へ投入
する方式
し尿等投入施設
分離投入
し尿
車両搬入
浄化槽汚泥
車両搬入
スクリーン
スクリーン
し 渣
焼却処理
4
希釈
松ヶ島終末処理場
(水処理系)
松ヶ島終末処理場
(汚泥処理系)
(3)各処理方式の比較検討
抽出した5案の処理方式について、経済性等の比較検討を行った。その結
果、以下の理由等により単独処理と比較し、共同処理に優位性があるという
結果を得た。
【経済性】
・下水処理施設を有効活用することにより、施設整備時の必要設備の削
減が図れる(イニシャルコストの削減)
・下水処理施設で集約的に処理することにより、単独処理と比較し、維
持管理費の削減が図れる(ランニングコストの削減)
【効率性】
・処理効率面・維持管理面等で効率性の向上が期待できる。
また、共同処理方式については、平成 32 年度の新施設供用開始時におけ
る下水処理機能に与える影響評価(容量計算及び活性汚泥モデルによるシミ
ュレーション)を実施した。その結果、いずれの処理方式においても、下水
処理機能に与える影響は軽微であるとの見解が得られた。本影響評価結果を
参考とし、下水処理施設での共同処理における安全運転に向けた技術的検討
を継続することとした。
5
【基本計画の事業費比較】
図6
10000
9000
8000
7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
ランニング
30億
ライフサイクルコスト比較(15年)
ランニング
28 億
ランニング
64 億
一般会計から下水道会計
への負担が軽減すること
も考えられる
(詳細:P7ランニングコスト参照)
イニシャル
26 億
総事業費
約 64 億円
総事業費
約 90 億円
総事業費
約 41 億円
総事業費
約 45 億円
共同処理①
共同処理②
共同処理③
共同処理④
イニシャル
36 億
総事業費
約73億円
単独処理
イニシャルコスト
ランニング
19 億
ランニング
16 億
イニシャル
25 億
イニシャル
43 億
ランニングコスト
(15年)
イニシャル
26 億
≪前提条件≫
総事業費算出における前提条件は以下のとおり
〇建設地は現在の臨海衛生工場用地として算出。
〇国土交通省の社会資本整備総合交付金制度である MICS 事業は非適用。
○下水処理施設の増・改築等は見込んでいない。
図7
5000
4000
総建設費
約 43 億円
2000
総建設費
約 36 億円
9.4億円
6.3 億円
3000
27.7 億円
イニシャルコスト比較
24.1 億円
総建設費
約 26 億円
総建設費
約 25 億円
総建設費
約 26 億円
国費
地方債
19.7 億
18.8 億円
19.4 億円
単費
1000
0
5.5 億円
5.5 億円
6.6 億円
6.3 億円
6.5 億円
単独処理
共同処理①
共同処理②
共同処理③
共同処理④
≪算出条件≫
〇H24 にメーカー4社見積もりにより設定した。その後の労務費の高騰等加味されていない。
〇消費税は 5%試算
〇共同処理方式については、圧送管整備費用含む。
〇単独処理、共同処理①の財源内訳は以下を想定している。
国費・・・・・環境省「循環型社会形成推進交付金」対象事業:交付率1/3
地方債・・・一般廃棄物処理事業債(充当率 補助裏:90% 継足単費分:75%)
〇共同処理②、③、④の財源内訳は以下のとおり
国費・・・・該当無し(市単費事業)
地方債・・・一般廃棄物処理事業債(充当率 75%)
6
図8
ランニングコスト比較(15年)
3500
総維持管理費
約 30 億円
3000
3.1 億円
2500
10.5 億円
2000
1500
総維持管理費
約 28 億円
7.1 億円
総維持管理費
約 64 億円
総維持管理費
約 19 億円
3.1 億円
54.7 億円
下水道会計へ
負担する費用
汚泥処分費用
総維持管理費
約 16 億円
薬品使用料
5.0 億円
5.1 億円
6.8 億円
3.6 億円
1000
7.4 億円
5.3 億円
500
4.7 億円
3.8 億円
1.3 億円
9.5 億円
1.3 億円
1.3 億円
2.9 億円
2.3 億円
2.4 億円
2.7 億円
2.7 億円
2.7 億円
2.8 億円
2.8 億円
2.8 億円
共同処理②
共同処理③
共同処理④
電力等使用料
補修費
人件費
0
単独処理
共同処理①
≪算出条件≫
〇下水道会計へ負担する費用以外についてはメーカー4社への見積もりにより設定。
〇下水道会計へ負担する費用については、以下の条件のもと算出している。
・水処理系へ投入する場合・・・・・下水道条例 14 条に基く使用料を投入量に乗じて算出
・汚泥処理系へ投入する場合・・下水処理施設の㎥辺りの維持管理費を設定し、投入量を
乗じて算出
・希釈倍率は、現行の協定値(BOD300mg/L 等)を基に設定した。
⇒現行の協定値とは、現在、臨海衛生工場から浄化槽汚泥の脱離液を松ヶ島終末処理
場で共同処理する際に定めているもので、下水道条例で定める排除基準(下水道条
例の排除基準値(BOD600mg/L)等)より厳しい数値を独自に設定している。
※現行の協定値ではなく、下水道条例の排除基準値に基き、希釈倍率を設定した場合、下水道使用料
が半額となる。希釈倍率の考え方については、関係部局と調整の上、今後改めて精査していく。
※基本計画では、一定の算定条件を設定の上、処理方式の比較検討を
している。特に下水道会計へ負担する費用等の算定条件は事業費へ
の影響が大きいものと考えられる。これらの算定条件等については、
今後、関係部局と調整の上、再精査していく。
7
3.関係部局・関係機関協議(継続協議中)
し尿処理施設整備基本計画を踏まえ、市原市における最適な処理方式を選定し、
整備方針として確立するために、関係部局・関係機関との協議を実施してきた。
これまでの協議概要は以下のとおり。
(1)関係法令の整理
全国の約 160 の自治体で、様々な手法でし尿等の共同処理を実施している(一
例を別紙に示す)。本市においても、関係機関協議、他自治体調査、参考文献等
から関係法令の整理を実施したところ、し尿等の下水処理施設での共同処理は、
関係法令に抵触しないことが判明した。関係法令整理の概要は以下のとおり。
【廃棄物処理法】
●廃棄物処理法の適用範囲●
・し尿等は、下水道管渠、下水処理施設に接続した段階で、下水道法
が適用されるため、一般廃棄物処理施設では無い下水処理施設での
処理が可能となる。
・し尿等投入施設でし尿等を処理する過程で排出されるし渣・脱水汚
泥の処理については、廃棄物処理法が適用され、一般廃棄物として、
一般廃棄物処理施設で適正処理する必要がある。
●一般廃棄物処理施設の位置付け●
・水処理を伴わない、下水道への投入を目的とした施設は、廃棄物処
理法の一般廃棄物処理施設に該当しない。
≪根拠≫・千葉県資源循環推進課疑義照会結果
・厚生省通知(s46.10.25 環整 45 号「廃棄物処理法の運用
に伴う留意事項について」)
・廃棄物処理法逐条解説(第8条)
・その他多数の自治体実績等
図9
し尿等の処理に係る廃棄物処理法/下水道法の適用範囲
廃棄物処理法の適用範囲
(一般廃棄物として処理)
下水道法の
適用範囲
し尿等投入施設
【一般廃棄物処理施設非該当】
(外部処理)
共同処理③(④)該当
し
尿
終末処理場
スクリーン
除さ
浄化槽
汚泥
希釈
脱水
し 渣
脱水汚泥
廃棄物処理法の適用範囲
(産業廃棄物として処理)
焼却灰
脱水汚泥等
・受入
・水処理
・汚泥処理
・焼却 等
共同処理②(④)該当
共同処理①該当
一般廃棄物として、一般
廃棄物処理施設(許可・
届出)での適正処理が必
8
下水処理施設から発生する脱
水汚泥、焼却灰等を外部委託
する場合、産業廃棄物として適
正処理が必要となる。
【水質汚濁防止法】
●特定施設(し尿処理施設)の定義●
・し尿等投入施設について、廃棄物処理法のし尿処理施設に該当しな
い施設であれば水質汚濁防止法の特定施設(し尿処理施設)に該当
しない。
≪根拠≫
・環境省水環境課疑義照会結果
【下水道法】
●特定施設(特定事業場)の定義●
・し尿等投入施設が、水質汚濁防止法の特定施設に該当しない場合、
下水道法の特定施設に該当しない。
●下水道計画区域外のし尿等の下水処理施設での処理の位置付け●
・下水処理施設の処理機能の余裕の範囲内であれば、処理が可能であ
る。
・下水道計画区域外のし尿等を下水処理施設に接続する場合の制度上
の手続きとしては、MICS 事業や、区域外接続等も方法のひとつと
して考えられる。
●し尿等の排除基準●
・特定施設に該当しない施設から下水を排除する際の基準値は、市条
例等で必要に応じ設定することとして下水道法で定めている。
≪根拠≫
・下水道法第2条、11条、12条、24条、25条等
・市下水道条例第 18 条及び市区域外接続基準
・構造改革特区第 19 次再々検討要請の国土交通省回答
・他県情報提供等による国土交通省の見解
図10
し尿等投入施設の法的位置付
し尿等投入施設
【ケース①】
投入施設で水処理(生物処理)を
行う施設
【基本計画での対象方式】
単独処理方式
【ケース②】
投入施設で水処理を行わない施設
※簡易処理のみ行う施設
【基本計画での対象方式】
共同処理①、②、③、④
廃棄物処理法
【し尿処理施設】
水質汚濁防止法
【特定施設】
下水道法
【特定施設】
廃棄物処理法
【し尿処理施設非該当】
水質汚濁防止法
【特定施設非該当】
下水道法
【特定施設非該当】
し尿処理施設整備基本計画で抽出した4案の共同処理方
式は、全て水処理を伴わないため、ケース②に該当する。
9
〇財産処分・都市計画への対応〇
以下の関係法令上の法手続きついては、引き続き関係機関・関係部局との協
議を重ね、整理していく。
【補助金適正化法の財産処分について】
下水道事業は国庫補助事業であるため、以下の財産処分手続き等について整
理する。
〇し尿等を下水処理施設で共同処理する行為に対する財産処分手続き
〇下水処理施設へし尿等投入施設を建設する場合の財産処分手続き
【都市計画法の都市計画決定について】
し尿等投入施設の建設に伴う都市計画決定の取り扱いについて整理する。
〇臨海衛生工場用地に建設した場合の既都市計画決定「汚物処理場」の取
り扱いについて
〇終末処理場用地に建設した場合の既都市計画決定「下水道」の取り扱い
について
10
(2)市原市汚水処理整備構想との整合
①市原市汚水処理整備構想とは
市原市汚水処理整備構想(以下市構想)は、国通知に基き、千葉県が策定
した「全県域汚水適正処理構想」における、市町村構想にあたるものであり、
平成 14 年度に本市で策定(H22 見直し)したものである。
市構想は、下水道、農業集落排水処理施設、合併処理浄化槽等による汚水
処理を、効率的・効果的に実施していくことを目的としており、市内全域の
汚水処理施設整備及び維持管理に係る総合的な構想である。
②整備構想の見直しについて
国土交通省・農林水産省・環境省の連名通知「持続的な汚水処理システム
構築に向けた都道府県構想の見直しの推進について(H26.1.30)」を受け、平
成 28 年度に「全県域汚水適正処理構想」の改定が行われる。
本市では、千葉県が平成 27 年 3 月に策定したマニュアルに基き、平成 27
年度に市構想の見直しを行うこととなった。
③し尿処理施設更新事業との関連性について
市構想は、本市の汚水処理関連計画の上位構想として位置付けられ、し尿
処理施設整備基本計画の策定にあたっても整合を図ってきたところである。
平成 27 年度に実施する市構想の見直しでは、各種汚水処理区域の抜本的見
直しが想定され、各種汚水処理人口、処理量等の将来予測が変わってくるこ
とが想定されている。このことから、し尿処理施設更新事業を推進していく
上で、見直し後の市構想と整合を図る必要がある。
図11
し尿処理施設更新事業と市構想の関連性
し尿処理施設更新事業
汚水処理整備構想
(整 合)
汚水処理整備構想(H22)
し尿処理施設整備基本計画
(H24-H25策定)
汚水処理整備構想見直し(H27)
(整 合)
・整備方針
※設計業務等を実施するためには、H27の
市構想見直し内容と整合を図ることが不可
欠である。
・設計業務
11
(3)下水道計画との整合
①し尿等の共同処理の手法
下水道事業は、下水道法に基づき、処理区域・処理量等を下水道計画で
定めた上で実施している事業であり、し尿等を下水処理施設で共同処理す
る上で、下水道計画との整合は必要不可欠である。
これらを踏まえた、し尿等の共同処理の手法は、以下2通りがある。
【手法①】国土交通省交付対象事業(MICS)として共同処理する
国土交通省所管の社会資本整備総合交付金制度の対象事業(汚水
処理施設共同整備(MICS)事業)として、し尿等の共同処理を下水
道計画へ位置付け実施する手法
【手法②】下水道計画の余裕の範囲内で共同処理する
下水道計画への位置付けは行わず、財産処分(目的外使用)手続
きを行った上で、下水処理施設の処理能力の余力の範囲内で共同処
理する手法
②本市における手法
手法①MICS 事業の採択の可能性については、国土交通省関東地方整備
局との協議の結果、採択は見込めない旨の見解が示されたところである。
このことから、今後は手法②の目的外使用による共同処理について、検討・
協議していくこととする。
12
(4)し尿等投入施設の建設地
基本計画では、臨海衛生工場用地を建設地としているが、下水処理場用地
への建設により、効果的となる場合も考えられるため、再検討を行ってきた。
候補地としては、臨海衛生工場以外に3ヶ所の下水処理場(菊間・南総・
松ヶ島)が考えられる。
菊間処理場については、昭和44年の市原市長と菊間地区代表による覚書
により、バキューム車の搬入が禁止されており、建設地とすることは不可能
である。また、仮に菊間処理場へ投入する場合については、高度処理が導入
されていないこと、発生汚泥は、松ヶ島処理場に圧送後、処理していること
を考えると、安定処理面・効率面において、松ヶ島処理場へ投入する場合と
比較し、不利であると考えられる。
南総処理場については、現有能力からすると、し尿等の投入により、処理
能力不足となるものの、敷地的に余裕があることから、市構想の見直しに併
せて利活用について再検討していくこととする。
松ヶ島処理場については、臨海衛生工場用地への建設時との利点・不利点
を図12のとおり比較した。
建設地の最終的な決定は、市構想の見直し内容との整合を図りながら選定
する必要があることから、引き続き検討していく。
13
図12
効率性
施設配置
動
配
建設地選定における利点・不利点
臨海衛生工場
松ヶ島終末処理場
・し尿等投入施設から松ヶ島処
理場まで、し尿等を圧送する
必要がある(約 2km)
・松ヶ島終末処理場での建設時
と比較し、圧送にコスト(圧
送管整備費、電気代等)を要
する
・場内の投入施設からの圧送であ
り、圧送距離が短くすみ、効率的
となる
・臨海建設時と比較し、圧送に係る
コスト(圧送管整備費、電気代等)
が不要である
・車庫等の一部解体により配置
可能
・汚水処理構想見直し後、下水処理
施設の将来計画の精査が必要で
ある
・動線確保が容易である
・施設配置と併せて検討が必要であ
る
・建設位置によっては、搬入出入口
の検討が必要である
・現行の臨海衛生工場~松ヶ島
終末処理場間ルートの再整備
等により、接続可能である
・施設配置と併せて検討が必要であ
る。配置箇所によっては、場内配
管が確保できない可能性もある
・廃棄物処理施設としての財産
処分が必要であるが、簡易的
な手続きにより、補助金返還
等を要さずに対応可能
・下水道用地を財産処分 (目的外使
用)する必要がある。ただし、目
的外使用は暫定的な使用許可で
あるため長期の安定処理に課題
を残す
線
管
財産処分
14
〇
これまでの協議経過
〇
関係部局・関係機関等との協議経過は以下のとおり。
●市関係部局協議(H26.6~H27.2:計9回)
し尿等の下水処理施設での共同処理について、都市整備部関係課を中心
に以下の事項について協議を実施してきた。市構想の見直しとの整合を図
り、今後も引き続き協議を実施していく。
・関係法令の整理について
・共同処理の手法について
・特定財源の適用について
・し尿等投入施設の建設地について
・し尿処理施設更新事業の今後のスケジュールについて
●市原市下水処理推進会議(H26.12:計1回)
し尿処理施設更新事業のこれまでの進捗状況、今後の全体事業計画等に
ついて取りまとめ、中間報告を行った。
●千葉県資源循環推進課協議(H26.7~9:計3回)
し尿等の下水処理施設での共同処理に係る関係法令の解釈等について、
千葉県関係課との協議を実施した。
●関東地方整備局協議(H26.8~11:計2回)
市下水道計画課、県下水道課を通じ、共同処理の手法について解釈を伺
い、MICS 事業として採択できないこと、目的外使用の手法があることを
確認した。
●環境省協議(H26.7~8:計2回)
水質汚濁防止法上の特定施設の解釈等について、市環境管理課を通じ、
環境省への疑義照会を行った。
●国土交通省協議(H26.12:計1回)
環境部において、国土交通省町村下水道対策官との折衝の機会があり、
本市のし尿処理施設更新事業について説明し、助言を受けた。
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図13
平成 26 年度の関係部局・関係機関協議経過一覧
市原市
県
国
4
5
【内部協議①:都市整備部関係課】
・し尿処理施設更新事業の今後の進め方等について協議
6
【内部協議②:都市整備部関係課】
・法解釈に係る関係機関協議に向けた事前調整
【資源循環推進課協議①】
・臨海衛生工場の財産処分手続きの確認
7
【内部協議③:環境管理課】
・水質汚濁防止法の解釈について協議
【資源循環推進課協議②】
・廃掃法の解釈について疑義照会
【環境省①、②】
環境管理課より環境省へ疑義照会
7.14 疑義照会(1回目)
7.30 疑義照会(2回目)
7.14 疑義照会(1回目)への回答
8.27 疑義照会(2回目)への回答
【資源循環推進課協議③】
8
H26
【内部協議④:都市整備部関係課】
・7月の疑義照会に対する回答確認
・松ヶ島への投入施設建設の可能性について
・市構想の見直しについて
・MICS事業に係る関係機関協議に向けた事前調整
【関東地方整備局①】
・県下水道課、市下水道計画課を通じ、MICS
事業採択に係る関東地整の考え方を確認
【下水道課】
9
【内部協議⑤:都市整備部関係課】
・現場確認
⇒臨海衛生工場の老朽化状況確認
⇒松ヶ島終末処理場用地、配管ルート等の確認
10
【内部協議⑥:都市整備部関係課】
【下水道課】
・MICS事業の関東地整との協議状況について報告
・し尿処理更新事業の中間報告について説明
【内部協議⑦:都市整備部関係課】
・関連法令解釈の整理事項の説明
・MICS事業に係る関東地整協議に向けた調整
【下水道課】
【内部協議⑧:環境管理課】
【関東地方整備局②】
・水質汚濁防止法の解釈に係る協議
11
12
・関連法令解釈等を踏まえた今後の進め方について協議
・市下水道計画課、県下水道課を通じ、共同
処理の手法について解釈を伺い、MICS事業と
して採択できないこと、目的外使用の手法が
あることを確認した。
【下水処理推進会議】
【国土交通省】
・し尿処理施設更新事業の進捗状況・今後の取り組み等につい
て中間報告した
・市町村課対策管との折衝の機会があり、本
市のし尿処理施設更新事業について説明し、
助言を受けた
【内部協議⑨:都市整備部関係課】
1
H27 2
3
16
第3章
し尿処理施設更新事業の今後の取り組み
1.し尿処理施設更新事業の今後の方向性
これまでのし尿処理施設更新事業における検討成果のひとつとして、し尿等
の下水処理施設での共同処理は、関係法令に抵触せずに実施できる方法がある
ことが確認できた。このことから、現在、下水処理施設での共同処理を中心に
関係部局協議等を実施している状況である。
一方で、前述のとおり、処理方式を選定し、整備方針として具現化するため
には、市構想見直しとの整合を図ることが必要不可欠である。
こうした実情を踏まえ、今後のし尿処理施設更新事業については、市構想見
直しの進捗状況等を勘案しながら、し尿等の共同処理に係るより具体的な詳細
検討を行っていくこととし、併せて、事業の全体スケジュールについて、施設
の更新時期の見直し等も視野に入れた中で、再精査していく。
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