土地改良区会計基準の策定とその特長 更新事業に備える会計方式の

会計コース基礎編
区会計基準の特長 ver 2
土地改良区会計基準の策定とその特長
更新事業に備える会計方式の導入と会計不祥事の阻止
全国土地改良事業団体連合会
1
複式簿記会計への移行が課題となっている背景
土
地
改
良
制
度
検
討
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時事か
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従来の単式簿
記会計の継続
を認めつつも、
速やかな複式
簿記会計への
移行を期待
理施
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重全
点
化管
・
農
業
基
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整
備
事
業
議 会 17 提 計 い 18
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土
複
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国の財政状況の変化
2
複式簿記会計化をめぐる近時の状況
新
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計
制
度
通
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・
道
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研
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※ 開催先に応じて情報を再構成する
簿 27
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3
複式簿記会計方式の導入の必要性
複式簿記会計方式の導入の必要性
○ 単式簿記による会計処理から、明確な複式簿記による処理が必要な時代
○ 検討会を立上げ、複式簿記方式の会計指導基準の策定を目指す
情勢
多額の補助金を受けている公共組合であり、財務状況も含め国民に対する説明責任が求められ
ている
土地改良区関係者による横領等の不祥事が増加しており、それを未然に防止できる会計処理の
導入が求められている
必要性
コスト意識が高まってきている組合員からの要請
財産の状況を的確に把握し、組合員にわかりやすく説明
施設更新事業費を積立て、ストックマネジメントに対応
記帳のミス等の発見が容易な複式簿記を導入し、事故を未然防止
土地改良区会計検査指導基準の策定による対応
検討会による検討
(複式簿記方式の提示)
4
土地改良区会計検査指導基準検討会の委員構成
土地改良区会計検査指導基準の検討会
○ 平成18年度から全土連で検討開始、農水省において最終的な検討
○ 検討会は課題を継承、一部委員の継続関与を受けながら進行
構成委員
構成委員
公認会計士 1名
公認会計士
土地改良区 3名
土地改良区 4名
都道府県 1名
全土連
1名
県土地連
2名
農水省農政局 1名
農水省本省
事務局
2名
全土連
平成18年度~20年度
課
題
、
論
議
を
継
承
一
部
委
員
は
継
続
関
与
1名
都道府県 2県
全土連
1名
県土地連 2名
事務局
農村振興局
平成20年度~21年度
5
検討会において検討してきた論点
検討会において検討してきた論点
○ 論点としては大別次の三面で論議を重ね、検討会の結論を得る
○ 会計原則と土地改良区会計の特色との調和をどう取るかが焦点
特別の取扱関係
○各種積立金の目的と積み立ての基準
○補助金等で造成した土地改良施設の
評価
基本設計関係
○キャッシュフロー計算書の必要
性
○正味財産増減計算書の必要性
○出納整理期間の設定是非
○借入金の償還金を正味財産増減計算
書へ記載することの是非
資産の減価償却関係
○標準勘定科目の設定
○特別会計の設置是非
○管理受託施設の資産評価、減価償却の方法
○所有土地改良施設の資産評価、減価償却の方法、減価償却引当金の必要性
○減価償却の計算方法
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主な論点と指導基準における規定方向
複式簿記方式における特別の取扱関係
複式簿記方式の基本設計関係
○キャッシュフロー計算書の必要性
○各種積立金の目的と積み立ての基準
積立金の設定は土地改良区の意思・判断であり、合意があれば特定資産として
積立が可能。ただし、引当金として負債計上するかどうかは厳格な引当金設定
要件に照らし判断する。
キャッシュフロー計算書作成は義務づけず、土地改良区が実情に応じて
作成できる取り扱いとする。
○正味財産増減計算書の必要性
○補助金等で造成した土地改良施設の評価
企業会計においては損益計算書が作成されるが、公益法人会計ではこ
れに代わり正味財産増減計算書を作成する仕組みであり、土地改良区
会計においてもこれにならい正味財産増減計算書を作成する。
土地改良施設台帳等の登載価額を基に土地改良区の負担割合から資産評価
する。登載価額は土地改良区の負担額とし、国等の負担金額は「財務諸表に対
する注記」に記す。
○出納整理期間の設定是非
○借入金の償還金を正味財産増減計算書へ
記載することの是非
発生主義を前提としている複式簿記方式であり、出納整理期間の設定と
は矛盾するところから出納整理期間は設定しない。
○標準勘定科目の設定
借入金の返済は、借入金という負債の減少とともに、資産である現金の減少を
伴い正味財産の増減要因にならない取引であることから、正味財産増減計算書
には記載しない。
会計科目に係る全国調査結果から大科目、中科目について標準的なも
のとして示すこととする。小科目については土地改良区の判断で設定す
る。
○特別会計の設置是非
補助事業の実施要綱などで、特に、一般会計と区分して経理するよう指
定しているときなどは、会計細則に規定を整備して特別会計の設置が可
能。
複式簿記方式における資産の減価償却関係
○管理受託施設の資産評価、減価償却の方法
管理受託施設については、土地改良区に管理権がある無形固定資産ととらえ、土地改良施設台帳等の登載価額を基に土地改良区の負担割合から
資産評価する。減価償却累計額を「財務諸表に対する注記」に記す。
○所有土地改良施設の資産評価、減価償却の方法、減価償却引当金の必要性
土地改良施設台帳等の登載価額を基に土地改良区の負担割合から資産評価する。減価償却方法は、定率法、定額法のいずれかとする。
○減価償却の計算方法
施設の耐用年数は、施設の種類に応じて設定の上、減価計算を行う。耐用年数は、個々の施設毎に定める方法と施設グループ単位で定める方法が
あるが、その採否は土地改良区による。
7
指導基準と公益法人会計基準との主な異同
一
般
原
則
公益法人会計基準
○ 真実性の原則、明瞭性の原
則、正規の簿記の原則、継続性
の原則、重要性の原則
土地改良区指導基準
○ 左同
○ 資産負債の区分
財貸
産借
目対
録照
表
減正
計味
算財
書産
増
算フキ
書ロャ
ーッ
計シ
ュ
流動資産、固定資産、流動負債、固定負債
等
○ 資産負債の区分
○ 資産負債の増減用語
○ 資産負債の増減用語
増加ー収益、減少ー費用
○ 債権処理
債権に対する貸倒引当金設定
○ 資産の減価償却
直接法による。減価償却累計額を控除した
額を資産価額とする。
○ 資産の圧縮記帳
国補助金を含めた額とし、不採用
○ 正味財産の増減を総額表
示するフロー式を採用
○ 大規模公益法人に作成を
義務づけ
左同
増加ー収入、減少ー支出
○ 債権処理
債権に対する貸倒引当金設定はなし
○ 資産の減価償却
収益等の語
は外部から
誤解を生ず
るおそれ
会計は賦課金が中
心であり、強制徴
収権があるため貸
倒ない建前
左同
○ 資産の圧縮記帳
国補助金を除いた額とし、圧縮記帳を採用
土地改良資産価額は、
国の補助金の割合が高
いため、価額は、地元負
担価額とし、補助金は
別に注記する
○ 左同
○ 実情に応じて作成すること
が出来る(任意)
補助金、借入金
の割合が高く、現
金収支を意識した
経営とは異なる実
情がある
8
複式簿記会計方式における会計成果品
複式簿記方式における会計成果品イメージ
○ 成果品は、事業報告書、収支決算書に加えて、貸借対照表、正味財産
増減計算書、財務諸表に対する注記、財産目録とする
従
前
事業報告書
収支決算書
財産目録
新会計基準
【単式】
事業報告書
収支決算書
財産目録
【複式】
「土地改良区及び土地改良区連
合の収支予算書等の様式につい
て」(昭和25年6月)
収支予算書、決算書、財産目録
等の様式を示す。
・単式簿記方式を前提としたもの
事業報告書
収支決算書
貸借対照表
正味財産増減計算書
財務諸表に対する注記
財産目録
会計細則例を参考に、単式、
複式簿記方式による様式の
位置付けを図る。
9
土地改良区会計検査指導基準、注解、会計細則例の関連図
会計細則例
検
査
指
導
基
準
基
準
注
解
単式簿記方式
複式簿記方式
会計細則
科目例
様式例
会計細則
科目例
様式例
会
計
方
式
の
移
行
措
置
会
基 計
準 基
注 準
解
10
会計細則と指導基準の適用関係
従前
会土
計地
細改
則良
例区
単式簿記会計方式地区
単式簿記会計方式細則例
複式簿記会計方式細則例
指導基準
指導基準注解
※単式、複式共通の
指導基準
内部牽制条項
の見直し、追加
(単式、複式)
複式簿記会計方式地区
会計基準
会計基準注解
会計方式の移行措置
※複式のみを対象
とした指導基準
11
新会計細則における内部牽制条項の充実強化
最近の会計不祥事例
○ 21年5月、G県
N区。800万円に
のぼる使途不明金
が発覚した事案。
会計担当が会計帳
簿を無断で持ち出
しを図ったと判明。
○ 21年12月、I
県I区。会計職員が
賦課金の一部500
万円余りを着服。
帳簿を勝手に操作
して賦課金が納め
られていたように
装っていた。
○ 22年3月、S県
K区。土地改良区の
理事会、総会の承
認のない簿外口座
が発覚。多額の裏
金の存在が明らか
となり責任者が背
任等に問われた。
○ 22年7月、T県
A区。会計職員が
領収書の添付のな
い不正な支出事務
をしていたことが発
覚。内部調査の結
果、約300万円の
横領が確認された。
従前の会計細則における内部牽制規定
(例)
○ 一定額を超える額の支払いの立ち会い(会計担当理事)
○ 収支決算書、財産目録の作成前、伝票等との照合、検算(会
計担当理事)
○ 帳簿に基づいた数値による財産目録の作成(会計担当理事)
○ 使用済み主要簿、補助簿裏面への記名押印(理事長)
上記に追加された内部牽制規定(一部例)
○ 書簿、物品等の外部持ち出し規制(会計担当理事)
○ 銀行振込依頼書及び振出小切手の作成(理事長)
○ 日々の出納後、残高と金銭出納簿との照合(会計主任)
○ 銀行預金について、各月末の残高と帳簿残高との照合(会計
担当理事)
○ 銀行その他金融機関との取引開始、廃止等の承認(理事長)
○ 会計主任による毎月末の入出金の帳簿照合、役員の確認
(会計主任、会計担当理事)
○ 固定資産台帳への保全状況、異動の記録と報告(会計主任、
会計担当理事)
○ 有形固定資産につき年1回の台帳照合と報告(会計主任、会
計担当理事)
土
地
改
良
区
会
計
の
健
全
維
持
、
不
祥
事
の
阻
止
12
会計事務手順における牽制関係強化(単式、収入命令)
収入命令
収入整理簿
金銭出納簿
収支決算書、財産目録
(入金伝票) 第40条
転記
転記
第14条
記載事項を
規定
第39条
第43条
全てを遅滞なく記帳
第44条
会計主任の毎月末の
照合、会計担当理事の確認
注 43条、44条は会計細則例
(単式)の追加条項
第47条
照合、検算
第48条
第49条
会計担当理事
は、帳簿の正確
さを確認後、収
支決算書を作
成させる
会計担当理
事は、主要簿、
補助簿等から
財産目録を作
成させる
会計担当理事の決算前の
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会計事務手順における牽制関係強化(複式、収入命令)
収入命令
収入整理簿
財産目録
(入金伝票) 第41条
転記
転記
第13条
記載事項を
規定
第43条
第47条
第41条
全てを遅滞なく記帳
転記
仕
訳
帳
総
勘
定
元
帳
現金預金
出納帳
第48条
会計主任の毎月末の
照合、会計担当理事の確認
注 47条、48条は会計細則例
(複式)の追加条項
第50条
照合、検算
会計担当理事の決算前の
貸
借
対
照
表
計正
算味
書財
産
増
減
収支
決算書
第52条
第53条
会計担当理事
は、帳簿の正確
さを確認後、収
支決算書を作
成させる
また、精算表を
作成の上、貸借
対照表、正味財
産増減計算書
を作成させる
会計担当理
事は、主要簿、
補助簿等から
財産目録を作
成させる
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土地改良区会計検査指導基準の特長
複式簿記方式会計の新基準
四つの特長をもつ土地
改良区会計の新基準
土地改良資産
の圧縮記帳の
許容
公益法人
会計基準
・
参
照
検
討
○○会計
基準
発生主義の
採用による
正確な会計
受託施設を
無形固定資産
として取りこみ
更新事業へ
向けた積立
措置の提案
真実性の原則、正規の簿記の原則、明瞭性の原則、継続性の原則、重要性の原則
不
正
不
明
な
会
計
の
防
止
。
更
新
事
業
に
備
え
る
会
計
資
産
と
負
債
の
明
確
化
。
明
確
な
資
産
で
合
併
検
討
が
容
易
15
「土地改良区会計基準の策定とその特長」
終了
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