過酷事故時の炉心溶融物による漏 洩事象評価とその対策に関する研究 2015年5月14日 北海道大学工学部エネルギー環境システム工学専攻 原子炉工学研究室 XXX YYY 1 研究背景 原子力プラントでは、 様々な漏えい事象が存在する。 炉心溶融した際は、落下した炉心溶融物が漏洩する。 漏洩した炉心溶融物により原子炉下部礎石のコンクリートが侵食さ れる。(コア・コンクリート反応) コアコンクリート反応により、爆発の危険性を持つ可燃性ガス(CO)が 発生。 原子炉の事故時にコアコンクリート反応を防ぐことが課題。 対策として、コアキャッチャの設置が有効。 2 コアキャッチャ ・原子炉圧力容器下部に設置 ・炉心溶融物を受け止めるため の装置。 ・崩壊熱により発熱する炉心溶 融物を長期間冷却する。 コアキャッチャ 圧 力 容 器 欧州加圧軽水炉のコアキャッチャ テルミット反応について アルミ:酸化鉄=3:8 の重量比で混合 粉末を混合 着火 Fe2O3+2Al =Al2O3+2Fe テルミット反応 アルミ粉末(Al) 酸化鉄粉末(Fe2O3) テルミット溶融物 (炉心溶融物模擬) 玄武岩 (コアキャッチャー) 4 コアキャッチャ材料耐熱試験(目的) テルミット反応による溶融物で、各材料がどういった侵食、 損傷を受けるかを観察する。 5 コアキャッチャ材料耐熱試験(玄武岩) 図 玄武岩断面 6 コアキャッチャ材料耐熱試験(玄武岩) テルミット溶融物 侵食されていることが分かる 玄武岩 図 玄武岩断面(顕微鏡観察) 玄武岩 7 コアキャッチャ材料耐熱試験(高融点材料SiC) ひび割れ ひび割れ 顕微鏡観察(断面) 実験直後 8 コアキャッチャ材料耐熱試験(結果) 玄武岩 熱応力~強い 熱による侵食~弱い 高融点材料 熱応力~弱い 熱による侵食~強い 9 温度計測実験(目的) ・テルミット反応がどれほど発熱しているか計測 ・顕微鏡観察で観察された侵食が、何度で発生したかを 調べる。 10 温度計測実験(実験系) 熱電対 高融点材料 (Al2O3) テルミット粉末 玄武岩 熱電対 A B C D 11 温度計測実験(結果) 1400 20mm depth from the surface 1200 Temperature(℃) 2mm depth from the surface 1000 4mm depth from the surface 800 25mm depth from the surface Direct measurement 600 400 200 0 0 20 40 60 80 100 120 Time(s) 実験後も熱電対の破損は確認されなかった。 140 160 180 12 温度測定実験(考察) ・テルミット反応が少なくとも1372℃以上の温度を持つこと を確かめられた。 ・玄武岩の融点は1200℃程なので、テルミット反応による 溶融物が玄武岩を溶かす能力をもつことが確かめられ た。 ・また、この結果は、顕微鏡観察で玄武岩が溶けている様 子が観察できたこととも一致する。 13 結言 ・玄武岩は高温による侵食に弱い半面、熱応力に強いこと が分かった。 ・高融点材料は高温による侵食に強い半面、熱応力に弱 いことが分かった。 ・コアキャッチャについては、玄武岩と高融点材料の長所 を生かし、玄武岩をベースに表面に高融点材料を敷き 詰めるといった構造がよいと考えられる。 ・温度計測実験について、一定の測定結果を得ることに成 功したが、まだ改善は必要である。
© Copyright 2024 ExpyDoc