飛騨天文台 AO/MCAO 開発状況

飛騨天文台AO/MCAO開発状況
三浦則明(北見工大)
飛騨AO開発チーム
<発表内容>
1. 2Fに設置中のAO装置の
状況
2. 1FにMCAO装置を設置。
実験を実施
AO装置
MCAO装置
太陽研連シンポジウム2015.02
1. AO装置の状況
Deformable
Mirror
<作業内容>
1. 直交関数系にKLを導入
10x10MLA  64項
15x15MLA  124項
Tip-tilt
mirror
2. 15x15MLAで実験
このときの画像サイズ
512x512(従来256x256)
WF-Sensing
camera
BS
3. KL導入の効果をシミュ
レーションで確認
TT-Sensing
camera
AO overview
DST新補償光学装置
軸外し放物面鏡
DM
2%透過ミラー
15cmf 対物レンズ
Tip-tilt
2014.4.15
ゼルニケ
KL (Karhunen-Loeve) –中心遮蔽あり
・Zernikeはエッジ近辺で急激に変化する成分を含む
周辺部の波面フィッティングに誤差が出やすい
・KLでは、動径方向の変化はなだらかになっている
大気ゆらぎの場合はKLを使った方がよい
シミュレーション結果
・r0=4.0, 9.6cmの波面を発生させ、ZernikeまたはKLで
フィッティング
・フィッティング誤差の最小値と、そのときの項数
r0=4.0
項数
r0=9.6
波面誤差
(rad2)
無補正
7.59
10x10 MLA Zernike 21
KL 66
15x15 MLA KL 127
4.52
1.54
1.18
項数
波面誤差
(rad2)
1.94
Zernike 22
KL 64
127
1.13
0.36
0.31
・シーイングが良ければ10x10MLAでも高精度推定が可能
・典型的なシーイングでは、15x15にするとさらに精度が上がる
観測結果
<AO>
動作周波数: 1000 Hz
MLA:15x15
DM actuators: 97
KL多項式: 124
センシング:規格化相互相関
参照ターゲット: 中央黒点
参照ターゲット
AO ONOFF
<データ取得>
観測日時:2014年9月21日 09:05:28
データ:300枚、28 Hz, 露光3.6 ms, 視野: 82.0x61.5 arcsec2
Filter: l=430 nm and Dl =2 nm
5秒間の平均
(a) 5秒間の平均
AO-on
1枚目
AO-off
(c)
1枚目
(b) (a) ⇔(b)
AOを動作させ
ると参照点付
近の細かな構
造が回復
(c) ⇔(d)
(d) 画像処理する
と参照点付近
はさらに鮮明
になる
推定PSFでデコン
ボリューション
AO-on 画像処理
ただし、粒状斑構造が
(a) ⇔(c) AO-onでは長時間露光でも参
不鮮明結像性能?
照点付近の細かな構造が保持される
AO-on
2. MCAO実験
AOユニットから
Sensing
camera
Science
camera
Deformable
mirror
BS
<センシングの考え方>
上空で光波の通過する領域(赤、
緑)の平均的な傾きが変化
観測像上でのA点、B点の位置
が変化
太陽像が上空ゆらぎによって時
間変化(伸縮)する
太陽上
↓参照点B
太陽上
↓参照点A
←上空の
ゆらぎ
Meta-Pupil
太陽像の伸縮を測れば、上空ゆ
らぎがわかる
←瞳面の
ゆらぎ
ターゲットの周りに
計測点を設定
A
B
観測される太陽像
観測結果
MCAO ONOFF
(AOは常にON)
<AO >
動作周波数:1000 Hz
MLA: 15x15, KL多項式: 124
DM actuators: 97
参照ターゲット: 中央黒点
<MCAO>
動作周波数: 150 Hz
計測点:ハニカム 35点
DM actuators: 56
Zernike 多項式: 15
参照ターゲット: 左二つの黒点
<データ取得>
観測日時:2014年9月21日 10:38:37
データ:300枚、28 Hz, 露光3.6 ms, 視野: 35.2x35.2 arcsec2
Filter: l=430 nm and Dl =2 nm
5秒間の平均
AB
AC
5秒
B
A
C
10秒
(上) AB(補償範囲内)の方が、AC
(補償範囲外)に比較して、相対位
置変動が抑えられている
MCAO-on, AO-on
5秒間の平均
(右) MCAO-ONの方がコントラス
トが向上
MCAOの効果が多少みられる
MCAO-off, AO-on
まとめ
(1) 2F常設AO装置の波面センサーの改良を行った(
15x15 MLA、KL 124項)。波面補償の効果は確認
できた。ただし、結像性能がまだ十分ではない。
原因の特定(放物面鏡の精度?)と対処
(2) 多層共役AO装置の実験では、効果がみられるデー
タもあった。ただし、その効果はあまり大きくない。こ
れは、動作周波数が低いのが大きな原因の一つ。
AO動作の高速化(アルゴリズム改良、ハードウェア
の高性能化)