Tohoku University Study Abroad Program 2015 Spring Thailand

Tohoku University
Study Abroad Program
2015 Spring Thailand
Chulalongkorn University
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INDEX
1.はじめに ..................................... 3
2.研修の日程 ................................. 4
3.参加メンバー一覧 ...................... 5
4.レポート ..................................... 6
5.研修中の写真............................ 43
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1.はじめに~今回の留学の目的~
タイ SAP 参加自体についての目的は、「経済・経営学を学ぶ」「異文化を理解する」の大きく分
けて2つあった。経済については、主に講義を通じて、タイを含めた東南アジアの経済成長率がな
ぜ高いのか、またその中で発生している問題点とは何かを学んだ。地理的な要因などを考慮したと
きに過去から現在へとタイがどのような役割を果たしながら国益を得てきたのか、という説明を多
くの場所で聞くことができたため回を重ねるごとにタイの経済発展についての理解を深めること
ができたと感じている。
それと同時に、なぜ現在日本の経済成長率が低く需要が先細りしているのかどのような戦略を使
い日本でビジネスを行わなければならないのかということについても説明を受けた。人口が減少し
ていること、潜在需要がほとんどないことなどをデータや日常的に見かける具体例を通じて教えて
いただいたことに加え、逆説的ではあるが海外でそのような事象を学んだことから当事者意識が芽
生えていたため妙に納得してしまった。
経営については、主に講義を通じてグローバルにビジネスを行うために必要なマーケティング手
法などを学んだりした。インターネットで世界中が結ばれている現在では国境を越えてビジネスを
行うことは容易であるため、従来の発想とは違った方法でビジネスモデルを計画していくことが大
切であるということ、マーケティングによってブランディングを行うことで生み出した付加価値に
お金を払ってもらえるような戦略を考えていくにはどうすればよいかということ、など目新しい講
義内容が多かった。
経済学・経営学の両面で物事を考えていったため、3 週間という限られた時間を考慮すると多く
のことを学びつつ、それらの知識を結びつけていくことができたため振り返ってみて効果的かつ面
白いプログラムであった。
「異文化を理解する」についてはフィールドワーク、名所観光、首都での生活を通じて多面的にタ
イという国の特徴について理解を深めて
いった。
美術館や遺跡訪問などでは、日本では見ることのできないような色使いや宗教色の濃い建造物を
多く見かけることができた。タイが古来より大切にしていた感覚に基づいて作られていた建造物だ
けでなく、そこに西洋の風合いが加わったものなどもあり非常に面白かった。こ
ちらについては、タイの王族の子孫である案内人が付き添ってくれた場所もあり、
タイの王族と彼らが関わっている名所などについて詳細な説明をいただくけたため貴重な経験を
することができた。
他にも、屋台などで本場のタイの料理を味わったり、首都バンコクにある大型ショッピングモー
ルに通ったりとリラックスしながらタイという国の特色について知識を得ることができたため、多
彩な経験ができたと一つ一つの出来事が印象に残っている。
当然のことながら、見たものは同じであっても今回の各参加者が一番印象に残っていることは違
っているためタイという国に対してのスポットの当て方も異なる。私たちのレポートを通じてタイ
という国の素晴らしさを伝えていければ何よりである。
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2.研修の日程
3月9日
午前:歓迎オリエンテーション
午後:パフォーマンス
10日
午前:授業~タイでの生活~
午後:授業~ASEAN の文化と歴史~
11日
午前:文化訪問~ラタナコーシン展示ホール~
午後:文化訪問~タイ銀行博物館~
12日
午前:授業~タイの美術と建築~
午後:授業~訪問・グランドパレスとエメラルド寺院~
13日
午前:授業~タイのビジネス~
14日
全日:文化訪問:~古代都市~
16日
午前:授業~タイにおける経営~
17日
午後:授業~タイの経済概観~
18日
午前:授業~グループワーク~
19日
午前:文化訪問~ジムトンプソンの小屋~
20日
全日:文化訪問~アユタヤ~
21日
昼食時:青葉会
23日
午前:授業~経済に見るタイと日本の文化~
24日
全日:企業訪問~三菱・バンコク病院~
25日
午後:授業~経営知識~
27日
プレゼンテーション
修了証書授与
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午後:授業~グループワーク~
午後:授業~グループワーク~
午後:授業~プレゼンテーションの技術~
午後:授業~グループワーク~
3.参加メンバー一覧
学部
学年
レポートの頁番号
佐藤
優衣
農学部
3年
7
石嶋
幸平
文学部
2年
9
経済学部
2年
13
一町田
恭輔
大竹
和希
工学部
2年
16
大澤
杜夫
経済学部
2年
18
延原
圭祐
工学部
2年
22
梅藤
悠
文学部
2年
25
本保
静夏
農学部
2年
27
安達
紗希
農学部
1年
30
遠野
拓哉
文学部
1年
32
遠藤
幸夫
工学部
1年
36
原田
夕希花
理学部
1年
38
守屋
優花
農学部
1年
41
5
4.レポート
タイでの3週間
佐藤
優衣
1. 自己の言語運用力
言語運用力に関して「今まで習った英語を駆使して積極的に会話をする」という目標を事前研修で立
て、タイに渡った。プログラムでは大学でマネジメントや情報運用などに関する講義を聴講するものや、
大学の外に出て見学をするものがあった。大学外のものではチュラロンコーン大学の学生が数名、サポ
ートとして付いてくれていた。最初の方はあちらの学生が話しかけてくれるのを待ってしまったが、た
どたどしくも会話を続けていれば、正しい英語でなくても身振り手振りを交えて伝わるように努力して
話せば、相手は分かろうとしてくれる、という安心感を得ることができた。それからは自分から会話を
はじめることができるようになり、楽しんで会話をすることができた。また、タイへ観光に来ている外
国人とも話す機会があり、そこでもボディーランゲージを使いながら対応することができた。3 週間の
タイでの生活で、英会話への苦手意識を大幅に改善することができたと実感がある。
プログラム全体を通して、参加前に立てた目標の達成度は70%くらいであると思う。残りの30%
は、言いたいことを英語に直す際に英語訳ができずに戸惑ったり、言うのを止めてしまったりというこ
とがあったので、その減点分である。また積極的に会話ができたかという点では、他の人が発言をする
のを待ってしまうことも多くあったため、反省点がある。
これを受けて、今後の目標として「言いたいことを英語でスムーズに発言できるようになる」ことを
挙げる。まずは会話の前に語彙力の強化を図る。会話レベルであれば大きく不自由することはなかった
が、講義で用いる英単語はあまり聞いたことのないものがあった。私は農業経済を学んでいるので、こ
の分野での自分の研究については英語で話せるくらいの語彙力強化を行いたい。それからアクセントや
発音に気を付け、読み書きだけの英語力ではなく、話せる英語力をつけていきたい。また、今回のプロ
グラムでリ後で会話をする機会も大切であると気が付いたので、英会話教室に通ったり、大学の英会話
プログラムに積極的に参加したりするなど、自発的に行動していきたい。タイで友人になった学生や海
外の友人とのメールのやり取りなどで、英語でのコミュニケーションの取り方を学んでいきたいと考え
ている。語学は使わなければ上達しないと改めて実感したので、タイでの経験を忘れないうちに、この
目標を達成できるように計画を立て、実行していきたいと思う。
2. 異文化適応
タイへ渡る前に、旅行ガイドマップや日本の外務省、またタイ国政府観光庁のサイトなどからタ
イの基本情報は仕入れていた。またタイの歴史も中学高校で有名なところは学んでいたし、インタ
ーネットで概要は調べていた。異なる文化圏へ行き時には、今回のようなことは毎回行っているし、
特に困るようなことは起こらなかった。そこで「異文化でも気負わず生活する」ことを目標とした。
しかしこのプログラムでのタイ滞在は 3 週間であり、私は今まで旅行と調査でしか海外に行ったこ
とがなく、最長で 1 週間であった。タイでの料理の食べ方にはすぐに慣れ、マーケットでの買い物
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でさえも 1 週間もたたずに不安もなく購入できるようになった。しかし長く滞在し学生と接してい
るうちに、王族への尊敬度合や店員の態度など、少しずつ気になることが出てきた。
旅行では気が付かない些細なことは、しかし確かにその国の文化であるし、長く滞在すればこそ
見えてくる本当の姿であると考える。今回の目標の達成度は 90%であると言える。違和感を覚える
こともあったが、ここで一生暮らすことになったとしてもなんとかなると思えた。
今後の目標としては、「異文化の価値を認め、日本文化の紹介が英語でできるようになる」こと
を挙げる。この3週間でタイの特徴が分かったが、一方で日本文化も少しずつ理解していった。日
本に暮らしたままでは気づくことのできなかった大小様々な日本文化と他国の文化との違いは、今
回のプログラムで得た大きなもののひとつであると感じる。日本文化といえば、侍や忍者、漫画や
アニメなど一般的によく知られているものが出てくるが、それ以外にも、食べ方や歩き方、話し方
まで独特のものがあることがわかった。日本での生活方式自体が日本文化であり、それを気づかせ
てくれたのがこのプログラムだった。異文化適応の能力を付けるためには、まずは自国のことを良
く知ることから始める必要があると感じた。そこで目標にあるように、日本文化を英語で紹介でき
るように、練習していきたい。新しくあう異文化圏から来た人々と協調し合うためには、相手の言
葉を理解するだけでなく、自分のことも理解してもらう必要がある。アイデンティティとは、まだ
なにか分からないので、まずは私の人格構成に大きく作用している日本文化について学ぶことがで
きたら、と考えている。それかた、異文化を考えて、理解していくのが、私にはいい順序のように
感じられる。よって、まずは日本文化を探ることが目標に近づく第一歩である。
3. 行動力
行動力については、出発前に「何事にも積極的に取り組む」と目標を決めていた。普段はあまり
率先して動くことはないので、この機会を利用して、能動的に動く人間になりたいと考えた。タイ
のグループでは私が最高学年であったため、プログラムリーダーとなっていた。また3班のリーダ
ーでもあったが、それぞれが自分の役割を果たしてくれていたので、とくにその場面では行動力を
問われることはなかったように思う。今回のプログラムには講義や見学以外にも、最終日にタイに
ついて好きなトピックで班ごとに発表を行うものがあった。そのなかでも分担をし、自分で課題を
こなしていく場面はあった。またプログラム以外の自由時間のときには、自分たちで観光地を回る
ために事前に調べ、予定を立てていた。ここが一番私の行動力が出た場面だと思う。自分がやりた
い・行きたいことに対しては、周りに誘いを掛けたりすることができる。ただしプログラム中は積
極的に行動したかといわれると、難しいものがあった。
プログラムを振り返って考えてみると、言語運用や異文化適応、行動力では一番行動力の目標達
成率が低いように思われる。50%くらいは達成できただろうか。
今後の目標としては、「思ったことを行動に移す」とする。前述の反省であったように、せっか
くリーダーであったのだから、先々のことを考えて行動するべきだった。そうであったならば班で
の発表もより完成度が上がっていたかもしれない。終わったことは反省しかできないので、今後は
後悔することのないように、考えたことはすぐに行動に移すことを目標にする。
参考文献
タイ国政府観光庁HP
(http://www.thailandtravel.or.jp/)
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タイの文化と産業発展
石嶋幸平
1.自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して学び、達成したことは、いくつかあるが、まず一
番大きな成果としては、相手がしゃべっている英語を聞き取るという、リスニング力が鍛えられた
ということである。
鍛えられたといっても、ネイティブスピーカーの言うことすべてが理解できるようになったわけ
ではもちろんなく、断片的に単語を聞き取り、そこから話の流れを考えることができるようにはな
ったという程度で、まだまだ改善の余地は残っているといえる。ただ、話されている言語がすべて
日本語以外、タイ語か英語という環境を経験できたことは、自分の言語能力、特にリスニング能力
を見直し、改善する良いきっかけとなった。
ただ、日本で勉強をしていた時は、自分のリスニング力に多少自信を持っていた私としては、初
の海外経験において、相手の言っていることが 60~70%程度しか聞き取れないということに少しシ
ョックを受けた。さらに、専門的なことを取り扱った講義では、ちょっと集中力を切らしただけで、
教授が何を言っているのかさっぱり分からなくなってしまった。しかし、集中していれば、教授の
専門的な話でも多少は理解できることがわかった。
このように、リスニングに関しては、現在の自分の能力を知り、また、自分に足りない力につい
て考えることができた。
英語を書く、筆記に関しては、プログラム最終日に英語でプレゼンをするという時間があったた
め、それに向けて英語で原稿を書くという作業を通して、長文を書くという能力が鍛えられたので
はないかと思う。
しかし、ライティング力に関しても、語彙力のなさや、表現の貧困さに悩むことが何度かあった。
最後に、英語を話す力、スピーキング力に関しては、あまり上達・改善できなかったと言わざる
を得ない。というのも、私にとって今回の研修が初めての海外経験だったということもあり、常に
だれかとともに行動していないと不安だったのである。そのため、現地の人と会話をするにしても、
一緒にいる仲間のうち、誰か一人でも相手の言っていることを理解できれば会話が成り立ってしま
い、一人一人が英語を話す量が非常に少なくなってしまっていたように感じられた。
そのうえ私は、初対面の人と話すことが非常に苦手なため、いつも友人に会話を任せきりにして
しまっていた。
講義内で何度か質問をあてられることはあったものの、簡単な答えで済んでしまうようなものば
かりだったため、会話をする力はほとんど向上しなかった。
この経験をふまえて、まず、私が改善・向上させていかなくてはならないと強く思うのが、スピ
ーキング能力である。この力は、日本語しか話されていない今の環境にいくらいても伸びることは
ないと思う。そのため、私は現在、もう少し長い期間の留学を考えている。
私は将来、海外と何らかの関係のある職に就きたいと考えており、その時に英語は必ず必須にな
ると考えられる。今度は三か月から半年程度、英語圏もしくは、ヨーロッパ諸国のいずれかへと行
って、自分のスピーキング力を上げる努力をしてみたいと思うようになった。
ただいつか留学したいという目標では具体性がなさすぎ、また、リスニングやライティング、リ
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ーディングの能力も十分とは決して言えないレベルにあるため、私は TOEFL もしくは、TOEIC の勉
強を三年次より始めてみようと考えている。
とりあえず、留学するための英語能力の指標となっている TOEFL で、今より 100 点アップをめざ
し、留学をし、自分の言語能力を向上させ、TOEIC に挑戦してみようという目標を立てることにし
た。
この目標を達成するころにはおそらく、今より格段に英語に対する自信が強まっていることだろ
う。せっかくこのようなプログラムに参加する機会をいただき、素晴らしい経験をしてきたので、
目標で終わらせるのではなく、必ず実現させたいと思う。
2.異文化適応
異文化適応能力に関して、私が最も重要だと思ったのが、いち早く日本とは異なる環境というも
のに慣れる、ということである。これは、気候や言葉だけでなく、食事や生活習慣などにも言える
ことである。
例を挙げるならば、タイの屋台の料理は、日本の屋台のものと比べると、衛生面に怪しいところ
がある。また、きちんとした店で食べても、食あたりを起こすという危険性がある。
実際、一緒に行った仲間の何人もが、腹を下し、腹痛と戦っていた。私は幸い腹を下すことはな
かったが、常にひやひやしながら屋台などでは物を買って食べていた。
このことに関して、私は無理に現地の料理を受け入れようとする必要はないと考える。日本には
ない食文化を持つ国に行ったからには、その国特有のものを食べたいと思うのが普通だが、それを
食べて腹を下していては本来の目的が果たせなくなってしまう。
おそらく、東南アジアやアフリカの国々などでは、まだ衛生的に危険な地域が多く存在するだろ
う。そのような国に将来行くことになるとも限らない。今回は3週間という比較的短い期間だった
ため、避ける気になれば避けることができたが、長期滞在となると、やはり現地料理のほうが値段
が安いということもあり、避けられなくなる日が来るだろう。そうなった場合にどのように対処す
ればよいのか、行ってからでは手遅れになることもあることがわかったため、事前調査などを十分
にしておく必要があると感じた。
さらに、異文化として挙げるとするならば、なんといっても言語についてであろう。このことは、
先の言語運用のところでも触れたが、文化的な視点からも言語について少し考えなければならない
と思う。
タイの公用語はタイ語であり、タクシーの運転手などは、簡単な英単語を除き、基本的に英語が
話せない。このことは、日本人がなかなか英語を話せないのと似ている点であるといえる。しかし、
交流先の大学生に目を向けると、その英語力の差は歴然であった。私が考えるに、日本は発展して
おり、国内だけで十分にお金が稼げるが、タイでお金を稼ごうとすると、外国に親元のある企業な
どに就職するのが一番手っ取り早い、ということがあるのではないか。そのため、英語学習に対す
る情熱や意欲のようなものを日本人の学生よりも多く持っているのではないか。
この高い意識は見習わなければならないと思う。芸は身を助ける、ではないが、英語ができて不
利益は一切ない。勉強に専念できる今のうちにできる限りのことをしなければと、レベルの高い人
に囲まれてみてそう思った。
最後に、タイの人々に関して、文化の違いを感じたことがある。
それは、タイの人々が日本人よりもはるかに外国人に対してやさしく、寛容であるということで
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ある。日本人は、外国からの旅行者に道案内を頼まれると、「英語出来ないので…」と避けてしま
う傾向にあると思う。しかし、タイの人々は、彼らも英語はたいしてできないのにもかかわらず、
必死になってこちらとコミュニケーションをとり、目的地を示してくれようとした。これは1度や
2度のことではなく、道を聞くたび、誰もが気持ちのいい対応をしてくれたのである。
確かに、タイの屋台は衛生面がよくなかったり、店員のやる気があまり感じられなかったりと、
日本に比べるとやや劣るところがあるのも事実ではあるが、心は非常にやさしく、相手のために必
死になって何か行動を起こすことができる人がたくさんいる。
道を歩いていても、スマホの画面ばかり見ており、周りの人に気を配ることもおろそかにしてし
まうような日本人よりも、このような優しさを持っているタイの人々のほうが、よほど心は裕福と
いえるのではないだろうか。私たちも見習わなければならない。
そして、なんといってもタイの人々は常に笑顔でいる。聞いた話では、レポートの提出が期日よ
りも遅れたり、講義に遅刻したりしてしまった場合であっても、笑顔を浮かべながら謝罪するそう
だ。
日本では考えられないことだが、タイではこれが普通だという。正直、ミスをしてもへらへらし
ていたらさすがに相手に失礼になるのではないかと私は思ってしまうが、笑顔でいるほうが気分が
盛り上がるというのも事実である。これからは私ももう少し笑顔を増やしたいと思う。
3.行動力
行動力に関して私が感じたことは、一人でも慣れれば行動ができるということである。
もともと私は一人で旅行することが好きなため、バンコクでの生活に慣れ、集団行動に疲れた2
週目などは一人で街に出てふらふらすることができた。
最初の週は初めての海外ということもあり、一人で行動することに恐怖を感じていたため、常に
だれかといなければ不安だったが、バンコクがほとんど日本と変わらないほど発展しており、用心
していれば何も危険なことなどがないと分かってからは、気が大きくなり、一人でも行動できるよ
うになった。
ただ問題が一つあり、私は非常に人見知りである為、一人でいるときは現地の人や店員に話しか
けることができないのである。基本的に安めのお店の店員はほとんど英語が通じないため、タイ語
で値段交渉などをすることになるのだが、そんなことできるはずもなく、ディスカウントされるこ
とを元々考慮に入れ、高めに設定されている値段でしか買い物ができなかった。
人見知りにより不利益を被ったことは、日本国内での旅行中にも何度かあり、改善しなければな
らないと以前からずっと思っていたのだが、今回の研修では、「一人でいるときにももっと積極的
になる」という目標は達成することができなかった。
また、集団でいるときにも問題があり、集団でいると私はあまり発言をしなくなる傾向にある。
先にも述べたように、一人でいるときはほとんど人としゃべらず、集団でいるときもあまり口を挟
もうとしないため、私は向こうであまり英語を話すことなく研修を終えてしまった。
このことから、もっと積極的になるとともに、人と言葉を交わし、コミュニケーションをとると
いうことに慣れなければならないと強く思った。
ただ、一つ自分の行動力に関して良かった点を挙げるとすれば、それは、日本からいっしょに行
った学生とは積極的にコミュニケーションをとろうとできたことである。はじめはみんな手探り状
態だったが、徐々に打ち解け、誰とも親しくなり、気軽に話しかけることができるようになった。
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せっかくこのような体験を共にし、海外に興味があるという共通点を持った仲間と出会うことが
できたので、このつながりは大切にしていきたいと思う。
また、今回の研修を通して、海外への興味・関心・憧れは一層強くなった。大学に在籍中してい
る間に、もう一度は留学をしたり、TOEFL、TOEIC の勉強をしたりと、何か次につながるようなこと
を今からしていきたいと思う。
本当に実りの多い、充実した3週間であった。
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SAP で学べたことと今後の課題について
一町田恭輔
1.自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私がSAPを通して達成できたことは 2 つある。1 つ目は英語につ
いて「パターン化できる程度の日常会話はこなせるようになった」ということだ。
自分や他の人の発言内容や、持参した教材の引用文をその都度メモし、それを自室に戻ってからまと
め直し復習をしていた。そして、それを別の機会でも使うことである程度パターン化をすることができ
た。加えて、それらを組み合わせて英語で冗談を言い笑ってもらえたことはうれしかった。
2 つ目は、発音とアクセントの矯正を行った結果、スピーキング・リスニングが行える範囲が増えた
ということだ。
プレゼンテーション・スキルの講義で発音の矯正のための練習があった。以前から母音が強い日本語
とは違い、子音や二重母音が難しい英語の発音練習をしていたのだがまだまだ不十分であったと反省し
た。その講義以降は英語を話している人の口元を注視し自分の発音の参考になるような動きがあるか観
察したり、アクセントを注意して聞いたりすることで具体的に発話の質とスピードを向上させるための
努力を行った。そのかいもあってか、徐々に聞き取れるようになる会話量が増えてきた。中でも、この
成果が顕著に表れたのは帰りの飛行機の中であった。行き帰りの飛行機内で映画を見ることができたの
だが、私は英語音声で両方とも同じ映画を見た。行きでは会話内容がほとんど聞き取れず途中で断念し
てしまったのだが、帰りの飛行機内では発話内容の 80%は聞き取ることができるように成長していた。
実感できる成果があったことは今後の英語学習に対する自信につながったため、使える会話文の増強と
ともに発音・アクセント矯正を継続的に行っていきたい。
一方で課題として、
「使える語彙力、会話文のレパートリーが少ない」ということと、
「ライティング
スキルの向上の必要性」という課題が見つかった。
前者について、具体的には日常の些細な動作を英訳できない、基本動詞の熟語系を十分に体得してい
ないため豊富な会話表現ができない、更に、文法力が不足していることに加え修飾をうまくこなせない。
結果として会話文のレパートリーが不足し多様な話題を展開していったり他の人のそれについていっ
たりすることができないという状況になっている。これに対する解決策としては、まず、TOEIC など
の英語教材を使い会話文をシャドーイングして知っている表現のストックを増やし映画などを英語音
声のみで見ることでストックと場面を結びつける。最後に、その場面や状況を思い出しながら実際の会
話で使えるようにするというように段階的に課題を克服していきたい。
後者については、
「難解な語彙を使い分けることができない」
「ライティングの指導を受けていないた
め、自分の弱点が分からない」という点に気づいたところから課題であるとした。ライティング用の教
材も持参し時間があるときに読んでいたのだが、日本語以上に単語の使い分けが細かく状況に即した単
語を選ばなければならないことを知った。これを受け、将来ビジネスの世界で英語を使うようになった
とき、ちぐはぐな文章しか書けなかった場合は印象が悪くなってしまうと危機感を抱いた。加えて、プ
レゼンの準備をしているときに、自分の英文を誰かに詳細に添削してもらった経験がないため具体的に
どのように「書く力」を伸ばしていけばよいのかも分からないと今更ながらに思うに至った。これにつ
いては、まずは、英英辞書を小まめに引き細かい違いを覚え例文のストックを増やす。加えて、それら
の例文を参考に文章を大量に書きそれを添削指導を受けて改善していきたい。
この経験をふまえて、大学卒業までに達成したい目標は「英語をビジネスの世界で使えるレベルにす
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ること」とし、社会人以後の目標は「最低でも中国語での日常会話もできるようにすること」とする。
今回の講義内容でも将来的に日本国内だけでビジネスを行うことは厳しくなるということを学んだた
め、英語や中国語をある程度つかいこなせるようにならないといけないと考えさせられたからだ。目標
を達成するために当面の計画は、「英語については大学生の間に英検 1 級・TOEIC950 点以上を連続で
5 回取得」とし社会人になってからは英語力の維持と中国語学習に時間を割けるようにしていこうと思
う。
2.異文化適応力
異文化適応力については達成できたことよりも、課題だと感じたことの方が多かった。
まず、達成できたことは「積極的に取り込む」
「苦手だと感じても繰り返し接するようにした」
「寛
容的になる」ことの 3 点だ。
「積極的に取り込む」
・
「苦手だと感じても繰り返し接するようにする」
の 2 点は主に食事に対して行ったことであった。パクチー、タイスイーツの独特の甘さ、全体的に
辛い味付けといった日本には無い味付けや食材などに対してはじめは非常に戸惑った。しかし、苦
手だと感じたからと言ってそこで諦めるのではなく積極的に摂取していった結果、すぐに適応でき
たものもあった。そうでなかったものに対しては、「慣れる」まで何度も繰り返し接するようにし
た。この時参考にしたのは、「子供の食への適応」の話だった。赤ちゃんは、初めは苦い食べ物を
「毒」だと認識して「美味しくない」と感じるらしい。子供がピーマンが嫌いだったりコーヒーを
飲めなかったりする理由もこれに通じるのだろう。しかし、我慢をしたり美味しいものと一緒に食
べたりすることで次第にそれに慣れてくる。これと同じように、苦手だと感じていたタイスイーツ
の独特の甘みも一回、二回と食べ続けていくうちに徐々においしいと思えるようになったことは自
分の好きな食べ物を広げることができるようになったため嬉しく思った。「寛容的になる」につい
ては、宗教や接客に対して行った。日本では私も含め無宗教の人が多いため日常の中で宗教的な振
る舞いをすることが無いし、見かけることもない。一方、タイでは 9 割以上の人が仏教徒であり国
王に対する信頼が強い。そのため、寺院ではタイ式のお祈りを見かけたり日常生活の中でも国家の
ような歌が一定の時間に流れたとき人々は直立不動でその歌を聞いたりする光景を見かけたりし
た。日本国内では「宗教」に対して、オウム真理教等のカルト的なイメージが強いせいもあるのか
あまり良い印象を抱かないためこのような光景を見かけたときは違和感を抱くかもしれない。それ
には「日本人という集団の中の一人である自分」という枠組みで物事を見ていたからだ。だが、タ
イに行きそのような枠組みが無い状態で物事を見てみると違和感を抱くことなく「そういうことも
あるのか」と善悪の判断をせずに受け入れることができた。この経験は自分の内面の変化として興
味深いものだと考えている。
逆に、課題だと感じていることについて一番大きなものは「実践不足」であった。3 週間のうち
大半を SAP メンバーと過ごしたため、異文化に接触する機会や説明をしてもらう機会を失ってし
まったのだ。限られた日数であったにも関わらず、大学近くにあるショッピングセンターに漫然と
何度も立ち寄っていたことは今振り返ってみると「日本でもできること」であった。もっと他にで
きることはあったのではないかと反省している。他には、もっとチュラロンコン大学の生徒と連絡
を取ったり空いている時間を一緒に遊びに行かないか誘ったりすれば、自分たちだけでは気づくこ
とのできないものを見せてくれたかもしれない。日本に来る前に過去にタイ SAP に行かれた先輩
に注意されていたため気をつけようとは思っていたものの、いざ当事者となると意外とその通りに
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行動することは難しいのだと感じた。
これらの達成事項と課題を受けた今後の計画は、「一人で長期間海外に行く」としたい。時期や
留学をするのか語学留学となるのかは未定だが、英語が通じる場所に行き、自分以外に他に頼れる
人がいない状況で経験を積みたいと考えている。こうすれば周りに流されることはなくなるし嫌が
応にも自分から英語で情報収集をしなければならなくなる。友達を作り色々な物事を一緒に行うこ
とで異文化理解を実践していきたい。
3.行動力
行動力については、個人的な行動については積極的に英語でコミュニケーションを図っていた。具体
的には、チュラロンコン大学の学生と話すようにしたり講義中なども分からないことがあった場合は質
問をしたりといったことを行った。この姿勢は今後も維持していきたい。
課題があったのは集団での行動についてであった。具体的には、グループワークが上手く進まなかっ
たということだ。原因としては、主体性を失わないことを意識しすぎたあまりグループリーダーと意見
の衝突が何度かあったことが一番大きい。その結果、場が険悪なものになってしまったため、他の班員
からの意見を吸い上げることができなかった。つまり、グループ全員の意見が十分に反映されていない
プレゼンになってしまったのだ。最終的にはスライド間の関連性が弱くなってしまい、ロジカルでない
プレゼンテーションになってしまった。
大きな失敗であったが、今後乗り越えていかねばならない課題となったため良い経験にはなったと思
う。今回の件については、まず「過度の主体性は避ける」「険悪な場を作らない」ということが最低限
必要になる。そのために、「自分の意見を押し通そうとせず、引き際を見極める」ことと「意見を出し
やすい場をつくる・またそれを行いやすいテーマにする」ことを目標としたい。グループワークは全体
としての成果を最大化することが必要であるから、全員の意見や考えをまんべんなく反映させていかな
ければいけないものである。だから、例え話し合いが停滞してしまっても焦るのではなく自分の頭の中
で分かりやすい言葉・受け取ってもらいやすい伝え方で意見を考えつつ、他の人の発言を待つ。そして、
グループメンバーをよく観察し彼らは今何を考えているのか、どんなことをしたいのか、何に納得がい
っていないのかを考える。こうすることで班・グループとして向かうべき方向性を探っていき一つずつ
順調に物事を進めていけるようになりたい。加えて、「グループワーク自体」についても学んでいこう
と思う。遠からず就職活動が控えているため、早いうちからグループディスカッションでどのようにす
ればグループとしての成果を高めることができるのかを書籍を読み今回の経験と照らし合わせながら
勉強しつつ、実際に就活をするようになってから実践を積んでいきたい。自分の性格をよく考慮に入れ
その場その場でどのような役割を果たしていけばよいのかについては、その時考え始めては遅いのだと
いうことを今回学ぶことができた。下準備を十分に行うことができれば、その場で周りの人たちを観察
しながら話し合いを進めていくことができる。この当たり前の事実を受け止め、実践できることは今の
うちからどんどんとこなしていきたい。
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SAP(タイ)帰国後レポート
大竹
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和希
自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、現地の大学生と英語でたくさん
会話することによって、自分の英語力を知ることができたことです。もともと自分でも英語はあま
り得意なほうではないことはわかっていましたが、この英語力がどれくらい外国で通用するものな
のかは実際に行ってみないとわからないものだと思いました。
結果として、私の英語力だと、相手の言うことが一回で正確に聞き取れない場面が結構ありまし
た。今まで英語の発音をあまり気にせずにいたせいなのか、知っているはずの単語を言われている
のにわからないということが多く、二、三回くらい繰り返してもらってやっとわかるという状況で
した。タイの公用語はタイ語なので、タイの学生の英語の発音も正しいわけではないようでしたが、
明らかに自分よりも英語を流暢に使えていたので見習いたいと思いました。
また、言いたいことが英語で素早く表現できなくて困る場面も多くありました。時間をかけてじ
っくり考えれば英文は作れるのですが、会話の流れの中では難しく、後で考えて、あの時こういう
表現ができたのかと悔しい気持ちになることがありました。結局、質問にすぐ答えようとすると、
単語を並べただけで、文法的には正確でない表現になってしまうことがよくありました。それでも
相手にかろうじて伝わりますが、誤解を生じさせないためにもしっかりした表現で話せるようした
いと思いました。
こう考えると自分の英語力不足ばかり見えてきますが、英語でのプレゼンテーションにおいては
自信がつきました。事前研修でやったプレゼンとは違った内容で、タイでも英語でプレゼンをしま
した。事前研修のときは、初めての英語のプレゼンだったのでなかなかうまく表現できずに後悔し
ました。しかし、タイではその反省を活かし、さらにプレゼンのための授業も受け、準備しっかり
したので、自分として納得のいく発表ができました。
この経験をふまえて、今後は、英語の実践的な練習が大事になってくると思いました。プレゼン
のように、準備さえしていれば英文も作れるし、それなりにすらすらと話すこともできます。なの
で、一つ一つのリスニングや英作文も大切ではありますが、今自分にほしい英語能力は、会話の流
れにのれるくらいに聞けて話せるスピードです。これができれば、会話の内容も簡単なものだけで
なく、自然と深入りできるようになるのだと思います。そのようにするためにも、今まで机の上で
学んできたようなやり方ではなく、実際に面と向かって話す機会をたくさん作っていきたいです。
現に、タイで三週間だけでも英語で会話をしたことによって、なんとなく英語を聞くときのコツや
発音のポイントがつかめてきたような気がしました。英語を難なく使えるようになるにはまだほど
遠いようですが、こういう経験の積み重ねで少しずつ自分の英語力を向上させていきたいです。
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異文化適応
異文化適応に関して、SAP を通して達成したことは、授業や生活の中でタイの文化について理解
し、それを実感できたということです。日本と比較してみると、気候、宗教、言語、食事など様々
なことが異なっていて、私たち日本人にとっては慣れている日本の文化のほうが心地よく感じてし
まうものでしたが、その中でタイの文化の良さも感じることができました。
まず、タイでの三週間で私は一度も体調を崩さずにいられたことが良かったです。タイの屋台な
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どの料理はあまり衛生面があまりよくないので日本人はよく腹をこわすと聞いていて、実際、メン
バーの中でそれによって体調を崩す人もいました。また、タイの料理は辛いものが多かったり、パ
クチーによる臭みが強くて食欲がわかないこともありました。私もタイ料理はあまり好きにはなれ
ませんでしたが、毎日食事をしっかりとり、健康でいられたので自分の体の強さと柔軟さに自信が
つきました。
また、日本人と比べたタイ人の性格や考え方についてわかったことがあります。タイに行く前か
ら、タイ人は大雑把であると聞いていて、実際に行ってみると、確かに交通マナーはあまりよくな
かったり、お店で店員同士が話しながら接客していたり、店員がご飯を食べながらお客を待ってい
たことなどが気になりました。それらの印象から想像すると、タイ人は日本人よりも無愛想な性格
なのかと最初は思いました。しかし、タイ人とたくさん関わりを持つと、無愛想な性格なわけでも
ないということに気がつきました。
例えば、バスに乗ろうとしたけれど、どれに乗ればいいかわからずに英語で聞いたとき、タイ人
にはあまり英語が伝わらないので、お互いにわけがわからない状態になりました。しかし、ジェス
チャーなどで頑張って伝えると、私たちがバスに乗るところまでしっかりと案内してくれました。
当然、日本人だって尋ねられたら応えはするだろうけれど、相手の話す言語がわからなかったら、
あきらめて他の人にまかせてしまう場面もあると思います。タクシーの運転手も、なかなか一回で
言いたいことが伝わることが少なかったけれど、いやな顔もせずに必死にこっちの意図をくみ取ろ
うとしてくれました。そのおかげで、タイ語がほとんど話せない私たちでもいろんな交通機関を使
って様々な場所を巡ることができました。また、友達になったタイの学生も、とてもフレンドリー
で、いつも笑顔で私たちに付き添って案内などをしてくれました。
つまり、タイでは全体的に交通や接客などのマナーは日本ほど徹底してやってはいませんが、人
としての親切さはしっかり持っているのだと思いました。日本以上に、助けを求めると全力で応え
ようとしてくれる姿勢を感じました。
この経験をふまえて今後は、タイで受けてうれしかった親切が自然とできるような人になりたい
と思いました。文化などが違えば表面上の態度や行動は違ってきますが、内面のやさしさに対する
感情は誰でも同じように持っていると思います。外国人と関わる中で、お互いの文化を理解してお
くのは当然大事なことですが、それよりも親切さを大切にすることで知らない人でも早く心が開け
るのだろうと思いました。
また、異文化を理解するにあたっては、実際に自分で見て感じることが重要だと思いました。今
回、情報として聞いていたことから想像していたものと実際に行って感じたものは少し違っていま
した。評判や噂も情報としては重要だけれども、すべてを決めつけてしまうことはないようにした
いです。そして、積極的に見たことのない世界に出て行くことで、自分自身で体験して理解すると
いう経験をたくさん積んでいきたいです。
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タイから世界へ
大澤
杜夫
1. 自己の言語運用能力
自己の言語運用能力に関して、私は SAP を通して達成したことが2つある。一つは会話にお
ける表現に関する考え方を根本から変えられたことである。多くの大学生がそうであると思う
が、私は英語の勉強、とりわけ受験勉強の際にはライティングを重視してきた。そして、その
学習において実際に英語を使って会話をするという機会はほとんどなかった。あるいは、あっ
たとしてもきわめて限定的な勉強のための会話でしかなかった。つまり、単語や文法のストッ
クを増やすことに尽力しただただ暗記に力を傾けて、自分のモノになっているか否かは二の次
であった、ということだ。結果として私には使い慣れない表現や単語を含んだ文を、辞書を駆
使して組み立てるという癖がついていた。この癖はタイについて最初の現地学生との交流で大
きな支障となった。
自己紹介を済ませた後、私は宗教に関する話を現地学生から聞いたのをよく覚えている。タ
イの仏教の特徴、プログラムで巡る有名な寺院、日本の仏教との違い、様々な内容を非常に簡
単な英語で話してくれていた。一通りの説明を聞き、今度はこちらから日本の神道について説
明しようとしたのだが、どうしても”Japanese traditional religion”の先が出てこない。
言いたい内容ははっきりしており、その表現を学んだかすかな記憶もあるのだが、出てこない。
電子辞書などのデバイスを使い何とか単語を紡いだものの、長時間かけて結局伝えることがで
きた内容は、教えてもらった内容の半分にも満たない乏しいものだった。これは、SAP の中で
もっともふがいなさを感じさせられ、また、現地学生に対して申し訳なく感じさせられた体験
であった。
この経験から私は、会話の中で求められるのはレスポンスの速さと正確さであることを気付
かされ、以降の会話では使い慣れた、簡単な表現をつかうようになった。英語の勉強に関して、
ストックを増やしていくことは決して無意味なものではないと、私は今でも思っている。しか
し会話においては1対1対応の表現や、自分が使いこなせない表現が役に立つ場面は少ないだ
ろう。思い返してみると、3週間の交流の中で現地の学生はきわめて簡単な英語で会話をして
いた。当然こちらの英語力に合わせてくれていたということもあるであろうが、理由はそれだ
けではないと私は考えている。文章構成の力がそのままに会話の力に転換されるわけではない、
当たり前のことであるとおもっていたが、自身の認識の甘さを思い知らされた体験であった。
もう一つは発音の重要性を再認識し自己の会話に取り入れることができた点である。今回の
SAP で、我々は発音の壁に大変苦しめられた。聞き取れないことも当然大きな問題であるが、
それ以上に発音が間違っているために発言内容が伝わらないという場面に大きな困難があっ
た。文法的には正しいはずなのに言葉が通じないという状況は、日本で生活しているときには
未知な感覚であり、フラストレーションを感じた。例えば“Arkansas”といった地名は日本語
では「アーカンソー」であるが、英語の会話では全く遠いっていいほど通じなかった。また、
“pattern”という単語については日本語のアクセントに慣れきってしまっていたが、そのま
ま使うと聞き返され、“Morio, not パターン but pattern, OK?”と言って指摘されることが
しばしばあった。
そこで私はタイにいる間、可能な限り現地学生や教授の発音を真似して話すことを心がけた。
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また、わからない発音や表現があればその都度聞いて自分で会話するときに積極的に使うよう
にした。発音についての体験のなかでも特に印象的だったものが一つある。タイについて1週
間ほどたった頃であった。英語の授業を何日か聞いているうちに、私は何人かの教授が授業の
終盤で“ザマロファット”という発音の言葉を使っていることに気づいた。前置きのように使
われており、直接内容にかかわる言葉でないということはなんとなくわかっていたものの、そ
の実正体はわかっていなかった。その日、4人目の教授が“ザマロファット”を使った授業の
後、教授の元へ聞きに行くと、“I said “As a matter of fact,”.”という答えが返ってき
た。また“アズアマターオブファクト”という発音はいかにも日本人的であり、わかりやすい
が聞きづらいとの説明も受けた。“As a matter of fact”という表現自体は中学生のころに学
習したものであり、当然私自身何度も使ったことがある表現であるはずだが、全く聞き取れて
いなかったのである。それどころか、発音そのものを中途半端に覚えていたのである。ショッ
クであったが以降の会話では“ザマロファット”と自然に発音することを目標とし機会をうか
がった。現地学生との会話の中で使ってみて通じたときにはこれまでにない英語学習の進歩を
感じた。
以上2つの経験をふまえ、今後は実際にネイティブスピーカーや留学生と英語で会話をする
機会をふやし、会話に必要な力と、正確な聞き取りと発音をできるようにしていくことを自身
の目標とした。具体的には東北大学や他大学のプログラムに参加することを考えている。また、
夏季に個人での米国への短期留学が決まっているのでそこでまず英語中心の生活を行い、リス
ニングとスピーキングの力をつけていく。表現や単語についてはいわゆる受験英語以外のもの
も取り入れるべく英語で刊行されている雑誌を1冊定期購読したいと思う。
2. 異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP 通して達成したことを具体的に述べるのは非常に難しい。と
いうのは、いわゆる行事や生活など目に見える文化に関していえばタイと日本で理解できない
ほど大きな差は感じられなかったためである。勿論、言語や食文化は異なっているが、言語が
違うのは当然であるし、食事も味付けが違うだけで米が主食であるなどかなり近いように感じ
た。私が感じた日本との差は目に見えない文化の中にあった。人間性、風土的な特徴、歴史的
な背景などがそれである。そして、目に見えない文化考慮し、先の予想を持った行動する力を
養うことこそが SAP で私が達成できたことである。
私が今回最も大きな差を感じたのは接客面であった。タイで生まれ育った人の人間性として、
非常にマイペースで感情的であることが感じられたが、接客にもその人間性が反映されていた。
食事や通話などの私生活を行いながらの接客や、時間も停車場所も決まっていないバスなどは
タイに行くまで日本では考えたこともないものであった。サービスについても、取り扱ってい
るものは同じながら店や店員によってまちまち、更にいえば店員の気分しだいな相もあり、日
本のようにいつでもどこでも均質なサービスが受けられるという機会はほとんどなかった。こ
こにおいて、私は文化適応を求められることとなった。タイという国で生活するためにはタイ
にあわせ、自分が変わるしかないのだ。
始めはタイの人と同様の生活をしようと考えた。マイペース、かつ感情的な対応をしようと
試みたのである。しかし、日本での生活習慣はそう簡単に抜けるものではない。ましてや、タ
イの人間性が身につくわけもない。人間性というものは伝統と風土、そして長い歴史に裏打ち
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されているものだ。付け焼刃の人間性は簡単にぼろが出るであろうし、もしかすると相手にと
って不快なものであるかもしれない。そこで私は生活習慣を根底から覆すことは諦め、相手の
立場から考えるということを重視して生活するようにした。つまり、なにか行動をおこさんと
する際にいつも以上に相手の主体性を考え、先を見通す余裕を持った計画を立てるようにした
のである。このことは日本にいる間も実践しているつもりでいたが、実際に意識を向けるとな
ると全く別なものであることが分かった。日本にいる間は相手の立場を考慮しながらも主体は
自分であった。相手もある度は自分の立場を考慮に入れているだろうという考えがあったから
だ。この考え方は私達が日ごろ日本人の人間性の中で生き、そのような前提のもとに生きてい
るから成立していたのである。タイにおいてその前提が崩れた。そのため、主体を“完全に”
相手におくという考え方が必要となった。相手ありきの考え方をすることで私は違う人間性を
もつ相手の行動の意味を理解できるようになり、日常生活の中で不都合や違和感を覚える機会
が著しく減った。さらに長期の滞在であればまた違った対応になっていたであろうが、今回の
3週間という限られた時間の中で身につけられた文化適応力としてはこの考え方は非常に大
きな成果であると私は考えている。
この経験をふまえ、今後は海外で生活する際や異なる文化を持った人と交流する際は勿論、
日本においても必要に応じて相手の立場を重視した考え方をしていきたいと思っている。また
この考え方は他人との交流だけでなく、自分の行動を決定する際にも使えると私は考える。自
分の行動を完全に他人の立場から客観視し計画を立てることができれば短期的、あるいは長期
的な計画において、これまで見えていなかった予測や将来設計ができるのではないだろうか。
そのためにまずは大学、あるいは私生活の中で留学生、社会人など自分とは異なる立場の人々
とできるだけ多く交流し客観的な立場にたつという経験を積んでいく。社会に出るまで時間は
そう長くは残っていない。大学在学中に自己の客観視を達成することが今後の目標となる。
3. 行動力
私が SAP を通して達成したことは、現地での経験を活かし積極的に新しい経験に向かってい
く姿勢を身につけられたことである。それは例えば現地の人に話をきいたり、プログラム外で
行動する際に実感することができた。
おもいかえしてみると、日本にいるとき私は消極的な姿勢で生活していた。可能な限り変化
のないルーティンの中で生きることを優先していたように感じる。タイで生活するとなるとそ
うはいかなくなった。日常生活自体が今まで経験したことのないものであるからだ。実際のと
ころ私は、タイに渡航する前、可能な限り滞在先のホテルから離れず生きていこうと考えてい
た。タイで生きていく間も家と学校というルーティンを守っていこうと考えていたのだが、す
ぐにその考えはなくなった。上述の内容にもあるが異文化に適応するため、そして、このプロ
グラムを最大限自分のため活かすには積極的に様々な経験を積んでいく必要があると思った
のだ。とはいえいきなり見知らぬ町や、言葉が通じるかもわからない人々の中に飛び込むこと
にはやはり抵抗があるのも事実である。そこで私はまず、現地学生と積極的に交流し実際に町
を案内してもらうなどタイの情報を集め、経験を積んだ。1週間もたつと、私は一人で行った
ことのない観光地や店に出歩くようになっていた。見知らぬ土地で道に迷っても人に道を聞く
ことにもためらいがなくなっていた。むしろ、言語力や積極性を身につけるためには道に迷っ
たほうが効果的なのではないか、そのように考える余裕さえ生まれていた。この変化は、現地
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学生との交流で得た経験や情報の中から一人でもできることを実践していった結果生じたも
のである。重要なポイントとなったのは、まずは積極的に生きることの必要性に気づいたこと、
そして、自分に可能なことから段階的に経験を積むことができるという環境や周りの人に恵ま
れたことであろう。
この経験から、私はできることをそのままに終わらせず、新たな物事に活かしていくという、
“既知から未知へ”の姿勢が重要であることが分かった。これは今回のプログラムや海外で生
活する時というよりもむしろ、ルーティン化しつつある日本での生活でこそ重要となってくる
ことでると私は考える。日常のルーティン化は生活としては一つの完成形であり、ルーティン
を積み重ねることで新しいステップに進めることもある。しかしそうであっても、ステップを
進める際には行動を見直し、時にはルーティンを崩し新しいことに取り組む必要がある。そし
て何より、積極性を忘れてしまっては成長はあり得ない。私のこれまでの日本での生活は消極
的なルーティンを求めていたに過ぎない。今後は、米国留学が控えておりやはり同様に“既知
から未知へ”の姿勢と積極性が求められることが予想される。自分ができることをもう一度見
直し、まずは自分の経験の範囲で環境や生活などに変化を加えていく。そうすることで自分の
“既知”の範囲を増やし、“未知”の世界に積極的に向かっていくことができるのではないだ
ろうか。
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タイでの経験
延原圭祐
1. 自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通じて達成したことは、英語を用いつつ、ジェスチ
ャーも使ってなんとかタイ人とコミュニケーションをとることができたということです。チュ
ラロンコーン大学の授業では、日本の大学での授業とは違って授業中に生徒が発言する機会が
多く、講師に自分の意見を伝える必要がありました。私は、正直なところ日本語で意見を伝え
るのもあまり得意ではなく、英語力にも自信がなかったので、とても苦労しました。ただ、授
業が進むにつれ、文法的な間違えなどはあるにしろ簡単な英語を使って発言できるようになり
ました。
また、最初の授業ではタイ語も少し学びました。私はタイに行く前に大学図書館の Global
Café で数回タイ語を学んだ程度だったのでタイでの生活が不安でしたが、タイの大学の授業の
ときに生活で使える実用的なタイ語を教えてもらえたので助かりました。
一方で、私が課題として感じたことの一つは、自分の英語の発音やアクセントではタイ人に
理解してもらえないことです。今回のプログラムでは、タイ人の学生と交流する機会が多く、
英語でコミュニケーションを取ることがあったのですが、私の英語の発音が悪く、理解しても
らえないことが多々ありました。例えば、タイの学生に「好きな映画は何ですか?」と聞かれ
たときに「Home alone」と答えたのですが、3 回くらい繰り返してようやくわかってもらえま
した。
さらに、タイの学生の英語を話すスピードについていけず、ゆっくり話してもらうことも多
くありました。日常会話の中で話そうとすると、とっさに英語が出てこないもので、会話のペ
ースを落としてしまっているとも感じました。やはり普段から英語を話す機会、聞く機会が無
いといざとなると話せないし、聞き取れないのだと実感しました。
また、授業で教授が英語で話す内容を理解できなかった部分が多かったことも課題の一つで
す。特にタイや ASEAN の経済についての授業ではあまり内容が理解できず、苦労しました。
もし、長期留学を考えるとしたら、この英語力ではとてもではないが授業についていけないと、
危機感を感じました。
これらの経験を踏まえて、今後は日本にいるときでも英語で会話する機会をつくらないとい
けないと思いました。工学部では三年生になると英語の授業は無くなるため、英語力を伸ばす
ためには自分から学ばないといけません。長期の目標としては、
「英語でスムーズにコミュニケ
ーションを取れるようになる」、
「英語の論文を読めるようになる」という2つの目標を持って、
短期の目標としては、
「英会話の機会を増やす」、
「TOEFL のスコアアップ」として、机の上の
勉強だけでなく、実際に英語を使うために大学の施設などを活用して学んでいきたいと思いま
す。
2. 異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP で達成したことは、タイの文化に触れ、日本とは違った現地
の文化を感じ取ることができ、異国の文化を少し理解できたことです。今回の SAP が私にとっ
て初めての海外で、今まで日本から出たことがありませんでした。なので、日本と違った文化
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を敏感に感じ取ることができたと思います。
日本とタイの間で最も違いを感じた点は、タイの人々は日本人よりも大きく感情を表現する
という点です。タイは「微笑みの国」と呼ばれているだけあって、人々は笑顔でいることが多
く、明るいところに来たなと感じました。後に、大学の授業でタイの人々はうれしいときでも
困ったときでも笑顔でいることが文化になっていると聞き、日本人と表情の使い方が違うと知
りとても驚きました。
また、タイの人々はおおらかで、細かいことはあまり気にしないとも感じました。タイでは
日本ほど店の接客のルールが厳しくなく、一部の店では店内で店員がスマートフォンを使って
いたり、食事をしていたりしていて自由な雰囲気でした。日本よりも対応に柔軟性があるため、
店員に写真を撮ってもらったりすることもしばしばありました。
タイは日本人が比較的多い国だったため、日本人にとって文化に適応しやすい国であると思
います。町を歩けば日本語が書いてある店をよく見かけるため、ヨーロッパやアメリカほど異
国感は感じないかもしれません。しかし、やはりタイ人と日本人では考え方が違うところもた
くさんあり、今までの日本での常識は世界ではそうであるとは限らないのだと感じることがで
きました。
私が課題として感じたことは、2 週間たったあたりから日本食が恋しくなり、何度も日本料
理店を利用してしまった点です。タイに来たのだから日本料理店をできるだけ使うべきではな
かったと少し後悔しています。また、やはり 3 週間という短期間ではタイの文化について深く
知ることはできなかったという点もあります。他国の文化をもっと深く知るには、長期間の滞
在が必要だなとも感じました。
この経験を踏まえて、タイの文化を少し知ることで日本の文化が海外と違うということを知
ることができ、自国の文化を再認識するきっかけとなりました。また、文化に優劣などは無く、
国々で違う文化を持っていることに興味を持つことができたと思います。これから様々な国に
行って様々な文化を感じることができたらよいと思います。
3. 行動力
行動力に関して、私が SAP で達成したことは、今までの自分よりも積極性がついたことです。
私は以前から引っ込み思案でシャイなところがあり、自分から話しかけていくことが苦手でし
た。しかし、SAP では、自ら人と関わらなくてはならない機会が多かったため、積極性が少し
ついたと思います。
例えば、私は日本では店員に話しかけられることがあまり好きではなく、なるべく避けてい
ました。しかし、タイでは、特に露店などにおいて、値切り交渉をするのが一般的だったため、
初めは戸惑いましたが自ら進んで店員に交渉を持ちかけられるようになりました。そして、何
度か繰り返すうちに店員と交渉すること自体が楽しくなって、積極的に行えるようになりまし
た。また、現地のタクシーは運転手と交渉して料金を決めるか、メーターを使うか決めるとい
う方式でしたので、タクシードライバーと交渉して、自分たちでタクシーに乗るかどうか判断
するのも少し面倒でもありましたが、楽しみの 1 つでもありました。道に迷ったときは、自ら
進んでタイ人に英語で聞くこともできました。
このように、積極的に話しやすかった理由の 1 つは、タイ人が日本人に対して親切に扱って
くれるという点だと思います。タイでは相手が日本人だとわかると、積極的に知っている日本
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語を投げかけてくれることが多く、こちらとしても積極的に話しやすい環境でした。3 週目に
何度か通った学生寮からほど近いたこ焼き店では、店員が日本にバックパッカーとして行った
ことがあるということで、日本語で丁寧に接してくれ、また、サービスとして日本のカレーラ
イスや明石焼きのための汁を出してくれたりしました。このように、タイ人は親切に接し、日
本語を話せる方も意外と多いので、安心して積極的に話しかけに行くことができました。
自分の課題としては、チュラロンコーン大学の学生にもっと積極的に関われたらよかったの
ではないかということです。共に SAP に参加した学生たちは、私よりも積極的にタイの学生と
交流している人が多く、自分はまだまだ積極性が足りてないなと感じました。また、大学の授
業中も序盤はあまり積極的に参加できていなかったことも課題だと思います。
この経験を踏まえて、今後は日本でも失敗を恐れずに普段より積極的にトライしていけるとよいと
思います。これから経験しないとわからないことも多いと思いますし、タイで得た積極性を日本で
発揮しないと意味がないとも思うからです。また、学生でいるうちにバックパッカーにトライして
みるのも面白いとも感じました。日本では感じ取れなかったことをタイで感じ取ることができたの
で、いろいろな国にいくことで感じ取れることがたくさんあるのではないかと思っています。
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SAP を通して得られたこと
梅藤
悠
1. 自己の言語運用能力
自己の言語運用能力に関して、私が SAP を通して達成したことは、大きく分けて 2 つある。1
つ目はチュラロンコーン大学の学生さんと英語で会話が楽しめたことである。好きなものであった
り、今タイではやっているものだったり、何気ない日常の会話を、英語を通して話すことができた。
自分とは違う母語をもつ人と英語を通してコミュニケーションをとることは、よりたくさんの人と
話せるということであり、英語を学ぶ上で一番の喜びではないか、と私は改めて感じた。もう 1 つ
は、言葉で相手に伝わらい時にボディランゲージを使用して自分の言いたいことを伝えようと試み
たことである。自分の言いたいことがうまく伝わらなかったときに、すぐにあきらめるのではなく、
伝えようと努力する姿勢が変わることが出来たと思う。しかし、言いたいことがボディランゲージ
を使っても伝わらない時(または、ボディランゲージが使えないとき)、言い表したい英単語が出て
こなかったり、違う言い回しが思いつかなかったり、伝えきれないことがあった。授業で先生に質
問したいときや、意見を求められたとき、言いたいことはあるのにそれを英語で表現できずにとて
も悔しかった。また、私の英語の発音があまりよくないため、相手に聞き返されるということが多々
あった。どうして伝わらないのか、ともどかしく感じるとともに、伝わらないことの悲しさを感じ
た。また、大学の教授や展示場での案内してくれる人の早い英語が聞き取れないことが結構あった
ように思う。聞き取りが出来ないと相手が言いたいことが分からないし、コミュニケーションがと
りづらくなってしまう。
この経験をふまえて、今後はボキャブラリーを増やすこと、英語で話す練習をすること、発音を
改善することとリスニング力を向上することの 4 つに力を入れていきたい。具体的には、ボキャブ
ラリーを増やすために、英字新聞や Japan Times などを読みたいと思う。これらを活用すること
で、ボキャブラリーを増やすだけでなく、読解力を鍛えることにも役立つと思う。また、英語で話
す練習をすること、発音を改善することの 2 点を鍛えるために、学校の英会話を利用し、少なくと
も週に 1 回は通いたい。リスニングを向上するために TOEIC や NHK ラジオの英会話を活用して
みたいと思う。今回の経験によって改めて自分の言語能力の弱点が分かったので、継続してこれら
のことを続けていくことが大きな課題である。
2. 異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、異文化を受け入れるということであ
る。私は文学部の文化人類学を専攻しており、普段から様々な文化があることを学んでいる。そし
て、その様ないろんな文化の存在を否定せずに受け入れることの大切さを学び、頭では、文化の多
様性を理解していた。しかし、外国に行ったことがなかったため、本当に実際に自分とは大きく異
なる文化を受け入れることが出来るのかとすこし不安もあった。そのため、SAP でタイに行く前に、
「実際に異文化に触れて、自分が体験した異文化を受け入れるという目標をたてた。当然、タイは
日本とはかなり異なる文化観をもっているため、困惑することもあったが、
「こういうものなのだ。」
と嫌悪や否定的な感情を持つことなく受け入れることができたように思う。例えば、タイの露店や
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ショッピングセンター(あまり高級志向ではない庶民的なお店)では、店員の人はお客が来ていても
誰かと話していたり、スマホをいじっていたり、日本の店員の人みたいに常にニコニコしている訳
でもない。どちらかというと、ぶっきらぼうで不愛想なのである。微笑みの国と聞いていただけに、
私のイメージとかけ離れていて少しショックを受けたし、日本の店員の人はもっと態度がいいのに
とか、もっと態度を良くしたらお客もたくさん来るのではないかとはじめのうちは思っていた。け
れども、慣れてみたらあまり気にならなくなっていたし、これがタイでは普通であり、日本と比べ
てどちらの方が優れているとか優劣をつける必要は全くないと思うようになった。他にも、とても
驚いたこととして国王への敬愛心があげられる。タイでは、朝の 8 時と夕方の 6 時に国歌が流れる
のだが、私はそのことを知らないで夕方の 6 時くらいに外を歩いていた。国歌が流れ始めた瞬間に
周りにいた人が全員立ち止まり、私は何が起きているのか理解できずにとても驚いた。日本ではそ
のような文化はないので驚きはしたが、
「タイの国民は国王を尊敬しているのですよ。」と教えられ
たら、すんなりと納得できた。このように 3 週間で経験したことに関してはその多様性について十
分理解できたし、受け入れることができた。しかし、チュラロンコーン大学のある授業で先生が、
「異文化を訪れたとき、はじめは楽しいという感情ばかりでいいところしか見えないが、長くいる
と嫌なところが見えてきて、どうしてそのような行為をするのだろうか、と思うようになる。そし
てさらに慣れてくるとまた楽しくなる。」とおっしゃっていた。今回の SAP は 3 週間というとても
短い期間であり、その言葉を聞いて、私はその楽しいところしか目にはいらなかったのではないか
と感じた。これは本当の意味での異文化理解と言えるのだろうか。
この経験をふまえて、今後は長期の海外滞在を経験してみたいと思う。そして、より地元の生活
に触れ、その国の嫌なところ、嫌いなところを含めてその異文化に対して理解を含めたいと思う。
また、海外に行くことで日本の文化というものについても改めて知ることができると思うので、日
本の文化観についても理解を深めたいと思う。また、私はタイ料理の味というよりにおいが苦手だ
ったが、食も文化の違いであり、少しずつでも克服していけたらいいなと思った。
3. 行動力
行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、計画性を伴う行動をすることである。授
業がない休みの日に行きたい場所の計画をたてて、ほとんど行きたいとこに行くことが出来た。そ
して、タクシーやトゥクトゥクの運転手と値段交渉を英語でしたり、道に迷ったら英語で話しかけ
て道を聞いたり、積極的に活動した。また、その目的地までは電車、地下鉄、タクシー、トゥクト
ゥク、船と様々な交通手段を活用した。このように休みの利用については積極的に取り組めたが、
タイの学生の方に積極的に話しかけることがあまりできなかったことが今回の反省すべきところ
である。タイの学生の方とたくさん話したいとおもったけれど、聞き取れなかったときに何度も聞
き返すのは失礼ではないだろうか、とか自分の英語が上手く通じなかったらどうしよう、という不
安があり積極的になりきれなかった。
この経験をふまえて、今後は自分の英語に自信を持てるようにすることが目標である。だから、
1 の自己の言語運用能力であげた英会話などを英語力の向上のために頑張っていきたい。
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タイでの短期留学を経て
本保静夏
1.
自己の言語運用力
私はこの短期留学に参加する際、「英語で積極的に初対面の相手に話しかける」という目標を設
定した。このプログラム中、交流会や授業を通して多くの学生と接する機会に恵まれた。その中で、
タイの学生に話しかけに行ったり、疑問に思ったことをその場にいる学生に聞いたりし、「英語で
積極的に話しかける」という当初の目標は達成することができたように思う。しかし、留学を通し
て、痛感したのは自分の英語力の低さである。授業中は少し集中力を切らすと話が分からなくなっ
てしまう。仲良くなったタイの学生と初対面の時よりもより深い話をするときに言葉が出てこない。
タイの学生のほとんどは英語を話すことができる。そのため、ほとんどの学生と会話ができるのだ
が、日本語が話せるタイの学生がいるときはついその学生にばかり話しかけてしまう。また、英語
が出てこないことにもっともつらい思いをしたのは現地の学生との別れの時である。感謝している
ことを伝えたくても英語での表現が出てこない。英語力がないために大変もどかしい思いをした。
この経験を生かし、今後、英語力を高めるにはどうしたらよいか。留学した際、特に不足してい
ると感じたのは、授業などで情報を得るためのリスニング力、英語で人と会話するための会話力の
2 つである。リスニングについては、家で英語の教材を用いてディクテーションを積極的に行った
り、気に入った外国の映画を一つ選び、それを英語で聞き取れるようになるまで繰り返して見たり
して英語力を上げていきたい。また、自分の英語力を測るために TOEFL や TOEIC も受けていき
たいと思う。次に、会話力については、M棟で行われている英会話カフェを利用して伸ばしていき
たい。英会話カフェの存在は、留学の事前研修で紹介されて知った。留学前は何度も利用し、英語
力を伸ばす上で役に立ったと感じているので、今後も利用していきたいと思う。
このような方法で実践的な英語力を伸ばし、英語を用いてより多くの活動ができるようになって
いきたい。
2.
異文化適応
私は短期留学でタイを訪れる前、海外には 2 カ国ほど旅行で訪れたことがあった。しかし、留学
というものは今回が初めてで、3 週間という留学にしては短い期間にも不安を覚えた。タイの食に
あたって留学先でおなかを壊さないか。気候に適応できるのか。タイの人とうまくコミュニケーシ
ョンはとれるのか。そんな心配を抱えながらこの短期留学に臨んだ。しかし、実際にタイで3週間
過ごしてみて、留学前の不安はまったくの杞憂であったと感じた。食に関して言えば、タイは衛生
状況があまり良くないと聞いていたので、タイに行く前は、食あたりにあうことを心配していた。
確かに実際、SAPで一緒に参加したメンバーの中で、食にあたってしまった人も数人いた。タイ
料理に使われたハーブの独特のにおいや揚げ物の脂っこさなどに耐えられず食欲不振になってし
まう人もいた。私はどちらかというとタイの料理を気に入り、食に関しては十分にタイを満喫した。
滞在中、グリーンカレーやトムヤムクンなどの有名なタイ料理を物珍しいのとおいしいのとで進ん
で何度も食べた。その点では、非常によくタイの文化に適応することができたと思う。しかし、体
調を崩したメンバーの人が、それゆえにタイを楽しめなかったのかというとそうではない。体を壊
してしまった人も、他のメンバーに差し入れをしてもらったり保健室に連れて行ってもらったりと、
26
みんなで協力して全員が楽しくタイで滞在することができたと思う。また、タイ人の人柄について
言えば、タイの人は日本人に対して友好的で接しやすかった。タイでは日本の漫画、特にドラえも
んが人気で、私の名前をいうと、「しずかちゃん」とみんな親しみを持って反応してくれた。タイ
の学生には日本に留学した経験のある人も多くみられ、何人もの人と日本語で会話することができ
た。また、タイはほとんどの人が仏教を信仰しており、信仰深い国であると聞いていたので、留学
前、気付かずに相手に失礼なことをしてしまわないかと心配していた。しかし、留学してみて、タ
イは日本に距離的に近いこともあり、考え方について日本と似たところが多くあると感じた。確か
に信仰深い国ではあったが、頭を触ってはいけない、神聖な場所では正装を着るなど渡航前に聞い
た基本的なマナーを守れば礼儀についてそこまでの心配はいらなかった。以上のように、食に関し
ても、人との接し方についても、十分タイの文化に適応して生活することができた。
この経験を踏まえて、異文化に適応するのに必要だと思ったのは、次の2点である。1つ目は、
その文化に関するバックグラウンドを持っておくということ。食にあたらずに済んだのは、性質や
運もあるかもしれないが、バックグラウンドをしっかり持っていたかということにも左右されたと
思う。私はあらかじめ、タイは特に屋台の衛生面が良くないから、慣れるまではあまり口にしない
ようにしろとタイに行った知り合いから聞いていた。そのため、はじめのうちは屋台には手を出さ
ないよう心がけた。また、辛いものが多いと聞いていたため、店の人に辛くないものはどれか聞い
てから注文するようにしたり、連続で辛い物を食べ続けたりしないように気を付けた。マナーにつ
いても、留学前に人から聞いた情報が非常に役に立った。バックグラウンドを得るために、具体的
に今後やりたいことは、様々な種類の人と仲良くなるということである。特に自分とまったく違う
環境で育ってきたであろう外国人の人と積極的に仲良くなっていきたい。そのために、まず、今回
のSAPで知り合ったタイの人と連絡を取り続け、さらに仲良くなっていきたいと思う。
2つ目は、周りに味方をたくさん作るということである。タイに行った際、体調を崩したSAP
の参加メンバーの一人が他のメンバーの人々に助けられているのを見て、仲間の重要性を感じた。
また、私自身も他のメンバーに助けられたことは多かった。今後、周りに頼れる人がいない状況に
放り込まれても、積極的に他の人に話しかけ、頼れる人間を作ることを大切にしていきたいと思う。
以上が留学を体験して、異文化適応について学んだことである。
3.
行動力
私は普段から、新しいこと、自分のためになると思ったことにどんどん挑戦するようにしている。
そして、タイでもそうするように常に心がけた。留学している間、行動力が必要とされる場面は数
多くあった。タイの学生に話しかけに行くときや、連絡先を聞いくときなど、些細な場面で行動力
の必要性を感じた。留学中、もっとも行動力が必要だったと感じたのは、タイで仲良くなった友達
の実家に遊びに行く時だった。その友達の家はバンコクから車で3時間ほどかかるサタヒップとい
う場所にあった。ビーチがきれいなことで有名なバッタヤよりも、さらにバンコクから離れた場所
にある街だ。週末に実家に遊びに来ないかと誘われた時は、行くかどうか非常に悩んだ。かなり遠
い場所にあるため泊りがけで行くことになるし、そうなると時間的に確保できるのかどうか。なに
より、急に押しかけてしまって友達とその家族に迷惑はかからないかどうか。不安な要因は数多く
あった。しかし、こんな機会はなかなかないということで、私はSAPの友達もう一人とその子の
実家に遊びに行くことに決めた。そして、結果としてとても経験ができたと思う。バンコクにいる
のも十分に楽しかったが、近代的に発展したバンコクから離れた町を見ることで、違った面からタ
27
イについて知ることができたように感じた。また、その友達の両親は、英語はあまり得意なようで
はなかったが、ご飯を作ってくれたり、車でいろいろな場所に連れて行ってくれたりととても優し
く接してくれた。勇気を出して行ってみて本当に良かったと思う。
行動力とは、機会があった時に必要となってくる、それに飛び込む勇気である。やりたいと思っ
ていても、いざその機会がやってくると、戸惑ったり迷ったりしてしまう。私は、SAPでの経験
を踏まえ、今後自分に巡ってきた機会をうまく生かすことができるよう努力したい。そのために、
良い機会だと思ったときは物おじせず、どんどん挑戦していきたいと思う。
28
タイの文化と産業発展
安達紗希
1.
自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、リスニング能力の向上と、自
分の英語力の把握と、英語を使ってコミュニケーションする際にどのようにすればよいか学んだこ
とです。授業を通して学んだことは、今以上の英語力が必要ということです。授業は英語で行われ
ましたが、すべてを理解できたかと問われれば、そうではありませんでした。先生の話す一文一文
がわかっても、英語を理解することで精いっぱいで、授業の内容でどこが大事なのかなど、内容に
ついて深く考える余裕はありませんでした。英語の文を理解するだけでなく、話し手の言いたいこ
と、主張をしっかり把握できるようになることが今後の目標になりました。また、タイは日本とは
異なる文化を持った国でしたが、相手を尊重し、理解し合おうとすれば、英語を使って、仲を深め
ることができるということを実感しました。英語は私にとっても、タイの学生にとっても、第二外
国語であるわけですが、チュラロンコーン大学の学生のほうが英語をうまく話していると感じまし
た。英語ができないのは、今後とても不利になります。将来は同じフィールドに立って仕事をする
ことになるかもしれないので、ほかの国の学生に追いつくように、もっと語学力を上げなければい
けないと感じました。また、私は、日本にいるときは、留学生に積極的に話しかけることは出来な
かったので、タイに行くときは、自分から積極的にチュラロンコーン大学の方と交流しようと決め
ていました。チュラロンコーン大学の学生は、話しかけるとみんな親切でフレンドリーに接してく
れたので、とても楽しく交流することができました。また、タイの現地の方々は皆、目的地までの
行き方やバスの乗り方を聞くと、英語が話せなくても、どうにかして私たちが理解できるように、
身振り手振りで教えてくれたり、英語がわかる人を呼んでくれたりして、とても親切に対応してく
れました。それが観光地だけでなくて、どこでも、誰に聞いても、英語が話せない人でも、そのよ
うな態度で接してくれたので、驚きました。たとえ英語が苦手でも、臆することなしに、相手のこ
とをわかろうと、積極的に相手と関わることが大切なのだと学びました。英語が下手だから外国人
の人とはうまく交流できないなどという事はなく、自分が相手を知ろう・理解しようと積極的にな
れば、英語が下手でも分かり合えるということを知りました。また、そのような態度をとれるかど
うかが外国人と交流する際のキーポイントになるのだと感じました。三週間を通して、徐々に聞き
取れる英語のスピードが上がっていったのは感じました。リスニング能力は、英語に触れあう時間
が長ければ長いほど良いのだなと学びました。
この経験をふまえて、今後は英語を積極的に使うように毎日の生活を工夫することが必要だと感
じました。そして自分の語学力をもっと高めなければいけないと強く感じました。この思いをモチ
ベーションにして、英語学習をしっかりとしていきたいです。中でもリスニング能力は英語を普段
聞かないとすぐに聞き取れなくなってしまうと感じたので、リスニング教材を使ったり、留学生と
の交流を積極的に行ったり、英語に触れる機会を増やしていきたいです。また、スピーキングに関
しては、大学で様々な講座や授業が開催されているので最大限利用していきたいです。学部の専門
授業だけでなく、今後は英語も重要になってくることが確実なので英語の勉強も努力していくこと
が必要だと感じました。
29
2.
異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、異文化を知ることで、日本の文化も
改めて知ることができたということです。特に、放課後にタイの学生と一緒に様々な観光地や、現
地の人に人気のお店に行くことで、タイの様々な文化に触れることができました。特に、タイは気
温が高いので、夜になると多くの屋台が出ます。人々も昼間はあまり外に出ないで、夜になってか
ら屋台などにご飯を食べに出ます。夜に活動をし始めるのがタイでは普通となっていて、実際にそ
の様子を見るのは日本とは異なるので新鮮でした。また、屋台には特に、日本では見たことのない
食べ物が多く売っていて、タイの学生にどのようにして作られているのか聞きながら、実際に食べ
てみるのがとても楽しかったです。タイの学生がしてくれる、今まで知らなかったいろいろな話は
とても興味深いものでした。世界にはまだまだ私の知らないことが多く存在するのだなと感じ、も
っと多くの国に行ってみたいと思いました。また、大学では文化、歴史、経済などの様々な授業を
受け、タイ、さらには東南アジアの国々について多くのことを知りました。それと同時に、今まで
知らなかった日本の現状を知ることができました。今までは日本しか知らなかったので、日本を基
本として世界の国々を比べていました。しかし、授業を受けて、他の国が変わっているのではなく、
日本だけがほかの国と違い、変わっている点も多くあるのだと学びました。このような違いを実感
することで、相手の文化、自分の文化を今までよりさらに尊重することができるようになるのでは
ないかと感じました。特に、タイの人々は仏教やヒンドゥー教を信仰している人が多く、また、日
本よりも宗教を重んじている印象を受けました。宗教に基づくマナーやしきたりや行事をタイの
人々は若い世代でも大切にしていて、人々の考えの根底に宗教が根付いているのだなと感じました。
また、宗教問題は、世界中でよく論争が起こりますが、他国の宗教がどのようなものなのか、現地
の人はどのように信仰しているのか肌で感じることで、他国との宗教の違いを理解し、納得しやす
くなり、宗教問題が起こりにくくなるのではと思いました。
この経験をふまえて、今後は、今までよりさらに日本とは違っている文化を楽しみ、受け入れて
いくことができると思います。タイで日本とは全く違う文化に触れて、タイの文化について知るこ
とに加え、日本を再認識することもできました。また、タイの学生と話すことで、彼らの抱く日本
のイメージや、タイで現在流行していることなど、タイの人と話すことでしか得られない情報をた
くさん知ることができました。タイの学生とたくさん交流できたことは私にとって、とても大きな
経験です。バックグラウンドの違う学生と深く交流することは私にとって初めての体験であり、と
ても刺激的で楽しいものでした。しかし三週間ではきっと、相手の表面的な考え方しかわからず、
本当に相手の文化を理解したとは言えないと思います。ですから、今後も連絡を取り合って、もっ
と仲良くなりたい、そして相手の文化を深く知りたいと感じました。この三週間を通して、自分の
視野が今までよりかなり広がりました。また、これからも多くの人と知り合って、いろいろな多く
の考えに触れたいと強く思うようになりました。この経験は私にとってとても大きな経験であり、
様々な面において更に成長しなければならないと感じました。ですからこの経験をいかして、自分
をもっと高めていくように今後の大学生活を一生懸命送っていきたいです。
30
タイ短期留学
遠藤
幸夫
1、自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私がSAPを通して達成できたことは母国語以外の言語学習につい
ての自信を持つことです。私はタイへの留学が決まった時点では全くタイ語を話すことができませ
んでした。簡単な挨拶すらわかりませんでしたし、タイ語を聞いたことすらありませんでした。こ
のままタイに留学しても多くのことを学べないと危機感を感じたので、タイへの留学が確定してか
らの半年間しっかりタイ語を勉強することに決めました。一日に10分間しか勉強できない日もあ
れば、4時間近く勉強する日もありました。少しずつでもいいので毎日タイ語に触れようと心掛け
ました。タイ語は私にとって完全に未知の言語でしたので、常に自分に合った学習法を模索してい
ました。学習教材を変えてみたり、タイ人の留学生にアドバイスをもらったりしました。図書館で
毎週行われていた留学生とのタイ語会話レッスンにも参加したことがありますが、授業のレベルが
低すぎてあまり練習になりませんでした。半年間試行錯誤を続けて、私はタイ語を学習するにあた
って次の三つのことに重要だと気付きました。一つは、シャドーイングです。母国語以外の言語を
母国語の音に合わせて発音すると(つまり、タイ語をカタカナ読みで発音すると)確実に外国語の
発音から遠ざかってしまいます。それゆえ、私はCDがついている教材を選び、タイ語を学習する
ときは必ずシャドーイングをしていました。始めのうちはCDのスピードに全くついていけなかっ
たのですが、何度も何度も練習をするうちに少しずつタイ語の発音に自分の口がついていくように
なりました。もう一つは、他人に自分の気持ちを伝えることをイメージしながら勉強することです。
例えば「トイレはどこにありますか?」というフレーズをシャドーイングするときには、実際にレ
ストランでウェイターに質問している自分をイメージしました。イメージをすることによりシャド
ーイングがただの単調な練習ではなくなると思います。また「~するときはどうしたらいいです
か?」という表現を学んだときは、もしこの表現を実際に使うとしたらどのように使うのかも考え
ました。
「ホテルにはどう行ったらいいですか?」
「これはどう食べたらいいですか?」などのよう
に自分が使う可能性のあるフレーズをあらかじめイメージしました。最後の一つは、自分がどのく
らい言語学習に時間を割き、その結果どの程度まで運用できるようになりたいのかを冷静に分析す
ることです。半年間という限られた時間では、タイ語を流暢に話せるようになるのは不可能だと自
明です。それゆえ、私は「旅行で使う程度の単語と簡単な文法を理解し、それをゆっくり話せばタ
イ人に伝わるレベルのアウトプット能力を身につける」という客観的に見て達成可能な目標をもっ
てタイ語学習に臨みました。外国語は一朝一夕で習得できるものではないので、完璧主義にならな
いことが重要だと思います。私は完璧主義に走ってしまう傾向があるので、タイ語について広く浅
く理解するように努めました。具体的には、目標を達成するために私はタイ文字の読み書きは全く
勉強しませんでした。なぜならタイ語の読み書きはとても難しいのに対し、文法は英語よりも簡単
だからです。現地での研修中には、日本での勉強の成果を生かして実際にチュラロンコン大学の学
生やお店の店員とタイ語でコミュニケーションを取ることができました。タイ人に発音が上手で聞
き取りやすいと褒められたのが嬉しかったです。時たま、上手く自分の気持ちを伝える表現がわか
らずタイ語の語彙力の低さを思い知らされることもありました。しかし、片言のタイ語でも相手が
辛抱強く聞いてくれて自分の考えを半分でもタイ語で伝えられたときはとても嬉しかったです。特
に印象に残っているのはバスの切符を買った時のことです。10枚分のお金を払ったのですが店員
31
が間違えて9枚しか渡してくれませんでした。
「私は10枚買いました」
「しかし9枚もらいました」
「もう一枚」など自分が知っている言葉をつなげてなんとかタイ語で店員に間違いを伝えられまし
た。
先ほど述べたように私は半年間のタイ語の学習において三つのことを重視しました。これらはも
しかしたら言語学を専門としている人から見れば間違っているかもしれません。もしくは言語の勉
強法について書かれている本を読めば誰でも簡単に得られるノウハウなのかもしれません。しかし、
自分なりの言語学習法を見つけて、実際に学んだ言語を使った経験は私の今後の人生において大き
な糧となることでしょう。将来、会社の都合で海外に急に転勤しないといけない可能性は十分にあ
ります。そのときはこの短期留学で身につけた言語学習のノウハウと自信を生かして積極的に言語
学習に取り組みたいです。そして、さらなる試行錯誤により自分に合った言語学習法を見つけたい
です。
2、異文化適応
異文化適応に関して、私がSAPを通して達成したことは二つあります。一つは、自国と相手の
国の文化の違いに気付いて可能な限りそれを受け入れるということです。当然ですが、日本とタイ
は人種、宗教、歩んできた歴史、人々の考え方が全く異なります。その相違点を認識して、優劣を
決めるのではなく多様性を受け入れることの大切さを短期留学で私は学びました。一つ例を挙げま
しょう。タイの店員の接客態度と日本の接客態度の違いの話です。日本の店員はお客様に対して常
に笑顔で対応し、失礼がないようにとても丁重に受け答えをします。一方で、タイの店員の接客は
日本と比べると不愛想だと私は感じました。客の目を見ないで話したり、しかめっ面で対応したり
店内でご飯を食べていたりしました。タイに来たばっかりの頃はこのような接客態度が嫌でした。
タイ人の接客態度についてネガティブな感情を持つことは、日本人なら珍しくないことだと思いま
す。しかし、タイの人々と接するうちになぜタイの店員はこのような接客態度をとるのかが自分な
りにわかりました。それはタイ人の寛容な心に由来していると私は考えます。タイ語に「マイペン
ライ」という言葉があります。これは日本語に直すと「大丈夫」「心配ない」という意味であり、
タイ人の穏やかな性格を表す言葉として有名です。つまりタイ人は店員の態度が少しくらい悪くて
も気にしないので、日本よりも自由な接客ができるということです。このことに気付いてからはタ
イ人の接客態度が気にならなくなりました。これからは自分と相手の文化の違いに違和感を感じた
ときは、なぜ違うのかを考えて相手の考え方を理解するように努めたいです。私が達成できたもう
一つのことは、受け入れられない文化は相手に失礼にならない範囲で受け入れないということです。
前述の話と矛盾するようですが、受け入れる文化と受け入れない文化の線引きをするということは
大切だと私は考えます。一から十まで相手に迎合しているとストレスが溜まりますし、日本人とし
てのアイデンティティーが消えてしまいます。私もそうなのですが、日本人は自分の意見を主張し
ないとよく言われます。しかし、自分の身を守るためにもしっかり嫌なことは拒否するべきだと思
います。私がどうしても受け入れられなかった文化はタイの屋台です。タイでは外食産業が非常に
盛んでバンコク市内のいたるところに屋台がありました。屋台では伝統的なタイ料理だけでなくお
菓子や新鮮なフルーツなども売られており、タイの食文化を語る上では外せない存在です。現地の
学生も屋台の利用を勧めていましたが、私は一回も利用しませんでした。なぜなら屋台の衛生状態
に不安を感じたからです。小さい時から屋台に慣れているタイ人は大丈夫かもしれませんが、菌に
慣れていない日本人が屋台で食事をすることは危険だと思いました。それに私はおなかが弱く、下
32
痢をしやすいので特に注意しました。それゆえ、私は自己を守るために恣意的にタイの屋台文化を
受け入れませんでした。
今後の大学生活の中で、もしくは社会人になってから自分と異なる文化を持つ人と関わる機会は
必ずあると思います。これからの日本はよりグローバルなものになっていくはずです。私の言う異
なる文化を持つ人とは、外国人のことだけではありません。同じ日本であっても育った地域によっ
ては、考え方、食文化、性格などに多少の違いがあるでしょう。例えば、沖縄県民は集合時間に3
0分遅れても気にしませんが、東京の人は5分の遅刻でも怒ります。もし他者との文化の食い違い
に違和感を感じたときは、はこの短期留学を通して学んだことを生かして、相手の文化を尊重しな
がらも自分のアイデンティティーを失わないようにしたいです。
3、 行動力
私はこのSAPを通して、行動力に関しては大きな変化があったのかわかりませんが、小さな変
化は二つありました。一つは、SAPを通して失敗を恐れることなく行動することへの抵抗は少し
なくなったことです。タイでの現地研修でたくさんの失敗をしたのでいちいち気にしなくなりまし
た。私がタイでやってしまった失敗の一例をあげます。タイの寺院では建物の玄関の内と外の境目
にはちょっとした敷居がついています。その敷居を足で踏むのは一般にタイでは、礼儀がよくない
と考えられています。しかし、私はそのことがわからなかったので何も考えずに敷居を踏んでしま
い、タイの留学生に怒られてしまいました。他にも、私は英語があまり得意ではないので、現地の
留学生と会話をしていても自分の気持ちをうまく伝えられないことがよくありました。SAPに行
く前なら、このような失敗をしたことをしばらく気にしてしまっていたと思います。しかし、タイ
での留学中たくさんの失敗をしているうちにいちいち気にするのがバカらしくなってきました。そ
して、「自分はまだ若いから何も知らないのは当たり前であり、失敗するたびに新しいことを勉強
すればいいんだ」と開き直ってからはタイでの研修がより楽しくなりました。これからの人生で私
はたくさんの挑戦をすると思います。簡単な小さい挑戦もあれば失敗が怖くなるほど大きな挑戦も
あるでしょう。今の私はまだ少しだけ失敗を怖がってしまいますが、今回のSAPでたくさんの挑
戦をしたように積極的に問題に取り組み、いつの日か失敗を全く恐れないで行動できるようになり
たいです。
もう一つの変化は、これからはもっと自分の直観に従って行動しようと思ったことです。なぜそ
のように思ったのかというと、私は直観に従ってタイへの留学プログラムに応募してとても満足し
ているからです。SAPでタイに行った他のメンバーの話を聞くと、ほとんどの人がタイは第三希
望や第四希望でした。しかし、私はタイを第一希望にしていました。私は留学に行く前はタイにつ
いて何一つ知りませんでした。タイの観光地や食文化など何一つ知りませんでした。友達からもよ
くわからない場所に行くくらいなら、無難にアメリカとかイギリスに行けばいいのにと言われまし
た。それでもぼくがタイを第一希望に選んだ理由は自分の直観に従いたかったからです。今では友
達の忠告通りにタイ以外に応募していないで本当に良かったと思います。タイの寺院は日本とは建
築様式が全く異なり、とても美しかったです。タイの食べ物は珍しいものが多く初めて食べるもの
ばかりでした。また、タイの学生はとても親切に私たちに接してくれ、タイのことについてたくさ
ん教えてくれました。タイでの経験のすべてが日本では絶対に経験できないものであり、私の人生
の大きな糧となることでしょう。2005年スタンフォード大学の卒業式でスティーブジョブスは
こう語っています。『you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking
33
backward. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in
something.』
。私はこれまでの人生では、目の前の選択が将来にどう影響するのかを考えすぎていま
した。しかしスティーブジョブスが語っているように自分の未来に何が起こるのかを予測するのは
不可能です。それゆえ、これからは何かを決断するときは考えすぎずに自分の直観を信じて生きて
いきたいです。タイから帰ってきて一か月しか経っていないので、SAPでの経験がどのように仙
台での学生生活の役に立っているのかまだわかりません。しかし、タイでの三週間の生活が必ず私
の将来の大切なものにCONNECTすると信じてここで筆を置きたいと思います。
34
SAP を通して得たものと課題
遠野拓哉
1.自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、自分が伝えたいことを話そうと
した際に、単語が出てこないという時でも、自分が分かる他の単語で代用してうまく相手に理解し
てもらうということです。私が、今回生まれて初めての海外を経験して感じたことは、思っていた
よりも自分に語彙力がなかったということです。タイの学生と、共通の話を見つけて、これなら上
手くしゃべれるぞと思っても伝えたいことがいっぱいあるのに、その単語が出てこないことばかり
で、うまくコミュニケーションが取れませんでした。自分の語彙力のなさを痛感した私は、その日
寮に帰って、どうしたら相手とうまくコミュニケーションをとれるのかを必死に考えました。そし
て、語彙力がないことはもうどうしようもないので、簡単な単語を並べてうまく代用するよう心掛
けてみようと考えました。その次の日からは、そのことを常に意識して、会話をしました。すると、
相手も頑張って、私が言っていることを理解しようと努めてくれました。この結果、以前よりもよ
くコミュニケーションを取れているなと感じましたし、話していても、自分の言っていることがち
ゃんと相手に伝わっているなと実感できたので、外国人との交流がほんとに楽しくなりました。語
彙力が十分になくても、うまく言葉を運用すればコミュニケーションはとれるということだったの
です。この経験をふまえて、今後は、語彙力を身に着けていきたいと強く思います。今回私は、十
分に語彙力がありませんでしたが、ある程度のコミュニケーションをとることができることを実感
しました。しかし、私に語彙力がもっとあったら、もっと上手く、楽しく、コミュニケーションを
取れていたと思います。そのために、一日 10 個ずつでもいいので、新しい単語を覚えること、そ
して、英語の文献を多く読み、英語に触れる機会を増やすことを目標にしたいです。幸いなことに、
私は文学部の英語学の研究室に配属されたので、英語に触れる機会は多くあると思います。自分が
利用できるすべてを使って自分の英語力、語彙力をできる限り伸ばしていきたいと思います。
2.異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、他国の文化を受け入れることです。私
はタイに行く前、一つの目標として、タイの文化を受け入れて、それに適応する、というものを定
めていました。タイの文化、料理、生活などは非常に独特で、慣れるのが難しいと聞いていたので、
タイに行く前は、三週間も生活できるのかと不安に思っていました。実際、最初は、タイに着いて、
タイの文化に直に触れて、この生活を三週間も続けるのは相当辛いなと感じていました。例を挙げ
るとすれば、第一に、交通です。タイでは、原付にヘルメットを着けずに四人乗りをしていたり、
一つの車線に二大の車が走っていたり、信号は守ってくれないなど、交通ルールがめちゃくちゃな
のです。最初は、道を渡るにも一苦労でした。第二に、料理です。タイの料理には、トムヤムクン
を例にしても、ほとんどの料理に香りの強い独特の香料やパクチーなどが入れられています。日本
にいたときは、トムヤムクンがとてもおいしそうに見えていたのに、実際食べてみれば独特の強い
香りにやられ、残してしまうなど、最初はタイの料理に慣れることが出来ず、日本食レストランで
食べることもありました。このような、タイ独特の文化に、最初はカルチャーショックを感じ、そ
れがストレスになることもありました。しかし、私は、こうなることを承知でタイに来て勉強しよ
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うと思っていたので、このままではいけないと、タイの文化に適応できるように努力しました。た
とえば、タイの車は信号を守ってくれないということを理解して、渡るときは、それを踏まえたう
えで走って渡るなど。料理だって、香りが強いものなのだと理解したうえで食べればおいしく食べ
られるようになりました。その結果、最初の一週間でタイの独特の文化にも慣れて、それに合わせ
ることが出来るようになりました。この時、私は、異文化に適応できたなと感じました。この経験
を踏まえて、今後、もしまた別の国に行く機会があれば、その国の文化、生活を事前に入念に調べ
て、その国に着いたらすぐに、その国の文化に適応できるようにしたいです。今回の SAP は、事
前の情報入手が足りなかったと思うので、そこが課題かなと思います。そのせいで、一週間も適応
できず、タイの素晴らしい文化、料理に不満を抱いてしまいました。なので、外国の暮らしを満喫
するためにも、早急な異文化適応が必要になってくると思いました。
3.行動力
行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、自分から相手に積極的に話しかける力、自
分ひとりで、何も知らない土地を歩く力を身につけられたことです。タイに行く以前、私は、自分
でもよく分かるほどに、積極性、行動力に欠けていました。積極性に欠けていると感じた例として、
私は見ず知らずの人に、自分から声をかけることが出来ず道が分からなくても人に尋ねることさえ
出来ず、また、高校、大学と環境が変わっても、新たに出会う同級生たちに声をかけることもでき
ず、友達を作ることさえ一苦労、といった感じでした。行動力に欠けていると感じた例はとしては、
自分でどうするかも決められず、いつも人の考えに合わせ自分の行きたいところ、食べたいものも
言えず、また一人で行動するのも苦手でいつも周りの人たちに合わせるといったような散々なもの
でした。今回私が SAP に応募した理由の一つには、このような自分を変えたいということもあり
ました。実際、一番にこれを改善したいとおもっていました。難しいだろうなと感じていたのです
が、外国に来ると、不思議と強気にアグレッシブにいけること気づいて、タイの学生にも積極的に
話しかけられたし、道を聞くのも楽にできました。積極性を改善できたと思ったので、次は行動力
を改善しようと思い、一人でちょっと離れた場所まで買い物に行きました。お店でも、積極的に値
下げ交渉をしたり、日本にいたころは考えられないほど変わったなと感じました。この経験をふま
えて、今後は、日本でも、積極的に意見を述べたり、みんなを引っ張っていけるような人物になり
たいと考えています。そのために、今までの受け身の姿勢を改善しようと思います。
36
タイ留学を通して感じたことと、今後の海外渡航へ向けて
原田 夕希花
1. 自己の言語運用力
自己の言語運用力について、まず、私は自分が思っていたよりは実践的な英語も使えるようだと
この留学を通して感じました。もちろん、授業内容を 100%理解していたわけではないですし、授
業中の発言にしても現地の人との会話にしても、うまく自分の言いたいことが伝えられないこと、
相手が何を伝えたいのかがわからないことがありました。しかし、当初心配していたほどには、英
語の運用については私の問題にならなかったと思っています。ものにもよりますが大方の授業は 70
~90%理解でき、参加者の中では積極的に発言も行えたほうでした。これは、タイ人にとっても英
語は母国語でないこと、今回の留学が実践英語を学ぶのを主な目的としていないことが大きな理由
に挙げられるとは思いますが、確かに私は達成感を感じていますし、人と英語で交流することへの
自信やモチベーションに繋がりました。
今後の目標として、近いうちに英語圏へ留学し、自分の英語運用力をそちらのレベルで確かめて
みたい、向上させたいと考えています。しかしそのためには、よりアカデミックな語彙力が必要に
なってきますし、今の英語運用能力を継続的に向上させていかなければならないでしょう。SLA な
どを積極的に利用して、目標へ繋がる土台を積んでいけたらと思います。
あと、これは目標として掲げられるようなものではなく少し注意していきたいと思ったことなの
ですが、母国語の影響によってどう英語が訛るのかに興味が湧きました。個人的な見解ですが、タ
イ語訛りの英語は少しもったりとして聞こえ、しかしタイ語の発音に音の高低や巻き舌などが深く
関わっているため、そのあたりは発音が達者なのかもしれません。とにかく、我々日本人にはかな
り耳慣れない発音だったので非常に聞き取りづらく、また相手も、いわゆるカタカナ英語は特に、
聞き取れず何度も聞き返す場面が多く見受けられました。私は一般的な日本人よりは英語発音が上
手いと思っているのですが、なにぶん自分がどう訛っているのかを自分で判断するのはなかなか難
しいものです。これからはネイティブスピーカーもそうでない英語話者もその両方の発音を注意し
て聞いてみて、ネイティブに近い発音ができるように自分は気を付けていきたいと思いました。
しかし一つ心残りになったのは英語についてではなく、留学前も、そして留学中も、自分からは
全くタイ語を学ぼうとしなかったことです。とりあえず英語ができればいいやとだけ思っていた結
果、簡単な挨拶と自分の名前、あと数字の言い方についてくらいしか私はタイ語を覚えていません。
メンバーでおそらく一人だけ、行きの飛行機でも現地でも自分からタイ語の勉強を熱心にして実際
に現地で話していた人がいましたが、私は彼をすごい、羨ましいと思いながらも、結局は勉強しよ
うとしませんでした。体調を崩して大学内の保健センターに掛かったとき、その先生に「タイの文
化を学びに来ているのに、君はタイ語も話せないのか」と言われてしまいましたが、全くその通り
だと思います。確かにタイ語を使う機会なんて今後ともあまりないとは思うのですが、タイ語を学
ぶには最高の舞台にいたはずなのに、その努力を全くしなかったことを、帰国した今になってかな
り後悔しています。短期の滞在でもどこか外国にいるのなら、その土地の言葉を学ぶ努力はしたほ
うが絶対にいいと感じました。
2. 異文化適応
異文化適応については、達成できた点もあればできなかった点もあると感じています。特に食事
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については完全に適応できていなかったと言っても過言ではないかもしれません。タイの料理は辛
さの刺激が強い上に一食分が多く、また生フルーツジュースなどは美味しいのですが一気に飲むと
お腹を冷やしてしまうようで、プログラム参加者内で一番はじめに体調を崩してしまったのは私で
した。その後かなり体調管理に気を遣ったので大事はありませんでしたが、生活の基盤である食事
に適応できなかったことは今後海外に行くときにも問題となり得ると感じました。その他、多少は
慣れましたが屋台やタクシーでの価格交渉はかなり苦手でした。大抵のものが日本に比べると安い
ものですから、どのくらいの値段がスタンダードなのかという金銭感覚が上手く捉えられなかった
ですし、会話術も相当拙かったと思います。
一方達成できた点について、タイにおける独特の生活感には、苦手ながらも屋台で買い物をした
りタクシーに乗って様々な場所を回ったりとタイを満喫しているうちに 1 週間ほどで慣れてきたこ
とがまず一つ。次に、タイ人の「mai pen rai」の精神――「大丈夫だ」「気にしないで」というよ
うな意味のタイ語ですが、タイの文化を知識として学び、そしてそれをタイ人の友達や屋台の店員
さんとの会話・交流から感じていくたびに、物事を重く捉え過ぎず、笑って前向きに考えるその精
神が私には非常に心地よく感じ、今では自分の性格のうちに仲間入りしたような気がします。また、
私は特にタイの仏教に興味を持ち、それをある程度の深さまで調べ、プログラム最後のプレゼンテ
ーションで発表しました。タイ人の大多数は仏教徒であるにも関わらず、ヒンドゥー教の神々への
信仰が厚いことを最初は不思議に思っていましたが、調べていくうち、多くの日本人が特に誰と気
にせず神頼みをするように、タイ人は日常作法を仏教に敬虔に倣い、ヒンドゥー教の神には願い事
をするのだということがわかって、なんだか親近感が湧きました。このプログラムを通して、タイ
の文化に触れることができ、より深く知っていきたいと思ったのは確かです。
今後の目標として、第一に、海外に渡ったときは健康管理を十分に行うことが挙げられます。タ
イの衛生面の悪さは耳にしていたので屋台では買い食いしないなど注意はしていたのにも関わら
ず、今回は体調を崩してしまったため、まずそもそもの体力向上に努め、現地では疲労を蓄積しす
ぎない、食事は程々に、衛生面に注意、という教訓を次に生かしたいと思います。
また、今回私がタイプログラムを第一希望に選んだ主な理由は歴史ある寺院や建造物を回る機会
があったからで、出発前は異文化理解についてはあまり深く考えていなかったのですが、実際に行
ってみて、タイと日本との文化の違いに非常に興味を惹かれ、タイについても、また別の様々な国々
についても、もっとたくさんのことを知りたい、その文化に直に触れてみたいと思うようになりま
した。今まで自分が行ってみたいと考えたこともなかった多くの国々に、それぞれ少なくとも2週
間くらいは旅行して、その土地の文化を身に感じてみたいと今は強く思っています。そのように慣
れない国へ行く手段に関して、SAP は非常に魅力的な方法の一つです。もう一度、自分にとって全
く未知の国へ、SAP に応募して行ってみるのもいいかもしれないと思いました。
3. 行動力
行動力について、私は確かに体調不良時以外全てのプログラム内容に参加し、フリータイム、そ
してほぼ毎日放課後も、他のメンバーやタイで出会った友達と様々な場所に行きました。丸一日フ
リータイムだったある日には、私含む SAP メンバー女子4人ともう一人タイで出会った留学生を交
えた5人で、船やタクシー、トゥクトゥクを何度も乗り継いで本当にたくさんの観光スポットを巡
ることができました。そんな風に自分で信じられないくらい頻繁に行動していたとは思いますが、
それはほぼ全て一緒に行動してくれた仲間のおかげでした。そもそも、旅行中に気付いたのですが
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私は特にどこに行ってみたい、何がしてみたいという計画も事前に全く立ててこなければ下調べも
していないし、現地でも行き先は他の皆さんに任せきりで、私はそれに便乗してついていっただけ
でした。したがって、「行動力」という単語をただ単に「行動できる力、体力」と定義するなら、
私は先の自分の予想を超える体力と適応力をもって様々な場所を訪れることができたと言えます
が、
「自発的に行動する力」と定義した場合、それはほぼなかったと言わざるを得ないと思います。
まず前者について、序盤で体調を崩したのは疲労の蓄積を軽んじすぎたことも理由の一つだろうと
思っているので、そんな経験から徐々に学んで、この留学中に身についていったものなのでしょう。
しかし後者については、周りが非常に行動力のある人ばかりだったのでつい頼りがちになってしま
いましたし、別段今も様々な場所に行けた充実感に後悔はないのですが、今思うと、私はその意味
での行動力を身につける良い機会を逃してしまったのかなと感じます。
それを踏まえた上での今後の目標ですが、まず、出発前に現地で行きたい場所やその場所につい
ての情報またはその関連事項をあらかた決めて調べていくのは大切なことだと思います。今回は行
動力ある仲間がたくさんいたのでついていくだけでよかったですが、これがもし単身での留学だっ
たら行ってから大いに戸惑っていたことでしょう。また、タイのように、宗教などについての複雑
で分かりにくい概念・慣習が根付き常識と化している国へ行くのならば特に、事前に何がスタンダ
ードで何がタブーなのかを知っておかなければ、いつ痛い目を見てもおかしくないなと実感しまし
た。今回の留学でこれに気付くことができて本当に幸運だと思っています。
そして、体力面についてもまだまだ不十分であると強く感じています。今回訪れた場所はほとん
どが都市バンコクの街中だったので、比較的利便性があり行動中に休憩も十分にとれましたが、そ
う簡単にはいかない場所へ行く機会も今後あるかもしれません。基礎体力の向上をしていくべきな
のはもちろんですが、自分の体力限界を察知し、その都度休息を取るなど、体調管理をきちんと行
えるようにならなければならないと思います。
これらを目標とし、次に単身であれ団体であれ海外へ渡航する際は、自分から積極的に行動して
後悔の残らないようにしたいです。
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海外留学で学んだこと
守屋 優花
3.
自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、限られた自分のボキャブラリ
ーを駆使して、根気よくかつ柔軟に自分の意思を相手に伝えるということだ。今まで英語圏に行っ
たことはなく、必要に迫られて英語を話さなければならないという環境に身を置いたことはなかっ
た。今回の留学の3週間では、現地の学生との交流だけでなく、ホテルでのやり取り、タクシーの
値段交渉、屋台での値切り交渉など、生活するために自分の力で意思を正確に伝えなければならな
い場面が山のようにあった。自分の言語運用力ではどうにもならないときはジェスチャーや筆記も
交えて相手に伝えられるように努力した。自分の思う所が相手になかなか伝わらないときはつい諦
めてしまいそうになるが、自分を理解してくれようとしている相手に申し訳ないし、せっかく出会
えた機会を台無しにしてしまうことにもなる。どうすれば相手に伝えられるかと工夫を凝らすこと
も海外生活の醍醐味であると言える。
この経験をふまえて、今後は英語力を向上させることと同時に、それを補うための表現力も身に
着けたいと思う。まだ2年生なので、大学生活の残り時間は十分にあり、海外にも積極的に行きた
いと思っている。
第一に、土台となる英語力を身に着けたい。受験英語では読み書きが中心であったが、現地に行
ったら話せないと意味がないことに気づかされる。東北大学ではグローバルカフェやSLA英会話
など、英会話力向上に役立つプログラムがたくさんある。今回の留学前は多忙で参加できないこと
が多かったため、次回の海外行きに備えて日ごろから活用することにしたい。今回の留学では、私
の英語は文法的な問題というよりは発音の問題で相手に伝わりにくいという改善点を発見したた
め、今後に活かしていきたい。
第二に、その土台をもとに自分の意思を伝えるための豊かな表現力を身に着けたい。自分の語学
力が乏しくても、それをジェスチャーや筆記で補える場面は多々あった。留学前に自分の語学力を
最大限に引き延ばしておくことはもちろん大切だが、それだけでは限界がある。三週間の留学を通
して、言葉以外を使って自分の意思を伝える力が身に付いた。今回の留学先はタイだったため、現
地の学生も私たちもお互いに英語のネイティブではなかったのだが、だからこそお互いの主張を上
手にくみ取ろうと努力しました。相手が私たちの拙い英語を理解してくれようとする姿勢が強く伝
わってきたため、私たちも言い回しを変えたりと工夫して何とか自分の考えを伝えようとしました。
留学中の3週間はそれの連続だったため、自分もなかなか鍛えられたと思います。東北大学にも他
国からの留学生がたくさんいて、私が所属する学友会少林寺拳法部にはタイからの留学生がいるし、
ピアノサークルにはマレーシアからの留学生がいます。今回の留学先で学んだことを活かして、彼
らともコミュニケーションをとりたいと思います。
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4.
異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、現地の文化を理解し、尊重するとい
うことです。今回の留学先であるタイでは人々が仏教を信仰しており、歴史ある寺院もたくさんあ
りました。観光の際には私たちも礼拝の仕方を教わり、タイの人々と共にお祈りを捧げました。お
寺での作法は知らなかったことがたくさんありました。正座し、手を合わせてから頭を地面に付け
ることを3回繰り返したり、花に付けた水を頭にかけてもらったりしました。寺院だけでなく、バ
ンコクの繁華街にも祈りを捧げる場所が用意されていて、常にきれいな花が供えられていて、タイ
の人々が祈りを捧げていました。日本は無宗教国家であるので、日常生活に宗教が密接に関わって
いる生活がとても新鮮でした。
現地の文化とは、何も宗教に限った話ではありません。店での注文やトイレの使い方など、普段
の生活でも日本との違いがたくさん見受けられました。特に外の屋台での販売は日本ではあまりな
いので新鮮でした。値切ることも日本にはあまりないタイの文化です。私は店員さんになんだか申
し訳なくて値切ることが得意ではなかったのですが、一緒に留学した仲間は積極的に値切りに挑戦
してショッピングを楽しんでいました。タイの物価は日本に比べて非常に安かったのでお土産など
たくさん揃えられて嬉しかったです。また、日本の店員さんはお客さんに対して非常に丁寧に対応
しますが、タイの店員さんはそうではありませんでした。コンビニなどではスマホをいじったり店
員同士でお喋りをしていたし、ごはんを食べている人もいました。お釣りを渡すなどの対応も不愛
想で、日本では考えられない光景だったため初めはかなり驚きました。しかし現地の学生さんが言
うには、日本の店員の愛想笑いはまるでロボットのようだ、ということです。タイでは作り笑いで
はなく、自然な笑みを尊重するのでしょう。日本の店員は親切だと思っていたので、現地の学生が
このような意見を持っていることが意外だったし、日本に留まっていたら気づかなかったことだと
思います。日本に留まっていては日本の状況が当たり前なのだとついつい思いがちですが、実際に
外国に行ってみるとそんなことはありません。今回の留学はそのことに気づくための良いきっかけ
となりました。
この経験をふまえて、今後は自国の文化が絶対的なものだとは思わずに、違ったものを自分なり
に受け入れてみようと思います。国同士のスケールで考えるととても大きなことのように思えます
が、普段の学生生活の対人関係でも共通する点があります。育った環境が違う以上は、私たちは一
人ひとり違う常識や感覚を持っていて、時には相手の理解に苦しむこともあります。行動に移そう
としても難しいことがありますが、そういうときも相手の視点に立って物事を捉えることが大切で
す。人間関係が面倒くさくなることもありますが、寛容な心で対処できようになりたいです。
私はこれからの大学生活の内に、様々な海外経験を積みたいと思っています。今回の留学先であ
るタイはアジアの仏教国であったため日本と近い点も多くあり、比較的生活しやすかったのかも知
れません。しかしアジアを出ると全く違う文化に戸惑うこともあると思うのですが、それもやはり
海外生活の醍醐味であると言えます。たとえ宗教や生活様式が違っていても同じ人間です。仲よく
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することは可能だし、出来なければ損だと思います。世界では宗教の違いが原因で紛争が起こるこ
ともありますが、一人一人が思いやりの心を持てば世界は良い方向に進むと信じています。私たち
のような若者が海外での経験を積み、お互いの理解を深めることは今後の世界のためには必要不可
欠です。東北大学では学生が海外経験を積めるように様々なプログラムが用意されています。そう
いった機会を自分のものにするために日ごろからアンテナをはり、英語の勉強も怠らないようにし
ます。
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5.研修中の写真
~Cultural Visit~
授業の中で様々な場所を訪れました。
象
~Free Time~
もちろん遊びの時間も満喫★
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集合写真
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