メディカルイメージング 装置開発における 光インタフェイスの取り組み

メディカルイメージング
装置開発における
光インタフェイスの取り組み
株式会社マクニカ 先行技術開発統括部/土澤 茂
メディカルイメージング装置などの産業機器の開発では、大容量データ伝送の需要増加を受け、
インフラ通信分野で発展してきた光伝送技術を採用するケースが増えている。
本稿では、
日本発の光伝送用プロトコル
『IF.HOTARU™』の取り組みと、プログラマブル・ロジッ
ク・ソリューションの世界的リーディング・カンパニーであるアルテラ・コーポレーション
(以下、ア
ルテラ社)
のFPGA
(Field Programmable Gate Array)を使った広帯域データ伝送ソリュー
ションを紹介する。
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はじめに
ご存知のとおりである。これらの特徴は特に MRI
やデジタル内視鏡のような大規模な映像システム
MRIやデジタル内視鏡、X線画像診断装置といっ
において、可用性の向上と開発コスト低下に大き
たメディカルイメージング装置では、高精細なデ
な利益をもたらすだろう。
ジタル映像をリアルタイムに取り扱いたいという
以上の背景から光ケーブルがメディカル分野で
ニーズが増しており、機器内および機器間のデー
いち早く採用されるようになったのは必然といえ
タ伝送帯域に 3G~10Gbps を要求されることもし
る。一方で光モジュールやケーブルの導入コスト
ばしばである。
が気になる開発者は多いと思われる。ケーブリン
よく知られるようにメタルケーブルの距離と伝
グのシンプル化によるコスト削減の恩恵を十分に
送帯域にはトレードオフの関係があり、広帯域に
享受するには、インタフェイスに必要な帯域と部
なるにつれ長さの制約が厳しくなる。そのため
品を精査し、スケーラビリティのあるインタフェ
ケーブルや伝送路を多重化する方式が多く採用さ
イス技術を採用することが重要となる。
れているが、配線と機構が柔軟性を欠いた複雑な
光伝送を利用した産業用インタフェイスのプロ
設計とならざるを得ない。
ト コ ル に は Infiniband や 10GBASE Ethernet、
一方、光ファイバケーブルを用いた光伝送では、
Fibre Channel が挙げられるが、これらは機能/性
少ないケーブリングで大容量かつ長距離のデータ
能面においてリッチ過ぎたり、アーキテクチャが
通信を容易に実現することができる。また、放射
複雑過ぎたりするきらいがある。ソフトウェア開
線や X 線の診断装置、薬物や劇物を扱う製造ライ
発費や対応デバイスの単価を考えると、広帯域の
ンでは、作業者の安全を確保するために撮影対象
映像伝送を単純な構成で実現したいというニーズ
とホストコンピュータの距離を十分に確保したい
に対して帯に短し襷に長しの感が否めない。そこ
というニーズがある。加えて光ケーブル採用がシ
でわれわれはプログラマブルデバイスの一種であ
ステムのEMI抑制に大きな効果を発揮することは
るFPGAと、データ伝送プロトコル『IF.HOTARU』
eizojoho industrial
August 2015︱101