Tohoku University The University of Sheffield

Tohoku University
Study Abroad Programme
In spring
21st Feb 2015 ~ 22nd Mar 2015
The United Kingdom
The University of Sheffield
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【目次】
3 ページ
はじめに
研修の日程
4 ページ
参加メンバー一覧
5 ページ
レポート
藤井 孝紀 6 ページ
安藤 素子 10 ページ
市川 優太 14 ページ
伊藤 誠 17 ページ
佐藤 美萌 20 ページ
細野 浩平 23 ページ
南澤 恵 26 ページ
稲垣 達也 29 ページ
木下 理子 33 ページ
佐藤 拓磨 37 ページ
新開 歩 40 ページ
早乙女 舞 44 ページ
彦坂 健太 47 ページ
村松 海里 50 ページ
山川 雄大 53 ページ
研修中の写真
2
56 ページ
【はじめに】
プログラム概要
本プログラム、
「イギリスで学ぶ実践英語」は4週間イギリスのシェフィールドにホームステイ
をしながら Sheffield 大学付属の English Language Teaching Centre(ELTC)で世界中から集まっ
た生徒と共に英語を学ぶプログラムである。ELTC のクラスは事前テストによって17のレベルに
分けられ、適切な難易度の授業を受けて語学力を伸ばすことができる。また、多国籍の生徒で構成
されたクラスでディスカッションを中心とした授業が行われるため、国際コミュニケーション能力
を高めると同時に文化交流ができるという特色がある。毎週水曜日には Sheffield 大学の教授の講
義を聴講する機会があるため、海外での授業形態を体験できる。放課後は Sheffield 大学のサーク
ル活動に参加し、現地の大学生と交流を深めることができる。このプログラムではイギリスの各家
庭に1人ずつホームステイをすることになっている。そのためイギリスの生活様式を肌で感じるこ
とができると同時にホストファミリーとの会話で自分の語学力を高めることができる。プログラム
の最終日には School Trip が開催され、イギリスの歴史的建造物の見学を通じてその国の歴史への
理解を深められる。
目的
先進的な英語教育で評価の高い、Sheffield 大学の English Language Teaching Centre へ 4 週間通い、
英語の各分野を満遍なくトレーニングする授業プログラムを通して、実践的な英語運用能力を鍛え
る。
普段の生活を送るために不可欠な、現地学生や現地の住民とのコミュニケーションを通して、英語
を実際に使う機会を得て、英語の実用経験を積むとともに、彼らの習慣や文化に触れ、多面的な視
点を獲得する。
休日を利用してイギリス各地を訪れ、イギリスの歴史と現在について、理解を深める。
研修の成果
本研修に際しては事前研修が何度かあり、各自がそこで研修の目的意識を明確にして研修に臨んだ。
本研修を通じて英語力(所謂、読解力、聴解力、記述力、会話力等の 4 技能)だけでなく異文化適応力、
問題解決能力、行動力等の能力も向上したように思われる。日々英語に囲われて生活する中でこれらの
能力は得られたのであろうが、それは決して受動的な態度では得られなかったであろう。各人の日々の
英語で意思疎通を図ろうとする努力の賜物であろう。そして、イギリスという異国の地で一か月間生活
することが出来たという経験はそう簡単に得られるものではなく、各人の今後の人生で確固たる自信に
繋がることを信じてやまない。
本研修を企画・支援していただいた東北大学留学生課並びに日本国政府・文部科学省の関係者の
平成 27 年 4 月
方々へ参加者一同より厚くお礼申し上げます。
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【研修の日程】
【研修の日程】
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【参加者一覧】
氏名
所属
学年
藤井
孝紀
工学部(情報)
3年
安藤
素子
工学部(建築)
2年
市川
優太
工学部(情報)
2年
伊藤
誠
工学部(機械)
2年
佐藤
美萌
経済学部
2年
細野
浩平
経済学部
2年
南澤
恵
工学部(建築)
2年
稲垣
達也
工学部(情報)
1年
木下
理子
理学部(生物)
1年
佐藤
拓磨
理学部(物理)
1年
新開
歩
工学部(機械)
1年
舞
法学部
1年
彦坂
健太
文学部
1年
村松
海里
工学部(機械)
1年
山川
雄大
工学部(機械)
1年
早乙女
(敬称略、学年は参加時の学年、計 15 名)
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イギリスでの掛け替えのない経験
藤井
孝紀
1. 自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、英語を用いて、日常的に使
う会話を習得できたこと、与えられた議題に関してディスカッションできるようになったこと
です。まず、前者については、日々がホストファミリーとの生活であったため、時間があると
きはホストファミリーと話すようにしていました。例えば、学校に行く前には、その日の予定
について話し、帰宅してからはその日一日にあったこと、他には、街中で見かけた日本では見
かけない光景、様子などの話題について会話していました。その中で、日本では自然に用いて
いる日常会話を英語で同じように使用できるようになっていったと思います。後者については
主に授業中でディスカッションを行っていたため、この力を養うことができたと思います。私
のクラスは、日本人、中国人、韓国人を中心とした 5 ヵ国の人が共に学んでいました。特に、
印象に残っているディスカッションは学校での始めての授業で取り扱った “graffiti” につ
いてです。授業では ”graffiti” の映像、資料を見てからグループ毎にディスカッションす
るというものでした。日本では、”graffiti” は一般的に良くないものと捉えられる場合が多
いです。というのも、日本では、”graffiti” を公共物に描くことは法律で禁止されているこ
と、又、それらが子供に悪影響を及ぼすことなどがこのように考えられる最も大きな要因とし
て挙げられます。しかしながら、いざディスカッションしてみると共にディスカッションして
いた中国人の意見は、“graffiti” は景観に即して描かれてさえすればアートとしての面があ
るから良いものと捉えられることができる場合もあるから、一概に良くないものということは
できないというものでした。日本で先のような考え方に縛り付けられて育ってきた自分にとっ
ては予想もしていなかった意見でした。私も、その場で自分の考えについて述べたものの説得
力の伴った意見を十分に伝えることができませんでした。何故、説得力のある意見を述べられ
なかったのかというと、まず根本的にスピーキング力が低く適切な英語を用いて説明すること
ができなかったこと、また、一般的な日本人としての意見は持っていたものの特段、自分の意
見を持っていなかったことの二つが挙げられます。初回の授業で問題点が明確になったため、
その後の授業でのディスカッションでは、これらを意識しつつ、より明瞭にかつ説得力のある
意見を心掛けたところ徐々により良い意見を言うことができたと思います。
この経験を踏まえて、今後は英語を用いて、状況、場合に応じて、特に日常生活の中で、適
切な会話を行えること、また日頃の生活で目にするもの、社会的に話題になっている事柄に関
して確固とした自分の意見を持ち説明出来るようにすることを目標とします。まず、前者につ
いては、異国で生活することが最も早く上達する方法であると思いますが、日本で生活してい
く上でもこの力を養っていけると考えます。その方法とは、実際に日常生活を行う上で用いる
日本語を英語ではどのような表現になるのか意識しながら生活していくことだと思います。ま
た、後者については、様々な事柄に関して興味を持ちながら生活することや、疑問に思ったこ
とはすぐに調べることを習慣的にすることを意識していこうと思います。その際に一般的、大
衆的な意見についての知識も取り入れていくようにしていきたいです。このことから、自分の
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意見を発言する際に、大衆的な意見を効果的に用いることで説得力を持たせたディスカッショ
ンを行うことのできる土台をこれから作っていきたいと考えています。
2. 異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、イギリスの生活を一ヶ月体験した
ことで現地の生活に適応できるようになったこと、また、様々な国から来ている人々と英語を
用いて交流をしていくことで、国籍の壁もなく過ごすことが出来るようになったことです。ま
ず、前者については、ホストファミリーと一ヶ月間生活を共にすることでイギリスでの食事、
文化などについて知ることが出来たと思いますし、実際に学校にも通うことで直に異文化を感
じることが出来たと思います。食事については、日本では主食として米を用いるのが一般的で
ありますが、イギリスでは決してそのようなことはなく、ジャガイモやシリアル、ブレッドを
中心とした食事でした。私は渡航経験がなかったために、二十一年間日本でしか生活したこと
がなく、この生活に始めはとまどったものの、時間が経つにつれて慣れることが出来ました。
また、先に触れたように私は渡航経験がなかったため、日本人以外の人と会話する機会が人生
でもほぼ皆無でした。そのため、異国に対する知識は教科書やネットなどで得たものしかあり
ませんでした。その為、学校、生活、ソサイティなどで直に異国の人と交流することは自分の
中ではとても新鮮なものでありましたし、異国の文化をより深く理解することに繋がったと思
います。しかしながら、日本、イギリスでの生活の差異については深く考えさせられました。
特に、印象に残っているのは公共交通機関についてと、歩きたばこを中心としたゴミについて
です。日本では、公共交通機関が遅延することは雪や風などの外的要因によって引き起こされ
ること以外はほぼなく、少しでも遅延したらニュースに取り上げられてしまいます。しかしな
がら、イギリスでは、公共交通機関は遅延が当たり前で時間通りに来るのが稀といった状況で
した。私も学校に行くバスが何の告知もなく、欠便となり学校に遅刻したことがありました。
公共交通機関に関しては日本の方が優れているし正確であると感じました。しかしながら、こ
れは日本人の時間に対して正確に生活するという性質に依るところもあると思いました。同様
に、歩きたばこに関してはとても驚きました。現在、日本では歩きたばこは条例などで禁止さ
れ公道でたばこを吸っている人はほとんどいません。また、たばこを吸う場所も制限され特定
の場所でしか吸うことが出来ないといった状況です。それに対してイギリスでは歩きたばこは
常日頃行われ、ポイ捨ても当たり前といった状況でした。その為か、イギリスの道はとても汚
く、吸い殻まみれで、ゴミなども平気でポイ捨てされてありました。それは、公共交通機関、
公共施設にも当てはまることで、自分で用いたものに関わらず、とにかくゴミを捨てないで放
置するといった光景を何度も見ました。このことに関しても日本人は素晴らしい考え方を持っ
ているし、法整備もしっかりされていると感じました。実際に、ハンガリーのクラスメートに
も、日本の道路はとても綺麗だったし、日本はとてもクリーンなイメージがあると言われまし
た。
この経験を踏まえて、今後は異国で生活する際には、異文化に対して適応しなければいけな
い点に関してはできるだけ柔軟に適応しようと努めることが大切であると感じました。先ほど
も述べましたが、例えば、食事、公共交通機関に関しては割り切って考え、その土地に適応し
ていかなくてはいけないと思います。その一方で、日本の方が優れている文化に関してはその
土地の文化を受け入れてしまわないほうがいいと思いました。この場合でいうと歩きタバコを
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中心としたゴミについてです。私はタバコを吸いませんので歩きタバコに関してはすることは
ないのですが、ゴミに関しては日本人らしくゴミが生じたら、ゴミ箱にきちんと捨てる、立つ
鳥跡を濁さずといった諺にもあるように、日本人として当たり前の習慣を続けていくことが大
切だと思いました。しかしながら、一ヶ月という短い期間であったために、まだまだイギリス
についても知らない文化、風習も多々あったと思います。その為、異国に滞在する、又は住む
ことになったとしても異文化適応しなければならない点と日本で行っていた良い文化を継続
する点との分別をつけていかないといけないと思います。私は、将来的に長期留学、又は海外
で長期的に仕事をすることを視野に入れています。そのため、もしそのような機会に恵まれた
場合には先ほど述べたようにしていきたいと考えています。
3. 行動力
行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、以前に比べ積極性が増したことが挙げ
られます。以前の私は、見知らぬ環境に飛び込むことを多少躊躇ってしまうことがありました。
イギリスでの生活は、平日は、比較的授業が早く終わってしまう上、休日も自由な時間であっ
たため自分でプランニングしながら生活していく必要がありました。その為、私は平日では多
くのソサエティに参加し、異国の方との交流を深めていこうと考えました。ソサエティとは日
本でいうサークルのような団体のことです。そして、休日は旅行を計画したり、友人、ホスト
ファミリーと過ごす時間にしたりしようと考えました。その為、私は、多くのソサエティに参
加しましたが、その中で最も楽しく活動できたのはジャパニーズソサエティでした。このソサ
エティは、シェフィールド大学に通う正規の日本人学生、交換留学を利用し大学で学んでいる
日本人を中心としたグループでした。また、このソサエティは、多くの異国出身の学生も参加
しており彼らの多くは日本に興味を抱いている学生でした。活動内容としては、毎週水曜日に、
あるバーで交流会をベースに、日本の行事のパーティーや、他の国の行事を祝うパーティーな
ども開催されていました。私が滞在していた期間内には、日本の伝統行事である雛祭りもモチ
ーフとした雛祭りパーティー、セントパトッリクデイというアイルランドの行事をモチーフに
したパーティー、休日にはジャパンデーというイベントも開催されていました。その中でも、
印象に残っているのは、ジャパンデーです。このイベントは年に一度ジャパニーズソサイティ
が開催するイベントであり、チャリティーイベントでした。ここでは、太鼓の演奏、合気道、
よさこい踊り、AKB のダンス、メイドカフェなど日本の伝統芸能から、ポップカルチャーにい
たるまでの幅広い日本の紹介が行われていました。私は、異国出身の学生と日本人の学生が協
力して企画し、素晴らしい出し物をしていることに感動しました。私は、このイベントに参加
したことで日本に長く住んでいると目には留めないような日頃身近で行われている伝統行事、
祭りなどの日本が持っている魅力的な点に改めて気付くことが出来ました。また、日本での事
前研修で発表をベースとしたプレゼンを自分たちで企画、運営し発表会を行ったことも心に残
っています。日本のお菓子を各自持参し、それらを食べてもらいながら、発表会を行いました。
事前研修で行った発表よりも、かなり分量の多い発表を行わなければいけなくなり、再度、ス
ライドを作り直したり、発表練習をし直したりととても大変でした。しかしながら、発表会は
無事成功し、日本の魅力、東北大学の魅力を異国の方々に存分に伝えることが出来たと思いま
す。また、日本のお菓子に関してもとても好評でした。この企画に関しては、来年以降の SAP
でも継続していけば良いと思います。これは、英語での発表練習にもなりますし、東北大学を
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中心とした様々な魅力を異国の方に伝えることが出来るからです。
この経験を踏まえて、今後はより積極的に行動していきたいと思います。私は、将来的に長
期留学、又は、海外で長期的に生活しながら仕事をすることを目標としています。これは、現
在、私は工学部に所属し、将来的に世界で活躍する技術者を目指しているという理由からです。
これを達成するためには、英語をコミュニケーションツールとして用いることは勿論のこと、
異国の文化に馴染むことが必要となってきます。そしてこれらを達成するためのチャレンジ精
神、即ち行動力がとても大切になってきます。先ほども述べたように、今まで、私は、新しい
事を行う際に尻込みしてしまうことがありました。しかしながら、これからは、今回の SAP で
培った行動力を存分に生かしていきたいと思います。また、長期留学、長期滞在では、相当な
英語力を要すると考えられます。その為、足りない英語力を養っていく上で自学することは勿
論なのですが、日本でも今まで参加したことのなかった異国の方との交流会、サークルに積極
的に参加していきたいと思います。これは、積極的に参加することで、自分に不足していると
考えているスピーキングスキル、リスニングスキルを少しでも向上させたいと考えているから
です。今回の一ヶ月間のイギリス留学では、様々な経験を積むことで、英語の能力を始めとし
て多くの能力を身に着けることが出来たと思います。それらの能力を効果的に使用し、今後の
生き方に投影していくことができれば良いと思っています。
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留学を通して学んだこと
安藤
素子
1. 自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、発言力の向上である。留学前と
比べて、自分の意見を英語で簡潔に相手に伝えられるようになった。私たちは、シェフィールド大
学に留学している外国人学生のクラスに加わって英語を学習した。クラスメートは国籍も留学期間
も様々だが、自分の専攻分野に関して自信を持っており、皆高い意識を持って英語を学んでいると
感じた。授業が始まった当初、私は自分の伝えたい内容をなかなか英語で表現することができず、
発言中に詰まってしまうことが多かった。クラスに日本人は3人で、先生もクラスメートも日本語
が通じないため、何としてでも英語で表現しなければならない環境に初めは戸惑い発言すること自
体に怖気づいてしまった。しかし、担任の先生との面談で、失敗を恐れずに、わからないことを周
りの人に尋ねることを恥ずかしがらず、自信を持てば大丈夫というアドバイスを受け、少し自信を
取り戻した。授業は教科書に沿って毎回とあるトピックについて学習するという方式であったが、
単語を確認する際に他の英単語での言いかえを考えたり、その表現を用いる場面とその対話を考え
たりすることで、英語を英語で思考する習慣が徐々に身についていった。また、私のクラスでは自
分の紹介したいことについてプレゼンテーションする授業も行われた。この授業では、英語表現や
発表の内容よりもプレゼンテーションにおける話の転換の仕方や強調の仕方などが重視された。日
本での事前研修で用意したプレゼンテーションを現地で行った次の週に出された課題だったので、
前の週のプレゼンテーションの反省を踏まえてより分かりやすいように構成を考え、発表の練習を
することができた。本番では、聞き手の注意を集めるために、次のトピックを想定しやすい言葉の
接続表現を用いたり身振り手振りとスライドを織り交ぜたりすることを意識して発表した。私はメ
モを用意してそれを見ながら発表を行ったのだが、私たちのグループ以外全員がメモなしでプレゼ
ンテーションを行っていてとても驚いた。メモを全く用いないことが最も望ましいと一概には言え
ないが、私のメモは情報が多すぎて発表中に次にどこを話すか探すのに時間がかかってしまってい
たので、もっと簡潔で分かりやすいメモを用意するようにしたいと思った。
週2回放課後に開催されるカンバセ―ションクラブでは、自分の考えを素早く英語で相手に伝え
るトレーニングを行うことができた。これは留学生が企画しているイベントで、参加者が何人かの
グループに分かれ、与えられたテーマに関して順番に1人ずつ英語でコメントしていくというもの
である。瞬時に自分の考えをまとめて英語で相手に伝えるのはとても難しく、始めは発言に詰まっ
てしまい周りの日本人に助け舟を求めることが多かった。自分の意見を日本語でまとめてから英語
に翻訳しようとするから時間がかかっているのだと何度も指摘されたが、自分では日本語を考えて
いる自覚はなかったため、言われたとおりにやっているのになぜできないのだろうと焦りを感じて
いた。しかし、何度か参加するうちに、簡潔に自分の意見を英語で表現するコツが見えてきて、以
前よりもスムーズに発言できるようになった。それでもまだセンテンスの長い発言はできないので、
もっと英語を話す機会を設け、継続的に英語を使うことを習慣付け、より自分の意見に肉付けでき
るようになりたいと思う。
この経験をふまえて、今後はより説得力のある発言を英語でできるように訓練を積んでいきたい。
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日本でもできるだけSLA英会話やグローバルカフェなどの英語を使う活動に積極的に参加し、言
い方を考えるよりとにかく自分の考えを相手に伝えることを優先した発言力を維持し、より向上さ
せたいと思う。今回のプログラムを通して、クラスメートの高い英語運用力に刺激を受け、私も彼
らのように英語を使えるようになりたいと強く感じた。英語で説得力のある根拠を伴う自分の意見
を相手に英語で伝えられるようになり、討論を活発に行えるようになりたい。
2. 異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、言語の違いによる壁について考えるよ
うになったことである。最も異文化適応の必要性を感じたのは、ホームステイである。私のステイ
先はホームステイの受け入れに慣れているイギリス人夫婦であった。高校生の息子と大学生の娘が
おり、他には私の滞在中に、スペインから3ヶ月滞在の留学生が1人とノルウェーから2週間滞在
の留学生が2人滞在していた。家庭内ではステイに関する決まりごとがほとんどなく、一人ひとり
のプライバシーや自由時間が保証されており、とても快適に生活することができた。1日の中で家
族が団欒するのは夕食時のみで、私はこの時間を毎回楽しみにしていた。しかしある日、ノルウェ
ー人の2人が母国語で会話を始めてしまい、2人以外は入ることができない雰囲気になり、ホスト
マザーがディナーの場では英語でお願い、と注意していた。当たり前のことなのだが、母国語の異
なる人々と共に過ごしている際に共通語以外の言語を用いることは、その言語を使えない人と自分
との間に知らぬ間に見えざる壁を作ってしまうことになるのだと強く感じた。今回ステイ先に日本
人は私1人だけだったので私は日本語を使ってしまうことがなかったが、以前日本で外国人留学生
と会話する際に自覚のないまま私もそのようなことをしていたかもしれないと思い、以後気を付け
ようと心に決めた。
日常生活の場面での会話は学校の授業とは異なっており、短いセンテンスで要点を伝え合う会話
が多かった。先生の聞き取りやすい英語と違い、家族の早口なイギリス英語は聞き取るのが難しく、
慣れるまでに少し苦労した。ホストメイトたちは英語で会話することが上手く、ホストファミリー
と職業に関する専門的な話をしたり冗談を言い合ったりしていた。私には聞き取ることができない
会話も多く、もどかしく感じる場面も多々あった。聞き取ることができても同じようなあいづちを
繰り返すことしかできず、質問をしたり自分の考えを述べたりできればもっと家族との会話が楽し
めたのになあと強く感じた。プレゼンテーションや討論で用いる英語の他に、日常的な英語も身に
付けたいと思った。
クラスでは、クラスメートとの会話で文化の違いを感じた。私のクラスには私たちの滞在中に韓
国、中国、イラクからの学生がいた。休み時間中の会話は主に母国語が同じ生徒同士でのものだっ
たが、たまに英語を使ってお互いの専攻、興味、自国文化などについて話をすることがあった。そ
の中でも、他国籍のクラスメートが語る日本のイメージを聞くのが興味深かった。日本食では寿司
が最も人気があり、都市では日本らしい風景が堪能できる京都が有名で、文化では俳優やアイドル、
漫画やアニメが好きという生徒が何人かいた。音楽では、日本人アーティストの曲をよく聴いてい
るという中国人がいてうれしく感じた。外国の若者の間で日本のどのような側面が有名なのかを知
るのはとても新鮮であったが、自国の文化について相手から指摘されると、自分から紹介するとき
と違った側面から尋ねられていることが多く、思ったように説明ができずもどかしかった。また、
アラブ系の生徒とは、神についてどう思うか、なぜナイフとフォークではなく箸を使うのか、など
といった議論もした。宗教的な事柄について私たち日本人学生は普段議論する機会が滅多になく、
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私自身今まで深く考えたことがなかったので少し戸惑った。この地域の学生にとっては日常的な会
話なのかもしれないと文化の違いを実感した。どの会話においても留学生の生徒はみな自国の文化
に誇りを持っていることが強く感じられた。
大学主催のイースターパーティーでは、シェフィールド大学に通う留学生とその子供、先生たち
など非常に多くの人々が参加し、幅広い交流を楽しむことができた。このイベントは、様々なお菓
子が用意され、いつも英語を勉強している建物内にカラオケやTVゲームなどのブースが設けられ、
自分の好きな場所へ行き国籍の違う人々との交流を楽しむことができるというものである。音楽ブ
ースでは中東や南米など私たちにあまり馴染みのない地域で流行している音楽を知ることができ、
とても興味深かった。私たち東北大学生はカラオケブースで、日本で人気の歌やダンスを披露した。
大人数で盛り上がれる世界的に有名な日本の曲を選んだつもりだったのだが、思った以上に知られ
ていないようで残念だった。しかし、アップテンポな曲を選んだことが幸いし手拍子で一緒に盛り
上がってくれる人が多くみられ披露した甲斐があった。中でも一番印象的なのは、様々な言語に翻
訳されている映画の主題歌の英語版をその場にいる人々全員で合唱したことだ。国籍も母国語も異
なり、普通ではお互い意思疎通ができない人々が、英語というツールでつながることができるのだ
と強く感じた。このようなイベントは国籍に関係なく人々に愛されており皆で楽しむことができる
最適な方法であることが改めて分かった。
この経験をふまえて、今後は日本でも積極的に異文化交流に参加したいと思う。どの場面におい
ても、お互い第一言語ではない英語を使ってコミュニケーションを取っているという行為自体に感
動を覚えた。英語が異文化理解の架け橋となり、重要なカギとなっていることを実感した。言語の
壁は意思疎通における根本的な課題だが、英語を用いることで簡単に取り除けるのである。今後異
文化交流に参加する際には、自分の英語力向上のためだけでなく、母国語が異なる人々とも交流し
たいという意思表示の手法としても、英語のみで積極的に発言することを意識したい。そして、最
終的には簡単な表現でも構わないのでネイティヴの人と英語で冗談を言い合えるくらいの対話力
を身に付けたい。また、日本文化については自国の代表的な文化の知識をある程度身に付けること
に加え、客観的な視点を持ち、外国から見た日本についても考えるようにし、外国人に日本につい
て質問されたとき、英語でうまく説明できるようにしたい。
3. 行動力
行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、初対面の人との交流を積極的に図ることで
ある。以前まで私は自分から積極的に初対面の人との交流を持つ機会があまりなく、ましてや外国
人とは英語力に自信がなかったのでかなり身構えて交流していた。しかし、このプログラムではあ
らかじめ必要最低限の情報しか与えられておらず、大学の様子や現地の気候など、解決するには現
地の人に尋ねるのが最も適切と考えられる疑問や場面が多くあり、留学前からホストファミリーや
現地の学生と少しずつ連絡を取るようにしていた。最も行動的に活動したと感じたのは、現地の学
生の協力を得て私たち東北大学生とイギリスの学生との交流イベントを企画したことである。イギ
リスに到着してから、留学前から連絡を取り合っていた現地の学生と共に、今回の Study Abroad
Program に参加している東北大学生と現地で日本語を学ぶ学生や日本人留学生との交流を図り、シ
ェフィールドの街探検や食事会などを行った。私たち東北大学生はもちろん、現地の日本人留学生
や日本に興味のある学生たちも大いに楽しんでくれた。現地の学生の厚意で実現することができ、
本当に素晴らしい経験になった。
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また、大学で開催される留学生の交流イベントに積極的に参加した。初めは自分の英語力に自信
がなく、うまくコミュニケーションが取れず誰にも相手にされないのではないかと不安だったが、
実際に会話するときには英語の得意不得意はそれほど重要ではないことが分かった。私は英語で話
す際、とにかく何か喋らなければと文法をほとんど考える余裕なく話していたので、とても理解し
にくい英語で話していたと思うのだが、どの話し相手も注意深く聞いてくれた。どのコミュニティ
においても、交流や新しい出会いが好きな人たちが多く、臆することなく色々な人たちと交流でき、
とても楽しい時間を過ごすことができた。英語力の有無よりも、堂々と明るく振舞い、はっきりと
話し、相手の目を見て相手の話をよく聞くようにすることの方が圧倒的に重要であり、それらの点
を意識して対話すれば人種も言語も関係なくコミュニケーションを楽しむことができるというこ
とを学んだ。
この経験をふまえて、今後は積極的に色々な人とのコミュニケーションを楽しみたいと感じた。
今までは英語での会話に対し日本語のときよりも緊張していたが、失敗を恥じたり恐れたりする必
要はなく日本語のときと同じように振舞えばいいことを学んだので、相手が外国人で英語を使って
話しかけなければいけない場面でも、今回の経験を踏まえて堂々と明るく振舞うことを心がけ、リ
ラックスして交流するようにしたいと思う。これは言語に関わらず対話における重要事項であるの
で、日本語での対話において自分が実際に行えているかどうか確認し、英語での対話においてもス
ムーズに実践できるように習慣づけておきたい。
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シェフィールドでの 4 週間
市川
優太
1. 自己の言語運用能力
言語運用能力に関して、渡航前に受けた TOEFL ITP 566,TOEIC 公開テストで 840 などのスコア
を獲得していたのもあって、英語には少し自信はあった。
しかし、この自信はすぐに打ち崩された。
イギリスに滞在して感じたのは、
自分の英語能力の明らかな不足であった。これは特に Speaking,
Listening の場面において顕著であると感じた。
Listening について、
日本のいわゆる TOEFL,TOEIC のような非常に綺麗な発音の音源であれば聞
き逃すことはあまりないが、例えばネイティブスピーカー同士の非常に速い会話、雑音が混じる
バスの運転手の会話、英語圏以外の出身の人の非常に訛りが強い英語など、全く言っていること
が分からない場合が多々あった。
Speaking について ELTC での授業においてはグループでのディスカッションなどがメインの授
業であったので自分の意見を述べることが非常に多く求められた。
また、もちろん現地の学生のほか、ELTC には様々な国の人が来ているので日本について、宗教、
文化、食べ物、教育など尋ねられる場面が多かった。しかしそのような場面においても自分の考
えていることが明確にあるのに、それを上手く英語に表現できず非常に歯がゆい思いをした。な
ぜ、このような思いをするのだろう。その理由は、明白だった。
Listening について、それは生の英語を普段聞いていないということだった。この経験を踏まえ
て、今後は生の英語を聞くために、私はアメリカのドラマが非常に好きであるのでそれを見る際
に英語の字幕をつけて見ることに加え、CNN Student News, BBC のニュースを見ることを決めた。
Speaking については、普段全く話す機会を設けていないということだった。そこで今後の課題
として、東北大学において、国際交流系のサークルに参加し、話す機会を作り、またオンライン
英会話に登録し、それによって 1 日 30 分英語を必ず話す機会を作ることに決めた。
SAP を通して達成したこととして、SAP に来る前において英語を話す際に間を置いてしまうこと
が多かったが、”You know”, ”I mean “などのコースマーカーを使うことに慣れ、話す際の間
が少なくなったことに加え、英語を話す際、日本語を考えて英語に訳すというプロセスではなく
思ったことをそのまま英語で伝えるということが以前に比べできるようになったと感じた。また
自分が言いたい言葉の単語が分からないときに、どうするかなどの講義があり、 そのようなと
きに他の言葉を用いて伝えようとする姿勢が身に付いた。
2. 異文化適応
文化といっても、様々なものがある。それは食事、宗教、マナー、言語、習慣、道徳などがそ
の一例である。ここでは、食事、宗教、マナーについて取り上げたい。
食事について、渡航前イギリスの food はおいしくないということを聞いていたので食事に関し
ては全く期待していなかった。私はこの 4 週間、ホストファミリーの家に滞在していたので食事
はそこでする機会が多かった。そこでは、もちろん普段慣れ親しんでいるお米の食事というもの
は無かった。もちろん、味付けも違うし、食べる時間、メインディッシュ、食事の量などすべて
のものが普段とは異なっていた。
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しかし、私はこれは全く苦ではなかった。
これは、私が自分は今日本にいるのではなく、イギリスにいるということをしっかり認識でき
たからである。SAP を通して達成したことは、自分の置かれている状況というのをしっかり認識
でき、つまり 1 種の異文化適応を達成できたということが言える。
次に宗教について、自分の偏見かもしれないが、大部分の日本人というのは宗教についてあま
り関心がない。自分も同じように宗教についてあまり関心がなかった。しかし、これは宗教を信
仰するかしないかに関わらず、宗教は非常に大事であるということを感じた。ELTC には世界中
から色々な人が集まり、それはアラブ系の人々、中国、韓国など非常に多様であった。
もちろん、それぞれ異なる宗教を持っていて、また、あるイラク人つまりムスリムの方からは”
死後、あなたはどうなるか?”、”万物の創造主は誰か?”
”神を信じているか?”などの宗教につ
いての質問を受け自分の宗教についての知識の薄さを感じた。また、この場面では相手に対する
失礼なことは無かったが、違う状況では、宗教に関する理解の薄さから、誤解を招きトラブルに
なることは容易に考えられるので、この経験を踏まえ、課題として、今後は様々な宗教について
最低限の知識をストックしておく必要性を多いに感じたので帰国後は東北大学の図書館は蔵書数
が豊富であるのでそれらを読み最低限の知識をストックすることを決めた。
次にマナーについて、まず 1 つ一番大事なこととしてイギリス人はどのようなシチュエーショ
ンにおいても、”Please”や、”Thank you”を忘れないということだ。それは、コンビニでものを買
うときにも、バスから降りる時などでも、パブやレストランでものを買うときなどもそのような
言葉を必ず言う。これは、そのようなことを言わない人はマナーが悪いと思われるからである。
これをあちらで出来た友達から聞き、SAP での滞在の間、どのような場面においてもそのような
ことを意識しそれを行うことが出来た。これも私が SAP を通して達成した異文化適応の 1 つであ
る。
3. 行動力
このイギリスでの 4 週間の滞在の中で私は行動力を示すいくつかのことを行った。
私のホストファミリーは非常に親切であり、イギリスの文化、歴史、食事、観光について様々
なことを教えてくれた。そこで私は、こちらも日本の何かを伝えたいと考え、相手を喜ばすこと
が出来、日本について知ってもらうには何が良いだろうかと考えた結果、日本の食事をいくつか
作り、パーティーを催すということを考えた。そして、それを実現させるため複数の友人の助け
を借り、日本食を作り小さなパーティーを催した。
その結果、彼らは非常に喜んでくれ日本に行きたいや、お礼をさせて欲しいなど、またどのよ
うにこれを作ったかなど日本について非常に興味をもってもらうことが出来た。
このように行動力に関して SAP を達成したこととして、自分で物事を考え、相手にどうやって
喜んでもらえるかを考えそれを実現させたということである。
見えてきた課題として、この場合では料理を使って喜ばすことが出来たが、ほかにも喜ばすこ
とが出来る手段というものがあると思うので今後は料理以外にも相手をどのように喜ばすことが
出来るかを考え計画し、実行していきたい。
他にも行動力を示す活動として、University of Sheffield には様々な Society と呼ばれる組織が
あり、また放課後など Conversation Club というものがあり様々なイベントが行われている中、
自分は Japan Society と呼ばれる、Society に行ったり、Conversation Club に参加し、自分の国
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について意見を述べたり、Soccer などをする機会もあり、そちらに参加し交流を図ったりした。
このように SAP を通して達成したこととして、様々な活動に足を伸ばし、自分のコミュニケー
ション能力を向上させることが出来たということである。
見えてきた課題として、やはり他人と意見交換をするにあたり、自分の国についての背景知識
が不足して、ネイティヴばかりが存在するコミュニティには自分の英語力に怖気づいてか、参加
することをためらってしまったので、この経験を踏まえて今後は、自分の国についてよく知るこ
と、英語力ということを言い訳にせず、この場合は英語力というのもの言い訳にしてためらって
しまった活動があったが、何かを言い訳にして物事を行わないということを辞め、自分が参加し
たいと思う活動には積極的に参加することである。
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イギリスでの生活
伊藤 誠
1. 自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、僕が SAP を通して達成したことは、簡単な単語や文法を活用して会
話を続けられるようになったことだと思う。そのことがまず初めに頭に思い浮かんだ。研修中、テ
レビや映画で聞くような打ち解けた表現を真似して使ってみた。僕は英語で相手と会話するときに
英単語や最適な表現が思い浮かばず不自然な間が生まれ、相手を待たせることがとても嫌だった。
だからと言って会話を続けながら次に話す英語を考えるのは今の自分にとってかなり難しいこと
だ。「あ~」とか「ん~」とか言って相手を待たせないために、簡単な英単語で構成され思いつき
やすい簡単なフレーズを組み合わせて話すことを心掛けるようにし、4週間の研修で僕が立てた目
標はスムーズで自然な会話をすることだった。このような明確で分かりやすい目標が事前に思い付
いていたのでたくさんの人と話す機会がある今回の研修では色々なことを試そうという気になっ
た。さっきの人とはあんな言い回しを使ったから次あの人と話すときはあのとき聞いたような言い
回しを使おうかといったように。幸いなことにネイティヴと話す機会も多かったので、新しく聞く
言い回しや表現も数多くあった。自分でも使えそうだと思えば次はこの表現で話してみようなんて
考えながら街を歩ける。英語を使う場所は街中に無数にあるのだから練習場所には困らない。そん
なことを考えながら英語を習得していくと、まるで技や仲間を集めて敵を倒す RPG のゲームのよう
にラフで楽しく英語を話せるようになるのでは、と思っていた。敵を倒していくごとにレベルが上
がっていくゲームのように、イギリスにいるプレイヤーの僕に直面するステージのレベルは上がっ
ていった。決定的だったのはプレゼンのときだった。原稿を紙に書かずに大まかなアウトラインだ
けを頭に描き、思い浮かぶフレーズだけでプレゼンを押し進めようと挑んでみたのだ。でもこんな
ことが上手くいくはずもなくあえなく失敗。緊張で思うように英語が思い浮かんでこず、さらにプ
レゼンで使うような少しフォーマルな言い回しは自分のボキャブラリーの中には数少なく、決して
良いプレゼントいえるようなものではなかった。短くてフランクな表現なら十分使えるところまで
到達したと思う。次に自分に立ちはだかった問題は少し長くてフォーマルな表現を会得しなければ
ならないということだった。結局この4週間ではこの課題に関して満足できる程まで上達せず、関
係代名詞を使って文章を長く且つ簡潔にまとめる練習をやっと始められるといった程度で帰国の
途についた。
この経験をふまえて、今後は長い文章を話せるようにしていきたい。短い言い回しを映画や会話
で覚えていったように上手くいくだろうか。だが今はインプットの段階であることは自分にとって
明らかなのでそういった表現を徐々に身に着けていこうと思う。自分は工学部に所属しているので
国際学会に出る機会もあるだろう。そのような場で、イギリスで経験した沈黙のプレゼンテーショ
ンを繰り返さないためにも常に意識していく必要のある課題ではないだろうかと思う。
2.異文化適応
異文化適応に関して、僕が SAP を通して達成したことは、なんだろう。シェフィールドにいる間、
使う言語が英語ということ以外に違和感はなく生活で困るということもなかった。単に新しい場所
に行き新しい友達に出会っただけだった。シェフィールドは日本ではなくイギリスにあって、新し
くできた友達はイギリス人、中国人、韓国人、コロンビア人やイラク人などで、看板はすべて英語
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だった。平日は朝から学校に行き放課後は友達と街へ遊びに行った。土日はイギリスの各都市へ旅
行に行ったり、一泊だけのひとり旅なんてしてみたり。シェフィールドにあったものが異文化のも
のであったなら、僕はそれらを受け入れ適応していた。4週間で気付くような異文化には適応して
いた。だが、きっと気付かなかっただけで他に更に多くの異文化があるはずだ。そうでなければ世
界中でのモメ事はもっと減っている。僕はそのような異文化に気付かず通り過ぎており、このレポ
ートを書くにあたってもはや何が異文化だったのかさえ分からなくなってきた。イギリスで出会っ
た友達は自分とは違う言語を母国語とし違う宗教、気候、風習、教育のもとで育ってきた。そして
イギリスには日本とは違うルールがある。バスは乗車するときにお金を払うという日本とは違った
ルールがある。ではなぜ僕はイギリスで違和感がなかったのだろうか。いくつか思いつく理由があ
る、一つはイギリスと日本は比較的お互いの情報が手に入りやすいこと。僕はイギリスに行く前か
らある程度イギリスの歴史や文化を知っており、イギリス人も日本人である僕のバックグラウンド
をよく理解している人が多い。もう一つの理由は僕たちがお互いに異なった文化を感じるほど深い
内容の会話をしておらず、そのような長くなりそうな話を好んでいなかった、お互いに共通点を探
すようにしていたからではないだろうか。4週間という短い期間で異文化を異文化として感じるに
は少し短かったように思う。
僕が望むので、これからきっと一年といったような長い期間で海外に行くことがあるだろう。そ
のときにきっとその国で日本と決定的に違うことを体験し右往左往することだろう。今回の SAP の
経験をふまえて、今後そのような場面に遭遇した時は異文化を理解しようとまず背伸びするのでは
なく、ちょっと距離を置いてみて自分との共通点を探してみようと思った。きっと共通点がなくて
も探そうとしたことで状況がもっと悪くなるようなことはないはずだ。今は自分自身の経験が浅い
のでこのような希望的観測しか述べられないが、将来の僕はもっと異文化に適応しているだろう。
3.行動力
行動力に関して、僕が SAP を通して達成したことは、どんなときでも何にでも参加できるように
なったことだと思う。一週間目から参加できるだけの活動に参加しようとして実際そうしていた。
シェフィールド大学にはいろいろなソサエティ、アクティビティーがあるのでむしろ時間が足りな
かった。どれだけの活動に参加できるのだろうと、地元の公園でやっている朝のラジオ体操に行っ
てスタンプを集めるような気持ちでウキウキしていた。でもやっぱり初めての土地で毎日初対面の
人に会うのは疲れるのだろうか、二週間目からだんだんそういった活動への参加の回数が減ってき
ていたように思う。やる気やテンションを上げてからいかないと英語で且つ興味を持ってもらえる
ような話を続けるには体力も気力も持続しなかった。ただイギリスに着いた当初から一カ所だけず
っとリラックスしながら会話を続けられる場所があった。幸いにもホームステイ先がその場所だっ
た。ホストファミリーはお歳の召したおじいちゃんとおばあちゃんの二人だった。顔を合わせるの
は朝食と夕食のときだけだったがテレビを見ながら一緒にクイズに答えたり何気ない会話をした
り、決して話しすぎることもなく話さなさすぎることもなく僕にとっては安心できリラックスでき
る時間帯だった。よく冗談を言うおじいちゃんで多い時で五分に一回アイリッシュジョークを挟ん
でくるところ以外は文句の付けようはなかった。だが恐ろしいもので三週目から大阪出身の僕は華
麗にそのボケを一つ一つ無意識に拾っていた。さて、雑談はこれぐらいにして、徐々に活動的でな
くなっていた僕は無理に色々なところに出向くのではなく自分の今日の気分や本当に参加したい
かどうかなど自分に正直に活動した。行った先でも盛り上げようとしたりせず普通に話しかけ話が
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なくなれば普通に他の人のところに話しかけに行った。そういう風にしても力んでいた頃と周りの
反応は特に変わることなく、以前の自分はただ自分で勝手に前へ前へと出ようと緊張していただけ
だったと知ったのだ。ふと気が付けばもう四週間目になっていた。最後の週はできる限り色んな活
動に参加したくさんの人に会おうと、まるで一週間目のように行動しようと決めた。二、三週間目
は自分にとって有意義な充電期間と言って良かったのだがイギリス滞在は四週間しかなくやはり
最終週は色んな事をしようと焦っていたから。やってきた頃のように毎日が終わるたびに何とも言
い難い気疲れがあるのかと身構えたが意外とそうでもない。気張っても気張らなくても同じ結果に
なることに気付いていた僕は心から会話を楽しみリラックスしながら次から次へと色んなものに
参加することができた。そんな急激に人間変われるのかと、でも僕の場合心の持ちよう一つ変わっ
ただけで他のことは何も変わっていない。無意識に行動力が自分の内から発揮されてきた。
この経験をふまえて、今後は自分にあったペースで無理をしながら行動するべきだと思う。恐ら
く周りの人たちは自分より行動力や活力に溢れている。だからと言って自分もそれに合わせて行動
していれば最初はうまくいっても決して長続きしない。イギリス滞在最後の週、自分では納得のい
くように行動したはずだ。あの感覚を忘れないように、キーワードはあくまで自分のペースを守る
こと。僕はこれから無意識に高い行動力を発揮することを目指す。
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挑戦すること
佐藤
美萌
1. 自己の言語運用能力
自己の言語運用能力に関して、私が SAP を通して達成したことは、どうやったら、簡単に
自分の言いたいことを、日本語から英語に変換して伝えられるか、ということです。研修前、
基本的な外国語でのコミュニケーションを現地で行うことが目標でした。普段の生活で、外国
語を使わなければいけない場面など、そうそう存在することもなく、このように実践の場を持
てたことは、貴重な体験でした。授業中では、日本文化の紹介や短い文章を読んだり、写真や
絵を見たりして、自分の意見を述べなければいけない状況もありました。このように、基本的
コミュニケーションを超えるものが要求される場面もあったので、目標以上に達成することが
できたと思います。相手に伝えたい、という気持ちを忘れずに、常に会話をできたと思います。
また、授業中に日本人が多々注意されたのは発音でした。特に私は大学受験記にスペルをアル
ファベットでそのまま覚えるという、どうしようもない勉強をしていたのも重なり、正しい発
音がわからず苦戦しました。以前の私の勉強法を後悔しています。また、よく使われるフレー
ズや言い方を授業や生活の中で吸収することができました。
この経験をふまえて、今後は、日本語から英語への変換時間を短縮し、さらにある物をイメ
ージした時に、日本語と英語が両方思い起こすことができる、ということを目標に学習を進め
ていきたいと思います。このために、大学の団体が企画しているイベントや、提供しているプ
ログラム、チューター活動などを通して、英語を使う機会を多く持っていきたいと思います。
シェフィールド大学で一緒の教室で授業を受けていた外国人の生徒と話すことで、英語の表現
を多く学びました。相手に簡単に分かってもらうために、例を用いることや、写真を見せなが
ら説明することで、コミュニケーションをよりスムーズに進めることができました。同じ教室
の生徒は、日本の文化についても興味を持っており、同じ題材を一緒に話すことができました。
彼らの日本文化の知識の多さと興味に驚きました。私も会話のきっかけや、自分の見聞を広め
るためにも、英語などの言語だけではなく、他文化や世界の歴史について、さらに触れていこ
うと思いました。
2. 異文化適応
異文化適応能力に関して、私が SAP を通して達成したことは、異文化を受け入れつつ、自
己の習慣を混ぜながら順応することです。イギリスにきて初めに感じた違いは、食文化です。
日本の私の家族、友達と食事をする時は、同じ食卓を囲んで、家族全員が揃ってから、「いた
だきます」と手を合わせ食べ始め、「ごちそうさま」で終わるのが通常です。ですから、イギ
リスの、食卓に着いた人から何も言わずに食べ始める、という行動は、初めはとても違和感の
あるものでした。わたしは、心もとなくではありますが、一人で「いただきます」「ごちそう
さま」と言っていました。ある日、その意味をホストファミリーに尋ねられたので、簡単に説
明しました。その数日後、日本語に少し興味を持ってくれたようで、日本語の自己紹介を調べ
て私に尋ねてきてくれました。日本のことに興味をもってくれた嬉しさから、翌日日本語の簡
単な自己紹介文やあいさつ表現を紙に書いて渡しました。こちらが文化受け取るだけでなく、
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発信もできたことに喜びを感じました。また、リバプールで、老婦人とお話をする機会があり
ました。自分たちが日本から英語を勉強するために、イギリスに来ていることを話すと、老婦
人に「なぜ、英語を勉強するのか。今は中国が力を伸ばしてきていて、日本は中国との関係性
がこれからより大事になっていく。なぜ、中国語ではなく、英語を勉強するのか。私に教えて
ほしい。」と言われました。そこで改めて、なぜ英語を勉強したいのか考えさせられました。
私の場合は、海外に小さいころから漠然とした興味がありました。両親に海外旅行に何度か連
れて行ってもらっていたからかもしれません。英語圏には行ったことがありませんでした。し
かし、海外での店での会話や、道を尋ねるときは全て英語を使用していました。英語は話すこ
とができれば、世界中の人とコミュニケーションが取れるのではないか、と小さいながらに感
じました。また、中国のある店に行った時に、若い女性が日本語で流暢に話しかけてきました。
彼女は大学生で、インターシップをしている、とのことでしたが、日本語の他に英語も話せる
ことができ、英語を話せることは彼女の周りでは珍しいことではないとではない、と言ってい
てとても驚いたことを覚えています。その後、中国の英語の学習は日本とは質も量も方法も異
なっていることがわかりました。
この経験をふまえて、異文化適応力を高めるとともに、日本の文化を再度学びなおしたいと
思います。当たり前の生活を離れることで、日本のすばらしさを改めて実感するとともに、自
分の日本の知識不足を感じました。研修前とは違う視点、他との違いや共通点を見出しながら
学んでいきたいと思います。
3. 行動力
行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、柔軟性と情報収集能力です。柔軟性
においては、他の留学生の外国人と学ぶことや、現地の生徒や町の人、ホストファミリーとの
交流によって、得ることができたと思います。同じクラスで 4 週間過ごした留学生とは、授業
中に歴史や文化の交換を行ったり、休み時間に、お互いの国に旅行におすすめの場所や趣味に
ついて教えあったりしました。日本の、アニメや漫画は人気で、本当に誇れる文化であるとい
うことがわかりました。現地の生徒との交流は、こちらから積極的に話していくように心がけ
ました。日本では訪れたことのない、パブに行き、ビリヤードをして過ごす、という遊び方の
違いも実感しました。言葉の壁がありながらもとても親切に優しく接してくれました。現地の
町の人とは、大方店内での交流でしたが、もっとも驚いたことは、こちらが外国人とわかって
いても、臆することなく、英語で普通に話してくることです。日本の場合、外国人が来たとな
ると、普通の人にとって、臆するものであるというのが一般的だと思います。これは、英語が
世界で幅広く使われており、現地に旅行者も大勢訪れ、慣れているからだと思いました。ホー
ムステイをすることによって、イギリスの生活を肌で感じることができました。初めは違和感
のあった生活習慣や食事もすぐになれ、柔軟性が身についたと思います。情報収集能力におい
ては、自分が必要とする情報を様々な方法で収集することができたと思います。普段から手に
入れた情報が信憑性のあるものかどうか確かめるために、再度確かめたり、違う方法で確認を
行ったりしています。今回は、海外ということもありさらに念入りに調べました。そのおかげ
で大きな失敗をすることなく研修を終えることができました。また、ホストファミリーや学校
の先生に聞いて情報収集などをしました。適格で、現地のことは現地の人の生の声を聞くのが
一番だと思いました。このプログラムに参加した時から、チャレンジ精神は向上し続けたと思
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います。SAP というものを知ったのは 1 年生時からで、興味を持っていましたが、留学と聞く
と、なんとなく遠い存在で簡単には応募できるものではありませんでした。しかし、何か新し
いものに挑戦したい、やりたいと思ったことは、学生の今やってしまいたいという思いがあっ
たため、今回応募しました。英語力にも、コミュニケーション能力にも、自信があるわけでも
ありませんでしたが、このプログラム研修が決まった時から、英語の学習に力を入れました。
英語を話すことができるようになりたいと思っていても、何もしていなかったので、なにか行
動に移すためには、目標と、その目標によって得たものを、披露、実践する場が必要なのだと
思いました。ただ、目標を掲げたとしても、緊張感や危機感をもたらす場がなければ、その目
標が現実に達成するということは、わたしにとっては困難です。研修前の準備期間は、実践を
意識し、とても充実したものになりました。
この経験をふまえて、これからも積極的に新しいことに挑戦していこうと思います。今年度、
3 年生になり、ゼミに配属されます。生徒の自主性を重んじるゼミなので、先輩のアドバイス
を仰ぎながら、自分なりに考えて行動していこうと思います。また、来年度は就職活動を控え
ています。3 年生のうちから、準備を着実に進めておき、妥協することなく就職活動に勤しん
でいけたらいいです。4 週間イギリスで過ごしたことは、私の人生の中で自信に繋がるもので
あり、誇れるものです。これから、何か困難なものに直面した時、この経験が私の背中を押し
てくれる時がきっと来ると思います。
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イギリスで学んだ実践英語と課題
細野浩平
1. 自己の言語運用力
私が今回の SAP プログラム「イギリスで学ぶ実践英語」得られたことの一つは能動的な英語能
力です。私たち日本人は中学生から英語の学習をはじめ、現在に至るまで、かれこれ 6 年以上英語
学習してきましたが、それは主に英語で書かれた論文を読む、書くための英語であり、私たちはい
つもリーディングやリスニングなどの受動的な英語を学んできました。しかし、その結果は我々の
多くは英語を読めるが、まったく話せないという、特異な状態に陥ってしまいました。わたしもそ
のうちの一人でした。私は、高校時代から現在の日本の英語教育に疑問を覚え、受験後は話せる英
語に自らの英語を昇華したいと常々考えておりました。今回の SAP はそのことを実践にするには
絶好の機会でした。また「イギリスで学ぶ実践英語」は宿泊先がホームステイであり、単独の滞在
となるので、否が応でも英語を話さない環境であり、これは私の希望するまたとない環境と考え、
応募させていただきました。
イギリスでは、昼間は授業を受け、夕方は現地の人との交流、夜間はホストファミリーとの会話
をし、生きる英語を身に付けていきました。当初は、疑問詞の並びが瞬時に作れない、現在形で話
してしまう、三人称単数現の“s”を忘れてしまうなど、英語の文法はひどく破たんしていました。
しかし、英語は文法が雑であっても、相手に通じることが多いで、構わずできるだけ相手とコミュ
ケーションをとろうと、多くの英語を話しました。英語を話せば話すほど、自然と英語に慣れてい
くようになり、文法も自然と正しくなっていきました。また、英語を繰り返しつかうことによって、
当初感じていた英語を話すことに対する緊張が解け、現在ではリラックスしてしゃべれるようにな
り、会話も楽しむことができるようになりました。これこそが私が今回の SAP を通して新たに獲
得することができた英語運用能力です。今回で得られたものは私にとって大きなものであったと感
じております。
しかし、同時に多くの課題も見えてきました。一つは、ボキャブラリーの不足、一つは発音能力
です。
私は日本で事前に今回の渡航に備えて、受験時の単語の総復習と新たに 1000 語ほど単語を覚え
て渡ったのですが、それでもまだまだ不十分でした。なによりも、リーディングやリスニングとは
違って、字や音声といった何の情報もなく、脳内で行動や概念から単語をおもいだすのですから、
そのような方法に慣れていない私にとっては困難でした。これからは単語の学習の際は英語→日本
語だけではなく、
(日本語→)概念→英語の訓練をしなければならないと痛感いたしました。日本
に帰国してからも、記憶単語数を増やし、日本語英語相互変換できるようにしていきたいと思う。
もう一つ実感した課題は発音です。私は、いままで、発音を重視しておらず、英語を学習してき
ました。しかし、今回で発音の重要性を理解しました。昼間に実施されている授業では、世界の学
生とともに英語を学んだのですが、そこは国々様々な英語の発音の訛りがありました。ネイティヴ
との会話においては、発音はさほど重要でありません。彼らは英語のプロともいえるわけですから、
ちょっとの訛りぐらいならうまく聞き取ってくれます。しかし、非ネイティヴ同士ではどうでしょ
うか、彼らはネイティヴ英語と自国の訛り英語のみに慣れ親しんでいるので、他国の訛りは聞き取
れないことが多いのです。英語スピーカーの 80%以上が非ネイティヴといわれています。もしも、
将来英語を使用して交流を図っていきたいなら、我々は発音をネイティヴに近づけなければなりま
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せん。また、発音はリスニング能力に直結するといわれています。リスニング能力は英会話におい
て必需品です。そもそも相手が何を言っているのかわからなければ、会話が続かないのですから。
私は発音の重要性を、SAP を通して学ぶことができました。発音は一朝一夕では完成するもので貼
りません。幸い、英語発音教材はインターネット上に多数存在します。これを使用して発音の学習
も継続していきたいと思います。
2. 異文化適応
私は今回の SAP で自らの異文化適応能力により一層の自信を得ることができました。私にとっ
て異文化適応能力とは、いかに他文化に対して、尊敬の念を表しているかということだと考えてい
ます。渡航前にその国の文化やマナーを調べることはもちろん重要ですが、数日ですべてをマスタ
ーすることは不可能です。なぜならば、社会の暗黙知としての文化は非常に複雑、多種多様で数日
で理解するには膨大すぎるからです。しかし、他文化に対して、常に尊敬を表し、柔軟に対応して
いけば、異文化に適応することは容易です。要は、海外にいるとき日本の常識を捨てることが大切
です。例えば、私はホームステイ先で、たびたび、夜シャワーを浴びずに翌日浴びるようにいわれ
ました。はじめは驚きましたが、イギリスではシャワーは朝浴びるものだと知ると、すぐに受入れ、
私もイギリス式に朝にシャワーを浴びるようになりました。異文化適応とは「郷に入れば、郷に従
え」を実践することだと思います。私はそれを実行し、私自身の異文化適応能力により自信を得る
ことができました。
今後の課題は、
「より深く異文化を学ぶこと」です。たった一か月ではとてもその文化を理解し
たとは言えません。まだまだ私はビギナーであると思います。しかし、もう現地に行く機会はしば
らくないであろうとおもうので、これからは書物や記事から学んでいきたいと思います。異文化を
理解することは、英語を学ぶ、現地で生活するうえで不可欠であると考えています。次回、イギリ
スを訪れた際に、よりスムーズに現地に溶け込むために、これからも意欲的学習を継続していきた
いと思います。
3. 行動力
行動力に関しては、私が SAP で達成したことは。日本人だけで固まらず、現地の人と交流する
ことです。日本人の多くが海外に赴いた際、日本人同士で固まり、日本語しか使わなかったという
話はよく耳にすることです。私は、そのようなことでは、イギリスに来た意味がないと考え、渡航
以前から一人で行動し、現地の人と交流し、自分の英会話の実力を試すこととその向上をしようと
考えていました。そして、イギリス渡航後、休暇を使って、単独でリバプールやヨークを訪問しま
した。見知らぬ人に、道案内を頼んだり、世間話、パブでは見知らぬ人とサッカーを観賞したり、
歌を歌ったり交流を盛んに行いました。
リバプールでは、パブで知り合った人に気に入られ、いろんなことを話しました。現地の人々の
温かい交流に触れることができ、とても感動しました。シェフィールドでは、現地の人々と 1 人で
会いに行き、様々な society(こちらでいうサークルのようなもの)に参加し、積極的に交流を図りま
した。
しかし、現地で積極的に行動すればするほど、自らの英語能力の実力不足を感じました。ネイテ
ィヴ同士の会話にときたまついていけなくなったり、冗談が理解できなかったり、言いたいことが
ボキャブラリー不足で言えなかったりしました。最初の 1 週間はあまりの自分の情けのなさに涙し
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ました。現地の人々と交流したいため、より一層、英語学習に熱がはいりました。
現地の人々と親交を深めることができるレベルまで英語能力をあげるために、帰国後も英語に常
日頃から触れることが大切だと私は考えています。そのため、帰国後も英語のラジオを聴いたり、
洋画を字幕なし観賞したり、したいと考えています。また、仙台の交換留学生と極的に交流したい
と思っています。
今回の SAP によるイギリス渡航は私にとって、かけがえのない貴重な体験となりました。1 年生
の時に早く受講しておけば良かったと感じるほどです。この SAP で、多くのことが達成でき、自
分自身の成長を感じることができました。しかし同時、それ以上に多くの課題が浮き彫りになった
と私は感じています。しかし、今まで、漠然としていた課題が明確になったことで、その解決法が
明確となり、私自身の英語学習のモチベーションは果てしなく上昇しました。かねてから考えてい
た交換留学もより一段と実行したいと思うようになりました。しかし、私は来セメスターから 3 年
生となり、留学するには休学を必要とする可能性が高いので、留学できるかどうかは定かではあり
ません。しかし、間違いなく、この SAP で得られたものは多く、価値があるものであったと確信
しています。これからも、より一層、英語話者となるべく、英語の学習に精進していきたいと思い
ます。
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Sheffield 大学で学んだこと
南澤
恵
1.自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して学んだことは、スピーキングの練習の必要性を
自覚できたことである。様々な国籍を持つ学生たちと授業を共にして、わたしは彼らのスピーキン
グ能力の高さに圧倒された。一方、授業の中で扱われる題材について、リーディングや文法は非常
に簡単に感じられ、実際日本人はこの点において他国の学生よりも非常に優れていたと思う。もし
も私たちが英語の本を読むことができたら、私たちは外国の技術を学ぶことができる。よって、日
本はこれまでの時代の中で、異国から多くのことを学ばなければならなかったため、教育の中心は
インプットにあった。しかし、これから私たちに必要なのは他国にアウトプットする力であると思
う。シェフィールドでの嶋津幸樹さんの公演をきいて、わたしは尚更強くこれを感じた。私たちは、
もう大学に入ってしまったのだから、今までの英語のリーディングや文法のような偏差値教育では
なく、その一歩先の生きた英語を目指さなければならない。つまり、よりアウトプットする力、い
わゆるスピーキングの訓練をもっと積む必要があると思う。その点において、とりわけ中国の学生
は非常に優れており、彼らは授業内のディスカッションにおいても、自分の意見をしっかり主張す
る。留学中は、日本と中国の教育の違いを痛感せざるを得なかった。さらに、わたしがいくらもっ
と他国の学生やホストマザーと話がしたいと思っても、わたしの言葉が突っかかってしまって、話
が中断してしまうことが多々あった。人の話を聞くことができたとしても、自分の意見を伝えられ
ない。それはとても悔しい経験であった。今回の留学で、わたしは人生で初めてもっと英語でしゃ
べれるようになりたいと思った。
この経験をふまえて、今後はスピーキングをより意識した学習を行い、英語から日本語に変える
練習だけでなく、日本語を英語に変える訓練を積むようにしたい。島津さんに日本国内でもできる
スピーキングの勉強方法を相談したところ、毎日ひとつトピックを読み、それに関して反対の意見
を自分で述べる練習をするのが良いというアドバイスを頂いたので、今後実行してみたいと思う。
また、海外の映画作品を見るときにも、字幕と音声に着目し、実際の生きた英語がどのように使わ
れているのかに注意を払って、研究するよう努めたい。嶋津さんは、日本国内にいたとしても、毎
日積み重ねていけば、必ずスピーキング能力は向上すると言ってくださったので、その言葉を励み
にこれから頑張っていきたい。クラスのチューターの先生にもスピーキングの勉強の仕方を尋ねた
ところ、日本語が通じない人とたくさん話して練習するのが一番良いと言われた。今までは、英語
の授業中でない限り、英語で話すことは全くなかった。しかし、これからは積極的に英語を話す機
会を見つけてどんどん練習しなければならないと感じている。
今回こうして SAP に参加するまで、わたしは外国の方と話すということがどのようなことなの
かさえもわかっていなかったように思う。しかし、この一ヶ月でスピーキングにおいて、わたしは
既に必要な知識は揃っていて、あとはそれをうまく活用できる訓練をする必要があるだけだという
実感を手に入れた。また、外国の方と話す中で、特に重要な知識というものがあるということも感
じた。これらは、自分のスピーキングを改善していく過程の中で、非常に大きな一歩となったと思
う。これからは、この経験をふまえて、しっかり次のレベルへとつながる英語の勉強をしていきた
い。
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2.異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、私の日本人としての責任を感じるこ
とができたことである。イギリスでは、どこにいても私たちの行動は、「日本人の行動」として捉
えられることが多かった。例えば、もしも授業中に上手く答えられなかったら、周りの人にすぐ「日
本人は、シャイだから」と言われてしまう。そのように簡単にまとめてしまうのはどうなのかとも
思うが、彼らの発想を理解することはできた。わたしも、イギリスのバスの運転が乱暴な傾向があ
ることに対して、海外の人は雑なのだと感じてしまうことがある。私たちの行動は、常に日本を代
表する行動になりかねず、日本の印象を決めてしまうことがあるのだということがよくわかった。
今回の留学から、日本人としての私の行動にどれほど重さが有り、責任感をもたなければならない
ということを認識できた。
この経験をふまえて、これからは日本人としてより慎重に行動していきたい。これは、海外にい
るときはもちろんのこと、日本国内にいるときにも気をつけたいと思う。今回わたしがイギリスに
いるとき、多くの学生が私に対して親切にして下さり、非常に良い印象を受けた。なので、わたし
も日本に来てくれた海外の人に親切に対応することで、その人にもっと日本を好きになってもらい
たいと思った。また、日本人がシャイだと言われがちなことについて、私としては、それこそが日
本人のアイデンティティーだと思うし、そこを無理して外国の真似をする必要はないと思う。だが、
いざという時には、しっかりものを言うことはやはり大切なので、そこだけはこれから気をつけて
いきたいと思う。
また、異文化適応に関して、もうひとつわたしが達成したことがある。それは、いろんな文化を
知ることの必要性を実感できたことである。ELTC で学んでいる学生の多くは、日本に興味を持っ
ており日本の文化について尋ねられることが多かった。特にクラスメートの多くは、日本のアニメ
やドラマなどのエンターテインメントについてよく知っており、それについて話す機会が多々あっ
た。しかし、わたしは彼らの質問に対して無知な部分が多くあったように思う。彼らが読んだこと
があると言ってくれた漫画についてよく知らなかったり、また彼らは日本のことをよく知っている
のにわたしは彼らの国の文化についてあまり知らなかったりで、何も質問できないということが多
くあった。わたしはまず、日本人として日本のことを答えられないのは良くないと感じた。また、
他国について何も知らないというのは、とても相手に対して失礼であるし、もしかすると相手の国
は自分の知らないすごく良いものを持っているかもしれないと思うと、とても大事な機会を逃して
いるのではないかと感じた。例えば、わたしのクラスメートの中に上海出身の生徒がいた。上海は、
高い教育水準を維持している地域であり、その教育方法から学ぶことは多々ある。しかし、わたし
は当初そのことを全く知らず、せっかくの機会であるに関わらず、彼女がどうやって今まで勉強し
てきたのかを聞けずに終わってしまった。
この経験をふまえて、今後はただ勉強するだけでなく、もっと広く興味を持つようにしたい。日
本人はエンターテイメントに関して、今現在流行っているものに対して興味を抱く傾向があるが、
他国の人々は自分が本当に興味を持った分野を徹底的に掘り下げているように思える。イギリスで
は、周りと同じことは良いことではなく、周りと違うということが魅力的とされると、現地で知り
合ったシェフィールドの学生も言っていた。私としては、人気であるものにはそれなりの理由があ
るものだし、必ずしも悪いとは思わないが、自分自身の興味を大切にして物事を掘り下げていくこ
とは大切なことかも知れないと感じた。わたしも周りに惑わされることなく興味を持ち、他国の
人々にも話せるようなトピックをたくさん持てる人になりたい。例えば、映画を見るにしても、流
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行にとらわれることなく、いろんな国の映画見たり、いろんな国の音楽を聴いたりして、自分の知
識を広げたいと感じた。
3.行動力
行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、積極的に週末出かけることで様々なもの
を見ることができたことである。わたしは建築を専攻しているのだが、イギリスには様々な近代建
築がある。それらを実際見ることは、わたしの今回の留学の中の主な目的のひとつであった。イギ
リスには、ノーマンフォースターという優れた建築家がおり、特にロンドンには彼の作品が多くあ
り、わたしは是非彼の作品をひとつでも多く見たいと考えていた。しかし、週末の旅行は簡単なも
のではなかった。最初、わたしは学校から家までのバスに乗ることさえできなかった。自分の降り
たいバス停を運転手に説明しても、彼は私を理解してくれず、わたしはバスに乗せてもらうことさ
えできなかった。そんな私にとって、週末の旅行のためのバスをとることは非常に大変だった。多
くの困難があったが、それでも諦めなかったことによって、結果的にわたしは無事にロンドン、リ
バプール、ヨーク、エディンバラを旅行することができた。イギリスの町を歩くということは、非
常に貴重な経験であり、わたしは旅行のおかげで週末も充実した時間を送ることができたと感じて
いる。イギリスの建築には日本にはない個性があり、普段の学校の授業だけでは学ぶことができな
いようなことも、実際に学ぶことができた。未熟な私にとって建築の良さやスケール感というもの
は、写真や図面だけではわからないことが多いので今回の体験はなおさら自分のためになった。結
果的に、わたしは建築に関してより広い視野を持つことができたと思う。
この経験をふまえて、今後は自分の見たい建築を実際に見るために、見知らぬ土地だったとして
も積極的に足を運んでいきたい。実際に足を運ぶことで、よりリアルな建築の成果を感じることが
できると思う。また、今回 SAP を通して、わたしは今まで留学というのは雲の上の人がやるもの
であり、自分とは無縁のことだと思っていたが、そんなことはないのだと思えるようになった。現
地で出会った学生に、どうして今回留学したのか、今までどのような勉強をしてきたのかと尋ねる
機会が多々あった中には、自分とは比べようがないほどすごく豊かな生活を送ってきた人もいたけ
れど、今までの私の生活と変わらないような過程から、大学院で留学を目指している人もいた。
ELTC で長期留学をしている日本国内外の学生たちと触れ合う中で、やる気さえあれば、わたしも
留学することが可能なのだと思えた。わたしはこれから大学院の進学について計画を立てなければ
ならないが、今は海外へ挑戦してみたいという気持ちがとても大きくなっている。海外留学という
新しい選択肢を持って将来を考えることができるようになったことは、わたしにとって喜ばしいこ
とだと思う。
今回わたしは、新しい土地は、新しいものを経験させてくれるのだということを実際に学ぶこと
ができた。今回の SAP へ参加するという私の行動は、これからの選択肢を増やし、未来の行動力
につながるものであったと思う。これからは、臆することなくどんどん海外に挑戦していきたい。
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イギリスで学んだこと
稲垣達也
1. 自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは 3 つあります。1 つ目は外国人
と英語でコミュニケーションをとるのに苦を感じなくなったことです。プログラム前は外国人と話
す機会が少なく、外国人とコミュニケーションを取れるのかどうか不安でした。しかし、今回のプ
ログラムで授業や Society などを通じて外国人と話す機会がたくさんあり、それを積み重ねていく
ことで不安がなくなりました。これを機に、東北大学にいる外国人の学生とも積極的にコミュニケ
ーションを取っていきたいと思います。そうすることによって、自分の英語力とコミュニケーショ
ン能力を同時に高めていきたいと思います。2 つ目はリーディング力が向上したことです。私はホ
ームステイ先から学校までバスで通っていました。バスの通学時間はおおよそ 40 分で、このぼー
っとしていて無駄な 40 分間に何かできることはないかと考えたところ、バスの中に free
paper
の「Metro」が置いてありました。これは読んで時間を潰しつつ英語力をのばすしかない、と思い
発見した日から毎日 Metro を読みました。最初のほうは訳がわかりませんでした。しかし徐々に分
かり始め、海外研修の最後のほうはだいたい意味が取れるようになりました。3 つ目は英語の発音
に対する意識改革です。私が先生に一番注意されたのは think と sink の発音の違いです。先生に
いつも「Are you sinking now?」と言われました。僕は、日本の中学・高校では発音の授業を一切
やりませんでした。なので、現地での発音の授業は面白くもあり難しかったです。また、プログラ
ムに参加する前は、カタカナは英語を覚えるツールとして良いと思っていたのですがその考えは変
わりました。確かに、単語を覚えるのには効果的ですが発音すると違う発音になるということが分
かりました。例えば chocolate の発音はカタカナだとチョコレートですが、コの母音の「オ」は発
音しないと言われました。カタカナは英語の発音を覚えるのには厄介なものだということが分かり
ました。また、見えてきた課題は 3 つあります。1 つ目はネイティヴ同士の会話が聞き取れないと
いうことです。私と話すときネイティヴの方は配慮してくれるのですが、いざ「本物の英会話」を
聞いてみると聞き取るのが困難でした。2 つ目は難しい内容になると英語が聞き取れなくなるとい
うことです。週一回やや専門的な lecture があったのですが、専門用語や理解するのには背景知識
が必要なものもあり、さらに講師の話すスピードもいつもの授業より早かったので理解をするのに
苦しみました。3 つ目は、英語をきれいに話すためには英語の発音を一から見直さなければならな
いということです。海外研修前はシャドーイングを我武者羅にやっていましたがそれでは意味がな
いと思いました。日本語と英語の発音は大きく違うので、まずは英語の正しい発音の仕方を覚える
ことが大切だと思い始めました。課題としては 3 つ目が一番大きな問題であり直さなければならな
いものだと思います。
この経験を踏まえて、まず英語学習をしっかりと継続するのが大切だと思います。せっかく海外
研修に行ったのに、これで満足して学習を止めてしまったら何の意味もありません。むしろここか
らが本当のスタートだと思います。今までの英語学習法ではダメだということが分かったので、少
し時間はかかるかもしれませんがまずは自分の英語学習法を見直し確立することから始めたいと
思います。取っ掛かりとして、英語の発音記号を学習したいと思います。今まで発音記号を真面目
に勉強したことがなかったのでいざ勉強し始めてみると大きな発見がありました。それは、英語の
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母音が日本語よりも圧倒的に多いということです。まずは英語の発音記号を完璧に覚えて、正しく
英語を発音できるようになりたいと思います。また、英語を話す機会を増やすために東北大学の英
語のサークルに入ることも検討しています。今までも SLA の英会話に参加するなどして出来るだ
け英語を話す機会を作ってきました。更なる飛躍を目指すためには新たなことをしてみるのも面白
いかと思います。また、今回の SAP を通じて一番大きかったのは、長期留学をしてみたいという
気持ちが芽生えたということです。SAP に参加する前は、僕のイメージでは、長期留学は学年が下
がるし、お金がかかるし、危なそうだしやめておこうという感じでした。しかし、今回の留学を通
じて、海外で学ぶことの面白さ、他国の人と交流することの面白さを実感しました。長期留学につ
いてはまだやると決まったわけではないのですが、やると決まった時には今よりも高い英語能力が
必要となってくるので今まで以上に気を引き締めて勉強していきたいと思います。また、長期留学
についてはほとんど無知なのでこれからしっかり調べていこうと思います。次海外に行くのがいつ
になるか分かりませんが、その時に向けて日々怠ることなく勉強していきたいと思います。また、
自分の大学生活の大きな目標の一つとして、英語を身につけるというのがあるのでしっかり頑張っ
ていこうと思います。
2. 異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは 3 つあります。1 つ目は時差ぼけを
解消する力をつけることが出来たことです。去年の三月に私は入学前海外研修でアメリカのカリフ
ォルニアに二週間行きました。私は時差ボケというのを今まで体験したことがなく、すぐに直るだ
ろうと思っていました。しかし、2 週間たっても直りませんでした。なぜかというと、ホストファ
ミリーの家で変な時間に寝ていたからです。今回は前回の反省を活かして変な時間に寝るのは極力
控えました。最初のうちは現地時間の 3 時半に起きてしまうなど苦しみましたが、次第になれてい
き、一週間後には時差ボケは解消されました。しっかりとした生活リズムを確立できたおかげで、
授業を集中して受けることが出来ました。2 つ目は、イギリスの食生活に適応できたことです。以
前カリフォルニアに行った時は食が合わず下痢が出る日々でした。イギリスに行く前、イギリスの
食事はまずいと聞いていたので心配していましたが、普通に食することが出来ました。ただ、味付
けがあまりなく飽きるというのが本音でした。また、朝に昼に味気のないパンを食べていたので、
そこは毎日違う種類のパンを食べるなどして飽きない工夫をしました。1 ヶ月間日本食が恋しくな
ったことがないと言うと嘘になりますが、イギリスの食事を楽しむことが出来ました。3 つ目は、
日本のものさしではなくイギリスのものさしで生活できたことです。日本ではあまりよくないこと
と思われていることでもそれを拒否することなく、しっかりと受け止めることが出来ました。それ
によって自分の視野を広げることが出来たと思います。また、見えてきた課題は 3 つあります。1
つ目はホストファミリーの子供達とあまり会話できなかったことです。正直言ってイギリスの子供
が言っている英語はほとんど聞き取れませんでした。そのため、ボディーランゲージでコミュニケ
ーションを取るのがやっとでした。2 つ目はイギリス人とあまり喋れなかったことです。確かに色々
な国の人とお話をしました。クラスでは、休み時間に中国や韓国の学生と一緒に日本の話などで盛
り上がりました。ELTC(English Language Teaching Centre)内でもアラブ系の人やフランス人
ともコミュニケーションをたくさんとりました。Japanese Society ではイギリス人とコミュニケー
ションをとることが出来ました。しかし、Japanese
Society ではイギリス人の方が日本語で話し
てきたのでつい日本語で会話をしてしまいました。彼らの日本語力には驚きました。確実に私の英
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語力を上回っていました。帰国して冷静に考えると、生粋のイギリス人と話す機会があまりなかっ
たと思います。3 つ目は「地球の歩き方」を持って行かなかったことです。イギリスについた当初
は、週末の旅行は誰かについていけばいいやという浅はかな考えを持っていました。しかし、クラ
スメートやホストファミリーの話を聞いてみて、SAP メンバーが行きたい場所とは違った場所に行
きたいと思うようになりました。計画を立てる際は SAP メンバーに「地球の歩き方」を借りたの
ですが、いざ現地で観光となった時に「地球の歩き方」を持っていなかったので、移動するのに結
構苦労しました。
この経験を踏まえて今後海外に行くときは、出来るだけ現地の人とコミュニケーションをとる機
会を作ることを意識しようと思います。いろんな国の人と話すことは大切だと思いますが、その国
の文化を知るためにはやはり生粋の現地人と話すことがもっと大切だと思います。さらに、生粋の
現地人と話したほうがよりリアルな英語を聞くことができ、自分の英語力の向上も早いと思います。
また、海外に行くときは旅行に備えて「地球の歩き方」を持っていこうと思います。そのほうが、
旅行が格段に充実した物になります。また、現地の子供ともコミュニケーションをしっかり取れる
ように、次回までに外国の子供を惹きつけるイングリッシュスピーキング力を身につけたいと思い
ます。
3. 行動力
行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは 2 つあります。1 つ目は一人でも海外旅行
ができるという自信がついたことです。異文化適応でも述べたように、私は当初旅行を誰かについ
ていくだけにしようと思いました。その理由の一つとして、海外を一人で回るのが怖いというのが
ありました。また、駅などにたどり着けるかなどの不安もありました。しかし、いざ計画を立てて
みると日本で計画を立てるのとそこまで変わりはなく、充実した計画を立てることが出来ました。
そして、旅行当日もイギリスの町並みを楽しむことが出来ました。2 つ目は、自分ひとりだけで外
国人の集団に入る自信がついたことです。私はイギリスにいる間、Capoeira Society と Hip hop
Dance society に一人で行ってきました。Hip hop dance Society の方は、私は東北大学でストリー
トダンスサークルに入っているのでダンスの話でなんとかコミュニケーションを取れるだろうと
思っていました。実際に行ってみると、Society の人とダンスの話で盛り上がれました。しかし、
Capoeira
Society のほうは不安しかありませんでした。なぜなら、私はカポエラはやったことが
なく、またカポエラに関する知識もほとんどなかったからです。パンフレットに書いてあった
「Capoeira is a sport combining martial arts, dance, acrobatic and music」という言葉を目にし、
ダンスとアクロバットを組み合わせたスポーツは面白そうと思い参加を決めました。いざ参加して
みると、Capoeira
Society の人たちは親切で、初心者の私に丁寧に指導してくれました。異国の
地で、自分が知らなかった新しいジャンルのスポーツに挑戦して良かったと思います。見えてきた
課題は 2 つあります。1 つ目は、SAP のメンバーと共に外国人とコミュニケーションをとる際に少
し気が引けてしまったことです。SAP メンバーには僕よりも英語力が優れていたり、コミュニケー
ション力が高かったりした人が多かったです。その人たちに先を越されたというシーンが何回かあ
りました。2 つ目は行動力というより管理力になると思いますが、おこづかいが圧倒的に足りなか
った、つまり自分の金銭管理が怠っていたということです。私は、今回現金とカードを合わせて 8
万 5 千円持っていきました。2 週目の後半あたりにさすがに出費が多いことに気がつき、冷静にな
って計算してみると、圧倒的にお金が足りないことに気がつきました。これはまずいと思い先輩か
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らお金を借りました。今回はお金を貸してくれる方がいたので良かったですが、今後海外に行く際
にはしっかりとお金の管理をしようと思います。
この経験を踏まえて、今後自分よりも英語力が高い人がいたとしても、自分の英語力に臆するこ
となくコミュニケーションをとろうと思います。もちろん英語力も大切ですが、むしろそういった
積極性の大切さを今回の研修を通して学びました。また、今後海外に行くときは、プリペードカー
ドではなくクレジットカードを持っていこうと思います。今回私は日本で事前に入金をしておくプ
リペード式のカードを持っていった結果、金欠になりました。クレジットカードを持っていけば、
金欠になる恐れはほとんどありません。確かに、クレジットカードは使いすぎてしまうという恐れ
があります。しかし、お金がなくなってしまっては何も出来ません。クレジットカードによるお金
の使いすぎは自分の管理でなんとかなるので、次回海外に行くときはクレジットカードを持ってい
きお金の管理をしっかりしたいです。
イギリスでは本当に多くのことを学びました。このような経験というのは日本では決して出来ない
経験だと思います。ここに書いたことを含めて、イギリスで学んだことを今後の生活で活かし自分
を成長させていきたいです。
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イギリス短期留学を通して学んだこと
木下理子
1. 自己の言語運用力
日本で英語を学ぶのとイギリスで英語を学ぶのでは大きな違いがあることを実感した。日本では
自分の言いたいことをどのように表現すべきかわからなくなった場合に、日本語で質問することが
できるが、イギリスではわからないことを自分なりに英語を使って言いかえをしたりジェスチャー
を交えて説明したりする必要があった。
「英語を学ぶ」というよりも「コミュニケーションを学ぶ」
という感覚で4週間のイギリス生活を送った。自分の母国語が一切存在しない環境下での生活はと
ても良い経験であった。
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは大きく分けて二つある。一つは
日常会話や街中での情報収集を、自信をもってできるようになったことである。私は日本で英語を
学んでいた時は、正しい英文法と単語を使えないと話せないと思い込んでいた。そのため話すこと
に関して消極的になり、苦手意識が大きくなるばかりであった。実際にイギリスで生活すると、思
っていたほどの文法の間違いによる言葉の壁はないということに気が付いた。考えてみると日本で
生活していても日常会話は語順がバラバラになっていることは多々あるのだと気づいた。単語につ
いても一単語で直接物事を表せるものを使わずとも簡単な単語を組み合わせて表現すれば相手に
伝わると分かった。
イギリスで生活して実感したのは、英文法や単語よりも大切にするべきなのは「会話のテンポ」
であるということである。留学前の私はささいな会話も正確に表現すべく、言い直したり時間をか
けたりしてしまい何を話していたのかわからなくなってしまうことがあった。英語で話すことに慣
れてくると「正しさ」に固執せずに会話の雰囲気を大切にしてコミュニケーションをとれるように
なった。これは日本語に関しても同じことがいえる。英語は異国語であるまえにコミュニケーショ
ンツールなのだと実感した。もちろん英文法を正しく用い、多様な語彙を使いこなせるようになれ
ばコミュニケーションはスムーズに進むが、日常英会話については堅く構えずともうまくいくもの
であると実感できたのは私にとって大きな収穫である。
SAP を通して達成したことの二つ目は ELTC でディスカッションをたくさん経験し、自分の意
見を積極的に伝えられるようになったことである。自分の英語力に引け目を感じずに、むしろそれ
を上達させるためにたくさん発言し、議論できたのはよい経験になった。授業のほとんどがグルー
プディスカッションであったため、意見を言わなければ何も進まないという良い意味でのプレッシ
ャーがあったからこそ達成できたと感じている。
この経験を踏まえて、今後は英会話のレベルを上げるために「正しい」英語を使いこなせるよう
になりたいと考えている。この4週間では語学力の面でも自信という精神的な面でも自分の考えを
相手にうまく伝えられるようになるということが目標であり、それを達成できた。これからはそれ
らを基盤として語彙を増やし、正しい文法でスムーズな会話ができるようになりたい。最終的な目
標はアカデミックなプレゼンテーションができるようになることである。そのため日常英会話とは
異なり、話の筋道や表現の的確さが求められる。この目標を達成するためにこれからも英語学習を
続けていくつもりである。
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2. 異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは日本とは異なる生活を楽しみ、多様性
を学んだことである。ホームステイではイギリスの「リアルな」生活を経験することができた。私
が特に驚いたのは食事のとり方と入浴の仕方である。イギリスでは朝食は各自で準備し、毎朝パン
とシリアルを食べるというとてもシンプルなものであった。私がホームステイした家庭だけでなく
ほかの家庭でも同じだと聞き、それが普通なのだと知った。日本では朝から時間をかけて色々なお
かずを用意し、家族が集まって食べるのが私にとっては当たり前であったため、ホームステイを始
めて1週間のうちはイギリス式の朝食に慣れなかった。入浴についてもイギリスではバスタブのな
かでシャワーを浴びるだけで、日本のようにバスタブに湯を張るという発想はないようであった。
日本とイギリスの生活は違うと覚悟していたつもりであったが、いずれについても慣れるのには時
間を要した。
しかし、時間が経てば価値観や生活習慣の違いを楽しめるようになった。異文化に触れることで
自分が今まで意識していなかった日本文化について考えることができ、日本の良い点・悪い点が分
かった。
またイギリスで生活したことで、異文化適応とは単に今までの環境とはちがったものに触れてそ
れに適応することだけではなく、自国との共通点を見つけることも指すのではないかと考えるよう
になった。授業でイギリス人の特徴の一つに「謙虚」というものがあると知った。日本人と同じよ
うに周囲の雰囲気を大切にし、場合によっては自分の意見をそれに合わせることもあるそうだ。私
にとって特に印象的だったエピソードとして「イギリス人の謝罪」がある。最近のイギリスで
は”Sorry.”という本来は謝罪の意味である言葉がかなりの頻度で”Excuse me?” や ”Pardon?”の代
わりに使われており、その言葉の乱用が問題視されているそうだ。道を歩いていて誰かにぶつかっ
たときに”Sorry.”と謝罪するが、ぶつかられた側も同時に謝ることもあるらしい。実際に謝罪の意
味ではない”Sorry.”が使われている場面に立ち会ったこともある。混み合っている店内や道にいた
時に、”Sorry.”と言いながら道を開けてもらっている人を目にする機会が何度もあった。日本人の
よくある英語の間違いとして”Excuse me?”を”Sorry.”と表現してしまうことがある。イギリスで目
にしたこの状況と日本人の考え方がとても似ていて面白いと感じた。
「自分のために気を使ってく
れてありがとう。
」という意味の「すみません。」と同じ”Sorry.”という言葉に触れたことでイギリ
ス人の気風に親近感をおぼえた。
この経験を踏まえて、今後は外国人と接するときに「相違点」ばかりではなく「類似点」にも注
目したいと思った。もちろん異文化を学ぶことを通して自分の視野を広げるとともにその国の人と
接するときのマナーを身に付けられるのでそれも大切であると思うが自国との類似点を見つける
と親近感が生まれるので和やかなコミュニケーションのきっかけになると思う。何よりも、慣れな
い外国で生活するという不安の中でそれが見つかると安心するはずである。
今回の留学先であるシェフィールド大学の ELTC には英語を学びに世界各国から生徒が集まっ
ていた。その人たちとの会話のきっかけになる話題は国の文化や生活であることが多かった。それ
ぞれの国の「相違点」に驚き、そこから会話が広がることがほとんどであったが、「類似点」を見
つけたほうが心の距離が近くなるのではないかと感じた。異文化コミュニケーションではお互いの
ベースが異なるのであるから「相違点」のほうが「類似点」よりも多くなるのは当たり前である。
しかしその中でこの数少ない「類似点」を見つけたとき、心理的にもより深いコミュニケーション
ができるのではないかと思った。
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3.行動力
行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは慣れない環境に臆せずに英語を使って必要
な情報を集められたことである。留学前は自分の語学力に自信がなかったため、日常英会話にすら
物怖じして積極性を持てずにいた。しかし留学して英語を使わざるを得ない環境に置かれるとその
ようなことを気にしている場合ではなかった。見知らぬ街で道に迷い、インターネットも GPS も
使えない時は自分の行動力しか頼れるものはない。イギリスで生活している中で人に尋ねなければ
解決できないことに何度も直面した。これを繰り返したことで自分の行動に積極性が出てきた。
イギリスに限らず、外国人には自分のことは自分でやるという責任感と、分からないことは質問
して問題を解決しようする行動力を大切にする気風があると感じた。日本では「察する」という一
種の文化がある。言わなくても相手が何をしてほしいのかを周りが汲み取ろうとする姿勢が日本人
にはある。今回留学したことでこの日本の文化に頼っていてはいけないと痛感した。言わなければ
分かってもらえないため、小さな疑問でも物怖じせずに質問するように心掛けた。
成長できた面も多くあるが反省すべき点もまた多くある。その一例として、列車に乗っていた時
に鉄道会社の手違いで席の予約システムが故障して指定席の番号がチケットのものと一致しなか
ったことがある。そのためその車両ではすべて自由席扱いとなった。私はそれを知って適当な座席
に座っていたのだが、途中から乗ってきた客に席を退くように言われた。この予約システムが壊れ
てしまった状態をうまく説明してその人を納得させるべきであったが私は何も言い返せずに席を
譲ってしまった。語学力の問題もあるが、その状況に物怖じしてしまった自分に悔しさを覚える出
来事であった。
この経験を踏まえて今後は自分に自信をもって物事を主張する行動力を伸ばしたいと考えてい
る。今回の留学では自分の問題解決に関する行動力を伸ばすことができた。しかし自分の意志を相
手に伝える力は不十分であると思う。これは海外で生活しないと解決できない問題ではなく、日本
で解決すべき問題である。ELTC ではディスカッションを多く経験し、たくさん自分の意見を述べ、
話し合うことができた。しかしこれはあくまでもディスカッションを行うべき環境、つまり守られ
た環境の中で意見を述べていたにすぎない。その環境の中ではある程度は相手の言うことは理解し、
それを受け入れることが前提であった。今後はそのような守られた環境の外で自分の意見を発信す
る力を付けたいと思う。
語学学習における私の最終的な目標は、将来、自分の研究成果を世界に向けて発信することであ
る。新たな発見は簡単に受け入れられるわけではないから、議論が起こる。この場合は ELTC での
ディスカッションとは異なり、意見を「戦わせる」ことになる。ここで周りの力に物怖じせずに自
分の意見、研究について胸を張って説明する力は必ず必要になるだろう。今からでもそのような環
境に慣れ、自分の将来に生かしたいと思う。
以上に述べたように今回のイギリス留学では自分の言語運用力・異文化適応力・行動力を大きく
伸ばすことができたと実感している。母国から離れ、異国で生活することで見えてくることが数多
くありとても良い経験となった。何よりも大きな収穫は、今後自分を成長させるために何をすべき
かが明確になったことである。帰国後は積極的に大学でひらかれている英会話カフェなどに参加し、
話す力を継続して付けていくつもりである。ELTC で学んだことで、英語が使えると世界各国の人
とコミュニケーションできることが実感でき、学びの幅が広がることがよく分かった。将来、長期
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留学をし、学位を海外で取得することになったときにこの春のイギリス留学経験がきっと役に立つ
と思う。この留学経験を生かしてこれからも自分の能力を伸ばしていく努力をしたい。
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英語以外にも幅広く学んだ、4週間
佐藤
拓磨
1. 自己の言語運用能力
言語運用能力に関して、SAP を通して達成できたことは、英語を「使う」訓練を積み、英語を使
う際の頭の回転を速くできたことである。中学や高校で英語を学んではいたが、留学前まで、英語
を「使う」機会がほとんどなかった私にとって、この留学は英語を実際に使う絶好の機会であった。
朝起きればホストマザーと天気に関して chat をし、バスでは運転手に行先を伝え、クラスでは英
語で意見を述べたりプレゼンをしたりし、休み時間にはアジアの異なる国から来た学生と文化につ
いて話し、放課後には現地学生や留学生と会話を楽しみ、夕食ではホストファザーと今日のできご
とを話題にし、部屋に戻れば英語のバラエティー番組を見るなど、一日中英語に触れることのでき
る環境だった。現地到着後数日は、日本のリスニング問題ほど丁寧にはっきりとはしゃべらないネ
イティヴの英語を聞き取るのに苦労したが、だんだん慣れていき、相手が話を終えて次に自分が発
言するまでの時間は、次第に短くなっていったように思う。
私は留学の 4 週間の間、’’speak English, think in English’’ ということを心掛けていた。自分の
英語力を鍛えるために英語圏の国にいるのだから、英語を話すのはもちろんだが、話す言葉だけで
なく頭の中言葉すべてを英語にして、言語運用能力を鍛えようとした。以前苫米地英人先生の本を
読んだときに「5 分間英語だけで物事を考える」練習をすることが「英語脳」の形成の一つの訓練
方法だと知り、それを拡張して、イギリスにいる間、日本人と話しているとき以外は頭の中を英語
だけにすることを試みた。その結果、少しずつ、頭の中にある自分の言いたいことが、日本語を介
さず英語に変換できるようになったように感じる。話し相手の英語の聞き取り能力だけでなく、自
分の発言をあまり時間をかけずに英語でできる能力が身についていったことで、英会話は少しずつ
スムーズにできるようになった。
Sheffield 大学でトレーナーをしている日本人の方から、特別講義を受ける機会があった。彼は
海外の英語教育と比較した日本の指導方法のまずさに警鐘を鳴らしている人物の一人であるが、そ
の中で触れられた「中核的思考」ということが、英会話の上達に大きく関わっているように思う。
「中核的思考」とは、上に述べたような、物事のイメージとその英単語を、母語を介さずに結び付
けられる思考回路のことだという。1 か月間 ’’think in English’’ を心掛けたことで、その回路はあ
る程度増強されたが、今後も英語だけで物事を考える時間を自分で設定して、その維持・発展を続
ける必要があると感じた。
この経験を踏まえて、今後私は、Global Café など学内の国際交流の場に赴き、せめてそこにい
る間だけでも、頭の中をすべて英語にする時間を作ろうと思う。日本にいるとどうしても、日本語
で物事を考えなければいけない場面が多く、1ヶ月間の留学で身につきはじめた英語の思考回路を
失ってしまうかも知れない。大学での多くの英語の講義でも、
「英語で頭がいっぱい」という状態
にならない(なる必要がない)ので、英語を話さないとコミュニケーションがとれない状況に身を
おいて、今後英語を鍛えていきたい。
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2. 異文化適応
異文化適応に関して、SAP を通して達成できたことは、自分の文化とは異なる相手側の文化に興
味を持ち、知りたいと思えるようになったことである。私はイギリスへ行くまで海外へ出たことが
なかったので、今回初めて、日本と異なる文化を持つ人々と生活を共にすることとなった。インタ
ーネットが普及し世界中の情報を手軽に手に入れられる環境にある今でも、現地へ行って初めて知
る文化の違いがあった。
食事に関しては、パン中心であることは知っていたが、砂糖が多すぎるケーキに辟易した。バス
の利用法については、切符購入の仕方や、降りる際に運転手に’’Thank you’’などお礼の言葉をかけ
る習慣が新鮮だった。大学の図書館は 24 時間開館しており、夜中遅くまで専門書やパソコンと向
き合っている学生の姿に刺激を受けた。ある学生に聞いた話では、授業で出される課題の量が多く、
勉強時間を十分に取らないとそれらを消化できないという。普段勉学は放置でテスト前だけ詰め込
みで勉強して試験の成績を取ろうとするよりも、内容が身につくだろう。自分の専門分野を学び研
究するにあたって、日本の中だけ見ていてはいけない、と感じた。
ある日の授業の間の休み時間には、イラクから来ている Adnan という留学生から、信仰につい
て質問を受け、しばらく宗教や人生観の話をしたことがあった。多くの日本人と同じく、私は宗教
について考えたことがあまりなかったが、「日本人はあまり信仰心が強くなく、宗教について学ば
ないし、考えもしないから、わからない」と答えるたけではいけないと思い、イスラム教の死生観
や神についてどう考えているのか、尋ねた。Adnan は大変熱心にそれらについて語ってくれ、私
の宗教理解が進んだだけでなく、宗教が人生においてかなり重要な位置を占めている人々もいると
いうことを実感した。今後も宗教についていろいろな人に尋ねてみたいと思う、きっかけとなる出
来事であった。
現地で初めて知る文化の違いが数多くあったが、それらに対して否定することなく、それが彼ら
のあり方なのだと理解するようにした。また、異文化への適応は耐え忍ぶべき苦痛ではなく、むし
ろ自分の視野を広げる貴重で興味深い機会なのだと感じた。
留学に行くまで、私は異文化理解の重要性を言葉の上では理解していたものの、実際に実行しよ
うという考えに至っていなかった。しかし今回の短期留学での経験を踏まえて、私は今後も、異な
るバックグラウンドを持つ人に出会ったときには、ぜひ相手の習慣や信条について積極的に尋ね、
交流をしていきたいと思う。そのための国内での貴重な機会として、Global Café などでは、1.の
言語運用能力を鍛えるのと同時に、そこにいる人々の多様な価値観を知り、また日本人のそれを発
信してみたい。
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3. 行動力
行動力に関して、SAP を通して達成できたことは、英語で話しかけ、会話することに対して、抵
抗感をあまり感じずに実行できるようになった点である。イギリスは日本からかなり離れているた
め今後何度も来ることはできないだろうと思い、1ヶ月間という短い期間の滞在ではあるが、でき
るだけ多くの多様な経験をしようと努力した。London へ2日間、York、Leeds、Wakefield へそ
れぞれ1日間ずつの旅行を計画し、実行したほか、Sheffield 大学の学生が主体となって開催して
いる放課後のパーティーや Conversation club へ参加する、授業内で課されるプレゼンテーション
課題のテーマに自分の専門を取り上げるなど、日本で経験したことのないことに挑戦した。
York には、York 大学に交換留学している同じ寮の先輩がいたので、自分から連絡を取り、一緒
に町を一日のんびり巡った。その先輩は店の店員や駅員とのコミュニケーションをそつなくこなし
ており、英会話の成功例を見ることができた。旅行中に交換留学の苦労、講義内容についていくこ
との難しさ、かなりの時間を勉強に割いていることを聞き、日本での自らの勉学に対する姿勢を考
え直すきっかけにもなった。
放課後に参加した国際交流のためのパーティーは、東北大学で経験したものとは違い、グループ
になって着席し各々に発言機会が与えられる形式ではなかったので、「自分から英語で話しかけ、
会話をする」練習に役立った。実際様々な国から来た留学生と交流するのは興味深く、それが英会
話へのモチベーションにつながった。
私は理学部の物理系に所属しているので、授業で課されたプレゼンのテーマに、物理学の最も基
礎となる古典力学を取り上げた。普段日本語で扱っている物理用語に相当する英単語を逐一調べス
ライドに盛り込み、話す内容を構成するのは時間のかかる準備だったが、当日の発表は教員から丁
寧な発表構成だと認められた。今後研究室に配属されれば、物理を英語で議論することは珍しくな
いと聞くので、それに向けての布石となる挑戦だった。
これらの活動を行うにあたって、途中で問題に直面することも多く、その度に近くの人に英語で
質問をして解決していた。コンサートのため Leeds へ行ったときは、駅の電光表示が複雑で帰りの
電車が分からず、警備員に尋ねた。ライヴのため Wakefield へ行ったときには、会場までの道を図
書館のスタッフに質問し、教えてもらった。終電を逃して Sheffield へ帰れなくなったときも、駅
員やタクシー運転手、ホテルの管理人の方々に助けてもらい、無事帰ることができた。このような
ことは日本で経験できないものであり、英語でコミュニケーションをとって問題を解決することが
できたのは、今回の SAP で成長できた点の一つだと思う。
この経験を踏まえて、今後は、学内の国際交流できる場で、海外から来た学生とともに何か行動
を起こしてみたい。初めは食事など手軽なものに挑戦し、続いて共通の趣味などで一緒に活動をす
ることを考えている。そのためには 1.の英語の運用能力を土台として、途中で生じた問題にも英語
でコミュニケーションをとって対処していく必要があり、これを通して自らの行動力にも自信をつ
けたい。
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SAP in Sheffield を通して
新開 歩
1. 自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、やはり「英語に慣れた」とい
うことに尽きると思います。使い慣れた日本語が使えず、英語に囲まれている環境に身を置いてい
たおかげで、英語を使うことに慣れることができました。私は以前にもホームステイや海外の大学
での授業などを経験していましたが、今回のプログラムは今までと違うものでした。今までの自分
の経験と比較して、現地の学生やほかの留学生があまり積極的ではなかったので、積極性を鍛える
意味でも良かったと思います。自分が積極性を見せて話しかけなくては会話がなくなってしまうの
で、なにか会話の種を見つけ、英語を常に話しているという状況ができ、英語を話す練習になった
と思います。東北大からの同じグループの中でも英語を話したりしていたことも、英語を話すこと
に慣れた大きな理由の一つになったと思います。ホストファミリーや現地の学生と英語で会話でき
たことは自分の英語に自信を持たせてくれました。また、第2外国語として履修したスペイン語も
交流するための手段の1つとして使うことができました。まだ挨拶など限られた会話しかできませ
んが会話ができたので、もっと勉強してより話せるようになりたいです。さらに、自分にとって印
象的だったのは、帰国するとき、飛行機内や空港での日本語での記述や日本語でのアナウンスに、
違和感を感じたことです。一ヶ月で自分はこれほど英語に染まったのかと驚きました。同時に書か
れている英語や前後に流れる英語のアナウンスで安心して、そんな自分にさらに驚きました。驚い
たのと同時に、成果を感じて嬉しくなりました。
しかし、自分の英語の問題が見つかったのもまた事実です。担当の先生には、「正確性は素晴ら
しいけど、流暢さが足らない」と言われました。頭の中で文章を作ってから話していたことが原因
だと思います。言われて初めて気づきましたが納得です。確かに他の留学生と比べて、英語の瞬発
性という点は劣っていたように思います。会話の瞬発性というのは、日常会話において非常に大事
なことだと思います。考えてみると私たちが日本語でしている日常会話も、必ずしも完璧な文章だ
けで話しているわけではないので、言語の一種という同じくくりに属する英語も同様であるべきで
す。したがって、頑張って文章を話す必要はないはずだと気づきました。この流暢さを磨くために
は英語を話し慣れることが必要だと実感しました。
この経験を踏まえて、今後は日本にいながらも英語を話し慣れないといけないと思います。その
ためには、自分から積極的に英語を話せる機会を見つけていかなければなりません。東北大学に来
ている留学生と交流するであるとか、SLA などを利用して英会話の機会を増やすであるとか、英会
話のサークルなどに参加するであるとか、イギリスで身につけた積極性を発揮していかなければな
らないと思います。こういった活動に参加し、英会話をしていくことで、英語の流暢さというもの
を磨いていきます。それと並行して、英語の語彙を増やす作業もしていきます。語彙を増やすため
に最も有効なのは、やはり文章を読むことだと思います。ネットで文章を探して読んだり、イギリ
スの本屋で買ってきた本や図書館にある英語の本を読んだりして、新しい文章や単語に触れ、取り
込んでいきます。また、現地で知り合い、連絡先を交換した学生たちとも引き続き連絡をとり、お
互いに刺激を与え合います。スペイン語についても、同様の方法で学んでいきます。最終的には、
ロシア語などもっとたくさんの言語を学び、さらに交流の輪を広げていきます。これにより、将来
的に世界を舞台に活躍するための下地ができると思っています。今まで以上に忙しい日々にはなり
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ますが、時間を作って必ずやってみせます。今回のプログラムを通じて、この決意を新たにしまし
た。
2. 異文化適応
自己の異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、自分の適応力をより鍛えるこ
とができた、ということです。以前から、自分の適応力にはある程度の自信がありました。以前海
外に行ったときも簡単に適応することができたからです。しかし、今回の適応は少し大変でした。
特に大変だったのは、交通ルールと金銭感覚についてでした。東北大学の川内南キャンパス近くに
はありますが、日本全体ではあまり見かけない「リングロード」には驚きました。現地では運転は
しなかったですが、ホストファミリーの運転で何度も通りました。あくまで感覚ですが、自分だと
出たり入ったりするタイミングを逃しそうなので、ここにも思い切りの良さが表れているのだと思
いました。このタイミングをつかむ目・好機を見逃さない目というのは、日常生活だけでなく、今
後世界で活躍するためにも必要になってくるものだと思います。横断歩道を渡れる時間が短かった
ことも記憶に残っています。早く決断するように言われているように感じました。また、金銭感覚
については、単純に物価が倍近くだったので、全てが高く感じてしまいました。特に日本料理はイ
ギリスでは高級料理で、あまり食べられないと現地の学生は言っていました。お寿司もスーパーに
売っていましたが、確かに他の商品の中でずば抜けて高かったです。しかし、これは日本の感覚を
捨てることで解決しました。やはり異文化に適応しようとするならば、自分が常識だと思っている
ものを捨て去らなければならないのだと再確認しました。
この経験を踏まえて、今後は 常識を持たず、物事をフレキシブルにとらえるよう心掛けていきま
す。固定観念にとらわれない考え方ができる人物こそ国際社会で活躍している人物だと思っていま
す。近い将来、必ず必要になる能力です。東北大学における勉強や研究においても、柔軟な発想・
フレキシブルな考え方は大きなアドバンテージにもなりうると思います。さらに、固定観念を持た
ないということは、文化や宗教の違いなどの相手との違いを受け入れるということにもつながるは
ずです。違いを受け入れることは国際交流において、非常に大切で不可欠な能力です。実際に交流
をすると、この受け入れる力の大切さを実感します。イギリスで最も仲良くなった留学生で
Alejandra というコロンビアからの留学生がいたのですが、彼女の誘いでサルサクラブに行ったと
きに、ラテン系の人たちが音楽に合わせて踊っている姿をみました。聞けば、思うまま・感情のま
まに踊っているそうですが、内気と評される日本人には難しいと思いました。しかし、その違いを
面白いと思えたことで、彼らと楽しい時間を過ごせました。
相手と自分との差異を受け入れ、いいとおもったところは進んで真似て、自分のものとしていく。
固定観念にとらわれず、柔軟に問題を解決していく。そんな人物になれるよう、常日頃から注意し
て毎日を過ごしていきます。
3. 行動力
自己の行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、かなり積極的に行動することがで
きるようになったことだと思います。正直、以前の自分はそんなに積極的ではなく、むしろ消極的
と言っていいくらいでした。しかし海外に出れば、特にイギリスに行けば、交流するためには自分
が積極的に行動しなくてはなりません。先にも述べたようにアメリカと比べると、グイグイ来るよ
うな積極的な学生がそれほど多くなかったからです。現地でできた友達のほとんどは、自分から話
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しかけたから話すことができて仲良くなれました。その友達に何かのクラブ活動に誘われれば、進
んで体験しに行きました。積極的な行動のおかげで私が体験できたことはたくさんありましたが、
なかでも記憶に残っているのは、同じ留学生の Alejandra に誘われてサルサクラブに行ったこと、
Japan Society のメンバーと夜ご飯を食べ、その後にその中の一人の家に遊びに行ったことです。
Alejandra はコロンビアからの留学生だったのですが、授業が同じクラスでした。コロンビアはス
ペイン語圏だと知っていた私がスペイン語で自己紹介してみたところ、大変驚かれて仲良くなれま
した。滞在中は2人でご飯を一緒に食べたり、それぞれのホームタウンや家族のことを話したり、
英語でたくさん話しました。Alejandra は私にない流暢な英語を話せたので、話しているととても
いい刺激になりました。こうして仲良くなった Alejandra に夜やっているサルサクラブに誘われ、
ビギナークラスに行ったところ、今まで体験したことのないような雰囲気でした。そこでは男女ペ
アを作って踊るのですが、なかなか緊張しました。私にとってはダンス自体が初めてに等しかった
ので、最初は戸惑い難しいと感じましたが、いくつかのステップを覚えると段々楽しくなってきま
した。知らなかったことを知っていくことは、やっぱり楽しいと感じました。Alejandra とは連絡
先も交換したので、これからも仲良く連絡をとっていきたいです。また、Japan Society の活動は
毎週水曜の夕方から夜にかけて開催され、そこで仲良くなった学生と夜ご飯として中華料理を食べ
に行きました。余談ですが、東北大学の学生と同様、Sheffield の学生も安さと量を重視している
そうです。そこで互いのことを話しつつ、さらに親交を深めました。そこで一緒にご飯を食べたメ
ンバーはいつもその後、メンバーの一人である Frazer が作るおいしいチョコレートブラウニーを
彼の家で食べるというので、同行させてもらい、Frazer の家で日本とイギリスについて話しなが
ら楽しい時間を過ごせました。また、彼らのうちの何人かは1年以内に日本に留学に来るというの
で、連絡先を交換し、日本での再会を約束しました。彼らともいい刺激を与え合い、もっと英語を
学ばせてもらいたいと思います。このように、イギリスで積極的に行動できたおかげで、様々なチ
ャンスを得て、学生や留学生と交流し、非常に楽しい時間を過ごすことができました。
この経験を踏まえて、今後は日本にいるときでも、現地で見せた積極性を忘れず、日々を過ごし
ていきたいと思います。そうすれば、目の前に転がってきたチャンスを逃さずにトライまでもって
いけるはずです。その挑戦の一環として、私は今、総代をやっています。自分から希望して引き受
けました。これも何かのチャンスにつながると思っています。すべてにおいて自分から、を大事に
していきます。
今回のこのプログラムは、自分の英語力だけでなく、自分自身の人間力を向上させ、ひとまわり
大きな人間になることができたものであったと思います。ただ楽しいだけでなく、自分に足らない
ものも気づかせてくれました点は非常に有意義でした。この研修を経験し、今後の進路として海外
への進学が、現実的な進路の1つとして考えられるようになりました。同じ国にこもって、同じ景
色ばかり見ていては先には進めませんし、外から見て初めて気づくこともあります。中からも外か
らも物事を見られる人が先にも述べたフレキシブルな人なのだと思います。こうしたことを考え始
めるとキリがありませんが、学べることがまだこんなにたくさんあるのだと嬉しくもなり、モチベ
ーションを高めてくれます。
今回の研修をただの思い出にしないためにも、今回見つかった自分に足らない部分を鍛え、得意な
部分を伸ばせるよう、常日頃から努力をしていきます。そして、より国際的に活躍できる人材にな
り、自分の夢を追いかけたいと思います。
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イギリスでの留学を経験して思うこと
早乙女 舞
1. 自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、会話力、発音、リスニング力
の向上です。
私たちは本プログラムで ELTC というシェフィールド大学附属の語学学校に通いました。そこで
は授業は全て英語で行われました。日本人だけでなく、中国人、韓国人、サウジアラビア人、イラ
ク人など、様々な国から生徒が集まっていました。日本語では相手に通じないため、必然的に英語
を使わざるをえない状況に追い込まれました。他のプログラムでは日本人だけで授業を受けていた
らしいので、もし私たちもそうであったらここまで英語を必死に使おうという気が起こらなかった
と思います。クラスは 10 人ほどの少人数でしたが、その中でさらに4つのグループに別れ英語で
雑談をしたり、ディスカッションを行ったりしました。少人数のため、自分から積極的に発言する
ことができました。最初の頃はなかなか自分の意見を言えず黙っていましたが、最後になってくる
と、雑談を交わしながら、スラスラと話せるようになりました。難しいことを話せるようになった
というよりは、簡単な英語をスラスラ話せるようになった感じです。発音については、午後の授業
で発音に特化したコースがあり、そこで訓練しました。日本人の間であれば発音は気になりません
が、イギリス人や、他の国の人に英語で話す際は発音がしっかりしていないと聞き取ってもらえま
せん。私も色々な国の人の英語を聞いていて、それぞれなまりがあって聞き取りづらいことが多か
ったです。私はよく「r」と「l」の発音の違いについて指摘されました。何度も練習しましたが、
なかなか難しかったです。リスニングについては、他の力と比べると飛躍的な成長はありませんで
した。早口で話されると全く分からなくなることが多々ありました。ただ、その中でも相手が言っ
ていることを推測し、確認しながら話を進めることが出来たとおもいます。英会話では完璧なリス
ニング力は必要ないのかもしれないと感じました。
この経験を踏まえて、英語で会話をする機会を多く取り入れて行きたいと思います。具体的には
私が所属する EZ という英会話ゼミに多く参加し、英語で積極的に発言して行きたいと思います。
また、発音の練習を多く取り入れたいと思いました。BBC のホームページでは発音の練習ができ
るページがあります。日本語には無い発音の仕方を習得するにはとにかく真似るしか無いです。リ
スニング力も伸ばす必要があるため、BBC の放送を毎日聴きたいと思います。その3つの力をさ
らに伸ばすには語彙も必要となってきます。語彙は知り合いにお勧めされた「語源学習法」で増や
していきたいです。
2. 異文化適応
イギリスに来て驚いたのが、道路です。ラウンドアバウトは日本ではあまり見かけ
ませんが、イギリスでは交差点は全てラウンドアバウトでした。また、横断歩道も1回では向こう
側まで渡れないのが驚きでした。しかも歩行者信号が変わるのが早く、いつも走って横断していま
した。道路の他にも家がレンガ造りで統一感があり素敵だったのが印象に残っています。シェフィ
ールドはガイドブックに載っていないので田舎を想像していましたが、想像以上に都会で、大聖堂
や時計台がお洒落で驚きました。イギリスの他の都市を旅行したのですが、どの都市もレンガ造り
の景観が保たれていました。まるでテーマパークにいるかのようでした。
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イギリスの料理はまずいとよく聞きます。私も覚悟を持って行ったのですが、意外と普通でした。
私のホストファミリーが気を使ってくれたのかもしれませんし、各家庭で違うのかもしれませんが。
食事はビーンズ、パスタ、ハッシュドポテトなどファストフードが多かったです。お菓子のような
ものを夕飯にしているときもありました。最初のうちは喜んで食べていたのですが、だんだん日本
食が恋しくなってきました。日本食のすばらしさを再認識することができました。
他に興味深く感じたのがイギリス人の労働観です。私のホストファザーは会社で管理職に就いて
いますが、夜の6時には帰宅していました。また、イースターホリデーでは一週間休暇を取りスペ
インに行くそうです。日本のように無理な残業をせず、自分のプライベートを大切にしていてすば
らしいと思いました。日本もそのようになってくれれば良いと感じました。
異文化に適応することは案外簡単であると感じました。イギリスが日本とかけ離れ
すぎていないからかもしれません。思えば異文化とは他国だけではなく、自国の中にもあるのかも
しれません。この留学で日本を客観的な視点から見つめ直すことができました。
3. 行動力
行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、3つあります。
1つ目は『JAPAN Society』という団体の活動に参加したことです。せっかくシェフィールドに
来たのに、ELTC の中にとどまり、日本人同士でいるのはもったいないと思い、現地の学生と積極
的に交流をはかりました。シェフィールドに行く前に去年シェフィールドに行った先輩から学生を
紹介してもらい、こまめに連絡を取り合っていました。シェフィールドについてからは彼がシェフ
ィールドのまちを案内してくれたり、友達を紹介してくれたり、JAPAN Society の活動に連れて
行ってくれたりしました。彼の親切な行為に感動を覚えました。また、活動を通してたくさんの友
達を作ることができました。
2 つ目は『HAPPY Sheffield』という動画を制作したことです。『HAPPY』とは
Pharrell Williams さんの楽曲で、そのミュージックビデオが全世界でカバーされています。私は
以前東北大学版を制作しました。そのときに色々な部活動やサークルにお邪魔して、色々な人と知
り合いになれたので、シェフィールドでも知り合いをたくさんつくろうと思ったのがきっかけです。
Japan Society
の皆に出演してもらったり、通りすがりの人に声をかけてもらったりしてなんと
か完成させることができました。英語で出演依頼することは難しかったですが、とても良い経験に
なりました。
3 つ目は自分たちの力で週末旅行を計画したことです。シェフィールド大学
のプログラムは、他のプログラムと異なり、フィールドトリップや、現地の学生によるサポートな
どがありませんでした。そのため、それらは全部自分たちで計画しなくてはなりませんでした。私
は第一週目にロンドン、第二週目にヨーク、第三週目にエディンバラに行きました。これらの計画
は全て現地に行った後にたてました。そのため色々な困難に直面し、大変でした。まず、自宅から
駅までタクシーでいかなくてはなりませんでした。タクシーの呼び方がよくわからず、ホストファ
ミリーに聞いてみた所、電話やインターネットで事前に予約できるとのことでした。私はさっそく
インターネットでタクシー会社のサイトを調べました。日本語のページなどあるわけなく、全て英
語の中なんとか予約し、当日乗車することができました。宿も同様にして予約しました。ある宿で、
申込者がカードで支払えておらず、宿に入るためには支払いを済ませなくてはいけないことになり
ました。私と申込者は別行動でしたので、彼女が来るまで宿に入れないことになりました。その状
態であることを知ったり、説明したりするのは全て英語でした。拙い英語ながらも必死に宿主と説
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明し合うことができ、大きなトラブルを防ぐことが出来ました。電車のチケット購入も大変でした。
何度も窓口で駅員と話しあった末に一番安いチケットを聞き出すことができました。駅員の英語を
話すスピードはとても早く、聞き取ることが難しかったです。文章上のやり取りならできるのに、
会話でのやり取りはできない。ここで自分のリスニング力の無さを実感しました。
この経験を踏まえて、今後は積極的に留学生と交流をはかりたいと思います。自分がシェフィー
ルドの生活に慣れず困っているときに、現地の学生が優しくしてくれたことがとても嬉しかったか
ら、今度は自分が東北大学に来た留学生に同じようなことをしたいと思います。また、
『HAPPY 東
北大』の留学生バージョンを作りたいと思います。動画制作を通して様々な留学生と交流したいで
す
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イギリスでの1カ月滞在を通して、見えてきた課題と今後の目標
彦坂
健太
1. 自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私がSAPを通して達成したことは、自分の意図を正確に相手に伝
え、それに対する反応を正確に理解できるようになったことです。私は、週末の休暇を利用して、
様々な観光地を訪れました。例えば、マンチェスター、ロンドン、エディンバラなどです。当然、
これらの観光地を訪れるためには、公共交通機関を利用しなければいけませんでした。しかし、公
共交通機関を利用することが私にとって、一番難しかったことでした。
まず、片道チケットと往復チケットの表現が、アメリカ英語とイギリス英語では違い、私はアメ
リカ英語の方で覚えていたので、戸惑いました。アメリカ英語で片道チケットは a one-way ticket
ですが、イギリス英語では a single ticket になります。また、往復チケットはアメリカ英語で a
round-trip ticket ですが、イギリス英語では a return ticket になります。次に、自分の予約し
たい日時を指定することが大変でした。いつ、私がシェフィールドを出発し、いつ、私がシェフィ
ールドに到着するかをこちら側が伝えたつもりでもあちら側には伝わっていなかったことがあり
ました。
例えば、エディンバラからシェフィールドに帰る電車で、自分の予約していた席に座ろうとする
と、すでに一人の男性がその席に座っていました。そこで、男性にチケットを見せてもらうと、そ
こには自分と同じ席の番号が書かれていました。そのため、私は車掌にこのことを伝えると、私は
車掌にチケットの予約している日付が昨日の日付であることを伝えられました。つまり、私がチケ
ットを買う時点で、相手に自分の意図を正確に伝えることができていなかったということです。幸
い、空席に案内してもらうことはできました。
ここから、私は自分の言ったことを相手が理解してくれているだろうと思い込むことをやめ、さ
らに相手の言ったことをなんとなく理解するのもやめました。自分の言ったことがしっかりと相手
に伝わっているかを確認すること、そして相手の言っていることが分からなければ、しっかりと分
からないと伝えることが重要であると思ったからです。これらのことを意識することで、自分の意
図を正確に相手に伝え、それに対する反応を正確に理解できるようになりました。そして、次第に
言語運用能力が上がってきたという実感も留学生やホストファミリーとの会話で得られました。例
えば、中国人の人とお互いの試験制度について話し合ったり、ホストマザーとお互いの国の宗教に
ついて話し合ったりできました。これらの会話の積み重ねが自分の英語力の自信につながるのだと
感じました。
この経験をふまえて、今後は自分と相手のコミュニケーションをもっと円滑にできるようにした
いです。確かに、自分の言っていることが伝わっているか確認したり、相手の言っていることを聞
き返したりすることは重要ですが、今のままだとコミュニケーションをスムーズに行うことが出来
ません。だから、もっと円滑にコミュニケーションできるように国際交流団体に積極的に参加して
いこうと思います。
2. 異文化適応
異文化適応に関して、私がSAPを通して達成したことは、自分の感情をコントロールし、相手
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国の文化も認められるようになったことです。私は幼いころに海外に行ったことはあったのですが、
ほとんどそのときのことを覚えていません。そのため、イギリスのマンチェスター空港に着いた時
にはとても興奮していました。そして、その興奮は最初の1週間ずっと続いていました。見る景色、
食べる食事、常に聞こえてくる英語、全てが新鮮に思えました。
しかし、1週間も経つと徐々にイギリスの生活に慣れ始め、自分に合わない文化がだんだんと気
になり始めました。例えば、交通面でさまざまな問題がありました。日本ではバス停で待っていれ
ば、バスは必ず止まってくれますが、イギリスでは手を前に出さないとバスは止まってくれません。
そのことを知らなかった私は自分の乗りたかったバスを逃してしまいました。また、日本のバスは
次に停まる停留所の名前がバスの中で表示されるか、アナウンスがありますが、イギリスの場合は、
バスの中に表示もされず、アナウンスもされません。そのため、初めて乗る場合は、自分の降りた
いバス停を運転手に伝え、どこで降りればよいか教えてもらう必要があります。さらに、ロンドン
ではバスに乗車するために、チケットを事前に購入しなければいけず、そのことを知らなかった私
は、自分の乗りたかったバスに乗ることが出来ませんでした。他にも、トラムと呼ばれる路面電車
に乗る際には、乗務員に行き先を伝えて、トラムの中でチケットを買います。
さらに、私は貨幣についても同じように戸惑いを感じました。そこで、私はイギリスの貨幣制度
に慣れるという目的で、なるべくカードで払うのではなく、現金で払うようにしていました。最初
の内は、どの貨幣にどのくらいの価値があるか判断するのに時間がかかっていたのですが、使い続
ける内に徐々に慣れてきて、最終的にはおつりが戻ってこないように支払うことができるようにな
りました。
このようなさまざまな小さな違いに戸惑うようになり、その違いを感じるごとに、「日本ではこ
うだ」と思うようになっていきました。それは、食事面でも同じことが言えます。最初はそれほど
気にならなかった食事も次第に、気になり始め、日本食が食べたいと感じるようになりました。ま
た、食事中のホストファミリーとの会話では、「日本では」という言葉をたくさん使うようになり
ました。そして、一番ストレスを感じたことは、自分の気持ちを相手にうまく伝えられないこと、
相手の言っていることが分からないことです。自分にとっての最大の異文化は、言語でした。
これらに対応するために、まずは全てをポジティブに捉えるようにしました。そして、改めて自
分がSAPに参加した目的を自分自身で確認しました。自分は、これらの異文化を体験するために
SAPに参加したということを再確認し、相手の言っていることが分からないこと、自分の言いた
いことがうまく伝わらないことは当たり前で、それを少しでも改善するために、イギリスに来たと
いうことを常に心に留めておくようにしました。
しかし、文化の中で唯一理解できないことがありました。それは、宗教です。なぜ理解できない
のかというと、自分自身が特定の宗教信仰しているわけではなく、さらに、宗教に関しての知識が
とても少なかったからです。そのため、ある時、「日本の宗教行事で一番大きなものは何か?」と
聞かれた時に答えることができませんでした。この経験をふまえて、今後は宗教に関する知識を増
やし、相手の宗教に対して理解を示せるようになりたいと思います。そのために、大学で宗教学の
講義を受けるとともに、自分で自主的に図書館やインターネットなどを利用して、知識を増やして
いきたいと思います。
3. 行動力
行動力に関して、私がSAPを通して達成したことは、自分ひとりで行動し、問題に直面しても
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一人でその問題を解決できるようになったことです。もともと日本でも自分から何かを率先してや
るというよりも、他人についていくということが多かったのですが、シェフィールドでは自分が英
語をうまく話せないという思いと、先輩たちが率先してくれるという思いからはじめのうちは、自
ら行動するということはほとんどなく、誰かがやっているのを見て、真似しているだけでした。し
かし、誰かについていくだけでは、行動を起こすのが、人よりも遅れるということに気づき、また
英語を使う機会も人より少なくなっていることが分かりました。
そこで、私は週末を利用し一人でマンチェスターに行くことに決め、マンチェスターシティとい
うサッカークラブのスタジアムツアーに参加することを計画しました。そのためにまず、スタジア
ムツアーをインターネットで予約しなければいけませんでした。そこで、英文のメールをクラブ側
に送ったのですが、なかなか返事がきませんでした。そこで、再びメールを送ると次は、予約に必
要な情報を含むメールが送られてきました。さらに、マンチェスターまでのチケットを買わなけれ
ばいけませんでした。帰りの電車は間違えて鈍行に乗ってしまいましたが、チケットは正しく購入
することができました。一人で行ったことで、英語を話す機会がグループメンバーといる時よりも
格段に増えました。例えば、マンチェスターシティのショップで自分の欲しい品物がないか店員に
尋ねたり、駅で自分の目的としている場所にどうしたらたどり着けるのか聞いたり、自分の乗った
電車がシェフィールド行なのかどうか尋ねたりしました。
また、私はELTCで開かれた様々なイベントに参加しました。その中で、2つの例を紹介した
いと思います。1つ目は、毎週水曜日の放課後に開かれたフットボールです。フットボールには、
ELTCのスタッフや様々な国の出身の生徒が参加していました。そこでは、普段同じクラスで勉
強していない人とも触れ合うことができました。2つ目は、ELTCのスタッフによって開かれた
アイススケートです。このアイススケートには、最初の予定では、先輩と行くはずだったのですが、
急遽一人で行くことになりました。フットボールには日本人が数人いたのですが、アイススケート
には、日本人は私一人でほかは殆どの人が、イラク人でした。そのため、私はアイススケートに向
かう途中までは、会話にうまく馴染むことができませんでした。そして、アイススケート場に着く
と、アイススケート場は開いていなかったので、みんなで話し合ってボーリングに行くことにしま
した。ボーリングでは、日本でたくさん経験していたこともあり、接戦となってかなり濃いコミュ
ニケーションを取ることができました。
しかし、やはり英語でのコミュニケーションが円滑に進んでいたかと考えると、円滑には進んで
いなかったと思います。聞き取れない英語は簡単な英語に直してもらったり、逆に自分の英語が伝
わらないときは、理解できた人に言い換えてもらったりしていたのも事実です。この経験をふまえ
て、今後は自分の行動の幅を広げるためにも、英語のスキルアップを目指します。そのために、T
OEFLなどを定期的に受験することで、自分のレベルを知ると共に、自分の弱点を知り、英語力
の改善を目指します。
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Sheffieldで学んだこと
村松
海里
1. 自己の言語運用力
自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、3 点ある。
1 つ目はリスニング力の向上である。毎日英語に触れる中で自然と英語が耳に入るようになって
きて聞き取れるようになった。はっきりと言われればほとんど聞き取れるが、早口であったり、モ
ゴモゴしていていたりする人の話していることは聞き取れないこともあった。しかし Sorry 等と言
って聞き返せばはっきり言ってもらえるので会話は出来たし自信も付いた。またイギリスのアクセ
ントや発音にも慣れることが出来てコミュニケーションが取りやすくなったように思われる。さら
にホストファミリーとのテレビ鑑賞でもリスニング力が向上したし、ニュースの話題について話す
ことも多かったのでテレビの内容も理解できるようになったと思われる。そして、現地の語学学校
ではイギリス人教師の他に中国人、韓国人、コロンビア人がいたのでそれぞれ母国語の影響を受け
た発音があり聞き取るのに苦労したが、次第に聞き取れるようになった。英語は世界中の人々が使
用する言語なので様々な発音あると知る機会になったし、今後様々な国の人々とコミュニケーショ
ンを取る上でも役に立つと思われる。
2 つ目はスピーキング力の向上である。特にホストファミリーとの会話は日本ではまず得ること
の出来ない機会であったし、自身の英語力を試す絶好の機会であった。分からない単語があっても
ホストファミリーが言い換えてくれたので語彙力も向上し、さらに会話中に間違った文法(時制や
分詞など)を直してもらえたので会話の総合力が向上したように思われる。またホストファミリー
と学校での出来事について話すことが多く、特に授業で扱ったテーマであった環境問題、経済問題、
文化などについてイギリスと日本を比較しながら話すなど話題も高度なことが多かったが、それだ
けスピーキングの力が付いたと思い自信につながった。また日本人は YES,NO を曖昧にしがちだ
が、それだと相手は困惑してしまうことがあり YES,NO をはっきり示すことも重要なことである
と痛感した。さらにボディーランゲッジのようなジェスチャーも併せて行うことでスピーキング力
の不足を補えるので、口だけでなく全身で会話するのが重要であると感じた。
3 つ目は発音である。現地の人々の発音を聞いて真似するだけでも発音がよくなり聞き取っても
らえるようになったし、ホストファミリーにも発音がクリアで聞き取りやすいと褒められたので自
信を深めた。また発音が向上すると単語一つ一つが聞き取れるようになってリスニング力も向上に
も役立ったように思われる。また授業中にイギリス式の発音も習い意識して使うようになった。わ
ざわざイギリスの発音を学びに来ているアメリカ人がいたのでイギリスの発音を学ぶ必要性を感
じ自然と意識できるようになった。
この経験をふまえて、今後は語彙力の向上(input)と英語で会話する機会(output)を増やすこと
に取り組むが目標である。現地で非常に痛感したのは語彙力の欠如であり、他に言い換えるのが難
しいような基本的な語彙を充実させることでより難しい単語も分からなくても説明できるように
なるのではないかと思う。Input の絶対量が少なすぎたため思った以上に英語力が向上しなかった
ように感じたので今後は input の絶対量を増やすことを目標とする。また語幹を意識して学ぶこと
が飛躍的に語彙力を増加させるとアドバイスされたので、それを意識して学習する。次に、単に
input を増やすだけでは英語力は伸びないので output をすることも同様に重要である。これには
海外に行くことが最も効果的ではあったが、日本でも東北大学の留学生と日本人学生の交流サーク
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ルに参加して英語を話す機会を増やすことを考えている。帰国後も継続して英語を使用することで、
今後のさらなる留学に備えたい。
2. 異文化適応
異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、文化の違いや価値観の違いを受け入
れることが出来るようになったことである。初めは文化の違いに驚くことが多かったが、それを否
定せずに、むしろその違いを楽しむことが出来るようになった。毎日日本と異なるものが見えるの
は新鮮であったし、イギリスにはどこにでも白人、黒人、アジア人など様々な人種がいてそれが当
たり前であった。このような環境に置かれたことで逆に帰国してから移民以外のいわゆる日本人し
か電車に乗っていない光景に違和感を覚えたほどである。海外の人とコミュニケーションを取るの
に人種や国籍などは全く関係なく、大切なのはその人個人でありさらに相手の文化を否定しないこ
とも重要であると感じた。海外の人と友好関係を築こうとするならば相手の文化、価値観を否定せ
ずに話をきちんと聞くことが必要である。それさえ出来れば相手もこちらの文化や価値観を否定し
てくることもないし、無理に相手の文化や価値観に合わせる必要もないと感じた。一方で相手の文
化や価値観を聞くばかりではなく日本のそれらについて尋ねられる場面も多々あった。イギリス人
はこのことについてこう考えているが日本人はどうなのかといった、考えてみればごく自然な質問
をされた。しかし自分の日本社会に対する理解不足や教養の欠如から回答に苦労したこともあった。
特にホストファミリーから捕鯨問題について尋ねられた時は非常に困った。この問題は欧米と日本
では立場が全く逆でありどのように説明すれば理解してもらえるか悩んだ。結果的に個人的な見解
として日本の若者は鯨を滅多に食べないのでいずれ獲らなくなるだろうといった曖昧な答えしか
出来なかった。異文化を理解するためには自国の文化を深く理解することが重要であると痛感した。
この経験をふまえて、今後は外国人と積極的に交流することと自国の文化や歴史への理解を深め
ることが目標である。渡英前は外国人との交流にどことなく抵抗があったが、現地で多くの外国人
と交流してその抵抗はなくなったし、不安も消えてむしろ交流できるという自信につながった。し
たがって前述の通り留学生との交流サークルなどで外国人と交流をして自身の国際感覚をさらに
高めたい。また、外国人と交流する際に当然日本について聞かれることもあるので、きちんと答え
られるように日本社会や文化、歴史について深く学び、外国人と対等に議論できるようになりたい。
3. 行動力
行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、3 点ある。
1 つ目は自分から積極的に話せるようになったことである。日本人はよく shy であると言われ自
分もそうであったが、クラスメートの外国人の積極的に発言する姿を見て自然と自分も発言するよ
うになった。これは自分では気づかなかったことであったが、クラス担任に最終面談の際に指摘さ
れ自分の成長を感じた。またホームステイ先でも英語力を高めるためにも積極的に自分から話しか
けるようにしていたので自分から話しかけることへの抵抗がなくなった。
2 つ目は旅行を自分たちで計画して予約や行程の設定ができるようになったことでる。初めての
知らない土地でも自分で地図を見て正しい地下鉄に乗り目的地にたどり着けるようになり、また道
に迷っても警察官などに道を尋ねて無事たどりつけるようになった。事前に切符を買いに行ったり
ホテルを予約したり、当日レストランで注文したりチケットやお土産を買ったりとどれも英語が必
要であったが毎週末旅行に行くうちに自然とできるようになった。また多くの旅行は他の日本人学
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生と共に行くことが多かったが、自分の行動力を高めたいと思い独りで旅行に行ったこともあった。
途中道に迷うなどしたが迷ったらすぐに近くの人に聞いて目的地にしっかりたどり着けることが
できた。独りで旅行に行けたという自信が今後の海外旅行の不安をなくすことにつながった。
3 つ目はシェフィールド大学での様々な society 活動に参加したことである。特に Japan Society
という組織は日本に興味のあるシェフィールド大学の学生と交流が出来て日本の話で盛り上がっ
た。またイギリスのビリヤード(pool)も教えてもらい日英間の交流が出来てよかったしこういった
活動に躊躇せずに参加できるようになって今後大学院等で留学する機会があったらぜひともまた
参加したいと思うようになった。
この経験をふまえて、今後は外国人相手だけでなく日本人相手にも積極的に発言していくことと
東北大学においてもサークル活動などで自主的に動けるようになることが目標である。自分から動
かなければ何も起こらないし自分から動けば何でもできるということが留学を通して痛感したの
で今後の人生においても自分から積極的に動けるようにしたい。
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シェフィールド(イギリス)での語学留学を終えて
山川 雄大
1. 自己の言語運用力
今回 SAP に参加した一番の目的はやはり英語力の向上のためである。わざわざ海外に行かなく
ても英語の勉強はある程度できるが、とくにスピーキング力に関しては実際に英語話者の人たちと
話すことを何度も何度も繰り返すことでしか伸びないのではと、これまでのやり方に限界を感じる
ようになってきていた。この一年間、東北大学にきている留学生たちと積極的に関わるように心が
けていたが、ちゃんとした会話は全くできるようにならなかった。その最も大きな要因として、長
期に亘って継続的に英語での会話をする環境ではなかったことが挙げられる。一時英語で話そうと
努力しても、そのとき以外の大半は日本語での思考・会話となってしまうため、英語で考えて話し、
聞き取って理解するというプロセスをなかなか身につけられなかった。そこで今回、東北大学生以
外のいろいろな国からの留学生と一緒に授業を受けられて、ホームステイをしながら 1 か月間イギ
リスで現地の生活をしつつ学べるというのは、この問題点を解決する糸口になるのではと考えたの
である。
向こうでの授業は映像や写真、テキストを見て、それについて自分はどう考えるのか、自分の国
であれば状況はどう変わるのかといったことをグループで話し合ったのち講義を受けるのが主な
内容であった。授業が始まったばかりのころは、ひとことふたこと喋るだけで何も言えなくなって
しまい、それに加えて相手の言っていることが聞き取れないため議論が全く広げられなかった。毎
日同じクラスメートと会話することで時間とともに少しずつではあるが聞き取れるようになり、そ
れに伴って自分からの発言も少しずつ多くすることが出来るようになった。しかし話す時間が長く
なると同時に議論を広げられないことの原因は英語だけではないのではないかと気づいた。はじめ、
思うように発言できないのは自分の考えを表現するだけの十分な語彙がないため、また日本語で考
えてから英語に直してしまうことによるタイムロスのためであると思っていた。もちろんそれらも
要因のひとつではあるのだが、そもそも自分の中で筋の通った考えが出来ていないことによる影響
が非常に大きいということに気が付いたのである。この問題について現地滞在中考えてみた。たし
かに、今までとても多くのことを学んできたがどれも学ぶ姿勢は受動的であったと反省すべき点が
多々ある。様々な知識を得ても、それについて一度批判的な目線で見つめなおし、自分はどう考え
るのか、他人に伝える際にはどのようにしたらよいのだろうか、本当に真実なのか、と物事を多面
的に捉えることをあまりしてこなかったように思う。このことは、放課後に様々な人たちと意見を
交換し合ったときや、ホストファミリーと会話しているときに強く痛感することとなった。英語で
どう話すかという問題ではなく日本語でさえうまく自分の思いを伝えられないと感じる場面に何
度も遭ったのである。例をいくつか挙げると、「第二次世界大戦について教えて。日本の立場はど
ういうものだと考えているのか話してくれ」、
「日本は少数派に対して寛容だと思うか」、
「日本人の
宗教観はどのように変化してきて現在はどうなっているのか」、
「サラリーマンが皆同じような服装
をしているのは社会的圧力によるものなのか」、
「イギリスは移民を多く受け入れてきたが、外から
見て国は上手く機能していると思うか」などである。外国に行った際、自分はその国・地域にとっ
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て異文化であり自分の国のことや自分自身の意見について発信していく立場となる。このことを、
身をもって経験した向こうの人たちはどんどん、私はこう考えているがあなたはどう思いますかと
聞いてくる。そしてそれによってお互いに議論を深めていく。こういった向こうにとっては当たり
前の習慣にふれたとき、自分の考えの軟弱さが顕わとなった。これは、今回短期留学してはっきり
とわかった自分の弱点でありこれからの課題であった。今後自分を外部へと発信していく機会はま
すます多くなっていくことであろう。その際、発せられる言葉は全て自分自身の考えのもとに成り
立っているべきである。これまでのように生活していくのであれば何も変わらない。身の回りで起
きている出来事、これまで得た知識、人との交流によって得られる感情、そういったものをきちん
と受け入れたうえでいろいろな角度から眺め、自分の考えを付加させ、生き生きとした使える知識
にしていくプロセスを徹底してやっていこうと強く思った。これは英語だけの問題ではないが自分
の考えをしっかり持っておくことは結果的に外国語での会話もより実りのあるものにするはずで
ある。このように、貧弱な語彙と芯の通っていない知識を抱えながらお互いの意見をぶつけ合うと
いうのはとても大変であったが、逆に英語で強制的に考えさせられたのはスピーキング力を鍛える
うえでとても有効であったと感じている。辞書を使用して会話することも度々あったがやはり会話
の流れを乱してしまう。そこで先生からの助言もあって、どう言えばいいのかわからない表現もで
きるだけ別の言葉で説明するように心がけていた。これによって日本語で考えてから英語に直すと
いう癖を少し矯正できたように感じる。
授業で主に自分の考えを相手にどう伝えるかということに焦点をあてていたのに対し、ホームス
テイ先での日常生活は「英語で話す」という壁を低くしてくれた。今まで、外国人に英語で話しか
けることに対してとても高い壁を感じていた。それによって会話も消極的になってしまい思うよう
に話すことが出来なかった。このことは以前からわかっていたが、なかなか改善できずにいた。し
かし今回 1 か月という、そこそこの期間、同じ屋根の下で外国の方と暮らす環境ではその壁をなん
とかしなければいけなかったなにしろコミュニケーション手段は英語のみで、食事の時の会話、洗
濯や掃除に関するやり取り、ジョークなど日本で何気なくやりすごしていたことをこなしていかな
ければならない。はじめのうちは聞きたいことがあっても直ぐに話しかけることが出来なかった。
しかし、その日あった出来事などを自分から積極的に話すように意識してみると自分が思っていた
よりも英語での日常会話というのはそんなに大層なものではなく、むしろ楽しめていることに気づ
き、それからは話しかける壁というものをあまり感じなくなった。もちろん先述したように自分の
意見を求められたときに思うように伝えられたわけではない。それでも相手と日常生活を難なく送
れるような意思疎通ができ、談笑しながら食事することが出来るようになったのはとても自信にな
った。いままで難しく考えすぎていたのだと反省し、帰国後ももっと積極的に話しかけていこうと
思えた。
2. 異文化適応
滞在中、ホームステイ先でも、学校のあるシェフィールドをはじめとする実際に訪れた様々な都
市でも、それほど大きなカルチャーショックは受けなかった。驚いたことといえば、想像していた
よりも汚かったイギリスの街と、歩行者用信号を守らないこと、そして日本とはまるで違う食事で
ある。渡英前はイギリスに対してきれいな街並みを想像していた。しかし実際は日本に比べてはる
かに多くのゴミ箱が設置されているにもかかわらず、道端はゴミだらけであった。なぜゴミ箱があ
るのにその中へ捨てないのか、どうして収集業者は周囲のゴミも一緒に回収しないのか、ゴミ箱が
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あまりないのにわりときれいに保たれている日本に住んでいる自分からすると理解できなかった。
横断歩道にしても日本とは異なり、大抵の人は車の合間を縫って渡っていく。一見、渡れるときに
渡るというのは合理的な気もするがそれならばなぜ信号があるのだろう。
異文化に適応するとはどういうことをいうのであろうか。郷に入っては郷に従って、現地の人々と
同じように行動することであろうか。ある程度の期間生活してみても、やはりゴミはきちんと捨て
て街をきれいに保つべきだと思うし、決められたルールは(守るに値する公正なもので秩序を管理
する役割を担っているのであれば)守るべきだと思う。この考えは、今まで生きてきたうえで培わ
れた価値観に囚われて異なる文化・考え方を否定するものであるのか考えてみたが、まだ結論は出
ていない。「適応」というものが、今までの経験とは異なるものを一度受け入れて、実際にそれに
倣うものであるならば適応したとはいえないであろう。街はきれいであるべきだというのも、現在
の自分の価値観に基づいて判断している訳で、適応というものを上述のように定義するならば適応
には価値観の変化が伴うわけで、今回そこまでの大きな変化はなかった。けれども、事実を単に受
け入れるだけならば、強烈な嫌悪感を抱くことはなかったので、可能であったといえるだろう。
3. 行動力
授業後に conversation club というものが週一回あったのだが、これに参加している他の国から
来た留学生たちはかなり話せる方であった。そんな中自分の順番が回ってきてその人たちの前で話
すというのはとても緊張したし、恥ずかしいという思いもあって逃げ出したくなることもあった。
しかし今回は、何かに迷ったらとりあえずやってみると決めていたので一応全て参加した。何も話
せないこともあって自信を無くした時も多々あったが、振り返ってみると総合的には自信がつき、
参加してよかったと思っている。その他にも、現地の人とできるだけ話す機会を得るために書店の
いろいろな店員さんに何度も話しかけてみたり、ホストファミリーに話しかけたりとせっかくの機
会を有効に活用できるように行動できたのではないかと思う。
自分から行動してみないと得られなかったこともあり、やらないくらいだったら些細なことでもど
んどんやっていこうと改めて感じた。
今回の留学で強く再認識させられたのは、英語というものは単なる情報交換のためのツールであ
るということである。英語を学んでいるとき、どうしてもそれを使うこと自体に目がいっていたが、
これでは手段と目的とを取り違えてしまっている。英語をはじめとして外国語を習得する目的は何
のか。それは言語というツールを使ってより多くの人々、知識と出会うことで、自分とは異なる価
値観やものの考え方に触れて、自身の内面や新しいモノをより良く創りだしていくことだと思う。
このことを実際に感じられたこの留学は、これからの言語学習を正しく進めていくにあたってとて
も価値あるものであった。
このような留学を支えてくださった東北大学、ホストファミリー、一緒に行った仲間たち、そして
両親に心から感謝したい。
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【研修の写真】
クラスメートと
プレゼンテーションの様子
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現地学生と共に講義を受けて
学期の最終日の遠足にて
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