東京都健康長寿医療センター 臨床研究取扱要綱 平成27年7月1日作成 第1版 第1章 目的 この要綱は、東京都健康長寿医療センター(以下「センター」という。)において行う人を対象とし た臨床研究に関する事項を定めることにより、ヘルシンキ宣言に基づく被験者の人権の保護、安全の 保持及び福祉の向上を図り、倫理的な配慮のもとに科学的かつ適正に臨床研究が実施されることを目 的とする。 第2章 通則 1.センターで実施する人を対象とした臨床研究の取扱いは以下の規則に従う。 (1) 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法) 」 (昭和 35 年法律第 145 号) (以下、法とする) (2) 「医薬品の臨床試験の基準に関する省令」 (平成 9 年 3 月 27 日付厚生省令第 28 号) (以下、GCP 省令とする) (3) 「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」 (平成 16 年 12 月 20 日付厚生 労働省令第 171 号) (以下、GPSP 省令とする) (4) 「医療機器の臨床試験の基準に関する省令」 (平成 17 年 3 月 23 日厚生労働省令第 36 号) (以下、医療機器 GCP 省令とする) (5) 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成 26 年文部科学省・厚生労働省告示第 3 号) 、 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」 (平成 27 年 2 月 9 日公布、3 月 31 日一部改訂) (以下、倫理指針とする) (6)厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest:COI)の管理に関する指針(平成 20 年 3 月 31 日科発第 0331001 号厚生科学課長決定、平成 27 年 4 月 1 日 一部改正) (以下、COI 指針とする) (7) 「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」 (平成 25 年文部科学省・厚生労働省・経済産 業省告示第 1 号) 2.センターで実施される人を対象とした「臨床研究」とは次の研究、調査、試験を指す。 (1)GCP 省令に規定される「治験」 (2)GCP 省令及び GPSP 省令に規定される「製造販売後臨床試験」 (3)GCP 省令に規定される「医師主導の治験」 (4)医療機器 GCP 省令に規定される「医療機器の治験」 (5)GPSP 省令に規定される「使用成績調査」「特定使用成績調査」「副作用・感染症症例調査」 (6)倫理指針に規定されるその他の「研究」 3.製造販売後臨床試験に対しては、GCP 省令第 56 条に準じ、 「治験」とあるのを「製造販売後臨床 試験」と読み替える。 4.医療機器の治験に対しては、医療機器 GCP 省令第 2 条及び第 76 条に準じ、 「医薬品」、 「治験 薬」及び「副作用」とあるのを、 「医療機器」、 「治験機器」及び「不具合又は不具合による影響」 と読み替える。 1 5.本手順書では「新たな「治験の依頼等に係わる統一書式」の一部改正について」 (平成 26 年 7 月 1 日医政研発 0701 号・薬食審査発 0701 号)で示されている書式と、センター固有の書式を使用する ものとする。(別添①参照) 第3章 用語の定義 本要綱において、次の各号に定める用語は当該各号に定めるところによる。なお、その他の用語の 定義は、GCP 省令、医療機器 GCP 省令第 2 条、倫理指針、及び COI 指針によるものとする。 1.治験 法 14 条第 3 項(同条第 9 項、第 19 条の 2 第 5 項において準用する場合を含む。)の規定により、医 薬品又は医療機器(以下「医薬品等」という)等の製造販売承認(製造販売承認事項の一部変更承認を 含む)を申請するに際し提出すべき資料のうち、臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とす る臨床試験をいう。 2.製造販売後臨床試験 GPSP 省令第 2 条第 4 項に規制する臨床試験をいう。 3.医師主導の治験 医師あるいは医療機関主導で企画・立案し、治験計画届を提出して治験を行うこと。医師自らが、 治験実施計画書等の作成から始まり、治験計画届の提出、治験の実施、モニタリングや監査の管理、 試験結果を取りまとめた総括報告書の作成など、治験のすべての業務の実施並びに統括を行う。 4.使用成績調査・特定使用成績調査 製造販売業者が、診療において、医薬品を使用する患者の条件を定めることなく、副作用による疾 病の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報の検出又は確認を行う調査をいう。 なお、特定使用成績調査は、使用成績調査のうち、製造販売業者が、診療において、小児、高齢者、 妊産婦、腎機能障害又は肝機能障害を有する患者その他医薬品を使用する条件が定められた患者にお ける副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報の検出又は 確認を行う調査をいう。 5.治験責任医師 センターにおいて、当該治験等に係る業務を統括し、治験の実施に関して責任を有する医師又は歯 科医師をいう。 6.治験分担医師 センターにおいて、治験責任医師の指導の下に当該治験等に係る業務を分担する医師又は歯科医師 をいう。 7.治験協力者 センターにおいて、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協 力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。 8.自ら治験を実施しようとする(実施する)者 その所属する実施医療機関等において自ら治験を実施するために法第 80 条の2第2項の規定に基 づき治験の計画を届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師(一の治 験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項 の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする治験調整医師となるべき医師又は歯科医師を含む。 )を 2 いう。 9.研究責任者 研究の実施に携わるとともに、所属する研究機関(実施医療機関)において当該研究に係わる業務 を統括する者をいう。 (治験における治験責任医師と同義) 10.研究者等 研究責任者その他の研究の実施(資料・情報の収集・分譲を行う機関における業務の実施を含む) に携わる関係者(医師)をいい、研究機関(実施医療機関)以外において既存試料・情報の提供のみ を行う者及び委託を受けて研究に関する業務の一部に従事する者を除く。 11.治験薬提供者 自ら治験を実施する者に対して治験薬を提供する者をいう。 12.被 験 者 治験薬を投与される者若しくは治験機器を適用される者又は当該者の対照とされる者をいう。 13.研究対象者 次に掲げるいずれかに該当する者(死者を含む)をいう。 (1)研究を実施される者(研究を実施されることを求められた者を含む) (2)研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者 14.負担軽減費 治験参加により生じた被験者の時間的な高速、来院に伴う交通費の増等、物心両面における種々の 負担を軽減する目的で被験者に支払われる臨床試験審査委員会の承認を得た一定金額をいう。 15.原資料 被験者に対する治験薬の投与又は治験機器の適用及びその診療により得られたデータその他の記録 をいう。たとえば、被験者に係わる診療録、検査ノート、治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の 再現と評価に必要な記録を指す。 16.試料・情報 人体から取得された試料及び研究に用いられる情報をいう。 第4章 センター長の責務 1.センターにおいて実施される人を対象とした臨床研究の最終的責任は、東京都健康長寿医療セン ター センター長(以下「センター長」という。 )に属する。 2.センター長は、臨床研究を適正かつ円滑に実施する体制を整えることを目的として、必要な手順 を定めるものとする。 3.センター長は、法令等に従い必要な組織を整え、所定の職員の配置及び指名を行うものとする。 (1) 「臨床試験審査委員会」 (以下、委員会とする)を設置し、その委員会の委員を指名する。 (2)治験薬及び治験機器(以下、治験薬等とする)の管理責任は、センター長が負うものとし、治 験薬等を保管・管理させるために治験薬等管理者を指名する。なお、医療機器は試験毎に指名する。 (3)センター長は、臨床研究の円滑な実施を目的とした事務等を行う「臨床試験管理センタ―」を 設置し、その臨床試験管理センター長を指名する。 3 なお、臨床試験管理センタ―は臨床試験審査委員会の事務局も兼ねるものとする。 (4)センター長は、センターにおいて保存すべき文書や情報等の保存責任者を指名する。 第5章 臨床試験審査委員会 1.センター長は、人を対象とした臨床研究に対して「東京都健康長寿医療センター臨床試験審査委 員会」 (以下「委員会」という。 )をセンターに設置する。 2.GCP 省令で規定されている治験審査委員会、及び倫理指針に規定されている倫理審査委員会は、 本委員会を指すものとする。 3.委員会は、センターで行われる人を対象とした臨床研究全てについて、ヘルシンキ宣言に基づく 人間の尊厳及び人権、安全及び福祉の保護並びに倫理的な配慮のもとに、科学的かつ適正に実施され るよう、審査を行うものとする。 4.委員会は、委員長が召集するものとする。 5.センター長及び委員会は、他の医療機関からセンターで実施中又は実施予定の治験に係る代理審 査の依頼があったときは、センターの治験責任医師が推薦する医療機関に限り、これを受けるものと する。 6.センター長は、委員会の事務及び支援を執り行う部署を設置する。 第6章 臨床試験管理センターの設置等 1.センター長は、センターで行われる臨床研究に係わる事務及び支援を行うために「臨床試験管理 センター」を設置する。 2.センター長は、臨床試験管理センターのセンター長を指名する。 3.臨床試験管理センターは、臨床試験審査委員会の事務及び支援も併せて行う。 第7章 臨床研究の受託 1.センターで受託できる臨床研究は、次のとおりとする。 ・医薬品 ・医療機器 2.依頼申請 (1)センター長は、事前に治験責任医師/研究責任者より提出された「治験分担医師・治験協力者リ スト」/「研究責任者/研究者等のリスト」に基づき、臨床研究の重要な業務の一部を分担させる者 を了承するものとする。 なお、企業治験の場合は、その写を依頼者に提出する。 (2)センター長は、治験に関する治験責任医師と治験依頼者との文書による合意が成立した後、治 験依頼者に治験依頼書とともに治験実施計画書等の審査に必要な資料を提出させるものとする。 (3)医師主導治験の自ら治験を実施する医師、及び研究を行う研究責任者は、各々依頼書とともに 審査に必要な資料を提出するものとする。 4 3.受託の決定等 (1)受託の決定は、委員会の審査結果に基づき、センター長が行うものとする。 (2)センター長は、センターの業務に関連のない臨床研究、また、他の職務に支障を及ぼすおそれ があると判断される場合や受託することが適当でないと認められる場合については了承しない。 (3)センター長は、治験責任医師や研究責任者等から研究の継続に影響を与えると考えられる事実 又は情報について報告を受けた場合には、必要に応じて委員会に意見を求め、速やかに臨床研究の 停止、原因の究明等の適切な対応をとらなければならない。 (4)センター長は、治験責任医師/研究責任者に対して臨床研究の受託の決定をする前に、「審査依 頼書」 、 「治験責任医師及び治験分担医師の履歴書」及び治験実施計画書等の審査の対象となる文書 を臨床試験審査委員会に提出し、センターでの受託の可否について意見を求めるものとする。 (5)センター長は、委員会がセンターでの受託を承認する決定を下した場合は、センター長の指示・ 決定を「審査結果通知書」の写し及び委員会の議事録の写しにより治験責任医師/研究責任者、及び 治頼者に通知するとともに理事長に連絡する。 (6)センター長は、委員会が修正、変更等を条件に臨床研究の受託を承認した場合は、治頼者及び治 験責任医師/研究責任者が治験実施計画書等/研究計画等の修正、変更等を行った旨を「治験実施計 画書等修正報告書」及び該当する資料を、臨床試験審査委員会に提出させるものとする。 センター長は、この修正結果について「治験実施計画書/研究計画書等修正確認書」を委員会から 受け取るものとする。 (7)センター長は、委員会が臨床研究の受託を保留又は却下する決定を下し、その旨を通知してき た場合は、センターでの受託を了承することはできないものとする。センター長は受託を了承でき ない旨の決定を審査結果通知書の写しにより治験責任医師/研究責任者、及び依頼者に通知するもの とする。 (8)センター長は、依頼者等から委員会の審査の結果を確認するために、審査に用いられた治験実 施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。 4.契約 (1)契約、経理については、東京都の通知に定めるところによるものとする。 なお、やむを得ない事由により治験を中止、中断又はその期間を変更する場合においても、その 責を負わないこととする。 (2)契約時には、以下の内容を依頼者、又は研究責任者、自ら治験を実施する者と検討しておくこ ととする。 ① 経費により取得した物品等は、終了後も返還しないこと。 ② 臨床研究に随伴して生じた特許権、実用新案権及び意匠権(以下「特許権等」という。 )を受 ける権利は、当該治験責任医師/研究責任者が取得するものとし、当該権利又は当該権利に基づ く特許権等はセンターが承継するものであること。 (3)研究責任者、及び自ら治験を実施する者は、必要に応じて、当該臨床研究に関連して被験者/ 研究対象者に生じた健康被害に対する補償を行うために、あらかじめ、保険への加入その他の必要 な措置を適切に講じなければならない。 (4)研究費が請求書に定めた期限までに納入されなかった場合は、原則、契約は解除するものとす る。 (5)理事長は、業務の一部を委託する場合には、業務の範囲、委託業務の手順に関する事項等につ いて契約を締結するものとする。 (6)治験責任医師は、契約書、必要に応じ覚書及び契約内容変更に関する契約書に記名又は署名し、 捺印と日付を付すものとする。 (7)治験の場合は、被験薬の品質、毒性、薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必 要な試験を終了していること。同様に、医療機器の治験の場合も、被験機器の品質、安全性、性能 等に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験を終了していること。 5 5.治験実施計画書等/研究計画書の変更 (1)センター長は、臨床研究の実施期間中、委員会の審査対象となる文書が追加、更新又は改訂され た場合は、治験責任医師又は治験依頼者/研究責任者から「変更申請書」及び当該文書の全てを提 出させ、 「審査依頼書」に添付し、試験の継続の可否について、委員会の意見を求めるものとする。 (2)センター長は、委員会が臨床試験の変更の可否を決定した場合は、これに基づくセンター長の指 示・決定を、 「審査結果通知書」の写しにより、治験責任医師及び治験依頼者/研究責任者に通知す るものとする。 6.臨床研究の継続 (1)センター長は、臨床研究の実施期間が 1 年を超える場合には、1 年に 1 回以上、治験責任医師 /研究責任者に「実施状況報告書」を提出させ、「審査依頼書」及び実施状況報告書の写しを委員会 に提出し、試験の継続について委員会の意見を求めるものとする。 (2)センター長は、委員会の審査結果に基づき、 「審査結果通知書」により、治験責任医師及び治験 依頼者/研究責任者に指示・決定を通知するものとする。なお、修正を条件に承認する場合には、 上記 3(6)に準ずるものとする。 (3)センター長は、委員会が実施中の臨床研究の継続審査等において、委員会が既に承認した事項の 取り消し(中止又は中断を含む)の意見を通知してきた場合は、これに基づくセンター長の指示・決 定を「審査結果通知書」により治験責任医師及び依頼者/研究責任者に通知するものとする。 (4)センター長は、依頼者から委員会の継続審査等の結果を確認するために、審査に用いられた治 験実施計画書/研究計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなけれ ばならない。 第8章 治験実施計画書等/研究計画書の逸脱 1.センター長は、治験責任医師が被験者の緊急の危険を回避するため等、医療上やむを得ない理由 により治験実施計画書から逸脱し、 「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する 報告書」により報告してきた場合には、委員会の意見を求め、センター長の指示・決定を審査結果通 知書により、治験責任医師/研究責任者及び依頼者に通知するものとする。 2.センター長は、依頼者より「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通 知書」を受け取った場合には、写しを治験責任医師に提出するものとする。 3.センター長は、研究者等から、研究の実施の適正性(研究計画に基づく研究対象者の選定方針や 研究方法からの逸脱した等の事実や情報) 、若しくは研究結果の信頼を損なう事実若しくは情報(研究 データの改ざんやねつ造といった事実や情報) 、又は損なうおそれのある情報を速やかに得るものとす る。 第9章 安全性情報 1.重篤な有害事象の発生 センター長は、治験責任医師/研究責任者が「重篤な有害事象に関する報告書」 、又は「重篤な有害 事象及び不具合に関する報告書」により報告してきた場合には、治験責任医師/研究責任者が判定した 治験薬等との因果関係並びに予測性を確認し、臨床研究の継続の可否について委員会の意見を求め、 センター長の指示・決定を治験審査結果通知書により治験責任医師及び治験依頼者/研究責任者に通知 するものとする。 2.重大な新たな安全性に関する情報の入手 センター長は、依頼者より「安全性情報等に関する報告書を入手した場合には、治験の継続の可否 について治験審査委員会の意見を求め、センター長の指示・決定を「治験審査結果通知書」により治 6 験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。 3.研究における安全性に関する情報の入手 センター長は、臨床研究の研究責任者または研究者等から、研究の継続に影響を与えると考えられ る事実又は情報について報告を受けた場合には、必要に応じて委員会の意見を求めるものとする。 なお、必要に応じて速やかに、研究の停止、原因の究明等、適切な対応をとらなければならない。 第10章 臨床研究の中止、中断及び終了 1.センター長は、治験依頼者が治験薬の開発中止等を決定し、その旨を「開発の中止等に関する報 告書」で通知してきた場合には、その写しに記名捺印又は署名し、治験審査委員会及び治験責任医師に 速やかに通知するものとする。なお、通知の文書には、中止又は中断についての詳細が説明されてい なければならない。 2.センター長は、治験責任医師/研究責任者が臨床研究を終了、中止又は中断し、その旨を「終了(中 止・中断)報告書」で通知してきた場合には、その写しに記名捺印又は署名し、臨床試験審査委員会及 び依頼者に速やかに通知するものとする。 3.研究についても、研究責任者は、研究の中止、中断、終了したときは、速やかにその旨を文書に よりセンター長に報告すること。センター長は、速やかにその旨を委員会に文書により通知するもの とする。 第11章 公表・報告等 1.センター長は、製造販売承認の報告を受けるものとする。 2.センター長は、研究結果等の情報が適切に公表されることを確保しなければならない。 3.センター長は、センターで実施している又は過去に実施した研究について、倫理指針に適合して いないことを知った場合には、速やかに委員会に審議を要請し、その結果に基づき、適切な対応を行 う。 なお、不適切の程度が重大である場合は、その対応の状況・結果を厚生労働大臣に報告し、ホーム ページ等で公表する。 4.センター長は、侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う研究であって介入を行うものの実施について、 予測できない重篤な有害事象が発生した場合、当該研究との直接な因果関係が否定できないときは、 第 9 章の1の対応の状況・結果を速やかに厚生労働大臣に報告し、ホームページ等で公表する。 第12章 治験薬等、治験機器等の管理 1.センター長は、医薬品の治験を行うに際して、治験薬の管理者を置き、センターにおける全ての 治験薬を適正に管理させるものとする。 2.センター長は、医療機器の治験を行うに際して、治験機器の管理者を置き、センターにおける全 ての治験機器を適正に管理させるものとする。 第13章 モニタリング及び監査 1. センター長は、モニタリング及び監査並びに委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れる ものとする。これらの場合には、モニター、監査担当者、委員会又は国内外の規制当局の求めに応じ、 原資料等の全ての記録を直接閲覧に供するものとする。 7 2.センター長は、センターにおける研究が倫理指針に適合していることについて、大臣又はその委 託を受けた者(以下、大臣等という)が実施する調査に協力しなければならない。 第14章 記録の保存 1.センター長は、本センターにおいて保存すべき文書等(研究に用いられた情報等含む)の保存責任 者を定め、必要な期間保存するものとする。 2.センター長は、人体から取得された資料及び情報等の保管に関する手順書を作成し、適切に保管 されるよう必要な監督を行う。 3.センター長より、任命された保存責任者は、次のとおり文書等を保管する。 (1)臨床試験管理センター センター長 ・ 受託に関する文書等 ・ 委員会に関する文書等 ・ 本センターの手順書等(臨床試験実施要綱、各標準業務手順書等) ・ 治験責任医師が保存すべき文書(治験終了後) ・ 直接閲覧、監査及び調査に関する文書等 (2)カルテ等原資料保存責任者 診療録、検査データ、同意文書等 (3)治験薬等管理者 治験薬等に関する記録、文書等 (4)総務課長 契約書等 (5)研究責任者 ・研究に用いられる情報及び当該情報に係わる資料(以下、情報等とする) ・人体から取得された資料及び情報等 4.保存期間 センター長は、医療機関において保存すべき文書・情報等を下記のいずれか遅い日まで保存するも のとする。ただし、契約書等にてこれよりも長期間の保存を要する場合はこの限りではない。 <治験> 治験薬に係る製造販売承認日あるいは開発中止が決定された日から3年が経過した日、又は治 験の中止又は終了後3年が経過した日 <臨床研究(治験等を除く)> 臨床研究の情報等について、可能な限り長期間保管することとする。 なお、侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う研究であって介入を行うものを実施する場合には、 少なくとも、当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日、又は研究の結果 の最終の公表について報告された日から3年を経過した日 <利益相反> 5年 第15章 記録の廃棄 「地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター文書管理規定」 (平成 26 年法人規程第 127 号/平成 27 年 4 月 1 日改正)に準じて文書の廃棄を行う。 第16章 教育・研修 1.センター長は、研究に関する倫理並びに研究の実施に必要及び技術に関する教育・研修を受ける ための措置を講じなければならない。 8 また、センター長自らもこれらの教育・研修を受けなければならない。 2.この教育・研修の内容は、倫理指針等の研究に関して一般的に遵守すべき各種規則に加えて、研 究活動における不正行為や、研究活動に係る利益相反等についての教育・研修を含むものとする。ま た、研究の実施に当たって特別な技術や知識等が必要となる場合は、当該研究の実施に先立ち、それ らの技術や知識等に係る教育・研究を受ける必要がある。 第17章 健康被害の補償 医師主導の治験、及び研究においては、研究対象者に健康被害が生じた場合、これに対する補償そ の他の必要な措置を講じなければならない。 第18章 利益相反の管理 治験責任医師、治験分担医師、治験協力者等、研究責任者、及び研究者等は、臨床研究を実施する ときは、個人の収益等、当該研究に係る利益相反に関する状況について、その状況を研究責任者(治 験責任医師)に報告し、透明性を確保するよう適切に対応しなければならない。 なお、その状況については、IC時に被験者/研究対象者等に説明しなければならない。 第19章 個人情報 1.治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、研究責任者、及び研究者等及びセンター長は、以下 の法律等を遵守すること。 (1)個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号) (2)行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号) (3)独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律( (平成15年法律第59号) (4)地方公共団体において制定される条例等 2.センターで実施される臨床研究については「地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターが保 有する個人情報の保護に関する要綱」 (25 健総第 5225 号/平成 26 年 3 月 31 日改正)に準じて実施す ること。 3.センターにおける臨床研究に関わる全ての職員は、その職にあるか否かに関わらず職務上知り得 た被験者/研究対象者、医薬品等、資料等に関わる情報を他に漏らしてはならない。 第20章 経費 1.臨床研究に要する経費の執行等については、別途定める。 2.臨床試験審査委員会での代理審査に要する経費の執行等については、別途定める。 (附 則) この要綱は、平成27年7月1日から施行する。 9
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