NIA Letter vol.4 (2015年発行)

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2015
■特集 新潟からの国際協力の取組
●
「地域発の国際協力の意義」
●新潟の力を国際協力に
●新潟・国際協力ふれあい基金
●新潟からJICAボランティアに
●地域のJICA窓口
■NIA活動レポート
■NIAインフォメーション
発行元/公益財団法人新潟県国際交流協会 Niigata International Association
特 集 新潟からの国際協力の取組
国際協力と聞いてみなさんは何を思い浮かべますか?青年海外協力隊や技術協力プロジェク
トなどの国際協力機構(JICA)の事業はよく知られていますが、この他にも、個人や団体とし
て国際協力活動に尽力されている方々が新潟県内には数多くいらっしゃいます。今号ではさま
ざまな国際協力の取組をご紹介します。
最初に、JICA東京国際センター所長佐々木十一郎様からのご寄稿「地域発の国際協力の意義」をご紹介します。
「地域発の国際協力の意義」
独立行政法人国際協力機構(JICA)東京国際センター所長 佐々木 十一郎
「食の新潟国際賞」がある、ということを昨年知った。人間にとって最も身近で、生
きる上で不可欠な「食」であるが、これを扱う国際的な賞は、日本で唯一という。昨
年10月に開催された第3回表彰式典で、JICAウガンダ派遣専門家(稲作上級技術アド
バイザー)の坪井達史氏が見事に栄誉ある本賞に輝いたのである。同じJICAで働くも
のとして、たいへん誇らしく感じた。日本から遠く離れたアフリカの地で、異国の友
と共に、長年にわたり大地に汗し、ネリカ米(NeRiCa米 : New Rice for AfriCa)
の普及に尽力されたJICA専門家に注目し、光を当てていただいた。このことに紐づけ
て、地域発の国際協力の意義について考えてみたいと思う。
かつてNHKの「街道をゆく」という番組で、低湿地の田んぼに胸まで浸かって田植
えをする風景に度肝を抜かれたことがある。亀田郷の芦沼であった。今、近代化され
途上国の研修員も言葉をなくす過酷な田植え風景
(記録映画『芦沼』より)
た便利な世の中では、全く想像できない労苦を、我々の先人は、日々の生活の糧を得
るために余儀なくされていたのである。開発途上国から農業関係者が毎年JICA研修員
として来日するが、彼らに当時の様子を見せると、息をのみ、言葉をなくし、一同信
じられない驚きの表情に変貌する。自分たちの国でも、これだけ過酷な状況は見たこ
とがない、と。
そして佐野藤三郎氏である。みなさんご承知のとおり、この過酷な現状に立ち向か
い、乾田化させるという、不可能を可能にした人物である。このような傑出した人物
がいれば、どんな貧困からも抜け出すことは可能なのだ、ということを実証する日本
三江平原竜頭橋ダム
(写真提供:JICA)
が誇る事例となっている。したがって、食の新潟国際賞には「佐野藤三郎記念」とい
う形容詞がついている。佐野氏は、中国東北部黒龍江省の三江平原をはじめとする農業開発でも中心的な役割を果たされている
(同開発の竜頭橋ダム建設には円借款が供与されている)。
地域発の国際協力とは、まず我々の先人が辿ってきた歴史に目を向けることではなかろうか。新潟には、世界に通用する多数
の誇り高いベスト・プラクティスがある。これまで努力し積み重ねてきた地域の心技体が、産官学やコミュニティの中にある。
これを世代を超えて洞察することである。そして、現在の新潟を取り巻く世界に目を広げていただきたい。今も、そしてこれか
らも、1つの地域や県、国の中の閉じられた関係のみでは成長は望めない。新潟が持つ地域の心技体が、グローバルに開かれ、
世界の他の地域と結びつき、関係性を
構築していく。そのことが、お互いを
強くする、今で言う強靭(Resilient)
な社会に育てる原動力となるものだと
考える。それが、地域発の国際協力の
意義なのだと思うのである。
佐々木 十一郎 氏
JICA東京国際センター所長。パプアニューギニア事務所、マレーシア事
務所次長、農林水産開発調査部水産開発調査課長、フィジー事務所長、
関西国際センター所長等を経て、平成25年5月より現職。
1
新潟の力を国際協力に
新潟県で蓄積されてきた農地開発やものつくりの技術は、近隣諸国の人々の生活向上にも寄与するものでした。長年、新潟県が持つ
技術を結集して国際協力に取り組んできた民間団体に、新潟県対外科学技術交流協会があります。
地域間の国際技術交流活動を進める
特定非営利活動法人新潟県対外科学技術交流協会
当協会は中国黒龍江省三江平原開発を起源としています。黒龍江省から佐野藤三郎氏を通じて技術交流をしようという呼び
かけがあり、それに応える形で日本技術士会北陸支部の技術士が主導して平成元年に当協会を設立しました。以来、科学技術
交流を通じて黒龍江省をはじめとする環日本海地域と相互理解と友好を深め、双方の経済・文化の発展を促進してきました。
設立時から深いつながりのある黒龍江省へは道路建設・舗装・橋梁修理などの技術協力にJICAの助成も得ながら取り
組み、その一部は同省のスタンダードとして取り入れられました。地道な活動が認
められ、平成8年には第4回環日本海新潟賞を受賞することができ、副賞賞金を基
金としてさらなる事業拡大を図りました。近年はモンゴルへの技術協力に注力して
おり、製造業の技術向上のための協力では、専門家派遣や研修員受入を実施し、こ
れによりモンゴルと新潟県の企業間の連携が生まれました。技術交流が経済交流に
発展した実績となりました。
民間団体には国や自治体による国際協力の隙間を埋める役割が期待されているも
のと考えます。今後も科学技術を通じてきめ細かな交流を進めていきます。
モンゴル農業大学での協議
新潟・国際協力ふれあい基金
みなさんが気軽に参画できる国際協力の手法の1つに「新潟・国際協力ふれあい基金」があります。世界各地には「貧困により生活基
盤が安定しない」「十分な教育を受ける機会がない」などの理由から、将来への希望を持てないままその日暮らしを続けている人々が
まだまだいます。こうした人々を直接支援したいと考える方も少なくないのでしょうが、現実にはなかなか難しい面があります。一方
で、こうした人々を支援するため、国を越えて多くのボランティア団体などが活動をしていますが、支援活動にはどうしても活動資金
が必要です。このようなボランティア団体などの活動を資金面から支えることは、直接自分の手で現地の人々を支援することと同じく
らい大切なことだといえるでしょう。
新潟・国際協力ふれあい基金は、地域からの国際協力の推進を図るために平成7年度に新潟県国際交流協会に設置されました。海外で
活動するボランティア団体などを資金面で支援することを通じて、世界の平和に向けて新潟からの国際協力を推進しようとするもので
す。新潟県からの寄附金と県民のみなさんからの募金からなる運用益により、民間ボランティア団体などが実施する国際協力活動に助
成を行っています。これまでに188件、累計1億4千万円余の助成を行ってきました。
新潟・国際協力ふれあい基金による助成の概要
1.申請できる人
活動の本拠地が新潟県内である民間団体、個人、企業
2.助成の対象となる地域・活動
(1)
対象となる地域
北東アジア地域を中心とするアジア地域、及びその他新潟県とつながりのある地域
(2)
対象となる活動
・対象地域における災害発生時の医療活動、食料・飲料水給付など現地の住民を援助するために行う活動
・対象地域のうち開発途上地域における医療、教育、環境、人材育成などの国際協力活動
・対象地域の人的交流を中心とした相互交流活動で、かつ、その活動が現地における人道援助又は国際協力活動に結びつくことが明確なもの
・対象地域出身の人材を県内で育成する活動
3.助成額
1件当たり100万円を上限に予算の範囲内で助成
4.助成事業の募集期間
募集要項等は9月頃に新潟県国際交流協会ホームページに掲載、9~11月に募集
か
あなたの愛が世界へ翔ける!
新潟・国際協力ふれあい基金は、みなさんからの募金によって支えられています。募金箱は県内の「道の
駅」、日帰り温泉・宿泊施設、市町村役場などに設置しています。また、振込用紙をご希望の方は新潟県国
際交流協会までご連絡ください。みなさんのご協力をお願いいたします。
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ここでは、最近の新潟・国際協力ふれあい基金による
助成事業をご紹介します。
フィリピンの無医村への
医療支援及び救急救命艇整備事業
特定非営利活動法人
フィル・ジャパン・フレンドシップ
フィリピンのサマール島は最も貧困が深刻な地域として知られています。当会は新潟・国際協力ふれあい基金の助成を
受け、サマール島の人口約1万8千の無医村である離島にて、2011年より医療支援、救急隊の養成、救急救命艇の整備
を行いました。
島民の1日の収入は1ドル未満であり、たとえ病気になっても医師の診察を受けるため海を渡る費用すらない現実があ
ります。歯ブラシも買えない子どもたちは、虫歯になっても治療することもかなわず、ひたすら痛みに耐えなければなり
ません。そこで、当会は島の行政と協力し、これまでに1,300名ほどの無料診察・治療を行い、1,000名の就学前児童に
対し歯みがきセットを寄贈して歯みがき指導などを行いました。この活動は行政より高く評価され、今年5月に行った医
療支援では州が歯科診療を初めて協働で行ってくれるまでになりました。
また、無医村の離島であるという厳しい現実から、急病人の搬送がかなわないことが多々ありました。急病人が出れば
1時間20分かけて海を渡らなければなりませんが、1日1ドル未満の収入しかない島民にとって片道7リットルのガソリ
ン代の負担は重く、さらに波が高ければ小型艇での搬送は不可能です。そこで、当会は救急隊の結成と育成を1年かけて
実施し、海上が多少荒れていても航行可能な中型艇の建造を完成させ、全村民が無
償で使えるとの条件で現地自治体に寄贈しました。この救急救命艇はそれまでの約
半分の時間で海を渡ることができます。救命艇を管理している現地保健課からの報
告によると、半年間での緊急出動は30回、その90パーセントが難産で生命の危険
がある妊婦の搬送であり、3パーセントが心臓疾患患者の搬送だったとのことで
す。今年5月にも難産の妊婦がこの救命艇で緊急搬送されましたが、もう少し遅け
れば母子ともに命が危なかったそうです。
この救急体制整備により、今まで救うことができなかった命を救えるようにな
り、これは住民たちの笑顔につながっています。救急救命艇はこれからもたくさん
整備された救急救命艇
の尊い命を救うことでしょう。
ベトナムのマダグイ
子どもセンター自立支援事業
特定非営利活動法人
新潟国際ボランティアセンター(NVC)
マダグイ子どもセンターはベトナムのラムドン省にある孤児院です。ホーチミン市から車で約4時間、豊かな自然の中
にあるこの孤児院では、障がい児童を含む0~13歳の子どもたちが生活しています。さまざまな理由でこの施設で生活
せざるをえない子どもたちですが、ホストマザーのキューさんと明るく元気に暮らしています。しかしながら、政府から
の支援もわずかで、子どもたちが健全な生活を送るための安定した資金源がありません。また、ホストマザーは子どもた
ちに十分な教育をと願っており、その学費、教科書代や制服代など費用の工面に苦労しています。
そこで私たちは施設のホストマザー及びスタッフと継続的な資金調達の道を探り、次の事業に取り組むこととしました。
線香を製作する機械を導入し、施設のスタッフや子どもたちが機械の使い方を学び、ベトナム国内での製品化を目指すと
いうものです。この施設は寺院の僧侶によって運営されているため、線香製作の実績があ
り、販売ルートの確保が可能です。この取組は新潟・国際協力ふれあい基金の助成を受け、
今年開始したところです。
この取組により、私たちは3つの成果を期待しています。まずは「施設の自立」で
す。線香製造機械の導入により、施設が“自らの手で”
“継続的な”資金を生み出すこ
とが最終目標となります。完全に自立することは難しいかもしれません。しかし、安定
した資金確保によりその時々の必要経費の一部をまかなうこと、また、子どもが子ども
らしく生活するためのお菓子や絵本を購入することも可能となります。次に「意識の向
上」です。これまでは支援を受けることが唯一の資金調達方法でしたが、これからは自
らの手で資金を生む手段を得ることで、施設やそこで生活する子どもたちの向上心を育
てていきます。そして「職業訓練」です。施設で生活する子どもたちは将来仕事を得る
ことが難しい状況にありますが、その解決策の1つとして、施設にいる間に技術習得の
機会を与えることが可能となります。
この取組は始まったばかりですが、私たちは施設スタッフとともに考え模索しなが
施設の子どもたち
ら、線香の製品化に向けて尽力していきます。子どもたちの笑顔のために。
3
新潟からJICAボランティアに
JICAでは国際協力を志す方々を青年海外協力隊(20~39歳が対象)やシニア海外ボランティア(40~69歳が対象)として開発途上
国に派遣しています。現地の人々とともに草の根レベルで派遣先国での課題解決に取り組んできた県内出身のJICAボランティアの方々
の活動状況などをご紹介します。
ボリビアの子どもたちとのふれあい
青年海外協力隊OG(青少年活動)
水口 亜紀
2010年6月から2年間、私はボリビア第2の都市サンタクルス市に青年海外協力隊員(青少年活動)として派遣され
ました。経済成長真っ只中のサンタクルス市の中心地は日本と変わらないビル街ですが、バスに30分乗ると郊外には舗
装されていない道も多く、経済格差が大きいことを感じました。
現地の学校は半日制のため、学校がない時間に子どもたちの安全な居場所が必要でした。私の配属先は貧困層が住む郊
外にある総合的家族支援を行うNGOセンターで、「より良い生活へ」をテーマにさまざまなワークショップを実施して
いました。私には1つの教室が与えられ、センターに通う子どもたちの居場所としてのクラス運営を始めました。
「プロフェー(先生)アキー」。気軽に会える外国人として2年間活動しました。何もないところから始まった私のク
ラスは折り紙が中心で、1日1作品ずつ作っていきました。日本製のきれいな色紙でなくても、1枚の新聞紙から形がで
きていくという達成感が子どもたちには新鮮だったように思います。順番を守ること、嘘をつかないで正直でいること、
整理整頓すること、仲良くすること、思いっきり楽しむこと。言葉が十分でない分、丁寧に、心をこめて接していたつも
りです。それは周りにいるボリビア人がお手本でした。お互いの暮らしを知っているからこそ、地域みんなで子どもを育
てていたのです。地域のおじさん・おばさんからも愛されている子どもたちを見て、
心があたたかくなりました。喜怒哀楽を全力で伝えるボリビア人の接し方が大好きに
なった2年間でした。
2014年夏に私はボリビアへ里帰りし、大きくなった子どもたちとの再会を果たしまし
た。センターに通っていた子どもたちが地域のリーダーとなり、「より良い生活へ」と
地域のみんなで学びあい成長しあっていくことを願っています。そして、私もこれから
出会う子どもたちに心をこめて接していきたいと思います。(注:現在、水口さんは公
立中学校でスクールアシスタントとして生徒の学校生活の支援をされています)
スリランカでのジュエリー製作指導
シニア海外ボランティアOG(ジュエリーデザイン)
朝川 雅子
私はこれまで3回シニア海外ボランティアを経験しました。2002~2004年と2006~2008年の2回はスリランカで、
そして2010~2012年にはインドネシアで活動しました。このうちスリランカでの活動を振り返ります。
スリランカでは、コロンボにあるモラトゥワ大学のデザイン科で、主に大学生を対象にジュエリーデザイン(製作実
習)を指導してきました。生徒や先生方と過ごした時間は貴重で心あたたまる想い出となっています。活動当初は驚きの
連続でした。大学からは実習を行う教室はおろか工具や経費も支給されなかったため、何から始めたらいいのか悩む毎日
でした。職業カーストの価値観が残るスリランカでは、手仕事が好まれないため実習は人気がなく、先生からは講義だけ
を求められました。その後ようやく職業訓練校で作業をさせてもらったり、生徒を連れて列車で3時間程離れた大学の歯
学部の施設を借りて実習作業を行ったりするようになりました。
生活面では、2回目のスリランカ派遣時に内戦が悪化し、身近でもテロが頻発したため移動規制が多くありました。そ
のような状況下でしたが、夢を語る生徒の姿に励まされ、彼女たちとののどかなおしゃべりに癒されました。
試行錯誤の末、大学内に実習室が設けられ、JICA事務所の援助も得て、徐々にジュエリー作品製作ができるようになり
ました。日頃から生徒には自分たちで考えて行動するように話していたところ、最初はなかなか行
動しなかった生徒たちが、2回目の展示会にはテレビ局に自ら取材依頼をしたり、会場費の交渉を
したりと、積極的に動くようになりました。街の展示会場を借りて一般の方々にも作品を見ていた
だけるようにし、地道な宣伝に加えてテレビにもとりあげてもらった結果、市民からジュエリー
コースが認知されるようになり、ジュエリー実習の人気も上がりました。ついには、卒業生のジュ
エリー会社への就職率は90パーセントを超えるまでになりました。
現在、私は地元上越市でジュエリー製作を再開しました。フェイスブックやメールで時々スリ
ランカの生徒の活躍を知ると「自分もがんばらなくては」という気持ちになります。何もないと
ころから考えて成長への道を見出していくというタフな姿勢は、私が生徒に話してきたことです
が、私自身の糧にもなっていると思います。
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地域のJICA窓口
新潟県国際交流協会にはJICA新潟デスクが置かれ、国際協力推進員が県内の国際協力ボランティアに関する相談や国際理解の推進
などの活動を行っています。今年2月に新たに国際協力推進員に着任した和田直さんにお話を伺いました。
わ
―これまでの国際協力との関わりはどんなものでしたか?
だ すなお
業をご活用いただく際のお手伝いをしています。また、学校の先生
や市民の方々からご依頼をいただき、JICAボランティア経験者が体
験談を話す「国際協力出前講座」や、その他、地域の方々と連携し
たイベントや事業に参加することでJICAの事業について多くの方々
に知っていただく機会をつくることも行っています。詳しいこと
は、ぜひお気軽にお問い合わせください。また、今年は青年海外協
力隊創設50周年にあたり、新潟では8月30日(日)に記念シンポジ
ウムを開催します。詳細はJICA新潟デスクのフェイスブックでも告
知しますのでご確認ください。
自分から国際協力の活動に参加し始めたのは大学生になってから
です。国際的なNGOでボランティアをしたり、「平和」への想いを
通していろんな国の人たちと交流したり、一緒に活動したり、スタ
ディーツアーに参加したりしました。ただ、それまでも親の影響で
自然と世界に目を向けられるようになっていた気がします。中学生
の頃には、修学旅行の訪問先としてJICA地球ひろばがあったので班
のみんなを説得し機会を得て、そこで青年海外協力隊経験者の体験
談を聞くことができました。私が実際に協力隊に応募したのは社会
人になって数年後、協力隊のことも忘れかけていた頃ですが、フェ
アトレードのお店で働いたり、山間部で暮らしたりする中で、当時
の想いと再会することになりました。そして、2013年よりベナン
共和国に村落開発普及員という職種で派遣されました。ベナンでは
地方の福祉センターで障がい者、恵まれない子ども、女性などの支
援に携わっていました。
―県民のみなさんへ一言お願いします。
国際協力というとハードルを感じがちですが、私は身近なところ
から始められると思っています。フェアトレードの商品を選ぶこと
もそのひとつだと思います。それは自分の生活や周りとの関係を見
直すきっかけにもなるかもしれません。地球というひとつの星で暮
らす人たちと自分がつながっているという意識を持つことが大切だ
と思います。新潟と世界、一人ひとりと世界がつながっていく楽し
みをぜひご一緒しましょう。今後ともJICA新潟デスクをよろしくお
願いいたします。
―JICA新潟デスクの仕事はどのようなものがありますか?
JICA新潟デスクは地域のJICA窓口として、途上国での協力活動に
関心のある地方自治体や民間企業、NGO、NPOの方々がJICAの事
JICA新潟デスク 電話:025-290-5650(新潟県国際交流協会内)
フェイスブック:https://www.facebook.com/JicaNiigataDesk
ベナンの福祉センターにて
あなたにもできる国際協力があります!
今回紹介した国際協力はほんの一例です。国際協力は決して「遠い世界の特別なこと」ではありません。「自分にも何かできることがある
かも…」と思ったみなさんは、もう国際協力の扉を開けたのと同じです。そこから一歩を踏み出して、国際協力の輪を広げていきませんか。
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NIA活動レポ
モンゴルフェアin新潟2015を開催!
新潟県とモンゴルはさまざまな分野で交流しています。平成27年1月には新潟県内に住むモンゴル
出身者やモンゴルからの留学生を中心に「NIMO新潟モンゴル会」が設立されています。そして、5月
16日(土)と17日(日)には、朱鷺メッセで同会の初イベント「モンゴルフェアin新潟2015」が開
催され、新潟県国際交流協会も共催しました。
遊牧民の住居「ゲル」の展示、カシミアやウール製品などの展示販売、民族楽器「馬頭琴」の演奏
会、民族衣装での記念撮影、モンゴルと交流している団体の紹介、写真展など、盛りだくさんのコン
テンツで、多くの来場者の方々が、モンゴルを見て、聞いて、触って、感じて、モンゴルへの理解を
深めていました。
留学生就職支援セミナーを開催!
平成27年6月15日(月)に朱鷺メッセで、留学生就職支援セミナーを開催しました。80名を超
える大学生・専門学校生が参加し、日本での就職活動に必要な情報や在留資格の留意事項についての説
明、留学生採用実績のある企業からの助言に聞き入っていました。個別相談では、自身が学んできた
専門分野と就労時の在留資格との関係について相談する留学生が多く、就職に対する意欲的な姿勢が
見受けられました。
今年度2回目の留学生就職支援セミナーは、9月頃に開催する予定です。
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NIAインフォメーション
ホストファミリー実践講座2015「ようこそ、我が家へ!」に参加しませんか
新潟県国際交流協会では、平成27年10月3日(土)~4日(日)に1泊2日の外国語指導助手(ALT)・留学生のホームス
テイ受け入れ体験を実施します。体験に先立ち、ガイダンスと、ホストファミリーについての知識や情報を学ぶことができる
実践講座を開催します。講座終了後は国際交流員や留学生などホームステイに興味を持つ在住外国人の方との交流会も行いま
す。今回初めて受け入れてみようと思っている方はもちろん、これまでに経験された方のご参加も歓迎します。説明を聞いて
から受け入れを検討されても構いませんので、お気軽にお申し込みください。
長岡会場:平成27年8月9日(日)10:00~12:00(申込締切:8月4日(火))
まちなかキャンパス長岡 創作交流室(長岡市大手通2-6フェニックス大手イースト4階)
新潟会場:平成27年8月22日(土)13:00~15:00(申込締切:8月18日(火))
新潟県国際交流プラザ(新潟市中央区万代島5-1万代島ビル2階)
申込方法:氏名、住所、電話番号、メールアドレス、参加希望会場、参加人数を記載の上、それぞれの
申込締切日までに下記へFAXかE-mailでお申し込みください。
ホームステイ受け入れ体験の詳細は講座会場でお知らせします。
2015 SUMMER新潟県国際交流プラザフェア開催!
〔会場:新潟県国際交流プラザ(新潟市中央区万代島5-1万代島ビル2階)〕
●フェア第1弾 世界遺産写真展
世界遺産は地球の生成や人類の歴史によって生み出された貴重な宝で
あり、さまざまな国の自然環境や文化財など約1千件が登録されていま
す。この展示では、人々を魅了してやまない各国の世界遺産の中から数
十点を写真で紹介します。あわせて、新潟県の世界遺産候補
「金を中心と
する佐渡鉱山の遺産群」も紹介します。写真を通して、世界遺産の旅を
疑似体験してみませんか。
期間:平成27年7月25日(土)~8月9日(日) ※土日も開催
9:00~18:00(最終日は16:00まで)
●フェア第2弾 アジア子ども絵日記展
アジア各国・地域の子どもたちが描いた絵日記を展示します。家族や
自然、食文化などを題材にのびのびと色鮮やかに描かれた絵日記から
マチュ・ピチュ(ペルー)
【協力
(写真提供)
】
世界遺産総合研究所/新潟県世界遺産登録推進室
は、各国の子どもたちの暮らしが浮かび上がります。子どもたちの視点
を通して、アジアをより身近に感じてみませんか。
期間:平成27年8月10日(月)~8月31日(月) ※土日も開催
9:00~18:00(20日(木)と31日(月)は16:00まで)
●親子で楽しむ特別講座(参加申込が必要です)
国際交流員による国際理解講座と工作教室です。夏休みの課題にぴっ
たり!?
(1)ロシアのお話と飾りづくり 8月1日(土)13:00~15:00
(2)ベトナムのお話と飾りづくり 8月29日(土)13:00~15:00
参加ご希望の方は、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、参加希
望講座、参加人数を記載の上、下記へFAXかE-mailでお申し込みくだ
さい。
すべて参加無料です。「民族衣装で記念撮影」コーナーもお楽しみください。
編集
後記
【協力(パネル提供)】三菱広報委員会/
公益社団法人日本ユネスコ協会連盟
今回の特集はいかがでしたか?新潟から国際協力の輪が広がって、世界のみんなが笑顔になる、そんな日がいつか来
ることを願いながら、できることから行動を起こしましょう。
最後に、ご協力いただいたみなさまに本紙面を借りて重ねてお礼申し上げます。
■発行:公益財団法人新潟県国際交流協会 〒950-0078 新潟県新潟市中央区万代島5番1号 万代島ビル2階
電話:025-290-5650 FAX:025-249-8122 E-mail:[email protected] HP:http://www.niigata-ia.or.jp/
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