ユーザー事例:Airbus (エアバス/BAE システムズ) エアバスで好調 エアバスの好調な売れ行きにより、かつてないほど増産の必要性に迫られた BAE Systems(英国、フィルトン)は、生 産能力をアップする答を探し求めて、ベリカットに行き着きました。 最近の高速工作機械にはたいへん精密なアルゴリズムを持ったデジタル制御システムが装備されており、毎分 20m を 超える送りで等高線加工しても、工作機械が細かく振れることはありません。加減速カーブとしてよく知られているこの 機能は、ほとんどの場合、非常にうまく働いています。 ところが、BAE Systems のフィルトン事業所では、エアバスの翼構造にある重要部品の工程を最適化しようとして、こ の機能が阻害要因であることを見つけました。最初から簡単な話ではなかったのです。制御パラメーターのスイッチを切 って事態が改善されることを期待する、というほど単純なことではありません。まったく予想のつかない状況に陥るかもし れません。そこで、BAE Systems は代わりに、解決策を求めて工具会社やソフト会社に連絡を取り始めました。その 結果、CGTech と Kennametal を巻き込み、プロジェクトは成功へと導かれることになったのです。 この 2 社はセル F での最適化にとりかかりました。ここでは森精機の SH-50 マシニングセンターを使い、主にエアバス A330/340 のアルミ製 A フレームの切削を行っています。これらのフレームには 60 のバリエーションがあり、翼の前縁部に 使われます。基本的なセットアップは変える必要がありませんでした。材料は事前にブロック化され、表面加工され、治 具用の穴が開けられ、ジャスト・イン・タイム方式で到着しています。そこで、送りと回転数の最適化に戻ります。オプティ パス(OptiPath)モジュールで様々な制御パラメーターを上書きし、Kennametal の工具で高速な送りと回転数での効 率的な切削を行いました。 ベリカットのオプティパスは NC ツールパスファイルを読込み、動作をいくつもの小さなセグメントに分割します。ベリカットで は、モデルから切削される材料を数学的に差し引くため、ソフトウェアでは常に、切削の深さ/幅/角度と除去される 材料の体積がわかっています。各セグメントで除去される体積に基づいて、オプティパスは必要な場合にはその切削条 件に合った最適な送り速度を割当てます。それから新しいツールパスを出力しますが、これはオリジナルと同等で、改善 された送り速度になっています。原理は簡単で、切削が浅ければ送りが速くなる、というものです。速くした送り速度で 材料をちぎり取ることなく一定の切削を保つために、スピンドル回転数をそれに応じて増やします。切削が深ければ逆に なります。 EIT チ-ムリーダーの Matt Godfrey が言います。「CGTech は NC プログラムをベストなものにするために我々を助け、 フィルトン事業所の従来の考え方を変えてくれました。工具を刃長の長いものに取り替え、切削深さを大きくして、仕上 げは良くなりました。部品プログラムの変更は一切、必要ありませんでした。我々に代わって、オプティパスが送り速度の 面倒を見てくれるのです。我々は上限設定をプログラムの送り速度で毎分 7m、薄い切削で毎分 16m にしただけです。 この値だと、これまでなら航空機部品としての表面仕上げは不合格になったはずです。元のプログラムでは毎分 1m 近 辺で切削するようになっていました。今では精度が上がり、より効率的に工具を使えるようになりました。」 フィルトン事業所では、「体積一定」と「切屑厚さ一定」の 2 つの最適化方法を試しました。オペレーターは、A フレーム には「体積一定」がより適しているという判断を下しました。この方法を使うと粗加工で最大の効果が出て、加工時間 は 25%短縮され、生産量は 15%増加しました。 マスタープログラムが変更されないことを保証するため、それぞれのプログラムの最適化バージョンを扱うためのサブディレ クトリーが設定されました。これらは、他の NC プログラムと同様に、作業現場の DNC システムにダウンロードされます。 これは普通のプログラムですが、唯一の違いは最適化された送りと回転数を含んでいることです。これを手動で行ったら、 膨大なプログラム時間をかけてメリットがほとんどない、という結果になったことでしょう。 同社ではオプティパスを使い、セル G で加工するエアバスのリブの部品プログラムも最適化しています。セル G には古い タイプの Marwin Automax II マシニングセンターがあります。この機械は一般の G コードでは動きません。代わりに、 CAM システムから直接出力される CL データを使います。CL データは、工具プローブシステムで測定した工具径や工 具長のデータを使い、工作機械で処理されます。「この問題を回避するため、リバースポストを作りました」と Godfrey は言います。CL ファイルは Expertec ソフトで G コードファイルに変換され、次にオプティパスで最適化され、最後に CL ファイルに戻されます。Godfrey は最近、もっとも効率の上がる粗加工の改善に取り組んでいて、これまでにすばらしい 結果を出しています。実際に、粗加工での大きな改善によって、工作機械の切屑除去機能をアップグレードしなけれ ばならなくなりました。 現在、フィルトン事業所では特別のプロジェクトチームが組織され、セル F とセル G で得られた成果を、事業所の 5 つ のセルすべてに広げようとしています。特に利益を出しそうなのがセル W で、ここは 800 万ポンドを投資した Forest-Line の新規設備です。セル W は、エアバス 330/340 のリブを機械加工するために設計され、自動パレットシ ステム付きの 3 台の大型高速マシニングセンターからなっています。「このセルのプログラマーへのオプティパストレーニング が終ったら、すぐに使い始めますよ」と Godfrey は言います。 他にオプティパスの組み込みが予定されているのはセル E で、チタン部品の加工用に森精機のマシニングセンターだけが 使われています。
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