合掌 以前、 “日本で最も難しい試験は剣道八段の審査”だということを紹介しましたが、某新聞朝刊の“合 格率は 1%以下・・・姫路の高校教諭(48 歳)が剣道最高段位「八段」を取得”という記事が目にと まりました。県立高校で保健体育を教えるかたわら、 「七段取得の後 10 年以上修行し、かつ 46 歳以 上で合格率 1%以下」の難関を三回目の挑戦で突破したということで、今回の審査会には 1,667 人が 参加し、13 人が合格(合格率 0.7%)したという記事でした。折しも、他社新聞地域欄に”明治村「無 声堂」で最高位(八段)剣士による稽古会が 13 年ぶりに開催”されるという記事もあり、世界 160 万人以上の有段者の中で八段受有者は約 500 人という内容も紹介されていました。 さて、夏休みも大詰めとなって”宿題代行業者”なるものが大忙しとのことです。小学校の定番と もいえる自由研究や作文を有料で請け負うというもので、中学受験準備で塾を優先する忙しさから試 験勉強にはさほど有効とは思えない前述の宿題や、大学生の小論文等を業者が代行するというサービ スのようです。理化学研究所の STAP 細胞問題で一気に使われるようになった感がある“コピペ(コ ピー&ペースト)”よろしく、いかにもというような成果品を本人に代わって作成することが生業とし て成り立っているという現在の教育環境にも驚かされます。ただ、一昔前に親がねじり鉢巻きで汗を かきかき子供の宿題を手伝っていたこととさほど変わらないではないかという見方もありますが・・・ 教育上の本来の目的や狙いとはやはりかけ離れているのではないでしょうか。 私たちの行動には必ずと言っていいほど「目的」が伴います。 「目的」が明確であればあるほどそれ に合った「目標」が設定され、より効率的・効果的な的(まと)を得た行動につながるでしょうし、 目標に向かって取組み甲斐もあり、充実感をもって頑張ることができるのではないでしょうか。何よ りも自分から発する「目的」であり、そのための的確な「目標」でなければ目指す成果には辿りつく ことができません。明確な「目的」を掲げてそこに至るための目標を定め、着実に努力を積み重ねる ことで得られるからこそ結果は尊く、自分自身にとっても大きな自信となることは間違いありません。 「青少年の健全育成」を大切な「目的」の一つとして掲げている組織の中で、私たちの役割はまさに そこにあるように思います。特に、子供たちの個性を生かして能力を引き出していくためにも長い目 で見た「目的」 「目標」の設定が重要となります。岩手県で起きたいじめを苦にした中学生の自殺、大 阪府寝屋川市での中学生死体遺棄事件など、最近の事件を見ても子供たちを取り巻く環境は想像でき ないくらい危険と隣り合わせになっています。内閣府の発表によると、過去 40 年間の日ごとの自殺 者数は、多くの学校で新学期にあたる 9 月 1 日が突出しているということです。新学期の始まりは子 供の不安感が一番高まる日だということです。 少林寺拳法の普及活動を取り巻く環境は非常に厳しい状況が続いていますが、果たす役割をもって 拳士たちの前に立っていることを指導者自身が忘れてはなりません。学校には行きたくないけど稽古 には熱心に通ってくる子がいます。周囲と同じスピードで進めない子や少し色が異なる子もいます。 私たちが担うべき役割を間違えないように拳士たちに「目的」 「目標」を指し示していかなければなり ません。そのためにも活動の“見える化”が必要です。そして、現行ルールの中で公共施設での活動 を促進していくことも組織の活性化のためには欠かせないことだと考えています。組織としての「目 的」 「目標」を見失わないようにしたいと思います。 2015.8.30
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