CIM モノリス 抗体精製全工程テスト ® ● CIM®モノリスカラムを用いて、培養細胞を用いた抗体医薬製造における ダウンストリーム精製プロセスの構築を試行しました。 ● モデル抗体生産CHO細胞をウエーブ培養し、その培養上清中のモデル 抗体医薬分子を、3 種類の CIM ® モノリスカラム(プロテインA アフィニ ティ→アニオン交換→カチオン交換) により順次精製・回収しました。 細胞培養 ● 各工程ステップにおける抗体の定量・回収率評価は、サイズ排除 HPLC およびELISA 法により、また純度・精製度評価は、宿主由来タンパク質 ( HCP ) ・漏出プロテイン A 量については ELISA 法、宿主由来 DNA (HCDNA) については定量PCR法により実施しました。 ● 3段階の全てのクロマトグラフィー工程すべてにCIM®モノリスカラムを 適用することにより、2 Lの培養液からの高純度・高収率での精製抗体の 回収を、半日ほどで完了することができました。 精製プロセスデザイン 細胞培養上清 培養液処理量 プロテインA アフィニティ 2L CIM® r-Protein A-8 〈クロマト条件〉培養液処理量 2 L A:PBS(平衡化) B:20 mM クエン酸Na緩衝液(pH 3.4) 100 %B液溶出液回収 → リン酸2Na/NaOHで中和 A:20 mMリン酸Na緩衝液(pH 7.5) アニオン交換 CIMmultusTM QA-1 発現系 : CHO細胞 培養スケール/期間 : フラスコ (150 mL×3/7d) → 前培養(3.5 L wave/7d) → 本培養(20 L wave/7d) 最終抗体濃度 : 約80 mg/L ⇒遠心上清/0.22μm 濾過 結果1 処理時間 カチオン交換 CIMmultusTM SO3-8 透析/buffer交換 CIM ®モノリス 868 60 AEX CEX 116 76 従来メディアの作業時間は、メーカーカタログ・マニュアル 推奨の運用条件にもとづく想定値 結果2 純度と回収率 サンプル名 Step収率 培養上清 (100 %) − ProA後total QA後 SO3後 94 % 98 % 99 % 94 % 92 % 91 % 〈測定方法〉 IgG定量 : 1回 : 25 min A:20 mM クエン酸Na緩衝液(pH 5.0) 運用キャパシティー : 50 % サイクル数 : 2回 B:A + 1M NaCl 1サイクル通液時間 : 5 min 30 % B液 溶出液回収 総通液時間 : 14 min 想定3工程通液時間:99 min ● 運用流速が同等容量の従来メディアに比べケタ違いに大きいため、対象 が比較的低濃度で液量が多く、処理時間の長くなる初段のキャプチャ工 程において、作業時間短縮の効果が特に顕著になっています。 25 14 トータル 収率 サイクル数 総通液時間 ● 2 Lの培養液処理にあたり、 カラム精製の実運用時間は、対応するカラム サイズ設定に依存しますが、 CIM®モノリスを用いた工程では、概ね同等 レベルの実用キャパシティを備えた従来型パーティクルメディアに比べ、 大幅な時間短縮が達成されました。 従来メディア(diffusive)vs CIM ®モノリス 従来メディア 運用キャパシティー : 70 % サイクル数 : 3回 1サイクル通液時間 : 20 min 総通液時間 : 60 min (各平衡化を含む 以下同様) 使用機材(共通) : AKTA Purifier(GEヘルスケア社) 抗体培養液精製(2 L) 通液処理時間比較 プロテインAアフィニティ フロースルー回収 → クエン酸で中和 〈運用と想定作業時間〉 Host Cell Protein (ppm) HCP/IgG Host Cell DNA (ppm) DNA/IgG Protein A (ppm) ProA/IgG 922,000 352 127 12.9 40,000 0.42 <0.01 <0.01 − 5.4 3.2 1.1 : Human IgG EIA kit (タカラバイオ社製、品番 MK136ELISA) およびShodex Protein KW403-4F (昭和電工製) によるサイズ排除クロマトグラフィー/UV 280 nmによる : CHO Host Cell Proteins 3rd Generation (CYGNUS社製、品番 F550) による HCP定量 による 残存プロテインA定量 : Protein A Assay(CYGNUS社製、品番 F400) Host Cell DNA定量 : PrepSEQ® Residual DNA Sample Preparation Kit(抽出:Applied Biosystems社製、 品番4413686) およびresDNASEQ® Quantitative CHO DNA Kit (定量 PCR:品番4402085) ● 現実的には、従来メディアでは、諸準備→プロテインA工程→その他工 程、 と2日∼3日間の作業が想定されるところ、CIM®モノリスによれば、 全行程を約半日で完了できました。 ● 長時間にわたる処理や中間保存は、溶液の物性変化による思わぬイレ ギュラーにつながることが少なくありません。 またできれば無人の終夜 運転も避けたいところでしょう。 CIM®モノリスのメリットは、単にカラム運用時間の短縮だけではありま せん。 多段階・長時間の作業における工程上の様々なリスクの回避、 バリ デーション作業負荷の低減など、 バイオ精製におけるバックグラウンドの 負担をも大幅に低減し、現場の作業計画の自由度にも大いに貢献します。 ● 総じて、CIM®モノリスカラムは、抗体医薬精製において、従来メディアと 比較して精製効率(純度と回収率) を全く損なうことなく、 ダウンストリー ムの生産性を大幅に向上する能力を備えていることが確認できました。 本資料は、 (公財)木原記念横浜生命科学振興財団 横浜バイオ医薬品研究開発センター様のご協力 により実施された試験に基づき、昭和電工(株)の独自の検討結果を加え、編纂したものです。
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