健康な心身と食のつながりを理解し、 給食は好き嫌いをせず何でも食べる子の育成 ―給食の残食ゼロを目指して、心と体の健康をみつめる食育指導- 大城小学校 大 家 美 香 体調不良を訴えて来室する児童の中には、朝食欠食や主食のみの内容の児童もみられ、 食事が体調に影響している現状がある。また給食時には、配膳後に食缶に戻しに行く、ま たは食べきれずに残す様子が見られ、残食が多い現状もある。そのため、栄養教諭や管理 栄養士の方と連携しながらの食育指導を行い、健康な心身の成長のために望ましい栄養や 食事のとり方を理解し、意欲的に食べようとする子の育成に取り組んだ。 健康な心身と食のつながりを理解し、 給食は好き嫌いをせず何でも食べる子の育成 ―給食の残食ゼロを目指して、心と体の健康をみつめる食育指導― 大城小学校 1 大 家 美 香 主題設定の理由 近 年 、社 会 の 変 化 を 背 景 に 食 生 活 の 在 り 方 も 変 わ り つ つ あ る 中 で 、平 成 17 年 に「 食 育 基 本 法 」が 成 立 し 、食 に 関 す る 指 導 の 充 実 が よ り 求 め ら れ て い る 。ま た 、平 成 20 年 に は 中 央 教育審議会の答申で次のように述べられている。 食 生 活 の 改 善 や 睡 眠 時 間 の 確 保 と い っ た 生 活 習 慣 の 確 率 は「 生 き る 力 」の 基 盤 で あ り 、そ の 第 一 義 的 な 責 任 は 家 庭 に あ る 。し か し な が ら 、家 庭 の 教 育 力 が 低 下 す る 中 で 、近 年 、子 ど も た ち に 偏 っ た 栄 養 摂 取 、朝 食 欠 食 等 の 食 習 慣 の 乱 れ や 肥 満 傾 向 の 増 加 な ど が 見 ら れ 、食 生 活 の 乱 れ が 生 活 習 慣 病 を 引 き 起 こ す 一 因 で あ る こ と も 懸 念 さ れ て お り 、学 校 教 育 に お い て も 、子 ど も た ち の 生 活 や 学 習 の 基 盤 と し て の 食 に 関する指導の充実が求められている。 本校は、集合住宅地から通っている児童が約9割、自然と住宅地が混在した地域から通 っている児童が約1割おり、家庭環境はさまざまである。休日には、外食に出かける家庭 も多くあり、和食よりも高カロリーなものやファーストフードを好んで食べている様子が 見られる。 児童の様子では、朝から体調不良を訴えて来室する児童も多くおり、なかには「朝食が 用意されていなかったから食べてない」 「 菓 子 パ ン だ け 食 べ た 」な ど と い う 声 も 聞 か れ 、食 事の内容も児童の体調に影響しているのではないかと考えられる。また、給食配膳後に減 らす児童の姿や、給食終了時には大食缶に食べきれなかったものを戻す児童の姿が多く見 られ、大城小は全体的に残食が多いという実態がある。 食習慣は、子どもの頃の習慣が成長後の食生活に与える影響も大きい。人間が心も体も 生き生きと健やかに育ち生活していくためには、バランスよく“食べる”ことが絶対条件 であり、学童期に健康な心身の成長と食生活はつながっているということを知ってもらい たいと願い、本研究に取り組んだ。 2 研究の仮説 1 (1) 栄養教諭と連携した食育指導の中で、栄養教諭より給食が学校に届くまでの流れ や生産者や給食センターの方の調理する上での苦労話、児童に対しての思い等をう かがったりすれば、感謝する心や給食の重要性を理解することができるだろう。 (2) 学校保健委員会で専門家の話を聞くことで、心身の成長や健康の保持増進のため に望ましい栄養や食事の摂り方を理解することができるだろう。 (3) 保 健 だ よ り の 発 行 や 身 体 測 定 時 の 食 育 指 導 を 行 う こ と で 、食 事 に 対 す る 興 味 や 関 心を持ち、喜びや楽しさを感じながら、意欲的に食べようとするだろう。また、自 身の食生活の改善に役立つだろう。 3 研究の計画 具体的な手だて(指導内容) 評価の方法と基準 1年目 ① アンケートを実施し、実態を把握する。 ・学 校 保 健 委 員 会 後 の ② 栄養教諭による講話を実施する。 振り返り ③ 保健だよりに情報を掲載する。 ・栄 養 教 諭 か ら の 講 話 ④ 身体測定時に食育指導を行う。 前後の給食残食量の ⑤ 学校保健委員会で栄養教諭より食育指導を行う。 変化 ① 栄 養 教 諭 よ る 食 育 指 導 、株 式 会 社 明 治 に よ る 出 張 授 業 を ・学 校 保 健 委 員 会 後 の 行う。 振り返り 2年目 ② 夏休み生活カレンダーを実施する。 ・栄 養 教 諭 か ら の 講 話 ③ 身体測定時に食育指導を行う。 前後の給食残食量の ④ 定期的に給食の残食を調べ、実態を把握する。 変化 ⑤ 学校保健委員会で株式会社名古屋グランパスエイトの 管理栄養士より講話を行う。 3年目 ① アンケート実施。 ・学 校 保 健 委 員 会 後 の ② 夏休み生活カレンダーを実施する。 振り返り ③ 身体測定時に養護教諭より食育指導を行う。 ・給食残食量の変化。 ④ 学校保健委員会で株式会社カゴメの管理栄養士より講 話を行う。 ⑤ 定期的に給食の残食を調べ、実態を把握する。 ⑥「目指せ、栄養ばっちり!」週間を実施する。 2 4 実践と考察 1年目 (1) アンケート調査 まず「食べ物の好き嫌いアンケート」を行い、食に対する考えや嗜好の実態を調査 した。集計結果から、野菜や豆類を苦手としている子が多い傾向が分かった。また、 大半の児童が、給食に嫌いな食べものが出されても「残さず食べる」か「減らして食 べる」と答えていた。しかし、中には、好き嫌いが激しく食事に偏りがある上、好ん で食べているものといえばスナック菓子・糖類・ファーストフードなどと答える児童 もいた。このことから、いろいろな食材をバランスよく食べることが自分の体にとっ てどれほど大切であるのかを働きかける必要があると考えた。 (2) 専門家による指導 児童に“給食は残さず何でも食べること”に注目させ、 なるべく残食を少なくする意識をもたせる目的で、栄養 教諭に給食にはたくさんの栄養が含まれていることや、 児童が興味深く聴けるよう、普段食べている給食ができ るまでの話、残った給食はどうなるのかなどの話をして いただくよう依頼し、指導を行った。 【 写真1 栄養教諭講話 】 事 後 の 児 童 の 感 想 で 、『 給 食 に は 栄 養 が い っ ぱ い あ る こ と が 分 か っ た 』『 給 食 セ ン タ ー の 人 た ち は ぼ く た ち の こ と を 考 え て 作 っ て く れ て い る ん だ 』『 残 す と ご み に な る か ら、もったいない』などという声があがり、専門的な知識や具体的な情報を提供する ことは有効だと実感した。 (3) 保健指導 指導を行うにあたりテーマ 95% 給食にはたくさんの栄養がある を「バランスのいい食事」と 89% 色んな食材を食べることはよい 嫌いな食べものは無理に食べなくてよい 4% 「食べる物から人の体はつ 好きなものだけをたくさん食べればよい 3% くられる」に設定した。アン 0% 【グラフ1 20% 40% 60% 80% 話 を 聞 い て わ か っ た こ と ( 複 数 回 答 可 )】 100% ケート結果の報告をもとに、 嗜好の傾向の実態や、日頃の 食生活の中で摂りにくい食材が給食にはたくさん盛り込まれていること、おいしく食 べられるように調理調方法や味付けも工夫されていることなどを話した。事後の感想 3 で は 、 ほ と ん ど の 児 童 に 嫌 い な 食 べ も の は あ る が 、“ 嫌 い だ か ら 全 部 残 そ う ” と 考 え るのでなく“嫌いだけど残さず食べよう”と書いていた児童が多く、保健指導によっ ていろいろな食材を食べることはよいことであるということや、給食にはたくさんの 栄養が含まれているということが大半の児童に理解されていたことが分かった。 (4) 学校保健委員会 ―給食は残さず何でも食べよう― 保健指導後のアンケート結果の発表では、委員会児童 で話し合った意見や大城小全体の実態を全校児童そして 職員に周知させる内容で行った。また、子どもの頃に何 でも食べていた子と偏った食べ方をしていた子が将来ど んな状態で過ごしていて、自分はどのタイプにあてはま 【 写真2 学校保健委員会 】 るか考えさせる内容の劇を行った。ユーモアを交えた内容に仕上がり、低学年児童も 興味を持って参加することができた。 そして、食に関する専門知識を持った栄養教諭に講話をしていただき、食べものの 働 き や 給 食 が で き る ま で の 流 れ 、「 い た だ き ま す 」 の 本 当 の 意 味 や 、 世 界 で は 満 足 に 食事ができない国もあり感謝の気持ちを持って食物をいただかなければならないな ど、多様な話題から、食育だけでなく心の教育にもつながる集会となった。 ●学校保健委員会後の感想 ・毎日食べている給食は野菜もバランスよく入っていてとても体にいいものだと分かった。 ・献 立 を 考 え て 、み ん な が 元 気 に 活 動 で き る 給 食 を 作 っ て く れ て い る か ら 、し っ か り と 残 さ ず食べようと思った。 ・「 野 菜 」 は 健 康 な イ メ ー ジ が あ る が 、 野 菜 だ け 食 べ て も だ め で 、 肉 や ご は ん な ど バ ラ ン ス よく食べないといけないことがわかった。 2年目 (1) 専門家による指導 1・2年生は、栄養教諭より、皆が共通で食べている給食に興味関心をもたせ、給 食の初歩的な知識や重要性を知らせる講義を行った。また、3~6年生では、株式会 社明治の管理栄養士より、朝ごはんを食べることの良さや正しい食習慣を理解させる 内容に触れた講義を行った。 ●明治の管理栄養士さんのお話を聞いてこれから自分でできることは何だろう。 ・朝ごはんに野菜や果物をたしたり、早寝早起きをしたい。 ・ ゴ ー ル デ ン タ イ ム に 間 に 合 う よ う に 、10 時 に は 寝 た い 。 ・お母さんが忙しい時は、自分で朝ごはんを作ろうと思った。 4 【 (2) 写真3・4 管理栄養士講話 】 保健指導 専門家による指導と内容を合わせて振り返りとしての指導を行った。低学年の給食 の 様 子 を 見 る と 、食 が 細 い 子 や 偏 食 の 子 、食 べ 方 が 気 に な る 子 が よ く 目 立 っ て い た が 、 指 導 後 に 行 っ た ア ン ケ ー ト で は 、 全 体 の 8 3 % の 児 童 が 「 残 さ ず 食 べ る 」「 苦 手 な 物 も食べるようにする」とプラスの回答が得られたのでよかった。高学年の女子の中 には、メディア等の間違った情報の影響により、肥満ではないのに体型を気にした発 言をする子や、 「牛乳は太る」 「 も っ と 痩 せ た い 」な ど と 何 気 な く 口 に す る 子 も い る が 、 なかには『朝ごはんをゆっくり食べるために早起きをしよう。そのためにも夜更かし は や め る 。』 な ど と い う 意 欲 的 な 感 想 も た く さ ん あ り 、 規 則 正 し い 生 活 の サ イ ク ル が 理解できた子も多数いることがわかった。 (3) 給食の残食調べ 給食の時間に各教室をまわり、給食の食べ方やおかわりをする様子、減らし方、残 食の量を調べた。だいたいどのクラスも箸をつける前に食べられないと思ったら量を 減らし、たくさん食べられる子におかわりをさせ るようにしていた。毎回、残食の多いクラスはほ とんど同じであり、低学年の方が特に多く残って いた。担任の指導によって子どもたちの食べる様 子も大きく変わってくると感じた。高学年のクラ 【 写真5 給食の様子 】 スや、担任が意識的に食べるよう促しているクラ ス で は 、毎 回 完 食 や 3 分 の 2 以 上 は 食 べ ら れ て い た 。昨 年 度 、残 食 が 多 か っ た 学 年 で 、 多いと半分くらい残っていたときがあったが、今年度はほとんど残食がなく、児童た ちの大きな成長がみられた。養護教諭が給食の時間に教室へ出向くことは普段あまり ないので、チェックに行く度に子どもたちは意識して残食を減らそうと努力する姿が 5 見られ、この取り組みはとても効果的だと感じた。担任からも、楽しくたくさん食べ られるような声かけをしてもらうなど協力が得られ、養護教諭が巡回することによっ て、意欲的に食べられるようになった子が増えたと嬉しい声もいただけた。 (4) 学校保健委員会 ―バランスのとれた朝ごはんを食べることの大切さを知ろう― 【 写真6・7 学校保健委員会 】 管 理 栄 養 士 の 問 い か け に 、 た く さ ん の 児 童 が 「 体 を 大 き く し た い 」「 足 が 速 く な り たい」と答え、サッカー選手の食事を管理している先生ということで、とても熱心に 話を聞いていた。昨年度の調査で、何らかの理由があって朝食を食べてきていない児 童が全校で1割強ほどいた中、今年度は朝食に重点をおいて取り組むのは難しいので はないかと思っていたが、学校保健委員会後のふり返りでは、ほぼ100%の児童が 『朝ごはんは毎日食べるようにする』と答えていた。実際には無理かもしれないが、 気持ちだけでもよい変化がみられ、朝ごはんを食べることのメリットが理解され効果 的であったと思う。 事後のふり返りでは、児童が話の内容をしっかり理解したかを確認するために、聞 いた内容を記入させた。そして家庭でどんな内容だったかを伝え、さらに保護者が子 どもから聞いた内容を記入するように、用紙を作成した。 グランパスエイトというネームバリューの効果もあり、児童たちはとても興味深く 話 が 聞 け て い て 内 容 も よ く 理 解 し て い た 。給 食 を 残 す 児 童 が 、 『少しでも食べよう』 『が んばって食べよう』と思える内容で、食に対する意欲が高まった様子が見られたと同 時に、保護者にもよい働きかけになったと実感した。朝ご飯は、家庭の生活スタイル に大きく関わるので、児童だけでなく保護者にも関心を持って参加していただけると よい。 ●お子さんから、今日の講話の内容について、どんなことを聞きましたか? ・朝ごはんは、体・脳・おなかの目覚ましスイッチなんだ。 ・ご飯やパンだけではなくいろいろなものをバランスよく食べることが大事。 ・炭水化物(ご飯、パン、麺類)をたくさん食べると大きな体がつくられる。 ・お米をしっかり食べると背が大きくなるだけじゃなく、頭の回転もよくなる。 ・いろいろな栄養がつまった“元気ご飯!ポパイオムレツや納豆チーズトースト”の こと。 6 3年目 (1) 保健だより・掲示物による啓発 保健だよりの6月号には、食育月間であることや好き嫌いを克服する 5 つのポイン ト、牛乳の効用など、7月号には赤黄緑の栄養バランスの内容を掲載した。また、掲 示物は、朝食を食べるとどんな効果が得られるのか、テストの得点や運動の記録の違 いなどを知らせ、自分で朝食メニューを考えて貼り付けられるようにした。放課にな ると子どもたちが自由にメニューを考えて貼り付ける様子や、友達と意見を言い合い な が ら メ ニ ュ ー を 完 成 さ せ る 姿 が 見 ら れ た 。「 主 食 だ け の 朝 食 に な っ て い ま せ ん か ? 」 との掲示も加えてあるためか、時にパンと牛乳だけが貼り付けてあったりするが、大 半は栄養バランスを考えて貼り付けてあった。楽しみながら考えられる教材として、 児童の様子を見ていて効果的だと実感し、今後も児童が立ち止まり、興味を持って読 むきっかけとなったり、触れて学べたりするものを作成していけたらと思う。 【 (2) 写真8・9 保健室掲示物 】 保健指導予定 今年度は、栄養バランスの良い食事摂ることで健康な体と心が作られるということ を基盤に、低学年においては、決められた分量を食べること、苦手な物でも少しでも 食べることの必要性を伝え、高学年においては、栄養バランスを考えて食べる、また は選んで食べることができることを目標とし、指導を行っていきたいと考えている。 ま た 、6 年 生 の 家 庭 科 の カ リ キ ュ ラ ム に 同 様 の 内 容 が あ る の で 、連 携 し 進 め て い く 。 (3) 給食の残食調べ 昨年度引き続き、給食の時間に各教室をまわり、子どもたちの様子や、残食量を 調べた。1学期の様子では昨年同様に、1・2年生の残食量の多さが目立ち、クラス によって残食の様子にもばらつきが見られた。そのため、2学期以降は各学年に応じ た目標設定を行い、目標の達成率、残食ゼロの達成率を見ていきたい。 7 (4) 学校保健委員会予定 ―健康な体と食のつながりを知り、好き嫌いをせず何でも食べよう― 今年度の食に関するアンケートの結果や残食の多い献立の特徴等を児童保健委員 会が発表し、その後カゴメの管理栄養士の方から講話をいただく。 (5) 『目指せ、栄養ばっちり!』週間の実施 残食の様子を保健委員の児童がチェックし、記録した結果や各学年に応じた目標達 成度を掲示していくことで、給食の残食状況を全校へ周知し、残食ゼロに向けての意 識づけを行う。また、朝食や夕食についてもバランスのよい食事になっているか振り 返る機会とする。 しょく かん 食 に 関 するアンケート ( * 1 ばんごう えら ちょうしょく た ときどき た た ②時々食べないことがある ひと こた ③あまり食べない ちょうしょく しょくよく た じ か ん よ う い ②時間がない ③用意がしていない た ④その他( ちょうしょく にく ) さかな たまご た ちょうしょく や さ い つか りょうり た ④食べない た ときどき た いえ た ②時々食べないことがある しょくじ た ③あまり食べない た ④食べない おお 家での食事はだれと食べることが多いですか。 か ぞ く ぜんいん お と な いえ お と な ②大人のだれかと ⑤ひとりで しょくじ ③大人のだれかときょうだいと たの 家で食事をすることは楽しいですか。 たの ① とてもしい きゅうしょく にく ②楽しい さかな たまご たの ③あまり楽しくない つか りょうり たの ④楽しくない た 給 食 で肉・ 魚 ・ 卵 を使った料理を食べますか。 た ときどき た ① よく食べる きゅうしょく た ②時々食べないことがある や さ い つか りょうり ③あまり食べない た ④食べない た 給 食 で野菜を使った料理を食べますか。 た ときどき た ① よく食べる 9 た ③あまり食べない 朝 食 で野菜を使った料理を食べますか。 ① 家族全員で ④きょうだいと 8 た ときどき た た 7 りょうり ②時々食べないことがある ①よく食べる 6 つか 朝 食 で肉・ 魚 ・ 卵 を使った料理を食べますか。 ①よく食べる 5 た ④食べない 1で③④につけた人だけ答えてください。 朝 食 を食べなかったのはなぜですか? ① 食 欲 がない 4 組) 朝 食 を食べていますか。 まいにち た 3 年 き ご う あてはまる番号を1つ選んで記号(①~⑤)に○をつけてください。 ①毎日食べる 2 ひ と きゅうしょく た ②時々食べないことがある に が て で ③あまり食べない た ④食べない おも 給 食 で苦手なものが出たときどう思いますか。 のこ ぜ ん ぶ た ①残さず全部食べよう へ す こ た ②減らして少しだけ食べよう む り た ③無理に食べなくてもいい ぜ ん ぶ のこ ④全部残そう きゅうしょく じ か ん たの 10 給 食 の時間は楽しいですか。 たの ①とても楽しい たの ②楽しい 【 資料 1 たの ③あまり楽しくない 今年度使用したアンケート 8 たの ④楽しくない 】 5 仮説の検証 仮説(1)について ア ン ケ ー ト の 結 果 、「 給 食 で 苦 手 な も の が 出 た と き ど う 思 い ま す か 。」 と い う 質 問 に 対 し 、3 ~ 5 年 生 で 4 0 % の 児 童 が「 残 さ ず 全 部 食 べ よ う 」と 答 え た が 、6 年 生 で は 3 8 . 3年生4年生5年生6年生 5%と低かった。しかし、3年生で は平成24年度の46.8%から平 成26年度61.1%と15%上昇 が み ら れ た 。「 減 ら し て 少 し だ け 食 べよう」と答えた児童も合わせると、 H26 H24 H26 H24 H26 H24 H26 H24 3年生以上の全学年で92%以上と 全部残そう 無理に食べなく てもいい 減らして少しだ け食べよう 0.0 50.0 100.0 残さず全部食 べよう なっている。 栄養教諭講話後に児童からは、 【 グラフ2 給食で苦手なものがでた時どう思いますか】 『わたしはピーマンとトマトが嫌いだけど、給食には食べやすい工夫がされているので、 少しでもいいから食べられるようにしたい』や『同じ物ばかり食べていても、栄養のバ ランスが摂れないから、いろいろな食べ物をバランスよく食べることが大切だと思った』 との感想がみられ、感謝する心や給食の重要性を理解することができたようである。 仮説(2)について 4年生 5年生 6年生 ア ン ケ ー ト の 結 果 、「 朝 ご は ん を 食 H26 べていますか?」という質問に対し、 食べない H25 H26 あまり食べな 「 毎 日 食 べ る 」 と 答 え た 児 童 が 全 体 で 8 い 時々食べない 4 .5 % で あ り 、4 年 生 は 昨 年 度 8 7 . ことがある 毎日食べる 8%から今年度92.3%と上昇がみ H25 H26 H25 0.0 50.0 100.0 られた。学校保健委員会後の児童から は、 『 炭 水 化 物( ご 飯 、パ ン 、麺 類 )を 【グラフ3 朝ごはんは食べますか】 たくさん食べると大きな体がつくら れる』や『お米をしっかり食べると背 が大きくなるだけじゃなく、頭の回転 もよくなる』などの感想が見られ、専 門家の話を聞くことで、望ましい栄養 【 写 真 10 平成25年度3年生→平成26年度4年生】 9 や食事のとり方が心身の成長や健康の 保持増進につながっていることを理解することができたようである。 仮説(3)について あまり 楽しく ない 5% 楽しい 37% 楽しく ない 4% ア ン ケ ー ト の 結 果 、「 給 食 の 時 間 は 楽 し い で す か 」と の 質 問 に 対 し 、9 1 % の 児 童 が 、 「とて も楽しい」 「 楽 し い 」と 答 え た 。学 年 別 に み る と 、 とても 楽しい 54% 高学年になるほど、給食の時間が楽しいと感じ て い る よ う で あ る 。ま た 、 「 肉・魚・卵 を 使 っ た 料 理 を 食 べ ま す か 」の 質 問 に 対 し 、 「よく食べる」 【グラフ4 給食の時間は楽しいですか】 と答えた児童が、朝食では42.4%だったの に 対 し 給 食 で は 8 1 . 4 % 、 ま た 「 野 菜 を 使 っ た 料 理 食 べ ま す か 」 の 質 問 に 対 し 、「 よ く食べる」と答えた児童が、朝食では39.7%だったのに対し、給食では76.6% と、朝食よりも給食のほうが主菜と副菜をとれている割合は多かった。 6 研究の成果と今後の課題 研究の成果としては、朝食の欠食が4年生以上でなくなったこと、主題設定時に見られ た「朝食が準備されていないから食べていない」と答える児童がいなくなったこと、高学 年の給食残食量の減少があげられる。この結果から、今回の取り組みで、専門家の話や学 校保健委員会での呼びかけ、保健指導等を通じて、心身の成長や健康の保持増進のために 望ましい栄養や食事のとり方を理解することができたようである。一人ひとりの食生活を 変えることは難しいが、まずは給食をしっかり食べることから“食”に対する関心を持た せることができたのではないかと思う。また、苦手な食べ物は誰でもひとつはあるが、全 く食べないのではなく、一口でも二口でも、自分で栄養のことを考えて少しでも食べるこ とができるよう願っている。 今 後 の 課 題 と し て は 、現 在 全 体 を 通 し た 指 導 が 中 心 に な っ て お り 、 「朝食をあまり食べな い」と答えた児童が3年生以上で各学年に一人ずついるため、個人や対象クラスをしぼっ ての指導の必要性を感じている。また、給食の時間を「とても楽しい」と感じている児童 が半数以上いるため、給食の献立を用いながら、朝食での主菜や副菜の摂取率が増加する よう、自分でできるステップアップ朝食づくりなどの指導も続けていきたい。今後も栄養 士等の専門家や教職員と協力しながら、引き続き食に関する指導の場面を心がけ、具体的 な情報提供をしていくなどして健康教育を推進したい。 10
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