全国計量器販売事業者連合会 殿 古紙回収システムに関する計量法の遵守について(周知のお願い) 平成27年1月21日 経済産業省 計量行政室 平素より計量行政の円滑な遂行にご協力頂き、厚くお礼申し上げます。 さて、最近普及しつつあるいわゆる古紙回収システム注)に関して、計量行政室から 古紙回収関連事業者団体に対して、計量法の遵守について周知の依頼を行ったところ ですが、貴団体におかれましても、会員の皆様に次の事項を周知頂きますようお願い いたします。 (1)古紙回収システムの製造又は販売に関係する事業者の皆様におかれましては、 計量法の遵守について再確認願います。 (2)古紙回収システムの製造事業者又は運営事業者に非自動はかりを販売する場 合には、計量法第52条に基づく、購入者に対する計量法遵守に必要な事項の 説明の周知徹底を願います。 注)古紙回収システム、古紙回収ステーション等様々な商品名のシステムが普及し ていますが、非自動はかりを用いて古紙を計量し、ポイント等を還元するシス テムを総称して、古紙回収システムと呼びます。 古紙を「質量」で計量し、その質量をポイント等に換算し、取引等を行って いる場合は、そのはかりは、特定計量器としての計量法上の規制を受けること になります。 パンフレットや契約等に「○」kg=△ポイント等が謳ってあれば、計量法上 の取引等に該当します。すなわち、古紙回収システムで計量結果を質量で表示 していないからといって、計量法第16条の適用除外とはなりません。 (本件に係る窓口) ○計量法全般 ○型式承認に関する相談 経済産業省 産業技術環境局 計量行政室 電話:03-3501-1688 e-mail:[email protected] (独)産業技術総合研究所 計量標準総合センター 計測標準研究部門 法定計量科 法定計量室 電話:029-861-4058 e-mail:[email protected] 1 参考1 計量法関連条文抜粋 (使用の制限) 第16条 次の各号の一に該当するもの(・・・を除く。)は、取引又は証明における法定計量単位によ る計量(・・・略・・・)に使用し、又は使用に供するために所持してはならない。 二 次に掲げる特定計量器以外の特定計量器 イ 経済産業大臣、都道府県知事、日本電気計器検定所又は経済産業大臣が指定した者(以下 「指定検定機関」という。)が行う検定を受け、これに合格したものとして 第72条第1項の検定 証印が付されている特定計量器 ロ 経済産業大臣が指定した者が製造した特定計量器であって、第96条第1項(第101第3項に おいて準用する場合を含む。次号において同じ。)の表示が付されているもの (定期検査) 第19条 特定計量器(・・・を除く。)のうち、その構造、使用条件、使用状況等からみて、その性能及 び器差に係る検査を定期的に行うことが適当であると認められるものであって政令で定めるものを 取引又は証明における法定計量単位による計量に使用する者は、その特定計量器について、その 事業所(事業所がない者にあっては、住所。以下この節において同じ。)の所在地を管轄する都道 府県知事(その所在地が特定市町村の区域にある場合にあっては、特定市町村の長)が行う定期 検査を受けなければならない。(以下略) (遵守事項) 第52条 経済産業大臣は、経済産業省令で、前条第1項の政令で定める特定計量器の販売に当た りその販売の事業を行う者(以下この条において「販売事業者」という。)が遵守すべき事項を定め ることができる。 2 都道府県知事は、販売事業者が前項の経済産業省令で定める事項を遵守しないため、当該特定 計量器に係る適正な計量の実施の確保に支障を生じていると認めるときは、当該販売事業者に対 し、これを遵守すべきことを勧告することができる。 3 都道府県知事は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従 わなかったときは、その旨を公表することができる。 4 都道府県知事は、第1項の経済産業省令で定める事項を遵守しないため第2項の規定による勧 告を受けた販売事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、 特に必要があると認めるときは、その者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることが できる。 注)経済産業省令:計量法施行規則第19条 2 第172条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処 し、又はこれを併科する。 一 第16条第1項から第3項まで、・・・の規定に違反した者 第173条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。 一 ・・・、第19条第1項若しくは第2項、・・・の規定に違反した者 第174条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。 一 (略) 二 ・・・又は第52条第4項の規定による命令に違反した者 第177条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は 人の業務に関し、第170条又は第172条から第175条までの違反行為をしたときは、行為者を罰 するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。 計量法施行規則 (遵守事項) 第19条 法第52条第1項の経済産業省令で定める販売事業者が遵守すべき事項は、次のと おりとする。 一 届出に係る特定計量器の性能及び使用の方法、当該特定計量器に係る法の規制その他 の当該特定計量器に係る適正な計量の実施のために必要な知識の習得に努めること。 二 届出に係る特定計量器を購入する者に対し、適正な計量の実施のために必要な事項を説明 すること。 3 参考2 現在普及している古紙回収システムの定期検査方法について 現時点で把握している古紙回収システムは、おおよそ次の2つの事例に大別され、そ れぞれ、次のように定期検査を受検して頂くことになります。 (事例1)非自動はかり(以下「はかり」という。 )が複数ある古紙回収システム(図 1参照) 次の(1)の古紙回収システムに設置されているはかりは、 (2)の条件下のもと でそれぞれ(3)のとおり解釈し、 (4)のとおり運用する。 (1)システム構成 はかり付き回収ボックス(ア)の古紙確認用はかりとは別の取引等はかり(イ) が設置され、 (イ)のはかりによって古紙を計量し、ポイント等に換算した後、 (ア)に古紙を投入する古紙回収システム。 (2)条件 (ア)のはかりの計量は、あくまで、 (イ)で計量した結果のごまかし【 (イ) で計量した古紙を(ア)に投入しないなど】やいたずらの防止目的、ポイント 付加の確認のためのはかりとみなされる場合。 (3)解釈 ①はかり付き回収ボックス(ア)での計量:法第2条の「取引又は証明」行為 には該当しない。 ②取引等はかり(イ)での計量:法第2条の「取引又は証明」行為に該当する。 したがって、当該はかりは、法第16条(使用の制限)及び第19条(定期 検査)の適用を受ける。 (4)定期検査の運用 取引等はかり(イ)のみ、通常の定期検査を受検する。 図1 はかりが複数ある古紙回収システム 取引等はかり(イ) はかり付き回収ボックス(定期検査対象外) (定期検査対象) 回収ボックス 古紙確認用はかり(ア) 4 (事例2)単独のはかりからなる古紙回収システム はかり付き回収ボックス以外にはかりが設置されていない場合は、古紙回収シス テムの使用者は、次の3つのうちのいずれかを選択し、定期検査を受検する。 1.はかり付き回収ボックス以外のはかりで計量する古紙回収システムに変更する ことが可能な場合(図2参照) (事例1)の条件に適合する状態に古紙回収システムを変更する。 ここで、新たに設置するはかりは、はかり付き回収ボックスとシステム的に 連動させるか否かは問わない。 定期検査は、 (事例1)の(4)によって受検する。 図2 古紙回収システムを変更する場合 現在の古紙回収システム はかり付き回収ボックス 取引等はかり (定期検査対象) (定期検査対象外) 追加 回収ボックス 古紙確認用はかり はかりを追加し、古紙回収システムを(事例1)に適合するよう変更する。 →追加されたはかりが定期検査対象となり、現在のはかり付き回収ボックスは定期検 査対象外となる。 2.回収ボックスがボルトや溶接等ではかりに固定されている場合(図3参照) 回収ボックスをはかりの載せ台の一部とみなし、ひょう量注1)の変更(現在の ひょう量から回収ボックスの質量を減じる。 )を行う。 定期検査は、回収ボックスが固定された状態のまま通常の検査を受検する。 注1)ひょう量:計ることができる最大の質量 図3 回収ボックスがはかりに固定されている場合 はかり付き回収ボックス(定期検査対象) 回収ボックス はかり はかり付き回収ボックスが固定された状態のまま定期検査を受検する。 5 3.回収ボックスがはかりから取り外し可能な場合(図4参照) 回収ボックスをはかりの風袋注2)とみなす。 定期検査は、回収ボックスを載せ台から取り外した上で、通常の検査を受検 する。 注2)風袋:はかりで物体の質量を計るとき、物体を入れている容器・袋・箱など。はか りには、風袋の荷重の表示を零に設定する機能(風袋引き装置)がある。 図4 回収ボックスがはかりから取り外しが可能な場合 取り外す 回収ボックス はかり はかりから回収ボックスを取り外した上で定期検査を受検する。 (補足1)上記2.は、本来、型式承認を受けたはかりの改造に当たるので、 (独) 産業技術総合研究所に古紙回収システム製造事業者(又は、はかり製造事業者) が型式承認の取得について相談されたい。 (補足2)上記3.は、はかりの通常の使用状態と異なる状態で定期検査を行う措 置であるため、1.とするか、2.で古紙回収システム製造事業者(又は、は かり製造事業者)が型式承認を取得することが望ましい。 (補足3)上記2.及び3.は、計量範囲(最小測定量注3)及びひょう量)に注意し ながら正確な計量を実施するように、必要に応じて古紙回収システム変更する ことが望ましい。 注3)計量結果に過大な相対誤差を生じる可能性がある荷重の値(例えば、精度等級 3 級、目 量 1kg 場合、最小測定量は 20kg である可能性が高く、古紙1kg の正確計量はできない。 6
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