代表取締役 社長 CEO クリストフ・ウェバー

社長 CEOメッセージ
Message from the CEO
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Takeda Annual Report 2015
常に患者さんを中心に考える、機動的かつ
「ベスト・イン・クラス」
( 最高水準)の製薬企業を目指します。
タケダにとって 2014 年度は、まさに変革と成果をもた
ロファイルを有する2 型糖尿病治療剤であると確信してお
らす 1 年となりました。私は、2014 年 4 月にタケダに着任
り、今後も医療現場のニーズに応えてまいります。これによ
して以来、当社が取り組む全ての活動において、機動的か
るタケダの配当支払い能力に影響はなく、2015 年度の株
つ「ベスト・イン・クラス」の製薬企業となることを目標に掲
主への1株あたり年間配当金は180円を維持します。
げています。そして、タケダイズム(誠実:公正・正直・不屈)
2015 年度は、2014 年度に整備した事業基盤をもとに
を根幹に据えながら、
「 Patient( 常に患者さんを中心に
一層の売上収益とCore Earnings の成長を目指す極めて
考 え る )」、
「 Tr u s t( 社 会との 深 い 信 頼 関 係 を 築く)」、
重要な年となります。タケダは、成長ドライバーである「消化
「 Reputation(当社の評価をさらに高める)」、
「 Business
器系疾患(GI)」、
「オンコロジー」の重点領域および新興国に
(ビジネスを成長させる)」の順にフォーカスすることを何
おけるバリューブランド
(ブランドジェネリック医薬品とOTC
よりも重視し、
これをもとに変革を推し進め、2014 年度は
医薬品)を強化していきます。具体的には、
「エンティビオ」の
タケダの転換期となりました。
売上をさらに伸長させるとともに、
「 MLN9708 」の申請と
その変革において最も重要なのが、新たなグローバル事業
上市を確実に行い、新興国におけるバリューブランドの成長
運営体制の構築です。タケダの医薬品を待ち望んでおられる
を拡大し、革新的なパイプラインから新薬を投入していくこ
患者さんと医療関係者の皆さんのことを第一に考えて、各組
とにより、自律的な成長を実現していきます。また、研究開
織の責任と役割を明確にするとともに、
シンプルな体制にする
発においては、タケダの重点領域においてアンメットメディ
ことで、
より効率的で競争力のある事業運営を可能にしました。
カルニーズを満たす新薬やワクチンを創出します。また、京都
2014 年度の成果としては、潰瘍性大腸炎・クローン病治
大学iPS細胞研究所(CiRA)などの外部機関との連携を積極
療剤「エンティビオ」
( ベドリズマブ)をはじめ、今後の成長を
的に活用していきます。さらには変革をリードできるグロー
牽引する画期的な新薬の上市が貢献したことなどにより、売
バル人材の開発・育成に注力することで、
「 ベスト・イン・クラ
上収益は対前年 +5.1%となり、研究開発面でも多発性骨髄
ス」の製薬企業を目指します。
腫治療薬「 MLN9708 」
(イキサゾミブ)など、多くの開発後
タケダの全ての事業活動は、230 年以上にもわたり受け
期パイプラインが進捗しました。売上伸長には、為替の影響
継がれてきた普遍の価値観タケダイズムに基づくものです。
や事業の売却益も含まれており、これらの要因を除外した
このことを念頭に、今後もコンプライアンスのさらなる徹底
今年度の実質的な成長はガイダンス通りの +2.8%となりま
を図るとともに、製薬企業に対する国際社会の要請にも引き
した。利益面においては、Core Earnings の実質的な成長
続き誠実に対応していきます。私たちは、タケダイズムに基
は -2.1%となり、これもガイダンス通りでした。米国で提起
づき、
「 優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の
されたアクトス訴訟和解に向けた引当金の計上の影響など
未来に貢献する」というミッションを実現します。
の一時的要因を含めると2014年度は当期損失を計上する
こととなりました。本和解により、タケダの財務上の不確実
性が低減され、革新的な新薬の開発に一層注力できるもの
と考えています。タケダは、未来志向をもって経営的に和解
を選択したものの、
アクトスが良好なリスク/ベネフィットプ
代表取締役 社長 CEO クリストフ・ウェバー
Representative Director, President & CEO
Christophe Weber
※Core Earningsとは、営業利益から、企業買収にかかる会計処理、無形資産の償却費・減損損失、事業構造再編費用、訴訟費用などの特殊要因を除いた定常的なビジネスベースの利益であり、
さらに為替の影響と、製品売却や取得を除外したもので、年次比較などの経営指標として優れています。
製薬業界で業績指標として幅広く用いられています。実質的なCore Earningsとは、
Takeda Annual Report 2015
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