平成 26 年技術賞受賞講演 技術賞 半導体プロセスを応用した高信頼性微細配線技術の開発 神吉 剛司 *,池田 淳也 *,中田 義弘 *,谷 元昭 *,中村 友二 * Development of Highly Reliable Cu Wiring Technology for 2.1/2.5D-IC by Applying Semiconductor Manufacturing Process Tsuyoshi KANKI*, Junya IKEDA*, Yoshihiro NAKATA*, Motoaki TANI*, and Tomoji NAKAMURA* * 株式会社富士通研究所(〒 243-0197 神奈川県厚木市森の里若宮 10-1) * FUJITSU LABORATORIES LTD. (10-1 Morinosato-Wakamiya, Atsugi, Kanagawa 243-0197) 概要 2.1D/2.5D 実装向けのチップ間を接続する微細配線について,高信頼性を目的としたわれわれの開発技術を紹介す る。われわれは今までに,有機絶縁膜上にセミアディティブ法を用いて L/S = 1/1 μ m までの微細な Cu 配線を形成し,その高 信頼性について検証してきた。今回,半導体プロセスを応用し,高温高湿下においても Cu の腐食や拡散を防止し高信頼性を 実現できるメタルキャップバリア配線構造を見出すことで,L/S = 1/1 μ m 配線の信頼性要求を満たす事に成功した。このキャッ プバリアは自身が酸化することで不動態膜を形成し,Cu 配線の腐食を防止するメカニズムであり,CoWP を用いる事で,より 高い信頼性を実現することが可能である。 Abstract In this paper, we describe technologies to produce fine-pitch Cu wiring that provides high reliability and connects between chips for 2.1D/2.5D packaging. We have developed a semi-additive process to fabricate L/S = 1/1 μ m wiring on an organic dielectric layer. The wiring uses Metal Cap barrier applied to LSI technology in order to suppress Cu diffusion and corrosion. This cap barrier oxidizes to form a passivation layer which prevents corrosion of the Cu wiring. The reliability of this wiring has been verified under HAST (Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test) conditions, with a CoWP barrier in particular realizing higher reliability. Key Words: 2.1D/2.5D-IC, Chip-to-Chip Wiring, Organic Insulation Layer, High Reliability, Metal-Cap Barrier 1. コストの観点から,このチップ間接続配線の形成には, はじめに ビルドアップ基板などに適用されているセミアディティブ 現在,複数のデバイスを組み合わせる事でシステムの性 法が有効である 15),16)。しかしながら,この方法で形成する 能向上,低消費電力化,高機能化を実現するなど,従来の Cu 配線は外周部を有機絶縁膜で覆うのみであり,LSI 配線 スケーリングトレンドである Moore 則を逸脱した More than のような Cu の酸化や拡散を防止できるバリア層を有さな Moore の技術の開発が進められている 1)。代表的なものに, い。加えて,有機絶縁膜は耐湿性に乏しく,また,加熱環 LSI を 3 次元に積層する 3D-IC 技術や,平面で高密度集積 境下では吸湿した水分に起因する加水分解により有機酸を 。2.1D/2.5D-IC では, 生成する。このため,長期運用において,Cu 配線は腐食環 Si,ガラス,有機材料などから成るインターポーザ上で複 境下に晒されることになり,信頼性が著しく損なわれる。 数の LSI を接続する技術 8),複数の個片にした LSI を樹脂 この問題に対し,われわれは今まで,セミアディティブ法 する 2.1D/2.5D-IC 技術がある 2)∼7) で再構築して接続する擬似 SoC (System on Chip) 技術 9),10) , マルチチップの FO-WLP (Fan out-Wafer Level Package) 技術 などが報告されている 11)∼13)。これら 2.1D/2.5D-IC 技術で 䝏䝑䝥㛫᥋⥆㓄⥺ 䝖䝷䞁䝆䝇䝍 は,チップ間を近接距離で接続する微細配線技術が重要で ୗᒙ㓄⥺ ある(図 1) 。上述したニーズに対応するため,チップ間接 ୖᒙ㓄⥺ 㽀㻌䝞䞁䝥 続配線も微細化が進んでいる。現在要求されているルール は L/S (Line width and Spacing) = 5/5 μ m 程度であるが, 䜲䞁䝍䞊 䝫䞊䝄 チ ッ プ サ イ ズ の 小 型 化 や I/O 数 の 増 加 も あ り,ITRS (International Technology Roadmap for Semiconductors) の予 測では 2019 年には LSI のグローバル配線と同じレベルの L/S = 1/1 μ m までの微細配線が必要とされている 14)。 䝟䝑䜿䞊䝆ᇶᯈ 図 1. インタポーザ技術とチップ間接続配線 エレクトロニクス実装学会誌 Vol. 18 No. 6 (2015) 435
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