2 GNU Fortran 77

情報処理 (第 1 回)
(2015/4/6・茂木)
本日のテーマ
• 授業の概要
• Fortran のプログラムの作成と実行
1 Windows の設定−ファイルの拡張子を表示するように変更
Windows のファイル名は,例えば「レポート.doc」,「実験結果.xls」のように,名前本体と「.doc」,「.xls」
のような3文字の拡張子が付けられるのが普通です.拡張子はファイルの種類を表していて,.doc は MS-Word
のファイル,.xls は Excel のファイルを意味しています.Windows では,ファイルの種類をアイコンで表示す
るようになっていること,拡張子を不用意に変えるとそのファイルが作成したソフトで開けられなくなってし
まうことがあるため,初期設定では拡張子が表示されないようになっています.しかし,プログラムを作成す
る場合にはこの設定が混乱の元になるので,以下の手順でこの設定をあらかじめ変えておきます.
配布した CDROM を入れると自動再生されるので,自動的にエクスプローラが立ち上がったら,①「表示」
→②「ファイル名拡張子」にチェックを入れる.
なお,自動再生されない場合には キーを押しながら E を押してエクスプローラを立ち上げて,①以降の操
作を行って下さい.
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2 GNU Fortran 77
講義では,Windows PC 用のフリー Fortran コンパイラ GNU-g77 を使用します. GNU は多くのフリーソフ
トウェアを作成している団体で,GNU Public Licence1 に従って自由に利用できるプログラムを公開していま
す.これらのソフトウェアはプログラムソースが公開され,かつ,ライセンスの規定に従う限り利用が自由で
あるため,LINUX など様々な OS に移植され,広く使われています.配布 CDROM の GNU g77 は Windows
PC 版2 です.
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http://www.gnu.org/copyleft/copyleft.html
この GNU g77 は Windows 95 以降で使用可.
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3 CDROM のコンパイラをそのまま使う手順
3.1 work フォルダの作成
はじめに,ソースファイルや実行ファイルの書き込み用の作業フォルダを作成します.ここでは,作業フォ
ルダを C:YworkYT66160(T66160 は講義番号)
,CDROM を E ドライブとします.下図上段に示すように,ま
ず「ローカルディスク C:」に「work」フォルダを作成します(①∼④)
.次に「work」フォルダをダブルクリッ
クして,
「work」フォルダに移動します.⑤現在のフォルダが「work」フォルダであることを確認した後,先
ほどと同じようにして,「work」フォルダ内に「T66160」フォルダを作成します(⑥∼⑧).
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3.2 コマンドプロンプトの起動と環境設定
コマンドプロンプト(
「DOS 窓」とも呼ぶ)を起動します.Windows 8 では①画面左下の を右クリック→②
「コマンドプロンプト」の手順です(Windows 7 では画面左下の を左クリック→「すべてのプログラム」→
「アクセサリ」→「コマンドプロンプト」
)
.コマンドプロンプトが起動したら,カレントフォルダを C ドライブ
の YworkYT66160 に移します.次に Fortran を使うための環境設定を行います. CDROM が D:ドライブの人は
コマンドプロンプトの中で D:YSetupOnD と入力してください(大文字でも小文字でも構いません).CDROM
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が E:ドライブの人は E:YSetupOnE とします.CDROM のドライブレターがわからない人は,エクスプローラ
の表示を見てください.エクスプローラの「コンピュータ」欄「DVD RW ドライブ (D:)」 のようになってい
るので,このコンピュータでは CDROM が D:ドライブであることがわかります.
なお,環境設定はコマンドプロンプトを起動するたびに一度実行します. Fortran を使わない場合は d:YsetUpOnD
の入力は不要です.
cd ¥work¥T66160 入力
D:¥SetupOnD 入力
(CDROMがDの人の場合.
Eの人は E:¥SetupOnE)
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3.3 ソースファイルの作成
ソースファイル (source file) とは,行いたい計算の手順を書いた「計算指示書」です.一般に「プログラム
を作る」とは,この「計算指示書」を作成することを意味します.ここでは最も基本的なものは Windows 付
属の「メモ帳」
(notepad.exe)を使います. キーを押して,デスクトップ表示からタイル表示に切り替えて
[アプリ」欄の「メモ帳」を選びます(下左図)
.めんどくさい人はコマンドプロンプトや +R キーを押して
「ファイル名を指定して実行」の中で「notepad」とタイプしても起動することができます.起動したら下右図
のように,次ページのプログラムを打ち込んでください.プログラムリストで「」は半角の空白文字を表し
ています.
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なお,ソースファイルの作成には様々なエディタが使えます. Windows 付属の「メモ帳」のほかに,「秀丸エ
ディタ」
(シェアウェア)など実績のある高機能エディタも使用できます.ただし,Fortran のプログラムはテ
キスト形式のファイルでなければならないため,MS-WORD や一太郎などのワープロソフトは使えません.講
義資料では「メモ帳」を使う場合を説明します.
ソースファイル(
「計算指示書」
)には Fortran の決まり(Fortran の文法)に従って,計算の手順を順に書い
ていきます.以下,ソースファイルの入力時の注意事項です.
1.
1 行目の c23456 の行以外は左 6 文字分に半角の空白文字を打ち込んで下さい. Fortran の命令は左の 6
文字分あけて書かないといけないので, c23456 の行はそのための目印です.なくてもかまいません.
2.
空白文字やアルファベット,カンマ (,),引用符 (’),感嘆符 (!) などの記号はすべて半角文字です.全角
文字は引用符 (’) の内部とコメントでしか使うことができません.空白文字や引用符を全角文字で書いて
しまう人がいるので注意してください.
3.
Fortran では大文字と小文字の区別をしません(引用符 (’) に囲まれた部分以外).大文字で打ち込んでも
小文字で打ち込んでも,同じ文字として扱われます.
サンプルプログラム tashizan.f
c23456c が一文字目にあるとコメントです.
programtashizan
integerm,j
m=0!ここから計算スタート(!より後ろはコメントになります)
doj=1,20000
m=m+j
enddo
write(6,*)’1 から 20000 までたすと’,m
stop!この行はなくてもかまいません
end
打ち込み終わったら保存(セーブ)します.まず左下図のように,①「ファイル」メニューで②「名前を付け
て保存」を選んで,保存する場所を C ドライブの YworkYT66160 フォルダにします(
「ローカルディスク(C:)
」
→「work」→「T66160」を選ぶ).
次に下図のように,④ファイルの種類を「すべてのファイル」にしてから,⑤「ファイル名」にファイルの
名前(tashizan.f)を半角文字で入力します.ファイルの名前は必ず.f で終わるようにします.
(あらかじめファイルの種類を「すべてのファイル」にしておかないと,勝手に tashizan.f.txt にされてし
まいます).最後に⑥「保存 (S)」を左クリックします.
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前述のように,.f のようなファイル名の最後の部分を「拡張子」と呼び,.f の拡張子によって,このファイ
ルが Fortran のソースプログラムであることを g77 コンパイラに伝えます.
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保存が成功すると,下左図のようにエクスプローラに① tashizan.f のアイコンが現れます.また,メモ帳
にファイル名が表示されるようになります②.念のため,保存場所も確認しておいてください③.
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4 プログラムのコンパイルと実行
計算を行うためには,まず,先ほどの「計算指示書」に従って実際に計算を行う実行プログラムを生成しま
す.この作業をコンパイルと呼びます(正確には自動的にコンパイルとリンク二つの作業が行われます).
先ほど作成したソースファイル tashizan.f をコンパイルするには,①次のように入力します(次ページ
図①).
f77 tashizan.f -o tashizan
f77 は Fortran コンパイラの起動を意味し, tashizan.f は Fortran のソースファイル, -o 以降にコンパイ
ルによって生成される実行ファイルの名前をコンパイラに与えるものです.なお,Windows 上の実行ファイル
は,tashizan.exe のように拡張子が必ず.exe でなければなりません.このため,コンパイラによって自動的
に.exe が補われて,実行ファイル tashizan.exe が作成されるようになっています.また,実行ファイル名
を省略し,
f77 tashizan.f
とすると実行ファイルは a.exe という名前になります.
コンパイルに成功すると,②エクスプローラで tashizan.exe が生成されていることが確認できます.また,
コマンドプロンプトの中で,dir と打ち込んでも生成されたファイルを確認することができます.ソースファ
イルに間違いがあると,コマンドプロンプトの中にたくさんのエラーメッセージが表示されます.このときに
は,ソースファイルを修正(メモ帳で打ち込んだプログラムを修正して,上書き保存する)して,再度コンパ
イルします.エラーメッセージの多さにびっくりしないで,最初のエラーを修正→コンパイルを繰り返してい
くのが,エラーを修正していくコツです.再度コンパイルする際に,
「f77 ...」をまた打ち込むのは大変なの
で, キーや左上の F3 キーを使いましょう.
生成された実行プログラムを実行するには,③コマンドプロンプトの中で tashizan.exe,または単に tashizan
と入力します(すなわち実行に際しては.exe が省略可能).
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5 配布 CDROM について
5.1 CDROM のファイル構成
配布 CDROM のファイル構成を示します.必要最低限のファイルは bin,lib の中のファイル群で,これが
あればコンパイルすることができます.TEXT には,教科書 main.pdf や g77 のオンラインドキュメント,DOC
や doc-onyx-f77 には教科書の原著(prof77.pdf)や情報センターの大型コンピュータ(onyx)の Fortran の
マニュアルが入っているので,必要に応じて読んでください.
[Y]---[BIN]
: コンパイラ g77(f77).exe,f771.exe,リンカ ld.exe など実行ファイル(必須)
|
他に DOS 用 vi, ls など unix 風の実行ファイル
|---[LIB]
: ライブラリファイル(必須)
|---[TEXT]
: この授業の教科書 main.pdf, g77 のオンラインドキュメント(英語)
|---[DOC]
:
|---[doc-onyx-f77]
: Onyx の f77 のリファレンスマニュアル f77lrm.pdf など
|
|---README1.TXT
: g77 の簡単な説明,インストール方法の説明
|---G77SETUP BAT
|---G77SETUP.ORG
: C:Yg77 フォルダにインストールするときの環境設定例
|---setupOnD.bat
: CDROM が D ドライブのときの環境設定バッチファイル
|---setupOnE.bat
: CDROM が E ドライブのとき
|---setupOnF.bat
: CDROM が F ドライブのとき
|---setupOnG.bat
: CDROM が G ドライブのとき
|---setupOnH.bat
: CDROM が H ドライブのとき
|---MYTEST1.F
: サンプルプログラム
|---MYTEST2.F
5.2 PC のハードディスクにコンパイラを置いて使うには
コンパイラ関連ファイルのコピー
コンパイラ関連のファイルをコンピューターのハードディスクにコピーし,環境設定をしておくと,CDROM
が不要になる,コンパイルが非常に高速になる,e:YSetupOnE の入力が不要になるなどの利点があります.こ
こでは,c:Yg77 以下にコンパイラ関連ファイルを置くものとします.まず,①エクスプローラで c:ドライブ
に g77 フォルダを作成します.その後,③ CDROM から bin,lib フォルダをフォルダごと c:Yg77 以下にコ
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ピーします.また,必要に応じて,text フォルダなどもコピーしておいてください.
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環境変数の設定
エクスプローラの中で①「コンピューター」を右クリック→②「プロパティ」→③左のタスクから「システ
ムの詳細設定」→④「環境変数」を選びます.
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次に環境変数 PATH と LIBRARY PATH を設定します.PATH はすでにあるはずなので,⑤クリック後⑥「編集」
を選んで⑦既存のもの(内容は人によって違います)に;(半角セミコロン)で区切って,c:Yg77Ybin を追加
します.すなわち,;c:Yg77Ybin を一番後ろに加えます.LIBRARY PATH はないと思うので,⑨新規を選んで
⑩変数名を LIBRARY PATH,⑪変数値を c:Yg77Ylib としてください.これ以降に立ち上げたコマンドプロン
プトにこの設定が有効になります.
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環境変数 PATH は,コマンドプロンプトの中から g77 などのコマンドを起動するときに,これらのコマンド
(の実行ファイル g77.exe を探すフォルダを,LIBRARY PATH はコンパイラ(正確にはリンカ・ld.exe)がリ
ンクするライブラリを探すフォルダを指定するものです.
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