ネパール地震後の感染症の現状について調査しました(2015/7/25-29) テーマ:地震後の感染症について 場 所:チトワン医科大学ティーチング病院、Bharatpur 病院等 7月 25 日(土)~26 日(日)、当研究所の服部俊夫名誉教授、浩日勒助教(災害医学研究部門 災害感染 症学分野)はネパール地震緊急調査団一行(団長:江川新一教授・災害医学研究部門)より二日早くネパ ールに入り、ハワイ大学熱帯医学研究所 Vivek 所長より紹介された、チトワン医科大学ティーチング病 院を訪問、医学部長、病院長、検査部長と面談しました。チトワンはカトマンズよりも南西に位置し、南 端はインドと接しており、デング熱を始め熱帯感染症が多い地域です。またこの訪問は、ネパール厚生省 のレプラ感染症コントロール部長パンデー先生に設定して頂きました。原因不明の感染症が多いという 事で、多種類抗原同時検出の共同研究を提唱したところ、医学部長を始め研究者や医師に極めて高い興 味を示して頂きました。翌日は政府設営の Bharatpur 病院を訪問し、地震直後の来院者についての情報 を頂きました。チトワンでは地震被害はあまりなく、また地震による死亡者はありませんでしたが、カト マンズなどの被災地から帰郷した患者がかなりいました。地震後、家族及び病院スタッフの懸命な治療 により回復している入院患者 2 名との面談もできました。また、病院内では床や廊下にまで入院患者が おり、非常に混雑し、看護婦の数も少なく、改善が望まれています。さらにエイズ結核は、エイズ患者の 40%近くに上昇していて、災害になりつつあることがわかりました。 7 月27日(月)からカトマンズで他の調査団メンバーと合流し、各所を調査しました。感染症に限っ ていえば、国を始め政府機関が市内での感染症のアウトブレークを恐れ、水とフィルター装置の配布を 行い、また被災者の食糧の用意を政府が行うことにより、アウトブレークを防ぎ、感染症の発生を通常よ り少なく抑えることができたとの印象を得ました。しかし、レプラ感染症センターで偶然お会いした Ramechhap Hospital の責任者によると、地震により村の水道施設が破壊され、またトイレはもともと ないので、汚染された川の水を飲水することにより多数の下痢感染症や肺炎などが発生したとのことで した。今回の地震による被害は山間部に多く、その地域の健康被害に感染症が挙げられています。また、 南部の医療事情が災害時の状況を悪化させている可能性を指摘したいと考えています。 チトワンティーチング病院で関係者らと Bharatpur病院の様子 文責:浩日勒(災害医学研究部門)
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