半導体工学 学籍番号 3回目 氏名 1. 真性半導体における伝導帯電子の総密度n、価電子帯正孔の総密度pはそれぞれ次式で与えられる。 2 m ek BT n 2 h2 2 m h k BT p 2 h2 1 .5 E E k BT N c e e E f E f 1 .5 k BT k BT N v e e g f E g E f k BT T:絶対温度、kB:ボルツマン定数、Eg:バンドギャップ、Ef:フェルミエネルギー、 me:電子の有効質量、mh:正孔の有効質量、h:プランク定数、 NC: 伝導帯の実効状態密度、NV:価電子帯の実効状態密度 また、本式では価電子帯の頂をE=0としている。 (a) 真性キャリア密度niを、Nc,NvおよびEgを用いて表しなさい。 (b) 真性半導体のフェルミエネルギーEfをEg、有効質量me,mhを用いて表しなさい。 (c) 半導体Ge、Si、GaAsにおけるT=300 [K]での真性キャリア密度ni [cm-3] 、およびフェルミエネルギー Ef [eV]を求めなさい。 (a) n=p=ni 即ち n×p=ni2 より求める。 ni N c N v e Eg 2 k BT (b) n=pより求める。 Ef m 3 k BT ln e 2 4 mh Eg (c) 表の通り ni [cm-3] Ef[eV] Ge 2.12×1013 0.32 Si 7.85×109 0.54 GaAs 1.77×106 0.75 半導体工学 学籍番号 3回目 氏名 2. 図2-1のように膜厚1(μm)のn型GaAsの電気的特性を、van der Pauw法を用いてHall効果測定する。以下の問に答 えなさい。 (1) AからCに向かって電流を流す。磁界を加えないときと、図のような磁界を加えたときに、どのような違いが生 じるか。 磁界B BD間の電位を測定すると、磁界を加えることにより、Bが正、Dが負の電位 を生じる。 D A GaAs B (2) 抵抗率ρと(1)の測定を組み合わせると、この試料のキャリア濃度n、および移 動度μを求めることができる。ρ、n、μそれぞれの関係を式で示しなさい。ただし、電 子の素電荷qおよび電界はEとして用いても良い。 C t=1m 図2-1 試料の配置図 1 qn (3) 一般的な半導体と金属の抵抗率の温度特性はどのように異なるか?説明しなさい。 半導体の抵抗率は温度上昇とともに減少する。その理由は、移動度が散乱 の影響を受けて若干減少するが、キャリア濃度が大幅に増大するためであ る。一方、金属の抵抗率は温度上昇とともに増大する。その理由は、キャリ ア濃度は温度が変化してもほとんど変化しないが、散乱による移動度の低 下が起きるためである。 3. 右の図は、代表的な半導体における伝導帯と価電子帯のE-k関係を示した ものである。今、この半導体の有効質量について考えた時、電子と正孔のどち らの有効質量が重いと考えられるか?その理由も付して答えよ。 エネルギー:E 伝導帯 2k 2 E 2m 2 m 2 E k 2 * をkで2回微分すると よって、伝導帯の方が曲率が大きいので、電子の有効質量 の方が正孔の有効質量よりも軽い 波数:k 価電子帯 半導体工学 学籍番号 3回目 氏名 4. 膜厚t=50μmの四角の半導体に四隅の電極を蒸着し、ホール効果測定を行っ た。以下の問題に答えなさい。 ① AからCに向かって電流を流し、BD間の電圧を測定したとき、磁界がゼロの ときに比べ、図のような磁界を加えることにより、Bの電圧がDの電圧より高 くなった。この半導体はn型かp型か? ② AB間に電流1mAを流したとき、CD間に電圧0.15Vが発生した。この試料の 抵抗率を[・cm]の単位で求めなさい。 ③ AC間に電流1mAを流し、BD間の電圧を測定したところ、磁界がゼロのとき はVBD=0V、磁界B=0.1Tを加えたら、VBD=0.05Vであった。この試料のキャリ ア濃度と移動度を求めなさい。 磁界B A B C t=50m ① n型の場合、電子はCからAに運動→ローレンツ力はBの方向 × p型の場合、正孔はAからCに運動→ローレンツ力はBの方向 ○ 即ち、この半導体はp型 ② t V 0.017m 1.7cm 2 ln(2) I ③ キャリア濃度 移動度 p 1B I 2.5 10 20 m 3 2.5 1014 cm 3 q t VH 1 1 1.47 m 2 / Vs 1470 cm 2 / Vs qp 1Teslaは何Gauss? 1T=104G •磁束の方向に垂直な面の1平方メートルにつき1ウェーバの磁 束密度(SI単位系) •ガウス(gauss, 記号:G)は、CGS電磁単位系・ガウス単位系に おける磁束密度の単位である D 半導体工学 学籍番号 3回目 氏名 4. n型不純物を含む半導体の自由電子濃度nの温度特性はスライドで説明したが、p型不純物を含む半 導体の自由正孔濃度pの温度特性はどのようになると考えられるか?バンド図を書いて現象を説明し、さ らに横軸1/T、縦軸pのグラフを書き説明しなさい。 n EC エネルギー ED 不純物領域 飽和領域 真性領域 EA EA EV p p 価電子帯 価電子帯 価電子帯 p=NA 温度上昇 正孔密度 p (対数表示) p型半導体の温度変化によるエネルギー状態の変化を上図に示す。極低温領域では殆どの 電子は価電子帯中に存在するが、温度の上昇にしたがって、一部の電子がアクセプタ準位に 遷移し、価電子帯に正孔が形成される。この領域が不純物領域である。次に、ある程度温度 が上昇すると、アクセプタ準位の全てに電子が励起され、それ以上の遷移が起きない領域に 到達する。この時、価電子帯に形成される正孔も増加しないため、正孔濃度は一定、すなわち 飽和領域となる。さらに温度を上昇させると、価電子帯の電子が伝導帯に遷移する領域となり、 伝導帯に自由電子が、価電子帯に自由正孔が形成される。この領域は真性領域と呼ばれる。 これをまとめると下の図のような温度依存性となる。 Eg 2 真性 領域 E A 2 飽和 領域 不純物 領域 温度の逆数 1 T
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