1. スマートハウスでよいのか 今住宅メーカーは環境負荷ゼロを目指して開発された スマートハウスの普及に全力を挙げている。 アメリカでスマートメーターと呼ばれる多機能化された (賢い)電力メーターが開発され、これを利用することに よってHEMS(Home Energy Management System)が可能に なり、このHEMSを搭載した住宅がスマートハウスと名付 けられた。これは省エネ、創エネ、蓄エネなどをフル活用 した省エネ住宅の一つの到達点であった。 しかし、このスマートハウスには人の住まいとしては基 本的な欠陥がある。住む人の心を豊かにする心地よさ、快 3. これからの住宅はウェルネスハウスへ 適さを感じさせる感性性能が欠如しているのである。快適 な居住空間として必要な調湿性の確保という視点がないば 国交省の示したスマートハウスのウェルネス化、すなわ かりか、どこか冷たい印象で、暖かさ、潤い、和み、安ら ちスマートウェルネス住宅は弱者を対象にしたものである ぎ、優しさなどを感じさせる配慮がみられないという欠陥 が、当然一般住宅についても求められるものであることは があったのである。 論を待たない。即ち、これからの一般住宅はスマート化の みでなく、スマートウェルネス化を目指さなければならな いということになる。これを本稿ではスマートウェルネス 2. スマートウェルネス住宅 ハウスと呼ぶこととする。 ここへ来て国土交通省がまことに賢明なアクションを示 した。スマートウェルネス住宅事業がそれである(別表参 4. スマートウェルネスハウスに求められる内装材 照)。これは高齢者、障害者、子育て世帯等が交流しつつ、 安心、健康に暮らすことができる住宅のこととしている。 スマートウェルネスハウスの内装材は既にJIS規格ができ 即ち、省エネの完成を目指したスマートハウスにウェル ている。JIS A 6909建築用仕上塗材の中で調湿形内装仕上塗 ネス を加えて、安全、安心、健康に配慮した住宅を目指 (注) 材として規定されたものである。 すものとして示したものである。 JIS A 6909では、規定の吸放湿試験を行い、吸放湿性の 国土交通省はこれに補助金を用意して、民間からの提案 値が70g/㎡以上のものを調湿形内装仕上塗材と呼ぶこと を求め、普及をはかることとしている。補助金の対象とな ができるということになっている。 る事業の概要などを別表に示す。 従って調湿形内装仕上塗材はJISに規定された建築用仕上 塗材としての基本的物性や、耐久性、防火性等を含めた安 12 No.461 2015 年 1 月号
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