本日の内容 - 鋼構造物塗膜処理等研究会

最近の鋼構造物用塗料の
開発動向
日本ペイント株式会社
技術本部 鉄構塗料技術部
技術グループ
大澤 隆英
本日の内容



1.鋼構造物塗装の現状
 鋼橋塗装
 環境問題(VOC)
2.最近の鋼構造物用塗料のトレンド
 ライフサイクルコスト(LCC)の低減
 省工程塗料
 環境負荷低減
 VOC削減
 火災対策
 さび面素地調整補助剤
3.最後に
本日の内容



1.鋼構造物塗装の現状
 鋼橋塗装
 環境問題(VOC)
2.最近の鋼構造物用塗料のトレンド
 ライフサイクルコスト(LCC)の低減
 省工程塗料
 環境負荷低減
 VOC削減
 火災対策
 さび面素地調整補助剤
3.最後に
出典:国土交通省 第1回道路メンテナンス技術小委員会配布資料
出典:国土交通省 第1回道路メンテナンス技術小委員会配布資料
建設後50年を超えた橋梁(2m以上)の割合は、現在は約2割で
あるが、2022年には約4割、2032年には約7割へと増加。
出典:国土交通省 第1回道路メンテナンス技術小委員会配布資料

このような現状では、劣化した橋梁を1つずつ
新しい橋梁に作り替えることは不可能。

これから作られる新設橋梁は高い耐久性が
必要。

すでにある既設橋梁は、より長く使えるように
する必要がある。

鋼道路橋における防食は、平成26年に発刊
された鋼道路橋防食便覧に従って行うことが
基本である。
表 代表的な鋼道路橋の防食法
塗装
防食法
防食原理
劣化因子
一般
塗装
塗膜による環境遮断
重防
食塗
装
塗膜による環境遮断
亜鉛(ジンクリッチ)に
よる犠牲防食
耐候性
鋼材
緻密なさび層による
腐食速度の低下
溶融亜鉛
めっき
亜鉛皮膜による環境
遮断
亜鉛による犠牲防食
金属溶射
金属溶射皮膜による
環境遮断
亜鉛などによる犠牲
防食
劣化現象
補修方法
紫外線
塩分
水分(湿潤状態の
継続)
さびの発生
塗膜の減耗
変退色
再塗装
塩分
水分(湿潤状態の
継続)
異常錆の形成
塗装への防食法
の変更
亜鉛めっき層の消耗 塗装への防食法
の変更
亜鉛、アルミニウム
などの溶射皮膜の
消耗
再溶射
塗装への防食法
の変更
出典:鋼道路橋防食便覧
表 鋼道路橋の代表的な防食法の適用環境比較
Installation environment
防食法
塗装
一般塗装
There is little flying salt.
Applicable range
重防食塗料
耐候性鋼材
溶融亜鉛めっき
金属溶射
封孔処理
重防食塗装
There is much flying salt.
Applicable range
Applicable range
Applicable range
Applicable range
Applicable range
出典:鋼道路橋防食便覧
Steel weight
Painting
Weathering
steel
Fiscal year
図 年度別橋梁製作重量に対する防食方法の割合
出典:(一社)日本橋梁建設協会ホームページ
鋼道路橋防食便覧塗装編では


新設橋梁では、ライフサイクルコスト(LCC)
低減の観点から、防食下地には耐食性に
優れたジンクリッチペイントを、上塗は、耐
候性に優れたふっ素樹脂塗料を用いた重
防食塗装系を適用することを基本。
新しい塗料も、その性能や効果が確認され、
環境負荷が低減され、作業上安全であるも
のは適用可。
土木研究所と塗料メーカー3社は共同で、駿河湾沖の施設にて1984年より暴露試験
を実施している。
Table 2 Environmental classification corrosion by ISO12944-2
Place
Amount of Flying sea salt
(mg/㎡/d)
on the 1st deck of the
maritime exposure in the
Suruga Bay.
431
Amount of SO2 pollution
(μg/m3)
33
Corrosion of carbon steel
(μm/y)
48.4
Classification corrosive
environment
Shizuoka Prefecture (offing of Oigawa)
C4
The exposure test in Suruga Bay sea exposure field
On the 1st deck of the 13.9m
from sea water level.
表 駿河湾海上暴露場で実施された暴露試験の塗装仕様
仕様
鉛系さび止めペイント
/ 長油性フタル酸樹脂
システム
ジンクリッチ/ふっ素樹脂
システム
ジンクリッチ/ポリウレタ
ン樹脂システム
ジンクリッチ/塩化ゴム系
システム
表面処理
ブラスト処理 ISO Sa2 ½ (3.2×100×200mm)
1st coat
エッチングプライマー
(15μm)
無機ジンクリッチペイント
(75μm)
無機ジンクリッチペイ
ント(75μm)
無機ジンクリッチプライ
マー(15μm)
2nd coat
鉛系さび止めペイント
(35μm)
ミストコート(エポキシ樹
脂プライマー) (-)
ミストコート(エポキシ
樹脂プライマー) (-)
塩化ゴム系プライマー
(45μm)
3rd coat
鉛系さび止めペイント
(35μm)
エポキシ樹脂プライマー
(100μm)
エポキシ樹脂プライ
マー(60μm)
塩化ゴム系プライマー
(45μm)
4th coat
長油性フタル酸樹脂
中塗り (30μm)
ふっ素樹脂塗料用中塗り
(50μm)
エポキシ樹脂プライ
マー(60μm)
塩化ゴム系中塗り
(35μm)
5th coat
長油性フタル酸樹脂
上塗り(25μm)
ふっ素樹脂塗料上塗り
(20μm)
ポリウレタン樹脂塗料
用中塗り (30μm)
塩化ゴム系上塗り
(30μm)
6th coat
-
ふっ素樹脂塗料上塗り
(20μm)
ポリウレタン樹脂塗料
上塗り
(30μm)
-
10
Rating of the rust (ASTM)
8
6
4
2
0
0
5
10
15
20
Exposure period (years)
図
駿河湾暴露におけるさびのレーティング変化
◆
■
▲
■
ジンクリッチ/ふっ素樹脂システム
ジンクリッチ/ポリウレタン樹脂システム
鉛系さび止めペイント/ 長油性フタル酸樹脂システム
ジンクリッチ/塩化ゴム系システム
表 分極抵抗測定結果 (カレントインターラプター法 (CI法))
鉛系さび止めペイント/ 長油性フタ
ル酸樹脂システム
ジンクリッチ/ふっ素樹脂システム
初期の分極抵抗値
(Ω・cm2)
108
1011
20年後の分極抵抗
値(Ω・cm2)
104
1011
駿河湾海上暴露20
年後の試験片の外観
図 駿河湾海上暴露20年暴露後のジンクリッチ/ふっ素樹脂システム塗膜断面のEPMA 分析
結果
High
Low
Chloride ion concentration
Coating surface
Fluorocarbon resin top coat
Coating film
Intermediate coat
Epoxy resin primer
10
100
Gloss retention rate
Rating of the Chalking
8
6
4
2
0
80
60
40
20
0
0
5
10
Exposure period (years)
15
20
0
5
Exposure period (years)
図 駿河湾海上暴露における白亜化と60度鏡面光沢保持率の変化
◆
■
▲
■
10
ジンクリッチ/ふっ素樹脂システム
ジンクリッチ/ポリウレタン樹脂システム
鉛系さび止めペイント/ 長油性フタル酸樹脂システム
ジンクリッチ/塩化ゴム系システム
15
20
長油性フタル酸樹脂塗料上塗り
ふっ素樹脂上塗り
図 駿河湾20年暴露後の塗膜表面の顕微鏡写真
表 新設塗装仕様 C-5仕様 (塗装方法:エアレススプレー)
工表-Ⅱ.2.2
程
使用量
塗料名
一般外面の塗装仕様
(g/m )
2
目標膜厚
塗装間隔
C-5塗装系
(μm)
<製鋼工場>
素地調整
ブラスト処理 ISO Sa2・1/2
プライマー
無機ジンクリッチプライマー
(160)
(15)
4時間以内
6ヶ月以内
<橋梁製作工場>
二次素地調整 ブラスト処理 ISO Sa2・1/2
防食下地
無機ジンクリッチペイント
600
75
ミストコート
エポキシ樹脂塗料下塗
160
―
下塗り
エポキシ樹脂塗料下塗
540
120
中塗り
ふっ素樹脂塗料用中塗
170
30
上塗り
ふっ素樹脂塗料上塗
140
25
注):製鋼工場におけるプライマーは膜厚にて管理する。
4時間以内
2日~10日
1日~10日
1日~10日
1日~10日
鋼道路橋防食便覧塗装編では


既設橋梁の塗替えにおいても、ライフサイク
ルコスト(LCC)低減の観点から、防食下地
には耐食性に優れた有機ジンクリッチペイ
ントを、上塗では、耐候性に優れたふっ素樹
脂塗料を用いた重防食塗装系を適用するこ
とを基本。
臭気や、光化学オキシダントの生成能が低
いとされているミネラルスピリット可溶の弱
溶剤形塗料が使われる。
表 塗替え塗装仕様 Rc-Ⅰ仕様 (塗装方法:スプレー)
表-Ⅱ.7.2
塗装工程
素地調整
Rc-Ⅰ塗装系(スプレー *1)
塗料名
使用量
(g/m2)
1種 *3
4時間以内
有機ジンクリッチペイント
600
下塗
弱溶剤形変性エポキシ樹脂塗料下塗
240
下塗
弱溶剤形変性エポキシ樹脂塗料下塗
240
中塗
弱溶剤形ふっ素樹脂塗料用中塗
170
上塗
弱溶剤形ふっ素樹脂塗料上塗
140
防食下地
塗装間隔
1日~10日 *2
1日~10日
1日~10日
1日~10日
*1. 原則はスプレー塗装とするが,発注者との協議の上で,はけ,ローラーに変更もできる。
*2. 現場の施工条件に応じて塗装間隔を別途取り決める場合もある。
*3. ブラスト処理による除せい度はISO Sa 2 1/2とする。
鋼橋塗装のLCC 耐用年数
一般塗装系の耐用年数は、鋼橋に採用されて40 年以上が経過しており、実績も
多数あるのでの実橋調査結果に基づいて決定。
一般腐食環境における耐用年数 10年、厳しい腐食環境における耐用年数 5年
重防食塗装系は長期耐久性の塗装系であり、当初に採用されたC-2 塗装系でも
30 年程度しか経過していないため、一般塗装系のように実橋調査結果に基づい
て耐用年数を決定する手法は取れない。よって、後述の調査データを基に耐用
年数の算出を試みた。
また、重防食塗装系の耐用年数は、下塗から上塗までを塗替える『鋼道路橋防
食便覧』記載のRc-Ⅳ塗装系、ジンクリッチペイントから上塗までを塗替える同便
覧記載のRc-Ⅰ塗装系の2通りで算出した。
重防食塗装系の厳しい腐食環境における耐用年数を30年、一般環境では実績
がほとんどないため、厳しい環境における耐用年数の30年のおよそ1.7倍の50
年とした。
重防食塗装系の上塗塗膜の消耗速度
一般的に、ばく露環境における塗膜の劣化は塗膜表面の樹脂が光沢低下を起こし、その後に
白亜化が生じ消耗する。樹脂の劣化は紫外線(光エネルギーよる切断)、水分(加水分解)、酸
素(酸化)などの因子により引き起こされ、紫外線の影響が最も大きい。自然光で最も高い紫外
線エネルギーは約411kJ/mol である。
(一社)日本塗料工業会 重防食塗料ガイドブックより
塗膜の屋外暴露時の消耗量は、
エポキシ樹脂塗料
: 10μm/年
ポリウレタン樹脂塗料 : 2μm/年
ふっ素樹脂塗料
: 0.5μm/年
駿河湾海上ばく露10年後の塗膜(色相グリーン)の塗膜消耗量を写真の塗膜断面から測定した
塗膜消耗量は1~1.3μmであった。光沢低下を起こしたばく露7年後から塗膜が消耗するとした場
合、3年で1~1.3μmであり、消耗速度は0.33~0.43μm/年となる。
(一社)日本塗料工業会 重防食塗料ガイドブックより
16年海上ばく露された『鋼道路橋塗装便覧』記載C-4塗装系塗膜の断面の線分析を行い、塩素
の塗膜への浸透状態、亜鉛粒子の形状を観察
(一社)日本塗料工業会 重防食塗料ガイドブックより
鋼橋塗装のLCC
LCCの算出にあたって考慮した点、および積算に用いた資料を下記に示す。
1)中塗・上塗塗料の塗色は淡彩色とした。
2)地域別単価は関東地区単価を適用した。
3)橋梁構造のモデルは鈑桁構造とした。
4)現場継手部塗装面積は全体の5%とした。
5)積算資料
(一社)日本塗料工業会 重防食塗料ガイドブックより
表 一般塗装系と重防食塗装系の耐用年数と塗装費用
塗装系
一般塗装系
重防食塗装系
長ばく形エッチングブライマー
無機ジンクリッチペイント
鉛・クロムフリーさび止めペイント
エポキシ樹脂塗料下塗
長油性フタル酸樹脂塗料中塗
ふっ素附脂塗料胴中塗
長油性フタル酸樹脂塗料上塗
ふっ素樹脂塗料上塗
一般腐食環境における耐用年数
10年
50年
厳しい腐食環境における耐用年数
5年
30年
2,169円/m2 (A-5塗装系)
7, 286円/m2 (C-5塗装系)
塗膜の構成
新設塗装費用
5,625円/m2 (Rc-Ⅳ塗装系)
塗替塗装費用
5,524円/m2 (Ra-Ⅲ塗装系)
12,790円/m2 (Rc- I塗装系)
(一社)日本塗料工業会 重防食塗料ガイドブックより
一般塗装系から
重防食塗装系に変更
図 一般腐食環境における一般塗装系と重防食塗装系のLCC比較
(一社)日本塗料工業会 重防食塗料ガイドブックより
構造物の供用年数を100 年とし、一般腐食環境と厳しい腐食環境における一般塗装系と重
防食塗装系、比較として、無塗装耐候性鋼、亜鉛めっき、亜鉛-アルミ溶射の各防食工法のL
CC比較
表 構造物の供用年数を100 年とした時の各防食方法のLCC比較
重防食塗装系
防食工法
一般
塗装系
一般腐食環境
厳しい腐食環境
機能特性
(比較)
無塗装
耐候性鋼
(比較)
亜鉛めっき
(比較)
亜鉛アルミ溶射
塗替
Rc-Ⅳ
塗装系
塗替
Rc- I
塗装系
52,885
12,911
20,076
(1,200)
(7,000)
(10,000)
108,125
24,161
45,656
-
-
-
景観機能
◎
◎
×
△
△
構造適応性
◎
◎
◎
○
○
腐食環境適応性
○
◎
×
×
○
新設時の補修性
◎
◎
◎
△
○
維持点検性
○
○
△
△
△
維持補修性
◎
◎
○
○
○
(一社)日本塗料工業会 重防食塗料ガイドブックより
本日の内容



1.鋼構造物塗装の現状
 鋼橋塗装
 環境問題(VOC)
2.最近の鋼構造物用塗料のトレンド
 ライフサイクルコスト(LCC)の低減
 省工程塗料
 環境負荷低減
 VOC削減
 火災対策さび面素地調整補助剤
 さび面素地調整補助剤
3.最後に
改正大気汚染防止法:
平成16 年5月に改正。法規制と事業者の自主的取組による排出
抑制を組み合わせ、効果的な削減を行っていくという新たな制度(ベ
スト・ミックス)が始まる。
(一社)日本塗料工業会大気へのVOC排出量を平成12 年度を基
準にして、平成22 年度までに3割削減することを目標とした。
2.VOCと光化学スモッグ
VOCとは
Volatile Organic Compound :
揮発性有機化合物の略称
・常温で液体や固体の形でも存在しうる蒸気圧のある有機化合物
・WHO(世界保健機構)の定義では、アセトン、n-ヘキサンからタバコ
のニコチンまで含まれる。
定義
【WHOによる沸点に基づく分類】
氷点下(< 0) から :VVOC(Very Volatile Organic Compound)
50-100
高揮発性有機化合物(超揮発性有機化合物)
50-100 から
240-260℃
:VOC (Volatile Organic Compound)
揮発性有機化合物
240-260 から
380-400℃
:SVOC (Semi Volatile Organic Compound)
準揮発性有機化合物(半揮発性有機化合物)
>380℃
:Organic compound associated with particulate matter
or Particulate Organic Matter (POM)
粒子状有機化合物(粒子状有機物)
環境省が実施したシミュレーションの結果、光化学オキシダント
およびSPM の目標を達成するためにはVOC について平成22 年
度までに平成12 年度比3 割削減する必要があるとされました。
VOC 排出量の発生源として、塗料、洗浄剤、接着剤、インキから
のVOC 排出が全体の75%を占め、業種別に見ても、塗料等を多
く扱う業種からの排出が多い結果。
環境省による「法律に基づくVOC排出インベントリ」
発生源品目別のVOC排出量推計
53.5万t
平成12年度
比▲25.5%
▲28.9%
▲31.1% ▲38.5%
▲45.3%
▲44.9%
塗料はからのVOC排出量は平成12年度基準で平成22年で44.9%削減
低VOC塗料の種類及び特徴
低VOC塗料の種類 特徴等
水
性
塗
料
エマルジョン型
塗料
(水分散性樹脂
を使用)
水溶性塗料
(水溶性樹脂を
使用)
・水による希釈が可能
・湿った素地に塗布することが可能
・臭気が少なく、有機溶剤予防規則等の規制を受けないこともある
・引火性ガスの発生が少なく、消防法等の規制を受けないこともある
・塗装直後の降雨に弱い
・塗装時の温湿度のコントロールが必要
・多液形の場合、塗料性状の変化でポットライフが判断つかないも
のもある
無 多液形塗料
溶
剤
形 粉体塗料
塗
料
塗布量が低減可能
可使時間(ポットライフ)が短く、その一方で乾燥性が遅い。
塗料に接触すると、皮膚かぶれを生じることがある。
低溶剤(ハイソリッ
ド)形塗料
無溶剤形多液形塗料と同様であるが、微量溶剤が配合されているこ
とより、作業性が無溶剤形塗料よりも良い
非危険物である 塗布効率が高い 厚膜塗装が可能
薄膜化が困難 焼付温度が高く熱エネルギーが必要
大型構造物には適用不可(焼付炉のサイズに制限あり)
HS化
移行傾向: 水系化 水系化 水系化
HS化
HS
無溶剤化
水系化 水系化 無溶剤化 無溶剤化 水系化
本日の内容



1.鋼構造物塗装の現状
 鋼橋塗装
 環境問題(VOC)
2.最近の鋼構造物用塗料のトレンド
 ライフサイクルコスト(LCC)の低減
 省工程塗料
 環境負荷低減
 VOC削減
 火災対策さび面素地調整補助剤
 さび面素地調整補助剤
3.最後に
水系化 水系化 無溶剤化
環境・安全
水性
無溶剤
ハイソリッド
弱溶剤
強溶剤
従来
提案
時間
素材保護や耐久性延長といった塗料そのものの性能を向
上させ、なおかつ環境負荷を低減できる塗料として弱溶
剤塗料・ハイソリッド塗料・水性塗料を開発し、お客様
への提供を推し進める。
塗替え塗装に対する要望事項
①コストを削減したい
厚膜化システムによる工程・工期短縮!
②環境に配慮したい
溶剤量、PRTR該当物質量の低減!
③防錆性・耐候性は維持したい
下塗り、上塗りの厚膜化
要望1 : コストを削減したい
①厚膜化システムによる工期短縮!
上塗り
弱溶剤厚膜
ふっ素樹脂塗料上塗
中塗り
下塗り
4回塗りで約160μm
下塗り
弱溶剤厚膜形
2回塗りで約160μm 変性エポキシ
素地・旧塗膜
素地・旧塗膜
塩害環境防食仕様
厚膜省工程システム
要望1 : コストを削減したい
②省工程による工期短縮
※素地調整・足場架設・養生施工期間は含みません。
※:日本ペイントの試算による。
要望1 : コストを削減したい
③コスト低減試算
※:日本ペイントの試算による。
要望2 : 環境に配慮したい
*:日本ペイントの塗料の場合
要望3 : 防錆性・耐候性は維持したい
①塩害環境防食仕様の4工程と同等の防錆性能
弱溶剤厚膜
省工程システム
弱溶剤4工程仕様
強溶剤4工程仕様
さび板を電動工具ケレン(ISO St2程度)
防錆試験:塩水噴霧試験 400時間
*:日本ペイントの塗料の場合
要望3 : 防錆性・耐候性は維持したい
②現行のふっ素樹脂塗料上塗りと同等の耐候性
■厚膜形ふっ素塗料上塗り■ふっ素樹脂塗料上塗り
*:日本ペイントの塗料の場合
国土交通省新技術(NETIS)への
省工程厚膜塗料の登録
関西ペイント
コスト・工期・環境に寄与できる省工程塗料
NETIS登録番号:TH-090015-A
日本ペイント
環境配慮型厚膜省工程弱溶剤重防食塗装システム
NETIS登録番号:KK-120009-A
本日の内容



1.鋼構造物塗装の現状
 鋼橋塗装
 環境問題(VOC)
2.最近の鋼構造物用塗料のトレンド
 ライフサイクルコスト(LCC)の低減
 省工程塗料
 環境負荷低減
 VOC削減
 火災対策
 さび面素地調整補助剤
3.最後に
現在の鋼構物塗装を取り巻く、環境対策要求
現在までの世の中の流れ
東京都が塗装のVOC対策に積極的
流れに呼応して 新宿区、JR東日本
・東京メトロをはじめとする鉄道会社
などが発注する物件で水性塗料が施
工され始めた
日本各地で、水性塗料が徐々に施工
され始めている。
日本ペイント株式会社
橋梁新聞 平成19年10月21日分より抜粋
水性塗料は開発当初は環境にやさしい塗料、
VOC排出量削減を目的に開発されていたが、
ある出来事から大きくクローズアップされた。
平成27 年3 月30 日
**高速道路の塗装塗替え工事による火災事故再発防止委員会
(委員長:中村英夫東京都市大学名誉総長)
中間とりまとめ
1.対策方針
2.再発防止策
(1)当面の再発防止策
1)火災事故の防止
<危険物等の管理>
① 危険物等の数量及び保管方法について関係法令を遵守するよう受注
者に対して指導するとともに、チェックシートによりその遵守状況を確認
・担保する。また、危険物等の保管方法及び取扱いに関して、事前に管
轄する消防署に確認を行うよう受注者に対して指導を行う。
②難燃又は防炎性能を有していないシートの使用を禁止するとともに、可
燃物を保管する場合は、小分けにし、難燃シート等により養生するよう受
注者に対して指導を行う。
(2)継続的に取り組む事項
1)火災事故の防止
<施工方法等の見直し>
①剥離剤を使用しない塗膜除去方法、危険物等の使用を削減することが可
能な材料、工法及び資機材について検証する。
重防食用塗料・システムの水性化のメリット
①環境への貢献
②安全性の向上
③作業性の向上
塗替え防食システムの比較
上塗
中塗
下塗
鋼材
仕様
弱溶剤系
水系
ウレタン
仕様
ふっ素
仕様
ウレタン
仕様
ふっ素
仕様
下塗り
弱溶剤変性
エポキシ樹脂塗料
下塗
水性変性
エポキシ樹脂塗料
下塗
中塗り
上塗り
弱溶剤ポリウレタン
樹脂塗料用中塗り
弱溶剤ポリウレタン
樹脂塗料上塗り
弱溶剤ふっ素
樹脂塗料用中塗り
弱溶剤ふっ素
樹脂塗料上塗り
水性ポリウレタン
樹脂塗料用中塗り
水性ポリウレタン
樹脂塗料上塗り
水性ふっ素
樹脂塗料用中塗り
水性ふっ素
樹脂塗料上塗り
従来の溶剤系と同じ商品体系で水性化(2液型)
①環境への貢献
ⅰ.VOC量を約90%削減(溶剤形システム対比)
185g/m2⇒22g/m2 (下塗~上塗)
ⅱ.PRTR量を100%削減(溶剤形システム対比)
36g/m2⇒0g/m2 (下塗~上塗)
ⅲ.臭気の低減
アンケート
*:日本ペイントの塗料の場合
環境・安全に配慮
強溶剤から弱溶剤さらには水性に
弱溶剤システム
水性システム
削減率
備考
含有溶媒 ミネラルスピリット
等
水
ジプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル
等
T-VOC
10
90%
【環境省・東京都】
平成12年から比較して平成
22年までに30%削減目標
0
100%
【環境省】
特定化学物質の環境への排
出量の把握及び報告
100
PRTR該 100
当物質量
消防法
指定可燃物
非危険物
または
第4類第2石油類
*:日本ペイントの塗料の場合
ⅲ.臭気の低減
臭気に関するアンケート結果
(日本ペイントグループ社員約150人)
3%
1% 4%
ほとんど臭気を感じない
17%
多少臭気はあるが、従来型に比べ
気にならない
臭気は従来型と同等である
臭気は従来型より強く感じられる
75%
その他
90%以上が従来塗料に比べ臭気の低減を実感
*:日本ペイントの塗料の場合
臭気低減が効果的な事例
市街地の歩道橋
人通りの多い橋梁
駅舎
食品工場
学校などの施設
②安全性の向上
塗料液、硬化剤をすべて水性化
*:日本ペイントの塗料の場合
⇒引火点無し
⇒非危険物として取り扱い可能
ⅰ.危険物としての届け不要
ⅱ.保管数量に制限無し
危険物取り扱いに制限のある塗り替え工事などに最適
③作業性の向上
ⅰ.乾燥性良好で短工期化可能
塗装環境(面積・気温・湿度)が整えば、
最短で4工程を2日で施工完了
ⅱ.希釈には水道水を使用
(専用シンナー不要)
ⅲ.洗浄も水道水を使用
*:日本ペイントの塗料の場合
塗膜性能 【従来溶剤システムとの対比】
ⅰ.優れた防錆性
エポキシ樹脂 JIS K 5551 C種相当
ⅱ.優れた耐侯性
ふっ素:JIS K 5659 1級相当
ウレタン:JIS K 5659 3級相当
塗膜性能は従来溶剤システムと同等
*:日本ペイントの塗料の場合
ⅰ.優れた防錆性
JIS 複合サイクル試験(240サイクル)
当社強溶剤系塗料
当社弱溶剤系塗料
当社水性システム
溶剤形塗料と同等の防食性
*:日本ペイントの塗料の場合
ⅱ.優れた耐侯性
JIS Xe促進耐候性試験
120
水性ポリウレタン上塗
光沢保持率(%)
100
弱溶剤形ポリウレタン上塗
80
水性ふっ素上塗
60
弱溶剤ふっ素上塗
40
20
0
0
1000
2000
3000
時間(hour)
溶剤形塗料と同等の耐候性
*:日本ペイントの塗料の場合
防食システムの水性化における課題
下塗り塗料の水性化
鉄に水性塗料を塗って錆びないのか?
上塗り塗料の水性化
硬化剤の水性化での発泡抑制
鉄をさびなくするためには
腐食に関する金属の表面電位と液の水素イオン濃度
pHとの関係は腐食図として、以下のように示される。
※:関西鋼構造物塗装研究会編「わかり
やすい塗装のはなし 塗る」より
中性(pH7)付近での水溶液中の鉄の
腐食電位は、おおむね図中の●印の位
置にあるので、常に腐食反応が起こりう
る状態にある。
鉄をさびなくするには、図に示した矢印の
方向に環境を変えてやればよいといえる
。
E [ V vs. SHE ]
①の方向は鉄の電位を下げる方法で、
電気防食といわれる。→亜鉛のように
腐食電位のより低い金属をくっつける。
②の方向は逆に鉄の電位を上げる方法。
③はpHをアルカリ性にして不動態領域
に入れる。アルカリ性物質が腐食抑制
剤として使われる。
下塗りの初期発錆抑制 【pH制御】
没水直後
8時間後
取り出した板
水
樹脂液
水道水
pH=6.0
樹脂水溶液
pH=8.5
pH=8.5の樹脂水溶液に入
れた鉄板は全く発錆が認めら
れない
*:日本ペイントの塗料の場合
上塗り硬化剤の水性化 【発泡の抑制】
水希釈直後
4時間後
一般的な水性用の
イソシアネート硬化剤
を使用した場合
当社独自技術の
硬化剤(硬化反応)
を使用した場合
*:日本ペイントの塗料の場合
上塗り硬化剤の水性化 【硬化性 耐溶剤性】
キシレンラビング50回(23℃、養生1日)
弱溶剤形ポリウレタン上塗り
当社水性ポリウレタン上塗り
硬化性や膜の耐溶剤性は従来塗料と同等
*:日本ペイントの塗料の場合
まとめ
●防食システムの水性化を実現した。
塗料液、硬化剤すべて水性化
塗膜性能は溶剤系システムと同等
●環境に貢献
VOC低減、臭気低減、PRTR対象物質0
●安全性向上
全て非危険物⇒届出必要なし
取り扱い制限なし
●作業性向上
乾燥性良好
希釈、洗浄に水道水
*:日本ペイントの塗料の場合
国土交通省新技術(NETIS)への
鋼構造物用水性塗料の登録
日本ペイント株式会社
鋼構造物向け 環境配慮型 水性塗料防食システム
NETIS登録番号:KK-120064-A
大日本塗料株式会社
鋼構造物向け「DNT水性重防食システム」
NETIS登録番号:KK-130038-A
本日の内容



1.鋼構造物塗装の現状
 鋼橋塗装
 環境問題(VOC)
2.最近の鋼構造物用塗料のトレンド
 ライフサイクルコスト(LCC)の低減
 省工程塗料
 環境負荷低減
 VOC削減
 火災対策
 さび面素地調整補助剤
3.最後に
ハイポンサビスタ
素地調整の重要性
図 塗膜寿命の特性要因図
表 各種要因が塗膜寿命に及ぼす影響
要因
寄与率(%)
素地調整(1種ケレンと2種ケレンの差)
52.7
塗回数(1回塗りと2回塗りの差)
16.1
塗料の種類(塗装系の違い)
その他の要因(暴露環境など)
7.9
23.3
重防食塗装において、素地調整は塗膜寿命に及ぼす影響が一番大きい。
背景
塗り替え工事における素地調整の問題点
①狭矮部など構造上の問題
電動工具が入らずに充分なケレンができず、さびを完全に除去できない部位。
鋼材の形状が複雑で、さびを完全に除去できない部位。
②火花や粉塵、騒音等
プラント工場構内や住宅密集地では、素地調整による火花や粉塵、騒音等により周囲に迷惑を
かけるため、電動工具による充分なケレンができずさびを完全に除去できない部位。
イラスト提供:素材ダス http://sozaidas.com/
背景
塗り替え工事における素地調整の問題点
素地調整補助剤にて解決!
さび止め塗料を塗布する前に、除去しきれない残存さびに
塗装し、さびを固定化させ残存さびの影響を軽減します。
主な用途
経年劣化した各種鋼構造物(橋梁・タンク外面・鉄骨など)、
建築物の鉄部(鉄扉、手すり、架台など)などの素地調整後
の除去しきれない残存さびへの補修塗り。
素地調整補助剤の特長

素地調整の補助
素地調整において、さびを完全に除去しきれない部位の防錆性
が向上します。

優れた防食性
変性エポキシ樹脂塗料下塗の組み合わせで、3種ケレンで2種
ケレン同等の防食性を発揮します。

優れた付着性
さび面に対し深く浸透し、さびに固着します。

優れた乾燥性
乾燥が速く、条件によりその日のうちに次工程に移ることができ
ます。
素地調整補助剤の防食性メカニズム

イオントラップ剤の効果
ハイポンサビスタに含まれるイオントラップ剤が、錆中の鉄イオンを捕捉し、
安定化させることによって錆の発生を防ぎます。

保護被膜効果と遮蔽効果
リン酸系防錆顔料による保護皮膜による遮蔽効果と、エポキシ樹脂塗膜による
強力なバインダー効果で防錆力を発揮します。

さびへの浸透による遮蔽効果
低粘度に調整した素地調整補助剤のクリヤー液がさび層に浸透・固着し、外部腐食
因子を遮蔽します。
素地調整補助剤塗膜イメージ図
イオントラップ剤
鉄イオン
さび
素地調整補助
剤が浸透したさ
び
*:日本ペイントの塗料の場合
防食性
防錆性能確認試験【試験板作成・評価方法】
試験板作成
さび板
3種ケレン
(マジクロン
を使用
)
素地調整
補助剤
(30μm)
弱溶剤変性エポ
キシ樹脂塗料
下塗
(50μm)
(さび板は、鋼板(SS400)を海岸地域で3ヶ月間曝露させたものを使用)
試験評価方法
《JIS評価法》(JIS K 5600-8-3)
錆びた部分の面積分率で評価
1) 一般部・・・JIS評価法によるさびの程度を評価
2)クロスカット部・・さび、ふくれ幅を評価
防食性
等級
Ri0
Ri1
面積分率
0%
Ri2
Ri3
0.05%
0.5%
1%
Ri4
Ri5
8%
40~50%
SST試験結果 従来仕様との比較
《JIS評価法》(JIS K 5600-8-3)
錆びた部分の面積分率で評価
等級
面積分率
Ri0
Ri1
Ri2
0%
0.05%
0.5%
Ri3
Ri4
Ri5
1%
8%
40~50%
*:日本ペイントの塗料の場合
塗装仕様例
下地処理において錆除去を十分に出来ない箇所
工程
塗料名
(一般名称)
標準使用量
(kg/㎡)
塗装方法
シンナー名
(希釈率)
塗装間隔
(23℃)
膜厚
(μm)
発錆部は、手工具、電動工具などを使ってISO St2まで除錆する。
下地処理 旧塗膜(活膜)は、マジツクロンなどを使って研磨し、油分はシンナー拭きして除去する。
補修塗り
さび面素地調整補助剤
0.12
はけ
ローラー
専用シンナー
(0~5%)
4時間以上
7日以内
30
下塗り
弱溶剤形変性エポキシ樹脂塗料下塗り
0.20
はけ
ローラー
塗料用シンナーA
(0~10%)
16時間以上
1ヶ月以内
50
中塗り
弱溶剤形ふっ素樹脂塗料用中塗り
0.14
はけ
ローラー
塗料用シンナーA
(0~10%)
16時間以上
10日以内
30
上塗り
弱溶剤形ふっ素樹脂塗料上塗り
0.12
はけ
ローラー
塗料用シンナーA
(0~5%)
-
25
フィールドテスト
新都市交通走行面H鋼
施工部位状況
フィールドテスト
素地調整
ケレン後の状態
フィールドテスト
補修塗り:素地調整補助剤塗装
素地調整補助剤塗装状況
フィールドテスト
下塗り:弱溶剤変性エポキシ
~中塗り:弱溶剤ふっ素樹脂塗料用中塗
~上塗り:弱溶剤ふっ素樹脂塗料上塗
仕上り状況
塗装半年経過後調査
管理者の評価
一般塗装仕様では、半年程度で、エッジ部や、電動工具の入りにくい部分(写真矢印部参照)ではさびの
発生が認められていたが、今回の塗装箇所では、半年経過後も、良好な結果。
国土交通省新技術(NETIS)への
さび面素地調整補助剤の登録
大日本塗料株式会社
物理的素地調整法に変わる塗布形素地調整剤
NETIS登録番号:KT-060143-A
日本ペイント株式会社
さび面素地調整補助剤
NETIS登録番号:KK-140025-A
本日の内容



1.鋼構造物塗装の現状
 鋼橋塗装
 環境問題(VOC)
2.最近の鋼構造物用塗料のトレンド
 ライフサイクルコスト(LCC)の低減
 省工程塗料
 環境負荷低減
 VOC削減
 火災対策
 さび面素地調整補助剤
3.最後に
鋼構造物塗装における仕様の方向性
水性
環境保全・安全性
無溶剤
ハイソリッド
弱溶剤
人、地球にやさしく
無鉛
強溶剤
含鉛
過去
~
現在
~
将来
ご清聴ありがとうございました。
時間