Abstract

Abstract
AROMA RESEARCH No.59(Vol.15 No.3)
調味料の匂いに対する嗜好が作業効率に対する影響
張 珏
佐々木公明
<要旨>
刺激作用を持つ香りではなく、身近によく接触する食料品の匂いを実験の刺
激源として取り上げ、匂いに対する嗜好の知的作業への影響を中心に考察を行
った。実験は計算作業と記憶作業という二つのタスクを設け、タスクの回答作
業を開始してから一定的な時間を経過後、被験者の「好き」或いは「嫌い」の
匂いを流し、その匂いの中で残りの作業を完成してもらった。作業中、ヘッド
フォン形式の脳波計を用いて被験者の「集中度」をリアルタイムで測り、また
被験者の「匂いなし」・「匂いあり」状態でのそれぞれの回答速度と正解率を記
録した。被験者を「好きの匂いを提示する」と「嫌いの匂いを提示する」とい
う二つのグループに分け、匂いに対する嗜好がどのようにタスク作業に影響し
たのかを考察した。結果、計算作業のような難易度レベルが低い作業において、
匂いの提示は作業成績に影響を与えなった。好きな匂いは簡単な作業の成績に
マイナス影響を与えず、同時に作業者にリラックスさせることが可能である。
記憶作業のような比較的に難易度が高い作業において、匂いの提示は作業成績
にマイナスな影響を与えった。また、匂いに対する嫌いな度合が軽い場合、脳
活動の集中度にプラスな影響、嫌いな度合いが強い場合マイナスな影響がある
程度見られた。
<キーワード>
匂い嗜好、知的作業効率、脳波計測、集中度、記憶作業課題
Fragrance Journal Ltd.