平成27年留萌市議会第1回定例会の開会にあたり、留萌市教育委員 会

平成27年留萌市議会第1回定例会の開会にあたり、留萌市教育委員
会所管の行政に係る主要な方針について申し上げます。
現在、人口減少や少子高齢化に加え、グローバル化の進展など、社会が
急激に変化しております。
また、「教育再生実行会議」の中で教育委員会制度が見直され、さら
に道徳の教科化、小学校における英語の教科化、新しい小中一貫校制度
などが審議されており、教育行政も大きく転換期を迎えております。
教育委員会といたしましては、地方教育行政法の改正に伴い設置され
る「総合教育会議」や市長が策定する「留萌市教育に関する大綱」、そ
して「教育委員会議」において「未来への先行投資」である教育施策の
方向性をしっかりと見極め、「幼・保・小・中・高」切れ目のない支援
を目指していきたいと考えております。
そして、学校力と地域の教育力の融合を図り、未来の留萌人の笑顔と
希望のあふれる「留萌ならでは」の教育を推進してまいります。
以下、「学校教育」「社会教育」「子どもの育成と支援」の順に主要
な施策を申し上げます。
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はじめに、「学校教育」について申し上げます。
学校教育においては、個性や創造性を発揮し、自らの生き方を創り出
す子どもの育成、さらには、責任とモラルを重んじ、他者を思いやり、
人間尊重の精神や自他の生命を大切にする子どもの育成が求められてお
り、基礎的・基本的な学力の定着と豊かな心、健やかな体の育成など、
知・徳・体の調和のとれた自立した人間づくりを進める質の高い教育を
推進してまいります。
そのため、学校が一体となって組織として学校改善を図るための「学
校力向上に関する総合実践事業」につきまして、実践指定校である留萌
小学校と近隣校が連携し、また、平成27年度から新たに近隣校として
港南中学校を加え、引き続き包括的な取り組みを行うとともに、小中連
携についても進めてまいります。
また、平成27年度は「ワンスクール・ワントライ」を合言葉に、す
べての小中学校が市教委あるいは道教委の事業の中から、各学校の課題
解決などに繋がる取り組みを一つは実践し、留萌の子どもの「生きる力」
を育む学校教育の推進に努めてまいります。
こうした基本的な考えやこれまでの教育成果を踏まえ、平成27年度
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においても、次の5点を重点とした施策を推進してまいります。
第1は、『確かな学力の向上を目指す教育の推進』についてでありま
す。
これまで以上に変化の激しい時代の到来が予想される中、子どもたち
が自立して生きて行くためには、主体的に学ぶ意欲と確かな学力の向上
が不可欠であり、すべての小中学校において「全国学力・学習状況調査」
での全国平均を上回ることを目指してまいります。
学校で統一した授業スタイルや学習規律を確立し、授業改善の徹底し
た取り組みを推進してまいります。
また、小・中学校間の学習指導の連携を図り、9年間を見通した学力
向上の取り組みを推進してまいります。
さらに、学習補助員や特別支援教育支援員の配置の継続と指導方法工
夫改善などの加配の積極的な活用により、きめ細やかな指導に努めてま
いります。
長期休業期間中や放課後に実施する補充的な学習サポートにつきまし
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ては、個に応じた指導の充実に努めるとともに、学習ボランティアや道
教委の学生ボランティアの活用を推進してまいります。
ICTを活用した授業展開につきましては、モデル校の実践状況を踏
まえ、タブレット端末や実物投影機を他校にも拡充してまいります。
また、教員につきましては、「留萌の良さを伸ばす授業力向上研修会」
を開催し、授業の工夫改善に向けて、スキルアップを図ってまいります。
第2は、『豊かな心を培う教育の推進』についてであります。
生命を大切にする心や郷土に誇りを持つ心、公共心や規範意識などを
育む教育の充実を図るため、地域の教育資源を活用した「留萌ならでは」
の教育を推進してまいります。
いじめ、不登校などの問題行動や児童虐待の未然防止には早期発見、
早期対応が急務であり、「いじめ防止の基本方針」のもと、各学校にお
ける指導体制の充実を図ってまいります。
教育相談の充実につきましては、「スクールカウンセラー」「スクー
ルソーシャルワーカー」の配置を継続してまいります。
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読書活動の推進につきましては、引き続き「学校図書館ボランティア」
に加え、新たに市立留萌図書館とも連携し、子どもたちにとって魅力あ
る学校図書館づくりを進めてまいります。
第3は、『健やかな体を育む教育の推進』についてであります。
子どもたちが、心身ともに健康な生活を送るため、体力の向上と望まし
い生活習慣を身に付けることが大切であります。
「全国体力・運動能力調査」では、全国平均以上を目指し、子どもた
ち一人ひとりの体力の状況を踏まえた体育の授業改善や1校1実践の体
力づくりの取り組み、体育専科教員の活用、各種スポーツ大会などへの
積極的な参加を促すなど、体力向上や運動の習慣化の取り組みを推進し
てまいります。
「コオーディネーショントレーニング」につきましては、全小学校中
学年での取り組みを継続して実施してまいりますとともに、その効果の
検証を行ってまいります。
昨年度から再開しました温水プール「ぷるも」における小学生の水泳
授業につきましては、夏季休業期間中の一般開放とともに継続し、また、
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持続可能な再開方法に向けて検討を進めてまいります。
食育の推進につきましては、栄養教諭を中心とした学校給食指導、農
業体験学習、「地域食材100%給食事業」を継続してまいります。
食物アレルギー疾患を有する児童生徒に対しましては、文部科学省の
指針や道教委の危機管理マニュアルに従い、学校、保護者と情報を共有
し、適切に対応してまいります。
昨年度に策定した「留萌市学校給食センター調理衛生環境改善及び調
理機器更新計画」に基づき、安心・安全な学校給食の充実に努めてまい
ります。
第4は、『社会の変化に対応した教育の推進』についてであります。
主幹教諭の配置につきましては、2校から4校に拡充し、教員集団の
リーダーとして、管理職を助ける役割を担ってまいります。
土曜授業を含む土曜日の教育活動につきましては、校長会と連携しな
がら引き続き検討してまいります。
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旧学校施設や教員住宅の整備については、「学校施設整備・利活用及
び教員住宅整備に関するビジョン」に基づき、計画的に整備、解体を実
施してまいります。
今後の小中学校の適正配置につきましては、子どもたちにとって望ま
しい教育環境を最優先に、将来人口のシミュレーションも踏まえて「留
萌市立小中学校適正配置計画」の検証を行ってまいります。
第5は、『信頼される学校づくりの推進』についてであります。
学校が保護者や地域から信頼され、期待に応える教育を実現するため
には、子どもを中心に捉え、地域の声を活かした学校経営を進めるとと
もに、家庭・学校・地域が連携した取り組みを一層進めていくことが重
要であると考えております。
そのためには、開かれた学校を目指し、学校評議員制度や学校関係者
評価の充実を図るとともに、地域住民に対し、引き続き「学校だより」
を発信してまいります。
安心・安全な学校生活の確保に向け、防犯・防災教育と安全指導の徹
底と「子どもへの暴力防止プログラム(CAP)」や「スクールガードリ
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ーダー」の配置などに取り組んでまいります。
学校施設の整備につきましては、老朽化が著しい東光小学校の耐震補
強工事を実施するとともに、平成28年度の大規模改造工事に向けて、
実施設計を行ってまいります。
また、緑丘小学校の屋外運動場の安全確保のため、隣接する山の法面
復旧工事を行ってまいります。
次に「社会教育」についてであります。
第 1 は、『社会教育の充実』についてであります。
市民が豊かな生活を送り、生涯を通じて主体的に学び、その成果を活
かすことのできる環境の整備が重要であります。
平成27年度から3年間、文化スポーツ施設及び図書館の指定管理者
として選定された「NPO法人留萌体育協会」とより一層連携を密にし、
社会教育の充実を図ってまいります。
そのため、充実した公民館事業を通じて、市民に学習活動の場を提供
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し、また、学び得た知識や人生の豊かな経験を地域や世代間交流の中で、
還元していただくための環境の充実に努めてまいります。
子どもたちの健全育成につきましては、子どもたちの感性を磨き、表
現力を高め、創造力を豊かなものにし、思いやりの心を育むため、「少
年体験学習事業」や「子どもたちの芸術文化体験事業」、また、図書館
における「ブックスタート」「読書感想文コンクール」などの事業を継
続してまいります。
将来的なスポーツ合宿の誘致に向けましては、「交流人口の増加」「地
域への経済効果」「地域スポーツの振興」などが期待されることから、
その可能性や課題などを調査・研究し、事業化に向けて検証してまいり
ます。
芸術・文化につきましては、芸術文化振興の中核を担っている「NP
O法人留萌市文化会議」などと連携し、多くの市民が積極的に創作活動
や芸術文化公演に取り組むことができるよう「芸術文化助成事業」を継
続してまいります。
スポーツにつきましては、本市におけるスポーツ振興の中核を担って
いる「NPO法人留萌体育協会」など各種団体と連携しながら、市民ニ
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ーズに合わせたスポーツ教室等の開催など、子どもから高齢者までの多
くの市民が気軽に参加し、スポーツに親しめる事業を推進してまいりま
す。
第2は、『郷土文化・歴史の伝承』についてであります。
市民の郷土愛を育むためには、留萌の郷土歴史について、だれもがよ
く知り、自らの住む地域に親しみや誇りを持って暮らすことが重要であ
ります。
このことから、長い歴史と風土に培われてきた自然環境や歴史的遺産
は、歴史や伝統、文化を理解するために欠かすことのできないものであ
ります。
そのため、子どもたちを対象として実施しています出前講座「留萌ふ
るさと学習」、出前解説「入門るもい学」や一般市民を対象とした「る
もい文化遺産の再発見事業」などを継続して取り組んでまいります。
文化財につきましては、国指定重要有形民俗文化財「留萌のニシン漁
撈用具」や史跡「旧佐賀家漁場」などの適切な保全管理や資料の整備を
継続し、整備計画の検証を行ってまいります。
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次に、「子どもの育成と支援」についてであります。
第1は、『子ども・子育て支援』についてであります。
平成27年度からスタートする「留萌市子ども・子育て支援事業計画」
に基づく様々な事業に取り組んでまいります。
子育て家庭に対しましては、「子育てガイド」「子育て支援ネット」
「安心情報メールマガジン」などの様々な媒体を利用した子育てに関す
る情報提供を行うとともに、子育てに関する相談機能や子育ての相互援
助を行うファミリーサポートセンターの充実を図り、関係機関との連携
を密にしながら、効果的な支援を進めてまいります。
児童センター、留守家庭児童会につきましては、特別な支援を必要と
する子どもも含め、すべての子どもたちにとって、利用しやすい安心・
安全な環境を整え、子どもたちの放課後の居場所となるよう努めます。
また、留守家庭児童会の開設時間の延長を行い、保護者の就労につい
ても支援をしてまいります。
児童虐待の早期発見、対応、未然防止に向けましては、「子育てサポー
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トネットワーク連絡協議会」、小中学校や関係機関との連携を図りながら、
効果的な支援を行ってまいります。
また、幼児療育通園センターにつきましては、発達に遅れのある子ど
もが基本的な生活習慣や集団生活に必要な適応力を身に付けることがで
きるよう、発達の程度に応じたきめ細やかな指導訓練やその家族に対す
る適切な相談支援などの体制整備を図り、留萌管内南部地域における療
育拠点としての機能の充実に努めてまいります。
第2は、『青少年の健全育成』であります。
「青少年は地域から育む」という視点にたち、地域ぐるみで子どもた
ちを守り育てる環境づくりや気運の醸成が重要であります。
そのため、留萌市青少年健全育成推進員協議会との協働を基本とし、
「青少年健全育成事業」に世代間交流なども取り入れ、事業のさらなる
充実に努めてまいります。
以上、平成27年度の教育行政における主要な方針について申し上げ
ました。
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地域基盤社会である21世紀の主役となる子どもたちには、未来を切
り拓き、時代を生き抜く力を育むことが求められています。
そのためには、学校・家庭・地域が学びの共同体として、共通の認識
に立ち、地域ぐるみで子どもたちの学びを支えていくことが重要であり
ます。
また、生涯を通して豊かに学ぶことができる生涯学習社会を構築する
ためには、地域や市民と密着した協働体制づくりを進める必要がありま
す。
教育委員会といたしましては、教育の重大な使命を自覚し、留萌の教
育振興と発展に向けて、全力で取り組んでまいります。
市民の皆様及び議員の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げ
ます。
平成27年3月3日
留萌市教育委員会
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