環境報告書 2015

環境報告書
2015
富士チタン工業株式会社
目
次
ごあいさつ
2
会社概要
3
環境方針(全社)
4
〃 (神戸工場)
5
〃 (電子材料事業部)
6
環境マネジメント
7
レスポンシブル・ケア
8~10
環境保全
生産活動と環境負荷
11
大気・水質
12
省資源・省エネルギー
13
保安防災
14
労働安全衛生
労働安全衛生
15
健康管理
16
対象組織範囲
当社の3工場を対象にしています。
化学品安全
化学物質の安全性情報
17
REACH規則への対応
18
物流安全
18
社会的取組み
19~20
対象期間
2013年度~2014年度
(2013年4月~2015年3月)
発行日
2015年10月
(次回発行は、2017年10月の予定)
富士チタン工業 環境報告書 2015 –
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ごあいさつ
地
地域
域と
との
の共
共生
生を
を追
追及
及し
し
人
人と
と地
地球
球に
に優
優し
しい
い
企
企業
業を
を目
目指
指し
しま
ます
す
代表取締役社長
前田 晃男
当社は環境に対する基本理念に「人と地球にやさしい技術を通じて、地球環境の保全を
はかり、次の世代が住み良い地球と豊かな未来を共有できる社会の実現に貢献する」を掲
げ、環境方針を制定し、その方針のもとで事業強化、社会貢献を推進してまいりました。
近年、化学物質のライフサイクル全般における環境・安全・健康への配慮と、企業の社会
的責任がますます要求されている状況下、エネルギー使用量をはじめ環境負荷の比較的
高い当社の無機化学事業は、全工場で取得しているISO14001 の推進活動ならびにレスポ
ンシブルケア活動のさらなる充実により、環境経営をさらに推進するとともに、人と地球に
優しい技術を持ったスペシャリティー企業を目指しております。
また、当社は、環境保全、地球温暖化防止、災害防止などには従来から重点的に取り組
んでまいりましたが、2011 年に発生した東日本大震災以降、改めて防災マニュアルの見直
しや BCM の構築に取り組んでいます。さらに、化学物質を取り扱う事業者として、化学物質
規制に対する適正な対応を推進ならびに全社労働安全マネジメントシステムの構築に向け
た取り組みも開始するなど、地域住民の皆様と従業員の安全確保、環境保全のさらなる強
化を進めております。
なお、活動成果としては、未だ多くの課題を抱えており、全社一丸となってコンプライアン
スの推進、環境経営の推進に取り組んでいる途上ではありますが、このような活動は毎年
継続し、より信頼性の高い成果に繋げていくことが、ステークホルダーの皆様に信頼され、
安心していただける道筋であると考えております。
引き続き、豊かな未来に向けて、信頼される製品と社会に貢献できる事業活動を目指し
て行きたいと考えております。
このたび、当社で取り組んでいる環境保全、防災、労働安全、化学物質管理、コンプライ
アンス経営等の方針や具体的取り組みと、その成果をまとめた「環境報告書 2015」を発行
する運びとなりました。
内容として未熟なところはございますが、皆様にご高覧いただき、貴重なご意見、ご指導
をいただければ幸いです。
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会社概要
会社名
富士チタン工業株式会社
本
社
大阪市西区江戸堀 1-3-15 新石原ビル
創
業
1936 年(昭和 11 年)
3 月 12 日
資本金
19 億 2,600 万円
従業員数
269 名 (2015 年 3 月末現在)
売上高
106 億 37 百万円 (2014 年度実績)
取扱製品
酸化チタン、チタン酸バリウム、高純度酸化物、真空蒸着材料、
硫酸鉄、石膏、触媒用原料、
URL
ほか
http://www.fuji-titan.co.jp/
事業所
1
2
3
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3
環境方針
■
環境・安全への配慮
当社は、人と地球にやさしい技術を通じて、地球環境の保全を図ると共に、人の安全
及び健康がよりいっそう確保される社会の実現を目指します。
当 社 の企 業 理 念 では「環 境 ・安 全 ・品 質 に対 する万 全 の配 意 対 応 」を経 営 の
基 本 姿 勢 として位置づけ、これに基づき環境方針を制定しています。
環 境 方 針
●理念
当社は、人と地球にやさしい技術を通じて、地球環境の保全を図り、次の世
代が、住みよい地球と豊かな未来を共有できる社会の実現に貢献する。
●基本方針
1.人と地球にやさしい技術の開発
限りある資源やエネルギーを無駄なく効率的に利用できるよう、人と環境
にやさしい技術(原材料・製品・製造プロセスなど)の開発に取り組み、企業
活動の全てにおいて、省資源・省エネルギー化を進める。
2.環境保全の継続的向上
常に企業としての活動が地球環境に及ぼす影響を考え、環境に負荷の少
ない企業活動を心がけ、環境保全の継続的な向上に努める。
3.社会および地域への貢献
事業を通じてだけでなく、良き市民としても、この環境問題の重要性を認識
し、社会や地域における環境保全活動への支援・参画に積極的に取り組む。
4.法令の遵守
国際環境規制並びに国・地方自治体の法規制、条例等及び当社が同意す
るその他の要求事項を遵守する。
2009年 4月 16日
富士チタン工業株式会社
代表取締役社長 前田 晃男
富士チタン工業 環境報告書 2015
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神戸工場
環境方針
1.神戸工場は人と地球にやさしい生産活動を推進します。
神戸工場の事業活動全般にわたって資源やエネルギーを無駄なく効率的
に利用できるよう、廃棄物の削減と3Rの推進、人と環境にやさしい技術(原
材料・製品・製造プロセスなど)の開発に取り組み、全員一丸となって、省
資源・省エネルギー化を進めます。
2.神戸工場は環境保全の継続的向上に努力します。
神戸工場の事業活動が地球環境に及ぼす影響を考え、環境負荷の軽減を推
し進めるための環境マネジメントシステムを構築し、継続的改善及び汚染の
予防に努め、従業員の意識を高めます。
3.神戸工場は社会および地域へ貢献します。
神戸工場は事業活動を通じてだけでなく、良き市民としても、地球環境問
題の重要性を認識し、社会や地域における環境保全活動への支援・参画に積
極的に取り組みます。
4.神戸工場は法令及び顧客の要求事項を遵守します。
神戸工場は法令及び顧客の要求事項を遵守します。
神戸工場の事業活動の全般において、国・地方自治体の法規制、条例等及び
当社が同意するその他の要求事項並びに国際環境規制を遵守します。
2015 年 6 月 16 日
富士チタン工業株式会社
神戸工場長 下村 正治
富士チタン工業 環境報告書 2015
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隣接する平塚市博物館側の工場塀は地域の中学校に壁画のキャンパスとして開放
し、工場周辺の清掃も定期的に実施しています。
地域の皆様と共に環境保全や防災活動を推進するため、自治会の皆様との懇談や
地域の企業も含めた合同防災訓練へも参加しています。
地域の中学生による平塚工場塀への壁画
●
日向工場(2000 年操業開始)
日向工場は、細島港の工業団地で操業して
います。
埋立前のこの地には塩田があり、当時に使用
されていた塩釜のレンガ煙突が日向工場敷地
内に現在でも残されており、小学生をはじめ地
域の皆様の工場見学を受け入れています。
周辺の企業の皆様と協力して地区の清掃にも
定期的に取り組んでいます。
工場内に現存する塩釜の煙突⇒
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電子材料事業部
環境方針
電子材料事業部は主に電子材料(チタン酸バリウム等の誘電体粉、セラミック
用配合材、他)の製造および設計・開発に携わり、多くの原材料やエネルギーを
使用しています。
事業活動を行うにあたっては、当社の「企業理念」、「環境方針」に則り、一
人一人が地球環境問題を認識し、これまでに取組んできた環境保全活動に一層の
努力を傾け、大気、水質、廃棄物等における環境負荷の低減を図ることにより、
地球環境時代にふさわしい事業部とします。ここに以下の方針を定めます。
1.電子材料事業部の運営に当たり、環境関連法令、協定、業界等
の指針を順守するとともに、自主的な環境保全の取り組みにより
汚染の予防に努めます。
2.環境マネジメントシステムの見直しおよび継続的改善を行います。
3.以下の項目に配慮し、環境目的・目標の設定ならびに見直しを
行います。
(1) 大気・水質汚染の予防
(2) 省資源・省エネルギーの推進
(3) 廃棄物の削減・再資源化
(4) 化学物質の適正管理
(5) 地球温暖化防止対策の推進
4.この環境方針は社内外に公表します。
2015 年 9 月 30 日
電子材料事業部長
寺嶋 良充
富士チタン工業 環境報告書 2015
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環境マネジメント
環境マネジメントは、当社の2つの事業部が各々ISO14001 環境マネジメントシステム
の認証を取得し、推進活動を行う中で構築しています。
毎年度、計画-運用-点検-見直しのPDCAサイクルを運用し、継続的改善を図って
います。
社
長
環境・安全・品質保証室
酸化チタン事業部
電子材料事業部
EMS管理責任者
EMS管理責任者
環境安全・品質保証課
環境安全・品質保証課
神戸工場
営業管理部
技術開発部
平塚工場
富士工運株式会社
(運送部門関係会社)
日向工場
※EMS
Environmental
Management
System
環境マネジメ
ントシステム
技術開発部
環境管理組織図(2015年4月1日付)
● ISO14001認証
酸化チタン事業部 神戸工場 JQA-EM5926
2007-10-26 登録
2013-10-26 更新
電子材料事業部
2008-03-14 登録
2014-03-14 更新
酸化チタン事業部
JQA-EM6066
神戸工場
富士チタン工業 環境報告書 2015 –
電子材料事業部
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レスポンシブル・ケア
■
レスポンシブル・ケアとは
レスポンシブル・ケアとは、化 学 物 質 を扱 う各 々の企 業 が化 学 物 質 の開 発 か
ら製 造 ・物 流 ・使 用 ・廃 棄 に至 る全 過 程 において、自 主 的 に環 境 、安 全 、健 康 を
確 保 し、活 動 の成 果 を公 表 し、社 会 とのコミュニケーションを行 う活 動 のことで
す。
■
レスポンシブル・ケアへの取組み
当 社 では、企 業 理 念 で「環 境 ・安 全 ・品 質 に対 する万 全 の配 意 対 応 」を経 営
の基 本 姿 勢 として位 置 づけ、これに基 づき環 境 方 針 を制 定 しています。これらを
実 施 し、環 境 保 護 、保 安 防 災 、労 働 安 全 衛 生 、化 学 品 ・製 品 安 全 のレベルのよ
り一 層 の向 上 を図 るため、レスポンシブル・ケアを2002年 度 から当 社 の自 主 管
理 活 動 の手 段 として導 入 しています。
■
推進体制
レスポンシブル・ケアでは、Plan(目 標 ・計 画 )- Do(実 施 ・記 録 )- Check(点 検 ・
評 価 )- Action(見 直 し・改 善 )のPDCAサイクルによる継 続 的 改 善 が求 められま
す。レスポンシブル・ケア活 動 は工 場 毎 に推 進 組 織 を作 り、工 場 主 体 で実 施 しま
すが、活 動 の評 価 については、公 平 かつ客 観 的 に行 う必 要 から、出 来 るだけ独
立 性 を持 つ者 の監 査 により行 います。
当 社 のレスポンシブル・ケアでは、事 業 部 長 による年 一 回 以 上 の定 期 監 査
と、社 長 又 は社 長 の指 名 する者 による臨 時 監 査 を実 施 しています。
■
実施項目
全社環境安全目標として
1.労働災害ゼロの達成
2.環境事故ゼロの達成
3.火災・爆発事故ゼロの達成
4.通勤災害ゼロの達成
を掲げ、工場毎に実 施 項 目 毎 に計 画 を立 て、レスポンシブル・ケア活 動 をしていま
す。
以下が2014年度の3工場(神戸工場、平塚工場、日向工場)の主な実施項目です。
【実施体制】
3工場ともに
・ ISO14001認証を取得し、マネジメントシステムを運用
・ 環境関係法令、条例、協定の管理担当組織を設置し、環境法規制の明確化を実施
【コミュニケーション】
3工場ともに
・ 地域との協議会・懇談会や工場見学受入を実施
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【事業活動における監視・測定】
神戸工場 水質、大気、騒音、産廃、放射線量の日常監視・測定
所管部署および専門部による環境・安全管理設備の総点検
平塚工場
水質、産廃、の日常監視・測定
所管部署による環境・安全管理設備の総点検
日向工場
水質、大気、産廃、の日常監視・測定
所管部署および専門部による環境・安全管理設備の総点検
【教育】
3工場ともに中長期および年度の教育プログラムに沿って必要な教育・資格取得を実施
【安全性情報の整備および提供】
3工場ともに全製品についてGHS対応SDSを作成・適宜更新し、安全性・有害性・環
境・廃棄情報を供給先に提供
【化学物質環境排出量】
3工場ともにPRTR対象物質の排出・移動量を調査し把握
神戸工場はPRTR対象物質に該当する7物質の排出・移動量を報告
平塚工場および日向工場は該当物質の排出・移動の実績なし
【化学物質管理】
3工場ともに取扱う全原料・試薬の化学物質についてSDSを整備
3工場ともにハザードアセスメントおよびリスクアセスメントを実施
【産業廃棄物管理】
神戸工場 産業廃棄物排出量削減目標の設定と削減施策の実施
平塚工場
産業廃棄物排出量削減目標の設定と削減施策の実施
日向工場
産業廃棄物排出量削減施策の検討
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【省資源・省エネルギー対策】
神戸工場
電力原単位、燃料原単位、原料原単位の低減目標の設定と施策の実施
平塚工場
電力原単位低減目標の設定と施策の実施
日向工場
電力原単位、燃料原単位の低減目標の設定と施策の実施
【操業における安全確保】
神戸工場 年間安全衛生計画の策定と実施、安全衛生パトロール実施、外来工事業
者への安全指導、設備導入時の安全対策実施、作業環境測定、ヒヤリハ
ットの発掘、リスクアセスメントの実施
平塚工場
年間安全衛生計画の策定と実施、安全衛生パトロール実施、設備導入時
の安全対策実施、作業環境測定、ヒヤリハットの発掘、リスクアセスメント
の実施
日向工場
年間安全衛生計画の策定と実施、安全衛生パトロール実施、設備導入時
の安全対策実施、作業環境測定、ヒヤリハットの発掘、リスクアセスメント
の実施
【緊急時対応】
3工場ともに危機管理規定の整備と対応訓練実施
対応訓練 本社機能を含む緊急時対応訓練
BCPの策定と BCM システムの構築
工場毎の総合防災訓練
【品質保証】
3工場ともにISO9001認証を取得し、マネジメントシステム運用
【物流管理】
神戸工場
全製品の国内運送にイエローカードを携行
平塚工場
主要製品の国内運送にイエローカードを携行
日向工場
主要製品の国内運送にイエローカードを携行
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10
環境保全
■
生産活動と環境負荷
2014年度の実績
当社は、製品をつくるために、様々な資源やエネルギーを消費し、産業廃棄物や
CO2等の環境負荷を発生させています。3工場が製品を生産する間に生じる環境負
荷の概要をまとめました。今後も、環境負荷の低減に努めてまいります。
インプット
15.2 (千kL)
(原油換算)
水
1,566 (千m3)
事業活動
エネルギー
アウトプット
原 材 料
SOx
11.9 (t)
NOx
14.7 (t)
COD
6.2 (t)
PRTR 対象物質
58.9 (t)
CO2
43.2 (千 t)
産業廃棄物
10.7 (千 t)
製品
13.6 (千 t)
(副生製品を除く)
●PRTR対象物質排出・移動量の推移
PRTR(Pollutant Release and
Transfer Register:環境汚染物
質排出移動登録)とは、多くの
化学物質の環境中への排出
の実態を把握し公表すること
で、排出量削減に結び付ける
制度です。
当社では2014年度は7物質
が届出対象物質に該当しまし
た。
2010年度以降の対象物質排
出・移動量が減少したのは、主
原料における対象物質含有量
の低下によるものです。
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■
大気・水質
●SOx排出量の推移
SOx:硫黄酸化物
2011年度以降のSOx排出量は
日向工場における排出原単位の
低減により、従来の2分の1程度
に減少しましたが、2013年度以
降稼働拡大によりその影響で増
加しました。
●NOx排出量の推移
NOx:窒素酸化物
燃料使用量が多い神戸工場にお
ける、ボイラーのオンライン監
視、重油から都市ガスへの燃料
転換等による効率燃焼に取組ん
で、NOx排出量削減に努めてま
いりました。
神戸工場も平塚工場工場も減少
しましたが、日向工場の稼働拡
大により全社的には増加傾向に
あり、今後も燃焼効率化等、さら
にNOx排出量削減に取り組みま
す。
●COD排出量の推移
COD:化学的酸素要求量
COD排出量低減対策として、
2012年度に日向工場の排水
浄化槽を更新し、排出量が大き
く減少しました。しかし2013年
度は日向工場において、一時
的な装置の不具合により増加し
ました。
当社では、生物化学的酸素要
求量と等価として算出していま
す。
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■
省資源・省エネルギー
●エネルギー使用量(原油換算)の推移
エネルギーの効率的利用のため
に継続的な省エネ対策組んでま
いりました。
その結果、使用量、原単位ともに
ゆるやかに低減しています。
●CO2排出量の推移
2009年度の神戸工場における
重油から都市ガスへの燃料転換
などの対策により、着実にCO 2
排出量削減を推進してまいりま
したが、2012年度以降は原発
停止による電力CO 2 排出係数
の大幅アップにより増加しまし
た。
●産業廃棄物排出量の推移
当社の産業廃棄物の9割弱は、
神戸工場の酸化チタン製造工
程から発生する中和滓です。
その中和滓は、原料鉱石産地
変更に伴う組成変動により、大
きく増減しますが、産業廃棄物
排出量原単位の低減のための
生産技術開発に力を入れてい
ます。
富士チタン工業 環境報告書 2015 –
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保安防災
■
設備の点検と保全
危険物、特化則、圧力容器、遠心機器、高圧ガス、クレーン等の専門部会による定期
点検や、保全部門のみならず製造部門も含めたCo-Mo活動(Condition Monitoring)を
通した日常点検により、設備の異常を初期段階で発見して、適切な整備、保全に努めて
います。
特に、神戸工場では毎年定期修理を実施し、工場のすべての設備について点検整備
や更新工事を行うことで、設備上のトラブルに起因する事故・災害や品質不良を未然に
防いでいます。
地震対策として、燃焼設備や有害な蒸気を発生する恐れのある酸性液体タンクには、
地震計と連動した自動遮断装置を設置するなどの設備制御システムを導入しています。
■
防災体制
火災や台風、地震等の自然災害および工場事故に対する災害対応マニュアルの整備
と、工場毎の防災組織の編成により、緊急時に速やかに対応できる防災体制を構築して
います。
■
防災訓練
工場内には危険物、特定化学物質、
ボイラー、乾燥炉、第一種圧力容器、高
圧ガス等の設備があり、日常の保安管
理には万全を期していますが、万一の
事故に備え地震、避難誘導、火災、薬液
漏洩、ガス漏洩、救急救命などの防災
訓練を毎年実施しています。
救急救命のための担架による搬送
消防ポンプによる放水訓練
防災訓練は、想定される災害および事故に対
して迅速、かつ適切な対応と処置を体得すること
で、災害時の従業員の安全と二次災害や工場周
辺の環境への影響を防止することを目的に行っ
ています。また防災訓練を通して得られた問題
点・反省点から、防災体制およびマニュアルの見
直しを行っています。
富士チタン工業 環境報告書 2015
–
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労働安全衛生
■
労働安全衛生
安全確保は生産活動の基盤であり、全てに優先して労働災害防止活動を推進してい
ます。
危険予知(KY)活動やヒヤリ・ハット・キガカリ(HHK)発掘活動によって潜在的な危険要
因を洗い出し、それぞれの危険要因に対するリスクアセスメントの実施によって危険作業
の廃止や改善等でリスクを低減し、安全な作業環境の構築に努めています。
また、過去に起きた災害の原因・対策のレビューにより類似災害の防止に努めるとと
もに、指差呼称等による安全意識向上で一人一人が常に安全を心がける活動を行って
います。
●労働災害発生件数の推移
潜在リスクに対する対応が不十
分であったため、災害件数が急
増した2010年度を反省し、『災
害ゼロ』を目標に掲げて安全へ
の取組みを全事業所で強化しま
した。
●強度率の推移
2009年度以降は休業災害
が発生しておりませんでした
が、2013年度に 1 件発生
しました。従って、それ以外
の年度の強度率はゼロです。
※化学工業
労災動向調査統計 100 人以上
製造業(化学工業)
※強度率
延べ労働損失日数
延べ実労働時間数
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×1000
■
健康管理
●健康診断など
毎年 1 回、一般健康診断に加え35歳以上を対象とした生活習慣病検診を全事業
所で実施しています。また、法令に定められた特殊健康診断を対象業務に従事する
従業員に対して実施しています。各事業地では産業医を選任し、健診結果に基づく
健康相談、職場巡視による作業環境改善などを実施し、
従業員の健康保持活動を支援しています。
保険者が実施する特定健康診査・特定保健指導に対
しては、従業員へ積極的な啓発活動を行い、支援活動へ
の参加を促しています。
上記の他、インフルエンザ予防接種へ補助金を支給
し、インフルエンザ罹患率の低下を推進しています。
●メンタルヘルスケア
社員一人一人が活き活きと働ける職場を維持するために、本社および各事業所に
おいてメンタルヘルスへの取り組みを重点テーマに掲げています。
メンタルヘルス対策 重点テーマ(例)
①職場内のコミュニケーションをよくする。
②個々人にスポットライトを当てることを励行し、メンタルヘル
ス不調の兆しを早期に発見する。
③メンタルヘルス不調者が発生した場合は、各事業地の管理
職、労務担当者と本社総務部が情報を交換のうえ、最適な
処置を行う。
日常的な対策としては、提案活動による職場の活性化、長時間労働照会による作
業改善の推進、産業医による個別面接指導、社内報でのストレス対策紹介などを定
期的に実施しています。
富士チタン工業 社内報
ワーク・エンゲイジメントを理解する
ストレスをコントロールする
対象の捉え方を変えてみる
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化学品安全
■
化学物質の安全性情報
労働安全衛生法、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進
に関する法律(PRTR法)、毒物及び劇物取締法により義務付けられている製品だけでな
く、当社のすべての製品についてJIS規格に準拠して危険有害性の要約にGHS分類を
取り入れたSDSを作成し、お客様に提供しています。
SDSには、その他に製品の安全な取扱い、保管、輸送、廃棄等の方法が記載されて
おり、労働災害や環境汚染の未然防止に配慮した内容となっています。
※ SDS;化学物質安全性データシート:Safety Data Sheet
※ GHS;化学品の分類および表示に関する世界調和システム
Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals
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■
特定化学物質の不使用
欧州連合(EU)の電気電子機器における特定物質の使用制限指令(RoHS:
Restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic
equipment)が規定する有害な重金属すなわち、鉛、水銀、カドミウム、6価クロムの管理
を徹底すると共に、お客様からの要請に応じて製品中の特定化学物質の不使用保証書
を発行しています。
■
REACH規則への対応
化学物質管理に対するEUの規則である、「化学物質の登録、評価、認可 及び制限
に 関 す る 規 則 ( R E A C H : Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of
Chemicals)」に対しては、酸化チタンの予備登録を行いました。これからも、2018年5月
の本登録に向けて作業を継続してまいります。
物流安全
■
輸送時の事故処理対策
製品の国内輸送時における緊急事態に
対処するため、緊急時の対応手順等を
記載した『イエローカード』を携行させています。
酸化チタンのイエローカード
■ 安全規格に適合した容器
プラスチック製ペール缶などの運搬容器を採用
する時は、消防法やUN(国連)規格等、法の
基準に適合したものを採用しています。
チタン酸バリウムの UN 規格ペール缶
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社会的取組み
■
環境コミュニケーション
●
神戸工場(1937 年操業開始)
神戸工場は緑豊かな自然環境の中に
あり、地域の皆様の家屋と隣接して操業
しており、武庫川河原の草焼きや工場周
辺の清掃を定期的に実施しています。
武庫川河原の保全活動
周辺地域では唯一の化学工業メーカーで
あり、地域の皆様や小学生の工場見学を受
地域住民との環境対策協議会
け入れています。
また、地域の皆様と共に環境保全や防
災活動を推進するため、自治会の皆様や地
域企業の皆様との協議会を実施していま
す。
●
平塚工場(1956 年操業開始)
平塚工場の敷地内には、第二海軍火薬廠の建物 の外観が現在でも残されていま
す。
右写真は、旧第二工場の敷地であった場所で、
綿薬精製場の建物がほぼ完全に残されており、ま
た第一汽缶場や構内軌道(トロッコ)の線路も工場
内に一部残されているため、平塚市の戦跡として
市のホームページでも紹介され、現在でも小学生
をはじめ地域の皆様の工場見学を受け入れていま
す。
トロッコ軌道跡
保存された旧第二工場外観
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